(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077898
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】加圧装置
(51)【国際特許分類】
B30B 1/32 20060101AFI20240603BHJP
F15B 11/20 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B30B1/32 C
F15B11/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190115
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】近藤 史晃
【テーマコード(参考)】
3H089
4E090
【Fターム(参考)】
3H089AA27
3H089AA42
3H089AA43
3H089BB15
3H089BB17
3H089CC01
3H089DA07
3H089DA14
3H089DB44
3H089DB45
3H089DB48
3H089EE36
3H089FF07
3H089FF10
3H089FF12
3H089GG02
3H089JJ03
4E090AA01
4E090AB01
4E090BA01
4E090BB06
4E090CA02
4E090EB01
4E090EC01
(57)【要約】
【課題】メインシリンダ機構の駆動が一時停止してしまうことを抑制できる加圧装置を提供する。
【解決手段】加圧装置は、複数のプランジャポンプ(20A、20B)と、複数のプランジャポンプから作動流体を送出及び吸込み可能に接続されたメインシリンダ機構と備える。そして、メインシリンダ機構の動作パターンが第1の動作パターンから第2の動作パターンへ切り替わる切替タイミング(t61~t63)に基づいて、当該切替タイミングより前に、複数のプランジャポンプのうち、第1の動作パターンにおいてメインシリンダ機構との間で作動流体をやり取りしていないプランジャポンプが、第2の動作パターンに応じた備動作(J61~J63)を行う。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプランジャポンプと、
前記複数のプランジャポンプから作動流体を送出及び吸込み可能に接続されたメインシリンダ機構と、
を備え、
前記メインシリンダ機構の動作パターンが第1の動作パターンから第2の動作パターンへ切り替わる切替タイミングに基づいて、当該切替タイミングより前に、前記複数のプランジャポンプのうち、前記第1の動作パターンにおいて前記メインシリンダ機構との間で作動流体をやり取りしていないプランジャポンプが、前記第2の動作パターンに応じた準備動作を行う、
加圧装置。
【請求項2】
前記複数のプランジャポンプにおけるプランジャの位置には、作動流体の送出準備が完了した送出準備完了位置、作動流体の吸い込み準備が完了した吸込み準備完了位置とが含まれ、
前記プランジャを前記送出準備完了位置から前記吸込み準備完了位置まで変更するために、或いは、前記プランジャを前記吸込み準備完了位置から前記送出準備完了位置まで変更するために準備所要時間を要し、
前記第1の動作パターンにおいて前記メインシリンダ機構との間で作動流体をやり取りしていないプランジャポンプは、前記切替タイミングから前記準備所要時間の長さ以上前に、前記準備動作を開始する、
請求項1記載の加圧装置。
【請求項3】
前記切替タイミングとは、前記メインシリンダ機構に作動流体を送出する動作パターンから前記メインシリンダ機構から作動流体を吸い込む動作パターンへ切り替わるタイミング、並びに、前記メインシリンダ機構に作動流体を吸い込む動作パターンから前記メインシリンダ機構から作動流体を送出する動作パターンへ切り替わるタイミングを含む、
請求項1記載の加圧装置。
【請求項4】
前記メインシリンダ機構へ作動流体を送出する動作パターンから、前記メインシリンダ機構から作動流体を吸い込む動作パターンに切り替わる場合、前記準備動作は、前記プランジャポンプの作動流体を減少させる動作である、
請求項1記載の加圧装置。
【請求項5】
前記メインシリンダ機構から作動流体を吸い込む動作パターンから、前記メインシリンダ機構へ作動流体を送出する動作パターンに切り替わる場合、前記準備動作は、前記プランジャポンプの作動流体を増加させる動作である、
請求項1記載の加圧装置。
【請求項6】
前記複数のプランジャポンプにおけるプランジャの位置には、作動流体を送出しきった送出端、作動流体を最後まで吸い込んだ吸込み端、前記送出端の手前である送出端手前、前記吸込み端の手前である吸込み端手前とが含まれ、
前記切替タイミングが無い場合に、プランジャが前記送出端手前又は前記吸込み端手前に達したとき、前記メインシリンダ機構との間で作動流体をやり取りする前記プランジャポンプを、他のプランジャポンプに変更する、
請求項1記載の加圧装置。
【請求項7】
前記切替タイミングより前の前記準備動作を行う期間において、前記プランジャポンプにおけるプランジャが前記送出端手前又は前記吸込み端手前に達したとき、前記メインシリンダ機構との間で作動流体をやり取りする前記プランジャポンプを、他のプランジャポンプに変更しない、
請求項6記載の加圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メインシリンダ機構へプランジャポンプから作動流体を送出することでメインシリンダ機構が加圧駆動される加圧装置がある。特許文献1には、1つのメインポンプユニットに複数台の流体ポンプが接続された装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プランジャポンプが連続して作動流体を送出可能な量には制限があり、同様に、プランジャポンプが連続して作動流体を吸込み可能な量には制限がある。そのため、メインシリンダ機構を加圧駆動する際、プランジャポンプが作動流体の送出量の限界に達した場合に、メインシリンダ機構の駆動が一時停止してしまう。同様に、メインシリンダ機構を減圧駆動する際にもプランジャポンプが作動流体の吸込み量の限界に達した場合にメインシリンダ機構の駆動が一時停止してしまう。
【0005】
上記のような事態は、複数のプランジャポンプを有する構成においても、複数のプランジャポンプの全てが作動流体の送出量の限界に達した場合、あるいは、複数のプランジャポンプの全てが作動流体の吸込み量の限界に達した場合に、同様に生じる。
