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特開2024-77914製造管理装置、製造管理方法、およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077914
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】製造管理装置、製造管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/063 20230101AFI20240603BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240603BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240603BHJP
【FI】
G06Q10/063
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190151
(22)【出願日】2022-11-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) 公開日 令和3年(西暦2021年)12月8日 公開した展示会名、開催場所 第23回インターフェックスWeek東京 幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1) 令和3年(西暦2021年)12月8日~12月10日 <資 料> 第23回インターフェックスWeek東京 配布リーフレット (2) ウェブサイトの掲載日 令和4年(西暦2022年)4月19日 ウェブサイトのアドレス https://www.interphex.jp/ja-jp/search/2022t/product/product-details.exh-59a9a089-7645-4a9c-a46b-fbe209e96e40.pro-7c941890-d8ef-47d0-9d5f-8db94ad9ee28.html <資 料> 第24回インターフェックスWeek東京 出展社ウェブページ (3) ウェブサイトの掲載日 令和4年(西暦2022年)5月25日 ウェブサイトのアドレス https://www.jgc-histohub.com <資 料> 製品掲載ウェブページ (4) 公開日 令和4年(西暦2022年)7月13日 公開した展示会名、開催場所 第24回インターフェックスWeek東京 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3丁目11-1) 令和4年(西暦2022年)7月13日~7月15日
(71)【出願人】
【識別番号】502040041
【氏名又は名称】日揮株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】早坂 亘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】山田 奈津美
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 潤
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA32
3C100AA34
3C100AA38
3C100AA68
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB31
3C100BB33
3C100CC02
3C100EE20
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】製造工程において発生する情報を扱うプロセスを適切に管理することのできる製造管理装置、製造管理方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】製造管理装置(11)は、少なくとも、製造管理機能部(111)を備える。製造管理機能部(111)は、製造工程を管理するために1つのバッチに属する複数のサブバッチのそれぞれを管理するとともに、それぞれの前記サブバッチに関して作成された製造記録のデータが承認されたか否かを管理する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造工程を管理するために1つのバッチに属する複数のサブバッチのそれぞれを管理するとともに、それぞれの前記サブバッチに関して作成された製造記録のデータが承認されたか否かを管理する製造管理機能部、
を備える製造管理装置。
【請求項2】
前記製造管理機能部は、前記バッチに属するすべての前記サブバッチの前記製造記録が承認されると、当該バッチをクローズするとともに、前記複数のサブバッチのそれぞれについての製造記録を含んだ当該バッチ全体に関する製造記録を発行する、
請求項1に記載の製造管理装置。
【請求項3】
前記サブバッチは、1つまたは複数の製造機器を用いて実行されるものであり、
前記製造管理機能部は、前記製造機器の単位または前記サブバッチの単位の少なくともいずれかで、前記製造記録の作成から承認までのステータスの進行を管理するものであり、
さらに、
前記製造機器または前記サブバッチの少なくともいずれかに対応する次元と、前記ステータスの進行に対応する次元との、2次元のマトリクス状の表示を行うことによって前記バッチのステータスを提示するステータス提示部、
を備える請求項1に記載の製造管理装置。
【請求項4】
前記サブバッチのそれぞれについて、当該サブバッチを実行するための製造機器の使用期間の予約をユーザーが行うためのグラフィカルユーザーインターフェースを提供するとともに、予約された前記製造機器の使用期間の範囲内で当該サブバッチの実行スケジュールを作成するスケジュール管理部、
をさらに備える請求項1に記載の製造管理装置。
【請求項5】
前記製造記録を作成する製造記録作成部、
をさらに備え、
前記製造記録作成部は、予め登録された前記サブバッチの実行期間に応じて前記サブバッチを実行する製造機器から取得された製造データを選択し、選択された前記製造データをユーザーにレビューさせて、レビューによって確認された製造データを含んだ前記製造記録を作成する、
請求項1に記載の製造管理装置。
【請求項6】
製造管理機能部は、第1のユーザーの操作に基づいて作成された前記製造記録に関して、第2のユーザーから入力されるコメントの登録を行うとともに、前記コメントに対応して前記第1のユーザーが前記製造記録の確認または修正を行った後に前記第1のユーザーから入力される回答の登録を行い、前記回答の登録後に前記第2のユーザーが前記回答に関する確認を行うことを可能とし、前記サブバッチに関して前記第2のユーザーによって登録された前記コメントのすべてについて前記第2のユーザーが前記回答の確認を行われたことを必要条件として、当該サブバッチに関して作成された前記製造記録のデータを承認可能とするよう管理する、
請求項1に記載の製造管理装置。
【請求項7】
前記製造管理機能部は、前記サブバッチの実行期間内において前記製造データの欠損があると判定した場合には、当該製造データの欠損に関するユーザーからのコメントを取得し、当該製造データの欠損が製造物の品質の与える影響についての評価を、取得された当該欠損に関するユーザーからのコメントに関連付ける形で保存して管理する、
請求項5に記載の製造管理装置。
【請求項8】
前記バッチは、他のバッチでの製造工程において使用するための中間製品を製造するための中間製品バッチを含み得るものであり、
前記中間製品バッチについて当該中間製品バッチによって製造される中間製品の情報を管理する中間製品管理部、をさらに備える、
請求項1に記載の製造管理装置。
【請求項9】
前記中間製品管理部は、前記中間製品バッチによって製造された前記中間製品の情報を提示する、
請求項8に記載の製造管理装置。
【請求項10】
前記製造管理機能部は、前記中間製品バッチによって製造された前記中間製品を、他のバッチでの製造工程において使用するものとして当該他のバッチに関連付ける、
請求項8に記載の製造管理装置。
【請求項11】
前記製造管理機能部は、前記中間製品バッチによって製造された前記中間製品を、複数の前記他のバッチに関連付けることができる、
請求項10に記載の製造管理装置。
【請求項12】
前記製造管理機能部は、前記中間製品管理部によって提示された前記中間製品の情報の中からユーザーが選択した前記中間製品を、他のバッチでの製造工程において使用するものとして当該他のバッチに関連付ける、
請求項9に記載の製造管理装置。
【請求項13】
製造工程を管理するために1つのバッチに属する複数のサブバッチのそれぞれを管理するとともに、それぞれの前記サブバッチに関して作成された製造記録のデータが承認されたか否かを管理する製造管理機能部、
を備える製造管理装置、としてコンピューターを機能させるためのプログラム。
【請求項14】
製造工程を管理するために1つのバッチに属する複数のサブバッチのそれぞれを管理するとともに、それぞれの前記サブバッチに関して作成された製造記録のデータが承認されたか否かを管理する製造管理過程、
を含む製造管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造管理装置、製造管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、例えば医薬(バイオ医薬等)を製造するための設備は、多数の機器から成り、その各々の機器がそれぞれ情報処理手段および制御システムを備えている。これらの機器は、製造現場において人が直接操作するようになっている。こういった設備においては、それぞれの機器が製造記録の情報を生成し出力する。人は、製造現場において、多数の機器からそれぞれ出力された情報を例えば紙に記載された状態で収集し、一箇所に集め、紙によって承認者等に回覧していた。承認者は、そういった方法で集められた紙の情報を確認し、承認作業を進めていた。
【0003】
特許文献1には、自動バッチデータ分析システムの技術が記載されている。特許文献1に記載されたシステムは、データベースを備える。そして、システムは、少なくとも1つのシステムコンポーネントに関連するデータを取得し、タグに基づいて、受信したデータから、どのデータを抽出のために識別するか決定し、その決定に基づいてタグ付けされたデータを抽出するようにしている。
【0004】
特許文献1に記載された発明は、データがMESデータベースにおいて多数の表にまたがって散在する可能性を指摘している。なお、「MES」は、「Manufacturing Execution System」(製造実行システム)の略である。そして、様々な制限によって特定の種類の情報をデータベースから取得することが困難であることを課題として認識している。特許文献1の発明は、このような課題を解決し、特定のコンテキストで情報を抽出できるようにすることを意図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2020-513818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、機器から出力される段階において情報が分散して存在しているという問題があった。また、それらの情報は紙の形態で収集された確認および承認の作業に用いられていたが、その作業は非常に煩雑なものであった。
【0007】
