(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077868
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240603BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240603BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240603BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240603BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 E
H04N5/74 D
G02F1/13 505
G02F1/13357
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190074
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】若林 慎一
(72)【発明者】
【氏名】▲角▼谷 雅人
【テーマコード(参考)】
2H088
2H391
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2H088EA13
2H088EA15
2H088HA12
2H088HA14
2H088HA18
2H088HA21
2H088HA24
2H088HA27
2H088HA28
2H088MA03
2H088MA20
2H391BA01
2H391BA12
2H391BA28
2H391BA29
2H391CB42
2H391EA02
2H391EA11
2H391EA13
2H391FA01
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA32
2K203FA44
2K203FA62
2K203FB03
2K203GB02
2K203GB04
2K203GB26
2K203GB30
2K203HA06
2K203HA23
2K203HB05
2K203HB08
2K203MA26
2K203MA32
5C058BA25
5C058EA02
5C058EA26
(57)【要約】
【課題】高解像な画像を表示できる単板式のプロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明のプロジェクターは、光源と、複数の画素を含む画素領域を有し、光源から射出された光を変調して画像光を生成する1つの光変調素子と、光変調素子から射出された画像光の光路を基準光路とシフト光路との間で切り替え可能な画素シフトデバイスと、画素シフトデバイスから入射する画像光を被投射面に投射する投射光学系と、を備え、光変調素子の画素領域は、ブラックマトリクスにより区画され異なる色光を射出する複数のサブ画素で1つの画素を構成し、画素シフトデバイスは、基準光路の画像光を被投射面の基準表示位置に位置させ、シフト光路の画像光を被投射面のシフト表示位置に位置させ、シフト表示位置においてサブ画素から射出された画像光を、基準表示位置においてブラックマトリクスに対応する領域に重ねる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
複数の画素を含む画素領域を有し、前記光源から射出された光を変調して画像光を生成する1つの光変調素子と、
前記光変調素子から射出された前記画像光の光路を基準光路とシフト光路との間で切り替え可能な画素シフトデバイスと、
前記画素シフトデバイスから入射する前記画像光を被投射面に投射する投射光学系と、を備え、
前記光変調素子の前記画素領域は、ブラックマトリクスにより区画され異なる色光を射出する複数のサブ画素で1つの前記画素を構成し、
前記画素シフトデバイスは、前記基準光路の前記画像光を前記被投射面の基準表示位置に位置させ、前記シフト光路の前記画像光を前記被投射面のシフト表示位置に位置させ、
前記シフト表示位置において前記サブ画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記ブラックマトリクスに対応する領域に重ねる、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記画素領域における前記画素の各々は、互いに交差する2つの対となる対角に配置された4つの前記サブ画素で構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
複数の前記画素の1つである第1画素を構成する4つの前記サブ画素のうち1つを基準サブ画素としたとき、
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト光路において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記基準光路に対して1つの方向にシフトし、
前記シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記第1画素を構成する4つの前記サブ画素の角部で囲まれる前記ブラックマトリクスの第1部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記シフト表示位置において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第1部位に対応する領域の中心に位置する、
ことを特徴とする請求項3に記載のプロジェクター。
【請求項5】
複数の前記画素の1つである第1画素を構成する4つの前記サブ画素のうち1つを基準サブ画素としたとき、
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト光路において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記基準光路に対して第1方向へシフトする第1シフト光路と、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記第1シフト光路に対して前記第1方向と異なる第2方向へシフトする第2シフト光路と、に切り替え可能であり、
前記第1シフト光路の前記画像光を前記被投射面の第1シフト表示位置に位置させ、前記第2シフト光路の前記画像光を前記被投射面の第2シフト表示位置に位置させ、
前記第1シフト光路は、
前記第1シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記第1画素を構成する4つの前記サブ画素のうち隣接する2つの前記サブ画素を区画する前記ブラックマトリクスの第2部位に対応する領域に重ね、
前記第2シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を前記第1シフト光路からシフトさせ、前記基準表示位置において前記第1画素を構成する4つの前記サブ画素の角部で囲まれる前記ブラックマトリクスの第3部位に対応する位置に重ねる、
ことを特徴とする請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記第1シフト表示位置において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第2部位に対応する領域の中心に位置し、
前記第2シフト表示位置において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第3部位に対応する領域の中心に位置する、
ことを特徴とする請求項5に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト光路として、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記基準光路に対して前記第1方向および前記第2方向と異なる第3方向へシフトする第3シフト光路にさらに切り替え可能であり、
前記第3シフト光路の前記画像光を前記被投射面の第3シフト表示位置に位置させ、
前記第3シフト光路は、
前記第3シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を前記第2シフト光路からシフトさせ、前記基準表示位置において前記第1画素を構成する4つの前記サブ画素のうち隣接する2つの前記サブ画素を区画する前記ブラックマトリクスの前記第2部位とは異なる第4部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記第3シフト表示位置において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記ブラックマトリクスの前記第4部位に対応する領域の中心に位置する、
ことを特徴とする請求項7に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記光変調素子の前記画素領域において、前記複数の画素は互いに直交する行方向および列方向に並んで配置され、
前記複数の画素は、前記列方向において隣り合う第1画素および第2画素を含み、
前記第1画素および前記第2画素の各々は、前記行方向に順に並んで配置された少なくとも3つの前記サブ画素で構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項10】
前記第1画素における複数のサブ画素のうち1つを基準サブ画素としたとき、
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト光路において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記基準光路に対して1つの方向にシフトし、
前記シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記第1画素の互いに隣接する2つのサブ画素と前記第2画素の前記第1画素の前記互いに隣接する2つのサブ画素に隣り合う2つのサブ画素との角部で囲まれる前記ブラックマトリクスの第5部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする請求項9に記載のプロジェクター。
【請求項11】
前記シフト表示位置において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第5部位に対応する領域の中心に位置する、
ことを特徴とする請求項10に記載のプロジェクター。
【請求項12】
前記第1画素における複数のサブ画素のうち1つを基準サブ画素としたとき、
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト光路として、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記基準光路に対して第1方向へシフトする第1シフト光路と、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記第1シフト光路に対して前記第1方向と異なる第2方向へシフトする第2シフト光路と、に切り替え可能であり、
前記第1シフト光路の前記画像光を前記被投射面の第1シフト表示位置に位置させ、前記第2シフト光路の前記画像光を前記被投射面の第2シフト表示位置に位置させ、
前記第1シフト光路は、
前記第1シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記第1画素の互いに隣接する2つのサブ画素を区画する前記ブラックマトリクスの第6部位に対応する領域に重ね、
前記第2シフト光路は、
前記第2シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を前記第1シフト光路からシフトさせ、前記基準表示位置において前記第1画素の互いに隣接する2つのサブ画素と前記第2画素の前記第1画素の前記互いに隣接する2つのサブ画素に隣り合う2つのサブ画素との角部で囲まれる前記ブラックマトリクスの第7部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする請求項9に記載のプロジェクター。
【請求項13】
前記第1シフト光路において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第6部位に対応する領域の中心に位置し、
前記第2シフト光路において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第7部位に対応する領域の中心に位置する、
ことを特徴とする請求項12に記載のプロジェクター。
【請求項14】
