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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077894
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】基板処理装置、及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
H01L21/304 643Z
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190110
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】日野出 大輝
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA16
5F157AA71
5F157AB14
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB46
5F157AB49
5F157AB90
5F157AC63
5F157BB23
5F157BB24
5F157BB37
5F157BB39
5F157BB42
5F157BC53
5F157BG13
5F157CC11
5F157CF02
5F157CF14
5F157CF44
5F157CF46
5F157CF60
5F157CF92
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】基板保持部と液受け部とを洗浄できる基板処理装置及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、チャンバー2aと、基板保持部15と、基板回転部21と、洗浄液吐出部32と、液受け部54と、制御部103とを備える。制御部103は、第1チャンバー内洗浄処理の際に、基板保持部15が基板Wを保持していない状態で、基板回転部21により基板保持部15を回転させるとともに、洗浄液吐出部32から基板保持部15に向けて洗浄液を吐出させて、基板保持部15を洗浄する。制御部103は、第2チャンバー内洗浄処理の際に、基板保持部15が基板Wを保持している状態で、基板回転部21により基板保持部15及び基板Wを回転させるとともに、洗浄液吐出部32から基板Wに向けて洗浄液を吐出させて、基板Wから液受け部54へ飛散する洗浄液により液受け部54を洗浄する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が搬入されるチャンバーと、
前記チャンバー内で前記基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部を回転させて、前記基板保持部が保持する前記基板を回転させる基板回転部と、
前記基板保持部の上方より洗浄液を吐出する洗浄液吐出部と、
前記基板回転部により回転される前記基板に向けて、前記洗浄液吐出部から前記洗浄液が吐出されている際に、前記基板から飛散する前記洗浄液を受け止める液受け部と、
前記基板保持部を洗浄する第1チャンバー内洗浄処理と、前記液受け部を洗浄する第2チャンバー内洗浄処理とを実行する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記第1チャンバー内洗浄処理の際に、前記基板保持部が前記基板を保持していない状態で、前記基板回転部により前記基板保持部を回転させるとともに、前記洗浄液吐出部から前記基板保持部に向けて前記洗浄液を吐出させて、前記基板保持部を洗浄し、
前記制御部は、前記第2チャンバー内洗浄処理の際に、前記基板保持部が前記基板を保持している状態で、前記基板回転部により前記基板保持部及び前記基板を回転させるとともに、前記洗浄液吐出部から前記基板に向けて前記洗浄液を吐出させて、前記基板から前記液受け部へ飛散する前記洗浄液により前記液受け部を洗浄する、基板処理装置。
【請求項2】
前記基板保持部は、
前記基板回転部により回転される回転部材と、
前記回転部材の外周部に設けられて前記基板を支持する複数の支持ピンと
を含み、
前記回転部材は、前記複数の支持ピンが挿通される複数のピン孔を含み、
前記洗浄液吐出部は、前記第1チャンバー内洗浄処理の際に、前記回転部材の前記外周部に向けて前記洗浄液を吐出して、前記支持ピンと前記ピン孔とを洗浄する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板保持部に気体を供給する気体供給部を更に備え、
前記基板保持部は、前記基板回転部により回転される回転部材を含み、
前記回転部材は、前記気体を上方へ吐出する吐出孔を含み、
前記制御部は、前記第1チャンバー内洗浄処理及び前記第2チャンバー内洗浄処理の際に、前記気体供給部を制御して前記吐出孔から上方へ前記気体を吐出させる、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記液受け部を昇降させる液受け昇降部を更に備え、
前記制御部は、前記第2チャンバー内洗浄処理の際に、前記液受け昇降部を制御して前記液受け部を昇降させる、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1チャンバー内洗浄処理の際に、前記液受け昇降部を制御して前記液受け部を昇降させる、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
基板処理に用いる処理液を吐出する処理液吐出部を更に備え、
前記基板は、前記基板処理の対象となる処理対象基板と、前記第2チャンバー内洗浄処理に用いられる非処理対象基板とを含み、
前記基板保持部は、前記基板処理の際に前記処理対象基板を保持し、前記第2チャンバー内洗浄処理の際に前記非処理対象基板を保持する、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が実行された後に、前記第1チャンバー内洗浄処理又は前記第2チャンバー内洗浄処理を実行する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が実行された後に、前記第1チャンバー内洗浄処理又は前記第2チャンバー内洗浄処理を実行し、前記第1チャンバー内洗浄処理又は前記第2チャンバー内洗浄処理が実行されてから、予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が更に実行された後に、前記第2チャンバー内洗浄処理又は前記第1チャンバー内洗浄処理を実行する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が実行された後に、前記第1チャンバー内洗浄処理及び前記第2チャンバー内洗浄処理を実行する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1チャンバー内洗浄処理を実行した後に、前記第2チャンバー内洗浄処理を実行する、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
基板が搬入されるチャンバーと、
前記チャンバー内で前記基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部を回転させて、前記基板保持部が保持する前記基板を回転させる基板回転部と、
前記基板保持部の上方より洗浄液を吐出する洗浄液吐出部と、
前記基板回転部により回転される前記基板に向けて、前記洗浄液吐出部から前記洗浄液が吐出されている際に、前記基板から飛散する前記洗浄液を受け止める液受け部と
を備える基板処理装置において前記チャンバー内を洗浄する洗浄方法であって、
前記基板保持部が前記基板を保持していない状態で、前記基板回転部により前記基板保持部を回転させるとともに、前記洗浄液吐出部から前記基板保持部に向けて前記洗浄液を吐出させて、前記基板保持部を洗浄する第1チャンバー内洗浄工程と、
前記基板保持部が前記基板を保持している状態で、前記基板回転部により前記基板保持部及び前記基板を回転させるとともに、前記洗浄液吐出部から前記基板に向けて前記洗浄液を吐出させて、前記基板から前記液受け部へ飛散する前記洗浄液により前記液受け部を洗浄する第2チャンバー内洗浄工程と
を含む、洗浄方法。
【請求項12】
前記基板保持部は、
前記基板回転部により回転される回転部材と、
前記回転部材の外周部に設けられて前記基板を支持する複数の支持ピンと
を含み、
前記回転部材は、前記複数の支持ピンが挿通される複数のピン孔を含み、
前記第1チャンバー内洗浄工程において、前記洗浄液吐出部は、前記回転部材の前記外周部に向けて前記洗浄液を吐出して、前記支持ピンと前記ピン孔とを洗浄する、請求項11に記載の洗浄方法。
【請求項13】
前記基板処理装置は、前記基板保持部に気体を供給する気体供給部を更に備え、
前記基板保持部は、前記基板回転部により回転される回転部材を含み、
前記回転部材は、前記気体を上方へ吐出する吐出孔を含み、
前記第1チャンバー内洗浄工程において、前記吐出孔から上方へ前記気体を吐出させ、
前記第2チャンバー内洗浄工程において、前記吐出孔から上方へ前記気体を吐出させる、請求項11又は請求項12に記載の洗浄方法。
【請求項14】
前記第2チャンバー内洗浄工程において、前記液受け部を昇降させる、請求項11又は請求項12に記載の洗浄方法。
【請求項15】
前記第1チャンバー内洗浄工程において、前記液受け部を昇降させる、請求項14に記載の洗浄方法。
【請求項16】
前記基板処理装置は、基板処理に用いる処理液を吐出する処理液吐出部を更に備え、
前記基板は、前記基板処理の対象となる処理対象基板と、前記第2チャンバー内洗浄工程で用いられる非処理対象基板とを含み、
前記第2チャンバー内洗浄工程において、前記基板保持部により前記非処理対象基板が保持される、請求項11又は請求項12に記載の洗浄方法。
【請求項17】
予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が実行された後に、前記第1チャンバー内洗浄工程又は前記第2チャンバー内洗浄工程が行われる、請求項16に記載の洗浄方法。
【請求項18】
予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が実行された後に、前記第1チャンバー内洗浄工程又は前記第2チャンバー内洗浄工程が行われ、前記第1チャンバー内洗浄工程又は前記第2チャンバー内洗浄工程が行われてから、予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が更に実行された後に、前記第2チャンバー内洗浄工程又は前記第1チャンバー内洗浄工程が行われる、請求項16に記載の洗浄方法。
【請求項19】
予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が実行された後に、前記第1チャンバー内洗浄工程及び前記第2チャンバー内洗浄工程が行われる、請求項16に記載の洗浄方法。
【請求項20】
前記第1チャンバー内洗浄工程が行われた後に、前記第2チャンバー内洗浄工程が行われる、請求項19に記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を1枚毎に処理する枚葉式の基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、枚葉式の基板処理装置は、チャンバー内に設けられた基板保持部により基板を水平に保持して、基板保持部により保持された基板を回転させる。そして、回転中の基板に向けて処理液を吐出して、処理液により基板を処理する。チャンバー内には、回転中の基板を囲む飛散防止カップが設けられている。飛散防止カップは、回転する基板から遠心力によって飛散する処理液を受け止めて、チャンバー内が処理液によって汚染されることを抑制する。
