(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077875
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】推定システム、モデル学習システム、推定方法、モデル学習方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G01W 1/10 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
G01W1/10 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190084
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】507234427
【氏名又は名称】公立大学法人岩手県立大学
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】羽倉 淳
(72)【発明者】
【氏名】清水 拓海
(57)【要約】
【課題】各地点の状態に関する情報が得られない場合であっても、各地点の状態を容易に推定することの可能な推定システム、モデル学習システム、推定方法、モデル学習方法、プログラムを提供する。
【解決手段】推定システムは、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得する情報取得手段34と、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得した場合に、取得した少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報、及び、事前に推定された少なくとも1つの第1地点とは異なる第2地点の状態に関する情報を第1学習データとして用いた機械学習に基づく第1学習済モデルと、に基づいて、第2地点の状態を推定する第1推定手段35と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得する情報取得手段と、
前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得した場合に、取得した前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報、及び、事前に推定された前記少なくとも1つの第1地点とは異なる第2地点の状態に関する情報を第1学習データとして用いた機械学習に基づく第1学習済モデルと、に基づいて、前記第2地点の状態を推定する第1推定手段と、を備える、
推定システム。
【請求項2】
前記情報取得手段は、前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報を取得し、
前記第1推定手段は、前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報を取得した場合に、取得した前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報と、前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報、及び、事前に推定された前記第2地点の気象状態に関する情報を前記第1学習データとして用いた機械学習に基づく前記第1学習済モデルと、に基づいて、前記第2地点の気象状態を推定する、請求項1に記載の推定システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1地点及び前記第2地点の各々は、複数のサブ領域を含む所定の領域内の異なるサブ領域に存在している、請求項1に記載の推定システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1地点及び前記第2地点の各々は、前記複数のサブ領域のうち隣接するサブ領域に存在している、請求項3に記載の推定システム。
【請求項5】
前記情報取得手段は、計測装置によって計測された前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得する、請求項1に記載の推定システム。
【請求項6】
前記計測装置は、前記少なくとも1つの第1地点の各々に設けられている、請求項5に記載の推定システム。
【請求項7】
前記第1学習データは、前記第2地点に設けられた計測装置によって計測された前記第2地点の状態に関する情報を正解データとして含む、請求項1に記載の推定システム。
【請求項8】
前記第2地点の状態が推定された場合に、推定された前記第2地点の状態に関する情報と、前記第2地点の状態に関する情報、及び、事前に推定された前記少なくとも1つの第1地点及び前記第2地点とは異なる第3地点の状態に関する情報を第2学習データとして用いた機械学習に基づく第2学習済モデルと、に基づいて、前記第3地点の状態を推定する第2推定手段を備える、請求項1に記載の推定システム。
【請求項9】
前記情報取得手段は、前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報を取得し、
前記第1推定手段は、前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報を取得した場合に、取得した前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報と、前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報、及び、事前に推定された前記第2地点の気象状態に関する情報を前記第1学習データとして用いた機械学習に基づく前記第1学習済モデルと、に基づいて、前記第2地点の気象状態を推定し、
前記第2推定手段は、前記第2地点の気象状態が推定された場合に、推定された前記第2地点の気象状態に関する情報と、前記第2地点の気象状態に関する情報、及び、事前に推定された前記第3地点の気象状態に関する情報を前記第2学習データとして用いた機械学習に基づく前記第2学習済モデルと、に基づいて、前記第3地点の気象状態を推定する、請求項8に記載の推定システム。
【請求項10】
前記第2地点及び前記第3地点の各々は、複数のサブ領域を含む所定の領域内の隣接するサブ領域に存在している、請求項8に記載の推定システム。
【請求項11】
前記第2学習データは、前記第3地点に設けられた計測装置によって計測された前記第3地点の状態に関する情報を正解データとして含む、請求項8に記載の推定システム。
【請求項12】
少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得する第1取得手段と、
前記少なくとも1つの第1地点とは異なる第2地点の状態に関する情報を取得する第2取得手段と、
取得した前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、事前に推定された前記第2地点の状態に関する情報と、取得した前記第2地点の状態に関する情報と、を学習データとして用いた機械学習によって、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報及び事前に推定された前記第2地点の状態に関する情報に基づいて前記第2地点の状態を推定するのに用いられるモデルを学習する学習手段と、を備える、
モデル学習システム。
【請求項13】
コンピュータが、
少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得するステップと、
前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得した場合に、取得した前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報、及び、事前に推定された前記少なくとも1つの第1地点とは異なる第2地点の状態に関する情報を第1学習データとして用いた機械学習に基づく第1学習済モデルと、に基づいて、前記第2地点の状態を推定するステップと、
の各ステップを実行する、推定方法。
【請求項14】
コンピュータが、
少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得するステップと、
前記少なくとも1つの第1地点とは異なる第2地点の状態に関する情報を取得するステップと、
取得した前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、事前に推定された前記第2地点の状態に関する情報と、取得した前記第2地点の状態に関する情報と、を学習データとして用いた機械学習によって、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報及び事前に推定された前記第2地点の状態に関する情報に基づいて前記第2地点の状態を推定するのに用いられるモデルを学習するステップと、
の各ステップを実行する、モデル学習方法。
【請求項15】
コンピュータに、
少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得する機能と、
前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得した場合に、取得した前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報、及び、事前に推定された前記少なくとも1つの第1地点とは異なる第2地点の状態に関する情報を第1学習データとして用いた機械学習に基づく第1学習済モデルと、に基づいて、前記第2地点の状態を推定する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項16】
コンピュータに、
少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得する機能と、
前記少なくとも1つの第1地点とは異なる第2地点の状態に関する情報を取得する機能と、
