特開 2024-7787 高所作業装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024007787

(43)【公開日】2024-01-19

(54)【発明の名称】高所作業装置

(51)【国際特許分類】

   B66F 9/06 20060101AFI20240112BHJP

【ＦＩ】

B66F9/06 N

B66F9/06 A

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022109113

(22)【出願日】2022-07-06

(71)【出願人】

【識別番号】000136170

【氏名又は名称】株式会社ピカコーポレイション

(74)【代理人】

【識別番号】110003041

【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人

(72)【発明者】

【氏名】中本 出

【テーマコード（参考）】

3F333

【Ｆターム（参考）】

3F333AA08

3F333AB14

3F333AC01

3F333BA04

3F333BD05

3F333DB05

3F333FA10

3F333FG04

(57)【要約】

【課題】 リフトワイヤの取り替えが容易にできるようにする。
【解決手段】 基台２、下マストＳ１、中マストＳ２及び上マストＳ３を有し、下マストにウインチ５を設け、このウインチ５から出た下リフトワイヤＷｄを下マストの上端を経て下マストと中マストの間を抜けてその先端が中マストの下部に中締結具Ｔｍを介して締結する。下マストに上リフトワイヤＷｕの基端を固定し、この上リフトワイヤが中マストの上端を経て中マストと上マストの間を抜けてその先端が上マストの下部に上締結具Ｔｕを介して締結する。下マストの下部に、収縮時の中マストの下部の中締結具と対向して中締結具の締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な第１開口Ｐ１を形成し、下マストの下部及び収縮時の中マストの下部に、収縮時の上マストの下部の上締結具と対向して上締結具の締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な第２開口Ｐ２を形成する。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

基台（２）と、この基台（２）を上下に貫通して固定された下マスト（Ｓ１）と、この下マスト（Ｓ１）内に挿入された中マスト（Ｓ２）と、この中マスト（Ｓ２）内に挿入されていて上部に作業台（３）が固定された上マスト（Ｓ３）とを有し、
下マスト（Ｓ１）にウインチ（５）が設けられ、このウインチ（５）から出た下リフトワイヤ（Ｗｄ）が下マスト（Ｓ１）の上端を経て下マスト（Ｓ１）と中マスト（Ｓ２）の間を抜けてその先端が中マスト（Ｓ２）の下部に中締結具（Ｔｍ）を介して締結されており、
下マスト（Ｓ１）に上リフトワイヤ（Ｗｕ）の基端が固定され、この上リフトワイヤ（Ｗｕ）が中マスト（Ｓ２）の上端を経て中マスト（Ｓ２）と上マスト（Ｓ３）の間を抜けてその先端が上マスト（Ｓ３）の下部に上締結具（Ｔｕ）を介して締結されており、
前記下マスト（Ｓ１）の下部に、収縮時の中マスト（Ｓ２）の下部の中締結具（Ｔｍ）と対向して中締結具（Ｔｍ）の締結解除を行う工具（Ｋ）を挿入可能な第１開口（Ｐ１）が形成され、
前記下マスト（Ｓ１）の下部及び収縮時の中マスト（Ｓ２）の下部に、収縮時の上マスト（Ｓ３）の下部の上締結具（Ｔｕ）と対向して上締結具（Ｔｕ）の締結解除を行う工具（Ｋ）を挿入可能な第２開口（Ｐ２）が形成されていることを特徴とする高所作業装置。

【請求項2】

基台（２）と、この基台（２）を上下に貫通して固定された下マスト（Ｓ１）と、この下マスト（Ｓ１）内に挿入されていて上端に作業台（３）が固定された上マスト（Ｓ３）とを有し、
下マスト（Ｓ１）にウインチ（５）が設けられ、このウインチ（５）から出たリフトワイヤ（Ｗ）が下マスト（Ｓ１）の上端を経て下マスト（Ｓ１）と上マスト（Ｓ３）の間を抜けてその先端が上マスト（Ｓ３）の下部に締結具（Ｔ）を介して締結されており、
前記下マスト（Ｓ１）の下部に、収縮時の上マスト（Ｓ３）の下部の締結具（Ｔ）と対向して締結具（Ｔ）の締結解除を行う工具（Ｋ）を挿入可能な開口（Ｐ）が形成されていることを特徴とする高所作業装置。

【請求項3】

基台（２）と、この基台（２）を上下に貫通して固定された下マスト（Ｓ１）と、この下マスト（Ｓ１）内に挿入された第１中マスト（Ｓ２ａ）と、この第１中マスト（Ｓ２ａ）内に挿入された第２中マスト（Ｓ２ｂ）と、この第２中マスト（Ｓ２ｂ）内に挿入されていて上部に作業台（３）が固定された上マスト（Ｓ３）とを有し、
下マスト（Ｓ１）にウインチ（５）が設けられ、このウインチ（５）から出た下リフトワイヤ（Ｗｄ）が下マスト（Ｓ１）の上端を経て下マスト（Ｓ１）と第１中マスト（Ｓ２ａ）の間を抜けてその先端が第１中マスト（Ｓ２ａ）の下部に第１中締結具（Ｔｍａ）を介して締結されており、
下マスト（Ｓ１）に第１上リフトワイヤ（Ｗｕａ）の基端が固定され、この第１上リフトワイヤ（Ｗｕａ）が第１中マスト（Ｓ２ａ）の上端を経て第１中マスト（Ｓ２ａ）と第２中マスト（Ｓ２ｂ）の間を抜けてその先端が第２中マスト（Ｓ２ｂ）の下部に第２中締結具（Ｔｍｂ）を介して締結されており、
第１中マスト（Ｓ２ａ）の上部に第２上リフトワイヤ（Ｗｕｂ）の基端が固定され、この第２上リフトワイヤ（Ｗｕｂ）が第２中マスト（Ｓ２ｂ）の上端を経て第２中マスト（Ｓ２ｂ）と上マスト（Ｓ３）の間を抜けてその先端が上マスト（Ｓ３）の下部に上締結具（Ｔｕ）を介して締結されており、
前記下マスト（Ｓ１）の下部に、収縮時の第１中マスト（Ｓ２ａ）の下部の第１中締結具（Ｔｍａ）と対向して第１中締結具（Ｔｍａ）の締結解除を行う工具（Ｋ）を挿入可能な第１開口（Ｐ１）が形成され、
前記下マスト（Ｓ１）の下部及び収縮時の第１中マスト（Ｓ２ａ）の下部に、収縮時の第２中マスト（Ｓ２ｂ）の下部の第２中締結具（Ｔｍｂ）と対向して第２中締結具（Ｔｍｂ）の締結解除を行う工具（Ｋ）を挿入可能な第２開口（Ｐ２）が形成され、
前記下マスト（Ｓ１）の下部、収縮時の第１中マスト（Ｓ２ａ）の下部及び収縮時の第２中マスト（Ｓ２ｂ）の下部に、収縮時の上マスト（Ｓ３）の下部の上締結具（Ｔｕ）と対向して上締結具（Ｔｕ）の締結解除を行う工具（Ｋ）を挿入可能な第３開口（Ｐ３）が形成されていることを特徴とする高所作業装置。