【0006】
本発明は、メインシリンダ機構の駆動が一時停止してしまうことを抑制できる加圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加圧装置は、
複数のプランジャポンプと、
前記複数のプランジャポンプから作動流体を送出及び吸込み可能に接続されたメインシリンダ機構と、
を備え、
前記メインシリンダ機構の動作パターンが第1の動作パターンから第2の動作パターンへ切り替わる切替タイミングに基づいて、当該切替タイミングより前に、前記複数のプランジャポンプのうち、前記第1の動作パターンにおいて前記メインシリンダ機構との間で作動流体をやり取りしていないプランジャポンプが、前記第2の動作パターンに応じた準備動作を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メインシリンダ機構の駆動が一時停止してしまうことを抑制できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る加圧装置の全体構成を示す図である。
【
図2】メインシリンダ機構の駆動工程の設定例を示す図である。
【
図3】メインシリンダ機構の連続的な加圧駆動の一例を説明する図である。
【
図4】メインシリンダ機構の連続的な減圧駆動の一例を説明する図である。
【
図5】動作パターン切替前の準備動作を説明する図である。
【
図6】第1及び第2プランジャポンプのプランジャの位置を説明する図である。
【
図7】制御部が実行するメインシリンダ機構の制御処理のフローチャートの第1部である。
【
図8】制御部が実行するメインシリンダ機構の制御処理のフローチャートの第2部である。
【
図9】加圧装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[加圧装置の概略構成]
図1は本実施形態に係る加圧装置1の全体構成を示す図である。
加圧装置1は、図示のように、作動流体の供給により被加圧物を加圧するメインシリンダ機構10と、メインシリンダ機構10に作動流体を送出、或いは、メインシリンダ機構10から作動流体を吸い込む第1プランジャポンプ20A及び第2プランジャポンプ20Bと、メインシリンダ機構10、第1プランジャポンプ20A及び第2プランジャポンプ20Bに作動流体を供給する作動流体タンク33に接続された流体ポンプ32と、上記各構成を接続する流体回路と、加圧装置1の全体構成を制御する制御部90とを備えている。作動流体は、具体的には液体であり、より具体的には作動油を適用できる。
【0012】
[メインシリンダ機構]
メインシリンダ機構10は、互いに対向して相互間で加圧を行う固定加圧台11及び可動加圧台12と、内部に作動流体の給排が行われるシリンダ13と、シリンダ13の内部において、可動加圧台12の加圧方向に沿って摺動するピストン14と、ピストン14からシリンダ13の外部に延出されて可動加圧台12に連結されたピストンロッド15とを備えている。
メインシリンダ機構10は、複動式であり、ピストン14を挟んでシリンダ13の内部の下側領域(第1領域)16と上側領域(第2領域)17とに作動流体の給排が行われる。そして、シリンダ13の下側領域16に作動流体が供給されると、ピストン14を通じて可動加圧台12が固定加圧台11に向かって移動し、固定加圧台11と可動加圧台12との間で加圧を行う。また、シリンダ13の上側領域17に作動流体が供給されると、ピストン14を通じて可動加圧台12が固定加圧台11から離隔し、加圧状態の解除を行う。
【0013】
メインシリンダ機構10は、例えば、複数のアンビルを押し当てて被加圧物の超高圧加圧を行う。
八つの略立方体形状の内側アンビルと、八つの内側アンビルを立方体状に組んで保持する一対の外側アンビルとを使用し、一対の外側アンビルを固定加圧台11及び可動加圧台12の間に配置して、内側アンビルの加圧を行う。
内側アンビルは、角部が平坦に面取りされており、八つの内側アンビルを立方体状に組んだ時に、内部中心に位置する各々の内側アンビルの角部の平坦部に八方から囲まれるように被加圧物を配置する。これにより、一対の外側アンビルをメインシリンダ機構10が高圧で加圧すると、八つの内側アンビルの角部の平坦部に圧力が集中的に発生し、平坦部に囲まれた被加圧物に対して超高圧加圧が行われる。
上記のような超高圧加圧を行う際には、メインシリンダ機構10の昇圧を時間をかけて精密に安定的に行うことが要求される。
【0014】
なお、アンビルを用いた被加圧物の超高圧加圧は、メインシリンダ機構10の用途の一例に過ぎず、用途がこれに限定されるものではない。メインシリンダ機構10は、他の安定的な加圧を行う他の用途に使用しても良いことは言うまでもない。
【0015】
[油圧シリンダ機構]
第1プランジャポンプ20Aと第2プランジャポンプ20Bの同一構造の構成ついては、原則として同一の符号を付して説明する。
第1プランジャポンプ20Aは、中空である筒状の第1シリンダ21Aと、第1シリンダ21Aの内部で摺動可能なプランジャ(ピストン)22と、プランジャ22に進退移動動作を付与する直動機構としてのボールネジ機構24と、ボールネジ機構24の駆動源となる減速機付きサーボモータ23Aとを備えている。
【0016】
第2プランジャポンプ20Bは、中空である筒状の第2シリンダ21Bと、第2シリンダ21Bの内部で摺動可能なプランジャ(ピストン)22と、プランジャ22に進退移動動作を付与する直動機構としてのボールネジ機構24と、ボールネジ機構24の駆動源となる減速機付きサーボモータ23Bとを備えている。
【0017】
第1プランジャポンプ20A及び第2プランジャポンプ20Bは、いずれも単動式のシリンダ機構であり、第1、第2シリンダ21A、21B内でプランジャ22によって密閉された領域内に作動流体の給排が行われる。
ボールネジ機構24は、減速機付きサーボモータ23A、23Bによって回転駆動が行われるボールネジ25と、ボールネジ25に螺合したボールナット26を備える可動枠27とを備えている。
ボールネジ25は、プランジャのストローク方向に対して平行に設けられ、可動枠27は、プランジャ22の外側端部に固定的に連結されている。
減速機付きサーボモータ23A、23Bは、図示しないエンコーダを備え、減速機付きサーボモータ23A、23Bの回転量(回転角度)を制御部90に入力する。従って、制御部90は、減速機付きサーボモータ23A、23Bの微少な回転量(回転角度)の制御が可能である。