取得した前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、事前に推定された前記第2地点の状態に関する情報と、取得した前記第2地点の状態に関する情報と、を学習データとして用いた機械学習によって、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報及び事前に推定された前記第2地点の状態に関する情報に基づいて前記第2地点の状態を推定するのに用いられるモデルを学習する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定システム、モデル学習システム、推定方法、モデル学習方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の地点の状態を推定する推定システムが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載された技術では、複数の地点の各々に配置された複数の気象データ収集装置と、複数の気象データ収集装置から得られた気象データに基づいて各地点の気象状態(状態)を予測(推定)する気象予測装置と、が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、気象データを予測する地点の数が多くなるほど、各地点に配置される気象データ収集装置の数が多くなるので、各地点の気象状態を予測するためのコストが増大する虞がある。一方、このコストを低減するために、複数の地点のうち何れかの地点のみに気象データ収集装置を配置した場合(つまり、各地点の状態に関する情報(気象データ)が得られない場合)には、各地点の予測精度が低くなるとともに、各地点の気象状態を予測するのが困難になる虞がある。このため、各地点の状態に関する情報が得られない場合であっても、各地点の状態を容易に推定するための技術がもとめられている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、各地点の状態に関する情報が得られない場合であっても、各地点の状態を容易に推定することの可能な推定システム、モデル学習システム、推定方法、モデル学習方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第一に本発明は、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得する情報取得手段と、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得した場合に、取得した前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報、及び、事前に推定された前記少なくとも1つの第1地点とは異なる第2地点の状態に関する情報を第1学習データとして用いた機械学習に基づく第1学習済モデルと、に基づいて、前記第2地点の状態を推定する第1推定手段と、を備える、推定システムを提供する(発明1)。
【0007】
ここで、各地点の状態とは、例えば、各地点の気象状態、各地点における所定のオブジェクト(例えば、人物、動物、物品、機械、車両、飛行体等)の移動や滞留等の流出入状態、各地点に存在する所定のオブジェクトの数、各地点における所定の疾病の感染者数、各地点における作物の生産量等であってもよい。
【0008】
かかる発明(発明1)によれば、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得した場合に、取得した少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、第1学習済モデルと、に基づいて、第2地点の状態を推定することが可能になる。これにより、例えば、第2地点の状態に関する情報が得られない場合であっても、第2地点の状態を容易に推定することができる。また、かかる発明(発明1)によれば、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、事前に推定された第2地点の状態に関する情報と、を第1学習データとして用いた機械学習に基づいて第1学習済モデルが生成されているので、例えば、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報のみを学習データとして用いて学習済モデルを生成した場合と比較して、各地点の状態の推定精度を向上させることが可能になる。
【0009】
上記発明(発明1)においては、前記情報取得手段は、前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報を取得し、前記第1推定手段は、前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報を取得した場合に、取得した前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報と、前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報、及び、事前に推定された前記第2地点の気象状態に関する情報を前記第1学習データとして用いた機械学習に基づく前記第1学習済モデルと、に基づいて、前記第2地点の気象状態を推定してもよい(発明2)。
【0010】
ここで、各地点の気象状態とは、例えば、各地点の気温(平均気温、最高気温、最低気温)、湿度(平均湿度、最高湿度、最低湿度)、気圧(平均気圧、最大気圧、最小気圧)、降水量、降雪量、風速(平均風速、最大風速、最小風速)、日照時間等のうち少なくとも1つであってもよい。
【0011】
かかる発明(発明2)によれば、第2地点の気象状態に関する情報が得られない場合であっても、少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報を取得した場合に、第2地点の気象状態を容易に推定することが可能になる。
【0012】
上記発明(発明1)においては、前記少なくとも1つの第1地点及び前記第2地点の各々は、複数のサブ領域を含む所定の領域内の異なるサブ領域に存在してもよい(発明3)。
【0013】
かかる発明(発明3)によれば、所定の領域内の何れかのサブ領域に存在する少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得した場合に、当該何れかのサブ領域とは異なる他のサブ領域に存在する第2地点の状態を容易に推定することができる。
【0014】
上記発明(発明1)においては、前記少なくとも1つの第1地点及び前記第2地点の各々は、前記複数のサブ領域のうち隣接するサブ領域に存在してもよい(発明4)。
【0015】
かかる発明(発明4)によれば、所定の領域内の何れかのサブ領域に存在する少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得した場合に、当該何れかのサブ領域に隣接する他のサブ領域に存在する第2地点の状態を容易に推定することができる。
【0016】
上記発明(発明1)においては、前記情報取得手段は、計測装置によって計測された前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得してもよい(発明5)。
【0017】
かかる発明(発明5)によれば、計測装置によって計測された少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報に基づいて、第2地点の状態を容易に推定することが可能になる。
【0018】
上記発明(発明5)においては、前記計測装置は、前記少なくとも1つの第1地点の各々に設けられてもよい(発明6)。
【0019】
かかる発明(発明6)によれば、少なくとも1つの第1地点の各々に設けられた計測装置によって計測された少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報に基づいて、第2地点の状態を容易に推定することが可能になる。
【0020】
上記発明(発明1)においては、前記第1学習データは、前記第2地点に設けられた計測装置によって計測された前記第2地点の状態に関する情報を正解データとして含んでもよい(発明7)。
【0021】
かかる発明(発明7)によれば、第2地点に設けられた計測装置によって計測された第2地点の状態に関する情報を正解データとして含む第1学習データを用いた機械学習が行われることにより、第1学習済モデルを用いた第2地点の推定精度を向上させることが可能になる。
【0022】
上記発明(発明1)においては、前記第2地点の状態が推定された場合に、推定された前記第2地点の状態に関する情報と、前記第2地点の状態に関する情報、及び、事前に推定された前記少なくとも1つの第1地点及び前記第2地点とは異なる第3地点の状態に関する情報を第2学習データとして用いた機械学習に基づく第2学習済モデルと、に基づいて、前記第3地点の状態を推定する第2推定手段を備えてもよい(発明8)。
【0023】
かかる発明(発明8)によれば、推定された第2地点の状態に関する情報と、第2学習済モデルと、に基づいて、第3地点の状態を推定することが可能になる。これにより、例えば、第2地点及び第3地点の各々の状態に関する情報が得られない場合であっても、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報に基づいて第3地点の状態を容易に推定することができる。
【0024】
上記発明(発明8)においては、前記情報取得手段は、前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報を取得し、前記第1推定手段は、前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報を取得した場合に、取得した前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報と、前記少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報、及び、事前に推定された前記第2地点の気象状態に関する情報を前記第1学習データとして用いた機械学習に基づく前記第1学習済モデルと、に基づいて、前記第2地点の気象状態を推定し、前記第2推定手段は、前記第2地点の気象状態が推定された場合に、推定された前記第2地点の気象状態に関する情報と、前記第2地点の気象状態に関する情報、及び、事前に推定された前記第3地点の気象状態に関する情報を前記第2学習データとして用いた機械学習に基づく前記第2学習済モデルと、に基づいて、前記第3地点の気象状態を推定してもよい(発明9)。
