(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077878
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】消音プレート、排気装置
(51)【国際特許分類】
F01N 1/08 20060101AFI20240603BHJP
F01N 1/02 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
F01N1/08 G
F01N1/02 K
F01N1/08 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190089
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 武生
(72)【発明者】
【氏名】千野 貴礼
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004AA02
3G004BA01
3G004BA03
3G004CA06
3G004CA13
3G004DA09
3G004FA01
(57)【要約】
【課題】エンジンの出力低下を抑えつつ、安価かつ簡易な構成で騒音を低減する。
【解決手段】消音プレート(20)は、気体が流れる配管の内側に設置されている。消音プレートには、気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状の分流部(21)と、気体の通り道を空けて配管の内周面に対向した側縁部(22)と、が形成されている。側面視にて分流部の裏側に気体を通すように側縁部が開口された形状である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が流れる配管の内側に設置される消音プレートであって、
気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状の分流部と、
気体の通り道を空けて前記配管の内周面に対向した側縁部と、を有し、
側面視にて前記分流部の裏側に気体を通すように前記側縁部が開口された形状であることを特徴とする消音プレート。
【請求項2】
前記分流部よりも気体の流通方向の下流側が開放されていることを特徴とする請求項1に記載の消音プレート。
【請求項3】
前記分流部は、高さ方向の一方側かつ幅方向の一方側で気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状の第1の分流部及び高さ方向の他方側かつ幅方向の他方側で気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状の第2の分流部であり、
前記側縁部は、高さ方向の一方側かつ幅方向の一方側で気体の通り道を空けて前記配管の内周面に対向する第1の側縁部及び高さ方向の他方側かつ幅方向の他方側で気体の通り道を空けて前記配管の内周面に対向する第2の側縁部であることを特徴とする請求項2に記載の消音プレート。
【請求項4】
前記分流部は、幅方向の一方側かつ気体の流通方向の一方側で気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状の第1の分流部及び幅方向の他方側かつ気体の流通方向の他方側で気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状の第2の分流部であり、
前記側縁部は、幅方向の一方側かつ気体の流通方向の一方側で気体の通り道を空けて前記配管の内周面に対向する第1の側縁部及び幅方向の他方側かつ気体の流通方向の他方側で気体の通り道を空けて前記配管の内周面に対向する第2の側縁部であることを特徴とする請求項2に記載の消音プレート。
【請求項5】
前記第1の分流部及び前記第1の側縁部が一枚のプレートの幅方向の一方側を高さ方向の一方側に曲げられて形成され、前記第2の分流部及び前記第2の側縁部が当該一枚のプレートの幅方向の他方側を高さ方向の他方側に曲げられて形成されていることを特徴とする請求項3に記載の消音プレート。
【請求項6】
気体の流通方向の下流側に突き出した凸面状の整流部を有し、
前記整流部によって前記分流部よりも気体の流通方向の下流側が部分的に閉塞されていることを特徴とする請求項1に記載の消音プレート。
【請求項7】
前記分流部及び前記整流部の幅方向の一部が切り欠かれていることを特徴とする請求項6に記載の消音プレート。
【請求項8】
前記分流部の幅方向の一方側が切り欠かれ、
前記整流部の幅方向の他方側が切り欠かれていることを特徴とする請求項7に記載の消音プレート。
【請求項9】
エンジンからの排気ガスが流れる前記配管としての内筒と、
前記内筒を径方向外側から覆って消音室を形成する外筒と、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の消音プレートと、を備え、
