(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007791
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】配車システム、配車方法、および、配車プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20240112BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240112BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240112BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240112BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240112BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/00 D
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109118
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】國松 宏
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA14
5H181BB04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181LL06
5H181MA14
(57)【要約】
【課題】安全運転に対するドライバーの総合的な能力を評価して配車する。
【解決手段】
配車システム10は、認知能力評価部11、運転可能条件設定部12、および、配車管理部14を備える。認知能力評価部11は、ドライバーの運転に関係する認知能力を評価する。運転可能条件設定部12は、認知能力の評価結果を用いて、ドライバーの運転可能条件を設定する。配車管理部14は、利用者からの配車依頼情報と運転可能条件とに基づいて、配車対象のドライバーを指定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバーの運転に関係する認知能力を評価する認知能力評価部と、
前記認知能力の評価結果を用いて、前記ドライバーの運転可能条件を設定する運転可能条件設定部と、
利用者からの配車依頼情報と前記運転可能条件とに基づいて、配車対象のドライバーを指定する配車管理部と、
を備える、
配車システム。
【請求項2】
前記運転可能条件設定部は、
前記運転可能条件として、前記ドライバーの運転可能距離を含み、
前記配車管理部は、
前記配車依頼情報から推定運転距離を算出し、
前記運転可能距離が前記推定運転距離以上となるように、配車対象のドライバーを指定する、
請求項1に記載の配車システム。
【請求項3】
前記配車管理部は、前記利用者の出発位置と目的位置とを用いて前記推定運転距離を設定する、
請求項2に記載の配車システム。
【請求項4】
前記配車管理部は、前記ドライバーの位置をさらに用いて前記推定運転距離を設定する、
請求項3に記載の配車システム。
【請求項5】
前記配車管理部は、
前記配車依頼情報から推定運転ルートを検出し、
前記推定運転ルートに対する気象情報、道路交通情報、危険度情報の少なくとも1つから補正情報を設定し、
前記補正情報を用いて前記推定運転距離を補正し、
前記補正した前記推定運転距離に基づいて、前記配車対象のドライバーを指定する、
請求項2に記載の配車システム。
【請求項6】
前記配車管理部は、
前記配車依頼情報から出発時刻を検出し、
前記出発時刻をさらに用いて前記補正情報を設定する、
請求項5に記載の配車システム。
【請求項7】
前記認知能力評価部は、時間経過に応じて前記認知能力の評価を繰り返し、
前記運転可能条件設定部は、最新の前記認知能力の評価結果を用いて、前記ドライバーの運転可能条件を設定する、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の配車システム。
【請求項8】
前記認知能力評価部は、
視覚的刺激または聴覚的刺激に対する脳信号から事象関連電位を検出し、
前記事象関連電位に基づいて前記認知能力を評価する、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の配車システム。
【請求項9】
前記認知能力評価部は、
前記脳信号から運転準備電位を検出し、
前記運転準備電位に基づいて前記認知能力を評価する、
請求項8に記載の配車システム。
【請求項10】
前記認知能力評価部は、
前記視覚的刺激または前記聴覚的刺激に対する応答運動から応答速度を検出し、
前記応答速度に基づいて前記認知能力を評価する、
請求項9に記載の配車システム。
【請求項11】
ドライバーの運転に関係する認知能力を評価する認知能力評価部と、
前記認知能力の評価結果を用いて、前記ドライバーの運転可能条件を設定する運転可能条件設定部と、
前記ドライバーの位置と前記運転可能条件とを送信する通知部と、
前記ドライバーの位置と前記運転可能条件とを受信して、前記ドライバーの位置と前記運転可能条件とを表示する表示器と、
を備える、
配車システム。
【請求項12】
ドライバーの運転に関係する認知能力を評価するステップと、
前記認知能力の評価結果を用いて、前記ドライバーの運転可能条件を設定するステップと、
利用者からの配車依頼情報と前記運転可能条件とに基づいて、配車対象のドライバーを指定するステップと、
を実行する、
配車方法。
【請求項13】
ドライバーの運転に関係する認知能力を評価するステップと、
前記認知能力の評価結果を用いて、前記ドライバーの運転可能条件を設定するステップと、
利用者からの配車依頼情報と前記運転可能条件とに基づいて、配車対象のドライバーを指定するステップと、
を、演算処理装置に実行させる、