特許文献1に記載されているシステムは、タグに基づいてデータを抽出し、機器を制御するために用いられる。しかしながら、特許文献1に記載されている技術を用いた場合にも、機器から出力される情報に基づく確認および承認といった作業の煩雑さを軽減できるものではない。
【0008】
例えば医薬品の製造設備においては、複数の製造機器(「パッケージ機器」とも呼ばれる)が用いられ、それらの製造機器のそれぞれが制御システム等を具備する。なお、製造機器は、単に、センサーや、そのセンサーから出力される信号を外部に送信する機能のみを備えるものであってもよい。また、各製造機器の制御システムは、MES(Manufacturing Execution System、製造実行システム)やDCS(Distributed Control System、分散型制御システム)等の上位のシステムからの自動発停を受け付けない。製造機器が設置される現場(工程室や製造室)においては、手作業による製造準備および製造機器の操作が必要となり、各製造機器はそれぞれ独立して運転される。ここでの手作業とは、例えば、シングルユースバッグやチューブ等の取り付けなどといった作業である。このような形態の製造設備では、全体としてバッチ、工程、製造データを一元的に管理することが難しいという問題があった。
【0009】
また、例えば医薬品等の製造設備においては、データインテグリティ対応が求められる。つまり、各製造機器等に製造データを蓄積した状態でそれらのデータを利用することは、データ管理上の問題がある。つまり、データインテグリティを確保するためには、製造に関わる記録のデータについて、データのライフサイクルを通して、すべてのデータが網羅されて一貫しており且つ正確であることが要求される。具体的には、ALCOA+の原則に基づき、データに対して帰属性、判読性、同時性、原本性、正確性、完全性、一貫性、耐用性、可用性が求められる。また、それらに対応したデータ管理システムの機能の実装が求められる。
【0010】
例えばバイオ医薬品を製造するためのシングルユース設備においては、特に上記のような問題は顕著である。また、バイオ医薬品に限らずその他の医薬品の製造設備においても、上記のような問題は少なからず存在する。さらに、医薬品以外の製造設備においても同様のまたは類似の問題は存在する。
【0011】
本発明は、上記の課題認識に基づいて行なわれたものであり、製造工程において発生する情報を扱うプロセスを適切に管理することのできる製造管理装置、製造管理方法、およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様による製造管理装置は、製造工程を管理するために1つのバッチに属する複数のサブバッチのそれぞれを管理するとともに、それぞれの前記サブバッチに関して作成された製造記録のデータが承認されたか否かを管理する製造管理機能部、を備える。
【0013】
[2]また、本発明の一態様は、上記[1]の製造管理装置において、前記製造管理機能部は、前記バッチに属するすべての前記サブバッチの前記製造記録が承認されると、当該バッチをクローズするとともに、前記複数のサブバッチのそれぞれについての製造記録を含んだ当該バッチ全体に関する製造記録を発行する、というものである。
【0014】
[3]また、本発明の一態様は、上記[1]または[2]の製造管理装置において、前記サブバッチは、1つまたは複数の製造機器を用いて実行されるものであり、前記製造管理機能部は、前記製造機器の単位または前記サブバッチの単位の少なくともいずれかで、前記製造記録の作成から承認までのステータスの進行を管理するものであり、さらに、前記製造機器または前記サブバッチの少なくともいずれかに対応する次元と、前記ステータスの進行に対応する次元との、2次元のマトリクス状の表示を行うことによって前記バッチのステータスを提示するステータス提示部、を備えるものである。
【0015】
[4]また、本発明の一態様は、上記[1]から[3]までのいずれかの製造管理装置において、前記サブバッチのそれぞれについて、当該サブバッチを実行するための製造機器の使用期間の予約をユーザーが行うためのグラフィカルユーザーインターフェースを提供するとともに、予約された前記製造機器の使用期間の範囲内で当該サブバッチの実行スケジュールを作成するスケジュール管理部、をさらに備えるものである。
【0016】
[5]また、本発明の一態様は、上記[1]から[4]までのいずれかの製造管理装置において、前記製造記録を作成する製造記録作成部、をさらに備え、前記製造記録作成部は、予め登録された前記サブバッチの実行期間に応じて前記サブバッチを実行する製造機器から取得された製造データを選択し、選択された前記製造データをユーザーにレビューさせて、レビューによって確認された製造データを含んだ前記製造記録を作成する、というものである。
【0017】
[6]また、本発明の一態様は、上記[1]から[5]までのいずれかの製造管理装置において、製造管理機能部は、第1のユーザーの操作に基づいて作成された前記製造記録に関して、第2のユーザーから入力されるコメントの登録を行うとともに、前記コメントに対応して前記第1のユーザーが前記製造記録の確認または修正を行った後に前記第1のユーザーから入力される回答の登録を行い、前記回答の登録後に前記第2のユーザーが前記回答に関する確認を行うことを可能とし、前記サブバッチに関して前記第2のユーザーによって登録された前記コメントのすべてについて前記第2のユーザーが前記回答の確認を行われたことを必要条件として、当該サブバッチに関して作成された前記製造記録のデータを承認可能とするよう管理する、というものである。
【0018】
[7]また、本発明の一態様は、上記[5]の要件を必須とする、上記[1]から[6]までのいずれかの製造管理装置において、前記製造管理機能部は、前記サブバッチの実行期間内において前記製造データの欠損があると判定した場合には、当該製造データの欠損に関するユーザーからのコメントを取得し、当該製造データの欠損が製造物の品質の与える影響についての評価を、取得された当該欠損に関するユーザーからのコメントに関連付ける形で保存して管理する、ものである。
【0019】
[8]また、本発明の一態様は、上記[1]から[7]までのいずれかの製造管理装置において、前記バッチは、他のバッチでの製造工程において使用するための中間製品を製造するための中間製品バッチを含み得るものであり、前記中間製品バッチについて当該中間製品バッチによって製造される中間製品の情報を管理する中間製品管理部、をさらに備える、ものである。
【0020】
[9]また、本発明の一態様は、上記[8]の製造管理装置において、前記中間製品管理部は、前記中間製品バッチによって製造された前記中間製品の情報を提示する、というものである。
【0021】
[10]また、本発明の一態様は、上記[8]または[9]の製造管理装置において、前記製造管理機能部は、前記中間製品バッチによって製造された前記中間製品を、他のバッチでの製造工程において使用するものとして当該他のバッチに関連付ける、というものである。
【0022】
[11]また、本発明の一態様は、上記[10]の製造管理装置において、前記製造管理機能部は、前記中間製品バッチによって製造された前記中間製品を、複数の前記他のバッチに関連付けることができる、ものである。
【0023】
[12]また、本発明の一態様は、上記[9]の製造管理装置において、前記製造管理機能部は、前記中間製品管理部によって提示された前記中間製品の情報の中からユーザーが選択した前記中間製品を、他のバッチでの製造工程において使用するものとして当該他のバッチに関連付ける、ものである。
【0024】
[13]また、本発明の一態様は、製造工程を管理するために1つのバッチに属する複数のサブバッチのそれぞれを管理するとともに、それぞれの前記サブバッチに関して作成された製造記録のデータが承認されたか否かを管理する製造管理機能部、を備える製造管理装置、としてコンピューターを機能させるためのプログラムである。
【0025】
[14]また、本発明の一態様は、製造工程を管理するために1つのバッチに属する複数のサブバッチのそれぞれを管理するとともに、それぞれの前記サブバッチに関して作成された製造記録のデータが承認されたか否かを管理する製造管理過程、を含む製造管理方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、少なくとも、バッチに含まれるサブバッチのそれぞれに関して作成された製造記録のデータが承認されたか否かを適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態による管理システムの機能および装置の構成を示すブロック図である。
図2】同実施形態における管理サーバー装置が持つ機能の構成の概略を示すブロック図である。
図3】同実施形態による管理システムにおけるユーザーの種別とその役割の例を説明するための概略図である。
図4】同実施形態による管理サーバー装置が製造工程を管理するための、製造管理機能部における主要な入出力情報の内容を示す概略図である。
図5】同実施形態における製造機器の概略構成の一例を示す断面図である。
図6】同実施形態による管理システムが管理対象とするバッチとサブバッチと製造機器等の関係の一形態を表した概略図である。
図7】同実施形態による管理システムが管理対象とするバッチとサブバッチと製造機器等の関係の別形態を表した概略図である。
図8図7に示したバッチと場所とサブバッチとの関係についての具体的な例を示す概略図である。
図9】同実施形態における製造管理機能部による管理プロセスの進行の例を示す概略図である。
図10】同実施形態において、バッチが使用する資源の割り当てを管理するためのデータの構成を示す概略図である。
図11】同実施形態において、ユーザー(製造担当者等)が製造物の製造のために必要な資源(場所や製造機器)を割り当てるための画面構成の例を示す概略図である。
図12】同実施形態において、製造工程の状態をユーザー等に提示するための画面構成の一例を示す概略図である。
図13】同実施形態において、サブバッチごとのステータスをユーザーに提示するための画面構成の一例を示す概略図である。
図14図13のステータス表示の画面における、個々のステータス表示領域の中のさらに詳細な表示内容の例を示す概略図である。
図15】同実施形態による管理サーバー装置が製造に関するデータを製造機器から収集する方法を示す概略図である。
図16】同実施形態による管理サーバー装置が製造機器から収集した時系列データの推移を表すグラフである。
図17】同実施形態による管理サーバー装置が特定のサブバッチについての製造記録を作成するための画面表示の例を示す概略図である。
図18】同実施形態による管理サーバー装置が特定のサブバッチについての製造記録を作成するための別の画面表示の例を示す概略図である。
図19図18の画面においてデータ参照用のボタンの1つが押下されたときに表示されるトレンドデータの確認用画面の例を示す概略図である。
図20】同実施形態において、製造記録に対してユーザーがコメントを登録したり、そのコメントに対する回答を登録したりするための画面の例を示す概略図である。
図21】同実施形態による管理サーバー装置におけるデータ欠損の例を示すグラフである。
図22】同実施形態による製造記録作成部が作成する製造記録(承認済製造記録)のデータの改ざん防止のための構成を示す概略図である。
図23】同実施形態による実施形態の管理システムを構成する各装置の内部構成の例を示すブロック図である。