前記内筒の外周面にはパンチング穴が空けられており、前記消音プレートが前記内筒の内側に設置されていることを特徴とする排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消音プレート、排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両の排気装置では、パンチング穴が空いた内筒と内筒を覆う外筒の間にグラスウール等の吸音材が詰められている。この種の排気装置として、内筒の内側に略円錐状の先端形状の小径パイプが設置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。略円錐状の先端が排気方向の上流側に向けられており、この略円錐状の先端を除いて小径パイプにパンチング穴が空けられている。排気ガスが小径パイプの先端に突き当たって径方向外側に拡散されて、排気ガスが内筒のパンチング穴を通過する際の圧力損失や吸音材による排気音の吸収によって騒音が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の排気装置では、内筒の内側に小径パイプが設置されているため、排気通路が狭くなってエンジンの出力が低下すると共に排気音質が悪化するおそれがある。また、排気装置の構造が複雑になってコストと重量が増加するという不具合があった。このような不具合は、排気装置以外のエンジンに連なる配管でも生じ得る。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、エンジンの出力低下を抑えつつ、安価かつ簡易な構成で騒音を低減することができる消音プレート及び排気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の消音プレートは、気体が流れる配管の内側に設置される消音プレートであって、気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状の分流部と、気体の通り道を空けて前記配管の内周面に対向した側縁部と、を有し、側面視にて前記分流部の裏側に気体を通すように前記側縁部が開口された形状であることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の消音プレートによれば、消音プレートの側縁部と配管の内周面の間に気体が入り、消音プレートの側縁部と配管の内周面の間から気体が抜け出すことで、消音プレートの分流部の裏側で気体が膨張して気体のエネルギーが減衰される。また、消音プレートの側縁部と配管の内周面の間に気体の通り路が形成されるため、気体が消音プレートの側方を流れ易くなって管内圧力が低下する。よって、安価かつ簡易な構成で、エンジンの出力低下を抑えつつ騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】本実施例の消音プレートを用いたときの排気ガスの流れを示す図である。
【
図5】変形例1の消音プレートを用いたときの排気ガスの流れを示す図である。
【
図7】変形例2の消音プレートを用いたときの排気ガスの流れを示す図である。
【
図9】変形例3の消音プレートを用いたときの排気ガスの流れを示す図である。
【
図11】周波数毎の騒音レベルを消音プレートの有無で比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の消音プレートは、気体が流れる配管の内側に設置されている。消音プレートには、気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状の分流部と、気体の通り道を空けて配管の内周面に対向した側縁部と、が形成されている。側面視にて分流部の裏側に気体を通すように側縁部が開口されている。これにより、消音プレートの側縁部と配管の内周面の間に気体が入り、消音プレートの側縁部と配管の内周面の間から気体が抜け出すことで、消音プレートの分流部の裏側で気体が膨張して気体のエネルギーが減衰される。また、消音プレートの側縁部と配管の内周面の間に気体の通り路が形成されるため、気体が消音プレートの側方を流れ易くなって管内圧力が低下する。よって、安価かつ簡易な構成で、エンジンの出力低下を抑えつつ騒音を低減することができる。
【実施例0010】
以下、添付図面を参照して、本実施例の排気装置について説明する。また、以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。
【0011】
図1に示すように、排気装置10の上流側には排気管11が接続され、排気装置10の下流側にはテールパイプ12が接続されている。排気装置10の内筒13を介して排気管11とテールパイプ12が連なっており、排気管11を介してエンジン(不図示)からの排気ガスが内筒13を流れている。排気装置10の外筒14によって内筒13が径方向外側から覆われており、外筒14と内筒13の間には消音室15が形成されている。内筒13には多数のパンチング穴16が空いており、内筒13の内側と消音室15がパンチング穴16を通じて連なっている。消音室15にはグラスウール等の吸音材が充填されている。
【0012】