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト光路として、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記基準光路に対して前記第1方向および前記第2方向と異なる第3方向へシフトする第3シフト光路にさらに切り替え可能であり、
前記第3シフト光路の前記画像光を前記被投射面の第3シフト表示位置に位置させ、
前記第3シフト光路は、
前記第3シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を前記第2シフト光路からシフトさせ、前記基準表示位置において前記第1画素の前記基準サブ画素と前記第2画素における前記第1画素の前記基準サブ画素に隣接する前記サブ画素とを区画する前記ブラックマトリクスの第8部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする請求項12または請求項13に記載のプロジェクター。
【請求項15】
前記第3シフト光路において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第8部位に対応する領域の中心に位置する、
ことを特徴とする請求項14に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、光変調装置として1枚の液晶パネルを用いたプロジェクターが開示されている。このプロジェクターでは、光源から射出した光を液晶パネルに入射させ、液晶パネルで変調した画像光を投射レンズから射出させ、投射レンズから射出した画像光をミラーで反射することで画像光の投射方向を変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような1枚の液晶パネルを用いた単板式のプロジェクターは小型、軽量で携帯性に優れ、低コストであるという利点がある。一方、単板式のプロジェクターは、3枚の液晶パネルを用いた3板式のプロジェクターよりも解像度が劣るという課題がある。
そこで、単板式のプロジェクターの利点を維持しつつ、解像度をより高めることができる新たな技術の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、光源と、複数の画素を含む画素領域を有し、前記光源から射出された光を変調して画像光を生成する1つの光変調素子と、前記光変調素子から射出された前記画像光の光路を基準光路とシフト光路との間で切り替え可能な画素シフトデバイスと、前記画素シフトデバイスから入射する前記画像光を被投射面に投射する投射光学系と、を備え、前記光変調素子の前記画素領域は、ブラックマトリクスにより区画され異なる色光を射出する複数のサブ画素で1つの前記画素を構成し、前記画素シフトデバイスは、前記基準光路の前記画像光を前記被投射面の基準表示位置に位置させ、前記シフト光路の前記画像光を前記被投射面のシフト表示位置に位置させ、前記シフト表示位置において前記サブ画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記ブラックマトリクスに対応する領域に重ねる、プロジェクターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成を示す図である。
【
図3】液晶パネルの画素構造の要部を示す平面図である。
【
図5】第2実施形態の画素シフトデバイスの平面図である。
【
図7】第1変形例の液晶パネルの画素構造を示す平面図である。
【
図8】第1変形例における画像の高解像度化の原理の説明図である。
【
図9】第2変形例における画像シフトによる表示画像の要部を示す図である。
【
図10】第3変形例における画像シフトによる表示画像の要部を示す図である。
【
図11A】第4変形例における画像シフト動作を示した図である。
【
図11B】第4変形例における画像シフト動作を示した図である。
【
図11C】第4変形例における画像シフト動作を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のプロジェクター100の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター100は、被投射面であるスクリーンSCR上にカラー画像を表示する投射型画像表示装置である。
プロジェクター100は、光源ユニット1と、画像生成部2と、投射光学系3と、画素シフトデバイス4と、ファン5と、内部筐体6と、外装筐体7と、を備えている。
【0009】
以下、図面中に示すXYZ座標系を用いて各部材の配置関係を説明する場合がある。各図面において、X軸はプロジェクター100における一部の光学部品が並ぶ第1基準軸である第1光軸AX1に沿う軸である。Y軸はX軸に直交し、プロジェクター100における他の一部の光学部品が並ぶ第2基準軸である第2光軸AX2に沿う軸であり、スクリーンSCRに対する画像光LTの投射方向に沿う軸である。Z軸はX軸およびY軸に直交する軸であり、プロジェクター100の上下に沿う軸である。
【0010】
本実施形態では、例えば、Z軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター100における「上下方向Z」、+Z方向に向かう方向を「上側」、-Z方向に向かう方向を「下側」と称す。また、X軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター100における「左右方向X」、+X方向に向かう方向を「右側」、-X方向に向かう方向を「左側」と称す。また、Y軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター100における「前後方向Y」、+Y方向に向かう方向を「前側」、-Y方向に向かう方向を「後側」と称する。
なお、上下方向Z、左右方向Xおよび前後方向Yとは、単にプロジェクター100の各構成部材の配置関係を説明するための名称であって、プロジェクター100における実際の設置姿勢や向きを規定するものではない。
【0011】
内部筐体6は、光源ユニット1、画像生成部2、投射光学系3、画素シフトデバイス4およびファン5を固定する。光源ユニット1、画像生成部2、画素シフトデバイス4および投射光学系3は、内部筐体6内において第1光軸AX1に沿って配置されている。画素シフトデバイス4および投射光学系3は、内部筐体6内において第2光軸AX2に沿って配置されている。
【0012】
本実施形態のプロジェクター100は、内部筐体6に各構成部品を固定することで組み立て性を容易にしている。外装筐体7は複数の壁部で構成された略直方体箱状であり、プロジェクター100の外装を構成する。
【0013】
光源ユニット1は、光源10とリフレクター11とで構成される。
光源10は白色光Lを射出する。本実施形態の光源10は、例えば、発光ダイオード(LED)から構成される。本実施形態のプロジェクター100は、光源10としてLEDを用いることで光源ユニット1の小型化および軽量化を図っている。
リフレクター11は、光源10の光射出側に設けられる。リフレクター11は、光源10から大きい放射角で射出された白色光Lを反射して画像生成部2に入射させる。
【0014】
画像生成部2は、第1フレネルレンズ21と、1つの光変調素子22と、第2フレネルレンズ23と、を有する。
【0015】
第1フレネルレンズ21は光変調素子22の光入射側に配置され、光源ユニット1から射出される白色光Lを平行化して光変調素子22に入射させる。第1フレネルレンズ21は正のパワーを有する凸レンズとして機能する。
本実施形態の画像生成部2は、平行化レンズとして第1フレネルレンズ21を用いることで第1光軸AX1に沿うプロジェクター100の左右方向Xの寸法を小型化している。
【0016】
光変調素子22は透過型の液晶パネル220で構成される。液晶パネル220はカラーフィルターを有し、光源10からの白色光Lを画像情報に応じて変調してフルカラーの画像光LTを生成する。光変調素子22は、液晶パネル220の光入射側に設けられた入射側偏光板221と、液晶パネル220の光射出側に設けられた射出側偏光板222と、をさらに含む。入射側偏光板221と射出側偏光板222とは、互いの偏光軸が直交するように配置されている。
本実施形態のプロジェクター100は1枚の液晶パネル220を用いた単板方式を採用することで装置構成の小型化を図っている。
【0017】
第2フレネルレンズ23は光変調素子22の光射出側に配置される。第2フレネルレンズ23は正のパワーを有する凸レンズとして機能し、液晶パネル220の射出側偏光板222から射出された画像光LTを集光させる。
本実施形態の画像生成部2は、集光レンズとして第2フレネルレンズ23を用いることで第1光軸AX1に沿うプロジェクター100の左右方向Xの寸法を小型化している。
【0018】
本実施形態のプロジェクター100において、画像生成部2と投射光学系3との間に画素シフトデバイス4が配置されている。画素シフトデバイス4は、画像生成部2の液晶パネル220から射出された画像光LTの光路を変更する光路変更素子40を含み、画像光LTの光路を基準位置とシフト位置との間で連続的にシフト可能である。
【0019】
画素シフトデバイス4は、画素シフトを行わない状態で、光路変更素子40の入射面が第1光軸AX1および第2光軸AX2に対して45°の角度をなすように内部筐体6内に配置されている。光路変更素子40は、画像生成部2から射出された画像光LTの光路を90°折り曲げて投射光学系3に入射させる。
【0020】
本実施形態のプロジェクター100は、画素シフトデバイス4によって画像光LTの光路をシフトさせることで、液晶パネル220の解像度よりも高い解像度の画像を被投射面であるスクリーンSCRに表示することが可能である。画素シフトデバイス4の構成の詳細については後述する。
【0021】
ファン5は画素シフトデバイス4を少なくとも冷却する。ファン5は画素シフトデバイス4の光路変更素子40における光射出方向と反対側に配置されている。
画素シフトデバイス4は駆動時に発熱するため、内部筐体6内において熱源となる。本実施形態のプロジェクター100によれば、光路変更素子40の光射出方向と反対側の空間を利用して画素シフトデバイス4を冷却して、画素シフトデバイス4の温度上昇を抑制できる。また、光路変更素子40の光入射側にファン5が位置しないため、画像光LTをファン5が遮ることなく光路変更素子40を冷却することができる。
なお、ファン5からの気流の一部を供給することで光源ユニット1、画像生成部2および投射光学系3を冷却してもよい。
【0022】
続いて、画素シフトデバイス4の構成について説明する。
図2は画素シフトデバイス4の平面図である。
図2に示すように、画素シフトデバイス4は、光路変更素子40と、光路変更素子40を保持する第1可動部41と、第1揺動軸J1回りに第1可動部41を揺動可能に連結するベース42と、第1可動部41を揺動させる第1アクチュエーター43と、連結軸部44と、を備える。本実施形態の画素シフトデバイス4は、光路変更素子40の姿勢を変更することで画像光LTの光路をシフト可能とする。
【0023】
光路変更素子40は、画像光LTを反射することで画像光LTの光路を変更する素子である。光路変更素子40は、一面に反射膜40bを成膜した透光性基材40aで構成される。反射膜40bは透光性基材40aの光入射面40a1と反対の裏面40a2に成膜されている。反射膜40bにおける透光性基材40aとの接触面は光路変更素子40の反射面40cとして機能する。すなわち、光路変更素子40は、画像光LTを反射する反射面40cを有している。
【0024】
光路変更素子40に入射した光は透光性基材40aの光入射面40a1で屈折し、透光性基材40aを透過して反射膜40bで反射され、透光性基材40aから射出される際に再び屈折される。光路変更素子40は、画像生成部2から入射した画像光LTの光路を90°折り曲げる際、光路変更素子40の姿勢に応じて画像光LTの光路をシフトさせる。画像光LTの光路のシフト量は光路変更素子40の姿勢変化の度合いに応じて規定される。
【0025】
透光性基材40aとしては、例えば、略正方形の白板ガラスを用いた。強度に優れた白板ガラスを採用することで、光路変更素子40全体の剛性が高まるため、光路変更素子40に生じる歪みを抑制することができる。反射膜としては、例えば、金属膜や誘電体多層膜を用いた。
【0026】
なお、透光性基材40aの材料は白板ガラスに限定するものではなく、光透過性を有し、光を屈折可能な材料であれば良く、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどの各種ガラス材料を用いても良い。または、水晶、サファイアなどの各種結晶材料、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂などの各種樹脂材料を用いても良い。なお、光路変更素子40の形状は、略正方形に限定するものではなく、長方形や、菱形、楕円形状であっても良い。
【0027】