図24】第2実施形態における管理サーバー装置が持つ機能の構成の概略を示すブロック図である。
図25】同実施形態によるが管理対象とする中間製品バッチと製品バッチとの関係を説明するための概略図である。
図26】同実施形態においてユーザーが製品バッチを登録するための画面の概要を示す概略図である。
図27】同実施形態において、ユーザーが中間製品バッチを登録するための画面の概要を示す概略図である。
図28】同実施形態における中間製品一覧表示画面の概要を示す概略図である。
図29】同実施形態において、登録済みのバッチ(製品バッチ等)についてサブバッチを登録するための画面の概要を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の複数の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態による管理システムの機能および装置の構成を示すブロック図である。図示するように、管理システム1は、管理サーバー装置11と、製造機器12と、通信機器15と、端末装置16と、通信ネットワーク17とを含んで構成される。管理システム1を構成する各装置は、例えば、電子回路を用いて実現される。また、各機能部は、必要に応じて、半導体メモリーや磁気ハードディスク装置などといった記憶手段を内部に備えてよい。また、各装置の少なくとも一部の機能を、コンピューターおよびソフトウェア(プログラム)によって実現するようにしてもよい。なお、管理サーバー装置11は、いわゆるクラウドサーバーの技術を用いて実現されるものであってもよい。
【0030】
本実施形態の管理システム1は、前述の課題を解決するために、次のような特徴を持つ。
【0031】
特徴の一つとして、管理サーバー装置11は、製造機器12との間での通信のための様々な通信規格に対応する。また、管理サーバー装置11は、製造機器12等から得られた製造データをデータベースに蓄積する。なお、データベースは、管理サーバー装置11内に設けられていてもよいし、管理システム1が専用のデータベースサーバー装置を別に備えるようにしてもよい。製造機器12に対する自動発停を行うことができない場合もあり、またさらに製造機器12の発停状態のモニタリングができない場合も多いため、後で説明するように、管理サーバー装置11は、24時間/365日連続的に製造機器12からデータを取得してロギングし続ける。製造機器12が非稼働の状態においても、管理サーバー装置11は、データを収集して保存する。管理サーバー装置11のデータベースに保存されるデータは、データインテグリティに関する諸原則(帰属性、判読性、同時性、原本性、正確性、完全性、一貫性、耐用性、可用性)に則っている。
【0032】
また、別の特徴の一つとして、管理システム1は、バッチ管理(製造工程管理およびロット管理)の機能を備える。なお、管理システム1のバッチ管理機能は、複数のタイプの工程を想定している。第1のタイプの工程は、ロット分割や中間体製造工程には対応せず、工程1⇒工程2⇒・・・⇒工程Nといった無分岐(一本道、一気通貫などとも表現される)の工程である。つまり、この無分岐の工程では、ある工程で製造された物は、他のバッチに用いられる(ロット分割される)ことはなく、その全量が次の工程に移送される。このような無分岐の工程で処理を進めるバッチ管理は、例えば、バイオ医薬品の製造において適用され得る。第2のタイプにおいては、あるバッチで中間製品を製造し、その中間製品を別のバッチにおける製造工程で使用する。中間製品は、複数のバッチにおいて小分けで使用してもよい。また、中間製品は、在庫として保存して適宜使用のために在庫を取り崩していくようにしてもよい。中間製品を製造するためのバッチを「中間製品バッチ」と呼んでもよい。中間製品バッチと区別する場合には、中間製品以外の製品(最終製品)を製造するためのバッチを「製品バッチ」と呼んでもよい。なお、中間製品バッチを管理するための管理サーバー装置の機能については、後の実施形態においてあらためて説明する。
【0033】
管理システム1では、固有のバッチ識別情報(バッチ番号等)が付与された「バッチ」を登録して管理するようにしている。また、バッチに関連付けられる各工程を「サブバッチ」と呼び、1つのバッチに対応する形で複数のサブバッチを登録することができるようにしている。製品の製造担当者は、サブバッチを単位として製造を行う。管理システム1が持つ機能を用いることにより、製造担当者は、サブバッチで使用する製造機器12を占有的に使用するための予約を行うことができる。この製造機器12の予約のためのユーザーインターフェースについては、後で図11を参照しながら説明する。
【0034】
なお、前述の通り、製造機器12で取得されるデータ(測定データ等)は、常に、管理サーバー装置11のデータベースに蓄積され続ける。サブバッチの製造完了後には、管理サーバー装置11のデータベースに保存された製造データを用いて、製造担当者は、製造記録を作成することができる。製造担当者によって作成された製造記録に関しては、上位の権限を有する別のユーザー(例として、製造管理責任者や品質保証責任者等)による承認のプロセスが実行される。管理サーバー装置11の管理により、1つのバッチに関連付けられたすべてのサブバッチの承認が完了すると、そのバッチはクローズされ、そのバッチの承認済みの製造記録が発行される。
【0035】
製造データの取集や、製造データを用いた製造記録の作成や、その承認といった活動を含んだ工程の管理は、本来、非常に複雑なものである。しかしながら、本実施形態の管理システム1を用いる場合には、複数のユーザー(製造担当者等)が、バッチの工程の進行を表示するワークベンチの画面(後で、図13を参照しながら説明)を見ながら、整理された状態でこの管理を進めていくことができる。
【0036】
また、別の特徴の一つとして、管理システム1は、紙での記録に近いユーザーインターフェースでユーザーが製造記録の作成を行えるよう、その操作性を高めている。具体的には、管理システム1では、製造担当者らが製造中のちょっとした出来事等をメモ(テキストデータ)として、サブバッチに関連付け、あるいは個々のデータに関連付ける形で、管理サーバー装置11に登録できるようにしている。また、管理システム1では、製造担当者らが、画像を、サブバッチに関連付け、あるいはデータに関連付ける形で、管理サーバー装置11に登録できるようにしている。ここで画像とは、例えば、サンプリングして解析した際の画像(顕微鏡画像等)や、手書きのメモをスキャナーでスキャンして得られた画像などである。
【0037】
また、管理システム1では、製造記録を作成する際に、製造記録をレビューするユーザー(製造管理責任者等)が、コメントを作成することができるようになっている。つまり、管理システム1では、コメントはコメントリストに登録され、コメントリストに登録されたコメントがすべてクローズされるまでは製造記録が承認されない仕組みとしている。
【0038】
また、管理システム1は、データをレビューするための機能を備えている。例えば、医薬品の製造においては、製造中における測定値を、製造後の判定においても利用することが行われる。つまり、医薬品については、製品として出荷することを許可するための条件として、出荷前の段階で一部サンプリングしたものについての分析をラボで行い、判定基準を満たしているか否かの確認が行われる。しかしながら、この出荷前のラボでの確認(最終判定)だけに頼ることは不合格品が出るリスクを伴い、品質の安定および製品供給の安定が得られない可能性がある。そのため、製造後の最終判定で合格を得られるように、製造中における各種の測定値が所定の範囲内にあるか否かを確認するという手法が取られる。つまり、本実施形態の管理サーバー装置11は、製造工程において収集した製造データ(測定値の時系列等のデータ)を蓄積し、トレンドグラフとして画面に表示する。また、それとともに、管理サーバー装置は、上記製造データの値が所定範囲を逸脱していないかどうか(OOS(Out of Specification)ではないか)を自動的に判定するようにしている。
【0039】
上記の通り、管理サーバー装置11が持つ機能を用いることにより、製造データの収集や、トレンドデータの表示や、製造データの値が範囲を逸脱しているか否かの判定といった一連の処理を、人手に大きく依存することなく簡単に行うことができるようになる。従来技術では、製造機器において紙に記録されたデータについては、ユーザーが記録計のチャート紙上に閾値の線を引いて目視で確認していた。また、製造機器が出力する電子データについては、ユーザーが、製造機器等から得られたCSV形式等のデータ(CSVは「comma-separated values」の略)を表計算アプリケーションプログラムに取り込んで、その確認作業を行っていた。そういった従来技術による手法と比べると、管理システム1では、データの収集から確認・検証までが管理サーバー装置11において完結する。つまり、ユーザーがデータの内容に関するハンドリングを行う過程が存在しないため、データの改ざんが起こりにくく、データインテグリティの観点からも好ましい。
【0040】
管理システム1が持つより詳細な機能構成について、以下において説明する。
【0041】
管理サーバー装置11は、管理サーバー装置11は、製造工程を管理する装置であり、「製造管理装置」とも呼ばれる。管理サーバー装置11は、製造機器12からデータ(製造データ)を受信し、蓄積することができる。管理サーバー装置11が製造機器12から受信するデータは、製造機器12における測定データ等である。管理サーバー装置11は、測定データ等を、その日時(測定日時等)と関連する形で取得する。管理サーバー装置11は、どの製造機器12から受信したいつ(日付および時刻)のデータであるかを把握しながら、受信したデータを蓄積する。また、管理サーバー装置11は、受信した製造データを用いて、製造工程に関する製造記録を作成する。また、管理サーバー装置11は、その製造記録の承認を管理するための各種の処理を行う。管理サーバー装置11が持つ機能の詳細については、図2以後でさらに説明する。
【0042】
製造機器12は、製造対象物を製造するための機器である。製造対象物は、例えば、医薬品等である。製造対象物は、特に、バイオ医薬品であってよい。なお、製造対象物は医薬品以外の物であってもよい。管理システム1は、複数(多数)の製造機器12を含むものであってよい。
【0043】
製造機器12は、いわゆるシングルユース(single use、単回使用)製造機器であってよい。シングルユース製造機器は、一度だけ使用されるシングルユース品(バッグ類、チューブ類、コネクター類等)を用いて製造対象物を製造するための装置である。特にバイオ医薬品製造においては、シングルユースの培養バッグ等が使用される場合が多い。製造機器12は、管理サーバー装置11からの指示やユーザーの操作に基づいて動作することができる。製造機器12は、各種のデータの計測等を行うことができる。製造機器12は、測定・計測等によって得られたデータを管理サーバー装置11に対して送信する。
【0044】
通信機器15は、管理サーバー装置11と製造機器12との間の通信を可能とする機器である。通信機器15を介して、管理サーバー装置11は、製造機器12に対して制御信号等を送信することができる。また、通信機器15を介して、製造機器12は、測定結果のデータや、状態報告の信号や、警告の信号などを、管理サーバー装置11に対して送信することができる。通信機器15は、様々な通信方法(プロトコル)に対応している。これにより、各種の製造機器12は、管理サーバー装置11との間での通信を行うことができる。