排気装置10では、排気管11から内筒13に排気ガスが流入して、内筒13からテールパイプ12に排気ガスが流出する。このとき、排気ガスの一部が内筒13のパンチング穴16を通って外筒14内の消音室15に入り込み、排気ガスがパンチング穴16を通過する際の圧力損失や吸音材によって排気ガスのエネルギーが減衰されて騒音が低減されている。ところで、排気装置10の消音性能を向上させるために、内筒13内の障害物の設置や内筒13の縮径によって管内圧力を高めて消音室15に向かう排気ガスを増加させることが考えられる。しかしながら、排圧が大きくなり過ぎるとエンジンの出力が低下する。
【0013】
従来から排気装置10では、消音性能の向上と背圧の低下の両立を図るために、内筒の構造や内筒の内側の障害物の構造が検討されているが、内筒や障害物の構造が複雑になって製造コストが増加するという不具合がある。そこで、本実施例の排気装置10には、1枚の長尺プレートから成る消音プレート20が内筒13を部分的に遮るように設置されている。消音プレート20によって消音室15に向かって排気ガスが流されると共に消音プレート20の側方を排気ガスが通過している。これにより、簡易かつ安価な構成で排気装置10の消音性能が確保されると共に排圧の増加が最小限に抑えられている。
【0014】
以下、
図2を参照して、本実施例の消音プレート及び排気ガスの流れについて説明する。
図2は、本実施例の消音プレートの斜視図である。
図3は、本実施例の消音プレートを用いたときの排気ガスの流れを示す図である。なお、以下の説明では、排気ガスの流通方向から見たときに、消音プレートの両端の対向方向を高さ方向とし、高さ方向に直交する方向を幅方向とし、排気ガスの流通方向を長さ方向として説明する。
【0015】
図2に示すように、消音プレート20は、長尺プレートの延在方向の両端側が対向するように側面視U字状に曲げられており、湾曲箇所が排気ガスの流通方向の上流側を向くように内筒13の内側に設置されている。このとき、消音プレート20の高さ寸法は内筒13の内径に略一致しており、消音プレート20の高さ方向の両端部(後端部)が内筒13の内周面に固定されている。また、消音プレート20の幅寸法は内筒13の内径よりも小さく形成されており、排気ガスの流通方向から見て消音プレート20と内筒13の間に適度な隙間が空けられている。
【0016】
消音プレート20の湾曲箇所は排気ガスの流通方向の上流側に突き出した凸面状の分流部21になっている。分流部21によって排気ガスの流れが高さ方向に分流されて、排気ガスが内筒13から消音室15(
図1参照)に向かうことで消音性能が向上されている。また、分流部21の湾曲面によって流体抵抗が小さくなって内筒13内の排圧の増加が抑えられている。消音プレート20の幅方向の両端の側縁部22が排気ガスの通り道を空けて内筒13の内周面に対向している。消音プレート20の側方を排気ガスが通り易くなって内筒13の排圧が低下されている。
【0017】
消音プレート20の側縁部22は分流部21に沿って側面視U字状に曲げられている。これにより、側面視にて消音プレート20の分流部21の裏側に排気ガスを通すように側縁部22が開口された形状になっている。消音プレート20の側縁部22側から分流部21の裏側に排気ガスが入り込むことで膨張効果によって排気ガスのエネルギーが減衰される。また、消音プレート20の分流部21よりも排気ガスの流通方向の下流側が開放されている。消音プレート20の下流側で排気ガスが遮られることがないので、内筒13の排圧が低下してエンジンの出力低下が抑えられている。
【0018】
図3(A)及び
図3(B)に示すように、消音プレート20は内筒13の中央を縦方向に遮るように設置されている。内筒13の中央では消音プレート20によって排気ガスの流れが遮られ、内筒13の幅方向両側では消音プレート20の側方を排気ガスが通り抜けている。内筒13の中央の排気ガスは消音プレート20の分流部21の湾曲面に沿って高さ方向に分流されており、内筒13の幅方向両側の排気ガスは消音プレート20と内筒13の隙間23を通って後方に流れている。消音プレート20によって高さ方向に分流される排気ガスと消音プレート20を通過する排気ガスに分かれている。
【0019】
消音プレート20の分流部21によって排気ガスが高さ方向に分流されると、内筒13のパンチング穴16を通過して消音室15(
図1参照)に排気ガスが流れ込む。排気ガスが内筒13のパンチング穴16を通過する際の圧力損失によって排気ガスのエネルギーが減衰され、消音室15にて排気ガスと吸音材の摩擦によって排気ガスのエネルギーが減衰される。排気ガスが消音プレート20の側方の隙間23を通過すると、分流部21の裏側で排気ガスが膨張してエネルギーが減衰される。このように、排気ガスのエネルギーが減衰することによって騒音が低減されている。
【0020】
このとき、消音プレート20が隙間23を空けて内筒13に設置されているため、排気ガスが隙間23を通じて消音プレート20の後方に流れ易くなっている。また、消音プレート20の後方が開放されており、消音プレート20の後方で排気ガスの流れが遮られることがない。さらに、消音プレート20の分流部21が凸面状に形成されて排気ガスの流体抵抗が低くなっている。このように、内筒13に消音プレート20が設置されても、排気ガスが内筒13を流通方向の上流側から下流側に流れ易くなって、排気装置10の排圧が低下してエンジンの出力低下が抑えられている。
