(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077869
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240603BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240603BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240603BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20240603BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 E
H04N5/74 D
G02B26/08 E
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190075
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】若林 慎一
【テーマコード(参考)】
2H088
2H141
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2H088EA13
2H088EA14
2H088EA15
2H088HA12
2H088HA13
2H088HA14
2H088HA18
2H088HA21
2H088HA23
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2H088HA28
2H088MA05
2H088MA20
2H141MA15
2H141MA16
2H141MB24
2H141MC05
2H141MD12
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2H141MD16
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2H141MD24
2H141MD40
2H141ME01
2H141ME03
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2H141ME09
2H141ME23
2H141ME25
2H141MF12
2H141MG04
2H141MZ23
2H141MZ27
2H141MZ28
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA32
2K203FA44
2K203FA62
2K203FB03
2K203GB02
2K203GB26
2K203GB30
2K203HA06
2K203HB05
2K203HB08
2K203MA06
2K203MA26
5C058BA25
5C058EA02
5C058EA26
(57)【要約】
【課題】表示画像の画素間部分を認識され難くできる、プロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明のプロジェクターは、光源と、ブラックマトリクスにより区画された複数の単位画素を含む画素領域を有し、光源から入射した光を変調して画像光を生成する光変調部と、画像光を被投射面に投射する投射光学系と、光変調部と投射光学系との間に配置され、光変調部から射出された画像光の光路をシフトさせる画素シフトデバイスと、を備え、画素領域において複数の単位画素のうち1つを基準単位画素としたとき、画素シフトデバイスは、光路シフト前の画像光を被投射面の基準表示位置に位置させ、光路シフト後の画像光を被投射面のシフト表示位置に位置させ、シフト表示位置において基準単位画素から射出された画像光を、基準表示位置において基準単位画素に隣接する他の単位画素に重ねず基準単位画素の周囲を囲むブラックマトリクスに対応する領域に重ねる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
ブラックマトリクスにより区画された複数の単位画素を含む画素領域を有し、前記光源から入射した光を変調して画像光を生成する光変調部と、
前記光変調部から射出された前記画像光を被投射面に投射する投射光学系と、
前記光変調部と前記投射光学系との間に配置され、前記光変調部から射出された前記画像光の光路をシフトさせる画素シフトデバイスと、を備え、
前記画素領域において前記複数の単位画素のうち1つを基準単位画素としたとき、
前記画素シフトデバイスは、光路シフト前の前記画像光を前記被投射面の基準表示位置に位置させ、光路シフト後の前記画像光を前記被投射面のシフト表示位置に位置させ、
前記シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素に隣接する他の前記単位画素に重ねず前記基準単位画素の周囲を囲む前記ブラックマトリクスに対応する領域に重ねる、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記画素領域において互いに交差する2つの対となる対角に配置された4つの前記単位画素のうち1つを前記基準単位画素としたとき、
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において4つの前記単位画素の角部で囲まれる前記ブラックマトリクスの第1部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記画素シフトデバイスは、
前記光変調部から射出された前記画像光の光路をシフトさせ、シフト後の前記画像光を前記被投射面の第1シフト表示位置に位置させる第1シフト光路と、シフト後の前記画像光を前記被投射面の第2シフト表示位置に位置させる第2シフト光路と、を連続的に切り替え可能であり、
前記第1シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の一方側に位置する前記ブラックマトリクスの第2部位に対応する領域に重ね、
前記第2シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の他方側に位置する前記ブラックマトリクスの第3部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記画素シフトデバイスは、前記画像光の光路を変更する光路変更素子を揺動させる一つの揺動軸を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の辺に隣接する前記ブラックマトリクスの第4部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の角部に隣接する前記ブラックマトリクスの第5部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記画素シフトデバイスは、
前記光変調部から射出された前記画像光の光路をシフトさせ、シフト後の前記画像光を前記被投射面の第1シフト表示位置に位置させる第1シフト光路と、シフト後の前記画像光を前記被投射面の第2シフト表示位置に位置させる第2シフト光路と、を連続的に切り替え可能であり、
前記第1シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の一方側に位置する前記ブラックマトリクスの第2部位に対応する領域に重ね、
前記第2シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の他方側に位置する前記ブラックマトリクスの第3部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記画素シフトデバイスは、前記画像光の光路を変更する光路変更素子を揺動させる二つの揺動軸を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記画素シフトデバイスは、
画素シフト時において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の角部を挟む二辺に隣接する前記ブラックマトリクスに対応する領域に沿ってシフトする、
ことを特徴とする請求項8に記載のプロジェクター。
【請求項10】
前記画素シフトデバイスは、
前記画素シフト時において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の複数の角部に隣接する前記ブラックマトリクスに対応する領域に沿ってシフトする、
ことを特徴とする請求項9に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
投射画像の解像度を液晶パネル等の光変調装置が持つ解像度よりも疑似的に高くする目的で、光変調装置から射出される光の光路をシフトさせる構成を有するプロジェクターが従来から知られている。下記の特許文献1には、光源と、3つの液晶表示素子からなる光変調装置と、画像光の光路をシフトさせる光学デバイスと、投射レンズと、を備えるプロジェクターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的にプロジェクターは画像を拡大して投射するため、画像を構成する複数の画素間に位置する画素間部分が認識され易い。上記プロジェクターでは、解像度を疑似的に高くする際、隣接する画素同士の異なる色光が混じり合って混色が発生し、画像の色純度が低下してしまう。そこで、拡大投射した表示画像の混色を抑制しつつ、表示画像の画素間部分を認識され難くすることができる新たな技術の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、光源と、ブラックマトリクスにより区画された複数の単位画素を含む画素領域を有し、前記光源から入射した光を変調して画像光を生成する光変調部と、前記光変調部から射出された前記画像光を被投射面に投射する投射光学系と、前記光変調部と前記投射光学系との間に配置され、前記光変調部から射出された前記画像光の光路をシフトさせる画素シフトデバイスと、を備え、前記画素領域において前記複数の単位画素のうち1つを基準単位画素としたとき、前記画素シフトデバイスは、光路シフト前の前記画像光を前記被投射面の基準表示位置に位置させ、光路シフト後の前記画像光を前記被投射面のシフト表示位置に位置させ、前記シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素に隣接する他の前記単位画素に重ねず前記基準単位画素の周囲を囲む前記ブラックマトリクスに対応する領域に重ねる、プロジェクターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成を示す図である。
【
図4】画素シフトデバイスによる高画質化の説明図である。
【
図5】第1変形例の画素シフトによる表示画像の要部を示す図である。
【
図6】第2変形例の画素シフトによる表示画像の要部を示す図である。
【
図7】第3変形例の画素シフトデバイスの概略構成を示す図である。
【
図8】第2実施形態の画素シフトデバイスの斜視図である。
【
図9】画素シフトデバイスによる高画質化の説明図である。
【
図10A】第3変形例の画素シフトによる表示画像の要部を示す図である。
【
図10B】第3変形例の画素シフトによる表示画像の要部を示す図である。
【
図11】第3実施形態のプロジェクターの概略構成を示す図である。
【