【0045】
端末装置16は、管理システム1を使用するユーザーが操作するための装置である。端末装置16は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)や、各種のタブレット端末や、スマートフォン(スマホ)や、腕時計型端末などといった機器を用いて実現される。端末装置16は、情報を表示するための画面を持つ。端末装置16は、管理サーバー装置11から渡されるデータを画面等に表示することができる。また、端末装置16は、キーボードやタッチパネル等の入力手段を備える。端末装置16は、ユーザーからの操作に基づいて、要求や指示を管理サーバー装置11に対して送信することができる。端末装置16を使用するユーザーは、特定のユーザーアカウントでログインして管理システム1の機能を利用する。個々のユーザーアカウントは、役割および権限に関連付けられている。
【0046】
なお、管理サーバー装置11と端末装置16との間でのやりとり(要求や応答)は、HTTP(ハイパーテキストトランスファープロトコル)等の一般的なウェブの通信インターフェースを用いて実現され得る。
【0047】
通信ネットワーク17は、管理サーバー装置11や端末装置16が通信を行うためのネットワークである。通信ネットワーク17を介して、管理サーバー装置11と端末装置16とは相互にデータの送受信を行うことができる。また、通信ネットワーク17を介して、管理サーバー装置11や端末装置16は、外部の装置との間での通信を行うこともできる。
【0048】
図2は、管理サーバー装置11が持つ機能の構成の概略を示すブロック図である。図示するように、管理サーバー装置11は、製造管理機能部111と、ステータス提示部112と、スケジュール管理部113と、データ管理部114と、製造記録作成部115とを含んで構成される。
【0049】
製造管理機能部111は、製造工程の進行を管理するとともに、製造工程におけるデータを含んだ製造記録の承認状態(承認あるいは未承認)をコントロールする。製造工程は、バッチおよびサブバッチという単位で管理される。バッチは、ある製造対象物(ロット)の製造工程の全体である。サブバッチは、上記のバッチを構成する個々の工程である。バッチは、通常は複数のサブバッチを含む形で構成・定義される。
【0050】
より具体的には、製造管理機能部111は、製造工程を管理するために、1つのバッチに属する複数のサブバッチのそれぞれを管理するとともに、それぞれのサブバッチに関して作成された製造記録のデータが承認されたか否かを少なくとも管理する。製造記録の承認は、承認者(上位の権限を有するユーザー。図3も参照。)によって行われる。つまり、製造管理機能部111は、サブバッチごとの製造記録の承認を管理する。なお、サブバッチは、1つまたは複数の製造機器を用いて実行されるものである。製造管理機能部111は、製造機器の単位またはサブバッチの単位の少なくともいずれかで、製造記録の作成から承認までのステータスの進行を管理するものであってよい。
【0051】
また、製造管理機能部111は、1つのバッチに属するすべてのサブバッチの製造記録が承認されると、当該バッチをクローズするとともに、それら複数のサブバッチのそれぞれについての製造記録を含んだ当該バッチ全体に関する製造記録を発行する。
【0052】
さらに、製造管理機能部111は、製造記録に関するコメントの管理を行う。具体的には、次の通りである。製造管理機能部111は、第1のユーザー(製造担当者等)の操作に基づいて製造記録作成部115が作成した製造記録に関して、第2のユーザー(製造管理責任者等)から入力されるコメントの登録を行う。それらのそれぞれのコメントに対応して、上記第1のユーザーは、製造記録の確認または修正を行うことができる。第1のユーザーが製造記録の確認または修正を行った後に、製造管理機能部111は、その第1のユーザーから入力される回答の登録を行うことができる。その回答の登録後に、製造管理機能部111は、第2のユーザーが回答に関する確認を行うことを可能とする。上記のコメントや回答の登録については、後で図20を参照しながらさらに説明する。
【0053】
なお、ここでのコメントは、製造記録に関する疑問や確認事項に関するものである。それらの疑問や確認事項がすべて解消(完了)することを、サブバッチの承認の前提条件としてよい。言い換えれば、製造管理機能部111は、1つのサブバッチに関して前記の第2のユーザーによって登録されたコメントのすべてについて第2のユーザーが回答の確認を行ったことを必要条件として、当該サブバッチに関して作成された製造記録のデータを承認可能とするよう管理してよい。
【0054】
また、製造管理機能部111は、製造データの欠損に関連する品質管理を行うことができる。具体的には、製造管理機能部111は、サブバッチの実行期間内において連続した時系列データの欠損が発生した場合には、警報画面への表示を行ったり、製造データのトレンドを表すグラフ上において欠損期間の表示を行ったりすることができる。また、製造管理機能部111は、当該製造データの欠損に関するユーザーからのコメントを取得することができる。また、製造管理機能部111は、当該製造データの欠損が製造物の品質の与える影響についての評価を、取得されたコメント(当該欠損に関するユーザーからのコメント)に関連付ける形で保存して管理する。データの欠損に関する管理については、後で図21を参照しながらさらに説明する。
【0055】
また、製造管理機能部111は、各工程(サブバッチ)についての状態を管理する。製造管理機能部111は、例えば、バッチ作業登録済、製造記録作成済、製造記録承認済、品質承認済という4段階の状態をサブバッチごと管理する。バッチ作業登録済という状態は、サブバッチを実行するための製造機器等の資源がすべて登録され、予約されている状態である。さらに、サブバッチの実行スケジュールが計画されていてもよい。製造記録作成済という状態は、サブバッチが実行され、サブバッチの実行に伴って収集されたデータ等を用いて製造記録が作成された状態である。作成済みの製造記録は、承認者によって承認されるまでは、未承認・未確定の状態である。製造記録承認済という状態は、サブバッチ単位の製造記録が承認者によって承認された状態である。品質承認済という状態は、そのサブバッチが属するバッチがクローズされ、バッチ全体の製造記録が発行された状態である。これらの状態(ステータス)は、下記のステータス提示部112によってユーザーに対して提示される。なお、製造管理機能部111は、上記の「製造記録承認済」や「品質承認済」などの代わりに、他の種類の承認がなされているか否かを表す状態を管理するようにしてもよい。つまり、製造管理機能部111は、複数の種類の承認がなされているか否かを表す状態を管理することができる。
【0056】
ステータス提示部112は、ワークベンチの画面を表示することによって、サブバッチごとのステータスを可視化する。ワークベンチの画面形態の一例として、ステータス提示部112は、製造機器またはサブバッチの少なくともいずれかに対応する次元と、ステータスの進行に対応する次元との、2次元のマトリクス状の表示を行うことによってバッチのステータスを提示する。このステータスの提示については、後で図13および図14を参照しながら、その一例を説明する。
【0057】
スケジュール管理部113は、バッチおよびサブバッチの実行スケジュールを管理する。また、スケジュール管理部113は、バッチおよびサブバッチの実行のために必要な各種の資源(代表的には、サブバッチの実行のために用いられる製造機器12)の予約管理を行う。スケジュール管理部113は、例えば、サブバッチのそれぞれについて、当該サブバッチを実行するために用いる製造機器の使用期間の予約をユーザーが行うためのグラフィカルユーザーインターフェースを提供する。この予約のための画面の一例については、図17を参照しながら後で説明する。これにより、ユーザーは、例えば一般的な会議室予約のようなわかりやすいユーザーインターフェースによって、製造機器の使用のスケジューリングを行うことができる。また、スケジュール管理部113は、予約された製造機器の使用期間の範囲内で当該サブバッチの実行スケジュールを作成する。
【0058】
データ管理部114は、データを収集し、蓄積し、管理する。また、データ管理部114は、収集したデータと、バッチおよびサブバッチとの関連付けを行う。この関連付けについては、図15を参照しながら後で説明する。データ管理部114が管理するデータは、製造機器12から収集された製造データや、バッチおよびサブバッチの定義に関するデータや、バッチおよびサブバッチのステータスの管理のためのデータや、その他、管理システム1が必要とするデータなどである。データ管理部114は、データを蓄積・保持するための手段を有する。データ管理部114は、データを管理するための手段として、一例としてリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)を内部に備える。ただし、データ管理部114は、他の手段を用いてデータを管理してもよい。
【0059】
製造記録作成部115は、製造管理機能部111による制御の下で、管理サーバー装置11が収集したデータ等を用いて、製造記録を作成する。製造記録作成部115は、サブバッチごとの製造記録を作成する。また、製造記録作成部115は、ユーザーによるレビューの結果等に基づいて、製造記録を修正・再作成することができる。さらに、製造記録作成部115は、承認されたすべてのサブバッチの製造記録を含む形で、1つのバッチ全体に関する製造記録を作成する。言い換えれば、製造記録作成部115は、予め登録されたサブバッチの実行期間に応じてサブバッチを実行する製造機器から取得された製造データを選択し、選択された製造データをユーザーに確認させて、確認された製造データを含んだ前記製造記録を作成する。
【0060】
図3は、管理システム1におけるユーザーの種別とその役割の例を説明するための概略図である。管理システム1のユーザーは、種別ごとに、異なる役割を持っていてよい。図示する例では、それらの種別とは、作成者、レビュー者、承認者の3種類である。作成者は、製造記録を作成する権限を有する。レビュー者は、製造記録をレビューする権限を有する。承認者は、製造記録を承認する権限を有する。各種別の具体例は、次の通りである。即ち、作成者の具体例は、製造担当者である。また、レビュー者の具体例は、製造管理責任者である。また、承認者の具体例は、品質保証責任者である。管理サーバー装置11は、各ユーザーの属性としてこのユーザーの種別を管理する。上記の種別(具体例)に対応する役割は、次の通りである。製造担当者の役割は、サブバッチを登録すること、サブバッチ単位での製造を実行すること、サブバッチ単位での製造記録を作成すること等である。製造管理責任者の役割は、上記の製造担当者が作成したサブバッチ単位の製造記録を承認すること等である。品質保証責任者の役割は、複数のサブバッチから成るバッチの単位での製造記録を確認し、バッチをクローズ(close)することである。なお、バッチやサブバッチは、管理上での工程管理の単位であり、後でさらに説明する。
【0061】
各種別のユーザーの数は、1人でも複数でもよく、また0人でもよい。また、上で説明した役割の他に、システム管理者という役割のユーザーが存在してもよい。システム管理者は、例えば、ユーザーの氏名やパスワードなどを登録したり、ユーザーに役割(権限)を与えたりする。
