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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077876
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】温度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/22 20060101AFI20240603BHJP
   G01K 1/16 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
G01K7/22 L
G01K1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190087
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 哲
(72)【発明者】
【氏名】飯田 照幸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 大輔
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056DA02
2F056QF04
2F056QF06
2F056QF07
2F056QF08
(57)【要約】
【課題】 より高い熱応答性を有して高精度な温度測定が可能な温度センサを提供すること。
【解決手段】 上面及び下面に電極面を有した感熱素子2と、感熱素子に電気的に接続された一対のリード端子3と、感熱素子及び一対のリード端子の先端部を樹脂で封止した樹脂封止部4と、少なくとも一面を露出させて樹脂封止部に埋め込まれ一対のリード端子から離間した導電性のフローティング端子5とを備え、感熱素子が、下面の電極面をフローティング端子に導電性接合材で接着させた状態でフローティング端子上に実装され、フローティング端子と一対のリード端子の一方との電気的接続、及び前記上面の電極面と一対のリード端子の他方との電気的接続が、ボンディングワイヤで行われている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面及び下面に電極面を有した感熱素子と、
前記感熱素子に電気的に接続された一対のリード端子と、
前記感熱素子及び前記一対のリード端子の先端部を樹脂で封止した樹脂封止部と、
少なくとも一面を露出させて前記樹脂封止部に埋め込まれ前記一対のリード端子から離間した導電性のフローティング端子とを備え、
前記感熱素子が、前記下面の電極面を前記フローティング端子に導電性接合材で接着させた状態で前記フローティング端子上に実装され、
前記フローティング端子と前記一対のリード端子の一方との電気的接続、及び前記上面の電極面と前記一対のリード端子の他方との電気的接続が、ボンディングワイヤで行われていることを特徴とする温度センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の温度センサにおいて、
前記フローティング端子が、前記樹脂封止部の下面と側面とに露出していることを特徴とする温度センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温度センサにおいて、
前記フローティング端子が、前記一対のリード端子の先端から離間して配置されていると共に、前記一対のリード端子の延在方向に対して直交する方向に延在した長板状又は角柱状であることを特徴とする温度センサ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の温度センサにおいて、
前記樹脂封止部が、一対の外部配線を差し込むことで前記一対のリード端子の基端と前記一対の外部配線とが接続可能なコネクタ部を有していることを特徴とする温度センサ。
【請求項5】
請求項1に記載の温度センサにおいて、
前記一対のリード端子が、前記樹脂封止部内で互いに平行に延在しており、
前記フローティング端子が、前記一対のリード端子の間に延在していることを特徴とする温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータステータのコイル導線等の温度測定に用いられる温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、モータステータ等は高温になるため、温度センサによる制御が必須である。そのため、モータステータのコイル導線等の測定対象物には、温度センサが取り付けられている。
このような測定対象物に接触状態に設置する温度センサとしては、絶縁性基板にフレーク型サーミスタを実装したものが知られている。
【0003】