【0003】
このような基板処理装置は、チャンバー内を清浄に保つために、チャンバー内洗浄を行うことがある。チャンバー内洗浄は、チャンバー内を洗浄する処理である。具体的には、基板処理装置は複数のチャンバーを備えており、チャンバーごとにチャンバー内洗浄処理を行う。チャンバー内洗浄は、当該チャンバーにおいて予め定められた枚数の基板の処理が行われる度に実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-48363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、基板処理装置の機種によっては、チャンバー内の一部を洗浄できないことがある。例えば、基板処理装置が、基板保持部としてベルヌーイチャックを備える機種である場合、飛散防止カップ(液受け部)の一部を洗浄できないことがある。
【0006】
詳しくは、ベルヌーイチャックは、円形状のスピンベースと、スピンベースの外縁付近に配置される複数の昇降ピンとを備える。スピンベースには、複数の昇降ピンが挿通される複数の貫通穴が形成されている。ベルヌーイチャックを備える基板処理装置においてチャンバー内洗浄を行う場合、ベルヌーイチャック(基板保持部)と、飛散防止カップ(液受け部)とが洗浄される。
【0007】
具体的には、例えば純水のような洗浄液を吐出する洗浄液吐出ノズルをスピンベースの外縁付近の上方に移動させる。そして、スピンベースを回転させて、回転中のスピンベースの外縁付近の上方から、スピンベースの外縁付近に向けて洗浄液を吐出させる。この結果、複数の昇降ピンと、スピンベースに設けられた複数の貫通穴とが洗浄される。また、スピンベースから飛散する洗浄液により、飛散防止カップが洗浄される。
【0008】
しかしながら、洗浄液吐出ノズルが一定の位置から洗浄液を吐出するため、飛散防止カップ(液受け部)の洗浄は、洗浄液がスピンベースに着液する位置に対向する箇所の洗浄に限定される。そのため、飛散防止カップの一部のみが洗浄されることになり、飛散防止カップの残りの部分を洗浄することができない。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板保持部と液受け部とを洗浄することができる基板処理装置及び洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、チャンバーと、基板保持部と、基板回転部と、洗浄液吐出部と、液受け部と、制御部とを備える。前記チャンバーには、基板が搬入される。前記基板保持部は、前記チャンバー内で前記基板を保持する。前記基板回転部は、前記基板保持部を回転させて、前記基板保持部が保持する前記基板を回転させる。前記洗浄液吐出部は、前記基板保持部の上方より洗浄液を吐出する。前記液受け部は、前記基板回転部により回転される前記基板に向けて、前記洗浄液吐出部から前記洗浄液が吐出されている際に、前記基板から飛散する前記洗浄液を受け止める。前記制御部は、前記基板保持部を洗浄する第1チャンバー内洗浄処理と、前記液受け部を洗浄する第2チャンバー内洗浄処理とを実行する。前記制御部は、前記第1チャンバー内洗浄処理の際に、前記基板保持部が前記基板を保持していない状態で、前記基板回転部により前記基板保持部を回転させるとともに、前記洗浄液吐出部から前記基板保持部に向けて前記洗浄液を吐出させて、前記基板保持部を洗浄する。前記制御部は、前記第2チャンバー内洗浄処理の際に、前記基板保持部が前記基板を保持している状態で、前記基板回転部により前記基板保持部及び前記基板を回転させるとともに、前記洗浄液吐出部から前記基板に向けて前記洗浄液を吐出させて、前記基板から前記液受け部へ飛散する前記洗浄液により前記液受け部を洗浄する。
【0011】
ある実施形態において、前記基板保持部は、回転部材と、複数の支持ピンとを含む。前記回転部材は、前記基板回転部により回転される。前記複数の支持ピンは、前記回転部材の外周部に設けられて前記基板を支持する。前記回転部材は、前記複数の支持ピンが挿通される複数のピン孔を含む。前記洗浄液吐出部は、前記第1チャンバー内洗浄処理の際に、前記回転部材の前記外周部に向けて前記洗浄液を吐出して、前記支持ピンと前記ピン孔とを洗浄する。
【0012】
ある実施形態において、上記基板処理装置は、前記基板保持部に気体を供給する気体供給部を更に備える。前記基板保持部は、前記基板回転部により回転される回転部材を含む。前記回転部材は、前記気体を上方へ吐出する吐出孔を含む。前記制御部は、前記第1チャンバー内洗浄処理及び前記第2チャンバー内洗浄処理の際に、前記気体供給部を制御して前記吐出孔から上方へ前記気体を吐出させる。
【0013】
ある実施形態において、上記基板処理装置は、前記液受け部を昇降させる液受け昇降部を更に備える。前記制御部は、前記第2チャンバー内洗浄処理の際に、前記液受け昇降部を制御して前記液受け部を昇降させる。
【0014】
ある実施形態において、前記制御部は、前記第1チャンバー内洗浄処理の際に、前記液受け昇降部を制御して前記液受け部を昇降させる。
【0015】
ある実施形態において、上記基板処理装置は、基板処理に用いる処理液を吐出する処理液吐出部を更に備える。前記基板は、処理対象基板と、非処理対象基板とを含む。前記処理対象基板は、前記基板処理の対象となる。前記非処理対象基板は、前記第2チャンバー内洗浄処理に用いられる。前記基板保持部は、前記基板処理の際に前記処理対象基板を保持し、前記第2チャンバー内洗浄処理の際に前記非処理対象基板を保持する。
【0016】
ある実施形態において、前記制御部は、予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が実行された後に、前記第1チャンバー内洗浄処理又は前記第2チャンバー内洗浄処理を実行する。
【0017】
ある実施形態において、前記制御部は、予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が実行された後に、前記第1チャンバー内洗浄処理又は前記第2チャンバー内洗浄処理を実行し、前記第1チャンバー内洗浄処理又は前記第2チャンバー内洗浄処理が実行されてから、予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が更に実行された後に、記第2チャンバー内洗浄処理又は前記第1チャンバー内洗浄処理を実行する。
【0018】
ある実施形態において、前記制御部は、予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が実行された後に、前記第1チャンバー内洗浄処理及び前記第2チャンバー内洗浄処理を実行する。
【0019】
ある実施形態において、前記制御部は、前記第1チャンバー内洗浄処理を実行した後に、前記第2チャンバー内洗浄処理を実行する。
【0020】
本発明の他の一局面によれば、洗浄方法は、チャンバー、基板保持部、基板回転部、洗浄液吐出部、及び液受け部を備える基板処理装置において、前記チャンバー内を洗浄する方法である。前記チャンバーには、基板が搬入される。前記基板保持部は、前記チャンバー内で前記基板を保持する。前記基板回転部は、前記基板保持部を回転させて、前記基板保持部が保持する前記基板を回転させる。前記洗浄液吐出部は、前記基板保持部の上方より洗浄液を吐出する。前記液受け部は、前記基板回転部により回転される前記基板に向けて、前記洗浄液吐出部から前記洗浄液が吐出されている際に、前記基板から飛散する前記洗浄液を受け止める。当該洗浄方法は、前記基板保持部が前記基板を保持していない状態で、前記基板回転部により前記基板保持部を回転させるとともに、前記洗浄液吐出部から前記基板保持部に向けて前記洗浄液を吐出させて、前記基板保持部を洗浄する第1チャンバー内洗浄工程と、前記基板保持部が前記基板を保持している状態で、前記基板回転部により前記基板保持部及び前記基板を回転させるとともに、前記洗浄液吐出部から前記基板に向けて前記洗浄液を吐出させて、前記基板から前記液受け部へ飛散する前記洗浄液により前記液受け部を洗浄する第2チャンバー内洗浄工程とを含む。
【0021】
ある実施形態において、前記基板保持部は、回転部材と、複数の支持ピンとを含む。前記回転部材は、前記基板回転部により回転される。前記複数の支持ピンは、前記回転部材の外周部に設けられて前記基板を支持する。前記回転部材は、前記複数の支持ピンが挿通される複数のピン孔を含む。前記第1チャンバー内洗浄工程において、前記洗浄液吐出部は、前記回転部材の前記外周部に向けて前記洗浄液を吐出して、前記支持ピンと前記ピン孔とを洗浄する。
【0022】
ある実施形態において、前記基板処理装置は、前記基板保持部に気体を供給する気体供給部を更に備える。前記基板保持部は、前記基板回転部により回転される回転部材を含む。前記回転部材は、前記気体を上方へ吐出する吐出孔を含む。前記第1チャンバー内洗浄工程において、前記吐出孔から上方へ前記気体を吐出させる。前記第2チャンバー内洗浄工程において、前記吐出孔から上方へ前記気体を吐出させる。
【0023】
ある実施形態では、前記第2チャンバー内洗浄工程において、前記液受け部を昇降させる。
【0024】
ある実施形態では、前記第1チャンバー内洗浄工程において、前記液受け部を昇降させる。
【0025】
ある実施形態において、前記基板処理装置は、基板処理に用いる処理液を吐出する処理液吐出部を更に備える。前記基板は、処理対象基板と、非処理対象基板とを含む。前記処理対象基板は、前記基板処理の対象となる。前記非処理対象基板は、前記第2チャンバー内洗浄工程で用いられる。前記第2チャンバー内洗浄工程において、前記基板保持部により前記非処理対象基板が保持される。
【0026】
ある実施形態では、予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が実行された後に、前記第1チャンバー内洗浄工程又は前記第2チャンバー内洗浄工程が行われる。
【0027】
ある実施形態では、予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が実行された後に、前記第1チャンバー内洗浄工程又は前記第2チャンバー内洗浄工程が行われ、前記第1チャンバー内洗浄工程又は前記第2チャンバー内洗浄工程が行われてから、予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が更に実行された後に、前記第2チャンバー内洗浄工程又は前記第1チャンバー内洗浄工程が行われる。
【0028】
ある実施形態では、予め定められた枚数の前記処理対象基板に対して前記基板処理が実行された後に、前記第1チャンバー内洗浄工程及び前記第2チャンバー内洗浄工程が行われる。
【0029】
ある実施形態では、前記第1チャンバー内洗浄工程が行われた後に、前記第2チャンバー内洗浄工程が行われる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る基板処理装置及び洗浄方法によれば、基板保持部と液受け部とを洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の構成を模式的に示す断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の構成を模式的に示す別の断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る基板処理装置に含まれる基板保持部の一部を示す断面図である。