【0021】
以上、本実施例の消音プレート20によれば、排気ガスが分流部21によって径方向外側の消音室15に拡散されると共に、排気ガスが消音プレート20の裏側で膨張されて騒音が低減される。排気ガスが消音プレート20の側方を流れ易くなって背圧が低下してエンジンの出力低下が抑えられる。よって、安価かつ簡易な構成で、エンジンの出力低下を抑えつつ排気音を低減することができる。また、消音プレート20の設置位置を変えることで排気音質を調整することもできる。
【0022】
なお、本実施例では、側面視U字状に曲げた消音プレート20が内筒13に設置されたが、変形例1-4に示す消音プレート30、40、50、60が内筒13に設置されてもよい。
図4から
図10を参照して、変形例1-4の消音プレートについて説明する。
図4、
図6、
図8、
図10は、それぞれ変形例1-4の消音プレートの斜視図である。
図5、
図7、
図9、それぞれ変形例1-3の消音プレートを用いたときの排気ガスの流れを示す図である。
【0023】
図4に示すように、変形例1の消音プレート30では、一枚の長尺プレートの前縁から長手方向に切り込みが入れられ、プレートの分割箇所が上下逆向きに曲げられることで側面視U字状の上側プレート31A及び下側プレート31Bが形成されている。上側プレート31A及び下側プレート31Bの湾曲箇所が排気ガスの流通方向の上流側に向けられている。上側プレート31Aの上端部及び下側プレート31Bの下端部が内筒13の内周面に固定されている。また、排気ガスの流通方向から見て、上側プレート31Aの下方及び下側プレート31Bの上方が広く開放されている。
【0024】
上側プレート31Aの湾曲箇所は、排気通路の上側(高さ方向の一方側)かつ右側(幅方向の一方側)で、排気ガスの流通方向の上流側に突き出した凸面状の第1の分流部32Aになっている。下側プレート31Bの湾曲箇所は、排気通路の下側(高さ方向の他方側)かつ左側(幅方向の他方側)で、排気ガスの流通方向の上流側に突き出した凸面状の第2の分流部32Bになっている。第1、第2の分流部32A、32Bによって排気ガスの流れが高さ方向に分流されて、排気ガスが内筒13から消音室15(
図1参照)に向かうことで消音性能が向上されている。
【0025】
排気通路の上側(高さ方向の一方側)かつ右側(幅方向の一方側)で、上側プレート31Aの第1の側縁部33Aが排気ガスの通り道を空けて内筒13の内周面に対向している。排気通路の下側(高さ方向の他方側)かつ左側(幅方向の他方側)で、下側プレート31Bの第2の側縁部33Bが排気ガスの通り道を空けて内筒13の内周面に対向している。上側プレート31Aの右側方よりも左側方の通り道が広く、下側プレート31Bの左側方よりも右側方の通り道が広くなっている。上側プレート31A及び下側プレート31Bの側方を排気ガスが通り易くなって内筒13の排圧が大きく低下されている。
【0026】
上側プレート31A及び下側プレート31Bの第1、第2の側縁部33A、33Bは第1、第2の分流部32A、32Bに沿って側面視U字状に曲げられている。これにより、側面視にて第1、第2の分流部32A、32Bの裏側に排気ガスを通すように第1、第2の側縁部33A、33Bが開口された形状になっている。第1、第2の側縁部33A、33B側から第1、第2の分流部32A、32Bの裏側に排気ガスが入り込むことで膨張効果によって排気ガスのエネルギーが減衰される。また、第1、第2の分流部32A、32Bよりも排気ガスの流通方向の下流側が開放されて、内筒13の排圧が低下してエンジンの出力低下が抑えられている。
【0027】
このように、長尺プレートの右側が上向きに曲げられて、上側プレート31Aの第1の分流部32A及び第1の側縁部33Aが形成されている。長尺プレートの左側が下向きに曲げられて、下側プレート31Bの第2の分流部32B及び第2の側縁部33Bが形成されている。一枚の長尺プレートから第1、第2の分流部32A、32B及び第1、第2の側縁部33A、33Bが形成されて、消音プレート30の製造コストが低減されると共に消音プレート30の軽量化が図られている。なお、長尺プレートの右側が下向きに曲げられて上側プレートが形成され、長尺プレートの左側が上向きに曲げられて下側プレートが形成されてもよい。
【0028】
図5(A)及び
図5(B)に示すように、消音プレート30は、内筒13の上半部の右側と下半部の左側を部分的に遮るように設置されている。内筒13の上半部では右側の排気ガスが上側プレート31Aの第1の分流部32Aの湾曲面に沿って分流され、内筒13の下半部では左側の排気ガスが下側プレート31Bの第2の分流部32Bの湾曲面に沿って分流されている。内筒13の上半部では上側プレート31Aの右側方の隙間34Aと左側方の空間35Aを通って排気ガスが後方に流れ、内筒13の下半部では下側プレート31Bの左側方の隙間34Bと右側方の空間35Bを通って排気ガスが後方に流れている。
【0029】
上側プレート31A及び下側プレート31Bの第1、第2の分流部32A、32Bによって排気ガスが高さ方向に分流されると、内筒13のパンチング穴16を通過して消音室15(