従来、例えば特許文献1には、感温部に、フレーク型サーミスタ実装凹部及びスルーホールを有する絶縁性の基板と、フレーク型サーミスタ実装凹部の下部領域に形成された下面電極部と、スルーホールの上部領域に形成される上面電極部と、スルーホールの下部領域に形成された上面電極用集熱部と、フレーク型サーミスタ実装凹部内に埋め込まれ、下部電極が下面電極部に電気的に接続されるフレーク型サーミスタと、上面電極用集熱部と上面電極部、及び、上面電極部とフレーク型サーミスタの上部電極を電気的に接続する導電部と、を有する薄型温度センサが記載されている。
【0004】
また、測定対象物との接触面に、金属膜等の集熱膜を設けた温度センサが知られている。例えば、特許文献2には、絶縁性フィルムと、絶縁性フィルムの表面にサーミスタ材料でパターン形成された薄膜サーミスタ部と、薄膜サーミスタ部の上及び下の少なくとも一方に複数の櫛部を有して互いに対向してパターン形成された一対の櫛型電極と、一対の櫛型電極に接続され絶縁性フィルムの表面にパターン形成された一対のパターン電極と、絶縁性フィルムの裏面であって薄膜サーミスタ部の直下に絶縁性フィルムよりも熱伝導率の高い材料でパターン形成された集熱膜とを備えている温度センサが記載されている。
さらに、特許文献3にも、絶縁性基板の一面に感熱膜と電極とを形成すると共に絶縁性基板の他面に金属等の集熱膜を形成した感熱素子を備えた温度センサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-64497号公報
【特許文献2】特開2016-138773号公報
【特許文献3】実公平4-3325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、モータステータのコイル導線等の高温になる測定対象物の温度を検出するための温度センサでは、モータの熱に素早く反応して制御するために、さらに高い熱応答性や熱追従性が求められている。しかしながら、従来の技術では、測定対象物に接触する面に金属等の集熱膜を形成することで、効率的に熱を伝えて熱応答性を向上させているが、集熱膜と感熱素子との間に絶縁性基板等が介在するため、さらに高い熱応答性や熱追従性を得ることが困難であった。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、より高い熱応答性を有して高精度な温度測定が可能な温度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る温度センサは、上面及び下面に電極面を有した感熱素子と、前記感熱素子に電気的に接続された一対のリード端子と、前記感熱素子及び前記一対のリード端子の先端部を樹脂で封止した樹脂封止部と、少なくとも一面を露出させて前記樹脂封止部に埋め込まれ前記一対のリード端子から離間した導電性のフローティング端子とを備え、前記感熱素子が、前記下面の電極面を前記フローティング端子に導電性接合材で接着させた状態で前記フローティング端子上に実装され、前記フローティング端子と前記一対のリード端子の一方との電気的接続、及び前記上面の電極面と前記一対のリード端子の他方との電気的接続が、ボンディングワイヤで行われていることを特徴とする。
【0009】
この温度センサでは、感熱素子が、下面の電極面をフローティング端子に導電性接合材で接着させた状態でフローティング端子上に実装されているので、感熱素子がヒートスプレッダとして機能するフローティング端子に直接接触することで、高い熱応答性を得ることができる。
また、フローティング端子と一対のリード端子の一方との電気的接続、及び上面の電極面と一対のリード端子の他方との電気的接続が、ボンディングワイヤで行われているので、フローティング端子が一対のリード端子から熱的に浮いた状態となり、測定対象物からフローティング端子が受けた熱が、リード端子から放熱され難くなる。
したがって、この温度センサでは、ヒートスプレッダとして機能し熱的に浮いたフローティング端子の露出面を測定対象物に接触させた状態で設置することで、フローティング端子上に実装された感熱素子に効率的に伝熱させることができ、高い熱応答性を有して温度を計測することが可能になる。
【0010】
第2の発明に係る温度センサは、第1の発明において、前記フローティング端子が、前記樹脂封止部の下面と側面とに露出していることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、フローティング端子が、樹脂封止部の下面と側面とに露出しているので、測定対象物に埋め込んで設置される場合に、下面だけでなく側面からも測定対象物の熱を受けて感熱素子に伝えることができ、より熱応答性を高めることができる。
【0011】