配車プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タクシー等の配車を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、利用者がタクシー会社を選択すると、選択したタクシー会社のタクシーのみを表示し、他のタクシー会社のタクシーを表示しないシステムが記載されている。
【0003】
特許文献2では、ドライバーの眠気を判定して、ドライバーを選択するシステムが記載されている。
【0004】
特許文献3では、ドライバーの居眠りを検出して、ドライバーに警告するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-88197号公報
【特許文献2】特開2016-218571号公報
【特許文献3】特開2013-120409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1-3のシステムでは、安全運転に関係するドライバーのより総合的な能力を考慮できていない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、安全運転に対するドライバーの総合的な能力を評価して配車することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の実施形態に係る配車システムは、認知能力評価部、運転可能条件設定部、および、配車管理部を備える。認知能力評価部は、ドライバーの運転に関係する認知能力を評価する。運転可能条件設定部は、認知能力の評価結果を用いて、ドライバーの運転可能条件を設定する。配車管理部は、利用者からの配車依頼情報と運転可能条件とに基づいて、配車対象のドライバーを指定する。
【0009】
この構成では、ドライバーの運転可能条件(例えば安全運転できる距離)は、認知能力によって設定される。すなわち、運転可能条件は、眠気だけ等ではなく、安全運転に対する総合的な観点から決定される。そして、運転可能条件と配車依頼情報とに基づいて配車対象ドライバーを指定することで、配車依頼情報に対応しつつ安全運転を実現可能なドライバーが指定される。
【0010】
この発明の実施形態に係る配車システムは、認知能力評価部、運転可能条件設定部、運転可能条件設定部、および、表示器を備える。認知能力評価部は、ドライバーの運転に関係する認知能力を評価する。運転可能条件設定部は、認知能力の評価結果を用いて、ドライバーの運転可能条件を設定する。運転可能条件設定部は、ドライバーの位置と運転可能条件とを送信する。表示器は、ドライバーの位置と運転可能条件とを受信して、ドライバーの位置と運転可能条件とを表示する。
【0011】
この構成では、ドライバーの運転可能条件(例えば安全運転できる距離)は、認知能力によって設定される。そして、ドライバーの位置と運転可能条件とは、利用者に送信され、表示される。これにより、利用者は、ドライバー毎に位置と運転可能条件とを把握でき、これらの情報に基づいてドライバーを指定できる。したがって、利用者の希望を考慮しながら、安全運転を実現可能なドライバーが適正に配車される。
【0012】
この発明の実施形態に係る配車方法は、ドライバーの運転に関係する認知能力を評価するステップと、認知能力の評価結果を用いてドライバーの運転可能条件を設定するステップと、利用者からの配車依頼情報と運転可能条件とに基づいて配車対象のドライバーを指定するステップと、を実行する。
【0013】
この方法では、ドライバーの運転可能条件(例えば安全運転できる距離)は、認知能力によって設定される。そして、運転可能条件と配車依頼情報とに基づいて配車対象ドライバーを指定することで、配車依頼情報に対応しつつ安全運転を実現可能なドライバーが指定される。
【0014】
この発明の実施形態に係る配車プログラムは、ドライバーの運転に関係する認知能力を評価するステップと、認知能力の評価結果を用いてドライバーの運転可能条件を設定するステップと、利用者からの配車依頼情報と運転可能条件とに基づいて配車対象のドライバーを指定するステップと、を、演算処理装置に実行させる。
【0015】
このプログラムでは、ドライバーの運転可能条件(例えば安全運転できる距離)は、認知能力によって設定される。そして、運転可能条件と配車依頼情報とに基づいて配車対象ドライバーを指定することで、配車依頼情報に対応しつつ安全運転を実現可能なドライバーが指定される。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、安全運転に対するドライバーの総合的な能力を評価して配車できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る配車システムの機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る認知能力評価部の機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、運転可能条件の設定の一例を示す表である。
【
図4】
図4は、ドライバーDBに記憶されている内容の一例を示す表である。
【
図5】
図5は、配車依頼情報の一例を示す表である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る配車管理部の機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る配車方法を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る認知能力の評価方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る配車管理方法を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る配車システムの機能ブロック図である。
【
図11】
図11は、それぞれに第2の実施形態に係る配車方法を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、それぞれに第2の実施形態に係る配車方法を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、本発明の第3の実施形態に係る配車システムの機能ブロック図である。