図6】基板保持部の第1状態を示す断面図である。
図7】基板保持部の第2状態を示す断面図である。
図8】第1チャンバー内洗浄時の基板処理部を示す断面図である。
図9】第2チャンバー内洗浄時の基板処理部を示す断面図である。
図10】本発明の実施形態に係る基板処理装置が実行する処理の第1例を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態に係る基板処理装置が実行する処理の第2例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面(図1図11)を参照して本発明の基板処理装置及び洗浄方法に係る実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0033】
本発明に係る基板処理装置及び洗浄方法において、基板処理の対象となる「基板」には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び光磁気ディスク用基板などの各種の基板を適用可能である。以下では主として、円盤状の半導体ウエハを基板処理の対象とする場合を例に本発明の実施形態を説明するが、本発明に係る基板処理装置及び洗浄方法は、上記した半導体ウエハ以外の各種の基板に対しても同様に適用可能である。また、基板の形状についても、円盤状に限定されず、本発明に係る基板処理装置及び洗浄方法は、各種の形状の基板に対して適用可能である。
【0034】
図1は、本実施形態の基板処理装置100の構成を模式的に示す平面図である。図1に示すように、基板処理装置100は、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、複数の基板処理部2と、受渡部6と、制御装置101とを備える。
【0035】
ロードポートLPには基板収容容器Cがドッキングする。詳しくは、複数のロードポートLPの一部に、未処理の基板W1を収容する基板収容容器Cがドッキングする。残りのロードポートLPには、空の基板収容容器Cがドッキングする。空の基板収容容器Cには、処理後の基板W1が収容される。基板収容容器Cは複数枚の基板W1を積層状態で収容する。基板収容容器Cは、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)であってもよいし、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドであってもよいし、OC(Open Cassette)であってもよい。
【0036】
インデクサーロボットIRは、未処理の基板W1を基板収容容器Cから受渡部6に搬送し、処理後の基板W1を受渡部6から基板収容容器Cに搬送する。インデクサーロボットIRは、「搬送部」の一例である。
【0037】
受渡部6は、基板W1を支持する複数の棚(図示せず)を有する。詳しくは、受渡部6は、未処理の基板W1を支持する少なくとも1つの棚(図示せず)と、処理後の基板W1を支持する少なくとも1つの棚(図示せず)とを有する。
【0038】
センターロボットCRは、未処理の基板W1を受渡部6から基板処理部2に搬送し、処理後の基板W1を基板処理部2から受渡部6に搬送する。センターロボットCRは、「搬送部」の一例である。
【0039】
基板処理装置100は、枚葉式の装置であり、基板処理部2がそれぞれ基板W1を1枚ずつ処理する。具体的には、基板処理部2は、処理液を基板W1に供給して基板W1を処理する。
【0040】
処理液は、基板W1に接触する液体である限り、特に限定されない。処理液は、例えば、薬液と、リンス液とを含む。薬液は、例えば、希フッ酸(DHF)、フッ酸(HF)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸(HNO3)との混合液)、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、燐酸(H3PO4)、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ酸)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、硫酸過酸化水素水混合液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)、イソプロピルアルコール(IPA)、界面活性剤、又は、腐食防止剤を含む。リンス液は、例えば、純水(例えば、脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、又は、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水を含む。
【0041】
図1に示すように、複数の基板処理部2は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTWを形成する。本実施形態では、複数の基板処理部2は、4つのタワーTWを形成する。各タワーTWは、上下に積層された複数の基板処理部2を含む。本実施形態では、図2に示すように、各タワーTWは、3つの基板処理部2を含む。
【0042】
制御装置101は、基板処理装置100の各部の動作を制御する。例えば、制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、及び基板処理部2を制御する。制御装置101は、制御部103と、記憶部105とを含む。
【0043】
制御部103は、記憶部105に記憶されている各種情報に基づいて基板処理装置100の各部の動作を制御する。制御部103は、例えば、プロセッサを有する。制御部103は、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、又は、MPU(Micro Processing Unit)を有してもよい。あるいは、制御部103は、プロセッサに加えて、あるいは、プロセッサに替えて、汎用演算器又は専用演算器を有してもよい。
【0044】
記憶部105は、基板処理装置100の動作を制御するための各種情報を記憶する。例えば、記憶部105は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。データは、種々のレシピデータを含む。レシピデータは、例えば、プロセスレシピを含む。プロセスレシピは、基板処理の手順を規定するデータである。基板処理の手順は、処理液によって処理対象の基板W1を処理する手順を示す。詳しくは、プロセスレシピは、基板処理に含まる一連の処理の実行順序、各処理の内容、及び各処理の条件(パラメータの設定値)を規定する。基板W1は、基板処理の対象となる処理対象基板である。
【0045】
記憶部105は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部105は、補助記憶装置を更に有してもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及びハードディスクドライブの少なくも一方を含む。記憶部105はリムーバブルメディアを含んでもよい。
【0046】
続いて、図1及び図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図2は、本実施形態の基板処理装置100の構成を模式的に示す側面図である。図2に示すように、インデクサーロボットIRは、基台部8と、多関節アーム9と、2つのハンド10A、10Bとを含む。
【0047】
基台部8は、多関節アーム9の基端部を支持する。基台部8は、アーム回動機構と、アーム昇降機構とを有する。アーム回転機構は、多関節アーム9を鉛直軸線まわりに回動させる。アーム昇降機構は、多関節アーム9を昇降させる。したがって、多関節アーム9は、基台部8に対して回動自在である。また、多関節アーム9は、基台部8に対して昇降自在である。
【0048】
多関節アーム9は、水平方向に屈伸自在である。具体的には、多関節アーム9は、複数のアーム部と、複数の関節部と、複数の個別回動機構とを有する。各関節部には2本のアーム部が接続する。アーム部はそれぞれ、接続している関節部に対して回動自在である。個別回動機構は関節部に設けられて、対応するアーム部を水平面に沿って回動させる。
【0049】
ハンド10A、10Bは、多関節アーム9の先端部に支持される。多関節アーム9は、ハンド10A、10Bを鉛直軸線まわりに個別に回転させるハンド回転機構と、ハンド10A、10Bを水平方向に個別に進退させるハンド進退機構とを更に有する。したがって、ハンド10A、10Bは、多関節アーム9に対して個別に回動自在である。また、ハンド10A、10Bは、多関節アーム9に対して個別に進退自在である。ハンド10A、10Bはそれぞれ1枚の基板Wを把持する。
【0050】
続いて、図2を参照して、センターロボットCRを説明する。図2に示すように、センターロボットCRは、基台部11と、多関節アーム12と、2つのハンド13A、13Bとを含む。
【0051】
基台部11は、多関節アーム12の基端部を支持する。基台部11は、アーム回動機構と、アーム昇降機構とを有する。アーム回転機構は、多関節アーム12を鉛直軸線まわりに回動させる。アーム昇降機構は、多関節アーム12を昇降させる。したがって、多関節アーム12は、基台部11に対して回動自在である。また、多関節アーム12は、基台部11に対して昇降自在である。
【0052】
多関節アーム12は、水平方向に屈伸自在である。具体的には、多関節アーム12は、複数のアーム部と、複数の関節部と、複数の個別回動機構とを有する。各関節部には2本のアーム部が接続する。アーム部はそれぞれ、接続している関節部に対して回動自在である。個別回動機構は関節部に設けられて、対応するアーム部を水平面に沿って回動させる。
【0053】
ハンド13A、13Bは、多関節アーム12の先端部に支持される。多関節アーム12は、ハンド13A、13Bを鉛直軸線まわりに個別に回転させるハンド回転機構と、ハンド13A、13Bを水平方向に個別に進退させるハンド進退機構とを更に有する。したがって、ハンド13A、13Bは、多関節アーム12に対して個別に回動自在である。また、ハンド13A、13Bは、多関節アーム12に対して個別に進退自在である。ハンド13A、13Bはそれぞれ1枚の基板Wを把持する。
【0054】
続いて、図2を参照して、基板処理装置100を説明する。図2に示すように、基板処理装置100は、ダミー基板保持部4を更に備える。ダミー基板保持部4は、受渡部6の上方に位置する。なお、ダミー基板保持部4が配置される位置は、センターロボットCRのハンド13A、13Bがアクセス可能な位置で有る限り、特に限定されない。例えば、ダミー基板保持部4は、受渡部6の下方に位置してもよい。
【0055】
ダミー基板保持部4は、ダミー基板W2を保持する。具体的には、ダミー基板保持部4は、ダミー基板W2を支持する棚を有する。なお、ダミー基板保持部4は、複数枚のダミー基板W2を保持してもよい。この場合、ダミー基板保持部4は、複数枚のダミー基板W2を支持する複数の棚を有する。
【0056】
ダミー基板W2は、図9を参照して後述する「第2チャンバー内洗浄処理」に用いられる。ダミー基板W2は、「非処理対象基板」の一例である。センターロボットCRは、ダミー基板W2をダミー基板保持部4から搬出し、第2チャンバー内洗浄処理が実行される基板処理部2にダミー基板W2を搬入する。センターロボットCRは、第2チャンバー内洗浄処理の終了後、基板処理部2からダミー基板W2を搬出し、ダミー基板保持部4にダミー基板W2を搬入する。