第3の発明に係る温度センサは、第1又は第2の発明において、前記フローティング端子が、前記一対のリード端子の先端から離間して配置されていると共に、前記一対のリード端子の延在方向に対して直交する方向に延在した長板状又は角柱状であることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、フローティング端子が、一対のリード端子の先端から離間して配置されていると共に、一対のリード端子の延在方向に対して直交する方向に延在した長板状又は角柱状であるので、下面の露出面積が延在方向に増大し、フローティング端子の延在方向に沿って延在する測定対象物に設置する場合等に適している。また、フローティング端子全体をよりリード端子から離間させることが可能になって、さらに熱応答性が向上する。
【0012】
第4の発明に係る温度センサは、第1又は第2の発明において、前記樹脂封止部が、一対の外部配線を差し込むことで前記一対のリード端子の基端と前記一対の外部配線とが接続可能なコネクタ部を有していることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、樹脂封止部が、一対の外部配線を差し込むことで一対のリード端子の基端と一対の外部配線とが接続可能なコネクタ部を有しているので、コネクタ部によって外部配線を容易に接続することができる。
【0013】
第5の発明に係る温度センサは、第1の発明において、前記一対のリード端子が、前記樹脂封止部内で互いに平行に延在しており、前記フローティング端子が、前記一対のリード端子の間に延在していることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、フローティング端子が、一対のリード端子の間に延在しているので、下面の露出面積が延在方向に増大し、リード端子の延在方向(フローティング端子の延在方向)に沿って延在する測定対象物に設置する場合等に適している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る温度センサによれば、感熱素子が、下面の電極面をフローティング端子に導電性接合材で接着させた状態でフローティング端子上に実装され、フローティング端子と一対のリード端子の一方との電気的接続、及び上面の電極面と一対のリード端子の他方との電気的接続が、ボンディングワイヤで行われているので、ヒートスプレッダとして機能し熱的に浮いたフローティング端子上に実装された感熱素子に効率的に伝熱させることができ、高い熱応答性を有して温度を計測することが可能になる。
このように本発明の温度センサでは、熱応答性が高速化するため、モータステータのコイル導線等の高精度な温度測定に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る温度センサの第1実施形態において、内部を透視して示す温度センサの上方から視た斜視図である。
図2】第1実施形態において、温度センサを示す下方から視た斜視図である。
図3】第1実施形態において、フローティング端子上に実装された感熱素子を示す要部の拡大斜視図である。
図4】第1実施形態において、温度センサを測定対象物に埋め込んだ状態を示すフローティング端子に沿った断面図である。
図5】本発明に係る温度センサの第2実施形態において、温度センサを基端側から視た斜視図である。
図6】本発明に係る温度センサの第3実施形態において、内部を透視して示す温度センサの上方から視た斜視図である。
図7】本発明に係る温度センサの第4実施形態において、内部を透視して示す温度センサの上方から視た斜視図である。
図8】本発明に係る温度センサの第5実施形態において、内部を透視して示す温度センサの上方から視た斜視図である。
図9】本発明に係る温度センサの実施例において、時間に対する温度変化を示す熱時定数シミュレーションのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る温度センサにおける第1実施形態を、図1から図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面の一部では、各部を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
【0017】
本実施形態の温度センサ1は、図1から図4に示すように、上面及び下面に電極面2aを有した感熱素子2と、感熱素子2に電気的に接続された一対のリード端子3と、感熱素子2及び一対のリード端子3の先端部を樹脂で封止した樹脂封止部4と、少なくとも一面を露出させて樹脂封止部4に埋め込まれ一対のリード端子3から離間した導電性のフローティング端子5とを備えている。
【0018】
なお、本実施形態の温度センサ1は、例えばモータステータのコイル導線に、少なくともフローティング端子5の露出した下面を接触状態に設置して、コイル導線の温度を検出するものである。