【請求項4】

マスト（Ｓ）の下部にリフトワイヤ（Ｗ）の先端を固定する締結具（Ｔ）は、マスト（Ｓ）の外面に宛がう留め板（１６）と、内面に宛がうナット（ｎ）付き裏板（１７）と、マスト（Ｓ）を少なくとも２カ所で貫通して留め板（１６）と裏板（１７）のナット（ｎ）とを締結するネジ（ｍ）とが設けられていることを特徴とする請求項１～３のいずれか１項に記載の高所作業装置。

【請求項5】

マスト下部にリフトワイヤ（Ｗ）の先端を締結具（Ｔ）を介して固定するマスト（Ｓ）は、前記リフトワイヤ（Ｗ）が沿う外側面に長手方向に沿ってリフトワイヤ（Ｗ）が挿通するワイヤガイド溝（Ｒ）が形成されていることを特徴とする請求項１～３のいずれか１項に記載の高所作業装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ワイヤリフト多段式の高所作業装置に関する。

【背景技術】

【0002】

ワイヤリフト装置、多段式高所作業台、可搬式作業台装置等と称される高所作業装置は、特許文献１に開示されているように、基台と、基台上に立設した伸縮マストと、伸縮マストの上部に装着した作業台と、作業台の乗り込み口と基台との間に連結された伸縮梯子とを備えている。

【0003】

伸縮マストは入れ子式の３段伸縮構造であって、基台上に固定の下マストと、この下マスト内に挿入した中マストと、この中マスト内に挿入した上マストとを有し、上マストの上端に作業台が固定されている。

【0004】

下マストに設けたウインチから出た下リフトワイヤは下マストの上端を通って下マストと中マストの間を抜けて先端が中マストの下部に締結されており、下マストに基端が固定された上リフトワイヤは中マストの上端を通って中マストと上マストの間を抜けて先端が上マストの下部に締結されており、下リフトワイヤをウインチで巻き取ることにより、中マストを上昇させ、中マストの上昇により上リフトワイヤを介して上マストを上昇させるように構成されている。

【0005】

前記下マストの下部は基台の上面より下方まで突出しており、伸縮マストの収縮時には、中マストの下部も上マストの下部も下マストの下部の内部に収まるようになっている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0006】

【特許文献1】特開２０１３－２５６３５４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】

前記従来技術は、伸縮マストの収縮時に下マスト内に中マストも上マストもその全長が収納される構成になっているので、中マスト及び上マストを可及的に長く形成しかつ伸張時の支持も強固にできる。しかし、下リフトワイヤ及び上リフトワイヤが損傷したり老朽化したときに、中マストの下部及び上マストの下部を下マストの下部から露出させることが困難であるため、下リフトワイヤの先端、上リフトワイヤの先端を締結解除し難く、下マスト、中マスト及び上マストの分解を余儀なくされるので、リフトワイヤの取り替えが非常に面倒になっている。

【0008】

本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした高所作業装置を提供することを目的とする。

【0009】

本発明は、下マストの下部に収縮時の中マストの下部の中締結具と対向する第１開口を形成し、下マストの下部及び収縮時の中マストの下部に収縮時の上マストの下部の上締結具と対向する第２開口を形成して、下マストの外から工具で中締結具、上締結具の締結解除ができ、リフトワイヤの取り替えが容易にできるようにした高所作業装置を提供することを目的とする。

【0010】

また本発明は、下マストの下部に、収縮時の上マストの下部の締結具と対向する開口を形成し、下マストの外から工具で締結具の締結解除ができ、リフトワイヤの取り替えが容易にできるようにした高所作業装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0011】

本発明における課題解決のための具体的手段は、
第１に、基台２と、この基台２を上下に貫通して固定された下マストＳ１と、この下マストＳ１内に挿入された中マストＳ２と、この中マストＳ２内に挿入されていて上部に作業台３が固定された上マストＳ３とを有し、
下マストＳ１にウインチ５が設けられ、このウインチ５から出た下リフトワイヤＷｄが下マストＳ１の上端を経て下マストＳ１と中マストＳ２の間を抜けてその先端が中マストＳ２の下部に中締結具Ｔｍを介して締結されており、
下マストＳ１に上リフトワイヤＷｕの基端が固定され、この上リフトワイヤＷｕが中マストＳ２の上端を経て中マストＳ２と上マストＳ３の間を抜けてその先端が上マストＳ３の下部に上締結具Ｔｕを介して締結されており、
前記下マストＳ１の下部に、収縮時の中マストＳ２の下部の中締結具Ｔｍと対向して中締結具Ｔｍの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な第１開口Ｐ１が形成され、
前記下マストＳ１の下部及び収縮時の中マストＳ２の下部に、収縮時の上マストＳ３の下部の上締結具Ｔｕと対向して上締結具Ｔｕの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な第２開口Ｐ２が形成されていることを特徴とする。

【0012】

第２に、基台２と、この基台２を上下に貫通して固定された下マストＳ１と、この下マストＳ１内に挿入されていて上端に作業台３が固定された上マストＳ３とを有し、
下マストＳ１にウインチ５が設けられ、このウインチ５から出たリフトワイヤＷが下マストＳ１の上端を経て下マストＳ１と上マストＳ３の間を抜けてその先端が上マストＳ３の下部に締結具Ｔを介して締結されており、
前記下マストＳ１の下部に、収縮時の上マストＳ３の下部の締結具Ｔと対向して締結具Ｔの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な開口Ｐが形成されていることを特徴とする。

【発明の効果】

【0013】

本発明によれば、リフトワイヤの取り替えが容易にできる。

【0014】

即ち、下マストの下部に収縮時の中マストの下部の中締結具と対向する第１開口を形成し、下マストの下部及び収縮時の中マストＳ２の下部に収縮時の上マストの下部の上締結具と対向する第２開口を形成しているので、下マストの外から工具で中締結具、上締結具の締結解除ができ、リフトワイヤの取り替えが容易にできる。

【0015】

また、下マストの下部に、収縮時の上マストの下部の上締結具と対向する開口を形成しているので、下マストの外から工具で上締結具の締結解除ができ、リフトワイヤの取り替えが容易にできる。