第1可動部41は金属製の額縁状をなした保持フレームであり、光路変更素子40の周囲に配置される。第1可動部41は光路変更素子40の外周縁を支持することで、表裏面を露出した状態の光路変更素子40を収納している。第1可動部41の材質としては、例えばステンレスを用いた。光路変更素子40は接着剤により第1可動部41に固定されている。なお、第1可動部41は額縁形状に限られず、光路変更素子40の少なくとも一部を支持する部材であればよい。
【0028】
ベース42は、第1可動部41の周囲に配置され、第1可動部41よりも一回り大きい額縁状をなす樹脂製の支持部材である。ベース42は、第1可動部41の外側面41aを枠状に囲むベース内側面42aを有する。ベース42は内部筐体6に固定される。
【0029】
連結軸部44は、第1可動部41の外側面41aとベース42のベース内側面42aとを揺動可能に連結する一対の軸部44aで構成される。
一対の軸部44aは、矩枠状である第1可動部41の外側面41aのうち対角線上に位置する一対の角部からそれぞれ突出して設けられ、第1可動部41の外側面41aとベース42のベース内側面42aとを連結する。
【0030】
一対の軸部44aは矩形枠状であるベース内側面42aのうち一方の対角線上に位置する部分に連結される。第1可動部41の第1揺動軸J1は、一対の軸部44a上に位置する仮想軸であり、第1可動部41に支持された光路変更素子40の中心を通る軸である。
【0031】
光路変更素子40を保持する第1可動部41は、第1揺動軸J1に沿う方向の両端に位置する一対の軸部44aがベース42に固定されるため、第1揺動軸J1と直交する対角線上に位置する対角部分が第1揺動軸J1回りに揺動可能となっている。
よって、光路変更素子40は、第1可動部41とともに第1揺動軸J1回りにベース42に対して回転することで姿勢を変更可能とされている。
【0032】
第1アクチュエーター43は、第1揺動軸J1に交差する方向において、第1可動部41の外側面41aに配置された第1磁石43aと、ベース42のベース内側面42aに配置され第1磁石43aに対向する第1コイル43bと、を有する。
具体的に第1磁石43aは、第1可動部41の外側面41aのうち軸部44aが設けられていない他方の対角線上に位置する1つの角部に設けられている。第1コイル43bはベース内側面42aのうち第1揺動軸J1と直交する対角線上に位置し、第1磁石43aに対向する位置に配置されている。
【0033】
このように第1アクチュエーター43を構成する第1磁石43aおよび第1コイル43bは、第1可動部41の外側面41aおよびベース42のベース内側面42aのうち第1揺動軸J1と直交する対角線の一方側に位置する部分に配置されている。
【0034】
第1磁石43aは磁石枠46を介して第1可動部41の外側面41aに配置されている。磁石枠46は鉄などの金属から構成されており、バックヨークとして機能する。第1磁石43aに用いる磁石としてはネオジム磁石の他、所定の磁力を有する永久磁石であれば良く、サマリウムコバルト磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石であっても良い。
【0035】
第1コイル43bはコイル枠47を介してベース42のベース内側面42aに配置されている。コイル枠47は第1コイル43bが第1磁石43aと間隙を持って向かい合うように、ベース内側面42aに固定されている。コイル枠47は鉄などの金属から構成されており、バックヨークとして機能する。第1コイル43bはコイル枠47に巻回したコイル線により構成される。
【0036】
なお、第1磁石43aおよび第1コイル43bの位置は入れ替えてもよく、第1磁石43aがベース42のベース内側面42aに配置され、第1コイル43bが第1可動部41の外側面41aに配置されてもよい。つまり、第1磁石43aは第1可動部41の外側面41aとベース42のベース内側面42aのうち一方に配置され、第1コイル43bは第1可動部41の外側面41aとベース42のベース内側面42aのうち他方に配置されていればよい。
【0037】
第1アクチュエーター43は、第1コイル43bに通電することで発生させた磁界によって第1磁石43aと反発または引き合わせることにより、第1磁石43aおよび第1コイル43b間に第1揺動軸J1に交差する方向の力を生じさせる。第1可動部41は、上述のように第1揺動軸J1に沿う方向の両端に位置する一対の軸部44aがベース42と固定されるため、第1磁石43aが設けられた部分が第1揺動軸J1回りに揺動する。これにより、第1可動部41に固定された光路変更素子40は、ベース42に対して第1揺動軸J1回りに揺動する。
【0038】
このような構成に基づき、本実施形態の画素シフトデバイス4は、第1コイル43bへの通電量を調整することで第1揺動軸J1回りに第1可動部41を揺動させることで光路変更素子40の姿勢を制御することができる。
画素シフトデバイス4は、光路変更素子40の姿勢を変化させることで画像生成部2の液晶パネル220から射出された画像光LTの光路を90°折り曲げるとともに画像光LTの光路を第1揺動軸J1と直交する方向にシフトさせることができる。
【0039】
本実施形態の画素シフトデバイス4は、光路変更素子40の周囲に第1可動部41およびベース42を配置した構成を採用するため、光路変更素子40の厚み方向の厚さを薄くすることができる。
【0040】
投射光学系3は、画像生成部2の液晶パネル220から射出された画像光LTを投射面であるスクリーンSCRに拡大して投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大されたカラー画像が表示される。スクリーンSCRに表示される画像は液晶パネル220の画素領域GAの像である。
【0041】
ここで、液晶パネル220の画素構造について説明する。
図3は液晶パネル220の画素構造の要部を示す平面図である。
図3に示すように、液晶パネル220は複数の画素Gを含む画素領域GAを有している。画素領域GAにおいて、複数の画素Gは互いに直交する行方向R1および列方向R2に並んでマトリクス状に配置されている。画素領域GAにおいて、1つの画素GはブラックマトリクスBMにより区画された複数のサブ画素で構成される。ブラックマトリクスBMは、サブ画素間に配置されたサブ画素を駆動する配線あるいは、配線を覆いサブ画素を仕切る遮光部材である。各サブ画素には各々異なる色光に対応したカラーフィルターが設けられている。
【0042】
画素領域GAにおける画素Gの各々は、互いに交差する2つの対となる対角に配置された4つのサブ画素SG1、SG2、SG3、SG4で構成される。具体的にサブ画素SG1、SG2は略正方形状の画素Gの一方の対角に配置され、サブ画素SG1、SG2は画素Gの他方の対角に配置される。サブ画素SG1、SG3は列方向R2において順に並び、サブ画素SG4、SG2は列方向R2において順に並ぶ。本実施形態において、サブ画素SG1、SG2は緑色の画像光LTを生成し、サブ画素SG3は赤色の画像光LTを生成し、サブ画素SG4は青色の画像光LTを生成する。
【0043】
本実施形態の液晶パネル220において、複数の画素Gは第1画素G1を含む。第1画素G1は画素領域GAにおける複数の画素Gのうち1行1列目に位置する画素である。
【0044】
図3に示す構成の液晶パネル220から射出された画像光によってスクリーンSCR上に表示される画像は、液晶パネル220の画素領域GAに対応した画素構造を有する。具体的に、スクリーンSCRに表示される画像は複数の画素で構成され、各画素は4つのサブ画素で構成される。
【0045】
一般にプロジェクターによるスクリーンの表示画像の解像度は光変調素子である液晶パネルの画素数に依存する。従来、1枚の液晶パネルを用いた単板方式のプロジェクターは小型、軽量で携帯性に優れるという利点を有するが、液晶パネルを3枚用いた3板方式のプロジェクターに比べて解像度を高くすることが難しいという問題があった。
【0046】
これに対して本実施形態のプロジェクター100は画素シフトデバイス4によって画像光LTの光路をシフトさせることで単板方式の利点を生かしつつ、スクリーンSCR上に解像度の高い画像を表示可能となっている。
【0047】
以下、画素シフトデバイス4による画像の高解像度化の原理について説明する。
図4は画像の高解像度化の原理の説明図である。
図4はスクリーンSCR上に表示される画像の要部を示す図である。
【0048】
本明細書において、画素シフトデバイス4が画素シフトを行わない場合に光路変更素子40から射出された画像光LTの光路を基準光路、画素シフトデバイス4が画素シフトを行った場合に光路変更素子40から射出された画像光LTの光路をシフト光路と称す。
また、基準光路の画像光LTがスクリーンSCRに画像を表示する位置を「基準表示位置」、シフト光路の画像光LTがスクリーンSCRに画像を表示する位置を「シフト表示位置」と称し、
図4中において基準光路を符号PLで示し、
図4中においてシフト光路を符号SLで示し、
図4中において基準表示位置を符号Pで示し、シフト表示位置を符号Sで示した。また、液晶パネル220から射出された画像光LTがスクリーンSCR上に表示する画像を「表示画像」と称し、
図4中において表示画像を符号IMで示した。
【0049】
図2に示したように、画素シフトデバイス4が第1揺動軸J1回りに光路変更素子40を揺動させると、液晶パネル220の各画素Gから射出された画像光LTの光路がシフトする。このとき、
図4に示すように液晶パネル220の各画素Gから射出された画像光LTの光路が基準光路PLとシフト光路SLとの間でシフトされ、スクリーンSCR上の表示画像IMの表示位置が基準表示位置Pとシフト表示位置Sとの間で切り替わる。
【0050】
図4に示すように、本実施形態の画素シフトデバイス4は、画素シフトを行わない場合に基準光路の画像光LTをスクリーンSCRの基準表示位置Pに位置させ、画素シフトを行った場合にシフト光路の画像光LTをスクリーンSCRのシフト表示位置Sに位置させる。
【0051】
上述のようにスクリーンSCRの表示画像IMは液晶パネル220の画素領域GAと同様の画素構造を有する。このため、表示画像IMは複数の画素を含み、各画素は4つのサブ画素で構成される。
以下、スクリーンSCRの表示画像IMの各画素を「表示画素」、表示画素を構成する複数のサブ画素を「表示サブ画素」と称す。
【0052】
図4において、スクリーンSCRの表示画像IMを構成する複数の表示画素のうち、
図3に示した液晶パネル220の第1画素G1に対応する表示画素を第1表示画素IM1と称す。なお、
図4では、図を見易くするため、表示画像IMを構成する複数の表示画素のうち第1表示画素IM1および第1表示画素IM1の周辺画素のみを図示している。
【0053】
また、
図4において、液晶パネル220の第1画素G1を構成する4つのサブ画素SG1、SG2、SG3、SG4に対応する表示サブ画素をそれぞれ第1表示サブ画素IM11、IM12、IM13、IM14とする。サブ画素は、緑色光用のサブ画素SG1、緑色光用のサブ画素SG2、赤色光用のサブ画素SG3、青色光用のサブ画素SG4で構成することができる。
【0054】
本実施形態において、
図3に示した第1画素G1を構成する4つのサブ画素SG1、SG2、SG3、SG4のうち1つであるサブ画素SG1を基準サブ画素SG0と称す。また、表示画像IMの第1表示サブ画素IM11、IM12、IM13、IM14のうち基準サブ画素SG0に対応する第1表示サブ画素IM11を基準表示サブ画素IM0と称す。
【0055】
本実施形態の画素シフトデバイス4は、シフト光路SLにおいて、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を基準光路PLに対して1つの方向にシフトする。
具体的に画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMに対応する領域に重ねる。
以下では、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を説明するが、その他のサブ画素から射出された画像光LTの光路についても同様のことが言える。
【0056】
ここで、基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMに対応する領域とは、表示画像IMにおいて各表示サブ画素間に位置する領域であり、画像を表示しない非表示部分Aに相当する。
【0057】
つまり、本実施形態の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて表示画像IMの非表示部分Aに重ねている。
【0058】
より具体的に本実施形態の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて第1画素G1を構成する4つのサブ画素SG1、SG2、SG3、SG4の4つの角部で囲まれるブラックマトリクスBMの交差部BM1に対応する領域に、重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの交差部BM1とは「ブラックマトリクスの第1部位」に相当する。