【
図14】
図14は、本発明の第3の実施形態に係る配車管理部の機能ブロック図である。
【
図15】
図15は、第3の実施形態に係る配車方法を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、本発明の第4の実施形態に係る配車方法を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、本発明の第5の実施形態に係る配車システムの機能ブロック図である。
【
図18】
図18は、第5の実施形態に係る配車システムでの配車アプリの画面の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、第5の実施形態に係る配車方法を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、第6の実施形態に係る配車システムでの配車アプリの画面の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、第7の実施形態に係る配車方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る配車技術について、図を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る配車システムの機能ブロック図である。
図1に示すように、配車システム10は、認知能力評価部11、運転可能条件設定部12、配車依頼情報受け付け部13、配車管理部14、および、ドライバーDB101を備える。
【0020】
認知能力評価部11は、ドライバーが装着可能な部分を有する装置である。運転可能条件設定部12、および、配車管理部14は、コンピュータ等の演算処理装置、当該演算処理装置で実行されるプログラム、当該プログラムを記憶する記憶媒体等によって構成される。配車依頼情報受け付け部13は、通信装置である。ドライバーDB101は、所定媒体からなる記憶装置であり、演算処理装置に内蔵される装置、演算処理装置と別の装置、クラウドのいずれであってもよい。
【0021】
(配車システム10の概略的な処理)
認知能力評価部11は、認知能力を評価する。認知能力評価部11は、認知能力の評価結果を運転可能条件設定部12に出力する。
【0022】
ここでの認知能力は、ドライバーの安全運転に関係する認知能力である。安全運転に関係する認知能力とは、例えば、事故や運転中の不注意を起こさないことをどのぐらい確実に行えるかを判定可能な能力に対応する。
【0023】
運転可能条件設定部12は、ドライバーの認知能力からドライバーの運転可能条件を設定する。運転可能条件設定部12は、ドライバーの識別情報(例えば、ドライバーID)と運転可能条件とを関連付けして、ドライバーDB101に記憶(登録、更新)する。
【0024】
運転可能条件は、例えば、運転可能距離や運転可能時間である。運転可能距離は、例えば、事故や運転中の不注意を起こす可能性を略無くせる運転距離であり、運転可能時間は、例えば、事故や運転中の不注意を起こす可能性を略無くせる運転時間である。
【0025】
配車依頼情報受け付け部13は、利用者からの配車依頼情報を受け付ける。配車依頼情報受け付け部13は、配車依頼情報を配車管理部14に出力する。
【0026】
配車依頼情報は、例えば、利用者の位置、利用者がタクシーを利用する出発位置、利用者がタクシーで到達したい目的位置を含む。なお、配車依頼情報には、出発時刻を含んでいてもよい。なお、配車システム10は、配車依頼情報DBを備え、配車依頼情報受け付け部13は、配車依頼情報を配車依頼情報DBに記憶してもよい。
【0027】
配車管理部14は、配車依頼情報と運転可能条件とに基づいて、配車対象のドライバーを指定する。例えば、配車管理部14は、配車依頼情報から推定運転距離を算出する。配車管理部14は、運転可能条件の運転可能距離を取得する。配車管理部14は、運転可能距離が推定運転距離以上となるドライバーを、配車対象のドライバーとして指定する。
【0028】
このような構成および処理によって、配車システム10は、安全運転に対するドライバーの総合的な能力を評価して配車できる。
【0029】
(認知能力評価部11)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る認知能力評価部の機能ブロック図である。認知能力評価部11は、刺激提示部111、脳信号検出部112、応答検出部113、事象関連電位検出部114、運動準備電位検出部115、応答速度検出部116、および、評価演算部117を備える。
【0030】
刺激提示部111は、認知能力の評価対象のドライバーに対して刺激を提示する。刺激は、例えば、運転中の危険に関連する画像や音である。
【0031】
脳信号検出部112は、例えば、ウエアラブル端末であり、認知能力の評価対象のドライバーに装着されている。脳信号検出部112は、このドライバーの脳信号を検出する。脳信号検出部112は、脳信号を事象関連電位検出部114および運動準備電位検出部115に出力する。
【0032】
事象関連電位検出部114は、脳信号から事象関連電位(P300等)を検出する。視覚的刺激であれば、事象関連電位は、視覚的事象関連電位(例えば、P300)であり、聴覚的刺激であれば、事象関連電位は、聴覚的事象関連電位(例えば、MMN)である。事象関連電位検出部114は、事象関連電位の検出結果(事象関連電位の有無等)を評価演算部117に出力する。
【0033】
運動準備電位検出部115は、脳信号から運動準備電位を検出する。運動準備電位検出部115は、運動準備電位の検出結果(運動準備電位の有無、刺激提示から運動準備電位が発生するまでの時間等)を評価演算部117に出力する。
【0034】
応答検出部113は、模擬ハンドル、模擬ペダル、または、操作ボタン等、認知能力の評価対象のドライバーの刺激に対する応答操作を検出する装置である。応答検出部113は、認知能力の評価対象のドライバーの応答操作を検出して、応答信号を生成する。応答検出部113は、応答信号を応答速度検出部116に出力する。
【0035】