【図面の簡単な説明】

【0016】

【図1】本発明の第１実施形態を示すマスト収縮時の正面図である。

【図2】同右側面図である。

【図3】同左側面図である。

【図4】マスト伸張時の正面図である。

【図5】図１のＸ－Ｘ線断面図である。

【図6】リフトワイヤの取り替え時の正面図である。

【図7】下マストの下部の一部断面正面図である。

【図8】図７のＹ－Ｙ線断面図である。

【図9】図７の右側面図である。

【図10】図７の左側面図である。

【図11】締結具の断面平面図である。

【図12】作業台の下部の側面図である。

【図13】ダンパー横軸の拡大図である。

【図14】本発明の第２実施形態を示すマスト伸張時の正面図である。

【図15】マスト収縮時の右側面図である。

【図16】下マストの下部の一部断面正面図である。

【図17】本発明の第３実施形態を示すマスト収縮時の正面図

【図18】同右側面図である。

【図19】下マストの下部の一部断面正面図である。

【図20】図１９のＺ－Ｚ線断面図である。

【図21】図１９の右側面図である。

【発明を実施するための形態】

【0017】

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。

【0018】

図１～１３において、第１実施形態の３段伸縮式高所作業装置１を示しており、高所作業装置１は大別して、基台２と、基台２上に立設した３段の伸縮マストＳと、３段の伸縮マストＳの上部に装着した作業台３と、作業台３の乗り込み口３Ａと基台２との間に連結された３段の伸縮梯子Ｈとを備えている。

【0019】

図１～５において、基台２は四角枠構造であって、中央に伸縮マストＳの下部を挿入固定しており、下面に４輪のキャスタ輪２１を有し、４つの角部から折畳み可能なアウトリガ５１を突出しており、アウトリガ５１を上方に退避させかつ側面に沿わせるように折畳むと、基台２はキャスタ輪２１で移動可能になる。

【0020】

前記アウトリガ５１は、基部がブラケット５０に枢支されていて外方に突出した姿勢から基台２の側面に沿う姿勢まで折り畳み可能なアーム５２と、このアーム５２の先端に設けられていて接地して基台２を上昇可能にするジャッキ５３が設けられている。

【0021】

図１～１１において、伸縮マストＳは入れ子式の３段伸縮構造であって、基台２上に固定の下マストＳ１と、この下マストＳ１内に挿入した中マストＳ２と、この中マストＳ２内に挿入した上マストＳ３とを有し、上マストＳ３の上端に平面視四角形状の作業台３が固定されている。

【0022】

下マストＳ１、中マストＳ２及び上マストＳ３はそれぞれ押出成形で断面略矩形の筒に形成されており、下マストＳ１の上部内面と中マストＳ２の下部外面には、それぞれ対面するマストと摺接するシュー２３が設けられ、中マストＳ２の上部内面と上マストＳ３の下部外面には、それぞれ対面するマストと摺接するシュー２４が設けられている。

【0023】

前記下マストＳ１は各コーナ部の外面にリブ１８が外方突出状に設けられ、４枚のリブ１８の下端が下マストＳ１に嵌合したフランジ１９に固着され、このフランジ１９が基台２の上面に固着されている。前記フランジ１９の内周は下マストＳ１の外周面に嵌合固着されている。

【0024】

下マストＳ１には上下中途部の外面にリフトワイヤＷ（下リフトワイヤＷｄ）を巻き取るウインチ５が設けられ、上部外面には下リフトワイヤＷｄの掛け方向を転換するプーリＱ１が設けられ、下リフトワイヤＷｄは下マストＳ１の上端を経て下マストＳ１と中マストＳ２の間を抜けてその先端が中マストＳ２の下部に連結されている。

【0025】

前記ウインチ５は下マストＳ１に固定の台枠２５にドラム２６を回転自在に支持し、ハンドル２７でドラム２６を回転することにより、ドラム２６に基端を連結した下リフトワイヤＷｄを巻き取り可能にしている。

【0026】

プーリＱ１は下マストＳ１に固定のプーリ支持部材２８に回転自在に支持されており、その外周部は下マストＳ１に形成した開口に突入していて、中マストＳ２の外面に近接しており、プーリＱ１のワイヤ溝は中マストＳ２の外面のワイヤガイド溝Ｒに対向している。

【0027】

図５～１１において、前記中マストＳ２の外面には上下全長に亘ってワイヤガイド溝Ｒが形成されている。ワイヤガイド溝Ｒの底の肉厚は他の部分と略同様であり、そのためワイヤガイド溝Ｒの背面側は中マストＳ２の内方に突出した凸条部となっている。

【0028】

このワイヤガイド溝Ｒは下リフトワイヤＷｄを挿入して案内可能にしており、中マストＳ２の下端にはワイヤガイド溝Ｒを外側方から塞ぐように締結具Ｔ（中締結具Ｔｍ）がネジ止めされている。

【0029】

中締結具Ｔｍは、中マストＳ２の外面に宛がう留め板１６と、内面に宛がうナットｎ付き裏板１７と、中マストＳ２を少なくとも２カ所で貫通して留め板１６と裏板１７のナットｎとを締結するネジｍとで構成されている。前記２個のナットｎは裏板１７に固着されている。

【0030】

下リフトワイヤＷｄの先端にはワイヤ径より大径の止着子４ａが固着されており、この止着子４ａは中マストＳ２の下端の下方に位置し、中マストＳ２の下端面と中締結具Ｔｍの下縁とに当接していて、それらによってワイヤガイド溝Ｒに入るのが阻止されている。

【0031】

即ち、下リフトワイヤＷｄを中マストＳ２の外面に沿わせてワイヤガイド溝Ｒに挿入し、止着子４ａを中マストＳ２の下端から下方へ突出した状態で、ワイヤガイド溝Ｒを塞ぐように中締結具Ｔｍの留め板１６を中マストＳ２の外面に固定すると、下リフトワイヤＷｄを引っ張っても止着子４ａはワイヤガイド溝Ｒに入るのが阻止され、下リフトワイヤＷｄの先端は中マストＳ２の下端に固定された状態となる。

【0032】

前記下マストＳ１の下部にはボルトで形成された下限部材５５が設けられている。この下限部材５５は下マストＳ１を貫通していて、中マストＳ２の下端と当接可能であり、この当接により、中マストＳ２の収縮位置を設定している。

【0033】

また、下マストＳ１の下部には、収縮時の中マストＳ２の下部の中締結具Ｔｍと対向して中締結具Ｔｍの締結解除を行うレンチ、ドライバ等の工具Ｋを挿入可能な第１開口Ｐ１が形成されている。

【0034】

伸縮マストＳを収縮して下マストＳ１内に中マストＳ２が収納されているとき、ウインチ５を手動で回転させて下リフトワイヤＷｄを巻き上げると、先端の止着子４ａが中マストＳ２の下端を係止して、中マストＳ２を上昇させる。中マストＳ２の下降はそれより上側の部材の重力をウインチ５の逆転で制御しながら行われる。