【0062】
図4は、管理サーバー装置11において製造工程を管理するための、製造管理機能部111による主要な入出力の内容を示す概略図である。図示するように、製造管理機能部111は、外部(ユーザー等)からの入力に基づいて製造工程を管理するとともに、製造記録作成部115と連携して製造記録を発行する。
【0063】
より具体的には、次の通りである。バッチが登録されると、製造管理機能部111は、そのサブバッチの状態を「バッチ登録済」に更新する。また、製造実行時に、あるいは製造実行後のサブバッチ単位での製造記録作成時に、製造管理機能部111は、ユーザーから入力されるメモ(テキストデータ等)や画像を取得し、データ管理部114が管理するデータベース等に書き込む。また、製造記録作成部115がサブバッチ単位での製造記録を作成すると、製造管理機能部111は、そのサブバッチ製造記録を外部に出力することが可能となる。サブバッチ単位での製造記録作成が完了すると、製造管理機能部111は、そのサブバッチの状態を「製造記録作成済」に更新する。そのサブバッチ製造記録はユーザー(レビュー権限のあるユーザー)によって閲覧され、確認される。そのユーザーは、サブバッチ製造記録を確認すると、サブバッチごとに製造記録承認を入力する。この製造記録承認が入力されることによって、製造管理機能部111は、そのサブバッチの状態を「製造記録承認済」に更新する。あるバッチに属するすべてのサブバッチの製造記録が承認されると、上位のユーザー(承認権限のあるユーザー)は、それらのサブバッチの製造記録を閲覧し、確認することができる。そのユーザーは、バッチ全体を承認すると、バッチクローズの操作を行うことができる。そのユーザーからバッチクローズが入力されると、製造管理機能部111は、バッチをクローズする処理を行う。これにより、製造管理機能部111は、そのバッチに含まれるすべてのサブバッチの状態を、「品質承認済」に更新する。バッチをクローズすると、製造管理機能部111は、そのバッチに関して承認済製造記録を作成し、発行する。この承認済製造記録については、後でさらに詳しく説明する。
【0064】
上記の通り、製造管理機能部111は、サブバッチごとに状態を管理し、順次更新していく。これにより、製造管理機能部111は、工程を管理し、その管理過程に関するデータを維持し、更新していく。
【0065】
図5は、製造機器12の概略構成の一例を示す断面図である。製造機器12自体は、主として、筐体121と、電気線124と、移動手段125と、制御システム126とを含んで構成される。筐体121は、例えば金属製の筐体であり、内部にバッグ122等を収容できるようになっている。電気線124は、筐体121の内部の電気回路に電力を供給する電力線や、製造機器12が外部と通信したりするための信号線などを含むものである。移動手段125は、車輪等を含み、製造機器12を移動させやすくするために設けられている。移動手段125は、さらに、自律的に移動するためのモーターや制御部等を備えていてもよい。制御システム126は、製造機器12を制御するシステムである。制御システム126は、外部から受信する信号に基づいて製造機器12を制御したり、製造機器12内のセンサー等で得られた情報を含む信号を外部に発信したりする。筐体121の内部には、例えば樹脂製のバッグ122が収容される。バッグ122や、バッグに設けられたチューブ123などは、シングルユース(単回使用)製品であってよい。バッグ122は、製造工程において、材料あるいは生産物(中間生産物や最終生産物)を保持する。チューブ123は、物質を注入したり吸出したりするために用いられる。
【0066】
製造機器12は、不図示の測定手段を備えており、温度や気圧やpH値やその他の製造環境における各種測定を行えるようになっている。また、製造機器12は、測定データを、制御システム126および通信機器15を介して、管理サーバー装置11に渡すことができる。また、製造機器12は、管理サーバー装置11からの制御信号に基づいて、稼働を開始したり終了したり、自装置のその他の状態を変更したりすることができる。
【0067】
図6は、管理システム1が管理対象とするバッチとサブバッチと製造機器等の関係を表した概略図である。図示するように、バッチとサブバッチと製造機器とは、木構造で表わされる関係を有するものである。木構造の最上位の階層は1つのバッチであり、その次の階層には複数のサブバッチが存在する。さらに、その次の階層には、複数の製造機器が存在する。バッチは複数のサブバッチに対応付けられる。また各々のサブバッチは1つまたは複数の製造機器に対応付けられる。また、この木構造において、各々の製造機器は、それぞれ1つのサブバッチに対応付けられている。
【0068】
具体的には、次の通りである。バッチは、ある1つの製造対象物を製造するための工程全体に対応する。バッチは、複数のサブバッチに対応付けられる。サブバッチは、上記の全体の工程を分割した結果の個々の副工程である。また、サブバッチは、1つまたは複数の製造機器に関連付けられる。言い換えれば、サブバッチに該当する1つの工程は、1つまたは複数の製造機器においてほぼ同時並行的に実行される。
【0069】
図7は、管理システム1が管理対象とするバッチとサブバッチと製造機器等の関係の別形態を表した概略図である。図6に示した木構造と比較して、図7に示す木構造の特徴は、バッチとサブバッチとの間に「場所」という概念を持つことである。つまり、図7に示す木構造の関係において、最上位はバッチであり、その次の階層には複数(ただし1つでもよい)のサブバッチが存在し、その次の階層には複数の場所(ただし1つでもよい)が存在し、さらにその次の階層(最下層)には製造機器が存在する。つまり、この木構造の関係においては、バッチは、1つまたは複数のサブバッチに対応付けられる。また、各々のサブバッチは、1つまたは複数の場所に対応付けられる。言い換えれば、サブバッチに相当する工程は、どこかの場所において実行される。ここで、「場所」とは、製造工程が実行される場所である。つまり、「場所」とは、製造事業を行う組織等における場所である。その具体的な例については次の図8を参照しながら説明する。
【0070】
図8は、図7に示したバッチと場所とサブバッチとの関係についての、具体的な例を示す概略図である。この例においては、最上位層の1つのバッチに、「培地調製」、「培地保管」、「前培養」、「培養」、「分離」、「バッファー調整」、「バッファー保管」、「TFF 1」、「クロマト 1」、「TFF 2」、「クロマト 2」、「TFF 3」、「無菌ろ過・充填」という13個のサブバッチ(工程)が関連付けられている。それぞれのサブバッチと場所との関連付けは、次の通りである。サブバッチ「培地調製」には、場所「培地調製室」が関連付けられている。サブバッチ「培地保管」には、場所「培養室」が関連付けられている。サブバッチ「前培養」には、場所「培養室」が関連付けられている。サブバッチ「培養」には、場所「培養室」が関連付けられている。サブバッチ「分離」には、場所「培養室」が関連付けられている。サブバッチ「バッファー調整」には、場所「バッファー調製室」が関連付けられている。サブバッチ「バッファー保管」には、場所「バッファー調製室」が関連付けられている。サブバッチには、場所「精製室・充填室」が関連付けられている。サブバッチには、場所「精製室・充填室」が関連付けられている。サブバッチ「TFF 1」には、場所「精製室・充填室」が関連付けられている。サブバッチ「クロマト 1」には、場所「精製室・充填室」が関連付けられている。サブバッチ「TFF 2」には、場所「精製室・充填室」が関連付けられている。サブバッチ「クロマト 2」には、場所「精製室・充填室」が関連付けられている。サブバッチ「TFF 3」には、場所「精製室・充填室」が関連付けられている。サブバッチ「無菌ろ過・充填」には、場所「精製室・充填室」が関連付けられている。なお、TFFは、「Tangential Flow Filtration」(タンジェンシャルフローろ過)の略である。TFFは、生体分子、細菌、ウイルス等の粒子を含む溶液のろ過と分離を行う工程である。また、「クロマト」は、「Chromatography」(クロマトグラフィー)を意味する。なお図8においては製造機器の記載を省略しているが、上記のそれぞれのサブバッチには1つまたは複数の製造機器が関連付けられる。
【0071】
図8に示した関係は単なる一例であり、この例とは異なる関係を用いてもよい。管理システム1が他の関係に基づいて動作するようにしてもよい。管理システム1においては、図8に例示したようなバッチと場所とサブバッチとの関係、およびさらにサブバッチと製造機器との関係を、木構造として適宜定義することができるようにする。製造管理機能部111等は、その関係の定義情報を参照しながら、製造実行の過程を管理する。なお、操作者(製造担当者)は、それぞれの工程に関連付ける場所を自由に選んで設定してよい。ただし、操作者(製造担当者)の権限(ロール)によって選択可能な場所が制限される場合があってもよい。一例として、培養に関する権限のみを有する操作者(培養担当者)は、培養関連の場所(部屋)を自由に選択して設定できるが、培養関連以外の場所(部屋)を選択することはできない。
【0072】
図9は、製造管理機能部111による管理プロセスの進行の例を示す概略図である。本例は、部屋1、部屋2、および部屋3で、それぞれ、サブバッチ1、サブバッチ2、およびサブバッチ3の工程が実行されるように定義されていることを前提とする。また、部屋1におけるサブバッチ1は、製造機器1および2を用いて実行される。部屋2におけるサブバッチ2は、製造機器3、4、および5を用いて実行される。部屋3におけるサブバッチ3は、製造機器1および2を用いて実行される。
【0073】
図9に示す通り、本例において、製造管理機能部111は次のように製造工程の進行を管理する。まず、部屋1において、製造機器1および2を用いて、サブバッチ1の工程が実行される(図中のプロセスP11)。製造機器1および2と、管理サーバー装置11との間では適宜通信が行われ、これらの製造機器において取得されたデータ(製造状況に関するデータ)は管理サーバー装置11側で収集される。サブバッチ1の工程の実行が完了すると、製造管理機能部111からの指示に基づき、製造記録作成部115が当該サブバッチについての製造記録を作成する(図中のプロセスP12)。製造記録の作成時に、その内容は適宜、ユーザー(製造担当者)によって参照され、確認される。当該サブバッチの製造記録の作成が完了すると、上位のユーザー(製造管理責任者)が製造記録のレビューを行う(図中のプロセスP13)。このレビューの結果としてユーザー(製造管理責任者)は、製造記録を承認することができる(図中のプロセスP14)。また、ユーザー(製造管理責任者)は、必要に応じて、製造記録を元のユーザー(製造担当者)に差し戻すこともできる。この差し戻しの際には、ユーザー(製造管理責任者)は、コメントを付加(登録)することができる。コメントには、製造記録に関する疑義の内容や、不備の指摘などといった事項を含めることができる。ユーザー(製造担当者)は、コメントを参照するなどして、製造記録の再作成を行うことができる。ユーザー(製造担当者)は、ユーザー(製造管理責任者)からのコメントに対する返答等を登録することができる。この返答は、ユーザー(製造管理責任者)が再度製造記録の確認を行う際に参照され得る。上記のコメントや返答は、当該サブバッチに属する情報としてデータ管理部114が管理するデータベース等に適宜保存される。このようにコメントや返答がデータベース等に保存されることにより、後から必要が生じたときに当該サブバッチの製造記録の内容やその作成過程を再確認したり精査したりすることが可能となる。最終的にサブバッチの製造記録が承認(図中のプロセスP14)されると、その製造記録の内容は凍結され、以後は編集・改変することができないように管理される。ただし、バッチクローズ後にバッチをオープンにすれば修正可能となるようにしてよい。バッチクローズ後の再オープンの場合は、改訂扱いとなり改訂番号を付けた管理が行われる。