応答速度検出部116は、刺激提示のタイミングと、応答信号の検出タイミングとの時間差から応答速度を検出する。応答速度検出部116は、応答速度を評価演算部117に出力する。
【0036】
評価演算部117は、事象関連電位の検出結果、運動準備電位の検出結果、および、応答速度の少なくとも1つを用いて、認知能力を評価する。具体的には、評価演算部117は、認知能力の高さに応じた複数段階の認知能力レベルを設定する。例えば、評価演算部117は、高い順からA-Eの五段階で認知能力レベルを設定する。なお、認知能力のレベルの段階数はこれに限るものではなく、適宜設定できる。
【0037】
評価演算部117は、事象関連電位の検出結果、運動準備電位の検出結果、または、応答速度に基づいて、認知能力レベルを決定する。例えば、評価演算部117は、事象関連電位の検出結果、運動準備電位の検出結果、または、応答速度の安全運転への貢献度に応じて、認知能力レベルを設定する。すなわち、評価演算部117は、事象関連電位の検出結果、運動準備電位の検出結果、または、応答速度から、安全運転を長い距離および長い時間で実行できるような結果であれば、ドライバーの認知能力は高いと判定する。一方、評価演算部117は、事象関連電位の検出結果、運動準備電位の検出結果、または、応答速度から、安全運転を短い距離および短い時間でしか実行できないような結果であれば、ドライバーの認知能力は高いと判定する。
【0038】
なお、評価演算部117は、事象関連電位の検出結果、運動準備電位の検出結果、および、応答速度の少なくとも2つを組み合わせて、認知能力を評価してもよい。さらには、評価演算部117は、事象関連電位の検出結果、運動準備電位の検出結果、および、応答速度の3つを組み合わせることで、認知能力を評価してもよい。このように3つの項目を組み合わせることで、認知能力の評価精度は向上し、認知能力の評価結果の信頼性は向上する。
【0039】
また、評価演算部117は、認知能力を数値化して評価してもよい。例えば、評価演算部117は、認知能力が高いほど、数値が高くなるように設定してもよい。
【0040】
評価演算部117は、認知能力の評価結果を、評価を行ったドライバーID(ドライバーの識別情報)に関連付けして、運転可能条件設定部12に出力する。
【0041】
(運転可能条件設定部12)
図3は、運転可能条件の設定の一例を示す表である。
【0042】
運転可能条件設定部12は、認知能力評価部11から認知能力の評価結果を受けると、運転可能条件を設定する。例えば、
図3に示すように、運転可能条件設定部12は、認知能力レベルと運転可能条件との関係を予め記憶している。この関係は、例えば、過去の経験値等によって設定される。
【0043】
運転可能条件は、運転可能距離や運転可能時間で設定でき、
図3では、運転可能距離で設定された例を示している。なお、この距離は一例であり、距離の大小関係が異ならなければ、適宜設定できる。
【0044】
例えば、
図3を参照した場合、運転可能条件設定部12は、認知能力レベルがAであれば(一番高ければ)、運転可能距離を無制限に設定する。運転可能条件設定部12は、認知能力レベルがBであれば(二番目に高ければ)、運転可能距離を100kmに設定する。運転可能条件設定部12は、認知能力レベルがCであれば(三番目に高ければ)、運転可能距離を50kmに設定し、認知能力レベルがDであれば(四番目に高ければ)、運転可能距離を10kmに設定する。運転可能条件設定部12は、認知能力レベルがEであれば(最低であれば)、運転を不許可(運転可能距離を0kmに設定することに相当し、要休憩であることを意味する。)に設定する。
【0045】
運転可能条件設定部12は、運転可能条件とドライバーIDとを関連付けして、ドライバーDB101に記憶する。
【0046】
(ドライバーDB101)
図4は、ドライバーDBに記憶されている内容の一例を示す表である。なお、
図4では、認知能力評価結果(認知能力レベル)も記載しているが、認知能力評価結果はドライバーDB101に記憶しなくてもよい。
【0047】
図4に示すように、ドライバーDB101は、ドライバーIDと運転可能条件とか関連づけして記憶される。この情報は、運転可能条件すなわち認知能力の評価結果が新たに得られれば、更新される。
【0048】
(配車依頼情報)
図5は、配車依頼情報の一例を示す表である。
図5に示すように、配車依頼情報は、少なくとも出発位置および目的位置を含み、指定時刻を含んでいてもよい。なお、出発位置は、利用者位置であり、例えば、利用者が測位機能を有する端末で配車依頼を行った場合、利用者の現在位置としてもよい。目的位置は、例えば、利用者が端末等に入力することで決定される。
【0049】
(配車管理部14)
図6は、本発明の第1の実施形態に係る配車管理部の機能ブロック図である。
図6に示すように、配車管理部14は、運転距離推定部141と配車ドライバー指定部142とを備える。
【0050】
運転距離推定部141には、配車依頼情報が入力される。運転距離推定部141は、配車依頼情報に基づいて出発位置と目的位置との距離を算出し、推定運転距離DISeとする。推定運転距離DISeは、出発位置と目的位置との直線距離ではなく、例えば、地図を参照して、道路を経由した場合の出発位置と目的位置との最短距離である。
【0051】
運転距離推定部141は、推定運転距離DISeを配車ドライバー指定部142に出力する。
【0052】
配車ドライバー指定部142には、運転可能情報が入力される。配車ドライバー指定部142は、運転可能情報からドライバー毎の運転可能距離DISpを取得する。
【0053】
配車ドライバー指定部142は、利用者からの配車依頼情報と運転可能条件とに基づいて、配車対象のドライバーを指定する。例えば、配車依頼情報に対応する推定運転距離DISeと、運転可能条件に対応する運転可能距離DISpとに基づいて、配車対象のドライバーを指定する。より具体的には、配車ドライバー指定部142は、推定運転距離DISeと運転可能距離DISpとを、ドライバー毎に比較する。配車ドライバー指定部142は、運転可能距離DISpが推定運転距離DISe以上であるドライバーを、配車対象のドライバーとして指定する。
【0054】
例えば、