【0035】

伸縮マストＳを収縮して下マストＳ１内に中マストＳ２が収納されているとき、中マストＳ２の下部の中締結具Ｔｍは下マストＳ１の下部に形成した第１開口Ｐ１と対向しており、この第１開口Ｐ１から工具Ｋを挿入することにより、中締結具Ｔｍの締結・解除を行うことができる。

【0036】

そして、ネジｍを緩めると、留め板１６が中マストＳ２の外面から離間し、下リフトワイヤＷｄの締結は解除され、止着子４ａを上にも下にも移動可能になる。この締結解除の際、ネジｍをナットｎから弛めても完全には抜かなくてもよく、下リフトワイヤＷｄを取り替えて再びネジｍを螺合すると、裏板１７と一体となっている２個のナットｎは空回りすることなくネジｍを螺合できる。

【0037】

中マストＳ２の上部にはリフト用のリフトワイヤＷ（上リフトワイヤＷｕ）の掛け方向を転換するプーリＱ２が設けられ、上リフトワイヤＷｕの基端は下マストＳ１に連結され、上リフトワイヤＷｕの先端は上マストＳ３の下部に連結されている。したがって、上マストＳ３を中心にして、上リフトワイヤＷｕは下リフトワイヤＷｄが配置されている面と反対側の面に配置されている。

【0038】

プーリＱ２は中マストＳ２に固定のプーリ支持部材３１に回転自在に支持されており、その外周部は中マストＳ２に形成した開口に突入していて、上マストＳ３の外面に近接しており、プーリＱ２のワイヤ溝は上マストＳ３の外面のワイヤガイド溝Ｒに対向している。

【0039】

前記上マストＳ３の外面には上下全長に亘ってワイヤガイド溝Ｒが形成されている。ワイヤガイド溝Ｒの底の肉厚は他の部分と略同様であり、そのためワイヤガイド溝Ｒの背面側は上マストＳ３の内方に突出した凸条部となっている。

【0040】

このワイヤガイド溝Ｒは上リフトワイヤＷｕを挿入して案内可能にしており、上マストＳ３の下端にはワイヤガイド溝Ｒを塞ぐように締結具Ｔ（上締結具Ｔｕ）がネジ止めされている。

【0041】

上締結具Ｔｕは、上マストＳ３の外面に宛がう留め板１６と、内面に宛がうナットｎ付き裏板１７と、上マストＳ３を少なくとも２カ所で貫通して留め板１６と裏板１７のナットｎとを締結するネジｍとが設けられている。前記２個のナットｎは裏板１７に固着されている。

【0042】

上リフトワイヤＷｕの先端にはワイヤ径より大径の止着子８ａが固着されており、この止着子８ａは上マストＳ３の下端の下方に位置し、上マストＳ３の下端面と上締結具Ｔｕの下縁とに当接していて、それらによってワイヤガイド溝Ｒに入るのが阻止されている。

【0043】

即ち、上リフトワイヤＷｕを上マストＳ３の外面に沿わせてワイヤガイド溝Ｒに挿入し、止着子８ａを上マストＳ３の下端から下方へ突出した状態で、ワイヤガイド溝Ｒを塞ぐように上締結具Ｔｕの留め板１６を上マストＳ３の外面に固定すると、上リフトワイヤＷｕを引っ張っても止着子８ａはワイヤガイド溝Ｒに入るのが阻止され、上リフトワイヤＷｕの先端は上マストＳ３の下端に固定された状態となる。

【0044】

そして、ネジｍを緩めると、留め板１６が上マストＳ３の外面から離間し、上リフトワイヤＷｕの締結は解除され、止着子８ａを上にも下にも移動可能になる。この締結解除の際は、ネジｍをナットｎから弛めても完全には抜かなくてもよく、上リフトワイヤＷｕを取り替えて再びネジｍを螺合すると、裏板１７と一体となっている２個のナットｎは空回りすることなくネジｍと螺合できる。

【0045】

下リフトワイヤＷｄを介して中マストＳ２を上昇させると、プーリＱ２の上昇によって上リフトワイヤＷｕが引っ張られ、先端の止着子８ａが上マストＳ３の下端を係止して、上マストＳ３を中マストＳ２の２倍の速度で２倍の距離だけ上昇させる。

【0046】

前記中マストＳ２の下部にはボルトで形成された下限部材５６が設けられている。この下限部材５６は中マストＳ２を貫通していて、上マストＳ３の下端と当接可能であり、この当接により、上マストＳ３の収縮位置を設定している。

【0047】

また、前記下マストＳ１の下部及び収縮時の中マストＳ２の下部には、収縮時の上マストＳ３の下部の上締結具Ｔｕと対向して上締結具Ｔｕの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な第２開口Ｐ２が形成されている。

【0048】

伸縮マストＳを収縮して下マストＳ１内に中マストＳ２が収納されかつ中マストＳ２内に上マストＳ３が収納されているとき、ウインチ５を手動で回転させて下リフトワイヤＷｄを巻き上げると、先端の止着子４ａが中マストＳ２の下端を係止して、中マストＳ２を上昇させ、かつ中マストＳ２の上昇により上リフトワイヤＷｕの先端の止着子８ａが上マストＳ３の下端を係止して、上マストＳ３を上昇させる。

【0049】

伸縮マストＳを収縮して下マストＳ１内に中マストＳ２が収納されかつ中マストＳ２内に上マストＳ３が収納されているとき、上マストＳ３の下部の上締結具Ｔｕは下マストＳ１の下部及び中マストＳ２の下部に形成した第２開口Ｐ２と対向しており、この第２開口Ｐ２から工具Ｋを挿入することにより、上締結具Ｔｕの締結・解除を行うことができる。

【0050】

そして、ネジｍを緩めると、留め板１６が上マストＳ３の外面から離間し、上リフトワイヤＷｕの締結は解除され、止着子８ａ上にも下にも移動可能になる。この締結解除の際、ネジｍをナットｎから完全には抜かなくてもよく、上リフトワイヤＷｕを取り替えて再びネジｍを螺合すると、裏板１７と一体となっている２個のナットｎは空回りすることなくネジｍを螺合できる。

【0051】

前記上マストＳ３は、ワイヤガイド溝Ｒを形成した側壁と対面する側壁に外方に凹みとなる凹条部が形成されている。この凹条部は中マストＳ２にワイヤガイド溝Ｒを形成したことによる内方凸条部分の背面を逃がし、中マストＳ２の内面と上マストＳ３の外面との直接的な摺接を回避している。

【0052】

上マストＳ３におけるワイヤガイド溝Ｒと凹条部とは互いに反対側の側壁に形成されており、マスト長手方向に亘って形成されていることから、補強するリブの役目もしている。中マストＳ２におけるワイヤガイド溝Ｒも同様に、内面突出した補強リブとなっている。