【0059】
つまり、本実施形態の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM11、IM12、IM13、IM14の4つの角部で囲まれる非表示部分Aの交差部A1に重ねている。画素シフトデバイス4は、画素シフト時において、各表示サブ画素が対角方向に並ぶ画素ピッチ0.5だけ画像光LTの光路をシフトさせる。
【0060】
このように本実施形態の画素シフトデバイス4は、画素シフト前における表示画像IMの非表示部分Aに、画素シフト後の表示画像IMの各表示画素を構成する各表示サブ画素IM10を効率良く重ねることができる。よって、画素シフトデバイス4は、スクリーンSCRの表示画像IMの非表示部分Aに疑似的に画素を配置することで見掛け上の画素数を増加させて表示画像IMの解像度を高めることができる。
【0061】
本実施形態の場合、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光軸は基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMの交差部BM1に対応する領域の中心に位置している。つまり、表示画像IMの基準表示サブ画素IM0の中心IMcは非表示部分Aの交差部A1の中心A1cに位置する。
この場合、シフト表示位置Sにおける基準表示サブ画素IM0と基準表示位置Pにおける4つの表示サブ画素IM11,IM12,IM13,IM14との重なり具合がそれぞれ等しくなる。
よって、画素シフト後の表示サブ画素と画素シフト前の4つの表示サブ画素との合計の重なり量が少なるので、画素シフト前後における表示サブ画素同士の重なりによる表示画像IMの混色が抑制されて画素シフトにより高解像度化された表示画像IMの見栄えをより向上させることができる。
【0062】
以上のように、本実施形態のプロジェクター100は、光源10と、複数の画素Gを含む画素領域GAを有し、光源10から射出された光を変調して画像光LTを生成する1つの光変調素子22と、光変調素子22から射出された画像光LTの光路を基準光路PLとシフト光路SLとの間で切り替え可能な画素シフトデバイス4と、画素シフトデバイス4から入射する画像光LTを被投射面であるスクリーンSCRに投射する投射光学系3と、を備える。光変調素子22の画素領域GAは、ブラックマトリクスBMにより区画され異なる色光を射出する複数のサブ画素で1つの画素Gを構成し、画素シフトデバイス4は、基準光路PLの画像光LTをスクリーンSCRの基準表示位置Pに位置させ、シフト光路SLの画像光LTをスクリーンSCRのシフト表示位置Sに位置させ、シフト表示位置Sにおいてサブ画素から射出された画像光LTを、基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMに対応する領域に重ねる。
【0063】
本実施形態のプロジェクター100によれば、画素シフトデバイス4によって画像光LTの光路をシフトさせることでスクリーンSCR上の画像表示位置を基準表示位置Pとシフト表示位置Sとの間で切り替えて、スクリーンSCRの表示画像IMの見掛け上の画素数を増加させて解像度を高めることができる。
また、本実施形態のプロジェクター100は、画素シフトによって、液晶パネル220のブラックマトリクスBMに対応する領域であり、通常は画像が表示されない表示画像IMの非表示部分Aに画像光LTを入射させることができる。これにより、表示画像IMのブラックマトリクスに相当する部位である非表示部分Aを目立たせ難くすることができる。
また、本実施形態のプロジェクター100は、小型および軽量の画素シフトデバイス4と光変調素子22として1枚の液晶パネル220を用いた単板方式の画像生成部2とを組み合わせることで、小型、軽量で携帯性に優れ、高解像度の画像を表示可能なプロジェクターを提供できる。
【0064】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態のプロジェクターについて説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは画素シフトデバイスが2軸の揺動軸を有する点である。このため、以下では画素シフトデバイスの構成を説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0065】
図5は本実施形態の画素シフトデバイスの平面図である。
図5に示すように、本実施形態の画素シフトデバイス104は、光路変更素子40と、光路変更素子40を保持する第1可動部241と、第1揺動軸J1回りに第1可動部241を揺動可能に連結する第2可動部243と、第2揺動軸J2回りに第2可動部243を揺動可能に連結するベース242と、第1揺動軸J1回りに第1可動部241を揺動させる一対の第1アクチュエーター245と、第2揺動軸J2回りに第2可動部243を揺動させる一対の第2アクチュエーター246と、第1連結部247と、第2連結部248と、を備える。
【0066】
第1揺動軸J1は、第2可動部243に対して第1可動部241を揺動させる仮想的な軸であり、第2揺動軸J2は、ベース242に対して第2可動部243を揺動させる仮想的な軸である。すなわち、本実施形態の画素シフトデバイス104は2軸揺動方式を採用している。
【0067】
第1可動部241は、光路変更素子40の周囲に配置される。第1可動部241は矩形枠状の部材から構成され、内側に光路変更素子40を支持する。
第1連結部247は第1可動部241の外側面241aと第2可動部243の内側面243aとを揺動可能に連結する一対の第1軸部247aで構成される。一対の第1軸部247aは、第1可動部241の4つの外側面241aのうち互いに反対を向く面からそれぞれ突出し、第1可動部241と第2可動部243とを連結する。
【0068】
第1可動部241の第1揺動軸J1は一対の第1軸部247a上に位置する仮想軸であり、第1揺動軸J1は第1可動部241に支持された光路変更素子40の中心を通る軸である。これにより、第1可動部241は、第2可動部243に対して第1揺動軸J1回りに回転可能となっている。よって、第1可動部241に支持された光路変更素子40は、第2可動部243に対して第1揺動軸J1回りに回転することで姿勢を変更可能とされている。
【0069】
第2可動部243は、平面視、略八角形状の板材から構成され、略八角形状の開口部243hを有する。第2可動部243の開口部243hの内側には、光路変更素子40を支持する第1可動部241が配置されている。すなわち、第2可動部243は、第1可動部241を囲む枠状の部材から構成され、第1可動部241の周囲に配置されている。
【0070】
第2連結部248は第2可動部243の外側面243bとベース242のベース内側面242aとを揺動可能に連結する一対の第2軸部248aで構成される。一対の第2軸部248aは、第2可動部243の8つの外側面241aのうち互いに反対を向く面からそれぞれ突出し、第2可動部243とベース242とを連結する。
【0071】
ベース242は、例えば金属等の板材から構成され、平面視、略八角形状の開口部242hを有し、開口部242hの内側に第2可動部243が配置されている。すなわち、ベース242は、第2可動部243の周囲に枠状に配置される。ベース242は、第2可動部243の外側面243bに対向するベース内側面242aを有する。
【0072】
第2可動部243の第2揺動軸J2は一対の第2軸部248a上に位置する仮想軸であり、第2揺動軸J2は第1揺動軸J1と直交し、かつ、第1可動部241に支持された光路変更素子40の中心を通る軸である。これにより、第2可動部243は、ベース242に対して第2揺動軸J2回りに回転可能となっている。よって、第1可動部241を介して第2可動部243に支持された光路変更素子40は、ベース242に対して第2揺動軸J2回りに回転することで姿勢を変更可能とされている。
【0073】
一対の第1アクチュエーター245の各々は、第2可動部243の開口部243hにおいて、第1揺動軸J1に交差する第2揺動軸J2に沿って互いに対向する部分に設けられている。各第1アクチュエーター245は、第2揺動軸J2に沿う方向に所定の間隔をおいて配置された磁石とコイルとを有する。具体的に、各第1アクチュエーター245は、第1揺動軸J1に交差する第2揺動軸J2に沿う方向において、第1可動部241の外側面241aに配置された第1磁石245aと、第2可動部243の内側面243aに配置され第1磁石245aに対向する第1コイル245bと、を有する。なお、第1磁石245aおよび第1コイル245bは、第1実施形態の第1アクチュエーター43を構成する第1磁石43aおよび第1コイル43bと同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0074】
第1磁石245aはバックヨークとして機能する磁石枠46を介して第1可動部241の外側面241aに配置されている。第1コイル245bはバックヨークとして機能するコイル枠47を介して第2可動部243の内側面243aに配置されている。
【0075】
なお、第1磁石245aおよび第1コイル245bの位置は入れ替えてもよく、第1磁石245aが第2可動部243の内側面243aに配置され、第1コイル245bが第1可動部241の外側面241aに配置されてもよい。つまり、第1磁石245aが第1可動部241の外側面241aと第2可動部243の内側面243aのうち一方に配置され、第1コイル245bが第1可動部241の外側面241aと第2可動部243の内側面243aのうち他方に配置されていればよい。
【0076】
一対の第2アクチュエーター246の各々は、ベース242の開口部242hにおいて、第2揺動軸J2に交差する第1揺動軸J1に沿って互いに対向する部分に設けられている。各第2アクチュエーター246は、第1揺動軸J1に沿う方向に所定の間隔をおいて配置された磁石とコイルとを有する。具体的に、各第2アクチュエーター246は、第2揺動軸J2に交差する第1揺動軸J1に沿う方向において、第2可動部243の外側面243bに配置された第2磁石246aと、ベース242のベース内側面242aに配置され第2磁石246aに対向する第2コイル246bと、を有する。なお、第2磁石246aおよび第2コイル246bは、第1アクチュエーター245を構成する第1磁石245aおよび第1コイル245bと同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0077】
第2磁石246aはバックヨークとして機能する磁石枠46を介して第2可動部243の外側面243bに配置されている。第2コイル246bはバックヨークとして機能するコイル枠47を介してベース242のベース内側面242aに配置されている。なお、本実施形態の場合、第2コイル246bは、ベース内側面242aのうち他の部分に対して窪んだ部分に設けられている。
【0078】
なお、第2磁石246aおよび第2コイル246bの位置は入れ替えてもよく、第2磁石246aがベース242の外側面243bに配置され、第2コイル246bが第2可動部243の外側面243bに配置されてもよい。つまり、第2磁石246aが第2可動部243の外側面243bとベース242のベース内側面242aのうち一方に配置され、第2コイル246bが第2可動部243の外側面243bとベース242のベース内側面242aのうち他方に配置されていればよい。
【0079】
各第1アクチュエーター245は、第1コイル245bに通電することで発生させた磁界を第1磁石245aと反発または引き合わせることにより、第1磁石245aおよび第1コイル245b間に第1揺動軸J1に交差する方向の力を生じさせる。これにより、第1可動部241は第1揺動軸J1回りに揺動する。第1可動部241は、上述のように第1揺動軸J1に沿う方向の両端に位置する第1軸部247aが第2可動部243と連結されるため、第1可動部241に固定された光路変更素子40は第1揺動軸J1回りに第2可動部243に対して揺動することができる。
【0080】
また、各第2アクチュエーター246は、第2コイル246bに通電することで発生させた磁界を第2磁石246aと反発または引き合わせることにより、第2磁石246aおよび第2コイル246b間に第2揺動軸J2に交差する方向の力を生じさせる。これにより、第2可動部243は第2揺動軸J2回りに揺動する。第2可動部243は、上述のように第2揺動軸J2に沿う方向の両端に位置する第2軸部248aがベース242と連結されるため、第1可動部241および第1連結部247を介して第2可動部243に固定された光路変更素子40は第2揺動軸J2回りにベース242に対して揺動することができる。
【0081】
このような構成に基づき、本実施形態の画素シフトデバイス104は、第1アクチュエーター245および第2アクチュエーター246により第1可動部241に支持した光路変更素子40の姿勢を2軸で制御することができる。よって、画素シフトデバイス104は、光路変更素子40の姿勢を変化させることで画像生成部2の液晶パネル220から射出された画像光LTの光路を90°折り曲げるとともに画像光LTの光路を2軸に沿う方向にシフトさせることができる。