図1参照)に排気ガスが流れ込む。排気ガスが内筒13のパンチング穴16を通過する際の圧力損失によって排気ガスのエネルギーが減衰され、消音室15にて排気ガスと吸音材の摩擦によって排気ガスのエネルギーが減衰される。排気ガスが上側プレート31Aの左側方の隙間34A及び下側プレート31Bの右側方の隙間34Bを通過すると、第1、第2の分流部32A、32Bの裏側で排気ガスが膨張してエネルギーが減衰される。排気ガスのエネルギーの減衰によって騒音が低減されている。
【0030】
このとき、上側プレート31Aの右側方に隙間34A、左側方に広い空間35Aが空いており、下側プレート31Bの左側方に隙間34B、右側方に広い空間35Bが空いているため、上側プレート31A及び下側プレート31Bの後方に排気ガスが流れ易くなっている。また、上側プレート31A及び下側プレート31Bの後方が開放され、上側プレート31A及び下側プレート31Bの後方で排気ガスの流れが遮られることがない。さらに、上側プレート31A及び下側プレート31Bの第1、第2の分流部32A、32Bが凸面状に形成されて排気ガスの流体抵抗が低くなっている。内筒13の排圧の低下によってエンジンの出力低下が抑えられている。
【0031】
図6に示すように、変形例2の消音プレート40では、一枚の長尺プレートの前縁から長手方向に切り込みが入れられ、プレートの分割箇所が前後にずれた箇所で曲げられることで側面視U字状の前側プレート41A及び後側プレート41Bが形成されている。前側プレート41A及び後側プレート41Bの湾曲箇所が排気ガスの流通方向の上流側に向けられている。前側プレート41A及び後側プレート41Bの高さ方向の両端部が内筒13の内周面に固定されている。また、排気ガスの流通方向から見て、前側プレート41Aの左側方及び後側プレート41Bの右側方が広く開放されている。
【0032】
前側プレート41Aの湾曲箇所は、排気通路の右側(幅方向の一方側)かつ前側(排気ガスの流通方向の一方側)で、排気ガスの流通方向の上流側に突き出した凸面状の第1の分流部42Aになっている。後側プレート41Bの湾曲箇所は、排気通路の左側(幅方向の他方側)かつ後側(排気ガスの流通方向の他方側)で、排気ガスの流通方向の上流側に突き出した凸面状の第2の分流部42Bになっている。第1、第2の分流部42A、42Bによって排気ガスの流れが高さ方向に分流されて、排気ガスが内筒13から消音室15(
図1参照)に向かうことで消音性能が向上されている。
【0033】
排気通路の右側(幅方向の一方側)かつ前側(排気ガスの流通方向の一方側)で、前側プレート41Aの第1の側縁部43Aが排気ガスの通り道を空けて内筒13の内周面に対向している。排気通路の左側(幅方向の他方側)かつ後側(排気ガスの流通方向の他方側)で、後側プレート41Bの第2の側縁部43Bが排気ガスの通り道を空けて内筒13の内周面に対向している。前側プレート41Aの右側方よりも左側方の通り道が広く、後側プレート41Bの左側方よりも右側方の通り道が広くなっている。前側プレート41A及び後側プレート41Bの側方を排気ガスが通り易くなって内筒13の排圧が大きく低下されている。
【0034】
前側プレート41A及び後側プレート41Bの第1、第2の側縁部43A、43Bは第1、第2の分流部42A、42Bに沿って側面視U字状に曲げられている。これにより、側面視にて第1、第2の分流部42A、42Bの裏側に排気ガスを通すように第1、第2の側縁部43A、43Bが開口された形状になっている。第1、第2の側縁部43A、43B側から第1、第2の分流部32A、32Bの裏側に排気ガスが入り込むことで膨張効果によって排気ガスのエネルギーが減衰される。また、第1、第2の分流部42A、42Bよりも排気ガスの流通方向の下流側が開放されて、内筒13の排圧が低下してエンジンの出力低下が抑えられている。
【0035】
このように、長尺プレートの右側が上向きに曲げられて、前側プレート41Aの第1の分流部42A及び第1の側縁部43Aが形成される。前側プレート41Aの後方で、長尺プレートの左側が上向きに曲げられて、後側プレート41Bの第2の分流部42B及び第2の側縁部43Bが形成されている。一枚の長尺プレートから第1、第2の分流部42A、42B及び第1、第2の側縁部43A、43Bが形成されて、消音プレート40の製造コストが低減されると共に消音プレート40の軽量化が図られている。なお、長尺プレートの右側に後側プレートが形成され、長尺プレートの左側に前側プレートが形成されてもよい。
【0036】
図7(A)及び
図7(B)に示すように、消音プレート40は、内筒13の前方位置の右側と後方位置の左側を部分的に遮るように設置されている。内筒13の前方位置では右側の排気ガスが前側プレート41Aの第1の分流部42Aの湾曲面に沿って分流され、内筒13の後方位置では左側の排気ガスが後側プレート41Bの第2の分流部42Bの湾曲面に沿って分流されている。内筒13の前方位置では前側プレート41Aの右側方の隙間44Aと左側方の空間を通って排気ガスが後方に流れ、内筒13の後方位置では後側プレート41Bの左側方の隙間44Bと右側方の空間を通って排気ガスが後方に流れている。