図4のドライバーDB101の場合であり、推定運転距離DISeが75kmであれば、配車ドライバー指定部142は、ドライバーID006のドライバーを、配車対象のドライバーとして指定する。
【0055】
なお、
図4のドライバーDB101の場合であり、推定運転距離DISeが50kmであれば、配車ドライバー指定部142は、ドライバーID002、004、006のドライバーを、配車対象のドライバーとする。そして、配車ドライバー指定部142は、これらのドライバーから適宜1人を選択し、配車対象ドライバーとして指定する。この選択方法は、例えば、出発位置までの距離が最短のドライバー、前回の賃走からの時間間隔が最長のドライバー(休憩が最長のドライバー)、運転可能距離DISpが最長のドライバー等適宜設定できる。
【0056】
以上のような構成および処理によって、配車システム10は、安全運転に関係する認知能力によって、配車で運転する距離において安全に運転可能なドライバーを選択し、配車を行うことができる。これにより、配車システム10は、安全運転に対するドライバーの総合的な能力を評価して、適正な配車を実現できる。
【0057】
(配車方法)
図7は、本発明の第1の実施形態に係る配車方法を示すフローチャートである。なお、
図7の配車方法において、上述の構成を用いた説明と同様の箇所は、説明を省略する。
【0058】
認知能力評価部11は、ドライバーの認知能力を評価し、運転可能条件設定部12は、ドライバーの認知能力からドライバーの運転可能条件を設定する(S90)。
【0059】
配車依頼情報受け付け部13は、利用者からの配車依頼情報を受け付ける(S10)。配車管理部14は、配車依頼情報と運転可能条件とに基づいて、配車対象のドライバーを指定する(S20)。
【0060】
配車管理部14は、配車対象のドライバーに配車を指示する(S30)。配車管理部14は、配車を行ったことを、利用者(配車依頼者)に通知する(S40)。
【0061】
(認知能力評価方法、運転可能条件設定方法)
図8は、本発明の第1の実施形態に係る認知能力の評価方法を示すフローチャートである。
図8は、
図7のステップS90を具体化したフローチャートである。
【0062】
認知能力評価部11は、ドライバーの認知能力を評価する(S91)。運転可能条件設定部12は、ドライバー毎の認知能力の評価結果に基づいて、ドライバー毎の運転可能条件を設定する(S92)。運転可能条件設定部12は、ドライバー毎の運転可能条件をドライバーDB101に登録する(S93)。
【0063】
認知能力評価部11および運転可能条件設定部12は、認知能力の評価および運転可能条件の更新タイミングになれば(S94:YES)、認知能力の再評価および運転可能条件の再設定を行い(S91、S92)、ドライバーDB101を更新する(S93)。
【0064】
このような更新処理を行うことで、ドライバーDB101には、常に最新の認知能力および運転可能条件が記憶される。これにより、配車管理部14は、次に示す配車ドライバーの指定時に、配車依頼を受けた時点において最新の運転可能条件に基づいて、配車対象のドライバーを指定できる。
【0065】
(配車管理方法)
図9は、本発明の第1の実施形態に係る配車管理方法を示すフローチャートである。
図9は、
図7のステップS20を具体化したフローチャートである。
【0066】
配車管理部14は、配車依頼情報を取得する(S21)。配車管理部14は、配車依頼情報に基づいて、推定運転距離DISeを算出する(S22)。配車管理部14は、ドライバーDB101から、ドライバー毎の運転可能距離DISp(運転可能条件)を読み出す(S23)。配車管理部14は、運転可能距離DISpが推定運転距離DISe以上のドライバーを配車対象のドライバーに指定する(S24)。
【0067】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る配車技術について、図を参照して説明する。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る配車システムの機能ブロック図である。
【0068】
図10に示すように、第2の実施形態に係る配車システム10Aは、第1の実施形態に係る配車システム10に対して、ドライバーの稼働状況を考慮して配車対象のドライバーを指定する点で異なる。配車システム10Aの他の構成は、配車システム10と同様であり、同様の箇所の説明は、適宜省略する。
【0069】
配車システム10Aは、認知能力評価部11、運転可能条件設定部12、配車依頼情報受け付け部13、配車管理部14A、稼働状況取得部15、ドライバーDB101、および、稼働状況DB102を備える。
【0070】
稼働状況取得部15は、ドライバーの稼働状況を取得する。稼働状況は、ドライバーが営業中であるか否か、ドライバーが賃走中であるか回送中であるか、ドライバーが休憩中であるか、ドライバーの位置、ドライバーの連続勤務時間等を含む。例えば、ドライバーが乗車する車には、無線通信装置が配置されている。稼働状況取得部15は、この無線通信装置と通信可能であり、この通信によって、稼働状況を取得できる。この際、ドライバーが乗車する車に測位装置(GPS等)を備えることで、無線通信によってドライバーの位置を取得できる。稼働状況取得部15は、ドライバーIDに関連づけして稼働状況を稼働状況DB102に出力する。この処理は、逐次的、例えば、稼働状況に変化が生じる毎に行われる。
【0071】
稼働状況DB102は、ドライバーID毎の稼働状況を記憶する。
【0072】
配車管理部14Aは、配車依頼情報、ドライバーDB101から読み出したドライバー毎の運転可能条件(運転可能距離)、稼働状況DB102から読み出した稼働状況に基づいて、配車対象のドライバーを指定する。
【0073】
(配車方法)
図11、
図12は、それぞれに第2の実施形態に係る配車方法を示すフローチャートである。
【0074】
(
図11の場合)
配車管理部14Aは、配車依頼情報を取得する(S21)。配車管理部14Aは、配車依頼情報に基づいて、推定運転距離DISeを算出する(S22)。
【0075】
配車管理部14Aは、稼働状況から配車可能なドライバーを抽出する(S230)。配車管理部14Aは、配車可能なドライバーの運転可能距離DISpを読み出す(S23A)。