図12】液晶パネルの別の画素構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のプロジェクター100の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター100は、被投射面であるスクリーンSCR上にカラー画像を表示する投射型画像表示装置である。
プロジェクター100は、光源ユニット1と、画像生成部2と、投射光学系3と、画素シフトデバイス4と、ファン5と、内部筐体6と、外装筐体7と、を備えている。
【0009】
以下、図面中に示すXYZ座標系を用いて各部材の配置関係を説明する場合がある。各図面において、X軸はプロジェクター100における一部の光学部品が並ぶ第1基準軸である第1光軸AX1に沿う軸である。Y軸はX軸に直交し、プロジェクター100における他の一部の光学部品が並ぶ第2基準軸である第2光軸AX2に沿う軸であり、スクリーンSCRに対する画像光LTの投射方向に沿う軸である。Z軸はX軸およびY軸に直交する軸であり、プロジェクター100の上下に沿う軸である。
【0010】
本実施形態では、例えば、Z軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター100における「上下方向Z」、+Z方向に向かう方向を「上側」、-Z方向に向かう方向を「下側」と称す。また、X軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター100における「左右方向X」、+X方向に向かう方向を「右側」、-X方向に向かう方向を「左側」と称す。また、Y軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター100における「前後方向Y」、+Y方向に向かう方向を「前側」、-Y方向に向かう方向を「後側」と称する。
なお、上下方向Z、左右方向Xおよび前後方向Yとは、単にプロジェクター100の各構成部材の配置関係を説明するための名称であって、プロジェクター100における実際の設置姿勢や向きを規定するものではない。
【0011】
内部筐体6は、光源ユニット1、画像生成部2、投射光学系3、画素シフトデバイス4およびファン5を固定する。光源ユニット1、画像生成部2、画素シフトデバイス4および投射光学系3は、内部筐体6内において第1光軸AX1に沿って配置されている。画素シフトデバイス4および投射光学系3は、内部筐体6内において第2光軸AX2に沿って配置されている。
【0012】
本実施形態のプロジェクター100は、内部筐体6に各構成部品を固定することで組み立て性を容易にしている。外装筐体7は複数の壁部で構成された略直方体箱状であり、プロジェクター100の外装を構成する。
【0013】
光源ユニット1は、光源10とリフレクター11とで構成される。
光源10は白色光Lを射出する。本実施形態の光源10は、例えば、発光ダイオード(LED)から構成される。本実施形態のプロジェクター100は、光源10としてLEDを用いることで光源ユニット1の小型化および軽量化を図っている。
リフレクター11は、光源10の光射出側に設けられる。リフレクター11は、光源10から大きい放射角で射出された白色光Lを反射して画像生成部2に入射させる。
【0014】
画像生成部2は、第1フレネルレンズ21と、光変調部22と、第2フレネルレンズ23と、を有する。
【0015】
第1フレネルレンズ21は光変調部22の光入射側に配置され、光源ユニット1から射出される白色光Lを平行化して光変調部22に入射させる。第1フレネルレンズ21は正のパワーを有する凸レンズとして機能する。
本実施形態の画像生成部2は、平行化レンズとして第1フレネルレンズ21を用いることで第1光軸AX1に沿うプロジェクター100の左右方向Xの寸法を小型化している。
【0016】
光変調部22は透過型の液晶パネル220で構成される。液晶パネル220はカラーフィルターを有し、光源10からの白色光Lを画像情報に応じて変調してフルカラーの画像光LTを生成する。光変調部22は、液晶パネル220の光入射側に設けられた入射側偏光板221と、液晶パネル220の光射出側に設けられた射出側偏光板222と、をさらに含む。入射側偏光板221と射出側偏光板222とは、互いの偏光軸が直交するように配置されている。
本実施形態のプロジェクター100は1枚の液晶パネル220を用いた単板方式を採用することで装置構成の小型化を図っている。
【0017】
第2フレネルレンズ23は光変調部22の光射出側に配置される。第2フレネルレンズ23は正のパワーを有する凸レンズとして機能し、液晶パネル220の射出側偏光板222から射出された画像光LTを集光させる。
本実施形態の画像生成部2は、集光レンズとして第2フレネルレンズ23を用いることで第1光軸AX1に沿うプロジェクター100の左右方向Xの寸法を小型化している。
【0018】
本実施形態のプロジェクター100において、画像生成部2と投射光学系3との間に画素シフトデバイス4が配置されている。画素シフトデバイス4は、画像生成部2の液晶パネル220から射出された画像光LTの光路を変更する光路変更素子40を含み、画像光LTの光路を連続的にシフト可能となっている。
【0019】
画素シフトデバイス4は、画素シフトを行わない状態で、光路変更素子40の入射面が第1光軸AX1および第2光軸AX2に対して45°の角度をなすように内部筐体6内に配置されている。光路変更素子40は、画像生成部2から射出された画像光LTの光路を90°折り曲げて投射光学系3に入射させる。
【0020】
本実施形態のプロジェクター100は、画素シフトデバイス4によって画像光LTの光路をシフトさせることで被投射面であるスクリーンSCR上の画像表示位置を調整可能である。画素シフトデバイス4の構成の詳細については後述する。
【0021】
ファン5は画素シフトデバイス4を少なくとも冷却する。ファン5は画素シフトデバイス4の光路変更素子40における光射出方向と反対側に配置されている。
画素シフトデバイス4は駆動時に発熱するため、内部筐体6内において熱源となる。本実施形態のプロジェクター100によれば、光路変更素子40の光射出方向と反対側の空間を利用して画素シフトデバイス4を冷却して、画素シフトデバイス4の温度上昇を抑制できる。また、光路変更素子40の光入射側にファン5が位置しないため、画像光LTをファン5が遮ることなく光路変更素子40を冷却することができる。
なお、ファン5からの気流の一部を供給することで光源ユニット1、画像生成部2および投射光学系3を冷却してもよい。
【0022】
続いて、画素シフトデバイス4の構成について説明する。
図2は画素シフトデバイス4の平面図である。
図2に示すように、画素シフトデバイス4は、光路変更素子40と、光路変更素子40を保持する第1可動部41と、第1揺動軸J1回りに第1可動部41を揺動可能に連結するベース42と、第1可動部41を揺動させる第1アクチュエーター43と、連結軸部44と、を備える。本実施形態の画素シフトデバイス4は、光路変更素子40の姿勢を変更することで画像光LTの光路をシフト可能とする。
【0023】
光路変更素子40は、画像光LTを反射することで画像光LTの光路を変更する素子である。光路変更素子40は、一面に反射膜40bを成膜した透光性基材40aで構成される。反射膜40bは透光性基材40aの光入射面40a1と反対の裏面40a2に成膜されている。反射膜40bにおける透光性基材40aとの接触面は光路変更素子40の反射面40cとして機能する。すなわち、光路変更素子40は、画像光LTを反射する反射面40cを有している。
【0024】
光路変更素子40に入射した光は透光性基材40aの光入射面40a1で屈折し、透光性基材40aを透過して反射膜40bで反射され、透光性基材40aから射出される際に再び屈折される。光路変更素子40は、画像生成部2から入射した画像光LTの光路を90°折り曲げる際、光路変更素子40の姿勢に応じて画像光LTの光路をシフトさせる。画像光LTの光路のシフト量は光路変更素子40の姿勢変化の度合いに応じて規定される。
【0025】
透光性基材40aとしては、例えば、略正方形の白板ガラスを用いた。強度に優れた白板ガラスを採用することで、光路変更素子40全体の剛性が高まるため、光路変更素子40に生じる歪みを抑制することができる。反射膜としては、例えば、金属膜や誘電体多層膜を用いた。
【0026】
なお、透光性基材40aの材料は白板ガラスに限定するものではなく、光透過性を有し、光を屈折可能な材料であれば良く、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどの各種ガラス材料を用いても良い。または、水晶、サファイアなどの各種結晶材料、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂などの各種樹脂材料を用いても良い。なお、光路変更素子40の形状は、略正方形に限定するものではなく、長方形や、菱形、楕円形状であっても良い。
【0027】
第1可動部41は金属製の額縁状をなした保持フレームであり、光路変更素子40の周囲に配置される。第1可動部41は光路変更素子40の外周縁を支持することで、表裏面を露出した状態の光路変更素子40を収納している。第1可動部41の材質としては、例えばステンレスを用いた。光路変更素子40は接着剤により第1可動部41に固定されている。なお、第1可動部41は額縁形状に限られず、光路変更素子40の少なくとも一部を支持する部材であればよい。
【0028】
ベース42は、第1可動部41の周囲に配置され、第1可動部41よりも一回り大きい額縁状をなす樹脂製の支持部材である。ベース42は、第1可動部41の外側面41aを枠状に囲むベース内側面42aを有する。ベース42は内部筐体6に固定される。
【0029】
連結軸部44は、第1可動部41の外側面41aとベース42のベース内側面42aとを揺動可能に連結する一対の軸部44aで構成される。
一対の軸部44aは、矩枠状である第1可動部41の外側面41aのうち対角線上に位置する一対の角部からそれぞれ突出して設けられ、第1可動部41の外側面41aとベース42のベース内側面42aとを連結する。
【0030】
一対の軸部44aは矩形枠状であるベース内側面42aのうち一方の対角線上に位置する部分に連結される。第1可動部41の第1揺動軸J1は、一対の軸部44a上に位置する仮想軸であり、第1可動部41に支持された光路変更素子40の中心を通る軸である。
【0031】
光路変更素子40を保持する第1可動部41は、第1揺動軸J1に沿う方向の両端に位置する一対の軸部44aがベース42に固定されるため、第1揺動軸J1と直交する対角線上に位置する対角部分が第1揺動軸J1回りに揺動可能となっている。
よって、光路変更素子40は、第1可動部41とともに第1揺動軸J1回りにベース42に対して回転することで姿勢を変更可能とされている。
【0032】
第1アクチュエーター43は、第1揺動軸J1に交差する方向において、第1可動部41の外側面41aに配置された第1磁石43aと、ベース42のベース内側面42aに配置され第1磁石43aに対向する第1コイル43bと、を有する。
具体的に第1磁石43aは、第1可動部41の外側面41aのうち軸部44aが設けられていない他方の対角線上に位置する1つの角部に設けられている。第1コイル43bはベース内側面42aのうち第1揺動軸J1と直交する対角線上に位置し、第1磁石43aに対向する位置に配置されている。
【0033】
このように第1アクチュエーター43を構成する第1磁石43aおよび第1コイル43bは、第1可動部41の外側面41aおよびベース42のベース内側面42aのうち第1揺動軸J1と直交する対角線の一方側に位置する部分に配置されている。
【0034】