【0053】

前記中マストＳ２は一側壁にワイヤガイド溝Ｒを形成し、上マストＳ３は一側壁にワイヤガイド溝Ｒの背面を逃がす凹条部を形成し、かつ一側壁と対向する反対側壁にワイヤガイド溝Ｒを形成し、上マストＳ３を昇降させる上リフトワイヤＷｕ及びプーリＱ２を、中マストＳ２を昇降させる下リフトワイヤＷｄ及びプーリＱ１と下マストＳ１において前後反対側に配置している。

【0054】

前記下マストＳ１の上部角には中マストＳ２の位置を固定するロック手段３５が設けられている。このロック手段３５は、Ｖ字面を中マストＳ２の角部に当てがう当て部材と、この当て部材を中マストＳ２に対して進退させる押しネジとを有し、中マストＳ２を所要高さまで上昇させた状態で、押しネジを介して当て部材を中マストＳ２に押圧することにより、中マストＳ２の下降をロックすることができる。

【0055】

図１～４、１２、１３において、作業台３は上マストＳ３の上端に固定の床板１０と、この床板１０上に立設されていて折畳み可能な手摺り枠Ｊとを有する。

【0056】

床板１０は平面視四角形状で、その中央下面が上マストＳ３の上端に固定され、前部が乗り込み口３Ａとなっており、この前部にブラケット３７を介して３段伸縮式の伸縮梯子Ｈの上端が連結されている。

【0057】

前記手摺り枠Ｊは、床板１０上に立設された左右側枠１２と、左右各側枠１２の下部と左右側枠１２間の下部に設けられた目隠し板３８とを有し、左右側枠１２間の下部に設けられた目隠し板３８と床板１０の後部とはダンパー横軸４２と回転金具４１で連結されている。

【0058】

図１に実線で示す作業姿勢の手摺り枠Ｊは、ダンパー横軸４２と回転金具４１の回転軸を中心にして前部を下向きに回動して、図１に仮想線で示すに示す折畳み姿勢にすることができる。

【0059】

床板１０の乗り込み口３Ａ近傍には、手摺り枠Ｊを作業姿勢及び折畳み姿勢のうちの少なくとも作業姿勢を保持するロック具４３が設けられている。

【0060】

図１、６～８において、リフトワイヤＷの取り替え手順を説明する。

【0061】

３段伸縮式高所作業装置１の下リフトワイヤＷｄ及び上リフトワイヤＷｕは永年使用により損傷、亀裂を生じたり、摩耗したりして取り替えを余儀なくされる。

【0062】

図１の如く、高所作業装置１を立ち姿勢で、伸縮マストＳ及び伸縮梯子Ｈを収縮し、手摺り枠Ｊを作業姿勢に保持した状態から、伸縮梯子Ｈを外し、アウトリガ５１のジャッキ５３を下降して接地させる。このジャッキ５３は基台２を持ち上げて、キャスタ輪２１を上昇させたり、基台２の下側にゲタ（馬）をかませたりして、基台２を安定設置し、下マストＳ１の下方空間を拡大することが好ましい。

【0063】

３段の伸縮マストＳを完全収縮すると、下マストＳ１内に中マストＳ２が収納されかつ中マストＳ２内に上マストＳ３が収納されることになり、中マストＳ２の下部の中締結具Ｔｍは下マストＳ１の下部に形成した第１開口Ｐ１と対向し、同時に、上マストＳ３の下部の上締結具Ｔｕは下マストＳ１の下部及び中マストＳ２の下部に形成した第２開口Ｐ２と対向することになる。

【0064】

まず、ウインチ５から下リフトワイヤＷｄの基端を取り出し、第１開口Ｐ１と対向している中締結具Ｔｍを下マストＳ１の外から工具Ｋを挿入してネジｍを弛め、下リフトワイヤＷｄの先端の止着子４ａを下方へ引っ張る（図６の状態）。

【0065】

そして、下リフトワイヤＷｄの基端に通しワイヤＧを連結する。この通しワイヤＧは下リフトワイヤＷｄよりも細くて柔軟であり、下リフトワイヤＷｄの先端の止着子４ａを引き抜くことにより、下マストＳ１内に入って下リフトワイヤＷｄと入れ替わることになる。

【0066】

下リフトワイヤＷｄと入れ替わった通しワイヤＧの先端は下マストＳ１の下端から下方へ顔をだすことになるので、古い下リフトワイヤＷｄに代えて新しい下リフトワイヤＷｄの基端を連結する。

【0067】

新しい下リフトワイヤＷｄを連結した通しワイヤＧをウインチ５側に引っ張れば、通しワイヤＧに代わって新下リフトワイヤＷｄが下マストＳ１内に挿入されることになり、新下リフトワイヤＷｄの先端の止着子４ａを中マストＳ２の下端及び中締結具Ｔｍに係合した状態で、第１開口Ｐ１から工具Ｋを挿入してネジｍを締結し、新下リフトワイヤＷｄの先端を中マストＳ２の下端に固着させる。

【0068】

上リフトワイヤＷｕの取り替えは、上リフトワイヤＷｕの基端を下マストＳ１から外し、先端の締結解除を第２開口Ｐ２を使用して行われる。

【0069】

第２開口Ｐ２は下マストＳ１及び中マストＳ２に連通して形成されており、この第２開口Ｐ２は上マストＳ３の上締結具Ｔｕと対向しているので、下マストＳ１の外から工具Ｋを挿入してネジｍを弛め、上リフトワイヤＷｕの先端の止着子８ａを下方へ引っ張る（図６の状態）。

【0070】

前記下マストＳ１から外した上リフトワイヤＷｕの基端に通しワイヤＧの先端を連結しておいて、止着子８ａを締結解除した上リフトワイヤＷｕを中マストＳ２内から引き抜き、通しワイヤＧと置き換える。古い上リフトワイヤＷｕと入れ替わった通しワイヤＧの先端は下マストＳ１の下端から下方へ顔を出すことになるので、その先端に新しい上リフトワイヤＷｕの基端を連結する。

【0071】

新しい上リフトワイヤＷｕを連結した通しワイヤＧを中マストＳ２の上端を超えて下マストＳ１の外側まで引っ張れば、通しワイヤＧに代わって新上リフトワイヤＷｕが中マストＳ２内に挿入されることになり、新上リフトワイヤＷｕの先端の止着子８ａを上マストＳ３の下端及び上締結具Ｔｕに係合した状態で、第２開口Ｐ２から工具Ｋを挿入してネジｍを締結し、新上リフトワイヤＷｕの先端を上マストＳ３の下端に固着させる。

【0072】

前記上締結具Ｔｕを締結する際、締結解除のときにネジｍをナットｎから完全には抜いていないと、２個のナットｎは裏板１７と一体となっているのでナットｎは空回りすることなくネジｍと螺合できる。