これにより、制御部90は、減速機付きサーボモータ23A、23Bからボールネジ機構24を通じて、プランジャ22のストローク方向の微細な動作量を制御し、第1、第2シリンダ21A、21Bにおける作動流体の給排量の精密且つ高精度な制御を行うことができる。また、これにより、メインシリンダ機構10に供給する作動流体の供給量を精密に制御するので、メインシリンダ機構10の加圧力を精密且つ高精度に制御して、例えば、長時間にわたる精密な昇圧、加圧維持、減圧を行うことができる。
【0018】
なお、ボールネジ機構24は、プランジャ22ではなく、第1、第2シリンダ21A、21B側に進退移動動作を付与しても良い。
また、各プランジャポンプ20A、20Bのプランジャは、どのような形式の構成が適用されてもよい。
また、直動機構は、ボールネジ機構に限らず、他の直線駆動手段、例えばリニアモータ等を用いてもよい。
【0019】
[流体ポンプ]
流体ポンプ32は、作動流体が貯留された作動流体タンク33に接続されており、モータ34を駆動源として、作動流体タンク33内の作動流体を所定の供給圧力でメインシリンダ機構10、第1プランジャポンプ20A及び第2プランジャポンプ20Bに供給することができる。
【0020】
[流体回路]
流体回路は、流体ポンプ32からメインシリンダ機構10への接続状態を切り替える第1供給バルブ41と、流体ポンプ32から第1プランジャポンプ20A及び第2プランジャポンプ20Bへの接続状態を切り替える第2供給バルブ42と、流体ポンプ32と第1供給バルブ41との間で作動流体を流通可能に接続する第1給排管43と、第1供給バルブ41とメインシリンダ機構10の下側領域16との間で作動流体を流通可能に接続する第2給排管44と、第1供給バルブ41とメインシリンダ機構10の上側領域17との間で作動流体を流通可能に接続する第3給排管45とを有する。
【0021】
さらに、流体回路は、第1給排管43から分岐して流体ポンプ32と第2供給バルブ42との間で作動流体を流通可能に接続する第4給排管46と、第2供給バルブ42と第1プランジャポンプ20Aとの間で作動流体を流通可能に接続する第5給排管47と、第2供給バルブ42と第2プランジャポンプ20Bとの間で作動流体を流通可能に接続する第6給排管48と、第1プランジャポンプ20Aとメインシリンダ機構10の下側領域16との間で作動流体を流通可能に接続する第7給排管49と、第2プランジャポンプ20Bとメインシリンダ機構10の下側領域16との間で作動流体を流通可能に接続する第8給排管50とを有する。
なお、第5給排管47と第6給排管48は、第2供給バルブ42側で合流しており、第7給排管49と第8給排管50は、メインシリンダ機構10側で合流している。
【0022】
第1供給バルブ41は、メインシリンダ機構10の下側領域16と上側領域17とを、流体ポンプ32側と作動流体タンク33側とに選択的に接続可能である。
即ち、第1供給バルブ41は、メインシリンダ機構10の下側領域16を流体ポンプ32に接続し、上側領域17を作動流体タンク33側に接続する位置と、メインシリンダ機構10の下側領域16を作動流体タンク33に接続し、上側領域17を流体ポンプ32側に接続する位置と、メインシリンダ機構10のシリンダ13の下側領域16と上側領域17の両方を作動流体タンク33に接続する位置とに切り替え可能である。
【0023】
第2供給バルブ42は、第1プランジャポンプ20A及び第2プランジャポンプ20Bを流体ポンプ32側と作動流体タンク33側とに選択的に接続可能である。
即ち、第2供給バルブ42は、第1プランジャポンプ20Aに接続された第5給排管47と第2プランジャポンプ20Bに接続された第6給排管48の合流端部を作動流体タンク33側に接続する位置と、上記の合流端部を流体ポンプ32側に接続する位置とに切り替え可能である。
【0024】
各給排管43~45、47、48には、リリーフバルブが設けられている。
また、第2給排管44の第1供給バルブ41側端部にはパイロットチェックバルブ51が設けられ、下側領域16側の端部には、圧力センサ52が設けられている。
【0025】
パイロットチェックバルブ51は、流体ポンプ32からメインシリンダ機構10の下側領域16へ作動流体が供給される際には、流通を妨げず、メインシリンダ機構10の下側領域16からの作動流体の逆流を規制する。但し、パイロットチェックバルブ51は、第3給排管45の内圧を受けて弁が開かれるようになっているので、メインシリンダ機構10の上側領域17へ作動流体が供給されている場合には、下側領域16から作動流体タンク33に押し戻される作動流体の流通を妨げないように構成されている。
圧力センサ52は、メインシリンダ機構10の下側領域16の内部圧力を検出し、制御部90に出力する。
【0026】
第5、第6給排管47、48には、それぞれシャットオフバルブからなるタンク側バルブ53、54が設けられている。また、第7、第8給排管49、50には、それぞれシャットオフバルブからなるメインシリンダ側バルブ55、56が設けられている。メインシリンダ側バルブ55は、第1プランジャポンプ20Aとメインシリンダ機構10の下側領域16との間の作動流体の流通の接続状態と切断状態とを切り替え可能である。メインシリンダ側バルブ56は、第2プランジャポンプ20Bとメインシリンダ機構10の下側領域16との間の作動流体の流通の接続状態と切断状態とを切り替え可能である。
これらのバルブ53~56は、制御部90の指令によって個別に開かれ、作動流体の流通が可能となる。
【0027】
また、第7給排管49と第8給排管50とには、各々に設けられたメインシリンダ側バルブ55、56よりも第1、第2シリンダ21A、21B側近傍に圧力センサ57、58が設けられている。これらの圧力センサ57、58は、第1プランジャポンプ20Aの第1シリンダ21Aの内部圧力、第2プランジャポンプ20Bの第2シリンダ21Bの内部圧力を個別に検出し、制御部90に出力する。
【0028】
[制御部]
制御部90は、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bの減速機付きサーボモータ23A、23B、作動流体タンク33のモータ34、第1供給バルブ41、第2供給バルブ42、タンク側バルブ53、54、メインシリンダ側バルブ55、56に接続されており、これらの動作制御を行うことができる。
また、制御部90は、圧力センサ52、57、58に接続されており、これらの設けられたメインシリンダ機構10の下側領域16、第1プランジャポンプ20Aの第1シリンダ21A、第2プランジャポンプ20Bの第2シリンダ21Bの内部の検出圧力を取得する。