【0076】
配車管理部14Aは、配車可能なドライバーのうちで、運転可能距離DISpが推定運転距離DISe以上のドライバーを配車対象のドライバーに指定する(S24)。
【0077】
(
図12の場合)
配車管理部14Aは、配車依頼情報を取得する(S21)。配車管理部14Aは、配車依頼情報に基づいて、推定運転距離DISeを算出する(S22)。
【0078】
配車管理部14Aは、稼働状況から配車可能なドライバーを抽出する(S230)。配車管理部14Aは、配車可能なドライバーの運転可能距離DISpを読み出す(S23A)。
【0079】
配車管理部14Aは、配車可能なドライバーのうちで、運転可能距離DISpが推定運転距離DISe以上のドライバーを配車対象のドライバー候補として抽出する(S24A)。
【0080】
配車管理部14Aは、配車対象のドライバー候補が1人であれば(S25:YES)、そのドライバー候補を、配車対象のドライバーに指定する。
【0081】
配車管理部14Aは、配車対象のドライバー候補が複数人であれば(S25:NO)、稼働状況から各ドライバー候補の現在位置を取得する(S26)。配車管理部14Aは、出発位置までの距離が最短のドライバー候補を、配車対象のドライバーに指定する(S27)。
【0082】
なお、この選択例は一例であり、例えば、連続運転時間から運転時間が短いドライバーを、配車対象のドライバーに指定してもよい。
【0083】
このような構成および処理によって、配車システム10Aは、ドライバーの稼働状況を考慮しながら、安全運転に対するドライバーの総合的な能力を評価して、適正な配車を実現できる。
【0084】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る配車技術について、図を参照して説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態に係る配車システムの機能ブロック図である。
【0085】
図13に示すように、第3の実施形態に係る配車システム10Bは、第1の実施形態に係る配車システム10に対して、道路状況を考慮して配車対象のドライバーを指定する点で異なる。配車システム10Bの他の構成は、配車システム10と同様であり、同様の箇所の説明は、適宜省略する。
【0086】
配車システム10Bは、認知能力評価部11、運転可能条件設定部12、配車依頼情報受け付け部13、配車管理部14B、気象情報取得部161、道路交通情報取得部162、危険度情報取得部163、ドライバーDB101、および、道路状況DB103を備える。
【0087】
気象情報取得部161は、例えば外部の気象予報機関等から気象情報を取得する。気象情報は、ドライバーが運転する際に運転難易度を上げる気象情報(雨、雪、霧、強風等)を含む。気象情報取得部161は、気象情報を道路状況DB103に出力する。
【0088】
道路交通情報取得部162は、例えば外部の道路交通情報センター等から道路交通情報を取得する。道路交通情報は、ドライバーが運転する際に運転難易度を上げる道路交通情報(通行止め、渋滞、スリップ、凍結等)を含む。道路交通情報取得部162は、道路交通情報を道路状況DB103に出力する。
【0089】
危険度情報取得部163は、例えば過去の事例等から、道路に関する危険度を取得する。危険度は、通学路、商店街の道路、人混みが多い道路等、運転において高い注意力が必要な道路(運転難易度が高い道路)ほど、高い危険度として設定されている。危険度情報取得部163は、危険度を道路状況DB103に出力する。
【0090】
道路状況DB103は、気象情報、道路交通情報、危険度を記憶する。
【0091】
配車管理部14Bは、配車依頼情報、ドライバーDB101から読み出したドライバー毎の運転可能条件(運転可能距離)、道路状況DB103から読み出した道路状況に基づいて、配車対象のドライバーを指定する。
【0092】
図14は、本発明の第3の実施形態に係る配車管理部の機能ブロック図である。
図14に示すように、配車管理部14Bは、運転距離推定部141、配車ドライバー指定部142、補正情報設定部143、および、運転距離補正部144を備える。運転距離推定部141は、上述の実施形態と同様であり、説明は省略する。
【0093】
補正情報設定部143は、道路状況に基づいて補正情報を設定する。補正情報は、運転難易度が上がるほど運転距離を長くするように設定される。
【0094】
運転距離補正部144は、推定運転距離DISeに補正情報で補正を行い、補正後推定運転距離DISecを算出する。運転距離補正部144は、推定運転距離DISeが同じであっても、運転難易度が高いほど長くなるように、補正後推定運転距離DISecを設定する。
【0095】
配車ドライバー指定部142は、運転可能距離DISpが補正後推定運転距離DISec以上のドライバーを配車対象のドライバーに指定する。
【0096】
(配車方法)
図15は、第3の実施形態に係る配車方法を示すフローチャートである。
【0097】
配車管理部14Bは、配車依頼情報を取得し(S21)、推定運転距離DISeを算出する(S22)。配車管理部14Bは、道路状況を取得して(S31)、補正情報を設定する(S32)。
【0098】
配車管理部14Bは、補正情報によって推定運転距離DISeを補正し、補正後推定運転距離DISecを算出する(S28)。配車管理部14Bは、ドライバー毎に運転可能距離DISpを読み出す(S23)。
【0099】
配車管理部14Bは、運転可能距離DISpが補正後推定運転距離DISec以上のドライバーを配車対象のドライバーに指定する(S24B)。
【0100】
このような構成および処理によって、配車システム10Bは、道路状況を考慮しながら、安全運転に対するドライバーの総合的な能力を評価して、適正な配車を実現できる。
【0101】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る配車技術について、図を参照して説明する。
図16は、本発明の第4の実施形態に係る配車方法を示すフローチャートである。
【0102】