また、感熱素子2は、下面の電極面2aをフローティング端子5に導電性接合材6で接着させた状態でフローティング端子5上に実装されている。
上記導電性接合材6は、例えばハンダである。
【0019】
さらに、上面の電極面2aと一対のリード端子3の他方との電気的接続、及びフローティング端子5と一対のリード端子3の一方との電気的接続は、ボンディングワイヤYで行われている。
上記フローティング端子5は、樹脂封止部4の下面と側面とに露出している。
また、フローティング端子5は、一対のリード端子3の先端から離間して配置されていると共に、一対のリード端子3の延在方向に対して直交する方向に延在した長板状又は角柱状である。
【0020】
上記感熱素子2は、板状のサーミスタ材料部2bの上下面に金属等の導電性材料層の電極面2aが形成されたフレーク型サーミスタである。
上記一対のリード端子3は、樹脂封止部4内で互いに平行に延在したリードフレームである。
上記樹脂封止部4は、例えばエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂で形成され、平面視長方形の板状又は低背の箱状に成形されている。
なお、樹脂封止部4は、フローティング端子5,感熱素子2,ボンディングワイヤY及び一対のリード端子3の先端部側を覆って封止している。
【0021】
上記ボンディングワイヤYは、フローティング端子5と一対のリード端子3の一方との間、及び上面の電極面2aと一対のリード端子3の他方との間に、それぞれ2本ずつ架け渡されている。
上記フローティング端子5は、例えば銅等の高熱伝導率の導電性材料で形成されている。
【0022】
このフローティング端子5は、断面矩形の棒状(長板状又は角柱状)に形成され、下面だけでなく両端面が樹脂封止部4から露出している。
また、フローティング端子5の下面は、樹脂封止部4の下面と、面一に設定されている。なお、測定対象物との接触面であるフローティング端子5の下面及び樹脂封止部4の下面に、TIM(Thermal Interface Material)材や放熱シートを付けて凹凸を吸収するようにしても構わない。
【0023】
このように本実施形態の温度センサ1では、感熱素子2が、下面の電極面2aをフローティング端子5に導電性接合材6で接着させた状態でフローティング端子5上に実装されているので、感熱素子2がヒートスプレッダとして機能するフローティング端子5に直接接触することで、高い熱応答性を得ることができる。
また、フローティング端子5と一対のリード端子3の一方との電気的接続、及び上面の電極面2aと一対のリード端子3の他方との電気的接続が、ボンディングワイヤYで行われているので、フローティング端子5が一対のリード端子3から熱的に浮いた状態となり、測定対象物からフローティング端子5が受けた熱が、リード端子3から放熱され難くなる。
【0024】
したがって、この温度センサ1では、ヒートスプレッダとして機能し熱的に浮いたフローティング端子5の露出面を測定対象物に接触させた状態で設置することで、フローティング端子5上に実装された感熱素子2に効率的に伝熱させることができ、高い熱応答性を有して温度を計測することが可能になる。
また、フローティング端子5が、樹脂封止部4の下面と側面とに露出しているので、図4に示すように、測定対象物Sに埋め込んで設置される場合に、下面だけでなく側面からも測定対象物Sの熱を受けて感熱素子2に伝えることができ、より熱応答性を高めることができる。
【0025】
さらに、フローティング端子5が、一対のリード端子3の先端から離間して配置されていると共に、一対のリード端子3の延在方向に対して直交する方向に延在した長板状又は角柱状であるので、下面の露出面積が延在方向に増大し、フローティング端子5の延在方向に沿って延在する測定対象物に設置する場合等に適している。また、フローティング端子5全体をよりリード端子から離間させることが可能になって、さらに熱応答性が向上する。
【0026】
次に、本発明に係る温度センサの第2~第5実施形態について、図5図8を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0027】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、樹脂封止部4が単に板状であり、基端面から一対のリード端子3の基端部が突出しているだけであるのに対し、第2実施形態の温度センサ21では、図5に示すように、樹脂封止部24が、一対の外部配線を差し込むことで一対のリード端子3の基端と一対の外部配線とが接続可能なコネクタ部24aを有している点である。
【0028】
すなわち、第2実施形態の樹脂封止部24は、感熱素子2,フローティング端子5及び一対のリード端子3の先端側を封止している先端側封止部24bと、先端側封止部24bの基端に接続された上記コネクタ部24aとを備えている。