また、プランジャ22のストローク方向の位置は、減速機付きサーボモータ23A、23Bの出力軸の回転量と相関があるので、制御部90は、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bの減速機付きサーボモータ23A、23Bのエンコーダ出力からそれぞれのプランジャ22におけるストローク方向の位置を取得することができる。また、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bの減速機付きサーボモータ23A、23Bのエンコーダ出力からそれぞれのプランジャ22におけるストローク方向の位置を求めることで、実質的に第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bによる作動流体の給排量を求めている。
【0029】
[メインシリンダ機構の駆動工程]
続いて、メインシリンダ機構の駆動工程について説明する。以下、単に「作動流体の送出」と言ったときには、第1プランジャポンプ20A又は第2プランジャポンプ20Bからメインシリンダ機構10への作動流体の送出を意味するものとする。また、単に「作動流体の吸込み」と言ったときには、メインシリンダ機構10から第1プランジャポンプ20A又は第2プランジャポンプ20Bへの作動流体の吸い込みを意味するものとする。
【0030】
図2は、メインシリンダ機構の駆動工程の設定例を示す図である。制御部90は、予め設定された駆動工程に従ってメインシリンダ機構10を駆動制御する。駆動工程は、例えば
図2に示すように、複数の実行ステップの各々において目標圧力と目標時間とが設定される。実行ステップとは、1つの連続する動作パターンの単位を示し、目標時間に目標圧力に達するという動作パターンを表わす。駆動工程は、複数の実行ステップの動作パターンが、実行ステップの番号順に、順次、実行されるという工程である。
【0031】
動作パターンには、メインシリンダ機構10の加圧駆動、圧力保持駆動、減圧駆動とが含まれる。加圧駆動と圧力保持駆動とは、作動流体の送出により実現される。減圧駆動は、作動流体の吸込みにより実現される。圧力保持駆動は、メインシリンダ機構10の加圧力を保持するという駆動であるが、加圧力を保持する際には作動流体の流出が生じるため、当該流出を補うために作動流体の送出を要する。
【0032】
メインシリンダ機構10の加圧駆動又は圧力保持駆動に要する作動流体の送出量が、1つのプランジャポンプ(20A又は20B)の作動流体の容量を超える場合には、複数のプランジャポンプ(20A、20B)を利用した連続的な作動流体の送出が必要となる。同様に、メインシリンダ機構10の減圧駆動に要する作動流体の吸込み量が、1つのプランジャポンプ(20A又は20B)の作動流体の容量を超える場合には、複数のプランジャポンプ(20A、20B)を利用した連続的な作動流体の吸込みが必要となる。連続的な作動流体の送出と、連続的な作動流体の吸込みとは、次のように実現される。
【0033】
[作動流体の連続送出]
図3は、メインシリンダ機構の連続的な加圧駆動の一例を説明する図である。図中、代表的な一組の第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bのみに符号を付す。制御部90は、次のように流体回路、並びに、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bを制御することで、連続的な作動流体の送出を行って、メインシリンダ機構10の連続的な加圧駆動を実現する。
【0034】
すなわち、まず、制御部90は、第1プランジャポンプ20Aにタンク33の作動流体を供給することで、第1プランジャポンプ20Aを流体送出用の待機状態にする(タイミングt1)。流体送出用の待機状態とは、プランジャポンプのシリンダ(第1シリンダ21A、第2シリンダ21B等)に作動流体が多く溜められた状態であり、作動流体を長い期間送出できるようにした待機状態を意味し、作動流体を長い期間送出できるようにした待機状態を意味する。ここで、制御部90は、加えて、第2プランジャポンプ20Bを同様の待機状態にしてもよい(タイミングt1)。
【0035】
そして、制御部90は、第1プランジャポンプ20Aからメインシリンダ機構10(その下側領域16)へ作動流体を送出させる(期間T1)。作動流体の送出によりメインシリンダ機構10が加圧駆動又は圧力保持駆動される。
【0036】
続いて、第1プランジャポンプ20Aの作動流体が少なくなったら、制御部90は、メインシリンダ機構10へ作動流体を送出するプランジャポンプを、第1プランジャポンプ20Aから第2プランジャポンプ20Bに変更する(タイミングt2)。そして、メインシリンダ機構10への作動流体の送出を継続する(期間T2)。
【0037】
当該変更の前、制御部90は、一旦、タンク側バルブ54とメインシリンダ側バルブ56とが閉じられた状態で、第2プランジャポンプ20Bから流体回路へ作動流体を送出させる。そして、メインシリンダ側バルブ56と第2プランジャポンプ20Bとの間の作動流体の圧力が高くなった後に、制御部90は、メインシリンダ側バルブ56を開く。当該処理により、作動流体の圧力差を低減させて、第2プランジャポンプ20Bからメインシリンダ機構10への作動流体の送出が可能となる。この状態で、制御部90は、第2プランジャポンプ20Bから作動流体を送出させる一方、第1プランジャポンプ20Aからの作動流体の送出を停止する。
【0038】
上記の変更が行われたら、次に、制御部90は、第1プランジャポンプ20Aにタンク33の作動流体を供給する(期間T2a)。作動流体を供給する前、制御部90は、タンク側バルブ53が閉じられた状態で、メインシリンダ側バルブ55を閉じ、流体回路から第1プランジャポンプ20Aへ作動流体を吸い込ませる。そして、タンク側バルブ53と第1プランジャポンプ20Aとの間の作動流体の圧力が低くなった後に、制御部90は、タンク側バルブ53を開く。当該処理により、作動流体の圧力差を低減させて、タンク33から第1プランジャポンプ20Aへ作動流体が供給可能となる。この状態で、制御部90は、第1プランジャポンプ20Aへ作動流体を供給し、第1プランジャポンプ20Aを流体送出用の待機状態にする。
【0039】
そして、制御部90は、上記と同様に、第2プランジャポンプ20Bの作動流体が少なくなったら、メインシリンダ機構10へ作動流体を送出するプランジャポンプを第1プランジャポンプ20Aに変更する(タイミングt3)。そして、変更後に、第2プランジャポンプ20Bに作動流体を供給することで、第2プランジャポンプ20Bを流体送出用の待機状態にする(期間T3a)。