【0025】
かかる発明(発明9)によれば、第2地点及び第3地点の気象状態に関する情報が得られない場合であっても、少なくとも1つの第1地点の気象状態に関する情報を取得した場合に、第3地点の気象状態を容易に推定することが可能になる。
【0026】
上記発明(発明8)においては、前記第2地点及び前記第3地点の各々は、複数のサブ領域を含む所定の領域内の隣接するサブ領域に存在してもよい(発明10)。
【0027】
かかる発明(発明10)によれば、所定の領域内の何れかのサブ領域に存在する第2地点の状態を推定した場合に、当該何れかのサブ領域に隣接する他のサブ領域に存在する第3地点の状態を容易に推定することができる。
【0028】
上記発明(発明8)においては、前記第2学習データは、前記第3地点に設けられた計測装置によって計測された前記第3地点の状態に関する情報を正解データとして含んでもよい(発明11)。
【0029】
かかる発明(発明11)によれば、第3地点に設けられた計測装置によって計測された第3地点の状態に関する情報を正解データとして含む第2学習データを用いた機械学習が行われることにより、第2学習済モデルを用いた第3地点の推定精度を向上させることが可能になる。
【0030】
第二に本発明は、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得する第1取得手段と、前記少なくとも1つの第1地点とは異なる第2地点の状態に関する情報を取得する第2取得手段と、取得した前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、事前に推定された前記第2地点の状態に関する情報と、取得した前記第2地点の状態に関する情報と、を学習データとして用いた機械学習によって、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報及び事前に推定された前記第2地点の状態に関する情報に基づいて前記第2地点の状態を推定するのに用いられるモデルを学習する学習手段と、を備える、モデル学習システムを提供する(発明12)。
【0031】
かかる発明(発明12)によれば、第2地点の状態に関する情報が得られない場合であっても、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報に基づいて第2地点の状態を容易に推定することの可能なモデルを生成することができる。また、かかる発明(発明12)によれば、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、事前に推定された第2地点の状態に関する情報と、取得した第2地点の状態に関する情報と、を学習データとして用いた機械学習に基づいてモデルが生成されているので、例えば、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報のみを学習データとして用いて学習済モデルを生成した場合と比較して、各地点の状態の推定精度を向上させることが可能になる。
【0032】
第三に本発明は、コンピュータが、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得するステップと、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得した場合に、取得した前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報、及び、事前に推定された前記少なくとも1つの第1地点とは異なる第2地点の状態に関する情報を第1学習データとして用いた機械学習に基づく第1学習済モデルと、に基づいて、前記第2地点の状態を推定するステップと、の各ステップを実行する、推定方法を提供する(発明13)。
【0033】
第四に本発明は、コンピュータが、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得するステップと、前記少なくとも1つの第1地点とは異なる第2地点の状態に関する情報を取得するステップと、取得した前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、事前に推定された前記第2地点の状態に関する情報と、取得した前記第2地点の状態に関する情報と、を学習データとして用いた機械学習によって、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報及び事前に推定された前記第2地点の状態に関する情報に基づいて前記第2地点の状態を推定するのに用いられるモデルを学習するステップと、の各ステップを実行する、モデル学習方法を提供する(発明14)。
【0034】
第五に本発明は、コンピュータに、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得する機能と、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得した場合に、取得した前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報、及び、事前に推定された前記少なくとも1つの第1地点とは異なる第2地点の状態に関する情報を第1学習データとして用いた機械学習に基づく第1学習済モデルと、に基づいて、前記第2地点の状態を推定する機能と、を実現させるためのプログラムを提供する(発明15)。
【0035】
第六に本発明は、コンピュータに、少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報を取得する機能と、前記少なくとも1つの第1地点とは異なる第2地点の状態に関する情報を取得する機能と、取得した前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報と、事前に推定された前記第2地点の状態に関する情報と、取得した前記第2地点の状態に関する情報と、を学習データとして用いた機械学習によって、前記少なくとも1つの第1地点の状態に関する情報及び事前に推定された前記第2地点の状態に関する情報に基づいて前記第2地点の状態を推定するのに用いられるモデルを学習する機能と、を実現させるためのプログラムを提供する(発明16)。
【発明の効果】
【0036】
本発明の推定システム、モデル学習システム、推定方法、モデル学習方法、プログラムによれば、各地点の状態に関する情報が得られない場合であっても、各地点の状態を容易に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の一実施形態に係る推定システムの基本構成を概略的に示す図である。
【
図3】推定システム及びモデル学習システムで主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るモデル学習システムにおいて、計測装置によって計測された各地点の状態に関する情報を取得する場合について説明する図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るモデル学習システムの主要な処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態に係る推定システムの主要な処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】推定システム及びモデル学習システムの変形例を示す図である。
【
図14】推定システム及びモデル学習システムの各機能について、推定装置と学習装置との間の分担例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】
(1)推定システム及びモデル学習システムの基本構成
図1は、本発明の一実施形態に係る推定システムの基本構成を概略的に示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る推定システムは、所定の領域R内に行列状に設けられた複数(
図1に示す例では、16)のサブ領域SR11~SR44のうち少なくとも1つのサブ領域(
図1に示す例では、サブ領域SR11,SR44)の或る地点(第1地点)に配置された計測装置10によって計測された状態に関する情報(
図1に示す例では、推定情報)を推定装置20が取得すると、推定装置20が、取得した少なくとも1つの或る地点(第1地点)の状態に関する情報に基づいて、当該少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)に隣接する他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21等)の或る地点(第2地点)の状態を推定するように構成されている。
【0040】
また、本実施形態に係る推定システムは、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR12等)の或る地点(第2地点)の状態が推定されると、推定された当該他のサブ領域の或る地点(第2地点)の状態に関する情報(
図1に示す例では、推定情報)に基づいて、当該他のサブ領域に隣接する別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31等)の或る地点(第3地点)の状態を推定するように構成されている。
【0041】