【0074】
上記のサブバッチ1に関する製造記録の作成のプロセス(図中のP12からP14まで)とは独立に、製造工程自体は次のサブバッチ2(図中のプロセスP21)に移り、その工程が実行され得る。サブバッチ2においても、上記のサブバッチ1と同様に、サブバッチの工程の実行(プロセスP21)、製造記録作成(プロセスP22)、製造記録レビュー(プロセスP23)、製造記録承認(プロセスP24)の管理が行われる。さらに、その次の工程であるサブバッチ3についても同様である。
【0075】
バッチに属するすべてのサブバッチの製造記録が承認される(図中のプロセスP14、P24、およびP34)と、ユーザー(品質保証責任者)は、当該バッチをクローズすることができる(図中のプロセスP100)。バッチがクローズされると、製造管理機能部111は、当該バッチについてのすべての製造記録の情報を凍結し、編集・改変を行うことができなくなるように管理する。ただし、前述の通り、バッチのクローズ後の改訂の管理は可能である。また、製造管理機能部111が製造記録作成部115に指示することにより、製造記録作成部115は、承認済みの製造記録を作成し、発行する。製造管理機能部111は、その承認済みの製造記録を外部に出力することができる(図中のプロセスP101)。
【0076】
なお、図9に示した管理の前提として、製造管理機能部111は、バッチを登録する。バッチの登録により、そのバッチで使用する資源(場所(部屋等)や製造機器)の仕様が予約される。同種の製造物を繰り返して複数回製造する場合には、登録されたバッチの定義情報等を、次回以後も再利用することができる。
【0077】
図10は、バッチにおいて使用する資源の割り当てを管理するためのデータの構成を示す概略図である。このデータは、製造管理機能部111およびスケジュール管理部113によって管理され、読み書きされる。また、このデータは、製造管理機能部111あるいはスケジュール管理部113の内部のメモリー領域において保持されたり、データ管理部114が管理するデータベースにおいて保持されたりするものであってよい。図示するように、この資源割り当ての管理データは、表形式の構造を有するデータであり、バッチ、場所、サブバッチ、製造機器、開始日時、終了日時の項目を有する。サブバッチごと且つ製造機器ごとに、この表の中の1行のデータが使用される。各項目のデータの意味は次の通りである。「バッチ」という項目は、バッチを識別するための情報を格納するものである。「場所」という項目は、場所(部屋等)を識別するための情報を格納するものである。「サブバッチ」という項目は、上記のバッチに属するサブバッチのうちの1つを識別するための情報を格納するものである。「製造機器」という項目は、上記のサブバッチの工程において使用される製造機器を識別するための情報を格納するものである。1つのサブバッチにおいて複数の製造機器が使用されてもよい。また、「製造機器」のデータによって特定される製造機器は、上記の「場所」のデータによって特定される場所において稼働するものである。「開始日時」および「終了日時」の項目は、上記の場所において上記の製造機器が使用される期間(開始日時および終了日時)を表すデータを格納するものである。
【0078】
図10で説明した資源割り当ての管理データは、例えばユーザー(製造担当者)による資源(場所や製造機器)の予約の結果に基づくものであってよい。ユーザー(製造担当者)による資源の予約のためのユーザーインターフェースについては、後で説明する。また、図10で説明した資源割り当ての管理データは、製造管理機能部111によって行われる製造管理の目的で参照されるものであってもよい。
【0079】
図11は、ユーザー(例えば、製造担当者)が、製造物の製造のために必要な資源(場所や製造機器)を割り当てるための画面(ユーザーインターフェース)の構成の一例を示す概略図である。この画面は、言い換えれば、サブバッチを登録するための画面である。この画面は、管理サーバー装置11側で生成されて、端末装置16の画面に表示される。ユーザーは、画面上で情報を入力したり指定したりすることができるようになっている。図示するように、この画面は、バッチ番号を指定できるようになっている。また、この画面は製造期間を指定できるようになっている。製造期間は、例えば開始日と終了日との対で表わされる。開始日および終了日のそれぞれは、「yyyy/mm/dd」(年・月・日)の形式で表わされる。また、製造品目(番号)および製造品目(名称)の情報が画面内に表示される。この製造品目の情報は、バッチ番号に関連付ける形で自動的にデータ管理部114が管理するデータベース等から読み出されて表示されるものであってもよいし、ユーザー(製造担当者等)が入力するものであってもよい。
【0080】
また、図11に示す画面例は、「使用機器選択」の領域を含んでいる。この領域においては、製造機器を個々に特定するための機器番号を指定(あるいは選択等)するとともに、その製造機器を使用する期間(使用開始日時から使用終了日時まで)を、太い矢印線で指定することができるようになっている。この太い矢印線の左端が製造機器の使用の開始日時に対応し、右端が製造機器の使用の終了日時に対応する。
【0081】
上記のような画面(図11)においてユーザー(製造担当者)が必要な情報を指定することによって、図10で説明したような資源を管理するためのデータがスケジュール管理部113等によって作成(あるいは維持・修正等)される。つまり、ユーザー(製造担当者等)は、製造工程で使用する機器を、サブバッチに関連付ける形で予約することができる。
【0082】
図12は、製造工程の状態をユーザー等に提示するための端末装置16における画面の構成の一例を示す概略図である。図示するように、この画面は、場所(部屋等)ごとに存在する製造機器の状態をまとめて表示するものである。図示する例において、画面の左側には、各場所を選択するためのボタンが配置されている。この図の画面の例では、「培養調製室」、「培養室1」、「バッファー調製室1」、「充填室1」という4つの場所に対応したボタンが表示されている。ユーザーは、これらの場所のいずれかを選択する操作を行うことができる。図示する例では、「培養室1」が選択されている状態であり、画面の右側にはその「培養室1」という場所に存在する複数の機器の状態が表示されている。画面内の複数の機器状態表示領域501のそれぞれには、製造機器が割り当てられているバッチ識別情報(例えば、「022-001101A」)および機器識別情報(例えば、「SB-1001」)が表示されている。また、機器状態表示領域501のそれぞれには、起動、通信、および警報に関する擬似的なランプの表示が可能となっている。これらのランプのうち、「起動」は、その製造機器が起動状態であるか否かを、点灯あるいは不点灯で表わす。また、「通信」は、その製造機器と管理サーバー装置11との間での通信が行われている状態であるか否かを、点灯あるいは不点灯で表わす。また、「警報」は、その製造機器からの警報信号が管理サーバー装置11側で受信されている状態であるか否かを、点灯あるいは不点灯で表わす。また、上記の「起動」、「通信」、「警報」といった情報を、文字ではなく、ランプ表示等のユーザーインターフェースを用いて表してもよい。
【0083】
このように、図12に例示する画面を管理サーバー装置11のステータス提示部112が表示することにより、ユーザーは、各機器の状態を直感的に把握することができる。また、複数のユーザー(製造担当者等)がこの画面を共有して、機器単体の稼働状態のモニタリングを的確に行うことができる。
【0084】
図13は、端末装置16においてサブバッチごとのステータスをユーザーに提示するための画面の構成の一例を示す概略図である。管理サーバー装置11内のステータス提示部112がサブバッチごとのステータスの情報をこの画面を生成し、端末装置16に表示させる。図示するように、この画面は、1つのバッチに含まれるサブバッチごとに、その工程を実行する製造機器の管理上のステータスを表示するものである。この画面は、例えば、「ワークベンチ」と呼ばれる。この画面は、各製造機器の状態を提示するための一形態として、マトリクス状に整理された情報を表示するようになっている。つまり、この図の例では、縦方向には製造機器が並べられ、それらの製造機器はサブバッチ(工程)ごとにグループとしてまとめられている。また、横方向には、工程の管理上の状態が並べられている。ここでの状態とは、具体的な例としては、「サブバッチ登録」、「製造記録作成」、「製造記録承認」、「品質承認」の4つである。これらの状態の意味は、次の通りである。
【0085】
状態「サブバッチ登録」とは、バッチを構成するサブバッチが定義され、そのサブバッチの実行日時(開始日時と終了日時)がスケジュールされ、そのサブバッチを実行するための資源である製造機器(および場所)が予約・確保され、それらの情報が管理サーバー装置11内に保持されている状態である。状態「製造記録作成」とは、サブバッチが実行され、その製造工程の実行の際の測定データ等が収集され、それらの情報がまとめられてユーザー(例えば製造担当者)によってサブバッチ単位の製造記録として作成された状態である。このサブバッチ単位の製造記録は、作成された後には、上位のユーザー(例えば、製造管理責任者)によって閲覧等が可能な状態となる。ユーザー(例えば、製造管理責任者)は、サブバッチ単位の製造記録を承認するか否かを判断することができ、必要に応じて作成を担当したユーザー(例えば、製造担当者)に差し戻すこともできる。状態「製造記録承認」とは、上記の上位ユーザー(例えば、製造管理責任者)によってサブバッチ単位の製造記録が承認された状態である。状態「品質承認」とは、1つのバッチに含まれるサブバッチの実行がすべて完了し、目的とする製造物が製造され、さらに上位のユーザー(品質保証責任者)がそのバッチに属するすべてのサブバッチの製造記録を確認したことによって当該製造物の品質を保証した状態である。
【0086】
図13に示す画面では、サブバッチを実行するための製造機器ごとに、その場所および製造機器を特定するための情報(識別番号や名称など)が表示されている。また、それらの製造機器のそれぞれについて、上記の4つの状態のうちの適切な位置に、ステータス表示が行われている。つまり、上記のマトリックス内の適切な位置に、製造機器ごとのステータス表示領域502が設けられている。ステータス表示領域502の表示内容については、次の図を参照しながら説明する。
【0087】
図14は、図13において説明したステータス表示の画面における、個々のステータス表示領域502の中のさらに詳細な表示内容の例を示す概略図である。図示するように、ステータス表示領域502は、その内部に、アイコン表示領域511と、サブバッチ識別情報表示領域512と、サブバッチステータス表示領域513と、日時情報表示領域514とを含む。
【0088】