【0082】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、光路変更素子40の周囲に第1可動部241、第2可動部243およびベース242を配置した構成を採用するため、光路変更素子40の厚み方向の厚さを薄くすることができる。
【0083】
続いて、本実施形態の画素シフトデバイス104による画像の高解像度化の原理について説明する。
図6は画像の高解像度化の原理の説明図である。
図6はスクリーンSCR上に表示される表示画像の要部を示す図である。
【0084】
図6において、表示画像IMにおける第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM11、IM14が順に並ぶ方向を第1方向D1、第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM14、IM12が順に並ぶ方向を第2方向D2、第1方向D1と反対方向であって第1表示サブ画素IM12、IM13が順に並ぶ方向を第3方向D3、第2方向D2と反対方向であって第1表示サブ画素IM13、IM11が順に並ぶ方向を第4方向D4と称す。
なお、
図6では、図を見易くするため、表示画像IMを構成する複数の表示画素のうち第1表示画素IM1および第1表示画素IM1の周囲に位置する表示画素の一部のみを図示している。
【0085】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、光路変更素子40の姿勢を変化させることで、画像光LTの光路を、基準光路PL、第1シフト光路SL1、第2シフト光路SL2および第3シフト光路SL3の間で切り替える。
【0086】
第1シフト光路SL1は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において基準光路PLに対して第1方向D1にシフトした光路である。
第2シフト光路SL2は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において第1シフト光路SL1に対して第1方向D1と異なる第2方向D2にシフトした光路である。
第3シフト光路SL3は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において第2シフト光路SL2に対して第3方向D3にシフトした光路である。
【0087】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、基準光路PLの画像光LTをスクリーンSCRの基準表示位置Pに位置させ、第1シフト光路SL1の画像光LTをスクリーンSCRの第1シフト表示位置S1に位置させ、第2シフト光路SL2の画像光LTをスクリーンSCRの第2シフト表示位置S2に位置させ、第3シフト光路SL3の画像光LTをスクリーンSCRの第3シフト表示位置S3に位置させる。
【0088】
本実施形態の場合、画素シフトデバイス104は、第2揺動軸J2回りの一方側に第2可動部243を回転させることで光路変更素子40の姿勢を変化させ、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を基準光路PLから第1シフト光路SL1に切り替える。このとき、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路はスクリーンSCR上で第1方向D1にシフトすることで表示画像IMの表示位置が基準表示位置Pから第1シフト表示位置S1に切り替わる。
【0089】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、第1シフト表示位置S1において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて第1画素G1を構成する4つのサブ画素SG1、SG2、SG3、SG4のうち隣接する2つのサブ画素SG1、SG4を区画するブラックマトリクスBMの第1画素間部分BM2に対応する領域に、重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの第1画素間部分BM2とは「ブラックマトリクスの第2部位」に相当する。画素シフトデバイス104は、第1シフト光路SL1に切り替える際、第1方向D1において各表示サブ画素IM10の画素ピッチ0.5だけ画像光LTの光路をシフトさせる。
【0090】
つまり、本実施形態の画素シフトデバイス104は、第1シフト表示位置S1において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM11、IM14を区画する非表示部分Aの画素間部分A2に重ねている。
【0091】
本実施形態の場合、第1シフト表示位置S1において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光軸は基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMの第1画素間部分BM2に対応する領域の中心に位置する。つまり、表示画像IMの基準表示サブ画素IM0の中心IMcは非表示部分Aの画素間部分A2の中心A2cに位置する。
【0092】
このように本実施形態の画素シフトデバイス104は、画素シフト前における表示画像IMの非表示部分Aの画素間部分A2に、第1表示画素IM1を構成する4つの表示サブ画素IM11,IM12,IM13,IM14を効率良く重ねることができる。この場合、第1シフト表示位置S1における基準表示サブ画素IM0と基準表示位置Pにおける4つの表示サブ画素IM11,IM12,IM13,IM14との重なり具合がそれぞれ等しくなるため、画素シフト前後における表示画像IMの混色が抑制されて表示画像IMの見栄えをより向上させることができる。
【0093】
続いて、画素シフトデバイス104は、第1揺動軸J1回りに第1可動部241を回動させることで光路変更素子40の姿勢を変化させ、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第2シフト光路SL2に切り替える。このとき、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路はスクリーンSCR上で第2方向D2にシフトすることで表示画像IMの表示位置が第1シフト表示位置S1から第2シフト表示位置S2に切り替わる。
【0094】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、第2シフト表示位置S2において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を第1シフト光路SL1からシフトさせ、基準表示位置Pにおいて第1画素G1を構成する4つのサブ画素SG1、SG2、SG3、SG4の4つの角部で囲まれるブラックマトリクスBMの交差部BM3に対応する領域に、重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの交差部BM3とは「ブラックマトリクスの第3部位」に相当する。画素シフトデバイス104は、第2シフト光路SL2に切り替える際、第2方向D2において各表示サブ画素IM10の画素ピッチ0.5だけ画像光LTの光路をシフトさせる。
【0095】
つまり、本実施形態の画素シフトデバイス104は、第2シフト表示位置S2において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM11、IM12、IM13、IM14の4つの角部で囲まれる非表示部分Aの交差部分A3に重ねている。
【0096】
本実施形態の場合、第2シフト表示位置S2において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光軸は基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMの交差部BM3に対応する領域の中心に位置する。つまり、表示画像IMの基準表示サブ画素IM0の中心IMcは非表示部分Aの交差部分A3の中心A3cに位置する。
【0097】
このように本実施形態の画素シフトデバイス104は、画素シフト前における表示画像IMの非表示部分Aの交差部分に、第2シフト表示位置S2の表示画像IMの各表示サブ画素IM10を効率良く重ねることができる。よって、画素シフト前後における表示画像IMの混色が抑制されて表示画像IMの見栄えをより向上させることができる。
【0098】
続いて、画素シフトデバイス104は、第2揺動軸J2回りの他方側に第2可動部243を回転させることで光路変更素子40の姿勢を変化させ、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第2シフト光路SL2から第3シフト光路SL3に切り替える。このとき、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路はスクリーンSCR上で第3方向D3にシフトすることで表示画像IMの表示位置が第2シフト表示位置S2から第3シフト表示位置S3に切り替わる。
【0099】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、第3シフト表示位置S3において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を第2シフト光路SL2からシフトさせ、基準表示位置Pにおいて第1画素G1を構成する4つのサブ画素SG1、SG2、SG3、SG4のうち隣接する2つのサブ画素SG1、SG4を区画するブラックマトリクスBMの第1画素間部分BM2とは異なる第2画素間部分BM4に対応する領域に、重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの第2画素間部分BM4とは「ブラックマトリクスの第4部位」に相当する。画素シフトデバイス104は、第3シフト光路SL3に切り替える際、第3方向D3において各表示サブ画素の画素ピッチ0.5だけ画像光LTの光路をシフトさせる。
【0100】
つまり、本実施形態の画素シフトデバイス104は、第3シフト表示位置S3において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM11、IM13を区画する非表示部分Aの画素間部分A4に重ねている。
【0101】
本実施形態の場合、第3シフト表示位置S3において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光軸は基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMの第2画素間部分BM4に対応する領域の中心に位置する。つまり、表示画像IMの基準表示サブ画素IM0の中心IMcは非表示部分Aの画素間部分A4の中心A4cに位置する。
【0102】
このように本実施形態の画素シフトデバイス104は、画素シフト前における表示画像IMの非表示部分Aの画素間部分に、第3シフト表示位置S3の表示画像IMの各表示画素を構成する各表示サブ画素IM10を効率良く重ねることができる。よって、画素シフト前後における表示画像IMの混色が抑制されて表示画像IMの見栄えをより向上させることができる。
【0103】
続いて、本実施形態の画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第3シフト光路SL3から基準光路PLに切り替える。以下、同様にして画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を基準光路PL、第1シフト光路SL1、第2シフト光路SL2、第3シフト光路SL3、基準光路PLへと順に切り替えるシフト操作を繰り返す。
【0104】
以上のように本実施形態のプロジェクターによれば、画素シフトデバイス104によって光路変更素子40の姿勢を2軸で制御することで、スクリーンSCR上の表示画像IMの表示位置を種々な方向にシフトさせることができる。本実施形態の場合、画像光LTの光路を4回シフトさせるため、スクリーンSCR上の表示画像IMの見掛け上の画素数をより増加できる。よって、本実施形態のプロジェクターは、スクリーンSCR上の表示画像IMの解像度をより高めることができる。
【0105】
本実施形態のプロジェクターによれば、画素シフトデバイス104による画素シフトによって、通常は画像が表示されない表示画像IMの非表示部分Aに画像光LTを入射させることで、表示画像IMのブラックマトリクスに相当する部位である非表示部分Aを目立たせ難くすることができる。