すなわち、本実施形態に係る推定システムは、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)に配置された計測装置10によって計測された状態に関する情報に基づいて他のサブ領域(例えば、サブ領域SR12)の或る地点の状態が推定され、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR12)の或る地点の状態に関する情報に基づいて別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点の状態が推定される。このように、或るサブ領域の状態の推定結果に基づいて、当該サブ領域に隣接するサブ領域の状態を推定するという処理が繰り返されることによって、各サブ領域SR11~SR44の状態を推定することが可能になる。
【0042】
さらに、本実施形態に係るモデル学習システムは、後述する
図4に示すように、推定装置20が、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)に配置された計測装置10によって計測された状態に関する情報と、事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21等)の或る地点(第2地点)の状態と、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21等)の或る地点(第2地点)に配置された計測装置10によって計測された状態に関する情報と、を学習データとして用いた機械学習によって、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の状態に関する情報及び事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の状態に関する情報に基づいて、当該他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の状態を推定するのに用いられるモデルを学習するように構成されている。
【0043】
ここで、各地点の状態とは、例えば、各地点の気象状態、各地点における所定のオブジェクト(例えば、人物、動物、物品、機械、車両、飛行体等)の移動や滞留等の流出入状態、各地点に存在する所定のオブジェクトの数、各地点における所定の疾病の感染者数、各地点における作物の生産量等であってもよいが、本実施形態では、各地点の状態に関する情報が各地点の気象状態である場合を一例として説明する。
【0044】
また、各地点の気象状態とは、例えば、各地点の気温(平均気温、最高気温、最低気温)、湿度(平均湿度、最高湿度、最低湿度)、気圧(平均気圧、最大気圧、最小気圧)、降水量、降雪量、風速(平均風速、最大風速、最小風速)、日照時間等のうち少なくとも1つであってもよい。
【0045】
さらに、本実施形態では、各サブ領域SR11~SR44が矩形状に形成されている。また、各サブ領域SR11~SR44のサイズは任意に設定されてもよく、例えば数メートル四方であってもよいし、数キロメートル四方であってもよい。
【0046】
さらにまた、本実施形態において、各計測装置10と、推定装置20とは、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信網NW(ネットワーク)に接続されている。
【0047】
計測装置10は、配置された地点(
図1に示す例では、サブ領域SR11,SR44の各々の或る地点)の気温(平均気温、最高気温、最低気温)、湿度(平均湿度、最高湿度、最低湿度)、気圧(平均気圧、最大気圧、最小気圧)、降水量、降雪量、風速(平均風速、最大風速、最小風速)、日照時間等のうち少なくとも1つを計測するように構成されている。また、計測装置10は、計測した情報を、通信網NWを介して推定装置20に送信するように構成されている。
【0048】
推定装置20は、通信網NWを介して各計測装置10と通信を行い、計測装置10が計測した状態に関する情報を、通信網NWを介して経時的に取得するように構成されている。推定装置20は、例えば、携帯端末、スマートフォン、PDA、パーソナルコンピュータ、双方向の通信機能を備えたテレビジョン受像機(いわゆる多機能型のスマートテレビも含む。)等のように、個々のユーザによって操作される端末装置であってもよい。
【0049】
(2)推定装置の構成
図2を参照して推定装置20の構成について説明する。
図2は、推定装置20の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、推定装置20は、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23と、記憶装置24と、表示処理部25と、表示部26と、入力部27と、通信インタフェース部28と、を備えており、各部間の制御信号又はデータ信号を伝送するためのバス20aが設けられている。
【0050】
CPU21は、電源が推定装置20に投入されると、ROM22又は記憶装置24に記憶された各種のプログラムをRAM23にロードして実行する。本実施形態では、CPU21は、ROM22又は記憶装置24に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、後述する第1取得手段31、第2取得手段32、学習手段33、情報取得手段34、第1推定手段35及び第2推定手段36(
図3に示す)の機能を実現する。
【0051】
記憶装置24は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、磁気記憶装置(例えばHDD(Hard Disk Drive)、フロッピーディスク(登録商標)、磁気テープ等)、光ディスク等の不揮発性の記憶装置であってもよいし、RAM等の揮発性の記憶装置であってもよく、CPU21が実行するプログラムやCPU21が参照するデータを格納する。また、記憶装置24には、後述する第1学習データ(
図6に示す)、第2学習データ(
図8に示す)、第1取得データ(
図9に示す)及び第2取得データ(
図10に示す)が記憶されている。
【0052】
表示処理部25は、CPU21から与えられる表示用データを表示部26に表示する。表示部26は、例えば、マトリクス状に画素単位で配置された薄膜トランジスタを含むLCD(Liquid Crystal Display)モニタであり、表示用データに基づいて薄膜トランジスタを駆動することで、表示されるデータを表示画面に表示する。
【0053】
推定装置20が釦入力方式の装置である場合には、入力部27は、ユーザの操作入力を受け入れるための方向指示釦及び決定釦等の複数の指示入力釦を含む釦群と、テンキー等の複数の指示入力釦を含む釦群とを備え、各釦の押下(操作)入力を認識してCPU21へ出力するためのインタフェース回路を含む。
【0054】
推定装置20がタッチパネル入力方式の装置である場合には、入力部27は、主として表示画面に指先又はペンで触れることによるタッチパネル方式の入力を受け付ける。タッチパネル入力方式は、静電容量方式等の公知の方式であってもよい。
【0055】
また、推定装置20が音声入力可能な装置である場合には、入力部27は、音声入力用のマイクを含むように構成されてもよいし、外付けのマイクを介して入力された音声データをCPU21へ出力するためのインタフェース回路を備えてもよい。さらに、推定装置20が動画像及び/又は静止画像を入力可能な装置である場合には、入力部27は、画像入力用のデジタルカメラやデジタルビデオカメラを含むように構成されてもよいし、外付けのデジタルカメラやデジタルビデオカメラで撮像された画像データを受け付けてCPU21へ出力するためのインタフェース回路を備えてもよい。
【0056】
通信インタフェース部28は、通信網NWを介して他の装置(例えば、計測装置10等)と通信を行うためのインタフェース回路を含む。
【0057】
(3)推定システム及びモデル学習システムにおける各機能の概要
本実施形態の推定システム及びモデル学習システムで実現される機能について、
図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態の推定システム及びモデル学習システムで主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図である。
図3の機能ブロック図では、第1取得手段31、第2取得手段32及び学習手段33が本発明のモデル学習システムの主要な構成に対応しており、情報取得手段34及び第1推定手段35が本発明の推定システムの主要な構成に対応している。他の手段(第2推定手段36)は必ずしも必須の構成ではないが、本発明をさらに好ましくするための構成要素である。
【0058】
最初に、本実施形態におけるモデル学習システムの構成について説明する。なお、ここでは、
図4に示すように、領域R内の複数のサブ領域SR11~SR44毎に1つの計測装置10が設けられている場合を一例として説明する。
【0059】
また、本実施形態に係るモデル学習システムでは、
図5及び
図6に示すように、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の状態に関する情報と、事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の状態に関する情報と、計測装置10によって計測された当該他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の状態に関する情報と、を学習データ(第1学習データ)として用いた機械学習に基づいて、当該他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の状態を推定するための第1モデル(第1学習済モデル)が生成されるようになっている。
【0060】
さらに、本実施形態に係るモデル学習システムでは、
図7及び
図8に示すように、推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の状態に関する情報と、事前に推定された別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の状態に関する情報と、計測装置10によって計測された当該別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の状態に関する情報と、を学習データ(第2学習データ)として用いた機械学習に基づいて、当該別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の状態を推定するための第2モデル(第2学習済モデル)が生成されるようになっている。