ステータス提示部112は、サブバッチを識別するための情報(図中の例では「022-001102A-01」)をサブバッチ識別情報表示領域512に表示する。また、ステータス提示部112は、そのサブバッチのステータスを表すテキストをサブバッチステータス表示領域513に表示する。サブバッチステータス表示領域513に表示されるテキストは、例えば、「一時保存中」(製造記録に関するデータを一時的に保存している状態)、「差し戻し」(製造管理責任者から製造担当者に差し戻されている状態、「承認完了」(サブバッチの製造記録が製造管理責任者等によって承認されている状態)等である。さらに、ステータス提示部112は、上記のステータスのテキストに対応するアイコンをアイコン表示領域511に表示する。また、ステータス提示部112は、当該サブバッチが最新のステータスに更新された日時の情報(年月日・時分秒)を日時情報表示領域514に表示する。
【0089】
以上説明した通り、ステータス提示部112は、製造装置の次元(サブバッチの次元)とステータスの次元から成る2次元のマトリクス状の形態で、サブバッチのステータスをわかりやすく表示する。
【0090】
図15は、管理サーバー装置11が製造に関するデータを収集する方法を示す概略図である。前述の通り、それぞれの製造機器12は、所定の通信プロトコルを用いることによって、管理サーバー装置11に対してデータを送信することができる。製造機器12から送信されるデータには、測定値データ、イベントデータ、警報データ等が含まれる。これらを総称して製造データと呼んでもよい。測定値データは、製造機器12において測定される各種の測定値の時系列のデータである。測定値の例は、温度、圧力、pH値等である。イベントデータは、製造機器12において検知されたイベントの内容およびそのタイミングを示すデータである。警報データは、製造機器12から発せられる警報の内容およびそのタイミングを示すデータである。警報の内容は、具体例としては、装置異常、電源異常、測定値異常、あるいはその他の警報等である。
【0091】
本実施形態において、製造機器12は、機器として稼働していて且つ管理サーバー装置11との間での通信が可能である限り、常に上記の製造データを送信し続ける。言い換えれば、製造機器12は、製造工程が実行中であるか否か、あるいはどのような製造品目が製造中得あるか、などといったことに関わらずに、上記の製造データを送信し続ける。一方で、管理サーバー装置11は、製造スケジュールに関するデータ(図10を参照)を保持・管理しており、どの製造機器がいつ(開始日時および終了日時)どのサブバッチに割り当てられているかを把握している。また、管理サーバー装置11は、製造計画装置21から、製造指図のデータを受け取ってもよい。この製造指図のデータには、製造品目、製造期間、使用機器を特定する情報が含まれる。つまり、管理サーバー装置11は、どの製造機器12がどのサブバッチに割り当てられていて、いつ、どの製品を製造するかを把握している。この情報に基づいて、管理サーバー装置11内のデータ管理部114は、製造機器12から受信したデータがどのサブバッチに関連付けられたデータであるかを管理することできる。このようにして、管理サーバー装置11は、製造機器12からデータを収集し、管理する。
【0092】
図16は、管理サーバー装置11が複数の製造機器12から収集した時系列データの推移を表すグラフである。前述の通り、管理サーバー装置11は、サブバッチが実行されている時間帯であるか否かに関わらず、複数の製造機器12のそれぞれからデータ(測定値の時系列データ等)を受信して、それらを蓄積し続ける。図示する例における3つのグラフは、「機器1」、「機器2」、「機器3」という3つの製造機器12からそれぞれ受信した温度の測定値のデータである。これらのグラフのそれぞれにおいて、横軸は時刻であり、縦軸は温度である。温度の単位は℃(度、摂氏)である。図示するグラフにおける時間軸は、2つのバッチの時間帯を含む。その第1のバッチの番号はNo.10001であり、第2のバッチの番号はNo.10002である。管理サーバー装置11のデータ管理部114は、前述の通り、製造機器12から渡されるデータのうち、サブバッチの時間帯(開始日時および終了日時)に含まれる部分のデータを、そのサブバッチの製造記録を作成するためのデータとして利用できるようにする。
【0093】
図17は、管理サーバー装置11が特定のサブバッチについての製造記録を作成するためのユーザーインターフェース(画面)の例を示す概略図である。図示する例において、サブバッチの番号(サブバッチの識別情報)は、「022-001102A-01」である。図示する画面の中の表の各行は、当該サブバッチで使用される製造機器に対応する。各々の製造機器は、所定の場所(部屋等)に設けられている。各行において、製造機器が使用される期間の開始日(または開始日時)および終了日(または終了日時)が表示されている。また、各行において、この期間を表す矢印の図形が表示されている。ユーザー(製造担当者や製造管理責任者等)は、この画面を見ることによって、製造記録を作成するために利用される各機器のデータの期間を確認することができる。この期間の確認後には、ユーザーは、別の画面に移ってデータの確認(レビュー)を行うことができる。
【0094】
図18は、管理サーバー装置11が特定のサブバッチについての製造記録を作成するためのユーザーインターフェース(別の画面)の例を示す概略図である。例えばユーザーが図17の画面に表示された内容を確認した後で、管理サーバー装置11は、この図18の画面を表示する。図18の画面においても、サブバッチの番号(サブバッチの識別情報)が表示されている。図18の画面において表示されている各行は、図17の画面で表示されていた行に対応している。図18の画面においては、各行に、「data」と表示されたボタンが表示されている。これらのボタンのいずれかが押下(ポインティングデバイス等による選択等でもよい)されると、その行の製造機器から受信したトレンドデータが画面に表示される。ユーザー(製造担当者や製造管理責任者等)は、そのトレンドデータを見て確認することができる。
【0095】
図19は、図18の画面において「data」と表示されたボタンの1つが押下されたときに表示されるトレンドデータの確認用の画面の例を示す概略図である。図19の画面においても、サブバッチの番号(サブバッチの識別情報)が表示されている。また、図19の画面では、場所を特定する情報(場所名、部屋名等)および製造機器を特定する情報(製造機器名称あるいは製造機器番号等)が表示されている。この製造機器は、図18において選択された行(「data」ボタン)に対応するものである。また、場所の情報は、その製造機器が設置されている場所である。図19の画面においては、複数の測定項目のデータのグラフが表示されている。ユーザー(製造担当者や製造管理責任者等)は、こういったグラフ等を見ることにより、当該製造機器における工程が実行されていたときの状況を確認することができる。
【0096】
データ項目ごとに正常データの範囲(上限値や下限値によって特定される)が予め設定されるようにしてもよい。データの値がその正常データの範囲を外れている時間帯がある場合には、管理サーバー装置11は、データ異常を検出してユーザーに通知することができる。端末装置16の画面内にデータ異常に関する警告情報が表示されるようにしてもよい。これにより、製造に関するデータのレビューが容易になる。
【0097】
その範囲の設定のための具体的な操作の一例としては、ユーザーが対象の測定値を選択し、判定する区間(製造期間や製造ステップ)を選択、対象測定値に対する管理値(上下限値)を設定する。これにより、区間中に測定値が逸脱している部分があるか否かを自動的に判定することができる。
【0098】
図20は、サブバッチ単位に作成された製造記録に対してユーザーがコメントを登録したり、そのコメントに対する回答を登録したりするための画面の例を示す概略図である。管理サーバー装置11内の製造管理機能部111が、このコメントおよび回答を登録するための画面を作成し、ユーザーの端末装置16に表示させる。なお、コメント内容およびそのコメントへの回答の情報は、例えば、管理サーバー装置11内のデータベースに保持される。
【0099】
この画面内には表が表示される。その表は、データの項目として、コメント番号、コメントの登録日時、コメントの作成者、コメントが対象とする箇所、コメント内容、確認のチェックマーク、修正者による回答を含む。コメント番号は、それぞれのコメントを一意に識別するための情報であり、例えば、連番である。登録日時は、コメントの作成者がコメントを登録した日時(年月日・時分)である。コメントの作成者は、ユーザー(製造管理責任者等)の一人であり、製造担当者によって作成された製造記録をレビューした者である。コメント内容は、製造担当者によって作成された製造記録に対する疑問点等を表すテキストである。修正者による回答は、コメントの作成者からのコメントに対応して製造記録の修正を行ったユーザー(製造担当者等)による回答内容のテキストである。確認のチェックマークは、そのコメントに対応する修正が完了したかして、元のコメントの作成所による確認が完了したか否かを表す情報である。この確認のチェックボックスは、その行のコメントがクローズされたか否かを表す。
【0100】
つまり図20に示す画面内の表の各行は、製造記録に対する1件のコメントに対応する。製造記録を作成したユーザー(製造担当者等)は、製造記録をレビューしたユーザー(製造管理責任者等)によって登録されたコメントを参照し、製造記録を修正することができる。また、製造記録を修正したユーザー(製造担当者等)は、コメントへの返答として、修正者回答を登録することができる。当初のコメントを作成したユーザー(製造管理責任者等)は、その修正者による回答を参照することができる。このようなコメントを管理する機能を有することにより、管理サーバー装置11は、製造記録が適切に承認されることを支援する。つまり、レビュー者(製造管理責任者等)がコメントを残した場合には、そのコメントはコメントリストに登録される。あるサブバッチに関してコメントが存在する場合には、それらのコメントがすべて確認(クローズ)されないと、当該サブバッチの製造記録が承認されないしくみとすることができる。
【0101】
図21は、管理サーバー装置11におけるデータ欠損の例を示すグラフである。製造機器12における何らかの動作不良により、あるいは、製造機器12と管理サーバー装置11との間での通信断などにより、製造機器12側から管理サーバー装置11に渡されるデータ(測定値等のデータ)が一部欠損する場合があり得る。そのようなデータの欠損は、サブバッチの実行中にも起こり得る。同図に示すグラフは、ある製造機器12において測定された所定の測定値の時系列のデータを示すものである。このグラフにおいては、あるサブバッチの実行期間の途中の一部において、データ欠損期間が発生している。なお、製造記録に含めるべきデータに関して、管理サーバー装置11が自動的にデータ欠損期間を検出するようにしてもよい。また、あるいは、ユーザー(製造担当者あるいは製造管理責任者等)がデータの内容を見ることによってデータ欠損期間の存在の有無を判定するようにしてもよい。
【0102】