【0057】
なお、以下の説明において、処理対象の基板W1とダミー基板W2とを区別して説明する必要のないときは、基板W1及びダミー基板W2を「基板W」と記載することがある。
【0058】
続いて、図1図3を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図3は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の構成を模式的に示す断面図である。
【0059】
図3に示すように、基板処理部2は、チャンバー2aと、基板保持部15と、基板回転部21と、処理液吐出部30と、第1ノズル移動部34と、第2ノズル移動部44と、液受け部54と、液受け昇降部57とを備える。また、基板処理装置100は、薬液供給部39と、リンス液供給部49と、排液配管59とを備える。
【0060】
制御装置101(制御部103)は、基板保持部15、基板回転部21、第1ノズル移動部34、第2ノズル移動部44、液受け昇降部57、薬液供給部39、及びリンス液供給部49を制御する。
【0061】
チャンバー2aは、略箱形状を有する。チャンバー2aは、基板W、基板保持部15、基板回転部21、処理液吐出部30、第1ノズル移動部34、第2ノズル移動部44、液受け部54、薬液供給部39、及びリンス液供給部49を収容する。チャンバー2aは、液受け昇降部57を収容してもよい。
【0062】
基板Wは、チャンバー2aの外部からチャンバー2a内に搬入される。具体的には、図1及び図2に示すセンターロボットCRがチャンバー2a内に基板Wを搬入する。また、図1及び図2に示すセンターロボットCRは、チャンバー2aから基板Wを搬出する。処理対象の基板W1は、チャンバー2a内に搬入されて、チャンバー2a内で処理される。つまり、チャンバー2a内で基板処理が行われる。
【0063】
基板保持部15は、チャンバー2a内で基板Wを保持する。より具体的には、基板保持部15は、基板Wを水平な姿勢で保持する。図3に示すように、基板保持部15は、回転部材17と、複数の支持ピン19とを含む。
【0064】
回転部材17は、略円形状であり、水平な姿勢で複数の支持ピン19を支持する。複数の支持ピン19は、回転部材17の外周部に設けられる。なお、図3では、理解を容易にするために、複数の支持ピン19のうちの2つの支持ピン19を示しているが、支持ピン19の数は2つに限定されない。例えば、基板保持部15は、30個の支持ピン19を有してもよい。
【0065】
複数の支持ピン19は、基板Wを支持する。より具体的には、複数の支持ピン19は、基板Wの周縁部を支持する。複数の支持ピン19により、基板Wが水平な姿勢で支持される。制御装置101(制御部103)は、複数の支持ピン19の動作を制御する。
【0066】
基板回転部21は、基板保持部15を回転させる。基板保持部15が基板Wを保持している際に基板回転部21が基板保持部15を回転させると、基板保持部15に保持された基板Wが回転する。より具体的には、基板回転部21は、鉛直方向に延びる第1回転軸線AX1を中心として、基板Wと基板保持部15とを一体に回転させる。制御装置101(制御部103)は、基板回転部21による基板保持部15の回転を制御する。
【0067】
詳しくは、第1回転軸線AX1は、回転部材17の中心を通る。複数の支持ピン19は、基板Wの中心が回転部材17の中心と一致するように配置されている。したがって、基板Wは、基板Wの中心を回転中心として回転する。
【0068】
図3に示すように、基板回転部21は、カバー23と、モータ本体25と、回転軸27とを有する。カバー23は、基板保持部15の下方において、モータ本体25を覆う。回転軸27は、カバー23から基板保持部15に向かって突出して、基板保持部15に結合される。具体的には、回転軸27は、回転部材17に結合される。モータ本体25は、回転軸27を回転させる。その結果、基板回転部21により回転部材17が回転されて、基板保持部15が回転する。モータ本体25の動作は、制御装置101(制御部103)によって制御される。
【0069】
処理液吐出部30は、基板保持部15の上方より処理液を吐出する。本実施形態では、処理液は、薬液と、リンス液とを含む。処理液吐出部30は、第1ノズル31と、第2ノズル32とを含む。第1ノズル31は、基板処理に用いる薬液を吐出する。第2ノズル32は、リンス液を吐出する。第2ノズル32は、「リンス液吐出部」の一例である。リンス液は、基板処理に用いられる。更に、リンス液は、図8及び図9を参照して説明する第1チャンバー内洗浄処理及び第2チャンバー内洗浄処理に用いられる。
【0070】
より具体的には、第1ノズル31は、基板処理時に、基板回転部21によって回転される基板W1に向けて薬液を吐出する。第1ノズル31は、「薬液吐出部」の一例である。回転中の基板W1の上面に薬液が吐出されることにより、基板W1の上面に薬液の液膜が形成される。その結果、薬液によって基板W1が処理される。
【0071】
第2ノズル32は、基板処理時に、基板回転部21によって回転される基板W1に向けてリンス液を吐出する。具体的には、薬液の液膜が形成された後に、リンス液が基板W1に供給される。回転中の基板W1の上面に薬液が吐出されることにより、リンス液によって基板W1の上面から薬液が洗い流されて、基板W1の上面にリンス液の液膜が形成される。つまり、薬液の液膜がリンス液の液膜に置換される。
【0072】
図8を参照して説明するように、第1チャンバー内洗浄時には、基板保持部15が洗浄される。また、図9を参照して説明するように、第2チャンバー内洗浄時には、液受け部54が洗浄される。リンス液は、第1チャンバー内洗浄時及び第2チャンバー内洗浄時に洗浄液として用いられる。具体的には、第1チャンバー内洗浄時及び第2チャンバー内洗浄時に第2ノズル32がリンス液(洗浄液)を吐出する。つまり、第2ノズル32は、基板保持部15の洗浄と液受け部54の洗浄とに用いる洗浄液を吐出する。第2ノズル32は、「洗浄液吐出部」の一例である。
【0073】
第1ノズル31からの薬液の吐出と、第2ノズル32からのリンス液の吐出とは、制御装置101(制御部103)によって制御される。具体的には、制御装置101(制御部103)は、薬液供給部39を制御することにより、第1ノズル31からの薬液の吐出を制御する。また、制御装置101(制御部103)は、リンス液供給部49を制御することにより、第2ノズル32からのリンス液の吐出を制御する。
【0074】
薬液供給部39は、第1ノズル31に薬液を供給する。図3に示すように、薬液供給部39は、配管41と、バルブ42とを有する。配管41の一部は、チャンバー2a内に収容される。バルブ42は、チャンバー2aの外部に配置されてもよい。
【0075】
配管41は、第1ノズル31に薬液を供給する。具体的には、配管41は、管状の部材であり、薬液を第1ノズル31まで流通させる。バルブ42は、配管41から第1ノズル31への薬液の供給と薬液の供給停止とを制御する。具体的には、バルブ42は、配管41に介装される。バルブ42は、開状態と閉状態との間で切り替え可能である。制御装置101(制御部103)はバルブ42の開閉動作を制御する。バルブ42のアクチュエータは、例えば、空圧アクチュエータ、又は電動アクチュエータである。
【0076】
制御装置101(制御部103)は、処理対象の基板W1に薬液を供給する際に、バルブ42を開状態にする。バルブ42を開状態にすると、薬液が第1ノズル31に向かって配管41を流通する。この結果、第1ノズル31から基板W1に向けて薬液が吐出される。
【0077】
制御装置101(制御部103)は、第1ノズル31からの薬液の吐出を停止させる際に、バルブ42を閉状態にする。バルブ42を閉状態にすると、配管41を介した薬液の流通が停止して、第1ノズル31からの薬液の吐出が停止する。
【0078】
リンス液供給部49は、第2ノズル32にリンス液を供給する。図3に示すように、リンス液供給部49は、薬液供給部39と同様に、配管51と、バルブ52とを有する。配管51は、第2ノズル32にリンス液を供給する。バルブ52は、配管51から第2ノズル32へのリンス液の供給とリンス液の供給停止とを制御する。リンス液供給部49の構成は、薬液供給部39と同様であるため、その詳しい説明は割愛する。
【0079】
第1ノズル移動部34は、第1ノズル31を水平面に沿って移動させる。第1ノズル移動部34の動作は、制御装置101(制御部103)によって制御される。より詳しくは、第1ノズル移動部34は、第1退避位置と第1処理位置との間で第1ノズル31を移動させる。具体的には、第1ノズル31は、基板保持部15の外側の領域へ退避する。例えば、第1ノズル31は、液受け部54の外側の領域へ退避してもよい。
【0080】
本実施形態において、第1処理位置は基板Wの中心に対向する位置である。第1ノズル31は、第1処理位置から基板W1に向けて薬液を吐出する。具体的には、第1ノズル移動部34は、第1ノズルアーム35と、第1ノズル基台36と、第1ノズル移動機構37とを有する。第1ノズル基台36は鉛直方向に延びる。第1ノズルアーム35の基端部は第1ノズル基台36に結合している。第1ノズルアーム35は、第1ノズル基台36から水平方向に延びる。
【0081】
第1ノズルアーム35は、第1ノズル31を支持する。第1ノズル31は、第1ノズルアーム35から鉛直下方に向けて突出する。第1ノズル31は、第1ノズルアーム35の先端部に配置されてもよい。
【0082】
第1ノズル移動機構37は、鉛直方向に延びる第2回転軸線AX2を中心として第1ノズル基台36を回転させる。この結果、第1ノズル31が第2回転軸線AX2を中心とする周方向に沿って第1ノズル基台36の周りを移動する。第1ノズル移動機構37は、制御装置101(制御部103)によって制御される。第1ノズル移動機構37は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータとを備えてもよい。
【0083】
第2ノズル移動部44は、第2ノズル32を水平面に沿って移動させる。第2ノズル移動部44の動作は、制御装置101(制御部103)によって制御される。より詳しくは、第2ノズル移動部44は、第2退避位置と第1処理位置との間で第2ノズル32を移動させる。また、第2ノズル移動部44は、第2退避位置と第2処理位置との間で第2ノズル32を移動させる。第2ノズル32は、基板保持部15の外側の領域に退避する。例えば、第2ノズル32は、液受け部54の外側の領域に退避する。但し、第2退避位置は、第1退避位置と異なる位置である。
【0084】
第2ノズル32は、基板処理時に、第1処理位置から基板W1に向けてリンス液を吐出する。第2ノズル32は、図9を参照して説明する第2チャンバー内洗浄時に、第1処理位置からダミー基板W2に向けてリンス液(洗浄液)を吐出する。また、第2ノズル32は、図8を参照して説明する第1チャンバー内洗浄時に、第2処理位置から基板保持部15に向けてリンス液(洗浄液)を吐出する。第2処理位置は、回転部材17の外周部に対向する位置である。より詳しくは、第2処理位置は、回転部材17が回転することによって複数の支持ピン19が通過する円環状の領域に対向する位置である。
【0085】
具体的には、第2ノズル移動部44は、第2ノズルアーム45と、第2ノズル基台46と、第2ノズル移動機構47とを有する。第2ノズルアーム45は、第2ノズル32を支持する。第2ノズル移動機構47は、鉛直方向に延びる第3回転軸線AX3を中心として第2ノズル基台46を回転させる。第2ノズル移動部44の構成は、第1ノズル移動部34と同様であるため、その詳しい説明は割愛する。