【0061】
第1取得手段31は、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報を取得する機能を備える。
【0062】
第1取得手段31の機能は、例えば以下のように実現される。先ず、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)に配置された計測装置10は、例えば、配置された地点における気象状態(例えば、気温等)の計測処理を行い、所定期間が経過する毎に、当該所定期間内に計測された気象状態に関する情報を、通信網NWを介して推定装置20に送信する。ここで、計測装置10によって計測された気象状態に関する情報は、計測期間及び計測装置10の識別情報(例えば、計測装置10のシリアル番号やMAC(Media Access Control)アドレス等)と対応付けた状態で推定装置20に送信されてもよい。また、計測装置10によって計測された気象状態に関する情報は、所定期間内の計測値の平均値、最大値、最小値、分散、標準偏差のうち少なくとも1つであってもよいし、所定期間内の所定のタイミングにおける計測値であってもよい。
【0063】
一方、推定装置20のCPU21は、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)に配置された計測装置10から送信された気象状態に関する情報を、通信インタフェース部28を介して受信(取得)する毎に、取得した気象状態に関する情報を、例えば
図6に示す第1学習データに記憶する。第1学習データは、取得した少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)と、事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)と、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)に配置された計測装置10によって計測された当該地点(第2地点)の気象状態(状態)と、が対応付けられた状態で記述されているデータである。
【0064】
なお、CPU21は、後述する学習手段33の機能に基づいて他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態を推定した場合に、推定された当該地点(第2地点)の気象状態に関する情報を、第1取得手段31の機能に基づいて取得した気象状態に関する情報(少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の気象状態に関する情報)に対応付けた状態で、事前に推定された当該地点(第2地点)の気象状態に関する情報として第1学習データに記憶してもよい。
【0065】
第2取得手段32は、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)とは異なる他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報を取得する機能を備える。
【0066】
第2取得手段32の機能は、例えば以下のように実現される。先ず、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)に配置された計測装置10は、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)に配置された計測装置10と同様に、配置された地点における気象状態(例えば、気温等)の計測処理を行い、所定期間が経過する毎に、当該所定期間内に計測された気象状態に関する情報を、通信網NWを介して推定装置20に送信する。
【0067】
一方、推定装置20のCPU21は、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)に配置された計測装置10から送信された気象状態に関する情報を、通信インタフェース部28を介して受信(取得)する毎に、取得した気象状態に関する情報を、上述した第1取得手段31の機能に基づいて取得した気象状態に関する情報(少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の気象状態に関する情報)に対応付けた状態で、
図6に示す第1学習データに記憶する。なお、本実施形態において、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)に配置された計測装置10によって計測された当該地点(第2地点)の気象状態に関する情報は、第1学習データにおける正解データとして記憶される。
【0068】
学習手段33は、取得した少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報と、事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報と、取得した他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報と、を学習データとして用いた機械学習によって、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)及び事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報に基づいて、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を推定するのに用いられる第1モデル(モデル)を学習する機能を備える。
【0069】
学習手段33の機能は、例えば以下のように実現される。推定装置20のCPU21は、例えば、所定のモデル学習指示が入力部27を用いて入力されると、
図6に示す第1学習データを用いて、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を推定するのに用いられる(
図5に示す)第1モデルの学習を行ってもよい。CPU21は、例えば、時系列対応型ニューラルネットワークモデルを用いて学習してもよい。ここで、時系列対応型ニューラルネットワークとして、例えば、RNN(Recurrent Neural Network)や、RNNの発展型であるLSTM(Long Short-Term Memory)等を適用することができる。また、CPU21は、例えば、グラフニューラルネットワーク(GNN)モデル、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデル、サポートベクターマシン(SVM)モデル、全結合ニューラルネットワーク(FNN)モデル、勾配ブースティング(HGB)モデル、ウェーブネット(WN)モデル、ExtraTrees(Extremely Randomized Trees)モデル等の複数のモデルのうち何れかのモデルを用いて学習してもよい。さらに、CPU21は、GNNの派生である、グラフ畳み込みニューラルネットワーク(GCN)モデル、グラフアテンションネットワーク(GAT)モデル、グラフ畳み込みLSTM(GC-LSTM)モデルのうち何れかを用いて学習してもよい。
【0070】
これにより、機械学習の結果として、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)及び事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報と、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)と、の関係を示す第1学習済モデルが構成される。
【0071】
また、学習手段33は、推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の状態に関する情報と、事前に推定された別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の状態に関する情報と、計測装置10によって計測された当該別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の状態に関する情報と、を学習データ(第2学習データ)として用いた機械学習に基づいて、当該別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の状態を推定するための第2モデル(モデル)を学習する機能を備えてもよい。
【0072】
この場合における学習手段33の機能は、例えば以下のように実現される。推定装置20のCPU21は、例えば、所定のモデル学習指示が入力部27を用いて入力されると、
図8に示す第2学習データを用いて、別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の気象状態(状態)を推定するのに用いられる(
図7に示す)第2モデルの学習を行ってもよい。この場合、CPU21は、上記と同様に、時系列対応型ニューラルネットワークモデル等のモデルを用いて学習してもよい。
【0073】
これにより、機械学習の結果として、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)及び事前に推定された別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の気象状態(状態)に関する情報と、別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の気象状態(状態)と、の関係を示す第2学習済モデルが構成される。
【0074】
次に、本実施形態における推定システムの構成について説明する。なお、ここでは、
図1に示すように、領域R内の複数のサブ領域SR11~SR44のうち少なくとも1つのサブ領域(ここでは、サブ領域SR11,SR44)に計測装置10が設けられている場合を一例として説明する。