第1磁石43aは磁石枠46を介して第1可動部41の外側面41aに配置されている。磁石枠46は鉄などの金属から構成されており、バックヨークとして機能する。第1磁石43aに用いる磁石としてはネオジム磁石の他、所定の磁力を有する永久磁石であれば良く、サマリウムコバルト磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石であっても良い。
【0035】
第1コイル43bはコイル枠47を介してベース42のベース内側面42aに配置されている。コイル枠47は第1コイル43bが第1磁石43aと間隙を持って向かい合うように、ベース内側面42aに固定されている。コイル枠47は鉄などの金属から構成されており、バックヨークとして機能する。第1コイル43bはコイル枠47に巻回したコイル線により構成される。
【0036】
なお、第1磁石43aおよび第1コイル43bの位置は入れ替えてもよく、第1磁石43aがベース42のベース内側面42aに配置され、第1コイル43bが第1可動部41の外側面41aに配置されてもよい。つまり、第1磁石43aは第1可動部41の外側面41aとベース42のベース内側面42aのうち一方に配置され、第1コイル43bは第1可動部41の外側面41aとベース42のベース内側面42aのうち他方に配置されていればよい。
【0037】
第1アクチュエーター43は、第1コイル43bに通電することで発生させた磁界によって第1磁石43aと反発または引き合わせることにより、第1磁石43aおよび第1コイル43b間に第1揺動軸J1に交差する方向の力を生じさせる。第1可動部41は、上述のように第1揺動軸J1に沿う方向の両端に位置する一対の軸部44aがベース42と固定されるため、第1磁石43aが設けられた部分が第1揺動軸J1回りに揺動する。これにより、第1可動部41に固定された光路変更素子40は、ベース42に対して第1揺動軸J1回りに揺動する。
【0038】
このような構成に基づき、本実施形態の画素シフトデバイス4は、第1コイル43bへの通電量を調整することで第1揺動軸J1回りに第1可動部41を揺動させることで光路変更素子40の姿勢を制御することができる。
画素シフトデバイス4は、光路変更素子40の姿勢を変化させることで画像生成部2の液晶パネル220から射出された画像光LTの光路を90°折り曲げるとともに画像光LTの光路を第1揺動軸J1と直交する方向にシフトさせることができる。
【0039】
本実施形態の画素シフトデバイス4は、光路変更素子40の周囲に第1可動部41およびベース42を配置した構成を採用するため、光路変更素子40の厚み方向の厚さを薄くすることができる。
【0040】
投射光学系3は、画像生成部2の液晶パネル220から射出された画像光LTを投射面であるスクリーンSCRに拡大して投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大されたカラー画像が表示される。スクリーンSCRに表示される画像は液晶パネル220の画素領域GAの像である。
【0041】
ここで、液晶パネル220の画素構造について説明する。
図3は液晶パネル220の画素構造を示す平面図である。
図3に示すように、液晶パネル220は複数の画素Gを含む画素領域GAを有している。画素領域GAにおいて、複数の画素Gは互いに直交する行方向R1および列方向R2に並んでマトリクス状に配置されている。各画素Gの各々は、互いに交差する2つの対となる対角に配置された4つのサブ画素SG1、SG2、SG3、SG4で構成される。各サブ画素SG1、SG2、SG3、SG4はブラックマトリクスBMにより区画されている。ブラックマトリクスBMは、サブ画素間に配置されたサブ画素を駆動する配線あるいは、配線を覆いサブ画素を仕切る遮光部材である。
【0042】
液晶パネル220の画素領域GAはブラックマトリクスBMにより区画された複数のサブ画素SG1、SG2、SG3、SG4を含んでいる。本実施形態において、特許請求の範囲の「単位画素」とは、画素領域GAにおいてブラックマトリクスBMにより区画される最小単位の画素を意味する。実施形態の場合、各サブ画素SG1、SG2、SG3、SG4が画素領域GAにおける最小単位であり、特許請求の範囲の「単位画素」に対応する。
【0043】
具体的にサブ画素SG1、SG2は略正方形状の画素Gの一方の対角に配置され、サブ画素SG1、SG2は画素Gの他方の対角に配置される。サブ画素SG1、SG3は列方向R2において順に並び、サブ画素SG4、SG2は列方向R2において順に並ぶ。本実施形態において、サブ画素SG1、SG2は緑色の画像光LTを生成し、サブ画素SG3は赤色の画像光LTを生成し、サブ画素SG4は青色の画像光LTを生成する。
【0044】
本実施形態の液晶パネル220において、複数の画素Gは第1画素G1を含む。第1画素G1は画素領域GAにおける複数の画素Gのうち1行1列目に位置する画素である。
【0045】
図3に示す構成の液晶パネル220から射出された画像光によってスクリーンSCR上に表示される画像は、液晶パネル220の画素領域GAに対応した画素構造を有する。具体的に、スクリーンSCRに表示される画像は複数の画素で構成され、各画素は4つのサブ画素で構成される。
【0046】
一般にプロジェクターはスクリーン上に画像を拡大投射するため、表示画像の画素間に位置する非表示領域が視認され易くなる。表示画像の非表示領域は、液晶パネルの画素領域の各画素を区画するブラックマトリクスに対応する領域である。
【0047】
本実施形態のプロジェクター100は画素シフトデバイス4によって画像光LTの光路をシフトさせることでスクリーンSCR上に表示される画像の各画素間に位置する非表示領域を認識させ難くして高画質の画像を表示可能となっている。
【0048】
以下、画素シフトデバイス4による表示画像の高画質化の原理について説明する。
図4は画素シフトデバイス4による高画質化の説明図である。
図4は画素シフトによってスクリーンSCR上に表示される表示画像の要部を示す図である。
【0049】
本明細書において、画素シフトデバイス4が画素シフトを行わない場合に光路変更素子40から射出された画像光LTの光路を基準光路、画素シフトデバイス4が画素シフトを行った場合に光路変更素子40から射出された画像光LTの光路をシフト光路と称す。
また、基準光路の画像光LTがスクリーンSCRに画像を表示する位置を「基準表示位置」、シフト光路の画像光LTがスクリーンSCRに画像を表示する位置を「シフト表示位置」と称し、
図4中において基準光路を符号PLで示し、
図4中においてシフト光路を符号SLで示し、
図4中において基準表示位置を符号Pで示し、シフト表示位置を符号Sで示した。また、液晶パネル220から射出された画像光LTがスクリーンSCR上に表示する画像を「表示画像」と称し、
図4中において表示画像を符号IMで示した。
【0050】
図2に示したように、画素シフトデバイス4が第1揺動軸J1回りに光路変更素子40を揺動させると、液晶パネル220の各サブ画素から射出された画像光LTの光路がシフトする。このとき、
図4に示すように液晶パネル220の各画素Gの各サブ画素から射出された画像光LTの光路が基準光路PLとシフト光路SLとの間でシフトされ、スクリーンSCR上の表示画像IMの表示位置が基準表示位置Pとシフト表示位置Sとの間で連続的に切り替わる。
【0051】
図4に示すように、本実施形態の画素シフトデバイス4は、画素シフトを行わない場合に基準光路の画像光LTをスクリーンSCRの基準表示位置Pに位置させ、画素シフトを行った場合にシフト光路の画像光LTをスクリーンSCRのシフト表示位置Sに位置させる。
【0052】
上述のようにスクリーンSCRの表示画像IMは液晶パネル220の画素領域GAと同様の画素構造を有する。このため、表示画像IMは複数の画素を含み、各画素は4つのサブ画素で構成される。
以下、スクリーンSCRの表示画像を構成する画素を「表示画素」、スクリーンSCRの表示画像の各画素を構成するサブ画素を「表示サブ画素」と称す。
【0053】
図4において、スクリーンSCRの表示画像IMを構成する複数の表示画素のうち、
図3に示した液晶パネル220の第1画素G1に対応する表示画素を第1表示画素IM1とする。なお、
図4では、図を見易くするため、表示画像IMを構成する複数の表示画素のうち第1表示画素IM1および第1表示画素IM1の周辺画素のみを図示している。
【0054】
また、
図4において、液晶パネル220の第1画素G1を構成する4つのサブ画素SG1、SG2、SG3、SG4に対応する表示サブ画素をそれぞれ第1表示サブ画素IM11、IM12、IM13、IM14とする。サブ画素は、緑色光用のサブ画素SG1、緑色光用のサブ画素SG2、赤色光用のサブ画素SG3、青色光用のサブ画素SG4で構成することができる。
【0055】
本実施形態において、
図3に示した第1画素G1を構成する4つのサブ画素SG1、SG2、SG3、SG4のうち1つであるサブ画素SG1を基準サブ画素SG0と称す。実施形態の場合、基準サブ画素SG0は特許請求の範囲の「基準単位画素」に相当する。
また、表示画像IMの第1表示サブ画素IM11、IM12、IM13、IM14のうち基準サブ画素SG0に対応する第1表示サブ画素IM11を基準表示サブ画素IM0と称す。
【0056】
本実施形態の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0に隣接する他のサブ画素SG2、SG3、SG4と重ならず基準サブ画素SG0の周囲を囲むブラックマトリクスBMに対応する領域に重ねる。すなわち、シフト表示位置Sにある表示サブ画素は、基準表示位置Pの周囲のブラックマトリクスBMに対応する領域内でシフトするものである。以下では、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を説明するが、その他のサブ画素から射出された画像光LTの光路についても同様のことが言える。
【0057】
ここで、基準表示位置PにおいてブラックマトリクスBMに対応する領域とは、表示画像IMにおいて各表示サブ画素間に位置する領域であり、画像を表示しない非表示部分Aに相当する。
【0058】
つまり、本実施形態の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて基準表示サブ画素IM0に隣接する第1表示サブ画素IM12、IM13、IM14に重ねず基準表示サブ画素IM0の周囲を囲む表示画像IMの非表示部分Aに重ねる。
【0059】
このように本実施形態の画素シフトデバイス4は、画素シフト前における表示画像IMの非表示部分Aに、画素シフト後の表示画像IMの各表示画素を構成する表示サブ画素を効率良く重ねることができる。よって、スクリーンSCRの表示画像IMの非表示部分Aを目立たせ難くすることができる。
【0060】
また、本実施形態の画素シフトデバイス4は、画素シフト前後において、表示画像IMの異なる表示サブ画素同士を重ねないように画素シフトを行うため、色の異なる表示サブ画素同士が重なることによる混色の発生を抑制できる。よって、表示画像IMの混色による色純度の低下を抑制することができる。
【0061】
本実施形態の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいてサブ画素SG1、SG2、SG3、SG4の4つの角部で囲まれるブラックマトリクスBMの交差部BM1に対応する領域に、重ねる。
【0062】
換言すると、本実施形態の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0の右下角部に隣接するブラックマトリクスBMの交差部BM1に対応する領域に、重ねている。