【0037】
前側プレート41A及び後側プレート41Bの第1、第2の分流部42A、42Bによって排気ガスが高さ方向に分流されると、内筒13のパンチング穴16を通過して消音室15(
図1参照)に排気ガスが流れ込む。排気ガスが内筒13のパンチング穴16を通過する際の圧力損失によって排気ガスのエネルギーが減衰され、消音室15にて排気ガスと吸音材の摩擦によって排気ガスのエネルギーが減衰される。排気ガスが前側プレート41Aの左側方の隙間44A及び後側プレート41Bの右側方の隙間44Bを通過すると、第1、第2の分流部42A、42Bの裏側で排気ガスが膨張してエネルギーが減衰される。排気ガスのエネルギーの減衰によって騒音が低減されている。
【0038】
このとき、前側プレート41Aの右側方に隙間44A、左側方に広い空間が空いており、後側プレート41Bの左側方に隙間44B、右側方に広い空間が空いているため、前側プレート41A及び後側プレート41Bの後方に排気ガスが流れ易くなっている。また、前側プレート41A及び後側プレート41Bの後方が開放され、前側プレート41A及び後側プレート41Bの後方で排気ガスの流れが遮られることがない。さらに、前側プレート41A及び後側プレート41Bの第1、第2の分流部42A、42Bが凸面状に形成されて排気ガスの流体抵抗が低くなっている。内筒13の排圧の低下によってエンジンの出力低下が抑えられている。
【0039】
図8に示すように、変形例3の消音プレート50は、長尺プレートの延在方向の両端が接するように、前後2つの曲面と上下2つの平面から成る側面視トラック状に曲げられている。消音プレート50の前側の曲面箇所が排気ガスの流通方向の上流側に向けられ、消音プレート50の後側の曲面箇所が排気ガスの流通方向の下流側に向けられている。消音プレート50の上側の平面箇所及び下側の平面箇所がそれぞれ内筒13の内周面に固定されている。また、排気ガスの流通方向から見て、消音プレート50と内筒13の間が適度に空けられている。
【0040】
消音プレート50の前側の曲面箇所は排気ガスの流通方向の上流側に突き出した凸面状の分流部51になっている。分流部51によって排気ガスの流れが高さ方向に分流されて、排気ガスが消音室15(
図1参照)に向かうことで消音性能が向上されている。消音プレート50の後側の曲面箇所は排気ガスの流通方向の下流側に突き出した凸面状の整流部52になっている。分流部51で分流された排気ガスの流れが整流部52で整流されて、内筒13の管内圧力が低下してエンジンの出力低下が抑えられている。消音プレート50の幅方向の両端の側縁部53が排気ガスの通り道を空けて内筒13の内周面に対向し、消音プレート50の側方を排気ガスが通り易くなって内筒13の排圧が低下されている。
【0041】
消音プレート50の側縁部53は側面視トラック状の外縁を形成している。これにより、側面視にて消音プレート50の分流部51の裏側に排気ガスを通すように側縁部53が開口された形状になっている。消音プレート50の側縁部53側から分流部51の裏側に排気ガスが入り込むことで膨張効果によって排気ガスのエネルギーが減衰される。また、消音プレート50の分流部51よりも排気ガスの流通方向の下流側が整流部52によって部分的に閉塞されている。分流部51と整流部52によって消音プレート50の前後が閉塞されることで排気ガスの反射が起こって排気ガスのエネルギーが減衰される。
【0042】
図9(A)及び
図9(B)に示すように、消音プレート50は内筒13の中央を縦方向に遮るように設置されている。内筒13の中央では消音プレート50によって排気ガスの流れが遮られ、内筒13の幅方向両側では消音プレート50の側方を排気ガスが通り抜けている。内筒13の中央の排気ガスは消音プレート50の前側の分流部51の湾曲面に沿って高さ方向に分流されており、高さ方向に広がった排気ガスが消音プレート50の後側の整流部52の湾曲面に沿って整流されている。内筒13の幅方向両側の排気ガスは消音プレート50と内筒13の隙間54を通って後方に流れている。
【0043】
消音プレート50の分流部51によって排気ガスが高さ方向に分流されると、内筒13のパンチング穴16を通過して消音室15(
図1参照)に排気ガスが流れ込む。排気ガスが内筒13のパンチング穴16を通過する際の圧力損失によって排気ガスのエネルギーが減衰され、消音室15にて排気ガスと吸音材の摩擦によって排気ガスのエネルギーが減衰される。排気ガスが消音プレート50の側方の隙間54を通過すると、分流部51の裏側で排気ガスが膨張すると共に分流部51と整流部52の間で排気ガスが反射してエネルギーが減衰される。このように、排気ガスのエネルギーが減衰することによって騒音が低減されている。
【0044】
このとき、消音プレート50が隙間54を空けて内筒13に設置されているため、排気ガスが隙間54を通じて消音プレート20の後方に流れ易くなっている。また、消音プレート50の分流部51の下流側が整流部52に閉塞されているが、分流部51で分流された排気ガスの流れは整流部52によって整流されて内筒13内の圧力損失が低減されている。さらに、消音プレート50の分流部51が凸面状に形成されて排気ガスの流体抵抗が低くなっている。このように、側面視トラック状の消音プレート50によっても、内筒13の排圧の低下によってエンジンの出力低下が抑えられている。