【0040】
このような制御を繰り返し行うことで、メインシリンダ機構10へ作動流体が連続的に送出され、メインシリンダ機構10を連続的に加圧駆動又は圧力保持駆動することができる。
【0041】
[作動流体の連続吸込み]
図4は、メインシリンダ機構の連続的な減圧駆動の一例を説明する図である。図中、代表的な一組の第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bのみに符号を付す。制御部90は、次のように流体回路、並びに、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bを制御することで、連続的な作動流体の吸込みを行って、メインシリンダ機構10の連続的な減圧駆動を実現する。
【0042】
すなわち、まず、制御部90は、第1プランジャポンプ20Aからタンク33へ作動流体を排出させることで、第1プランジャポンプ20Aを流体吸込み用の待機状態にする(タイミングt11)。流体吸込み用の待機状態とは、プランジャポンプのシリンダ(第1シリンダ21A、第2シリンダ21B等)の作動流体を少なくした状態であり、作動流体を長い期間吸い込めるようにした待機状態を意味する。ここで、制御部90は、加えて、第2プランジャポンプ20Bを同様の待機状態にしてもよい(タイミングt11)。
【0043】
そして、制御部90は、第1プランジャポンプ20Aへメインシリンダ機構10(その下側領域16)の作動流体を吸い込ませる(期間T11)。作動流体の吸込みによりメインシリンダ機構10が減圧駆動される。
【0044】
続いて、第1プランジャポンプ20Aの作動流体が多くなったら、制御部90は、メインシリンダ機構10から作動流体を吸い込むプランジャポンプを、第1プランジャポンプ20Aから第2プランジャポンプ20Bに変更する(タイミングt12)。そして、メインシリンダ機構10からの作動流体の吸込みを継続する(期間T12)。
【0045】
当該変更の際、制御部90は、一旦、タンク側バルブ54とメインシリンダ側バルブ56とが閉じられた状態で、第2プランジャポンプ20Bから流体回路へ作動流体を送出させる。そして、メインシリンダ側バルブ56と第2プランジャポンプ20Bとの間の作動流体の圧力が高くなった後に、制御部90は、メインシリンダ側バルブ56を開く。当該処理により、作動流体の圧力差を低減させて、メインシリンダ機構10から第2プランジャポンプ20Bへ作動流体を吸い込むことが可能となる。この状態で、制御部90は、メインシリンダ機構10から第2プランジャポンプ20Bへ作動流体を吸い込ませる一方、第1プランジャポンプ20Aによるメインシリンダ機構10からの作動流体の吸込みを停止する。
【0046】
上記の変更が行われたら、次に、制御部90は、第1プランジャポンプ20Aからタンク33へ作動流体を排出させる(期間T12a)。作動流体を排出させる前、制御部90は、タンク側バルブ53が閉じられた状態で、メインシリンダ側バルブ55を閉じ、流体回路から第1プランジャポンプ20Aへ作動流体を吸い込ませる。そして、タンク側バルブ53と第1プランジャポンプ20Aとの間の作動流体の圧力が低くなった後に、制御部90は、タンク側バルブ53を開く。当該処理により、作動流体の圧力差を低減させて、第1プランジャポンプ20Aからタンク33へ作動流体を排出可能となる。この状態で、制御部90は、第1プランジャポンプ20Aから作動流体を排出させることで、第1プランジャポンプ20Aを流体吸込み用の待機状態にする(期間T12a)。
【0047】
そして、制御部90は、上記と同様に、第2プランジャポンプ20Bの作動流体が多くなったら、メインシリンダ機構10から作動流体を吸い込むプランジャポンプを第1プランジャポンプ20Aに変更する(タイミングt13)。そして、変更後に、第2プランジャポンプ20Bから作動流体を排出させて、第2プランジャポンプ20Bを流体吸込み用の待機状態にする(期間T13a)。
【0048】
このような制御を繰り返し行うことで、メインシリンダ機構10から作動流体が連続的に吸い出され、メインシリンダ機構10を連続的に減圧駆動することができる。
【0049】
[メインシリンダ機構の動作パターンの切り替え]
メインシリンダ機構10の駆動工程には、作動流体の送出を要する加圧駆動又は圧力保持駆動から、作動流体の吸込みを要する減圧駆動へ切り替わる動作パターンの切り替わりが含まれる。同様に、メインシリンダ機構10の駆動工程には、作動流体の吸込みを要する減圧駆動から、作動流体の送出を要する加圧駆動又は圧力保持駆動へ切り替わる動作パターンの切り替わりが含まれる。
【0050】
ここで、まず、比較例の加圧装置の動作について説明する。作動流体の送出を要する駆動から作動流体の吸込みを要する駆動に切り替わる際、切り替え前に第1プランジャポンプ20Aが作動流体を少ししか送出しておらず、かつ、第2プランジャポンプ20Bが流体送出用の待機状態に移行している場合が生じえる。このような場合、第1プランジャポンプ20A及び第2プランジャポンプ20Bの両方に作動流体が多く溜まった状態になり、いずれからも作動流体を多く吸い込むことができない。したがって、動作パターンの切り替わり後に、メインシリンダ機構10の駆動を一時停止し、第1プランジャポンプ20A及び第2プランジャポンプ20Bから作動流体をタンク33へ排出せざるをえない場合が生じえる。
【0051】
同様に、比較例の加圧装置において、作動流体の吸込みを要する駆動から作動流体の送出を要する駆動に切り替わる際、切り替え前に第1プランジャポンプ20Aが作動流体を少ししか吸い込んでおらず、かつ、第2プランジャポンプ20Bが流体吸込み用の待機状態に移行している場合が生じえる。このような場合、切り替え後に第1プランジャポンプ20A及び第2プランジャポンプ20Bの両方とも作動流体が少ない状態になり、いずれからも作動流体を多く送出することができない。したがって、動作パターンの切り替わり後に、メインシリンダ機構10の駆動を一時停止し、第1プランジャポンプ20A及び第2プランジャポンプ20Bへ作動流体をタンク33から供給さぜるをえない場合が生じえる。
【0052】
本実施形態の加圧装置1においては、動作パターンが切り替わる際に後述する準備動作を行うことで、上記のようなメインシリンダ機構10の駆動を一時停止せざるをえない場合を低減する。
【0053】
なお、制御部90は、駆動工程の設定(