第4の実施形態に係る配車システムは、第2の実施形態に係る配車システムと同様の構成を備え、配車管理部の処理において異なる。したがって、ここでは異なる箇所のみを具体的に説明する。
【0103】
配車管理部14Aは、配車依頼情報を取得する(S21)。配車管理部14Aは、稼働状況DB102から稼働状況を読み出し、配車可能なドライバーを抽出する(S230)。
【0104】
配車管理部14Aは、稼働状況から各ドライバーの位置を取得する。配車管理部14Aは、ドライバーの現在位置を考慮して、推定運転距離DISeを算出する(S22C)。より具体的には、配車管理部14Aは、現在位置から出発位置を経由して目的位置に達する距離を、推定運転距離DISeとして算出する。
【0105】
配車管理部14Aは、配車可能なドライバーの運転可能距離DISpを読み出す(S23A)。配車管理部14Aは、運転可能距離DISpが推定運転距離DISe以上のドライバーを配車対象のドライバーに指定する(S24)。
【0106】
このような構成および処理によって、第4の実施形態に係る配車システムは、出発位置から目的位置までの距離だけでなく、ドライバーの現在位置から出発位置を経由して目的位置までの距離によって、安全な運転が可能な否かの判定を行うことができる。したがって、第4の実施形態に係る配車システムは、ドライバーの現在位置を考慮して適正な配車を実現できる。
【0107】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係る配車技術について、図を参照して説明する。
図17は、本発明の第5の実施形態に係る配車システムの機能ブロック図である。
【0108】
図17に示すように、第5の実施形態に係る配車システム10Cは、第2の実施形態に係る配車システム10Aに対して、利用者がドライバーを指定可能な点で異なる。配車システム10Cの他の構成は、配車システム10Aと同様であり、同様の箇所の説明は、適宜省略する。
【0109】
配車システム10Cは、認知能力評価部11、運転可能条件設定部12、配車依頼情報受け付け部13、配車管理部14C、選択要求通知部17、選択情報受信部18、ドライバーDB101、および、稼働状況DB102を備える。
【0110】
配車管理部14Cは、配車可能なドライバー候補を抽出すると、各ドライバーの情報を選択要求通知部17に出力する。ドライバーの情報は、少なくともドライバーの現在位置を含む。
【0111】
選択要求通知部17は、利用者(利用者の端末)に、配車可能なドライバーの情報を通知する。
【0112】
利用者は、ドライバーの情報を受信し、確認する。
図18は、第5の実施形態に係る配車システムでの配車アプリの画面の一例を示す図である。
図18に示すように、配車アプリの画面80には、地
図81が表示される。地
図81には、利用者の現在位置を示すマーク801、目的位置を示すマーク802、配車可能なドライバーの位置を示すマーク810が表示される。なお、ドライバーの位置を示すマーク810には、ドライバーの付帯情報を表示してもよい。付帯情報は、例えば、ドライバーの評価が含まれている。この評価は、認知能力に基づいて設定されていてもよい。例えば、認知能力が高いほど評価が高くなるように設定されている。
【0113】
利用者が、マーク810を操作し、ドライバーを選択すると、選択情報は、配車システム10Cに送信される。
【0114】
選択情報受信部18は、選択情報を受信して、配車管理部14Cに出力する。
【0115】
配車管理部14Cは、選択情報によって選択されたドライバーを、配車対象のドライバーに指定する。
【0116】
(配車方法)
図19は、第5の実施形態に係る配車方法を示すフローチャートである。配車システム10Cの配車依頼情報受け付け部13は、配車依頼情報を受け付ける(S10)。配車システム10Cの配車管理部14Cは、配車依頼情報から推定運転距離DISeを算出する。配車管理部14Cは、推定運転距離DISe、運転可能距離DISp、および、稼働状況に基づいて、配車対象のドライバー候補を抽出する(S20C)。
【0117】
選択要求通知部17は、配車対象のドライバー候補を通知する(S51)。選択情報受信部18は、利用者(配車依頼者)からの選択情報を受信する(S52)。
【0118】
配車管理部14Cは、選択情報に基づいて配車指示を行い(S30)、利用者(配車依頼者)に通知する(S40)。
【0119】
このような構成および処理によって、配車システム10Cは、利用者の希望を考慮しながら、安全運転を実現可能なドライバーを適正に配車できる。
【0120】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態に係る配車技術について、図を参照して説明する。第6の実施形態に係る配車システムは、第5の実施形態に係る配車システム10Cを用いて実現できる。
図20は、第6の実施形態に係る配車システムでの配車アプリの画面の一例を示す図である。
【0121】
配車管理部14Cは、ドライバー情報として、配車可能なドライバーの運転可能距離DISpとドライバーの現在位置を、選択要求通知部17に出力する。選択要求通知部17は、ドライバー情報を利用者に通知する。
【0122】
利用者は、ドライバーの情報を受信し、確認する。地
図81には、利用者の現在位置を示すマーク801、配車可能なドライバーの位置、および、運転可能距離に基づく運転可能範囲を示すマーク821、822、823が表示される。
【0123】
利用者は、自分の行きたい目的位置を参照して、目的位置が運転可能範囲内となるドライバーを、マークによって選択する。この選択情報は、配車システム10Cに送信される。
【0124】
選択情報受信部18は、選択情報を受信して、配車管理部14Cに出力する。配車管理部14Cは、選択情報によって選択されたドライバーを、配車対象のドライバーに指定する。
【0125】
このような構成および処理を行うことで、目的位置を入力しなくても、利用者は、自分が行きたい場所へ運転可能なドライバーを把握して、選択できる。したがって、配車システム10Cは、利用者の希望を考慮しながら、安全運転を実現可能なドライバーを適正に配車できる。
【0126】
[第7の実施形態]