【0086】
液受け部54は、基板処理時に、基板回転部21によって回転される基板W1から排出される処理液を受け止める。詳しくは、基板回転部21により回転される基板W1に向けて第1ノズル31から薬液が吐出されている際に、基板W1から飛散する薬液を受け止める。また、基板回転部21により回転される基板W1に向けて第2ノズル32からリンス液が吐出されている際に、基板W1から飛散するリンス液を受け止める。
【0087】
更に、液受け部54は、図8を参照して説明する第1チャンバー内洗浄時に、基板回転部21によって回転される基板保持部15(回転部材17)から排出されるリンス液(洗浄液)を受け止める。詳しくは、基板回転部21により回転される基板保持部15(回転部材17)に向けて第2ノズル32からリンス液(洗浄液)が吐出されている際に、基板保持部15(回転部材17)から飛散するリンス液(洗浄液)を受け止める。
【0088】
また、液受け部54は、図9を参照して説明する第2チャンバー内洗浄時に、基板回転部21によって回転されるダミー基板W2から排出されるリンス液(洗浄液)を受け止める。詳しくは、基板回転部21により回転されるダミー基板W2に向けて第2ノズル32からリンス液(洗浄液)が吐出されている際に、ダミー基板W2から飛散するリンス液(洗浄液)を受け止める。
【0089】
具体的には、図3に示すように、液受け部54は、ガード部55と、カップ部56とを有する。ガード部55は、基板回転部21と、基板保持部15と、基板保持部15に保持されている基板Wとを囲む略円筒状であり、基板回転部21、基板保持部15、及び基板保持部15に保持されている基板Wの周囲に配置される。カップ部56は、ガード部55の下端側に配置される。カップ部56は、ガード部55の下端の下方に、円環状の溝を形成する。
【0090】
ガード部55は、基板処理時に基板W1から排出される処理液(薬液及びリンス液)を受け止める。より具体的には、ガード部55は、回転する基板W1から飛散する処理液を受け止める。カップ部56には、ガード部55の内周面から流れ落ちる処理液が収集される。
【0091】
また、ガード部55は、図8を参照して説明する第1チャンバー内洗浄時に基板保持部15(回転部材17)から排出されるリンス液(洗浄液)を受け止める。より具体的には、ガード部55は、回転する基板保持部15(回転部材17)から飛散するリンス液(洗浄液)を受け止める。カップ部56には、ガード部55の内周面から流れ落ちるリンス液(洗浄液)が収集される。
【0092】
更に、ガード部55は、図9を参照して説明する第2チャンバー内洗浄時にダミー基板W2から排出されるリンス液(洗浄液)を受け止める。より具体的には、ガード部55は、回転するダミー基板W2から飛散するリンス液(洗浄液)を受け止める。カップ部56には、ガード部55の内周面から流れ落ちるリンス液(洗浄液)が収集される。
【0093】
排液配管59の一端は、カップ部56の底部に接続している。排液配管59には、基板処理時にカップ部56において収集された処理液(薬液及びリンス液)が流入する。排液配管59は、例えば、基板処理装置100が設置された工場に設置されている排液部に処理液を排出する。また、排液配管59には、第1チャンバー内洗浄時及び第2チャンバー内洗浄時にカップ部56において収集されたリンス液(洗浄液)が流入する。排液配管59は、例えば、基板処理装置100が設置された工場に設置されている排液部にリンス液(洗浄液)を排出する。
【0094】
液受け昇降部57は、第1下位置と第1上位置との間で液受け部54を昇降させる。第1下位置は、例えば、基板保持部15に保持された基板Wに対して液受け部54の上端(ガード部55の上端)が下方に配置される位置を示す。第1上位置は、例えば、基板保持部15に保持された基板Wに対して液受け部54の上端(ガード部55の上端)が上方に配置される位置を示す。液受け昇降部57は、制御装置101(制御部103)によって制御される。液受け昇降部57は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータとを備えてもよい。
【0095】
例えば、制御装置101(制御部103)は、基板Wが基板保持部15によって保持された後に、液受け部54を第1下位置から第1上位置へ移動させる。ガード部55が第1上位置に配置されることで、基板Wから飛散する処理液及び洗浄液をガード部55によって受け止めることができる。また、制御装置101(制御部103)は、基板Wがチャンバー2aから搬出される際に、液受け部54を第1上位置から第1下位置へ移動させる。ガード部55が第1下位置に配置されることで、図1及び図2を参照して説明したセンターロボットCRと基板保持部15との間での基板Wの受け渡しが可能となる。
【0096】
続いて、図1図4を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図4は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の構成を模式的に示す別の断面図である。詳しくは、図4は、基板保持部15及び基板回転部21の構成を示す。図4では、図3と同様に、理解を容易にするために複数の支持ピン19のうちの2つの支持ピン19を示している。また、図4には、第1処理位置に配置された第1ノズル31と、第2退避領域に配置された第2ノズル32とを示している。
【0097】
図4に示すように、基板保持部15は、回転部材17と、複数の支持ピン19とに加えて、連結部材63と、複数のガイドピン65と、第1磁石67と、第2磁石69と、磁石保持部材71と、周面部材73とを更に備える。
【0098】
回転部材17は、基板Wの直径より大径の円形状を呈する。回転部材17は、複数のピン孔61を有する。複数のピン孔61は、回転部材17の外周部に設けられる。ピン孔61はそれぞれ、回転部材17の上面と下面とに連通する貫通孔である。ピン孔61はそれぞれ、上下方向又は鉛直方向に延びる。ピン孔61には支持ピン19が挿通される。支持ピン19の外径は、ピン孔61の内径より若干小径である。
【0099】
各ピン孔61には、基板処理時に処理液(薬液及びリンス液)が侵入することがある。ピン孔61に侵入した薬液は、ピン孔61の内壁面に付着して乾燥することがある。ピン孔61の内壁面に付着した薬液は、基板W1にパーティクルを発生させる原因となり得る。したがって、各ピン孔61の洗浄を行う必要がある。本実施形態では、図8を参照して説明する第1チャンバー内洗浄時によって各ピン孔61が洗浄される。
【0100】
各支持ピン19は、回転部材17の厚みよりも長い長軸を有する円柱形状を呈する。各支持ピン19は、上下方向又は鉛直方向に延びる。各支持ピン19は、突起19aを有する。各突起19aは、基板Wの水平方向への移動を規制する。具体的には、突起19aは、支持ピン19の上面に設けられる。
【0101】
連結部材63は、回転部材17の下方に設けられて、回転部材17の下面に対向する。各支持ピン19の下端は、連結部材63に結合する。各支持ピン19は、連結部材63から上方へ突出する。連結部材63は、平面視環状を呈する。連結部材63が昇降することにより、複数の支持ピン19が昇降する。
【0102】
ガイドピン65はそれぞれ、上下方向又は鉛直方向に延びる。連結部材63には、複数のガイドピン65が上下方向に挿通されている。各ガイドピン65は、平面視において支持ピン19が存在しない箇所に配置される。
【0103】
各ガイドピン65の上端は、回転部材17の下面に結合されている。各ガイドピン65は、フランジ部65a(図5参照)を有する。フランジ部65aは、ガイドピン65の下部に設けられる。したがって、連結部材63は、ガイドピン65のフランジ部65aによって下降位置が規制される。
【0104】
第1磁石67は、連結部材63の下面に取り付けられる。換言すると、第1磁石67は、連結部材63によって支持される。詳しくは、第1磁石67は、平面視においてガイドピン65が存在しない箇所に配置される。
【0105】
磁石保持部材71は、連結部材63の下方に配置される。磁石保持部材71は、第2磁石69を保持する。具体的には、第2磁石69は、磁石保持部材71の上面に取り付けられる。詳しくは、磁石保持部材71の上面のうち、第1磁石67に対向する位置に第2磁石69が取り付けられる。
【0106】
磁石保持部材71の上下方向の位置は固定されている。第1磁石67と第2磁石69とは、互いに吸引する極性が対向するように配置されている。例えば、第1磁石67の下面がS極である場合、第2磁石69の上面はN極である。
【0107】
周面部材73は、平面視で環状を呈する。周面部材73は、回転部材17の縁部から下方に向かって延出される。周面部材73の下端部は、カバー23の上面から上方へ離間している。周面部材73の下面は、下方から見てほぼ円形状の開口を有する。
【0108】
既に説明したように、基板処理時に、処理液が回転部材17のピン孔61に侵入することがある。ピン孔61に侵入した処理液は、ピン孔61を通して回転部材17の下方へ浸入する。周面部材73は、基板処理時に、回転部材17の下方へ浸入した処理液が側方へ飛散することを防止する。回転部材17の下方へ浸入した処理液は、周面部材73の下面の開口からカバー23へ落下した後、カバー23の表面を流れ落ちる。その結果、図3を参照して説明した液受け部54のカップ部56に処理液が回収される。
【0109】
同様に、図9を参照して説明する第2チャンバー内洗浄時に、リンス液(洗浄液)がピン孔61を通して回転部材17の下方へ浸入することがある。周面部材73は、第2チャンバー内洗浄時に、回転部材17の下方へ浸入したリンス液(洗浄液)が側方へ飛散することを防止する。回転部材17の下方へ浸入したリンス液(洗浄液)は、周面部材73の下面の開口からカバー23へ落下した後、図3を参照して説明した液受け部54のカップ部56に回収される。
【0110】
また、図8を参照して説明する第1チャンバー内洗浄時には、リンス液(洗浄液)によってピン孔61が洗浄される。したがって、リンス液(洗浄液)がピン孔61を通して回転部材17の下方へ浸入する。周面部材73は、第1チャンバー内洗浄時に、回転部材17の下方へ浸入したリンス液(洗浄液)が側方へ飛散することを防止する。回転部材17の下方へ浸入したリンス液(洗浄液)は、周面部材73の下面の開口からカバー23へ落下した後、図3を参照して説明した液受け部54のカップ部56に回収される。
【0111】
図4に示すように、基板処理部2は、昇降駆動部77を更に備える。昇降駆動部77は、基板回転部21のカバー23の内側に配置される。昇降駆動部77は、連結部材63を昇降させて、複数の支持ピン19を昇降させる。詳しくは、昇降駆動部77は、第2上位置と第2下位置との間で複数の支持ピン19を昇降させる。第2上位置は、図1及び図2を参照して説明したセンターロボットCRと複数の支持ピン19との間で基板Wの受け渡しが行われる受渡位置である。第2下位置は、基板Wを基板保持部15に保持させる保持位置である。より詳しくは、本実施形態では、基板保持部15は、ベルヌーイチャックを含む。第2下位置は、回転部材17と基板Wとの間の隙間(距離)がベルヌーイ効果によって基板Wを保持できる大きさとなる位置を示す。
【0112】
具体的には、昇降駆動部77は、例えばエアシリンダのようなアクチュエータを含む。昇降駆動部77は、作動軸75を備える。作動軸75は、鉛直方向に延びる。作動軸75は、カバー23に挿通される。昇降駆動部77が作動すると、作動軸75が上方へ移動する。換言すると、作動軸75が上方へ伸長する。作動軸75は、上方へ移動して連結部材63の下面に当接した後、連結部材63を上方へ押し上げて、複数の支持ピン19を第2上位置(受渡位置)へ移動させる。