図2)に応じた動作が得られるように、メインシリンダ機構10の圧力を監視しながら、作動流体の送出量又は吸込み量を調整する。当該制御においては、目標圧力を実現するために要する作動流体の総合的な送出量又は総合的な吸込み量が、一定値に定まらないことが多く、作動流体の層好適な送出量又は総合的な吸込み量にはバラツキが生じる。したがって、メインシリンダ機構10の動作パターンが切り替わるタイミングに、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bに作動流体がどのくらい残っているのか、予め予測することは困難である。
【0054】
[動作パターン切替前の準備動作]
図5は、動作パターン切替前の準備動作を説明する図である。以下では、第1プランジャポンプ20Aがメインシリンダ機構10との間で作動流体を送出又は吸込みしているときに、第2プランジャポンプ20Bの準備動作を行わせる場合について説明する。逆の場合も同様である。
【0055】
本実施形態の加圧装置1の制御部90は、メインシリンダ機構10の動作パターンが第1の動作パターンから第2の動作パターンに切り替わる切替タイミングt31、t32に基づいて、当該切替タイミングt31、t32より前に、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bのうち、上記の第1の動作パターンにおいてメインシリンダ機構10との間で作動流体をやり取りしていないプランジャポンプが、切り替え後の動作パターンに応じた準備動作(T21、T22)を行う。ここで、第1の動作パターン及び第2の動作パターンは、具体的には、メインシリンダ機構10の加圧駆動(第1の動作パターンに相当)と、メインシリンダ機構10の減圧駆動(第2の動作パターンに相当)とである。あるいは、第1の動作パターン及び第2の動作パターンは、メインシリンダ機構10の圧力保持駆動(第1の動作パターンに相当)と、メインシリンダ機構10の減圧駆動(第2の動作パターンに相当)とであってもよいし、メインシリンダ機構10の減圧駆動(第1の動作パターンに相当)と、メインシリンダ機構10の加圧駆動(第2の動作パターンに相当)とであってもよいし、メインシリンダ機構10の減圧駆動(第1の動作パターンに相当)とメインシリンダ機構10の圧力保持駆動(第2の動作パターンに相当)とであってもよい。
【0056】
準備動作は、切り替わり後のメインシリンダ機構10の動作パターン(「減圧」、又は、「加圧、圧力保持」)に応じて異なる動作となる。メインシリンダ機構10の動作パターンが、作動流体の送出を要する「加圧(又は圧力保持)」の動作パターンから作動流体の吸込みを要する「減圧」の動作パターンに切り替わる場合、
図5(A)に示すように、準備動作(T21)は、第2プランジャポンプ20Bの作動流体を減少(排出)させる動作である。
【0057】
逆に、メインシリンダ機構10の動作パターンが、作動流体の吸込みを要する「減圧」の動作パターンから作動流体の送出を要する「加圧(又は圧力保持)」の動作パターンに切り替わる場合、
図5(B)に示すように、準備動作(T22)は、第2プランジャポンプ20Bの作動流体を増加(供給)させる動作である。
【0058】
準備動作の開始タイミングt21、t22は、切替タイミングt31、t32から準備所要時間T21、T22だけ前のタイミング、あるいは、それよりも前のタイミングである。ここで、タイミングとは、厳密な1点のタイミングに限られず、±10%の誤差がある場合を含むものと定義される。すなわち、開始タイミングt21、t22から切替タイミングt31、t32までの時間が、準備所要時間T21、T22×90%以上、かつ、110%以下であれば、上記のタイミングと見なすことができるものとする。また、開始タイミングt21、t22から切替タイミングt31、t32までの時間長は、準備所要時間T21、T22よりも長くてもよい。このような準備動作の開始タイミングt21、t22の設定により、メインシリンダ機構10の動作パターンの切替タイミングt31、t32で、第2プランジャポンプ20Bを、切り替え後の動作パターンに対応した作動流体の蓄積量とすることができる。さらに、準備動作の開始タイミングt21、t22から切替タイミングt31、t32までの間に、第1プランジャポンプ20Aの作動流体が尽きる又は満杯になってメインシリンダ機構10の駆動の継続に支障が生じてしまうことを低減できる。
【0059】
[プランジャポンプのプランジャの位置]
図6は、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bのプランジャの位置を説明する図である。第1及び第2プランジャポンプ20A、20Aのプランジャ22の位置には、
図6に示すように、吸込み端p1、吸込み端手前p2、送出端p3、送出端手前p4が設定されている。
【0060】
吸込み端p1は、作動流体を最後まで吸い込んだときの位置である。送出端p3は、作動流体を送出しきったときの位置である。吸込み端手前p2は、吸込み端p1よりも余裕分の作動流体の吸込みが可能な吸込み残域C1を第1シリンダ21Aに残した位置である。送出端手前p4は、送出端p3よりも余裕分の作動流体の送出が可能な送出残域C2を第1シリンダ21Aに残した位置である。
【0061】
制御部90は、少なくとも吸込み端手前p2と送出端手前p4とにプランジャ22が達したことを識別できる。当該識別は、サーボモータ23Aの回転量の情報に基づいて行うこともできるし、別途、プランジャ22の位置を検出するセンサを設けて、当該センサの出力に基づいて行うこともできる。
制御部90は、
図3の加圧駆動におけるタイミングt2、t3、あるいは、
図4の減圧駆動におけるタイミングt12、t13を、プランジャ22が送出端手前p4に達したこと、あるいは、吸込み端手前p2に達したことをトリガーとして判別するように構成されてもよい。すなわち、制御部90は、連続した加圧駆動中に、作動流体を送出しているプランジャポンプ(20A又は20B)のプランジャ22が送出端手前p4に達した場合に、作動流体を送出するプランジャポンプを第1プランジャポンプ20Aから第2プランジャポンプ20Bへ、あるいは、その逆へ変更する。また、制御部90は、連続した減圧駆動中に、作動流体を吸い込んでいるプランジャポンプ(20A又は20B)のプランジャ22が吸込み端手前p2に達した場合に、作動流体を吸い込むプランジャポンプを第1プランジャポンプ20Aから第2プランジャポンプ20Bへ、あるいは、その逆へ変更する。
【0062】
また、