【0073】

図１４～１６は伸縮マストＳ及び伸縮梯子Ｈが２段の第２実施形態の高所作業装置１を示しており、この高所作業装置１は大別して、基台２と、基台２上に立設した２段の伸縮マストＳと、２段の伸縮マストＳの上部に装着した作業台３と、作業台３の乗り込み口３Ａと基台２との間に連結された２段の伸縮梯子Ｈとを備えている。

【0074】

伸縮マストＳは、基台２上に固定の下マストＳ１と、この下マストＳ１内に挿入した上マストＳ３とを有し、３段伸縮伸縮マストＳの中マストＳ２及び上リフトワイヤＷｕが存在しない構成となっている。

【0075】

下マストＳ１には上下中途部の外面にリフトワイヤＷを巻き取るウインチ５が設けられ、上部外面にはリフトワイヤＷの掛け方向を転換するプーリＱが設けられ、リフトワイヤＷは下マストＳ１の上端を経て下マストＳ１と上マストＳ３の間を抜けてその先端が上マストＳ３の下部に連結されている。

【0076】

プーリＱは下マストＳ１に固定のプーリ支持部材２８に回転自在に支持されており、その外周部は下マストＳ１に形成した開口に突入していて、上マストＳ３の外面に近接しており、プーリＱのワイヤ溝は上マストＳ３の外面のワイヤガイド溝Ｒに対向している。

【0077】

前記上マストＳ３の外面には上下全長に亘ってワイヤガイド溝が形成され、リフトワイヤＷを挿入して案内可能にしており、上マストＳ３の下端にはワイヤガイド溝Ｒを外側方から塞ぐように締結具Ｔがネジ止めされている。

【0078】

締結具Ｔは、図７～９の締結具Ｔｍと同様のものが使用されており、上マストＳ３の外面に宛がう留め板と、内面に宛がうナット付き裏板と、上マストＳ３を少なくとも２カ所で貫通して留め板と裏板のナットとを締結するネジとで構成されている。前記２個のナットは裏板に固着され、ネジの螺合時に空回りをしないようになっている。

【0079】

リフトワイヤＷの先端にはワイヤ径より大径の止着子４ａが固着されており、この止着子４ａは上マストＳ３の下端の下方に位置し、上マストＳ３の下端面と締結具Ｔの下縁とに当接していて、それらによってワイヤガイド溝Ｒに入るのが阻止されている。

【0080】

前記下マストＳ１の下部にはボルトで形成された下限部材５５が設けられている。この下限部材５５は下マストＳ１を貫通していて、上マストＳ３の下端と当接可能であり、この当接により、上マストＳ３の収縮位置を設定し、下方への抜けを防止している。

【0081】

また、下マストＳ１の下部には、収縮時の上マストＳ３の下部の締結具Ｔと対向して締結具Ｔの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な開口Ｐが形成されている。

【0082】

伸縮マストＳを収縮して下マストＳ１内に上マストＳ３が収納されているとき、ウインチ５を手動で回転させてリフトワイヤＷを巻き上げると、先端の止着子４ａが上マストＳ３の下端を係止して、上マストＳ３を上昇させる。上マストＳ３の下降はそれより上側の部材の重力をウインチ５の逆転で制御しながら行われる。

【0083】

伸縮マストＳを収縮して下マストＳ１内に上マストＳ３が収納されているとき、上マストＳ３の下部の締結具Ｔは下マストＳ１の下部に形成した開口Ｐと対向しており、この開口Ｐから工具Ｋを挿入することにより、締結具Ｔの締結・解除を行うことができる。

【0084】

２段伸縮式高所作業装置１のリフトワイヤＷの取り替え作業は前記３段伸縮式高所作業装置１の下リフトワイヤＷｄと略同様に行うことができる。

【0085】

２段の伸縮マストＳを完全収縮すると、下マストＳ１内に上マストＳ３が収納されることになり、上マストＳ３の下部の締結具Ｔは下マストＳ１の下部に形成した開口Ｐと対向することになる。

【0086】

まず、ウインチ５からリフトワイヤＷの基端を取り出し、開口Ｐと対向している締結具Ｔを下マストＳ１の外から工具Ｋを挿入してネジを弛め、リフトワイヤＷの先端の止着子４ａを下方へ引っ張る。

【0087】

そして、リフトワイヤＷの基端に通しワイヤを連結し、リフトワイヤＷを引き抜いて通しワイヤと入れ替え、その後に通しワイヤに古いリフトワイヤＷに代えて新しいリフトワイヤＷの基端を連結する。

【0088】

新しいリフトワイヤＷを連結した通しワイヤをウインチ５側に引っ張れば、通しワイヤに代わって新リフトワイヤＷが下マストＳ１内に挿入されることになり、新リフトワイヤＷの先端の止着子４ａを上マストＳ３の下端及び締結具Ｔに係合した状態で、開口Ｐから工具Ｋを挿入してネジを締結し、新リフトワイヤＷの先端を上マストＳ３の下端に固着させる。

【0089】

図１７～２１は伸縮マストＳ及び伸縮梯子Ｈが４段の第３実施形態の高所作業装置１を示しており、この高所作業装置１は大別して、基台２と、基台２上に立設した４段の伸縮マストＳと、４段の伸縮マストＳの上部に装着した作業台３と、作業台３の乗り込み口３Ａと基台２との間に連結された４段の伸縮梯子Ｈとを備えている。

【0090】

前記伸縮マストＳは、基台２上に固定の下マストＳ１と、この下マストＳ１内に挿入された第１中マストＳ２ａと、この第１中マストＳ２ａ内に挿入された第２中マストＳ２ｂと、この第２中マストＳ２ｂ内に挿入した上マストＳ３とを有し、３段の伸縮マストＳの中マストＳ２が第１中マストＳ２ａと第２中マストＳ２ｂとで２段構成されている。

【0091】

図２０において、前記第１中マストＳ２ａ、第２中マストＳ２ｂ及び上マストＳ３は第１実施形態と同様に断面四角筒形状に形成されているが、下マストＳ１は角部を形成する４本のアングル材ｅを４枚の平板ｆで連結して断面略四角筒に形成されている。

【0092】

前記第２中マストＳ２ｂ及び上マストＳ３の各外面には、上下全長に亘ってワイヤガイド溝Ｒが形成されている。ワイヤガイド溝Ｒの底の肉厚は他の部分と略同様であり、そのためワイヤガイド溝Ｒの背面側は各マストＳの内方に突出した凸条部となっている。