上記コネクタ部24aは、基端側に向けて矩形状に開口しており、一対の外部配線の端子が挿入可能になっている。このコネクタ部24aの内部には、一対のリード端子3の基端部が突出している。
【0029】
このように第2実施形態の温度センサ21では、樹脂封止部24が、一対の外部配線を差し込むことで一対のリード端子3の基端と一対の外部配線とが接続可能なコネクタ部24aを有しているので、コネクタ部24aによって外部配線を容易に接続することができる。
【0030】
次に、第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、フローティング端子5が、一対のリード端子3の先端から離間して配置されていると共に、一対のリード端子3の延在方向に対して直交する方向に延在した長板状又は角柱状であるのに対し、第3実施形態の温度センサ31では、図6に示すように、フローティング端子35が、一対のリード端子3の間に延在している点である。
【0031】
すなわち、第3実施形態のフローティング端子35は、長板状又は角柱状であるが、樹脂封止部4内で一対のリード端子3の間にリード端子3と平行に延在している。
また、一対のリード端子3は、樹脂封止部4の先端近傍まで延在している。
このように第3実施形態の温度センサ31では、フローティング端子35が、一対のリード端子3の間に延在しているので、下面の露出面積が延在方向に増大し、リード端子3の延在方向(フローティング端子35の延在方向)に沿って延在する測定対象物に設置する場合等に適している。
【0032】
次に、第4実施形態と第3実施形態との異なる点は、第3実施形態では、フローティング端子35が、一対のリード端子3の間に延在している長板状又は角柱状であるのに対し、第4実施形態の温度センサ41では、図7に示すように、フローティング端子45が、一対のリード端子3の間に延在している縦長部分45aと、縦長部分45aの先端に接続されリード端子3の延在方向に直交した方向に長い平面視長方形の横長部分45bとを備えた略T字状になっている点である。
【0033】
上記横長部分45bは、第1実施形態のフローティング端子5よりも幅広に形成されている。
このように第4実施形態の温度センサ41では、フローティング端子45が、縦長部分45aと横長部分45bとを備えた略T字状になっているので、下面の露出面積がより増大して、より高い熱応答性を得ることができる。
【0034】
次に、第5実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、フローティング端子5がリード端子3の延在方向に直交する方向に延在する長板状又は角柱状になっているのに対し、第5実施形態の温度センサ51では、図7に示すように、フローティング端子55がリード端子3の延在方向に長い平面視長方形の板状になっている点である。
【0035】
すなわち、第5実施形態では、一対のリード端子53が第1実施形態よりも短く、その分、フローティング端子55がリード端子3の延在方向に拡がった平板状になっている。
このように第5実施形態の温度センサ51では、フローティング端子55がリード端子3の延在方向に拡がった平板状になっているので、下面及び側面の露出面積が増大して、より熱応答性を得ることができる。
【実施例0036】
受熱面であるフローティング端子の下面及び樹脂封止部の下面を、巻き線に放熱シートを介して接触させた状態で、上記第1実施形態の温度センサを巻き線に設置した設定で、巻き線を瞬時に150℃に昇温した際の熱時定数シミュレーションを行った。このシミュレーション結果を、図9に示す。
【0037】
なお、環境温度は25℃であり、放熱シートの熱伝導率を2W/mKとしてシミュレーションした。
また、熱時定数は、巻き線の温度150℃のとき、感熱素子が104℃に達するまでの時間である。
この結果からわかるように、本発明の温度センサでは、熱時定数が0.7secと熱応答性が高く、素早く巻き線の温度を計測可能である。
【0038】
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0039】
例えば、上記各実施形態では、サーミスタを採用しているが、サーミスタとしては、チップサーミスタ,フレーク型サーミスタ又は薄膜サーミスタ等が採用可能であり、また焦電素子などを採用しても構わない。特に、200℃耐熱の能力がある感熱素子であることが好ましい。
【符号の説明】
【0040】
1,21,31,41,51…温度センサ、2…感熱素子、2a…電極面、3…リード端子、4,24…樹脂封止部、5,35,45,55…フローティング端子、6…導電性接合材、24a…コネクタ部、Y…ボンディングワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9