また、本実施形態のプロジェクターにおいても、小型および軽量の画素シフトデバイス4と光変調素子22として1枚の液晶パネル220を用いた単板方式の画像生成部2とを組み合わせることで、小型、軽量で携帯性に優れ、高解像度の画像を表示可能なプロジェクターを提供できる。
【0106】
なお、本実施形態において、画素シフトデバイス104は、画像光LT0の光路を第2シフト光路SL2から基準光路PLへ切り替えてもよい。つまり、画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を、基準光路PL、第1シフト光路SL1、第2シフト光路SL2、基準光路PLへと順に切り替えるシフト操作を繰り返してもよい。
【0107】
(第1変形例)
続いて、第1変形例として、第1実施形態のプロジェクターの変形例を説明する。本変形例と第1実施形態との違いは液晶パネルの画素構造であり、それ以外の構成は共通である。このため、以下では、液晶パネルの構成に加え、この液晶パネルと画素シフトデバイスとを組み合わせた場合の画素シフト動作の一例について説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0108】
図7は本変形例の液晶パネルの画素構造を示す平面図である。
図7に示すように、本変形例の液晶パネル1220の画素領域GAにおいて、複数の画素Gは互いに直交する行方向R1および列方向R2に並んでマトリクス状に配置されている。複数の画素Gは列方向R2において隣り合う第1画素G1および第2画素G2を含む。第1画素G1および第2画素G2の各々は、行方向R1に順に並んで配置された3つのサブ画素で構成される。なお、第1画素G1および第2画素G2以外の画素Gについても同様に、3つのサブ画素で構成されている。本実施形態において、第1画素G1を構成する3つのサブ画素をサブ画素SG11、SG12、SG13とし、第2画素G2を構成する3つのサブ画素をサブ画素SG21、SG22、SG23とする。サブ画素は、赤色光用のサブ画素SG11、緑色光用のサブ画素SG12、青色光用のサブ画素SG13、青色光用のサブ画素SG21、赤色光用のサブ画素SG22、緑色光用のサブ画素SG23で構成することができる。
【0109】
続いて、本変形例の液晶パネル1220を用いた場合における画素シフトデバイス4による画像の高解像度化について説明する。
図8はスクリーンSCR上に表示される画像の要部を示す図である。
【0110】
上述のようにスクリーンSCRの表示画像IMは液晶パネル1220の画素領域GAと同様の画素構造を有する。このため、本変形例の表示画像IMを構成する各表示画素は3つの表示サブ画素で構成される。
【0111】
図8において、スクリーンSCRの表示画像IMを構成する複数の表示画素のうち、
図7に示した液晶パネル1220の第1画素G1に対応する表示画素を第1表示画素IM1、
図3に示した液晶パネル220の第2画素G2に対応する表示画素を第2表示画素IM2とする。なお、
図8では、図を見易くするため、表示画像IMを構成する複数の表示画素のうち第1表示画素IM1および第2表示画素IM2のみを図示している。
【0112】
図8において、液晶パネル1220の第1画素G1を構成する3つのサブ画素SG11、SG12、SG13に対応する表示サブ画素をそれぞれ第1表示サブ画素IM11、IM12、IM13とし、液晶パネル1220の第2画素G2を構成する3つのサブ画素SG21、SG22、SG23に対応する表示サブ画素をそれぞれ第2表示サブ画素IM21、IM22、IM23とする。
【0113】
本変形例において、
図7に示した第1画素G1を構成する3つのサブ画素SG11、SG12、SG13のうち1つであるサブ画素SG11を基準サブ画素SG0と称す。また、表示画像IMの第1表示サブ画素IM11、IM12、IM13のうち基準サブ画素SG0に対応する第1表示サブ画素IM11を基準表示サブ画素IM0と称す。
【0114】
本変形例において、画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMに対応する領域に重ねる。
【0115】
具体的に本変形例の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG11、SG12と第2画素G2の第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG11,SG12に隣り合う2つのサブ画素SG21,SG22との4つの角部で囲まれるブラックマトリクスBMの交差部BM5に対応する領域に、重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの交差部BM5とは「ブラックマトリクスの第5部位」に相当する。
【0116】
つまり、本変形例の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM11、IM12と第2表示画素IM2の第2表示サブ画素IM21,IM22との4つの角部で囲まれる非表示部分Aの交差部A5に重ねている。画素シフトデバイス4は、画素シフト時において、第1表示サブ画素IM11および第2表示サブ画素IM22が斜めに並ぶ斜め方向に画素ピッチ0.5だけ画像光LTの光路をシフトさせる。
【0117】
本変形例の場合、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光軸は基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMの交差部BM5に対応する領域の中心に位置している。つまり、表示画像IMの基準表示サブ画素IM0の中心IMcは非表示部分Aの交差部A5の中心A5cに位置する。
【0118】
この構成によれば、画素シフト前における表示画像IMの非表示部分Aの交差部分に対して、画素シフト後の表示画像IMの各表示画素を構成する3つの表示サブ画素を効率良く重ねることができる。よって、画素シフト前後における表示画像IMの混色が抑制されて表示画像IMの見栄えをより向上できる。
【0119】
このように本変形例の画素シフトデバイス4においても、画素シフト前における表示画像IMの非表示部分Aに、画素シフト後の表示画像IMの各表示画素を構成する表示サブ画素を効率良く重ねることで、表示画像IMの非表示部分Aを目立たせ難くしつつ解像度を高めることができる。
【0120】
(第2変形例)
続いて、第2変形例として、第1実施形態のプロジェクターの別の変形例を説明する。本変形例と第1変形例との違いは画素シフト動作であり、それ以外の構成は共通である。このため、以下では、画素シフト動作について説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0121】
図9は本変形例におけるスクリーンSCR上の表示画像の要部を示す図である。
図9に示すように、本変形例の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG12、SG13と第2画素G2の第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG12,SG13に隣り合う2つのサブ画素SG22,SG23との4つの角部で囲まれるブラックマトリクスBMの交差部BM5aに対応する領域に、重ねる。
【0122】
つまり、本変形例の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM12、IM13と第2表示画素IM2の第2表示サブ画素IM22,IM23との4つの角部で囲まれる非表示部分Aの交差部A5aに重ねている。本変形例の場合、画素シフトデバイス4は、画素シフト時において、各表示画素の3つの表示サブ画素が並ぶ方向に画素ピッチ1.5、かつ、第1表示画素IM1および第2表示画素IM2が並ぶ方向において画素ピッチ0.5だけシフトさせる。
【0123】
本変形例の場合、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光軸は基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMの交差部BM5aに対応する領域の中心に位置している。つまり、表示画像IMの基準表示サブ画素IM0の中心IMcは非表示部分Aの交差部A5aの中心A5acに位置する。
この構成によれば、シフト表示位置Sにおける基準表示サブ画素IM0と基準表示位置Pにおける4つの表示サブ画素IM12,IM13,IM22,IM23との重なり具合がそれぞれ等しくなるため、画素シフト前後における表示画像IMの混色が抑制されて表示画像IMの見栄えをより向上できる。
【0124】
このように本変形例の画素シフトデバイス4においても、上記実施形態および変形例と同様、表示画像IMの非表示部分Aを目立たせ難くしつつ解像度を高めることができる。
【0125】
(第3変形例)
続いて、第3変形例として、第2実施形態のプロジェクターの変形例を説明する。本変形例と第2実施形態との違いは、
図7に示した第1変形例の液晶パネル1220を採用する点であり、それ以外の構成は共通である。このため、以下では、第1変形例の液晶パネル1220と画素シフトデバイス104とを組み合わせた場合の画素シフト動作の一例について説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0126】
本変形例における画像の高解像度化について説明する。
図10はスクリーンSCR上に表示される画像の要部を示す図である。
【0127】
本変形例において、画素シフトデバイス104は、各シフト表示位置S1~S3において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMに対応する領域に重ねる。
【0128】
具体的に本変形例の画素シフトデバイス104は、第1シフト表示位置S1において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG11、SG12を区画するブラックマトリクスBMの第3画素間部分BM6に対応する領域に、重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの第3画素間部分BM6とは「ブラックマトリクスの第6部位」に相当する。
【0129】
つまり、本変形例の画素シフトデバイス104は、第1シフト表示位置S1において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM11、IM12を区画する非表示部分Aの画素間部分A6に重ねている。画素シフトデバイス104は、第1シフト光路SL1に切り替える際、第1方向D1において各表示サブ画素の画素ピッチ0.5だけ画像光LTの光路をシフトさせる。
【0130】
本変形例の場合、第1シフト表示位置S1において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光軸は基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMの第3画素間部分BM6に対応する領域の中心に位置する。つまり、表示画像IMの基準表示サブ画素IM0の中心IMcは非表示部分Aの画素間部分A6の中心A6cに位置する。
この構成によれば、第1シフト表示位置S1における基準表示サブ画素IM0と基準表示位置Pにおける2つの表示サブ画素IM11,IM12との重なり具合がそれぞれ等しくなるため、画素シフト前後における表示画像IMの混色が抑制されて表示画像IMの見栄えをより向上できる。
【0131】
続いて、本変形例の画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第2シフト光路SL2に切り替える。画素シフトデバイス104は、第2シフト表示位置S2において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を第1シフト光路SL1からシフトさせ、基準表示位置Pにおいて第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG11、SG12と第2画素G2の第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG11、SG12に隣り合う2つのサブ画素SG21、SG22との4つの角部で囲まれるブラックマトリクスBMの交差部BM7に対応する領域に、重ねる。
なお、ブラックマトリクスBMの交差部BM7とは「ブラックマトリクスの第7部位」に相当する。
【0132】
本変形例では、第2シフト表示位置S2において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0と、基準表示位置Pにおいて第2表示画素IM2の第2表示サブ画素IM21、IM22との重なり幅が小さくなるようにしている。
この構成によれば、第2シフト表示位置S2において基準表示サブ画素IM0が基準表示位置Pにおける第2表示画素IM2の第2表示サブ画素IM21、IM22と大きく重ならないため、画素シフト前後における混色を抑制して表示画像IMの見栄えをより向上できる。