【0045】
図10に示すように、変形例4の消音プレート60は、側面視トラック状に曲げられており、分流部61及び整流部62の幅方向の一部が切り欠かれた点で変形例3の消音プレート50と相違している。分流部61の左側(幅方向の一方側)が切り欠かれて、分流部61の右側方よりも左側方の通り道が広くなっている。整流部62の右側(幅方向の他方側)が切り欠かれて、整流部62の左側方よりも右側方の通り道が広くなっている。変形例4の消音プレート60では、変形例3の消音プレート50と比べて、消音プレート60が切り欠かれた分だけ排気ガスが流れ易くなって、管内圧力が低下してエンジンの出力低下が抑えられると共に軽量化が図られている。
【0046】
以上、変形例1-4の消音プレート30、40、50、60においても、排気ガスが消音室15に向けて拡散されると共に排気ガスの膨張されることで騒音が低減される。内筒13の背圧が低下してエンジンの出力低下が抑えられる。よって、安価かつ簡易な構成で、エンジンの出力低下を抑えつつ排気音を低減することができる。また、消音プレート30、40、50、60の設置位置を変えることで排気音質を調整することもできる。
【0047】
図11を参照して、消音プレートによる騒音低減効果について説明する。
図11は周波数毎の騒音レベルを消音プレートの有無で比較したグラフである。
【0048】
ここでは、パンチング穴が空いていない直径35[mm]の配管を用意して、消音プレートを設置しないパターン1、本実施例の消音プレート20を設置したパターン2、変形例1の消音プレート30を設置したパターン3の騒音レベルを測定した。パターン2、3では、本実施例の消音プレート20の前端及び変形例1の消音プレート30の前端が配管の下流端から40[mm]の位置に位置付けられている。この結果、パターン1の騒音レベルが最も大きく、パターン3ではパターン1よりも騒音レベルが低減され、パターン2ではパターン3よりも騒音レベルが低減された。
【0049】
このように、パンチング穴が空いていない配管でも、配管の内側に消音プレート20、30が設置されることで騒音レベルが低減されることが確認された。これは消音プレート20、30と配管の内周面の隙間を排気ガスが通過したときに、排気ガスが膨張することによって排気ガスのエネルギーが減衰したからであると考えられる。したがって、変形例2-4の消音プレート40、50、60を配管の内側に設置した構成については騒音レベルを測定していないが、配管の内側に消音プレートを設置していない場合と比べて騒音レベルが低減されると考えられる。
【0050】
なお、本実施例及び変形例1-4では、消音プレートの分流部がアーチ状に湾曲しているが、分流部は気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状に形成されていればよく、例えば分流部が楔状に屈曲していてもよい。
【0051】
また、本実施例及び変形例1-4の消音プレートが排気装置に設置されているが、消音プレートは排気管、インテークパイプ、インテークダクト、チャンバ―等のエンジンの他の配管に設置されていてもよい。
【0052】
また、本実施例及び変形例1-4では、内筒の内側に1つの消音プレートが設置されているが、内筒の内側に複数の消音プレートが設置されていてもよい。この場合、配管の中心軸回りで複数の消音プレートの設置角度が異なっていてもよい。また、内筒の内側に複数の消音プレートが設置される場合、各消音プレートの分流部の曲げ具合が異なっていてもうよい。
【0053】
また、本実施例及び変形例1-4では、分流部や整流部が上下対象に形成されているが、分流部や整流部が上下非対称に形成されていてもよい。すなわち、排気ガスの流通方向に対する分流部や整流部の傾斜具合が上下に異なっていてもよい。
【0054】
また、変形例3、4の消音プレートが側面視トラック状に曲げられているが、消音プレートに凸面状の分流部と整流部を有していればよく、例えば消音プレートは側面視楕円状に形成されていてもよいし、側面視円状に形成されていてもよいし、側面視菱形状に形成されていてもよい。
【0055】
また、変形例4の消音プレートでは、分流部の幅方向の一方側が切り欠かれ、整流部の幅方向の他方側が切り欠かれているが、分流部及び整流部の幅方向の一方側が切り欠かれていてもよい。
【0056】
また、本実施例の排気装置は上記の鞍乗型車両のエンジンに限らず、自動四輪車等の他の乗り物のエンジンに採用されてもよい。なお、鞍乗型車両とは、運転者がシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、運転者がシートに跨らずに乗車するスクータタイプの車両も含んでいる。
【0057】