本実施形態において、ブラックマトリクスBMの交差部BM1とは「ブラックマトリクスの第1部位」および「ブラックマトリクスの第5部位」に相当する。
【0063】
さらに、本実施形態の画素シフトデバイス4は、シフト表示位置Sにおいて表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM11、IM12、IM13、IM14の4つの角部で囲まれる非表示部分Aの交差部A1に重ねていると、換言することもできる。
【0064】
このように本実施形態の画素シフトデバイス4は、画素シフト時に、表示画像IMの非表示部分Aのうち4つの表示サブ画素間に位置する部分に表示サブ画素を重ねること
ができる。
【0065】
以上のように、本実施形態のプロジェクター100は、光源10と、ブラックマトリクスBMにより区画された複数のサブ画素を含む画素領域GAを有し、光源10から入射した光を変調して画像光LTを生成する光変調部22と、光変調部22から射出された画像光LTをスクリーンSCRに投射する投射光学系3と、光変調部22と投射光学系3との間に配置され、光変調部22から射出された画像光LTの光路を連続的にシフトさせる画素シフトデバイス4と、を備える。画素領域GAにおいてサブ画素SG1を基準サブ画素SG0としたとき、画素シフトデバイス4は、光路シフト前の画像光LTをスクリーンSCRの基準表示位置Pに位置させ、光路シフト後の画像光LTをスクリーンSCRのシフト表示位置Sに位置させ、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LTを、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0に隣接する他のサブ画素SG1、SG3、SG4と重ならず基準サブ画素SG0の周囲を囲むブラックマトリクスBMに対応する領域に重ねる。
【0066】
本実施形態のプロジェクター100によれば、画素シフトによって、表示画像IMのブラックマトリクスBMに対応する非表示部分Aに画像光を効率良く重ねることで、表示画像IMの非表示部分Aを目立たせ難くすることができる。また、表示画像IMの非表示部分Aに画像光を重ねることで表示画像IMの見掛け上の画素数を増加させて解像度を高めることができる。
また、本実施形態のプロジェクター100では、画素シフト前後において、表示画像IMの異なる表示サブ画素同士が重ならないため、色の異なる表示サブ画素同士が重なることによる混色の発生を抑制できる。よって、表示画像IMの混色による色純度の低下を抑制することができる。
したがって、本実施形態のプロジェクター100は、スクリーンSCR上に拡大投射した表示画像IMに混色を発生させることなく、非表示部分Aを認識され難くすることで表示画像IMをより高画質化することができる。
【0067】
(第1変形例)
続いて、第1変形例として、第1実施形態のプロジェクターの変形例を説明する。本変形例と第1実施形態との違いは画素シフト動作であり、それ以外は共通である。このため、以下では、画素シフト動作を主に説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0068】
図5は本変形例の画素シフトによってスクリーン上に表示される表示画像の要部を示す図である。
図5に示すように、本変形例の画素シフトデバイス4は、光路変更素子40の姿勢を変化させることで、画像光LTの光路を、基準光路PL、第1シフト光路SL1および第2シフト光路SL2の間で連続的に切り替える。
【0069】
第1シフト光路SL1は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において基準光路PLに対して第1方向D1にシフトした光路である。第1方向D1とは、基準サブ画素SG0とサブ画素SG2とが並ぶ斜め方向に相当する。
第2シフト光路SL2は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路をスクリーンSCR上において第1シフト光路SL1に対して第1方向D1と反対の第2方向D2にシフトした光路である。第2方向D2とは、サブ画素SG2と基準サブ画素SG0とが並ぶ斜め方向に相当する。なお、スクリーンSCR上において、第1方向D1は右斜め下方向に相当し、第2方向D2は左斜め上方向に相当する。
【0070】
本変形例において、画素シフトデバイス4は、基準光路PLの画像光LTをスクリーンSCRの基準表示位置Pに位置させ、第1シフト光路SL1の画像光LTをスクリーンSCRの第1シフト表示位置S1に位置させ、第2シフト光路SL2の画像光LTをスクリーンSCRの第2シフト表示位置S2に位置させる。すなわち、基準表示位置Pを中心として、斜め一方方向の第1シフト表示位置S1と、反対方向となる斜め他方の第2シフト表示位置S2に移動し、その移動量は同じであることが望ましい。
【0071】
本変形例の場合、画素シフトデバイス4は、
図2に示したように第1揺動軸J1回りの一方側に第1可動部41を回転させることで光路変更素子40の姿勢を変化させ、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第1シフト光路SL1に切り替える。このとき、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路はスクリーンSCR上で第1方向D1にシフトすることで表示画像IMの表示位置が基準表示位置Pから第1シフト表示位置S1に切り替わる。
【0072】
画素シフトデバイス4は、第1シフト表示位置S1において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0に隣接する他のサブ画素SG2、SG3、SG4に重ねることなく、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0の一対の対角方向の一方側に位置するブラックマトリクスBMの角部分BM2に対応する領域に重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの角部分BM2とは「ブラックマトリクスの第2部位」に相当する。
【0073】
つまり、画素シフトデバイス4は、第1シフト表示位置S1において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、
図5に示されるように基準表示サブ画素IM0の右下角部を囲む非表示部分Aの角部分A2に重ねる。
【0074】
続いて、画素シフトデバイス4は、第1揺動軸J1回りの他方側に第1可動部41を回転させることで光路変更素子40の姿勢を変化させ、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第1シフト光路SL1から第2シフト光路SL2に切り替える。このとき、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路がスクリーンSCR上で第2方向D2にシフトして、表示画像IMの表示位置が第1シフト表示位置S1から第2シフト表示位置S2に切り替わる。
【0075】
画素シフトデバイス4は、第2シフト表示位置S2において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0に隣接する他のサブ画素SG2、SG3、SG4に重ねることなく、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0の一対の対角方向の他方側に位置するブラックマトリクスBMの角部分BM3に対応する領域に重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの角部分BM3とは「ブラックマトリクスの第3部位」に相当する。
【0076】
つまり、画素シフトデバイス4は、第2シフト表示位置S2において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、
図5に示されるように基準表示サブ画素IM0の左上角部を囲む非表示部分Aの角部分A3に重ねる。
【0077】
このように画素シフトデバイス4は、画素シフト前における表示画像IMの非表示部分Aのうち各表示サブ画素の対角方向の2つの角部を囲む部分に、画素シフト後の表示画像IMの各表示サブ画素を重ねることができる。
よって、本変形例の画素シフトデバイス4によれば、表示画像IMの非表示部分Aのうち各表示サブ画素の2つの角部を囲む部分に画像光をそれぞれ重ねることで、表示画像IMに混色を発生させることなく非表示部分Aをより目立たせ難くすることが
できる。
【0078】
(第2変形例)
続いて、第2変形例として、第1実施形態のプロジェクターの別の変形例を説明する。本変形例と第1変形例との違いは画像光の光路をシフトさせる方向であり、それ以外は共通である。
【0079】
第1実施形態および第1変形例の画素シフトデバイス4は、画素シフト時に、画像光LTの光路を表示画像IMの各表示サブ画素の対角方向にシフトさせる場合を説明したが、表示画像IMの各表示サブ画素に対して画像光LTの光路をシフトさせる方向はこれに限られない。
【0080】
図6は本変形例の画素シフトによってスクリーン上に表示される表示画像の要部を示す図である。
図6に示すように、本変形例における画像光LTの光路のシフト方向は、スクリーンSCR上において表示画像IMの各表示サブ画素が並ぶ左右方向Xに対応している。
【0081】
図7は本変形例の画素シフトデバイスの概略構成を示す図である。
本変形例の画素シフトデバイス4Aは、第1実施形態および第1変形例の構成と異なり、
図7に示すように、矩形状の光路変更素子40の周囲を囲む第1可動部41の一対の外側面41aに直交するように第1揺動軸J1が設定される。なお、本変形例の画素シフトデバイス4Aにおいて、第1アクチュエーター43は、第1揺動軸J1に交差する方向において、第1可動部41の外側面41aとベース42のベース内側面42aとの間に設けられている。
【0082】
本変形例の画素シフトデバイス4Aは、
図6に示すように、シフト表示位置Sにおいて基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて基準表示サブ画素IM0に隣接する第1表示サブ画素IM12、IM13、IM14に重ねることなく、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0の右辺に隣接するブラックマトリクスBMの隣接辺部BM41に対応する領域に重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの隣接辺部BM41とは「ブラックマトリクスの第4部位」に相当する。
つまり、画素シフトデバイス4Aは、シフト表示位置Sにおいて表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示位置Pにおいて基準表示サブ画素IM0の右辺部を囲む非表示部分Aの隣接辺部BM41に重ねる。
【0083】
本変形例の画素シフトデバイス4Aを用いる場合においても、画素シフトによって、表示画像IMのブラックマトリクスBMに対応する非表示部分Aに画像光LTを重ねることで、表示画像IMの非表示部分Aを目立たせ難くすることができる。
【0084】
なお、本変形例の画素シフトデバイス4Aに第1変形例の構成を組み合わせてもよい。具体的に、本変形例の画素シフトデバイス4Aは、第1シフト表示位置S1において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0の右側に位置するブラックマトリクスBMの第1隣接辺部に対応する領域に重ねる第1シフト光路と、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0の左側に位置する第2隣接辺部に対応する領域に重ねる第2シフト光路と、を切り替える。