【0093】

また、第２中マストＳ２ｂの下部に貫通した下限部材５７によって上マストＳ３の収縮下方位置が設定されている。

【0094】

図１７～２１において、下マストＳ１には上下中途部の外面にリフトワイヤＷ（下リフトワイヤＷｄ）を巻き取るウインチ５が設けられ、上部外面には下リフトワイヤＷｄの掛け方向を転換するプーリＱ１が設けられ、ウインチ５から出た下リフトワイヤＷｄが下マストＳ１の上端を経て下マストＳ１と第１中マストＳ２ａの間を抜けてその先端の止着子４ａが第１中マストＳ２ａの下部に第１中締結具Ｔｍａを介して固定されている。

【0095】

下マストＳ１のウインチ５が設けられている面と反対側の外面に第１上リフトワイヤＷｕａの基端が固定されており、この第１上リフトワイヤＷｕａが第１中マストＳ２ａの上端のプーリＱ２を経て第１中マストＳ２ａと第２中マストＳ２ｂの間を抜けて、その先端の止着子８ａが第２中マストＳ２ｂの下部に第２中締結具Ｔｍｂを介して固定されている。

【0096】

第１中マストＳ２ａの上部に逆Ｌ字状のワイヤ止め具４５が固定されていて、このワイヤ止め具４５に第２上リフトワイヤＷｕｂの基端が固定され、この第２上リフトワイヤＷｕｂが第２中マストＳ２ｂの上端のプーリＱ３を経て第２中マストＳ２ｂと上マストＳ３の間を抜けてその先端の止着子９ａが上マストＳ３の下部に上締結具Ｔｕを介して固定されている。

【0097】

下リフトワイヤＷｄを引っ張って第１中マストＳ２ａを上昇させると、プーリＱ１の上昇によって第１上リフトワイヤＷｕａを介して第２中マストＳ２ｂを上昇し、第２中マストＳ２ｂを上昇させると、プーリＱ２の上昇によって第２上リフトワイヤＷｕｂが引っ張られ、先端の止着子９ａが上マストＳ３の下端を係止して、上マストＳ３を第１中マストＳ２ａの３倍の速度で３倍の距離だけ上昇させる。

【0098】

前記ワイヤガイド溝ＲはリフトワイヤＷ、通しワイヤ、取り替え新リフトワイヤを挿入して案内可能にしている。第２中マストＳ２ｂ及び上マストＳ３の各下端にはワイヤガイド溝Ｒを塞ぐように締結具Ｔ（第２中締結具Ｔｍｂ、上締結具Ｔｕ）がネジ止めされている。

【0099】

第３実施形態の締結具Ｔは、第１実施形態の中締結具Ｔｍ等と同様に、マストＳの外面に宛がう留め板１６と、内面に宛がうナットｎ付き裏板１７と、マストＳを少なくとも２カ所で貫通して留め板１６と裏板１７のナットｎとを締結するネジｍとで構成されている。前記２個のナットｎは裏板１７に固着されている。

【0100】

なお、第１中締結具Ｔｍａの留め板１６は、下マストＳ１のアングル材ｅ間で平板ｆに対向するためワイヤ嵌合溝１６ａを有している。第１中マストＳ２ａの外面にワイヤガイド溝Ｒは形成していなく、ワイヤ嵌合溝１６ａがワイヤガイド溝Ｒの役割をしている。

【0101】

留め板１６を下リフトワイヤＷｄに嵌合するように第１中マストＳ２ａの外面に固定すると、留め板１６と下マストＳ１の下端面で止着子４ａの引っ張り移動を阻止することができ、留め板１６の締結を弛めると、ワイヤ嵌合溝１６ａでリフトワイヤＷ、通しワイヤ、取り替え新リフトワイヤの移動を案内する。

【0102】

図１７～２１はマスト収縮状態を示しており、前記下マストＳ１の下部には、収縮時の第１中マストＳ２ａの下部の第１中締結具Ｔｍａと対向して第１中締結具Ｔｍａの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な第１開口Ｐ１が形成されている。

【0103】

また、下マストＳ１の下部及び収縮時の第１中マストＳ２ａの下部には、収縮時の第２中マストＳ２ｂの下部の第２中締結具Ｔｍｂと対向して第２中締結具Ｔｍｂの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な第２開口Ｐ２が形成されている。

【0104】

さらに、下マストＳ１の下部、収縮時の第１中マストＳ２ａの下部及び収縮時の第２中マストＳ２ｂの下部に、収縮時の上マストＳ３の下部の上締結具Ｔｕと対向して上締結具Ｔｕの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な第３開口Ｐ３が形成されている。

【0105】

下マストＳ１、第１中マストＳ２ａ、第２中マストＳ２ｂ及び上マストＳ３は断面略矩形の筒形状であるので、下マストＳ１のウインチ５取り付け側の下部に第１開口Ｐ１と第３開口Ｐ３とが形成され、反対側に第２開口Ｐ２が形成され、第１開口Ｐ１が最下位、第２開口Ｐ２が中位、第３開口Ｐ３が最上位となっている。

【0106】

高所作業装置１を立ち姿勢で、４段の伸縮マストＳを収縮したマスト完全収縮状態においては、第１中締結具Ｔｍａは第１開口Ｐ１と対向し、第２中締結具Ｔｍｂは第２開口Ｐ２と対向し、上締結具Ｔｕは第３開口Ｐ３と対向することになるので、第１中締結具Ｔｍａ、第２中締結具Ｔｍｂ及び上締結具Ｔｕを簡単に弛めて、下リフトワイヤＷｄ、第１上リフトワイヤＷｕａ、第２上リフトワイヤＷｕｂの各先端の固定を解除する。先端固定解除の後、またはそれに先立ち、下リフトワイヤＷｄ、第１上リフトワイヤＷｕａ、第２上リフトワイヤＷｕｂの各基端側を、図１７に仮想線で示すように開放し、その各基端に通しワイヤＧを連結して、各リフトワイヤを先端側から引き抜き、通しワイヤＧに置き換えかつ新リフトワイヤに置き換えて、ワイヤの取り替えをする。

【0107】

前記実施形態で示した高所作業装置１は、第１に、
基台２と、この基台２を上下に貫通して固定された下マストＳ１と、この下マストＳ１内に挿入された中マストＳ２と、この中マストＳ２内に挿入されていて上部に作業台３が固定された上マストＳ３とを有し、下マストＳ１にウインチ５が設けられ、このウインチ５から出た下リフトワイヤＷｄが下マストＳ１の上端を経て下マストＳ１と中マストＳ２の間を抜けてその先端が中マストＳ２の下部に中締結具Ｔｍを介して締結されており、下マストＳ１に上リフトワイヤＷｕの基端が固定され、この上リフトワイヤＷｕが中マストＳ２の上端を経て中マストＳ２と上マストＳ３の間を抜けてその先端が上マストＳ３の下部に上締結具Ｔｕを介して締結されており、前記下マストＳ１の下部に、収縮時の中マストＳ２の下部の中締結具Ｔｍと対向して中締結具Ｔｍの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な第１開口Ｐ１が形成され、前記下マストＳ１の下部及び収縮時の中マストＳ２の下部に、収縮時の上マストＳ３の下部の上締結具Ｔｕと対向して上締結具Ｔｕの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な第２開口Ｐ２が形成されていることを特徴とする。