【0075】
情報取得手段34は、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報を取得する機能を備える。
【0076】
また、情報取得手段34は、計測装置10によって計測された少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報を取得してもよい。これにより、計測装置10によって計測された少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報に基づいて、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を容易に推定することが可能になる。
【0077】
さらに、計測装置10は、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11,SR44)の或る地点(第1地点)の各々に設けられてもよい。これにより、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11,SR44)の或る地点(第1地点)の各々に設けられた計測装置10によって計測された少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11,SR44)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報に基づいて、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を容易に推定することが可能になる。
【0078】
情報取得手段34の機能は、例えば以下のように実現される。先ず、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)に配置された計測装置10は、例えば、配置された地点における気象状態(例えば、気温等)の計測処理を行い、所定期間が経過する毎に、当該所定期間内に計測された気象状態に関する情報を、通信網NWを介して推定装置20に送信する。ここで、計測装置10によって計測された気象状態に関する情報は、計測期間及び計測装置10の識別情報(例えば、計測装置10のシリアル番号やMAC(Media Access Control)アドレス等)と対応付けた状態で推定装置20に送信されてもよい。また、計測装置10によって計測された気象状態に関する情報は、所定期間内の計測値の平均値、最大値、最小値、分散、標準偏差のうち少なくとも1つであってもよいし、所定期間内の所定のタイミングにおける計測値であってもよい。
【0079】
一方、推定装置20のCPU21は、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)に配置された計測装置10から送信された気象状態に関する情報を、通信インタフェース部28を介して受信(取得)する毎に、取得した気象状態に関する情報を、例えば
図9に示す第1取得データに記憶する。第1取得データは、取得した少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)と、事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)と、が対応付けられた状態で記述されているデータである。
【0080】
なお、CPU21は、後述する第1推定手段35の機能に基づいて他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態を推定した場合に、推定された当該地点(第2地点)の気象状態に関する情報を、情報取得手段34の機能に基づいて取得した気象状態に関する情報(少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の気象状態に関する情報)に対応付けた状態で、事前に推定された当該地点(第2地点)の気象状態に関する情報として第1取得データに記憶してもよい。
【0081】
第1推定手段35は、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報を取得した場合に、取得した少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報と、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報、及び、事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報を第1学習データとして用いた機械学習に基づく第1学習済モデルと、に基づいて、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を推定する機能を備える。
【0082】
ここで、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)及び他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の各々は、複数のサブ領域SR11~SR44を含む所定の領域R内の異なるサブ領域に存在してもよい。これにより、所定の領域R内の何れかのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)に存在する少なくとも1つの地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報を取得した場合に、当該何れかのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)とは異なる他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)に存在する地点(第2地点)の気象状態(状態)を容易に推定することができる。
【0083】
また、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)及び他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の各々は、複数のサブ領域SR11~SR44のうち隣接するサブ領域に存在してもよい。これにより、所定の領域R内の何れかのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)に存在する少なくとも1つの地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報を取得した場合に、当該何れかのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)に隣接する他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)に存在する地点(第2地点)の気象状態(状態)を容易に推定することができる。
【0084】
さらに、第1学習データは、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)に設けられた計測装置10によって計測された当該地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報を正解データとして含んでもよい。これにより、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)に設けられた計測装置10によって計測された当該地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報を正解データとして含む第1学習データを用いた機械学習が行われることにより、第1学習済モデルを用いた当該地点(第2地点)の推定精度を向上させることが可能になる。
【0085】
第1推定手段35の機能は、例えば以下のように実現される。推定装置20のCPU21は、情報取得手段34の機能に基づいて少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報を取得すると、第1取得データにアクセスして、第1取得データに新たに記憶された情報(つまり、取得した少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報、及び、その情報に対応付けられている事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報)を抽出する。そして、CPU21は、抽出した情報を第1学習済モデルに入力することによって、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を推定する。
【0086】
このようにして、CPU21は、第1取得データに記憶された情報を第1学習済モデルに入力することによって、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を容易に推定することができる。
【0087】
また、CPU21は、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を推定すると、推定した気象状態に関する情報を、例えば
図10に示す第2取得データに記憶する。第2取得データは、推定した他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)と、事前に推定された別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の気象状態(状態)と、が対応付けられた状態で記述されているデータである。
【0088】
なお、CPU21は、後述する第2推定手段36の機能に基づいて別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の気象状態を推定した場合に、推定された当該地点(第3地点)の気象状態に関する情報を、第1推定手段35の機能に基づいて推定した気象状態に関する情報(他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の気象状態に関する情報)に対応付けた状態で、事前に推定された当該地点(第3地点)の気象状態に関する情報として第2取得データに記憶してもよい。