以上の通り、第1態様は、気体が流れる配管(内筒13)の内側に設置される消音プレート(20)であって、気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状の分流部(21)と、気体の通り道を空けて配管の内周面に対向した側縁部(22)と、を有し、側面視にて分流部の裏側に気体を通すように側縁部が開口された形状である。この構成によれば、消音プレートの側縁部と配管の内周面の間に気体が入り、消音プレートの側縁部と配管の内周面の間から気体が抜け出すことで、消音プレートの分流部の裏側で気体が膨張して気体のエネルギーが減衰される。また、消音プレートの側縁部と配管の内周面の間に気体の通り路が形成されるため、気体が消音プレートの側方を流れ易くなって管内圧力が低下する。よって、安価かつ簡易な構成で、エンジンの出力低下を抑えつつ騒音を低減することができる。
【0058】
第2態様は、第1態様において、分流部よりも気体の流通方向の下流側が開放されている。この構成によれば、管内圧力が低下してエンジンの出力低下が抑えられている。
【0059】
第3態様は、第1態様及び第2態様において、分流部は、高さ方向の一方側かつ幅方向の一方側で気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状の第1の分流部(32A)及び高さ方向の他方側かつ幅方向の他方側で気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状の第2の分流部(32B)であり、側縁部は、高さ方向の一方側かつ幅方向の一方側で気体の通り道を空けて配管の内周面に対向する第1の側縁部(33A)及び高さ方向の他方側かつ幅方向の他方側で気体の通り道を空けて配管の内周面に対向する第2の側縁部(33B)である。この構成によれば、第1、第2の分流部によって気体のエネルギーが減衰されて騒音が低減される。また、気体が消音プレートの側方を流れ易くなって管内圧力が低下してエンジンの出力低下が抑えられる。
【0060】
第4態様は、第1態様及び第2態様において、分流部は、幅方向の一方側かつ気体の流通方向の一方側で気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状の第1の分流部(42A)及び幅方向の他方側かつ気体の流通方向の他方側で気体の流通方向の上流側に突き出した凸面状の第2の分流部(42B)であり、側縁部は、幅方向の一方側かつ気体の流通方向の一方側で気体の通り道を空けて配管の内周面に対向する第1の側縁部(43A)及び幅方向の他方側かつ気体の流通方向の他方側で気体の通り道を空けて配管の内周面に対向する第2の側縁部(43B)である。この構成によれば、第1、第2の分流部によって気体のエネルギーが減衰されて騒音が低減される。また、気体が消音プレートの側方を流れ易くなって管内圧力が低下してエンジンの出力低下が抑えられる。
【0061】
第5態様は、第3態様において、第1の分流部及び第1の側縁部が一枚のプレートの幅方向の一方側を高さ方向の一方側に曲げられて形成され、第2の分流部及び第2の側縁部が当該一枚のプレートの幅方向の他方側を高さ方向の他方側に曲げられて形成されている。この構成によれば、一枚のプレートから第1、第2の分流部及び第1、第2の側縁部が形成されて、消音プレートの製造コストが低減されると共に消音プレートの軽量化が図られる。
【0062】
第6態様は、第1態様において、気体の流通方向の下流側に突き出した凸面状の整流部(52)を有し、整流部によって分流部よりも気体の流通方向の下流側が部分的に閉塞されている。この構成によれば、消音プレートの分流部で分流された気体の流れが消音プレートの整流部で整流されることで管内圧力が低下してエンジンの出力低下が抑えられる。また、分流部と整流部によって消音プレートの前後が閉塞されることで気体の反射が起こって騒音が低減される。
【0063】
第7態様は、第6態様において、分流部(61)及び整流部(62)の幅方向の一部が切り欠かれている。この構成によれば、消音プレートの切欠きによって気体が流れ易くなって管内圧力が低下してエンジンの出力低下が抑えられる。また、消音プレートの軽量化が図られる。
【0064】
第8態様は、第7態様において、分流部の幅方向の一方側が切り欠かれ、整流部の幅方向の他方側が切り欠かれている。この構成によれば、消音プレートの切欠きによってさらに気体が流れ易くなって管内圧力が低下してエンジンの出力低下が抑えられる。
【0065】
第9態様の排気装置は、エンジンからの排気ガスが流れる配管としての内筒(13)と、内筒を径方向外側から覆って消音室を形成する外筒(14)と、上記の消音プレートと、を備え、内筒の外周面にはパンチング穴(16)が空けられており、消音プレートが内筒の内側に設置されている。この構成によれば、排気ガスが分流部によって径方向外側の消音室に拡散されると共に、排気ガスが消音プレートの裏側で膨張されて騒音が低減される。排気ガスが消音プレートの側方を流れ易くなって背圧が低下してエンジンの出力低下が抑えられる。よって、安価かつ簡易な構成で、エンジンの出力低下を抑えつつ排気音を低減することができる。
【0066】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0067】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。