【0108】

前記第１構成によって、第１開口Ｐ１及び第２開口Ｐ２を利用して、下マストＳ１の外から工具Ｋで中締結具Ｔｍ、上締結具Ｔｕの締結解除ができ、下リフトワイヤＷｄ及び上リフトワイヤＷｕの取り替えが容易にできる。

【0109】

前記実施形態で示した高所作業装置１は、第２に、
基台２と、この基台２を上下に貫通して固定された下マストＳ１と、この下マストＳ１内に挿入されていて上端に作業台３が固定された上マストＳ３とを有し、下マストＳ１にウインチ５が設けられ、このウインチ５から出たリフトワイヤＷが下マストＳ１の上端を経て下マストＳ１と上マストＳ３の間を抜けてその先端が上マストＳ３の下部に締結具Ｔを介して締結されており、前記下マストＳ１の下部に、収縮時の上マストＳ３の下部の締結具Ｔと対向して締結具Ｔの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な開口Ｐが形成されていることを特徴とする。

【0110】

前記第２構成によって、収縮時の上マストＳ３の下部の締結具Ｔと対向する開口Ｐを利用して、下マストＳ１の外から工具で締結具Ｔの締結解除ができ、リフトワイヤＷの取り替えが容易にできる。

【0111】

前記実施形態で示した高所作業装置１は、第３に、
基台２と、この基台２を上下に貫通して固定された下マストＳ１と、この下マストＳ１内に挿入された第１中マストＳ２ａと、この第１中マストＳ２ａ内に挿入された第２中マストＳ２ｂと、この第２中マストＳ２ｂ内に挿入されていて上部に作業台３が固定された上マストＳ３とを有し、下マストＳ１にウインチ５が設けられ、このウインチ５から出た下リフトワイヤＷｄが下マストＳ１の上端を経て下マストＳ１と第１中マストＳ２ａの間を抜けてその先端が第１中マストＳ２ａの下部に第１中締結具Ｔｍａを介して締結されており、下マストＳ１に第１上リフトワイヤＷｕａの基端が固定され、この第１上リフトワイヤＷｕａが第１中マストＳ２ａの上端を経て第１中マストＳ２ａと第２中マストＳ２ｂの間を抜けてその先端が第２中マストＳ２ｂの下部に第２中締結具Ｔｍｂを介して締結されており、第１中マストＳ２ａの上部に第２上リフトワイヤＷｕｂの基端が固定され、この第２上リフトワイヤＷｕｂが第２中マストＳ２ｂの上端を経て第２中マストＳ２ｂと上マストＳ３の間を抜けてその先端が上マストＳ３の下部に上締結具Ｔｕを介して締結されており、前記下マストＳ１の下部に、収縮時の第１中マストＳ２ａの下部の第１中締結具Ｔｍａと対向して第１中締結具Ｔｍａの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な第１開口Ｐ１が形成され、前記下マストＳ１の下部及び収縮時の第１中マストＳ２ａの下部に、収縮時の第２中マストＳ２ｂの下部の第２中締結具Ｔｍｂと対向して第２中締結具Ｔｍｂの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な第２開口Ｐ２が形成され、前記下マストＳ１の下部、収縮時の第１中マストＳ２ａの下部及び収縮時の第２中マストＳ２ｂの下部に、収縮時の上マストＳ３の下部の上締結具Ｔｕと対向して上締結具Ｔｕの締結解除を行う工具Ｋを挿入可能な第３開口Ｐ３が形成されていることを特徴とする。

【0112】

前記実施形態で示した高所作業装置１は、第４に、
マストＳの下部にリフトワイヤＷの先端を固定する締結具Ｔは、マストＳの外面に宛がう留め板１６と、内面に宛がうナットｎ付き裏板１７と、マストＳを少なくとも２カ所で貫通して留め板１６と裏板１７のナットｎとを締結するネジｍとが設けられていることを特徴とする。

【0113】

前記第４構成によって、２本のネジｍをナットｎから弛めても離脱させなければ、２個のナットｎを裏板１７で連結しておくことができ、ネジｍを螺合する際のナットｎの空回りを防止できる。

【0114】

前記実施形態で示した高所作業装置１は、第５に、
マストＳ下部にリフトワイヤＷの先端を締結具Ｔを介して固定するマストＳは、前記リフトワイヤＷが沿う外側面に長手方向に沿ってリフトワイヤＷが挿通するワイヤガイド溝Ｒが形成されていることを特徴とする。

【0115】

前記第５構成によって、リフトワイヤＷの取り替え時の通しワイヤＧの案内、新リフトワイヤの案内が容易にかつ確実にできる。

【0116】

なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図１～２１に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。

【0117】

例えば、下マストＳ１の上部、中マストＳ２の上部にリフトワイヤＷの方向転換用のプーリが設けられているが、この回転するプーリに代えてリフトワイヤＷを摺接案内する円弧状の部材でもよい。

【0118】

高所作業装置１は、キャスタ輪２１を持たない仮設式にしたり、ウインチ５を電動モータ駆動式にしたりしてもよい。

【符号の説明】

【0119】

１ 高所作業装置
２ 基台
３ 作業台
４ａ、８ａ、９ａ 止着子
５ ウインチ
１０ 床板
１２ 側枠
１６ 留め板
１６ａ ワイヤ嵌合溝
１７ 裏板
１８ リブ
１９ フランジ
２１ キャスタ輪
２５ 台枠
２６ ドラム
２７ ハンドル
２８、３１ プーリ支持部材
３５ ロック手段
４１ 回転金具
４２ ダンパー横軸
４３ ロック具
５１ アウトリガ
５３ ジャッキ
５５、５６、５７ 下限部材
Ｇ 通しワイヤ
Ｈ 伸縮梯子
Ｊ 手摺り枠
Ｋ 工具
Ｐ(Ｐ１、Ｐ２、Ｐ３) 開口
Ｑ１、Ｑ２、Ｑ３ プーリ
Ｒ ワイヤガイド溝
Ｓ 伸縮マスト
Ｓ１ 下マスト
Ｓ２（Ｓ２ａ、Ｓ２ｂ） 中マスト
Ｓ３ 上マスト
Ｔ 締結具
Ｔｍ（Ｔｍａ、Ｔｍｂ） 中締結具
Ｔｕ 上締結具
Ｗ リフトワイヤ
Ｗｄ 下リフトワイヤ
Ｗｕ（Ｗｕａ、Ｗｕｂ） 上リフトワイヤ
ｍ ネジ
ｎ ナット

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】