図3の加圧駆動における待機状態、又は、
図4の減圧駆動における待機状態は、吸込み端手前p2にプランジャ22が位置する状態、又は、送出端手前p4にプランジャ22が位置する状態に制御されてもよい。
【0063】
吸込み残域C1は、
図5(B)の準備所要時間T22の作動流体の吸込みに対向可能な容量に設定されていてもよい。すなわち、タイミングt22において、第1プランジャポンプ20Aが吸込み端手前p2にあった場合でも、吸込み残域C1により準備所要時間T22の作動流体の吸込みを継続できるように、容量が設定されていてもよい。当該容量は、メインシリンダ機構10の減圧速度に応じて異なるが、最大の減圧速度、あるいは、極端に早い減圧速度を除いた範囲における最大の減圧速度に対応可能なように、吸込み残域C1の容量が設定されていてもよい。
【0064】
送出残域C2は、
図5(A)の準備所要時間T21の作動流体の送出に対応可能な容量に設定されていてもよい。すなわち、タイミングt21において、第1プランジャポンプ20Aが送出端手前p4にあった場合でも、送出残域C2の作動流体により準備所要時間T21の作動流体の送出を継続できるように、容量が設定されていてもよい。当該容量は、メインシリンダ機構10の加圧速度に応じて異なるが、最大の加圧速度、あるいは、極端に早い加圧速度を除いた範囲における最大の加圧速度に対応可能なように、送出残域C2の容量が設定されていてもよい。
【0065】
[動作パターンの切り替え前の準備動作とプランジャ22の移動速度]
図5(A)の準備動作(T21)は、タンク33へ作動流体を排出可能にした状態で、第2プランジャポンプ20Bのプランジャ22を送出端手前p4へ移動させる動作に相当する。
【0066】
図5(B)の準備動作(T22)は、タンク33から作動流体を供給可能にした状態で、第2プランジャポンプ20Bのプランジャ22を吸込み端手前p2へ移動させる動作に相当する。
【0067】
上記の準備動作において、プランジャ22が最も大きく移動する状況は、第2プランジャポンプ20Bが、減圧駆動時の待機状態(
図4を参照)から加圧駆動時の待機状態(
図3を参照)へ変更される状況、あるいは、その逆に変更される状況である。すなわち、プランジャ22を吸込み端手前p2から送出端手前p4まで移動させる、あるいは、その逆に移動させる状況である。当該移動の長さは、有効可動域のストローク長L(
図6)である。
【0068】
第1プランジャポンプ20Aは、タンク33から作動流体が供給される際、並びに、タンク33へ作動流体を排出する際、所定の速度Vでプランジャ22を移動させることができる。
【0069】
したがって、プランジャ22を吸込み端手前p2から送出端手前p4へ移動させて作動流体をタンク33へ排出させるのに必要な準備所要時間T21は、「L/V」となる。同様に、プランジャ22を送出端手前p4から吸込み端手前p2へ移動させて作動流体をタンク33から供給させるのに必要な準備所要時間T22は、「L/V」となる。
【0070】
[制御処理]
続いて、制御部が実行するメインシリンダ機構10の制御処理について説明する。
図7及び
図8は当該制御処理のフローチャートである。以下の説明において、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bのうち、メインシリンダ機構10との間で作動流体をやり取り(送出又は吸込み)している方を、「使用側ポンプ」と記し、メインシリンダ機構10との間で作動流体のやり取りをしていない方を「待機側ポンプ」と記す。
【0071】
制御処理が開始されると、制御部90は、駆動工程の設定データに基づいて現時点に要求される駆動種別が加圧駆動(圧力保持駆動を含む)か減圧駆動かを判別する(ステップS1)。そして、加圧駆動であれば、制御部90は、使用側プランジャポンプから作動流体を送出させ(ステップS2)、並行して、待機側ポンプを待機状態(駆動停止)とする(ステップS3)。続いて、制御部90は、動作パターン切り替え前の準備動作の開始タイミングt21(
図5(A))か判別し(ステップS4)、NOであれば、使用側ポンプのプランジャ22が送出端手前p4に達したか判別する(ステップS5)。ステップS5の結果がNOであれば、制御部90は、ステップS2、S3の処理に戻る。
【0072】
ステップS5の結果がYESであれば、制御部90は、待機側ポンプを使用側ポンプに変更し、使用側ポンプを待機側ポンプに変更する(ステップS6、S7)。当該変更は、前述したタンク側バルブ53、54及びメインシリンダ側バルブ55、56の開閉制御により実現される。そして、制御部90は、変更後の使用側ポンプを用いて作動流体の送出を継続する(ステップS2)。さらに、ステップS2と並行して、制御部90は、待機側ポンプのプランジャ22を吸込み端手前まで移動させることで、待機側ポンプに作動流体を供給し、待機側ポンプを加圧駆動用の待機状態にする(ステップS8)。そして、待機側ポンプを待機状態とする(ステップS3)。
【0073】
一方、ステップS4の判別がYESであると、制御部90は、待機側ポンプのプランジャが送出端手前p4よりも送出端p3寄りか判別し(ステップS9)、YESであれば、待機側ポンプを待機状態とする(ステップS3)。一方、NOであれば、待機側ポンプから作動流体をタンク33へ排出させ、プランジャを送出端手前p4に位置させる(ステップS10)。そして、待機側ポンプを待機状態とする(ステップS3)。ステップS4、S9、S10の処理により、前述した動作パターンの切り替え前の準備動作(
図5(A))が実現される。
【0074】
したがって、その後、ステップS1で減圧駆動の判別結果となったときに、使用側ポンプと待機側ポンプの両方に、作動流体がいっぱい溜まった状況となることが回避され、速やかに減圧駆動へ切り替えることができ、その後、減圧駆動を継続することができる。
【0075】
ステップS12~S20の処理は、ステップS2~S10の処理を、加圧駆動用から減圧駆動用に反転させたものである。すなわち、ステップS2~S10の処理の説明において、加圧と減圧とを反転させ、作動流体の吸込みと送出とを反転させ、吸込み端手前p2と送出端手前p4とを反転させるように読み替えれば、ステップS12~S20の処理の説明となる。
【0076】
[加圧装置の動作例]