この構成によれば、画素シフト前における表示画像IMの非表示部分Aのうち各表示サブ画素の左右両側を囲む部分に、画素シフト後の表示画像IMの各表示サブ画素を重ねることで表示画像IMの混色を抑制しつつ非表示部分Aをより目立たせ難くすることができる。
【0085】
また、画像光LTの光路のシフト方向を、スクリーンSCR上において
図6に示される
表示画像IMの各表示サブ画素が並ぶ上下方向Zに設定してもよい。この場合において、画素シフトデバイスの第1揺動軸は
図7に示した第1揺動軸J1と直交する方向に設定される。
【0086】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態のプロジェクターについて説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは画素シフトデバイスが2軸の揺動軸を有する点である。このため、以下では画素シフトデバイスの構成を説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0087】
図8は本実施形態の画素シフトデバイスの斜視図である。
図8に示すように、本実施形態の画素シフトデバイス104は、光路変更素子40と、光路変更素子40を保持する第1可動部241と、第1揺動軸J1回りに第1可動部241を揺動可能に連結する第2可動部243と、第2揺動軸J2回りに第2可動部243を揺動可能に連結するベース242と、第1揺動軸J1回りに第1可動部241を揺動させる一対の第1アクチュエーター245と、第2揺動軸J2回りに第2可動部243を揺動させる一対の第2アクチュエーター246と、第1連結部247と、第2連結部248と、を備える。
【0088】
第1揺動軸J1は、第2可動部243に対して第1可動部241を揺動させる仮想的な軸であり、第2揺動軸J2は、ベース242に対して第2可動部243を揺動させる仮想的な軸である。すなわち、本実施形態の画素シフトデバイス104は2軸揺動方式を採用している。
【0089】
第1可動部241は、光路変更素子40の周囲に配置される。第1可動部241は矩形枠状の部材から構成され、内側に光路変更素子40を支持する。
第1連結部247は第1可動部241の外側面241aと第2可動部243の内側面243aとを揺動可能に連結する一対の第1軸部247aで構成される。一対の第1軸部247aは、第1可動部241の4つの外側面241aのうち互いに反対を向く面からそれぞれ突出し、第1可動部241と第2可動部243とを連結する。
【0090】
第1可動部241の第1揺動軸J1は一対の第1軸部247a上に位置する仮想軸であり、第1揺動軸J1は第1可動部241に支持された光路変更素子40の中心を通る軸である。これにより、第1可動部241は、第2可動部243に対して第1揺動軸J1回りに回転可能となっている。よって、第1可動部241に支持された光路変更素子40は、第2可動部243に対して第1揺動軸J1回りに回転することで姿勢を変更可能とされている。
【0091】
第2可動部243は、平面視、略八角形状の板材から構成され、略八角形状の開口部243hを有する。第2可動部243の開口部243hの内側には、光路変更素子40を支持する第1可動部241が配置されている。すなわち、第2可動部243は、第1可動部241を囲む枠状の部材から構成され、第1可動部241の周囲に配置されている。
【0092】
第2連結部248は第2可動部243の外側面243bとベース242のベース内側面242aとを揺動可能に連結する一対の第2軸部248aで構成される。一対の第2軸部248aは、第2可動部243の8つの外側面241aのうち互いに反対を向く面からそれぞれ突出し、第2可動部243とベース242とを連結する。
【0093】
ベース242は、例えば金属等の板材から構成され、平面視、略八角形状の開口部242hを有し、開口部242hの内側に第2可動部243が配置されている。すなわち、ベース242は、第2可動部243の周囲に枠状に配置される。ベース242は、第2可動部243の外側面243bに対向するベース内側面242aを有する。
【0094】
第2可動部243の第2揺動軸J2は一対の第2軸部248a上に位置する仮想軸であり、第2揺動軸J2は第1揺動軸J1と直交し、かつ、第1可動部241に支持された光路変更素子40の中心を通る軸である。これにより、第2可動部243は、ベース242に対して第2揺動軸J2回りに回転可能となっている。よって、第1可動部241を介して第2可動部243に支持された光路変更素子40は、ベース242に対して第2揺動軸J2回りに回転することで姿勢を変更可能とされている。
【0095】
一対の第1アクチュエーター245の各々は、第2可動部243の開口部243hにおいて、第1揺動軸J1に交差する第2揺動軸J2に沿って互いに対向する部分に設けられている。各第1アクチュエーター245は、第2揺動軸J2に沿う方向に所定の間隔をおいて配置された磁石とコイルとを有する。具体的に、各第1アクチュエーター245は、第1揺動軸J1に交差する第2揺動軸J2に沿う方向において、第1可動部241の外側面241aに配置された第1磁石245aと、第2可動部243の内側面243aに配置され第1磁石245aに対向する第1コイル245bと、を有する。なお、第1磁石245aおよび第1コイル245bは、第1実施形態の第1アクチュエーター43を構成する第1磁石43aおよび第1コイル43bと同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0096】
第1磁石245aはバックヨークとして機能する磁石枠46を介して第1可動部241の外側面241aに配置されている。第1コイル245bはバックヨークとして機能するコイル枠47を介して第2可動部243の内側面243aに配置されている。
【0097】
なお、第1磁石245aおよび第1コイル245bの位置は入れ替えてもよく、第1磁石245aが第2可動部243の内側面243aに配置され、第1コイル245bが第1可動部241の外側面241aに配置されてもよい。つまり、第1磁石245aが第1可動部241の外側面241aと第2可動部243の内側面243aのうち一方に配置され、第1コイル245bが第1可動部241の外側面241aと第2可動部243の内側面243aのうち他方に配置されていればよい。
【0098】
一対の第2アクチュエーター246の各々は、ベース242の開口部242hにおいて、第2揺動軸J2に交差する第1揺動軸J1に沿って互いに対向する部分に設けられている。各第2アクチュエーター246は、第1揺動軸J1に沿う方向に所定の間隔をおいて配置された磁石とコイルとを有する。具体的に、各第2アクチュエーター246は、第2揺動軸J2に交差する第1揺動軸J1に沿う方向において、第2可動部243の外側面243bに配置された第2磁石246aと、ベース242のベース内側面242aに配置され第2磁石246aに対向する第2コイル246bと、を有する。なお、第2磁石246aおよび第2コイル246bは、第1アクチュエーター245を構成する第1磁石245aおよび第1コイル245bと同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0099】
第2磁石246aはバックヨークとして機能する磁石枠46を介して第2可動部243の外側面243bに配置されている。第2コイル246bはバックヨークとして機能するコイル枠47を介してベース242のベース内側面242aに配置されている。なお、本実施形態の場合、第2コイル246bは、ベース内側面242aのうち他の部分に対して窪んだ部分に設けられている。
【0100】
なお、第2磁石246aおよび第2コイル246bの位置は入れ替えてもよく、第2磁石246aがベース242の外側面243bに配置され、第2コイル246bが第2可動部243の外側面243bに配置されてもよい。つまり、第2磁石246aが第2可動部243の外側面243bとベース242のベース内側面242aのうち一方に配置され、第2コイル246bが第2可動部243の外側面243bとベース242のベース内側面242aのうち他方に配置されていればよい。
【0101】
各第1アクチュエーター245は、第1コイル245bに通電することで発生させた磁界を第1磁石245aと反発または引き合わせることにより、第1磁石245aおよび第1コイル245b間に第1揺動軸J1に交差する方向の力を生じさせる。これにより、第1可動部241は第1揺動軸J1回りに揺動する。第1可動部241は、上述のように第1揺動軸J1に沿う方向の両端に位置する第1軸部247aが第2可動部243と連結されるため、第1可動部241に固定された光路変更素子40は第1揺動軸J1回りに第2可動部243に対して揺動することができる。
【0102】
また、各第2アクチュエーター246は、第2コイル246bに通電することで発生させた磁界を第2磁石246aと反発または引き合わせることにより、第2磁石246aおよび第2コイル246b間に第2揺動軸J2に交差する方向の力を生じさせる。これにより、第2可動部243は第2揺動軸J2回りに揺動する。第2可動部243は、上述のように第2揺動軸J2に沿う方向の両端に位置する第2軸部248aがベース242と連結されるため、第1可動部241および第1連結部247を介して第2可動部243に固定された光路変更素子40は第2揺動軸J2回りにベース242に対して揺動することができる。
【0103】
このような構成に基づき、本実施形態の画素シフトデバイス104は、第1アクチュエーター245および第2アクチュエーター246により第1可動部241に支持した光路変更素子40の姿勢を2軸で制御することができる。よって、画素シフトデバイス104は、光路変更素子40の姿勢を変化させることで画像生成部2の液晶パネル220から射出された画像光LTの光路を90°折り曲げるとともに画像光LTの光路を2軸に沿う方向にシフトさせることができる。
【0104】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、光路変更素子40の周囲に第1可動部241、第2可動部243およびベース242を配置した構成を採用するため、光路変更素子40の厚み方向の厚さを薄くすることができる。
【0105】
以下、本実施形態の画素シフトデバイス104による表示画像の高画質化の原理について説明する。
図9は画素シフトデバイス104による高画質化の説明図である。
図9はスクリーンSCR上に表示される表示画像IMの要部を示す図である。
【0106】
本実施形態において、第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM11、IM14が順に並ぶ方向を第1方向D11、第1表示画素IM1の第1表示サブ画素IM14、IM12が順に並ぶ方向を第2方向D12、第1方向D11と反対方向であって第1表示サブ画素IM12、IM13が順に並ぶ方向を第3方向D13、第2方向D12と反対方向であって第1表示サブ画素IM13、IM11が順に並ぶ方向を第4方向D14と称す。
【0107】
なお、
図9では、図を見易くするため、表示画像IMを構成する複数の表示画素のうち第1表示画素IM1および第1表示画素IM1の周囲に位置する表示画素の一部のみを図示している。