【0089】
また、CPU21は、第1推定手段35の機能に基づいて推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報を提示してもよい。例えば、CPU21は、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を推定すると、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報を例えば表示部26に表示してもよい。ここで、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報は、テキストデータで構成されてもよいし、画像データ等で構成されてもよい。また、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報が音声データで構成されている場合には、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報を、スピーカ等の音声出力装置から出力してもよい。
【0090】
また、CPU21は、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報を、通信網NWを介して推定装置20に接続された他のコンピュータ(例えば、サーバ等)に送信してもよい。
【0091】
第2推定手段36は、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)の状態が推定された場合に、推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報と、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報、及び、事前に推定された別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の気象状態(状態)に関する情報を第2学習データとして用いた機械学習に基づく第2学習済モデルと、に基づいて、別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の気象状態(状態)の状態を推定する機能を備える。
【0092】
ここで、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)及び別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の各々は、複数のサブ領域SR11~SR44を含む所定の領域R内の隣接するサブ領域に存在してもよい。これにより、所定の領域R内の何れかのサブ領域(例えば、サブ領域SR21)に存在する地点(第2地点)の気象状態(状態)を推定した場合に、当該何れかのサブ領域(例えば、サブ領域SR21)に隣接する別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)に存在する地点(第3地点)の気象状態(状態)を容易に推定することができる。
【0093】
また、第2学習データは、別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)に設けられた計測装置10によって計測された当該地点(第3地点)の気象状態(状態)に関する情報を正解データとして含んでもよい。これにより、別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)に設けられた計測装置10によって計測された当該地点(第3地点)の気象状態(状態)に関する情報を正解データとして含む第2学習データを用いた機械学習が行われることにより、第2学習済モデルを用いた当該地点(第3地点)の推定精度を向上させることが可能になる。
【0094】
第2推定手段36の機能は、例えば以下のように実現される。推定装置20のCPU21は、第1推定手段35の機能に基づいて他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を推定すると、第2取得データにアクセスして、第2取得データに新たに記憶された情報(つまり、推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報、及び、その情報に対応付けられている事前に推定された別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の気象状態(状態)に関する情報)を抽出する。そして、CPU21は、抽出した情報を第2学習済モデルに入力することによって、別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の気象状態(状態)を推定する。
【0095】
このようにして、CPU21は、第2取得データに記憶された情報を第2学習済モデルに入力することによって、別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の気象状態(状態)を容易に推定することができる。
【0096】
なお、CPU21は、上記と同様に、第2推定手段36の機能に基づいて推定された別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の気象状態(状態)に関する情報を提示してもよい。
【0097】
(4)本実施形態のモデル学習システムの主要な処理のフロー
次に、本実施形態の学習データ生成システムにより行われる主要な処理のフローの一例について、
図11のフローチャートを参照して説明する。
【0098】
先ず、推定装置20のCPU21は、第1取得手段31の機能に基づいて、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報を取得する(ステップS100)。
【0099】
次に、推定装置20のCPU21は、第2取得手段32の機能に基づいて、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)とは異なる他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報を取得する(ステップS102)。
【0100】
次いで、推定装置20のCPU21は、学習手段33の機能に基づいて、取得した少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報と、事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報と、取得した他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報と、を学習データとして用いた機械学習によって、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)及び事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報に基づいて、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を推定するのに用いられる第1モデル(モデル)を学習する(ステップS104)。
【0101】
このようにして、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)及び事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報と、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)と、の関係を示す第1学習済モデルが構成される。
【0102】
なお、
図11のフローチャートでは説明を省略したが、CPU21は、上述した学習手段33の機能に基づいて、推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の状態に関する情報と、事前に推定された別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の状態に関する情報と、計測装置10によって計測された当該別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の状態に関する情報と、を学習データ(第2学習データ)として用いた機械学習に基づいて、当該別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の状態を推定するための第2モデル(モデル)を学習してもよい。
【0103】
(5)本実施形態の推定システムの主要な処理のフロー
次に、本実施形態の推定システムにより行われる主要な処理のフローの一例について、
図12のフローチャートを参照して説明する。
【0104】
先ず、推定装置20のCPU21は、情報取得手段34の機能に基づいて、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報を取得する(ステップS200)。
【0105】
次に、推定装置20のCPU21は、第1推定手段35の機能に基づいて、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報を取得した場合に、取得した少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報と、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報、及び、事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報を第1学習データとして用いた機械学習に基づく第1学習済モデルと、に基づいて、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を推定する(ステップS202)。