図9は、加圧装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図9において、圧力とは、メインシリンダ機構10の圧力であり、下段に第1プランジャポンプ20A、20Bの状態を示す。図中、代表的な一組の第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bのみに符号を付している。また、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bのうち「使用側ポンプ」となっている方に黒丸を付している。
【0077】
本実施形態の加圧装置1によれば、
図7及び
図8の制御処理によって、
図9のような動作が実現される。すなわち、期間T51-T54、T56のように、作動流体の送出を要する駆動(加圧駆動と圧力保持駆動)が続く期間においては、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bの一方を使用側ポンプ、他方を待機側ポンプとして、使用側ポンプと待機側ポンプとを交互に変更しながら作動流体を連続的に送出する処理が遂行される。
【0078】
また、期間T55、T57のように、作動流体の吸込みを要する減圧駆動が続く期間においては、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bの一方を使用側ポンプ、他方を待機側ポンプとして、使用側ポンプと待機側ポンプとを交互に変更しながら作動流体を連続的に吸い込む処理が行われる。
【0079】
さらに、作動流体の送出を要する駆動から吸込みを要する駆動への動作パターンの切替タイミングt61、t62、t63においては、各々のタイミングt61、t62、t63よりも前の準備動作期間T61、T62、T63において、待機中ポンプが切り替わり後の動作パターンに対応した準備動作J61、J62、J63を行う。
【0080】
したがって、切替タイミングt61、t63の近傍において、続いて作動流体の吸込みを要するのに、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bの両方に作動流体が多く溜まった状況が生じることが抑制される。同様に、切替タイミングt62の近傍において、続いて作動流体の送出を要するのに、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bの両方に作動流体が多く溜まっていない状況が生じることが抑制される。したがって、動作パターンが切り替わる際にも、メインシリンダ機構10の連続的な駆動を実現できる。
【0081】
[実施形態効果]
以上のように、本実施形態の加圧装置1によれば、制御部90は、メインシリンダ機構10の動作パターンの切替タイミングt61、t62、t63に基づいて、当該切替タイミングt61、t62、t63よりも前に、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bのうち待機側ポンプに、切り替え後の動作パターンに応じた準備動作を行わせる。したがって、作動流体の送出を要する駆動から吸込みを要する駆動への動作パターンの切り替わりの際でも、メインシリンダ機構10の連続的な駆動が妨げられることを抑制できる。
【0082】
さらに、本実施形態の加圧装置1によれば、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bにおけるプランジャ22の位置には、作動流体の送出準備が完了した吸込み端手前p2(送出準備完了位置)、並びに、作動流体の吸い込み準備が完了した送出端手前p4(吸込み準備完了位置)とが含まれる。さらに、プランジャ22を吸込み端手前p2から送出端手前p4まで変更するために、あるいは、その逆の変更を行うために、準備所要時間T21、T22を要する。そして、制御部90は、切替タイミングt61、t62、t63から準備所要時間T21、T22(
図5(A)及び
図5(B))以上前に、待機側ポンプに準備動作を開始させる。したがって、切替タイミングt61、t62、t63までに、待機側ポンプを切り替え後の動作パターンに対応した準備状態に変更することができる。
【0083】
さらに、本実施形態の加圧装置1によれば、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bにおけるプランジャ22の位置には、作動流体を送出しきった送出端p3、作動流体を最後まで吸い込んだ吸込み端p1、送出端p3の手前である送出端手前p4、吸込み端p1の手前である吸込み端手前p2とが含まれる。そして、制御部90は、切替タイミングt61、t62、t63が含まれない期間には、プランジャ22が送出端手前p4又は吸込み端手前p2に達したときを第1変更条件とし、当該第1変更条件に基づいて、一方のプランジャポンプを使用側ポンプから待機側ポンプへ変更し、他方のプランジャポンプを待機側ポンプから使用側ポンプへ変更する。したがって、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bは、待機側ポンプへ変更される直前においても、まだ、作動流体を吸い込む余力、あるいは、作動流体を送出する余力を残している。したがって、メインシリンダ機構10の動作パターン切り替え前の準備動作期間T61、T62、T63中に、使用側ポンプが送出端手前p4又は吸込み端手前p2に達しても、余力分の作動流体を使用することで、メインシリンダ機構10の駆動を継続させることができる。
【0084】
具体的には、切替タイミングt61、t62、t63より前の準備動作期間T61、T62、T63においては、制御部90が、待機側ポンプと使用側ポンプとを変更する条件から、上記の第1変更条件を除外するように制御すればよい。このような制御により、上記の余力分の作動流体を使用した制御(メインシリンダ機構10の駆動を継続させる制御)を実現できる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、メインシリンダ機構、流体回路及びプランジャポンプの構成は、図示された具体例に限られず、種々の形式の構成が採用されてもよい。また、複数のプランジャポンプは、第1及び第2プランジャポンプ20A、20Bの2つに限られず、3つ以上であってもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 加圧装置
10 メインシリンダ機構
20A 第1プランジャポンプ
20B 第2プランジャポンプ
90 制御部
p1 吸込み端
p2 吸込み端手前(送出準備完了位置)
p3 送出端
p4 送出端手前(吸込み準備完了位置)
T21、T22 準備所要時間
t61~t63 切替タイミング
T61~T63 準備動作期間