【0108】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、光路変更素子40の姿勢を変化させることで、画像光LTの光路を、基準光路PL、第1シフト光路SL10、第2シフト光路SL20および第3シフト光路SL30の間で連続的に切り替える。
【0109】
第1シフト光路SL10は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において基準光路PLから第1方向D11にシフトした光路である。
第2シフト光路SL20は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において第1シフト光路SL10から第2方向D12にシフトした光路である。
第3シフト光路SL30は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において第2シフト光路SL20から第3方向D13にシフトした光路である。
【0110】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、基準光路PLの画像光LTをスクリーンSCRの基準表示位置Pに位置させ、第1シフト光路SL10の画像光LTをスクリーンSCRの第1シフト表示位置S1に位置させ、第2シフト光路SL20の画像光LTをスクリーンSCRの第2シフト表示位置S2に位置させ、第3シフト光路SL30の画像光LTをスクリーンSCRの第3シフト表示位置S3に位置させる。
【0111】
本実施形態の場合、画素シフトデバイス104は、第1揺動軸J1回りの一方側に第1可動部241を回転させることで光路変更素子40の姿勢を変化させ、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第1シフト光路SL10に切り替える。このとき、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路はスクリーンSCR上で第1方向D11にシフトすることで表示画像IMの表示位置が基準表示位置Pから第1シフト表示位置S1に切り替わる。
【0112】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、第1シフト表示位置S1において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて第1表示サブ画素IM11、IM14間に位置し基準サブ画素SG0の右辺に隣接するブラックマトリクスBMの隣接辺部BM4に重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの隣接辺部BM4とは「ブラックマトリクスの第4部位」に相当する。
【0113】
具体的に、画素シフトデバイス104は、第1シフト表示位置S1において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示サブ画素IM0の右辺部を囲む非表示部分Aの隣接辺部A4に重ねている。
【0114】
続いて、画素シフトデバイス104は、第2揺動軸J2回りに第2可動部243を回動させることで光路変更素子40の姿勢を変化させ、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第2シフト光路SL2に切り替える。このとき、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路はスクリーンSCR上で第2方向D12にシフトすることで表示画像IMの表示位置が第1シフト表示位置S1から第2シフト表示位置S2に切り替わる。
【0115】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、第2シフト表示位置S2において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を第1シフト光路SL10からシフトさせ、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0に隣接する3つのサブ画素SG2、SG3、SG4に重ならず基準サブ画素SG0の右下角部に隣接するブラックマトリクスBMの隣接角部BM5に重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの隣接角部BM5とは「ブラックマトリクスの第5部位」に相当する。
【0116】
具体的に、本実施形態の画素シフトデバイス104は、第2シフト表示位置S2において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示サブ画素IM0の右下角部を囲む非表示部分Aの隣接角部A5に重ねている。
【0117】
続いて、画素シフトデバイス104は、第1揺動軸J1回りの他方側に第1可動部241を回転させることで光路変更素子40の姿勢を変化させ、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第3シフト光路SL30に切り替える。このとき、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路はスクリーンSCR上で第3方向D13にシフトすることで表示画像IMの表示位置が第2シフト表示位置S2から第3シフト表示位置S3に切り替わる。
【0118】
本実施形態の画素シフトデバイス104は、第3シフト表示位置S3において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を第2シフト光路SL20からシフトさせ、基準表示位置Pにおいて第1表示サブ画素IM11、IM13間に位置し基準サブ画素SG0の下辺に隣接するブラックマトリクスBMの隣接辺部BM6に重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの隣接辺部BM6とは「ブラックマトリクスの第4部位」に相当する。
【0119】
具体的に、本実施形態の画素シフトデバイス104は、第3シフト表示位置S3において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示サブ画素IM0の下辺を囲む非表示部分Aの隣接辺部A6に重ねている。
【0120】
続いて、本実施形態の画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第3シフト光路SL30から基準光路PLに切り替える。以下、同様にして画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を、基準光路PL、第1シフト光路SL10、第2シフト光路SL20、第3シフト光路SL30、基準光路PLへと順に切り替えるシフト操作を繰り返す。
【0121】
このように本実施形態の画素シフトデバイス104は、画素シフト時において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0の右下角部を挟む二辺に隣接するブラックマトリクスBMに対応する領域に沿ってシフトさせることができる。
【0122】
以上のように本実施形態のプロジェクターによれば、画素シフトデバイス104によって光路変更素子40の姿勢を2軸で制御することで、画像光LTの光路を基準光路PLに対して3回シフトさせることで、スクリーンSCR上の表示画像IMの非表示部分Aのうち最外縁以外の部分を視認させ難くすることができる。また、上記実施形態および変形例の構成に比べて、画像光LTの光路のシフト量が増えるため、表示画像IMの疑似的な解像度をより向上できる。
本実施形態のプロジェクターにおいても、スクリーンSCR上に拡大投射した表示画像IMに混色を発生させることなく、画素間の非表示部分Aを認識され難くすることで表示画像IMをより高画質化することができる。
【0123】
(第3変形例)
続いて、第3変形例として、第2実施形態のプロジェクターの変形例を説明する。本変形例と第2実施形態との違いは画素シフト動作であり、それ以外は共通である。このため、以下では、画素シフト動作を主に説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0124】
図10A、
図10Bは本変形例の画素シフトによってスクリーン上に表示される表示画像の要部を示す図である。
図10Aおよび
図10Bに示すように、本変形例の画素シフトデバイス104は、光路変更素子40の姿勢を変化させることで、画像光LTの光路を、基準光路PL、第1シフト光路SL11、第2シフト光路SL21、第3シフト光路SL31、第4シフト光路SL41および第5シフト光路SL51の間で連続的に切り替える。
【0125】
第1シフト光路SL11は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において基準光路PLに対して第1方向D11にシフトした光路である。
第2シフト光路SL21は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において第1シフト光路SL11から第2方向D12にシフトした光路である。
第3シフト光路SL31は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において第2シフト光路SL21から第3方向D13にシフトした光路である。
第4シフト光路SL41は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において第3シフト光路SL31から第4方向D14にシフトした光路である。
第5シフト光路SL51は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LTの光路をスクリーンSCR上において第4シフト光路SL41から第1方向D11にシフトした光路である。
【0126】
本変形例において、画素シフトデバイス104は、基準光路PLの画像光LTをスクリーンSCRの基準表示位置Pに位置させ、第1シフト光路SL11の画像光LTをスクリーンSCRの第1シフト表示位置S1に位置させ、第2シフト光路SL21の画像光LTをスクリーンSCRの第2シフト表示位置S2に位置させ、第3シフト光路SL31の画像光LTをスクリーンSCRの第3シフト表示位置S3に位置させ、第4シフト光路SL41の画像光LTをスクリーンSCRの第4シフト表示位置S4に位置させ、第5シフト光路SL51の画像光LTをスクリーンSCRの第5シフト表示位置S5に位置させる。
【0127】
画素シフトデバイス104は、第1シフト表示位置S1において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて第1表示サブ画素IM11、IM14間に位置し基準サブ画素SG0の右辺に隣接するブラックマトリクスBMの隣接辺部BM4に重ねる。これにより、第1シフト表示位置S1において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0が、基準表示サブ画素IM0の右辺部を囲む非表示部分Aの隣接辺部A4に重なる。
【0128】
画素シフトデバイス104は、第2シフト表示位置S2において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を第1シフト光路SL11からシフトさせ、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0に隣接する3つのサブ画素SG2、SG3、SG4に重ならず基準サブ画素SG0の右下角部に隣接するブラックマトリクスBMの隣接角部BM5に重ねる。これにより、第2シフト表示位置S2において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0が、基準表示サブ画素IM0の右下角部を囲む非表示部分Aの隣接角部A5に重なる。