【0113】
昇降駆動部77が作動状態から非作動状態に遷移すると、作動軸75は下方へ移動する。換言すると、作動軸75は下方へ収縮する。作動軸75が下方へ移動すると、複数の支持ピン19及び連結部材63が自重により下方へ移動する。その結果、複数の支持ピン19が第2上位置(受渡位置)から第2下位置(保持位置)へ移動する。
【0114】
続いて、図4を参照して、回転軸27を説明する。図4に示すように、回転軸27の上端部は回転部材17に取り付けられている。回転軸27は、二重筒構造となっている。具体的には、回転軸27は、外筒81と、内筒82とを有する。外筒81及び内筒82は、上下方向又は鉛直方向に延びる。外筒81及び内筒82の上端部は回転部材17に取り付けられる。
【0115】
内筒82は、外筒81に挿通されている。外筒81及び内筒82は、外筒81の内周面と内筒82の外周面とが互いに離間するように配置される。したがって、回転軸27は、外筒81と内筒82との間に隙間を有する。
【0116】
図4に示すように、基板処理装置100は、下方供給部85を更に備える。下方供給部85は、気体供給部87と、処理液供給部89とを含む。気体供給部87は、基板保持部15に気体を供給する。処理液供給部89は、基板保持部15に処理液を供給する。処理液供給部89が供給する処理液は、基板W1の下面を洗浄する。気体供給部87が供給する気体は、例えば窒素ガスのような不活性ガスを含む。処理液供給部89が供給する処理液は、例えば、純水、SC1、SC2、又はDHFを含む。
【0117】
具体的には、気体供給部87は、基板保持部15に対して下方から気体を供給する。詳しくは、気体供給部87は、回転軸27の外筒81と内筒82との間に隙間に気体を供給する。回転軸27に供給された気体は、回転軸27の外筒81と内筒82との隙間を介して基板保持部15まで流通する。
【0118】
処理液供給部89は、基板保持部15に対して下方から処理液を供給する。詳しくは、処理液供給部89は、内筒82の内部空間に処理液を供給する。回転軸27に供給された処理液は、内筒82の内部空間を介して基板保持部15まで流通する。
【0119】
図4に示すように、気体供給部87は、配管91と、バルブ92とを有する。配管91の一部は、チャンバー2a内に収容される。バルブ92は、チャンバー2aの外部に配置されてもよい。
【0120】
配管91は、回転軸27の外筒81と内筒82との間の隙間に気体を供給する。具体的には、配管91は、管状の部材であり、外筒81と内筒82との隙間まで気体を流通させる。バルブ92は、配管91から回転軸27への気体の供給と気体の供給停止とを制御する。具体的には、バルブ92は、配管91に介装される。バルブ92は、開状態と閉状態との間で切り替え可能である。制御装置101(制御部103)はバルブ92の開閉動作を制御する。バルブ92のアクチュエータは、例えば、空圧アクチュエータ、又は電動アクチュエータである。
【0121】
制御装置101(制御部103)は、基板処理時、図8を参照して説明する第1チャンバー内洗浄時、及び図9を参照して説明する第2チャンバー内洗浄時に、バルブ92を開状態にする。バルブ92を開状態にすると、気体が回転軸27に向かって配管91を流通する。この結果、回転軸27の外筒81と内筒82との間の隙間に気体が流入する。制御装置101(制御部103)がバルブ92を閉状態にすると、配管91を介した気体の流通が停止して、回転軸27への気体の流入が停止する。
【0122】
図4に示すように、処理液供給部89は、気体供給部87と同様に、配管95と、バルブ96とを有する。配管95は、回転軸27の内筒82の内部空間へ処理液を供給する。バルブ92は、配管95から回転軸27への処理液の供給と処理液の供給停止とを制御する。制御装置101(制御部103)は、基板処理時にバルブ92を開状態にする。処理液供給部89の構成は、気体供給部87と同様であるため、その詳しい説明は割愛する。
【0123】
続いて、図5を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図5は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板保持部15の一部を示す断面図である。図5では、図3と同様に、理解を容易にするために複数の支持ピン19のうちの1つの支持ピン19を示している。
【0124】
図5に示すように、基板保持部15は、第1流路201と、第2流路202と有する。また、回転部材17は、吐出孔207と、複数の流路211とを有する。詳しくは、回転部材17は、蓋部材205を有する。吐出孔207は、蓋部材205に形成される。流路211の数は、例えば、ピン孔61と同数であってもよい。
【0125】
蓋部材205は、回転部材17の中心部の上面側に取り付けられる。回転部材17の上面と蓋部材205の上面とは面一であってもよい。吐出孔207は、回転部材17の中心に設けられる。吐出孔207は、上下方向又は鉛直方向に蓋部材205を貫通する。つまり、吐出孔207は、第1回転軸線AX1に沿って延びる。吐出孔207が設けられる位置は、基板保持部15に保持された基板Wの中心位置に対向する。
【0126】
第1流路201は、内筒82の内部空間によって構成される。第1流路201は、第1回転軸線AX1に沿って延びる。第1流路201の出口は、吐出孔207と連通する。第1流路201の出口が設けられる位置は、吐出孔207が設けられる位置に対向してもよい。
【0127】
第2流路202は、外筒81と内筒82との間の隙間によって構成される。第2流路202は、平面視環状である。第2流路202は、第1回転軸線AX1に沿って延びる。
【0128】
詳しくは、内筒82は、外筒81の上端から上方へ突出している。外筒81は、回転部材17の下部に連結される。回転部材17の中心部には、内筒82が挿通される貫通穴が形成されている。この貫通穴の内径は内筒82の外径よりも大径であり、貫通穴の内周面と内筒82の外周面との間に隙間が形成されている。この隙間は、第2流路202の一部を構成する。外筒81と内筒82との間の隙間は、回転部材17の貫通穴の内周面と内筒82の外周面との間の隙間に連通している。外筒81と内筒82との間の隙間は、第2流路202の残りの部分を構成する。
【0129】
蓋部材205は、回転部材17の中心部の上面側の開口に取り付けられて、回転部材17の中心部の上面側の開口を覆う。内筒82の上面(上端)は、蓋部材205の下面と対向しており、内筒82の上面(上端)は、蓋部材205の下面から離れている。
【0130】
本実施形態では、蓋部材205の下部は、下に突出した三角形状に形成されている。内筒82の上部は、蓋部材205の三角形状に対応するように下に窪んだ三角形状に形成されている。これらの三角形状の部分は互いに離れており、ラビリンス構造209を構成している。
【0131】
複数の流路211は、回転部材17の内部に形成されている。流路211のそれぞれの一端側の開口は、第2流路202に連通している。流路211のそれぞれの他端側の開口213は、回転部材17の外周部側の上面に形成されている。以下、開口213を「エッジ開口213」と記載する場合がある。
【0132】
図4を参照して説明した気体供給部87から第2流路202に流入した気体は、第2流路202を流通する。第2流路202を流通する気体の一部は、複数の流路211に流入する。その結果、複数のエッジ開口213から気体が吐出される。第2流路202を流通する気体の残りは、ラビリンス構造209を介して吐出孔207に流入する。その結果、吐出孔207から上方へ気体が吐出される。
【0133】
図4を参照して説明した処理液供給部89から第1流路201に流入した処理液は、第1流路201を流通する。第1流路201を流通した処理液は、吐出孔207に流入する。その結果、吐出孔207から上方へ処理液が吐出される。本実施形態では、蓋部材205の下面と内筒82の上面との間の隙間がラビリンス構造209となっているため、処理液は、蓋部材205と内筒82との間の隙間に流入しない。
【0134】
複数のエッジ開口213は、複数の支持ピン19が配置される位置よりも内側(回転部材17の中心側)に設けられる。流路211のそれぞれのエッジ開口213側の部分は、第2下位置(保持位置)に配置されている支持ピン19の上端部に向かってエッジ開口213から気体が吹き出されるように、上向きに傾斜する姿勢で回転部材17の上面まで延びる。この結果、気体が基板Wの周縁部の下面に向かって複数のエッジ開口213から吹き出される。
【0135】
続いて、図1図7を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図6は、基板保持部15の第1状態を示す断面図である。図7は、基板保持部15の第2状態を示す断面図である。第1状態は、支持ピン19が第2上位置(受渡位置)に配置されている状態である。第2状態は、支持ピン19が第2下位置(保持位置)に配置されている状態である。図6及び図7では、図3と同様に、理解を容易にするために複数の支持ピン19のうちの1つの支持ピン19を示している。
【0136】
制御装置101(制御部103)は、基板WをセンターロボットCRから受け取る際に昇降駆動部77を作動させる。これにより、図6に示すように作動軸75が上昇し、連結部材63を押し上げて複数の支持ピン19を第2下位置(保持位置)から第2上位置(受渡位置)に上昇させる。なお、昇降駆動部77が非作動状態の際に、図4を参照して説明した第1磁石67と第2磁石69とは吸着している。昇降駆動部77を作動させて連結部材63を上昇させると、第1磁石67と第2磁石69との吸着が解除される。
【0137】
制御装置101(制御部103)は、複数の支持ピン19を第2上位置(受渡位置)まで上昇させた後、センターロボットCRを制御して、複数の支持ピン19に基板Wを載置させる。その際、基板Wの端縁は、突起19aにより水平方向の位置が規制される。
【0138】
制御装置101(制御部103)は、基板Wを複数の支持ピン19に載置させた後、昇降駆動部77を非作動状態にする。その結果、まず、複数の支持ピン19、連結部材63、及び第1磁石67の自重により、複数の支持ピン19、連結部材63、第1磁石67、及び作動軸75が下降する。
【0139】
第1磁石67が第2磁石69に近づくと、複数の支持ピン19、連結部材63、及び第1磁石67の自重に加えて、第1磁石67及び第2磁石69の磁力による吸引力も作用して、複数の支持ピン19、連結部材63、第1磁石67、及び作動軸75の下降速度が増加する。そして、図7に示すように、連結部材63の下面がガイドピン65のフランジ部65aに接触することで、複数の支持ピン19、連結部材63、及び第1磁石67の下降が停止される。その結果、複数の支持ピン19が第2上位置(受渡位置)から第2下位置(保持位置)へ移動(下降)する。
【0140】
作動軸75は、複数の支持ピン19、連結部材63、及び第1磁石67の下降が停止した後も更に下降する。その結果、作動軸75の上端が連結部材63の下面から下方に離れる。
【0141】
なお、回転部材17は、複数のセンタリングピンを更に有してもよい。複数のセンタリングピンは、複数の支持ピン19に基板Wが載置された後に、基板Wの中心を回転部材17の回転中心に一致させるセンタリング動作を行う。
【0142】
制御装置101(制御部103)は、複数の支持ピン19を第2下位置(保持位置)に移動させた後、図4を参照して説明したバルブ92を閉状態から開状態に遷移させる。この結果、吐出孔207及び複数のエッジ開口213から気体が吐出される。