【0133】
続いて、本変形例の画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第3シフト光路SL3に切り替える。画素シフトデバイス104は、第3シフト表示位置S3において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を第2シフト光路SL2からシフトさせ、基準表示位置Pにおける第1画素G1の基準サブ画素SG0と第2画素G2における第1画素G1の基準サブ画素SG0に隣接するサブ画素SG21とを区画するブラックマトリクスBMの第4画素間部分BM8に対応する領域に、重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの第4画素間部分BM8とは「ブラックマトリクスの第8部位」に相当する。
【0134】
つまり、本変形例の画素シフトデバイス104は、第3シフト表示位置S3において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて第1表示画素IM1の基準表示サブ画素IM0と第2表示画素IM2の第2表示サブ画素IM21とを区画する非表示部分Aの画素間部分A8に重ねている。
【0135】
本変形例では、第3シフト表示位置S3において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0と、基準表示位置Pにおける第2表示画素IM2の第2表示サブ画素IM21との重なり幅が小さくなるようにしている。
この構成によれば、第3シフト表示位置S3において基準表示サブ画素IM0が基準表示位置Pの第2表示サブ画素IM21と大きく重ならないため、画素シフト前後における混色を抑制して表示画像IMの見栄えをより向上できる。
【0136】
続いて、本変形例の画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第3シフト光路SL3から基準光路PLに切り替える。以下、同様にして画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を基準光路PL、第1シフト光路SL1、第2シフト光路SL2、第3シフト光路SL3、基準光路PLへと順に切り替えるシフト操作を繰り返す。
【0137】
このように本変形例の画素シフトデバイス104においても、画素シフト前における表示画像IMの非表示部分Aに、画素シフト後の表示画像IMの各表示画素を構成する表示サブ画素を効率良く重ねることで、表示画像IMの非表示部分Aを目立たせ難くしつつ解像度を高めることができる。
【0138】
なお、本変形例において、画素シフトデバイス104は、画像光LT0の光路を第2シフト光路SL2から基準光路PLへ切り替えてもよい。つまり、画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を、基準光路PL、第1シフト光路SL1、第2シフト光路SL2および基準光路PLへと順に切り替えるシフト操作を繰り返してもよい。
【0139】
(第4変形例)
続いて、第4変形例として、第2実施形態のプロジェクターの別の変形例を説明する。本変形例と第3変形例との違いは画素シフト動作であり、それ以外の構成は共通である。このため、以下では、画素シフト動作について説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0140】
図11Aから
図11Cは本変形例における画素シフト動作を示した図である。
図11Aに示すように、本変形例の画素シフトデバイス104は、第1シフト表示位置S1において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG12、SG13を区画するブラックマトリクスBMの画素間部分BM6aに対応する領域に、重ねる。画素シフトデバイス104は、第1シフト光路SL1に切り替える際、第1方向D1において各表示サブ画素の画素ピッチ1.5だけ画像光LTの光路をシフトさせる。
【0141】
本変形例の場合、第1シフト表示位置S1において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光軸は基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMの画素間部分BM6aに対応する領域の中心に位置している。つまり、表示画像IMの基準表示サブ画素IM0の中心IMcは非表示部分Aの画素間部分A6aの中心A6acに位置する。
この構成によれば、第1シフト表示位置S1における基準表示サブ画素IM0と基準表示位置Pにおける2つの表示サブ画素IM12、IM13との重なり具合がそれぞれ等しくなるため、画素シフト前後における表示画像IMの混色が抑制されて表示画像IMの見栄えをより向上できる。
【0142】
図11Bに示すように、本変形例の画素シフトデバイス104は、第2シフト表示位置S2において、基準表示位置Pにおいて第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG12、SG13と第2画素G2の第1画素G1の互いに隣接する2つのサブ画素SG12、SG13に隣り合う2つのサブ画素SG22、SG23との4つの角部で囲まれるブラックマトリクスBMの交差部BM7に対応する領域に、重ねる。画素シフトデバイス104は、第2シフト光路SL2に切り替える際、第2方向D2において各表示画素が並ぶ画素ピッチ0.5だけ画像光LTの光路をシフトさせる。
【0143】
本変形例の場合、第2シフト表示位置S2において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光軸は基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMの交差部BM7aに対応する領域の中心に位置している。つまり、表示画像IMの基準表示サブ画素IM0の中心IMcは非表示部分Aの交差部A7aの中心A7acに位置する。
この構成によれば、第2シフト表示位置S2における基準表示サブ画素IM0と基準表示位置Pにおける4つの表示サブ画素IM12、IM13、IM22、IM23との重なり具合がそれぞれ等しくなるため、画素シフト前後における表示画像IMの混色が抑制されて表示画像IMの見栄えをより向上できる。
【0144】
図11Cに示すように、本変形例の画素シフトデバイス104は、第3シフト表示位置S3において、基準表示位置Pにおける第1画素G1の基準サブ画素SG0と第2画素G2における第1画素G1の基準サブ画素SG0に隣接するサブ画素SG21とを区画するブラックマトリクスBMの第4画素間部分BM8aに対応する領域に、重ねる。画素シフトデバイス104は、第3シフト光路SL3に切り替える際、第3方向D3において各表示サブ画素の画素ピッチ1.5だけ画像光LTの光路をシフトさせる。
【0145】
本変形例の場合、第3シフト表示位置S3において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光軸は基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMの第4画素間部分BM8aに対応する領域の中心に位置している。つまり、表示画像IMの基準表示サブ画素IM0の中心IMcは非表示部分Aの画素間部分A8aの中心A8acに位置する。
この構成によれば、第3シフト表示位置S3における基準表示サブ画素IM0と基準表示位置Pにおける2つの表示サブ画素IM11、IM21との重なり具合がそれぞれ等しくなるため、画素シフト前後における表示画像IMの混色が抑制されて表示画像IMの見栄えをより向上できる。
【0146】
このように本変形例における画素シフト動作を行う場合でも、上記実施形態および変形例と同様、表示画像IMの非表示部分Aを目立たせ難くしつつ解像度を高めることができる。
【0147】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
その他、プロジェクターを構成する各種構成要素の数、配置、形状および材料等の具体的な構成は、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
【0148】
例えば、第1実施形態の画素シフトデバイス4による画像光LTのシフト方向は上記態様に限られない。画像光LTをシフトする方向は光路変更素子40と第1揺動軸J1との位置関係や第1揺動軸J1回りに光路変更素子40を回転させる方向に応じて適宜調整可能である。
【0149】
同様に、第2実施形態の画素シフトデバイス104による画像光LTのシフト方向は上記態様に限られない。画像光LTのシフト方向は光路変更素子40と第1揺動軸J1および第2揺動軸J2との位置関係や第1揺動軸J1あるいは第2揺動軸J2回りに光路変更素子40を回転させる方向の組み合わせに応じて適宜調整可能である。
【0150】
また、第1変形例の液晶パネル1220の画素領域GAの各画素Gは行方向R1に配置された3つのサブ画素で構成される場合を例に挙げたが、各画素Gは4つのサブ画素で構成されてもよい。例えば、4つのサブ画素は、赤色、青色、黄色、緑色の画像光を射出する。
【0151】
上記実施形態および変形例では画素シフトデバイス4,104として画像光LTを反射する反射型のデバイスを例に挙げたが、画像光LTを透過する透過型のデバイスを採用してもよい。このような透過型の画素シフトデバイスは、ガラス板からなる光路変更素子の姿勢を変更することにより、屈折を利用して画像光LTの光路をシフトさせることができる。
【0152】
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
光源と、
複数の画素を含む画素領域を有し、前記光源から射出された光を画像信号に基づいて変調して画像光を生成する1つの光変調素子と、
前記光変調素子から射出された前記画像光の光路を基準光路またはシフト光路に切り替え可能な画素シフトデバイスと、
前記画素シフトデバイスから入射する前記画像光を被投射面に投射する投射レンズと、を備え、
前記光変調素子の前記画素領域は、ブラックマトリクスにより区画され異なる色光を射出する複数のサブ画素で1つの前記画素を構成し、
前記画素シフトデバイスは、前記基準光路の前記画像光を前記被投射面の基準表示位置に位置させ、前記シフト光路の前記画像光を前記被投射面のシフト表示位置に位置させ、
前記シフト表示位置において前記サブ画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記ブラックマトリクスに対応する領域に重ねる、
ことを特徴とするプロジェクター。
【0153】
この構成のプロジェクターによれば、画素シフトデバイスによって画像光の光路をシフトさせることで画像表示位置を切り替えて、被投射面の表示画像の見掛け上の画素数を増加させて解像度を高めることができる。
また、通常は画像が表示されない光変調素子のブラックマトリクスに対応する領域に画像光を入射させることで、表示画像のうちブラックマトリクスに相当する非表示部分を目立たせ難くすることができる。よって、表示画像の見栄えをより向上させることができる。
したがって、この構成のプロジェクターによれば、小型および軽量の画素シフトデバイスと1つの光変調素子とを組み合わせることで、小型、軽量で携帯性に優れた高解像度かつ高画質のプロジェクターを提供できる。
【0154】
(付記2)
前記画素領域における前記画素の各々は、互いに交差する2つの対となる対角に配置された4つの前記サブ画素で構成される、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0155】
この構成によれば、各画素が4つのサブ画素からなる画素領域を有する光変調素子を用いる場合において、表示画像の高解像度化および高画質化を図ることができる。
【0156】
(付記3)
複数の前記画素の1つである第1画素を構成する4つの前記サブ画素のうち1つを基準サブ画素としたとき、
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト光路において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記基準光路に対して1つの方向にシフトし、
前記シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記第1画素を構成する4つの前記サブ画素の角部で囲まれる前記ブラックマトリクスの第1部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする付記2に記載のプロジェクター。
【0157】
この構成によれば、画素シフト前における表示画像の4つのサブ画素間に位置するブラックマトリクスの第1部分に画素シフトによって画像光を良く重ねることができる。よって、画素シフト前後における画像光同士の重なりによる混色の発生を抑制することができる。