【0129】
画素シフトデバイス104は、第3シフト表示位置S3において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を第2シフト光路SL21からシフトさせ、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0の左下角部に隣接するブラックマトリクスBMの隣接角部BM7に重ねる。なお、ブラックマトリクスBMの隣接角部BM7とは「ブラックマトリクスの第5部位」に相当する。
【0130】
具体的に、画素シフトデバイス104は、第3シフト表示位置S3において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示サブ画素IM0の左下角部を囲む非表示部分Aの隣接角部A7に重ねている。
【0131】
画素シフトデバイス104は、第4シフト表示位置S4において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を第3シフト光路SL31からシフトさせ、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0の左上角部に隣接するブラックマトリクスBMの隣接角部BM8に重ねる。ブラックマトリクスBMの隣接角部BM8は、ブラックマトリクスBMの最外縁部の一部に相当する。なお、ブラックマトリクスBMの隣接角部BM8とは「ブラックマトリクスの第5部位」に相当する。
【0132】
具体的に、画素シフトデバイス104は、第4シフト表示位置S4において表示画像IMの基準表示サブ画素IM0を、基準表示サブ画素IM0の左上角部を囲む非表示部分Aの外縁部A8に重ねている。
【0133】
画素シフトデバイス104は、第5シフト表示位置S5において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を第4シフト光路SL41からシフトさせ、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0の右上角部に隣接するブラックマトリクスBMの隣接角部BM9に重ねる。ブラックマトリクスBMの隣接角部BM9は、ブラックマトリクスBMの最外縁部の一部およびブラックマトリクスBMのサブ画素SG1、SG4間に位置する部分に相当する。ブラックマトリクスBMの隣接角部BM9とは「ブラックマトリクスの第4部位および第5部位」に相当する。
【0134】
画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を第5シフト光路SL51から第2シフト光路SL21に切り替える。以下、同様にして画素シフトデバイス104は、基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0の光路を、第2シフト光路SL21、第3シフト光路SL31、第4シフト光路SL41、第5シフト光路SL51へと順に切り替えるシフト操作を繰り返す。
【0135】
このように本変形例の画素シフトデバイス104は、画素シフト時において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0の右下角部を挟む右辺および下辺の二辺に隣接するブラックマトリクスBMに対応する領域に沿ってシフトする。また、本変形例の画素シフトデバイス104は、画素シフト時において基準サブ画素SG0から射出された画像光LT0を、基準表示位置Pにおいて基準サブ画素SG0の4つの角部に隣接するブラックマトリクスBMに対応する領域に沿ってシフトする。
【0136】
なお、本変形例において、第1シフト表示位置S1~第5シフト表示位置S5における画像光LTの光路の各シフト量は、ブラックマトリクスBMのサブ画素間の幅に設定される。これは、画素シフト時に、隣接する画素間において、各サブ画素から射出された画像光LTの光路と隣接する他のサブ画素から射出された画像光LTの光路とが重なることによる混色を防止するためである。
【0137】
一般的に、
図10Aに示すように、ブラックマトリクスBMにおける最外縁部の幅H1はサブ画素間の幅H0よりも大きい。このため、シフト動作時において、ブラックマトリクスBMの最外縁部の全体にサブ画素から射出された画像光の光路を完全に重ねることはできないが、ブラックマトリクスBMの最外縁部の露出幅は僅かであり、表示画像IMの視認性に影響を及ぼすことはない。
【0138】
以上のように本変形例のプロジェクターによれば、スクリーンSCR上の表示画像IMの非表示部分Aのほぼ全域を視認させ難くすることができる。よって、スクリーンSCR上に拡大投射した表示画像IMに混色を発生させることなく、画素間の非表示部分Aを認識され難くすることで表示画像IMをより高画質化することができる。また、本変形例の構成によれば、画像光LTの光路のシフト量を増やすことで表示画像IMの疑似的な解像度をより向上することができる。
【0139】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態のプロジェクターについて説明する。本実施形態と上記実施形態との違いはプロジェクターが3枚の液晶パネルを用いた3板方式を採用する点である。このため、以下ではプロジェクターの構成を説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0140】
図11は本実施形態のプロジェクターの概略構成を示す図である。
図11に示すように、本実施形態のプロジェクター300は、光源301と、色分離光学系302と、光変調部303と、投射光学系305と、画素シフトデバイス310と、を備えている。
【0141】
光源301は、例えばレーザー光源、波長変換素子等の構成を有する。光源301は、レーザー光源から射出される青色のレーザー光を励起光として集光レンズで集光し、蛍光体を含む波長変換素子に入射させ、青色のレーザー光と黄色の蛍光とからなる白色光WLを射出する。なお、光源301は、レーザー光源と波長変換素子とを用いた構成に限定されず、例えばレーザー光源を単独で用いる構成、LED(Light Emitting Diode)、放電型の光源ランプを用いる構成を適用してもよい。
【0142】
光変調部303は、赤色の画像光を射出する光変調装置303Rと、緑色の画像光を射出する光変調装置303Gと、青色の画像光を射出する光変調装置303Bと、光合成素子304と、を有する。光変調部303は、光源301から射出される光を画像情報に基づいて変調し、画像光LTを生成する。
【0143】
色分離光学系302は、第1ダイクロイックミラー307aと、第2ダイクロイックミラー307bと、第1反射ミラー308aと、第2反射ミラー308bと、第3反射ミラー308cと、リレーレンズ309aと、リレーレンズ309bと、を備えている。色分離光学系302は、光源301から射出された白色光WLを赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離する。
【0144】
第1ダイクロイックミラー307aは、光源301から射出される白色光WLを、赤色光LRと、緑色光LGと青色光LBとに分離する。第1ダイクロイックミラー307aは、赤色光LRを反射するとともに、緑色光LGおよび青色光LBを透過させる。第2ダイクロイックミラー307bは、緑色光LGと青色光LBとが混合された光を緑色光LGと青色光LBとに分離する。第2ダイクロイックミラー307bは、緑色光LGを反射するとともに、青色光LBを透過させる。
【0145】
第1反射ミラー308aは、赤色光LRの光路中に配置されている。第1反射ミラー308aは、第1ダイクロイックミラー307aによって反射された赤色光LRを光変調装置303Rに向けて反射する。第2反射ミラー308bおよび第3反射ミラー308cは、青色光LBの光路中に配置されている。第2反射ミラー308bおよび第3反射ミラー308cは、第2ダイクロイックミラー307bを透過した青色光LBを光変調装置303Bに導く。
【0146】
光変調装置303Rは、液晶パネル303RPと、液晶パネル303RPの入射側および射出側にそれぞれ設けられた偏光板(図示略)と、から構成されている。光変調装置303Gは、液晶パネル303GPと、液晶パネル303GPの入射側および射出側にそれぞれ設けられた偏光板(図示略)と、から構成されている。光変調装置303Bは、液晶パネル303BPと、液晶パネル303BPの入射側および射出側にそれぞれ設けられた偏光板(図示略)と、から構成されている。
【0147】
本実施形態において、各液晶パネル303RP,303GP,303BPは単色の光を変調するため、
図3に示した液晶パネル220からカラーフィルターを除いた画素構造を有している。つまり、各液晶パネル303RP,303GP,303BPは、ブラックマトリクスにより区画された複数の画素G1を含む画素領域GA1を有している。本実施形態の場合、各液晶パネル303RP,303GP,303BPの画素領域GA1において各画素G1が最小単位の画素であり、特許請求の範囲の「単位画素」に対応する。
【0148】
光変調装置303Rは、光源301から射出された白色光WLのうち、赤色光LRを画像信号に応じて変調する。光変調装置303Gは、光源301から射出された白色光WLのうち、緑色光LGを画像信号に応じて変調する。光変調装置303Bは、光源301から射出された白色光WLのうち、青色光LBを画像信号に応じて変調する。これにより、各光変調装置303R,303G,303Bは、各色光に対応した画像光LTを生成する。
【0149】
光変調装置303Rの光入射側には、光変調装置303Rに入射する赤色光LRを平行化するフィールドレンズ306Rが配置されている。光変調装置303Gの光入射側には、光変調装置303Gに入射する緑色光LGを平行化するフィールドレンズ306Gが配置されている。光変調装置303Bの光入射側には、光変調装置303Bに入射する青色光LBを平行化するフィールドレンズ306Bが配置されている。
【0150】
光合成素子304は、略立方体状のクロスダイクロイックプリズムから構成されている。光合成素子304は、光変調装置303R,303G,303Bの対応する各画素からの各色光を合成して画像光LTを生成する。このため、画像光LTは各液晶パネル303RP,303GP,303BPの画素領域GA1と同様の画素構造を有する。
【0151】
本実施形態のプロジェクター300において、光変調部303から射出された画像光LTは画素シフトデバイス310に入射する。本実施形態の画素シフトデバイス310は、ガラス板からなる光路変更素子の姿勢を変更することにより、屈折を利用して画像光LTの光路をシフトさせる。本実施形態の画素シフトデバイス310は、光路変更素子として画像光LTを透過させる部材を採用する以外、上記実施形態の画素シフトデバイス4、104と同様の構成を有している。
【0152】
投射光学系305は、画素シフトデバイス310から射出された画像光LTを、スクリーンSCRに向かって拡大投射する。
【0153】
本実施形態のプロジェクター300においても、画素シフトデバイス310により上述した実施形態および変形例のように画像光LTの光路をシフトさせることで、スクリーンSCR上に拡大投射した表示画像IMに混色を発生させることなく、画素間の非表示部分Aを認識され難くすることで表示画像IMをより高画質化することができる。