【0106】
なお、
図12のフローチャートでは説明を省略したが、CPU21は、上述した第2推定手段36の機能に基づいて、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)の状態が推定された場合に、推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報と、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報、及び、事前に推定された別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の気象状態(状態)に関する情報を第2学習データとして用いた機械学習に基づく第2学習済モデルと、に基づいて、別のサブ領域(例えば、サブ領域SR31)の或る地点(第3地点)の気象状態(状態)の状態を推定してもよい。
【0107】
上述したように、本実施形態の推定システム、推定方法、プログラムによれば、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報を取得した場合に、取得した少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報と、第1学習済モデルと、に基づいて、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を推定することが可能になる。これにより、例えば、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報が得られない場合であっても、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を容易に推定することができる。また、本実施形態によれば、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報と、事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報と、を第1学習データとして用いた機械学習に基づいて第1学習済モデルが生成されているので、例えば、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報のみを学習データとして用いて学習済モデルを生成した場合と比較して、各地点の状態の推定精度を向上させることが可能になる。
【0108】
また、本実施形態のモデル学習システム、モデル学習方法、プログラムによれば、他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報が得られない場合であっても、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報に基づいて他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)を容易に推定することの可能なモデルを生成することができる。また、本実施形態によれば、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報と、事前に推定された他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)に関する情報と、取得した他のサブ領域(例えば、サブ領域SR21)の或る地点(第2地点)の気象状態(状態)と、を学習データとして用いた機械学習に基づいてモデルが生成されているので、例えば、少なくとも1つのサブ領域(例えば、サブ領域SR11)の或る地点(第1地点)の気象状態(状態)に関する情報のみを学習データとして用いて学習済モデルを生成した場合と比較して、各地点の状態の推定精度を向上させることが可能になる。
【0109】
以下、上述した実施形態の変形例について説明する。
(変形例)
上記実施形態では、所定の領域R内の複数のサブ領域SR11~SR44のうち何れかのサブ領域(
図1に示す例では、サブ領域SR11,SR44)に計測装置10が設けられている場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、
図13に示すように、少なくとも1つの計測装置10の各々が領域Rの外部に配置されてもよい。この場合、推定装置20のCPU21は、少なくとも1つの計測装置10の各々が配置された地点における気象状態(状態)に基づいて、各サブ領域SR11~SR44の気象状態(状態)を推定してもよい。この場合においても、上述した実施形態と同様の作用効果を発揮することが可能である。
【0110】
なお、本発明のプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。このプログラムを記録した記憶媒体は、
図2に示す推定装置20のROM22、RAM23又は記憶装置24であってもよい。また、記憶媒体は、例えばCD-ROMドライブ等のプログラム読取装置に挿入されることで読み取り可能なCD-ROM等であってもよい。さらに、記憶媒体は、磁気テープ、カセットテープ、フレキシブルディスク、MO/MD/DVD等であってもよいし、半導体メモリであってもよい。
【0111】
以上説明した実施形態及び変形例は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態及び変形例に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0112】
例えば、上述した実施形態では、各地点の気象状態を推定する場合を一例として説明したが、本発明は、この場合に限られない。各地点の状態は、例えば、各地点における所定のオブジェクト(例えば、人物、動物、物品、機械、車両、飛行体等)の移動や滞留等の流出入状態、各地点に存在する所定のオブジェクトの数、各地点における所定の疾病の感染者数、各地点における作物の生産量等のように、各地点の状態推定の対象となり得るものであれば如何なるものであってもよい。
【0113】
また、上述した実施形態では、領域R内の各サブ領域SR11~SR44の気象状態(状態)を推定する場合を一例として説明したが、本発明は、この場合に限られない。例えば、サブ領域によって区画されていない領域内の複数の地点の気象状態(状態)が推定されてもよい。
【0114】
さらに、上述した実施形態では、1つの地点で計測又は推定された気象状態(状態)に基づいて他の地点の気象状態(状態)を推定する場合を一例として説明したが、本発明は、この場合に限られない。例えば、複数の地点で計測又は推定された気象状態(状態)に基づいて他の地点の気象状態(状態)が推定されてもよい。この場合、第1モデル及び第2モデルは、複数の地点で計測又は推定された気象状態(状態)に基づいて他の地点の気象状態(状態)を推定するように学習されてもよい。
【0115】
さらにまた、上述した実施形態では、複数のサブ領域SR11~SR44の各々が矩形状に形成されている場合を一例として説明したが、本発明は、この場合に限られない。例えば、複数のサブ領域SR11~SR44のうち少なくとも1つの形状が矩形状以外の形状に形成されてもよい。また、複数のサブ領域SR11~SR44のサイズは、全て同じであってもよいし、少なくとも1つのサブ領域のサイズが異なっていてもよい。
【0116】
また、上述した実施形態では、1つの推定装置20が設けられている場合を一例として説明したが、この場合に限られない。例えば、複数の推定装置20が設けられてもよく、この場合には、複数のサブ領域SR11~SR44毎に1つの推定装置20が設けられてもよいし、何れかの推定装置20上の操作内容及び処理結果等が他の推定装置20上でリアルタイムに提示されてもよいし、何れかの推定装置20での処理結果等が複数の推定装置20間で共有されてもよい。
【0117】
さらに、上述した実施形態では、推定装置20によって、第1取得手段31、第2取得手段32、学習手段33、情報取得手段34、第1推定手段35及び第2推定手段36の各機能を実現する構成としたが、この構成に限られない。例えば、インターネットやLAN等の通信網を介して推定装置20と通信可能に接続されたコンピュータ等(例えば、汎用のパーソナルコンピュータやサーバコンピュータ等)から構成された学習装置40(
図14に示す)であって、上述したモデル(第1モデル及び第2モデル)を学習するのに用いられる学習装置40が設けられてもよい。この場合、推定装置20及び学習装置40は、実質的に同一のハードウェア構成を採ることができるので、上記実施形態において説明した各手段31~36のうち少なくとも1つの手段の機能を学習装置40によって実現することが可能になる。例えば、
図3に示した機能ブロック図の各機能は、
図14(a),(b)に示すように、推定装置20と学習装置40との間で任意に分担されてもよい。
【0118】
さらにまた、上記各手段31~36のうち少なくとも1つの手段の機能を、推定装置20以外の他の装置(例えば、計測装置10等)によって実現する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
上述したような本発明の推定システム、モデル学習システム、推定方法、モデル学習方法、プログラムは、各地点の状態に関する情報が得られない場合であっても、各地点の状態を容易に推定することができるので、例えば、各地点の状態(例えば、気象状態、各地点における所定のオブジェクト(例えば、人物、動物、物品、機械、車両、飛行体等)の移動や滞留等の流出入状態、各地点に存在する所定のオブジェクトの数、各地点における所定の疾病の感染者数、各地点における作物の生産量等)の推定(予測)を行う推定システム等に好適に利用することが可能になる。したがって、その産業上の利用可能性は極めて大きい。
【符号の説明】
【0120】
10…計測装置
20…推定装置
31…第1取得手段
32…第2取得手段
33…学習手段
34…情報取得手段
35…第1推定手段
36…第2推定手段
40…学習装置
R…領域
SR11,SR12,SR13,SR14,SR21,SR22,SR23,SR24,SR31,SR32,SR33,SR34,SR41,SR42,SR43,SR44…サブ領域