本発明の第7の実施形態に係る配車技術について、図を参照して説明する。第7の実施形態に係る配車システムは、第2の実施形態に係る配車システム10Aを用いて実現できる。
【0127】
(配車方法)
図21は、第7の実施形態に係る配車方法を示すフローチャートである。
【0128】
運転可能条件設定部12は、認知能力の評価結果に基づいて運転可能距離を設定する(S61)。
【0129】
稼働状況DB102には、累積運転距離が記憶されている。累積運転距離は、認知能力の評価から現時点までの運転距離の累積値である。なお、認知能力の評価後に、所定時間以上の休憩を取っている場合には、累積運転距離は、この休憩後の連続運転距離としてもよい。運転可能条件設定部12は、稼働状況DB102から、各ドライバーの累積運転距離を取得する(S62)。
【0130】
運転可能条件設定部12は、累積運転距離を用いて運転可能距離を更新する(S63)。具体的には、運転可能条件設定部12は、運転可能距離から累積運転距離を減算することで、運転可能距離を更新する。
【0131】
運転可能条件設定部12は、認知能力の評価が新たに実行されるまでの期間で(S64:NO)、更新を終了するまで(S66:NO)、累積運転距離による運転可能距離の更新を繰り返す。
【0132】
運転可能条件設定部12は、認知能力の評価が新たに実行されると(S64:YES)、この新たな認知能力の評価結果に基づいて、運転可能距離を更新する(S65)。
【0133】
運転可能条件設定部12は、更新終了を検出すると(S66:YES)、運転可能距離の更新をリセットする。更新終了とは、例えば、ドライバーが認知能力を回復可能な程度に休憩する場合等である。
【0134】
このような構成および処理を行うことで、配車システムは、累積運転距離を考慮して運転可能距離を設定できるので、より適正な配車を実現できる。
【0135】
なお、上述の各実施形態の構成および処理は、適宜組み合わせることが可能であり、それぞれの組合せに応じた作用効果を奏することができる。
【0136】
また、上述の説明では、運転可能条件として運転可能距離を用いる態様を示した。しかしながら、運転可能条件として運転可能時間を用いてもよく、運転可能距離と同様の処理によって、同様の作用効果を実現できる。
【0137】
<1> ドライバーの運転に関係する認知能力を評価する認知能力評価部と、
前記認知能力の評価結果を用いて、前記ドライバーの運転可能条件を設定する運転可能条件設定部と、
利用者からの配車依頼情報と前記運転可能条件とに基づいて、配車対象のドライバーを指定する配車管理部と、
を備える、配車システム。
【0138】
<2> 前記運転可能条件設定部は、
前記運転可能条件として、前記ドライバーの運転可能距離を含み、
前記配車管理部は、
前記配車依頼情報から推定運転距離を算出し、
前記運転可能距離が前記推定運転距離以上となるように、配車対象のドライバーを指定する、<1>に記載の配車システム。
【0139】
<3> 前記配車管理部は、前記利用者の出発位置と目的位置とを用いて前記推定運転距離を設定する、<2>に記載の配車システム。
【0140】
<4> 前記配車管理部は、前記ドライバーの位置をさらに用いて前記推定運転距離を設定する、<2>または<3>に記載の配車システム。
【0141】
<5> 前記配車管理部は、
前記配車依頼情報から推定運転ルートを検出し、
前記推定運転ルートに対する気象情報、道路交通情報、危険度情報の少なくとも1つから補正情報を設定し、
前記補正情報を用いて前記推定運転距離を補正し、
前記補正した前記推定運転距離に基づいて、前記配車対象のドライバーを指定する、<2>乃至<4>のいずれかに記載の配車システム。
【0142】
<6> 前記配車管理部は、
前記配車依頼情報から出発時刻を検出し、
前記出発時刻をさらに用いて前記補正情報を設定する、<5>に記載の配車システム。
【0143】
<7> 前記認知能力評価部は、時間経過に応じて前記認知能力の評価を繰り返し、
前記運転可能条件設定部は、最新の前記認知能力の評価結果を用いて、前記ドライバーの運転可能条件を設定する、<1>乃至<6>のいずれかに記載の配車システム。
【0144】
<8> 前記認知能力評価部は、
視覚的刺激または聴覚的刺激に対する脳信号から事象関連電位を検出し、
前記事象関連電位に基づいて前記認知能力を評価する、<1>乃至<7>のいずれかに記載の配車システム。
【0145】
<9> 前記認知能力評価部は、
前記脳信号から運転準備電位を検出し、
前記運転準備電位に基づいて前記認知能力を評価する、<1>乃至<8>に記載の配車システム。
【0146】
<10> 前記認知能力評価部は、
前記視覚的刺激または前記聴覚的刺激に対する応答運動から応答速度を検出し、
前記応答速度に基づいて前記認知能力を評価する、<1>乃至<9>に記載の配車システム。
【0147】
<11> ドライバーの運転に関係する認知能力を評価する認知能力評価部と、
前記認知能力の評価結果を用いて、前記ドライバーの運転可能条件を設定する運転可能条件設定部と、
前記ドライバーの位置と前記運転可能条件とを送信する通知部と、
前記ドライバーの位置と前記運転可能条件とを受信して、前記ドライバーの位置と前記運転可能条件とを表示する表示器と、
を備える、配車システム。
【符号の説明】
【0148】
10、10A、10B、10C:配車システム
11:認知能力評価部
12:運転可能条件設定部
13:配車依頼情報受け付け部
14、14A、14B、14C:配車管理部
15:稼働状況取得部
17:選択要求通知部
18:選択情報受信部
80:画面
81:地図
101:ドライバーDB
102:稼働状況DB
103:道路状況DB
111:刺激提示部
112:脳信号検出部
113:応答検出部
114:事象関連電位検出部
115:運動準備電位検出部
116:応答速度検出部
117:評価演算部
141:運転距離推定部
142:配車ドライバー指定部
143:補正情報設定部
144:運転距離補正部
161:気象情報取得部
162:道路交通情報取得部
163:危険度情報取得部
801、802、810、821、822、823:マーク
DISe:推定運転距離
DISec:補正後推定運転距離
DISp:運転可能距離