【0143】
吐出孔207から吐出された気体は、基板Wの下面で側方に向きが変えられ、回転部材17の上面と基板Wの下面との狭い空間を基板Wの縁に向かって高速で流れる。更に、エッジ開口213から吐出された気体は、基板Wの縁部下面で側方に向きが変えられ、回転部材17の上面と基板Wの縁部下面との狭い空間を高速で流れる。これらの気体の流れ(気流)はベルヌーイ効果を生じさせ、基板Wの下面に負圧を生じさせるので、基板Wに対して回転部材17の上面側への吸引力が生じ、基板Wが回転部材17側に吸引される。これにより、基板Wが基板保持部15によって保持される。
【0144】
続いて、図1図7を参照して、基板処理を説明する。基板処理の際に基板保持部15は処理対象の基板W1を保持する。制御装置101(制御部103)は、処理対象の基板W1が基板保持部15によって保持されると、液受け昇降部57を制御して、液受け部54を第1下位置から第1上位置へ移動させるとともに、モータ本体25を制御して、基板W1の回転を開始させる。
【0145】
基板W1の回転数が予め定められた回転数に到達した後、第1ノズル移動部34を制御して、第1ノズル31を第1退避位置から第1処理位置へ移動させるとともに、バルブ42を閉状態から開状態へ遷移させる。この結果、第1ノズル31から基板W1の上面に向かって薬液が供給され、遠心力により基板W1の上面に薬液の液膜が形成される。この結果、基板W1の上面が薬液によって処理される。この際、薬液の一部は基板W1から排出される。基板W1から排出された薬液は、液受け部54によって受け止められる。
【0146】
更に、制御装置101(制御部103)は、バルブ96を閉状態から開状態へ遷移させる。この結果、吐出孔207から基板W1の下面へ向けて処理液が吐出される。つまり、吐出孔207から気体と処理液とが同時に吐出される。
【0147】
回転する基板W1の下面へ供給された処理液は、遠心力と、吐出孔207から吐出される気体の流れとによって、基板W1の下面を基板W1の縁へ向かって流れる。その結果、基板W1の下面が処理液によって処理される。処理液は、基板W1の縁に到達した後、基板W1から排出される。基板W1から排出された処理液は、液受け部54によって受け止められる。
【0148】
バルブ42を閉状態から開状態へ遷移させてから、予め定められた時間が経過すると、制御装置101(制御部103)はバルブ42を開状態から閉状態へ遷移させて、第1ノズル31から基板W1への薬液の供給を停止させる。
【0149】
制御装置101(制御部103)は、バルブ42を開状態から閉状態へ遷移させると、第2ノズル移動部44を制御して、第2ノズル32を第2退避位置から第1処理位置へ移動させるとともに、バルブ52を閉状態から開状態へ遷移させる。この結果、第2ノズル32から基板W1の上面に向かってリンス液が供給され、遠心力により基板W1の上面にリンス液の液膜が形成される。この際、基板W1の上面に残存していた薬液がリンス液によって押し流される。基板W1から押し流された薬液は、液受け部54によって受け止められる。また、リンス液の一部も基板W1から排出される。基板W1から排出されたリンス液は、液受け部54によって受け止められる。
【0150】
バルブ52を閉状態から開状態へ遷移させてから、予め定められた時間が経過すると、制御装置101(制御部103)はバルブ52を開状態から閉状態へ遷移させて、第2ノズル32から基板W1へのリンス液の供給を停止させる。
【0151】
更に、制御装置101(制御部103)は、バルブ96を開状態ら閉状態へ遷移させる。この結果、吐出孔207から基板W1の下面への処理液の供給が停止する。
【0152】
制御装置101(制御部103)はバルブ52を開状態から閉状態へ遷移させると、モータ本体25の回転数を増加させて、基板W1を乾燥させる。この際、基板W1の上面に付着しているリンス液と、基板W1の下面に付着している処理液とが周囲に飛散する。基板W1から飛散したリンス液及び処理液は、液受け部54によって受け止められる。
【0153】
モータ本体25の回転数を増加させてから、予め定められた時間が経過した後、制御装置101(制御部103)はモータ本体25を停止させる。その後、制御装置101(制御部103)は、バルブ92を開状態から閉状態へ遷移させる。この結果、基板保持部15による基板W1の保持が解除される。
【0154】
制御装置101(制御部103)は、バルブ92を開状態から閉状態へ遷移させた後、液受け昇降部57を制御して、液受け部54を第1上位置から第1下位置へ移動させるとともに、昇降駆動部77を作動させる。この結果、複数の支持ピン19が第2下位置(保持位置)から第2上位置(受渡位置)に上昇する。
【0155】
制御装置101(制御部103)は、複数の支持ピン19が第2下位置(保持位置)から第2上位置(受渡位置)に上昇すると、センターロボットCRを制御して、チャンバー2aから基板W1を搬出させる。
【0156】
以上説明した基板処理が実行されている際に、支持ピン19とピン孔61との間の隙間に処理液(薬液及びリンス液)が流入することがある。支持ピン19とピン孔61との間の隙間に流入した処理液は、ピン孔61から下方へ排出されて、図4を参照して説明したように液受け部54のカップ部56に回収される。また、液受け部54によって受け止められた処理液は、カップ部56に回収される。しかし、支持ピン19とピン孔61との間の隙間に流入した薬液の一部がピン孔61の内周面や支持ピン19の外周面に付着することがある。同様に、液受け部54によって受け止められた薬液の一部がガード部55の内周面に付着することがある。したがって、パーティクルの発生を抑制するために、基板保持部15及び液受け部54を洗浄する必要がある。
【0157】
本実施形態では、制御装置101(制御部103)は、第1チャンバー内洗浄処理と、第2チャンバー内洗浄処理とを実行する。第1チャンバー内洗浄処理は、基板保持部15を洗浄する処理を含む。第2チャンバー内洗浄処理は、液受け部54を洗浄する処理を含む。
【0158】
続いて、図8を参照して、第1チャンバー内洗浄処理を説明する。図8は、第1チャンバー内洗浄時の基板処理部2を示す断面図である。図8では、図3と同様に、理解を容易にするために複数の支持ピン19のうちの2つの支持ピン19を示している。
【0159】
図8に示すように、第1チャンバー内洗浄時に、基板保持部15は基板Wを保持していない。第1チャンバー内洗浄時に、複数の支持ピン19は第2下位置(保持位置)に配置されている。また、第1チャンバー内洗浄時に、第1ノズル31は第1退避領域に退避している。
【0160】
制御装置101(制御部103)は、第1チャンバー内洗浄時に、第2ノズル移動部44を制御して、第2ノズル32を第2退避位置から第2処理位置へ移動させる。つまり、制御装置101(制御部103)は、回転部材17の外周部に対向する位置まで第2ノズル32を移動させる。より詳しくは、制御装置101(制御部103)は、回転部材17が回転することによって複数の支持ピン19が通過する円環状の領域に対向する位置まで第2ノズル32を移動させる。
【0161】
また、制御装置101(制御部103)は、第1チャンバー内洗浄時に、モータ本体25を制御して、基板保持部15を回転させる。更に、制御装置101(制御部103)は、バルブ92を閉状態から開状態へ遷移させて、吐出孔207及び複数のエッジ開口213から気体を吐出させる。
【0162】
そして、制御装置101(制御部103)は、バルブ52を閉状態から開状態へ遷移させて、第2ノズル32からリンス液(洗浄液)を吐出させる。この結果、回転している基板保持部15に向けて洗浄液(リンス液)が吐出される。
【0163】
更に、本実施形態では、制御装置101(制御部103)は、第1チャンバー内洗浄処理の際に、液受け昇降部57を制御して、液受け昇降部57を昇降させる。
【0164】
以上、図8を参照して説明したように、制御装置101(制御部103)は、第1チャンバー内洗浄処理の際に、基板保持部15が基板Wを保持していない状態で、基板回転部21により基板保持部15を回転させるとともに、第2ノズル32(洗浄液吐出部)から基板保持部15に向けて洗浄液(リンス液)を吐出させて、基板保持部15を洗浄する。本実施形態によれば、基板処理時に基板保持部15に付着した薬液を第1チャンバー内洗浄処理によって洗い流すことができる。したがって、パーティクルの発生を抑制することができる。
【0165】
本実施形態では、第1チャンバー内洗浄処理の際に、第2ノズル32(洗浄液吐出部)は、回転部材17の外周部に向けて洗浄液(リンス液)を吐出して、複数の支持ピン19と複数のピン孔61とを洗浄する。具体的には、第2ノズル32は、回転している回転部材17の外周部に向けて洗浄液(リンス液)を吐出する。したがって、回転部材17の円縁部に沿って並ぶ複数の支持ピン19と複数のピン孔61に向けて洗浄液(リンス液)が吐出される。本実施形態によれば、第1チャンバー内洗浄処理により、複数の支持ピン19と複数のピン孔61の内周面とに付着した薬液を洗い流すことができる。したがって、パーティクルの発生を抑制することができる。
【0166】
また、本実施形態では、制御装置101(制御部103)は、第1チャンバー内洗浄処理の際に、気体供給部87を制御して吐出孔207及び複数のエッジ開口213から気体を吐出させる。したがって、第1チャンバー内洗浄処理の際に吐出孔207内及び複数のエッジ開口213内に洗浄液(リンス液)が侵入しない。よって、回転部材17の内部や回転軸27の内部に洗浄液(リンス液)が侵入することを抑制することができる。よって、パーティクルの発生を抑制することができる。
【0167】
詳しくは、第1チャンバー内洗浄処理の際に、吐出孔207及び複数のエッジ開口213から気体を吐出させない場合、吐出孔207内及び複数のエッジ開口213内に洗浄液が侵入して、回転部材17の内部や回転軸27の内部に洗浄液が付着する可能性がある。この場合、回転部材17の内部や回転軸27の内部に付着した洗浄液は十分に乾燥させることができないため、第1チャンバー内洗浄後の基板処理時に、回転部材17の内部や回転軸27の内部に付着した洗浄液が吐出孔207及び複数のエッジ開口213から吐出されて基板Wにパーティクルが発生する可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、第1チャンバー内洗浄処理の際に吐出孔207内及び複数のエッジ開口213内に洗浄液(リンス液)が侵入しない。よって、パーティクルの発生を抑制することができる。
【0168】
更に、本実施形態によれば、第1チャンバー内洗浄処理の際に、第2ノズル32(洗浄液吐出部)は、回転部材17の外周部に向けて洗浄液(リンス液)を吐出する。したがって、吐出孔207に向けて洗浄液が吐出されないため、チャンバー2aの天井面に洗浄液が付着することを抑制することができる。詳しくは、天井面に洗浄液が付着した場合、第1チャンバー内洗浄後の基板処理時に天井から洗浄液の液滴が処理対象の基板W1に落下する可能性がある。そして、基板W1に落下した液滴は、基板W1にウォーターマークを発生させる可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、第1チャンバー内洗浄時に吐出孔207に向けて洗浄液が吐出されないため、基板W1にウォーターマークが発生することを抑制できる。
【0169】