【0154】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
その他、プロジェクターを構成する各種構成要素の数、配置、形状および材料等の具体的な構成は、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
【0155】
例えば、液晶パネル220の画素構造は
図3に示した構造に限られない。
図12は液晶パネルの別の画素構造を示す平面図である。
図12に示すように、液晶パネル1220の画素領域GAにおいて、複数の画素Gは互いに直交する行方向R1および列方向R2に並んでマトリクス状に配置されている。各画素Gの各々は、行方向R1に順に並んで配置された3つの長方形状のサブ画素で構成される。例えば、サブ画素は、赤色光用のサブ画素SG11、緑色光用のサブ画素SG12、青色光用のサブ画素SG13、青色光用のサブ画素SG21、赤色光用のサブ画素SG22、緑色光用のサブ画素SG23で構成することができる。なお、各画素Gの各々は、行方向R1に順に並んで配置された4つのサブ画素で構成されてもよい。
【0156】
上述のようにスクリーンSCRの表示画像IMは液晶パネル1220の画素領域GAと同様の画素構造を有する。このため、
図12に示した液晶パネル1220を用いたプロジェクターが表示する表示画像IMの各表示画素は行方向R1に並んで配置された3つの表示サブ画素で構成される。
【0157】
このような長方形状の複数のサブ画素を有する画素構造の液晶パネル1220を用いたプロジェクターにおいても、上記実施形態および変形例と同様に、画素シフトデバイス4,104による画素シフトを行うことで表示画像IMの画素間に位置する非表示部分Aを視認させ難くすることができる。
【0158】
光変調部は、いくつかに定義することができる。光変調部は、液晶パネルを含むことができる。また、光変調部は、液晶パネルに偏光板を備えた液晶装置を含むことができる。
また、光変調部は、カラーフィルターを備えた液晶パネルを含むことができる。また、光変調部は、色光が入射されるカラーフィルターを搭載していない液晶パネルを含むことができる。また、光変調部は、1つの液晶パネルで構成するものを含むことができる。また、光変調部は、赤色光を入射する液晶パネル、青色光を入射する液晶パネル、緑色光を入射する液晶パネルで構成するものを含むことができる。また、光変調部は、液晶パネルに偏光板を備えた光変調装置を含むことができる。
【0159】
第1、第2実施形態および第1~第3変形例では画素シフトデバイス4,104として画像光LTを反射する反射型のデバイスを例に挙げたが、第3実施形態の画素シフトデバイス310のように画像光LTを透過する透過型のデバイスを採用してもよい。
【0160】
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
光源と、
ブラックマトリクスにより区画された複数の単位画素を含む画素領域を有し、前記光源から入射した光を変調して画像光を生成する光変調部と、
前記光変調部から射出された前記画像光を被投射面に投射する投射光学系と、
前記光変調部と前記投射光学系との間に配置され、前記光変調部から射出された前記画像光の光路をシフトさせる画素シフトデバイスと、を備え、
前記画素領域において前記複数の単位画素のうち1つを基準単位画素としたとき、
前記画素シフトデバイスは、光路シフト前の前記画像光を前記被投射面の基準表示位置に位置させ、光路シフト後の前記画像光を前記被投射面のシフト表示位置に位置させ、
前記シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素に隣接する他の前記単位画素に重ねず前記基準単位画素の周囲を囲む前記ブラックマトリクスに対応する領域に重ねる、
ことを特徴とするプロジェクター。
【0161】
この構成のプロジェクターによれば、画素シフトデバイスによって画像光の光路をシフトさせて画像表示位置を切り替えることで、通常は画像が表示されない光変調部のブラックマトリクスに対応する領域に画像光を重ねて表示画像のうちブラックマトリクスに相当する非表示部分を目立たせ難くすることができる。また、画素シフト前後において、基準単位画素から射出された画像光が隣接する他の単位画素に重ならないため、色の異なる単位画素同士が重なることによる混色の発生を抑制できる。よって、表示画像の混色による色純度の低下を抑制することができる。
したがって、この構成のプロジェクターは、表示画像の混色を抑制しつつ、非表示部分を認識され難くすることで表示画像の画質を向上することができる。
【0162】
(付記2)
前記画素領域において互いに交差する2つの対となる対角に配置された4つの前記単位画素のうち1つを前記基準単位画素としたとき、
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において4つの前記単位画素の角部で囲まれる前記ブラックマトリクスの第1部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0163】
この構成によれば、各画素が4つのサブ画素からなる画素領域を有する光変調部を用いる場合において、表示画像の混色を抑制しつつ高画質化を図ることができる。
【0164】
(付記3)
前記画素シフトデバイスは、
前記光変調部から射出された前記画像光の光路をシフトさせ、シフト後の前記画像光を前記被投射面の第1シフト表示位置に位置させる第1シフト光路と、シフト後の前記画像光を前記被投射面の第2シフト表示位置に位置させる第2シフト光路と、を連続的に切り替え可能であり、
前記第1シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の一方側に位置する前記ブラックマトリクスの第2部位に対応する領域に重ね、
前記第2シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の他方側に位置する前記ブラックマトリクスの第3部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする付記1または付記2に記載のプロジェクター。
【0165】
この構成によれば、画素シフトによって、表示画像の各単位画素の両側に位置するブラックマトリクスの第2部位および第3部位に対応する領域に画像光を重ねることができる。よって、表示画像の非表示部分のうち各単位画素を挟む両側を認識され難くすることができる。
【0166】
(付記4)
前記画素シフトデバイスは、前記画像光の光路を変更する光路変更素子を揺動させる一つの揺動軸を有する、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0167】
この構成によれば、光路変更素子を1軸回りに揺動させることで、画像光の光路を2方向にシフトさせることで、表示画像の非表示部分に対して画像光を良好に重ねることができる。
【0168】
(付記5)
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の辺に隣接する前記ブラックマトリクスの第4部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする付記4に記載のプロジェクター。
【0169】
この構成によれば、画素シフトによって、表示画像の各単位画素の辺に隣接するブラックマトリクスの第4部位に画像光を重ねて入射させることができる。よって、表示画像の非表示部分のうち各単位画素の辺に隣接する部分を認識され難くすることができる。
【0170】
(付記6)
前記画素シフトデバイスは、
前記シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の角部に隣接する前記ブラックマトリクスの第5部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする付記4に記載のプロジェクター。
【0171】
この構成によれば、画素シフトによって、表示画像の各単位画素の角部に隣接するブラックマトリクスの第5部位に画像光を重ねて入射させることができる。よって、表示画像の非表示部分のうち各単位画素の角部に隣接する部分を認識され難くすることができる。
【0172】
(付記7)
前記画素シフトデバイスは、
前記光変調部から射出された前記画像光の光路をシフトさせ、シフト後の前記画像光を前記被投射面の第1シフト表示位置に位置させる第1シフト光路と、シフト後の前記画像光を前記被投射面の第2シフト表示位置に位置させる第2シフト光路と、を連続的に切り替え可能であり、
前記第1シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の一方側に位置する前記ブラックマトリクスの第2部位に対応する領域に重ね、
前記第2シフト表示位置において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の他方側に位置する前記ブラックマトリクスの第3部位に対応する領域に重ねる、
ことを特徴とする付記5または付記6に記載のプロジェクター。
【0173】
この構成によれば、画素シフトによって、表示画像の各単位画素の両側に位置するブラックマトリクスの第2部位および第3部位に対応する領域に画像光を重ねることができる。よって、表示画像の非表示部分のうち各単位画素を挟む両側を認識され難くすることができる。
【0174】
(付記8)
前記画素シフトデバイスは、前記画像光の光路を変更する光路変更素子を揺動させる二つの揺動軸を有する、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0175】
この構成によれば、光路変更素子を2軸回りに揺動させることで、画像光の光路を様々な方向にシフトさせることで、表示画像の非表示部分に対して画像光を効率良く重ねることができる。
【0176】
(付記9)
前記画素シフトデバイスは、
画素シフト時において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の角部を挟む二辺に隣接する前記ブラックマトリクスに対応する領域に沿ってシフトする、
ことを特徴とする付記8に記載のプロジェクター。
【0177】
この構成によれば、基準単位画素の角部を挟む二辺に隣接するブラックマトリクスに沿って画像光を入射させることができる。よって、表示画像の非表示部分のうち基準単位画素の角部を挟む二辺に隣接する部分を認識させ難くすることができる。
【0178】
(付記10)
前記画素シフトデバイスは、
前記画素シフト時において前記基準単位画素から射出された前記画像光を、前記基準表示位置において前記基準単位画素の複数の角部に隣接する前記ブラックマトリクスに対応する領域に沿ってシフトする、
ことを特徴とする付記9に記載のプロジェクター。
【0179】
この構成によれば、基準単位画素の角部に隣接するブラックマトリクスに沿って画像光を入射させることができる。よって、表示画像の非表示部分のうち基準単位画素の角部に隣接する部分を認識させ難くすることができる。
【符号の説明】
【0180】
3,305…投射光学系、4,4A,104,310…画素シフトデバイス、10,301…光源、22,303…光変調部、40…光路変更素子、100,300…プロジェクター、BM…ブラックマトリクス、G…画素、GA,GA1…画素領域、LT…画像光、P…基準表示位置、S…シフト表示位置、S1…第1シフト表示位置、S2…第2シフト表示位置、SL…シフト光路、SL1,SL10,SL11…第1シフト光路、SL2,SL20,SL21…第2シフト光路。