【0158】
(付記4)
前記シフト表示位置において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第1部位に対応する領域の中心に位置する、
ことを特徴とする付記3に記載のプロジェクター。
【0159】
この構成によれば、ブラックマトリクスの第1部位に画像光が効率良く重なるため、混色の発生が抑制されて表示画像の見栄えをより向上できる。
【0160】
(付記5)
複数の前記画素の1つである第1画素を構成する4つの前記サブ画素のうち1つを基準サブ画素としたとき、
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト光路において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記基準光路に対して第1方向へシフトする第1シフト光路と、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記第1シフト光路に対して前記第1方向と異なる第2方向へシフトする第2シフト光路と、に切り替え可能であり、
前記第1シフト光路の前記画像光を前記被投射面の第1シフト表示位置に位置させ、前記第2シフト光路の前記画像光を前記被投射面の第2シフト表示位置に位置させ、
前記第1シフト光路は、
前記第1シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記第1画素を構成する4つの前記サブ画素のうち隣接する2つの前記サブ画素を区画する前記ブラックマトリクスの第2部位に対応する領域に重ね、
前記第2シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を前記第1シフト光路からシフトさせ、前記基準表示位置において前記第1画素を構成する前記4つの前記サブ画素の角部で囲まれる前記ブラックマトリクスの第3部位に対応する位置に重ねる、
ことを特徴とする付記2に記載のプロジェクター。
【0161】
この構成によれば、画素シフト前における表示画像の4つのサブ画素間に位置するブラックマトリクスの第2部分および第3部位に画素シフトによって画像光を良く重ねることができる。よって、画素シフト前後における画像光同士の重なりによる混色の発生を抑制しつつ、表示画像の解像度を高めることができる。
【0162】
(付記6)
前記第1シフト表示位置において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第2部位に対応する領域の中心に位置し、
前記第2シフト表示位置において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第3部位に対応する領域の中心に位置する、
ことを特徴とする付記5に記載のプロジェクター。
【0163】
この構成によれば、ブラックマトリクスの第2部分および第3部位に画像光が効率良く重なるため、混色の発生が抑制されて表示画像の見栄えをより向上できる。
【0164】
(付記7)
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト光路として、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記基準光路に対して前記第1方向および前記第2方向と異なる第3方向へシフトする第3シフト光路にさらに切り替え可能であり、
前記第3シフト光路の前記画像光を前記被投射面の第3シフト表示位置に位置させ、
前記第3シフト光路は、
前記第3シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を前記第2シフト光路からシフトさせ、前記基準表示位置において前記第1画素を構成する4つの前記サブ画素のうち隣接する2つの前記サブ画素を区画する前記ブラックマトリクスの前記第2部位とは異なる第4部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする付記5または付記6に記載のプロジェクター。
【0165】
この構成によれば、表示画像の4つのサブ画素間に区画するブラックマトリクスの3つの部位に画像光を重ねることができる。よって、画素シフト前後における画像光同士の重なりによる混色の発生を抑制しつつ、表示画像の解像度を高めることができる。
【0166】
(付記8)
前記第3シフト表示位置において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記ブラックマトリクスの前記第4部位に対応する領域の中心に位置する、
ことを特徴とする付記7に記載のプロジェクター。
【0167】
この構成によれば、ブラックマトリクスの第4部位に画像光が効率良く重なるため、混色の発生が抑制されて表示画像の見栄えをより向上できる。
【0168】
(付記9)
前記光変調素子の前記画素領域において、前記複数の画素は互いに直交する行方向および列方向に並んで配置され、
前記複数の画素は、前記列方向において隣り合う第1画素および第2画素を含み、
前記第1画素および前記第2画素の各々は、前記行方向に順に並んで配置された少なくとも3つの前記サブ画素で構成される、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0169】
この構成によれば、行方向に3つ以上のサブ画素が並ぶ画素を複数含む画素領域を有した光変調素子を用いる場合において、表示画像の高解像度化および高画質化を図ることができる。
【0170】
(付記10)
前記第1画素における複数のサブ画素のうち1つを基準サブ画素としたとき、
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト光路において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記基準光路に対して1つの方向にシフトし、
前記シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記第1画素の互いに隣接する2つのサブ画素と前記第2画素の前記第1画素の前記互いに隣接する2つのサブ画素に隣り合う2つのサブ画素との角部で囲まれる前記ブラックマトリクスの第5部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする付記9に記載のプロジェクター。
【0171】
この構成によれば、画素シフト前における表示画像の4つのサブ画素が位置するブラックマトリクスの十字状の第5部分に画素シフトによって画像光を良く重ねることができる。よって、画素シフト前後における画像光同士の重なりによる混色の発生を抑制しつつ、表示画像の解像度を高めることができる。
【0172】
(付記11)
前記シフト表示位置において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第5部位に対応する領域の中心に位置する、
ことを特徴とする付記10に記載のプロジェクター。
【0173】
この構成によれば、ブラックマトリクスの第5部位に画像光が効率良く重なるため、混色の発生が抑制されて表示画像の見栄えをより向上できる。
【0174】
(付記12)
前記第1画素における複数のサブ画素のうち1つを基準サブ画素としたとき、
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト光路として、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記基準光路に対して第1方向へシフトする第1シフト光路と、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記第1シフト光路に対して前記第1方向と異なる第2方向へシフトする第2シフト光路と、に切り替え可能であり、
前記第1シフト光路の前記画像光を前記被投射面の第1シフト表示位置に位置させ、前記第2シフト光路の前記画像光を前記被投射面の第2シフト表示位置に位置させ、
前記第1シフト光路は、
前記第1シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記第1画素の互いに隣接する2つのサブ画素を区画する前記ブラックマトリクスの第6部位に対応する領域に重ね、
前記第2シフト光路は、
前記第2シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を前記第1シフト光路からシフトさせ、前記基準表示位置において前記第1画素の互いに隣接する2つのサブ画素と前記第2画素の前記第1画素の前記互いに隣接する2つのサブ画素に隣り合う2つのサブ画素との角部で囲まれる前記ブラックマトリクスの第7部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする付記9に記載のプロジェクター。
【0175】
この構成によれば、画素シフト前における表示画像の隣接する2つのサブ画素間に位置するブラックマトリクスの第6部分および第7部位に画素シフトによって画像光を良く重ねることができる。よって、画素シフト前後における画像光同士の重なりによる混色の発生を抑制しつつ、表示画像の解像度を高めることができる。
【0176】
(付記13)
前記第1シフト光路において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第6部位に対応する領域の中心に位置し、
前記第2シフト光路において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第7部位に対応する領域の中心に位置する、
ことを特徴とする付記12に記載のプロジェクター。
【0177】
この構成によれば、ブラックマトリクスの第6部位および第7部位に画像光が効率良く重なるため、混色の発生が抑制されて表示画像の見栄えをより向上できる。
【0178】
(付記14)
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト光路として、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光路を前記基準光路に対して前記第1方向および前記第2方向と異なる第3方向へシフトする第3シフト光路にさらに切り替え可能であり、
前記第3シフト光路の前記画像光を前記被投射面の第3シフト表示位置に位置させ、
前記第3シフト光路は、
前記第3シフト表示位置において前記基準サブ画素から射出された前記画像光を前記第2シフト光路からシフトさせ、前記基準表示位置において前記第1画素の前記基準サブ画素と前記第2画素における前記第1画素の前記基準サブ画素に隣接する前記サブ画素とを区画する前記ブラックマトリクスの第8部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする付記12または付記13に記載のプロジェクター。
【0179】
この構成によれば、表示画像の隣り合う画素の隣接する2つのサブ画素を区画するブラックマトリクスの3つの部位に画像光を重ねることができる。よって、画素シフト前後における画像光同士の重なりによる混色の発生を抑制しつつ、表示画像の解像度を高めることができる。
【0180】
(付記15)
前記第3シフト光路において、前記基準サブ画素から射出された前記画像光の光軸は前記第8部位に対応する領域の中心に位置する、
ことを特徴とする付記14に記載のプロジェクター。
【0181】
この構成によれば、ブラックマトリクスの第8部位に画像光が効率良く重なるため、混色の発生が抑制されて表示画像の見栄えをより向上できる。
【符号の説明】
【0182】
3…投射光学系、4,104…画素シフトデバイス、10…光源、22…光変調素子、100…プロジェクター、A5ac,A6ac,A7ac,A8ac,A1c,A2c,A3c,A4c,A5c,A6c,IMc…中心、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、G1…第1画素、G2…第2画素、GA…画素領域、LT,LT0…画像光、P…基準表示位置、PL…基準光路、R1…行方向、R2…列方向、S,S1…シフト表示位置、S1…第1シフト表示位置、S2…第2シフト表示位置、S3…第3シフト表示位置、SG0…基準サブ画素、SG1,SG2,SG3,SG4,SG11,SG12,SG21,SG22…サブ画素、SL…シフト光路、SL1…第1シフト光路、SL2…第2シフト光路、SL3…第3シフト光路、BM…ブラックマトリクス、BM1…交差部(第1部位)、BM2…第1画素間部分(第2部位)、BM3…交差部(第3部位)、BM4…第2画素間部分(第4部位)、BM5…交差部(第5部位)、BM6…第3画素間部分(第6部位)、BM7…交差部(第7部位)、BM8,BM8a…第4画素間部分(第8部)。