また、第1チャンバー内洗浄時には、第2ノズル32は第2処理位置(一定位置)から基板保持部15へ洗浄液(リンス液)を吐出する。したがって、液受け部54のうち、洗浄液の着液位置に対向する箇所に向かって、基板保持部15から洗浄液が飛散する。よって、第1チャンバー内洗浄時に、液受け部54の一部が洗浄される。更に、本実施形態では、制御装置101(制御部103)が、第1チャンバー内洗浄処理の際に、液受け昇降部57を制御して液受け部54を昇降させるため、洗浄液の着液位置に対向する箇所を上下方向に拡大することができる。よって、洗浄箇所を拡大することができる。また、本実施形態によれば、液受け部54が第1下位置まで下降した際に、洗浄液が液受け部54の外周面へ飛散するため、液受け部54の外周面を洗浄することができる。
【0170】
続いて、図9を参照して、第2チャンバー内洗浄処理を説明する。図9は、第2チャンバー内洗浄時の基板処理部2を示す断面図である。図9では、図3と同様に、理解を容易にするために複数の支持ピン19のうちの2つの支持ピン19を示している。
【0171】
図9に示すように、第2チャンバー内洗浄処理の際に、基板保持部15はダミー基板W2を保持する。したがって、第2チャンバー内洗浄処理の際に、複数の支持ピン19は第2下位置(保持位置)に配置される。また、制御装置101(制御部103)は、第2チャンバー内洗浄処理の際に、気体供給部87を制御して吐出孔207及び複数のエッジ開口213から気体を吐出させる。このとき、既に説明したように、吐出孔207から上方へ気体が吐出され、複数のエッジ開口213から斜め上方へ気体が吐出される。
【0172】
第2チャンバー内洗浄時に、第1ノズル31は第1退避領域に退避している。制御装置101(制御部103)は、第2チャンバー内洗浄時に、第2ノズル移動部44を制御して、第2ノズル32を第2退避位置から第1処理位置へ移動させる。つまり、制御装置101(制御部103)は、ダミー基板W2の中心に対向する位置まで第2ノズル32を移動させる。
【0173】
制御装置101(制御部103)は、第2チャンバー内洗浄時に、モータ本体25を制御して、基板保持部15と共にダミー基板W2を回転させる。そして、制御装置101(制御部103)は、バルブ52を閉状態から開状態へ遷移させて、第2ノズル32からリンス液(洗浄液)を吐出させる。この結果、回転しているダミー基板W2の中心に向けて洗浄液(リンス液)が吐出される。
【0174】
更に、本実施形態では、制御装置101(制御部103)は、第2チャンバー内洗浄処理の際に、液受け昇降部57を制御して、液受け昇降部57を昇降させる。
【0175】
以上、図9を参照して説明したように、制御装置101(制御部103)は、第2チャンバー内洗浄処理の際に、基板保持部15がダミー基板W2を保持している状態で、基板回転部21により基板保持部15及びダミー基板W2を回転させるとともに、第2ノズル32(洗浄液吐出部)からダミー基板W2に向けて洗浄液(リンス液)を吐出させて、ダミー基板W2から液受け部54へ飛散する洗浄液により液受け部54を洗浄する。
【0176】
詳しくは、回転中のダミー基板W2の中心に吐出された洗浄液が、ダミー基板W2の周縁に向かって流れて、ダミー基板W2の周縁から液受け部54に向かって吐出される。したがって、液受け部54の内周面を偏りなく洗浄することができる。よって、本実施形態によれば、基板処理時に液受け部54に付着した薬液を第2チャンバー内洗浄処理によって洗い流すことができるため、パーティクルの発生を抑制することができる。また、本実施形態によれば、第1チャンバー内洗浄処理では洗浄できない箇所を第2チャンバー内洗浄処理によって洗浄することができる。したがって、パーティクルの発生をより抑制することができる。
【0177】
また、本実施形態によれば、第2チャンバー内洗浄処理の際に、吐出孔207及び複数のエッジ開口213がダミー基板W2によって覆われる。したがって、回転部材17の内部や回転軸27の内部に洗浄液が侵入することを抑制することができる。更に、本実施形態によれば、第2チャンバー内洗浄処理の際に吐出孔207がダミー基板W2によって覆われるため、吐出孔207からの気体の吐出によって洗浄液がチャンバー2aの天井面に吹き上げられない。したがって、チャンバー2aの天井面に洗浄液が付着することを抑制することができる。
【0178】
更に、本実施形態では、制御装置101(制御部103)が、第2チャンバー内洗浄処理の際に、液受け昇降部57を制御して液受け部54を昇降させるため、液受け部54が洗浄液を受け止める箇所を上下方向に拡大することができる。よって、洗浄箇所を拡大することができる。また、本実施形態によれば、液受け部54が第1下位置まで下降した際に、洗浄液が液受け部54の外周面へ飛散するため、液受け部54の外周面を洗浄することができる。
【0179】
続いて、図1図11を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図10は、本実施形態の基板処理装置100が実行する処理の第1例を示すフローチャートである。図11は、本実施形態の基板処理装置100が実行する処理の第2例を示すフローチャートである。詳しくは、図10は、制御装置101(制御部103)が実行する処理の第1例を示す。図11は、制御装置101(制御部103)が実行する処理の第2例を示す。
【0180】
本実施形態において、制御装置101(制御部103)は、予め定められた枚数の基板W1に対して基板処理が実行された後に、第1チャンバー内洗浄処理又は第2チャンバー内洗浄処理を実行する。したがって、本実施形態によれば、チャンバー2a内を清浄に保つことができる。
【0181】
詳しくは、制御装置101(制御部103)は、予め定められた枚数の基板W1に対して基板処理が実行された後に、第1チャンバー内洗浄処理及び第2チャンバー内洗浄処理を実行する。
【0182】
例えば、図10に示すように、制御装置101(制御部103)は、基板処理をN回実行した基板処理部2に対し(ステップS1)、第1チャンバー内洗浄処理を実行した後(ステップS2)、第2チャンバー内洗浄処理を実行してもよい(ステップS3)。なお、「N」は1以上の整数である。「N」の値は、ユーザが任意の値に設定可能な設定値であってもよいし、固定値であってもよい。例えば、「N」の値は、「25」又は「50」であってもよい。
【0183】
図10に示すように、予め定められた枚数の基板W1に対して基板処理が実行された後に、第1チャンバー内洗浄処理及び第2チャンバー内洗浄処理を実行することで、チャンバー2a内を清浄に保つことができる。
【0184】
また、図10に示すように、制御装置101(制御部103)が、第1チャンバー内洗浄処理を実行した後に、第2チャンバー内洗浄処理を実行することで、チャンバー2a内をより清浄にすることができる。詳しくは、ダミー基板W2を用いて洗浄を行う前に、基板保持部15を洗浄することで、ダミー基板W2にパーティクルが発生し難くなる。したがって、ダミー基板W2を介して処理対象の基板W1や基板保持部15にパーティクルが付着することを抑制することができるため、チャンバー2a内をより清浄にすることができる。但し、制御装置101(制御部103)は、第2チャンバー内洗浄処理を実行した後に、第1チャンバー内洗浄処理を実行してもよい。
【0185】
また、例えば図11に示すように、制御装置101(制御部103)は、基板処理をN1回実行した基板処理部2に対して(ステップS11)、まず第1チャンバー内洗浄処理を実行し(ステップS12)、第1チャンバー内洗浄処理の実行後に当該基板処理部2が基板処理をN2回実行した場合に(ステップS13)、第2チャンバー内洗浄処理を実行してもよい(ステップS14)。なお、「N1」及び「N2」はいずれも1以上の整数である。「N1」の値及び「N2」の値はいずれも、ユーザが任意の値に設定可能な設定値であってもよいし、固定値であってもよい。また、「N1」及び「N2」は同じ値であってもよい。例えば、「N1」の値及び「N2」の値は、「25」又は「50」であってもよい。
【0186】
以上、図11を参照して説明したように、制御装置101(制御部103)は、予め定められた枚数の基板W1に対して基板処理が実行された後に、第1チャンバー内洗浄処理を実行し、第1チャンバー内洗浄処理が実行されてから、予め定められた枚数の基板W1に対して基板処理が更に実行された後に、第2チャンバー内洗浄処理を実行してもよい。あるいは、制御装置101(制御部103)は、予め定められた枚数の基板W1に対して基板処理が実行された後に、第2チャンバー内洗浄処理を実行し、第2チャンバー内洗浄処理が実行されてから、予め定められた枚数の基板W1に対して基板処理が更に実行された後に、第1チャンバー内洗浄処理を実行してもよい。つまり、第1チャンバー内洗浄処理及び第2チャンバー内洗浄処理は、交互に実行されてもよい。
【0187】
このような手順でチャンバー2a内を洗浄することにより、チャンバー2a内を清浄にすることができる。また、予め定められた枚数の基板W1に対して基板処理が実行される度に第1チャンバー内洗浄処理と第2チャンバー内洗浄処理とが実行される構成と比べて、チャンバー2aの洗浄に要する時間を短縮することができる。更に、チャンバー2aの洗浄に用いる洗浄液の量を削減することができる。
【0188】
以上、図面(図1図11)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0189】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0190】
例えば、図1図11を参照して説明した実施形態では、吐出孔207から処理液及び気体が吐出されたが、吐出孔207から処理液のみが吐出されてもよい。
【0191】
また、図1図11を参照して説明した実施形態において、基板処理装置100はダミー基板保持部4を備えたが、ダミー基板保持部4は省略されてもよい。この場合、第2チャンバー内洗浄処理を実行する際に基板処理装置100の外部から基板処理装置100の内部にダミー基板W2が搬入されてもよい。例えば、第2チャンバー内洗浄処理を実行する際にインデクサーロボットIRが基板処理装置100の外部から基板処理装置100の内部にダミー基板W2を搬入してもよい。この場合、ダミー基板W2は、インデクサーロボットIR、受渡部6、及びセンターロボットCRを経由して、第2チャンバー内洗浄処理が行われるチャンバー2a内に搬入される。
【0192】
また、図1図11を参照して説明した実施形態では、第2チャンバー内洗浄処理にダミー基板W2を用いたが、第2チャンバー内洗浄処理に基板W1が用いられてもよい。
【0193】
また、図1図11を参照して説明した実施形態では、洗浄液吐出部としてリンス液吐出部(第2ノズル32)を利用したが、リンス液吐出部とは別に洗浄液吐出部を設けてもよい。この場合、洗浄液吐出部は、第2ノズル32と同様に洗浄液を吐出する。洗浄液は、例えば、純水(例えば、脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、又は希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0194】
本発明は、基板を処理する装置に有用である。
【符号の説明】
【0195】
2 :基板処理部
2a :チャンバー
15 :基板保持部
17 :回転部材
19 :支持ピン
21 :基板回転部
30 :処理液吐出部
31 :第1ノズル
32 :第2ノズル
54 :液受け部
57 :液受け昇降部
61 :ピン孔
87 :気体供給部
100 :基板処理装置
101 :制御装置
103 :制御部
105 :記憶部
207 :吐出孔
W :基板
W1 :基板
W2 :ダミー基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11