管理サーバー装置11の製造管理機能部111は、上記のようなデータ欠損に対応するための機能を備えている。即ち、製造管理機能部111は、発見されたデータ欠損期間に関して、ユーザー(製造担当者あるいは製造管理責任者等)によるコメントを登録できるようにしている。データ欠損に関するコメントの類型は、次の通りである。第1の類型として、ユーザー(製造担当者あるいは製造管理責任者等)は、データ欠損期間の長さに関する評価のコメントを、当該欠損期間を含むトレンドデータに関連付けて登録することができる。例えば、サブバッチ実行期間の全体と比較して、データ欠損期間の長さが短い場合には、データ欠損があっても製造対象物の品質に対する直接の問題はないと判断できる場合がある。第2の類型として、ユーザー(製造担当者あるいは製造管理責任者等)は、データ欠損期間の前後におけるデータについての考察のコメントを登録することができる。つまり、データ欠損期間の前後におけるデータを基に、データ欠損期間における製造機器での状況を推定できる場合がある。第3の類型として、ユーザー(製造担当者あるいは製造管理責任者等)は、データ欠損期間に関して、トータルな判断として製造対象物の品質に問題ありと判断するか問題なしと判断するか、のコメントを登録することができる。なお、この第3の類型のコメントは、第1あるいは第2の類型のコメントに基づいて記載される場合もある。なお、データ欠損期間に関するコメントは、例えば、管理サーバー装置11内のデータ管理部114が管理するデータベースに保持される。
【0103】
上記のように、管理サーバー装置11は、データ欠損期間が存在する場合にも、そのような期間の存在をそのままの事実として記録する。また、データ欠損期間に関する評価を、上記の第1から第3までの類型のコメントとして登録することができる。つまり、データ欠損期間が存在した場合に、そのような期間の存在が製造対象物の品質に影響(問題)を及ぼすものであったか否かの判断の過程の情報を、管理サーバー装置11は、記録・保持する。管理サーバー装置11がこのような機能を有することにより、データ欠損期間が存在した場合にも、その品質との関連を含めて、情報を保持・管理することが可能となる。また、管理サーバー装置11がデータ欠損期間に関するコメント等を保持しているため、データ欠損に対する判断(例えば、「品質に与える影響なし」といった判断)の妥当性を後から検証することもできる。
【0104】
図22は、管理サーバー装置11内の製造記録作成部115が作成する製造記録(承認済製造記録)の、改ざん防止のための構成を示す概略図である。図示するように、製造記録作成部115は、承認済製造記録を例えばPDFファイル(PDFは「Portable Document Format」の略)として作成し、出力する。この承認済製造記録は、1つのバッチに関して最終的にユーザー(品質保証責任者)によって承認されたデータであり、当該バッチに属するN個の(すべての)サブバッチ(サブバッチ1からNまで)のそれぞれについての製造記録のデータを内部に含んでいる。また、この承認済製造記録は、その発行時の日時を表すタイムスタンプを内部に含んでいる。
【0105】
製造記録作成部115は、各サブバッチの製造記録のデータを基に所定のハッシュ関数によって算出したハッシュ値を、管理する。また、製造記録作成部115は、さらに、承認済製造記録全体のデータを基にそのハッシュ関数によって算出したハッシュ値を管理するようにしてもよい。製造記録作成部115は、これらのハッシュ値を、管理サーバー装置11内のデータベース等に保存する。管理サーバー装置11がこれらのハッシュ値を管理することにより、承認済製造記録が仮にその発行後に不正に改ざんされたとしても、改ざんを検出することが可能となる。本機能は、データインテグリティ対応に基づく。
【0106】
図23は、実施形態の管理システム1を構成する各装置の内部構成の例を示すブロック図である。各装置(管理サーバー装置11、製造機器12、通信機器15、端末装置16)の少なくとも一部は、コンピューターを用いて実現され得る。図示するように、そのコンピューターは、中央処理装置901と、RAM902と、入出力ポート903と、入出力デバイス904や905等と、バス906と、を含んで構成される。コンピューター自体は、既存技術を用いて実現可能である。中央処理装置901は、RAM902等から読み込んだプログラムに含まれる命令を実行する。中央処理装置901は、各命令にしたがって、RAM902にデータを書き込んだり、RAM902からデータを読み出したり、算術演算や論理演算を行ったりする。RAM902は、データやプログラムを記憶する。RAM902に含まれる各要素は、アドレスを持ち、アドレスを用いてアクセスされ得るものである。なお、RAMは、「ランダムアクセスメモリー」の略である。入出力ポート903は、中央処理装置901が外部の入出力デバイス等とデータのやり取りを行うためのポートである。入出力デバイス904や905は、入出力デバイスである。入出力デバイス904や905は、入出力ポート903を介して中央処理装置901との間でデータをやりとりする。バス906は、コンピューター内部で使用される共通の通信路である。例えば、中央処理装置901は、バス906を介してRAM902のデータを読んだり書いたりする。また、例えば、中央処理装置901は、バス906を介して入出力ポートにアクセスする。
【0107】
上述した実施形態における管理サーバー装置11、製造機器12、通信機器15、および端末装置16のそれぞれの少なくとも一部の機能をコンピューターで実現することができる。その場合、機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリー等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。つまり、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、非一過性の(non-transitory)コンピューター読み取り可能な記録媒体であってよい。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、一時的に、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0108】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、前実施形態において既に説明した事項については以下において説明を省略する場合がある。ここでは、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
【0109】
第2実施形態においては、あるバッチにおいて製造された製品を、他のバッチで使用して他の製品を使用する形のプロセスの管理を行えるようにしている。ここで前者の製品(他のバッチにおいて使用される製品)を特に中間製品と呼ぶ。また、中間製品を製造するためのバッチを、特に中間製品バッチと呼ぶ。つまり、本実施形態においては、バッチとしては、中間製品バッチと製品バッチの2種類が存在し、これらを区別する。言い換えれば、本実施形態の主要な特徴は、中間製品バッチを管理できるようにしている点である。第2実施形態においては、管理システムは、第1実施形態における管理サーバー装置11(図1を参照)に代えて、管理サーバー装置61を含むように構成される。
【0110】
図24は、第2実施形態における管理サーバー装置61が持つ機能の構成の概略を示すブロック図である。図示するように、管理サーバー装置61は、製造管理機能部211と、ステータス提示部212と、スケジュール管理部213と、データ管理部214と、製造記録作成部215と、中間製品管理部219とを含んで構成される。各部の機能については次に説明する通りである。
【0111】
製造管理機能部211は、第1実施形態における製造管理機能部211と同様の機能を持つ。ただし、本実施形態において、バッチは、他のバッチでの製造工程において使用するための中間製品を製造するための中間製品バッチを含み得るものである。つまり、製造管理機能部211は、中間製品を製造するための中間製品バッチとその他の製品を製造するための製造バッチとの両方を管理対象とする。
【0112】
また、製造管理機能部211は、中間製品バッチによって製造された中間製品を、他のバッチ(典型的には製品バッチ)での製造工程において使用するものとして当該他のバッチに関連付ける。つまり、製造管理機能部211は、製造された中間製品を、他のバッチで材料等として使用するために引き当てる管理を行うことができる。なお、製造管理機能部211は、中間製品バッチによって製造された中間製品を、複数の他のバッチに関連付けることができる。言い換えれば、1つの中間製品バッチで製造された中間製品は、小分けにして、複数のバッチ(製品バッチ)において使用するように引き当てられる場合がある。なお、製造済みの中間製品は、所定期間保管されてもよいし、保管過程を経ずにただちに他のバッチで使用されてもよい。
【0113】
なお、製造管理機能部211は、後述する中間製品管理部219によって提示された中間製品の情報(例えば、在庫のある中間製品の一覧表示等)の中からユーザーが選択した中間製品を、他のバッチでの製造工程において使用するものとして当該他のバッチに関連付けてよい。
【0114】
ステータス提示部212は、第1実施形態におけるステータス提示部112と同様の機能を持つ。ただし、ステータス提示部212は、中間製品バッチと製品バッチとを、例えば視覚的に区別可能な形で提示するようにしてよい。
【0115】
スケジュール管理部213は、第1実施形態におけるスケジュール管理部113と同様の機能を持つ。
【0116】
データ管理部214は、第1実施形態におけるデータ管理部114と同様の機能を持つ。ただし、データ管理部214は、中間製品バッチと製品バッチとを区別するための情報を保持・管理する。また、データ管理部214は、中間製品バッチに関連して、その中間製品バッチにおいて製造された中間製品に関する情報(中間製品の保管場所や保管方法についての情報を含むが、これらには限定されない)を保持・管理する。
【0117】
製造記録作成部215は、第1実施形態における製造記録作成部115と同様の機能を持つ。ただし、製造記録作成部215は、中間製品バッチに関する製造記録を作成する際には、中間製品バッチに特有の記録(例えば、保管場所や保管方法についての情報を含んでもよいが、これには限定されない)を作成するものであってよい。
【0118】
中間製品管理部219は、中間製品バッチについて当該中間製品バッチによって製造される中間製品の情報を管理する。中間製品管理部219が管理する中間製品の情報は、中間製品の品目を特定する情報や、製造された中間製品の保管場所についての情報や、製造された中間製品の保管方法についての情報を含むが、これらには限定されない。また、中間製品管理部219は、中間製品バッチによって製造された中間製品の情報を、端末装置16の画面等を通してユーザーに提示する。中間製品管理部219は、例えば、その時点において在庫として保管されている中間製品の一覧の情報の形態で上記の中間製品の情報を提示することができるが、提示の形態はこれには限定されない。
【0119】
図25は、本実施形態が管理対象とする中間製品バッチと製品バッチとの関係を説明するための概略図である。同図においては例として4個の中間製品バッチ(B11からB14まで)と2個の製品バッチ(B21およびB23)とを示しているが、実際には中間製品バッチと製品バッチの個数は任意である。中間製品バッチは、中間製品を製造するためのバッチである。中間製品とは、典型的にはバッファーや培地などであるが、それらに限定されるものではない。中間製品バッチにおいて製造された中間製品は、小分けにして複数の異なる製品バッチにおいて使用することができる。また、中間製品バッチにおいて製造された中間製品は、所定期間在庫として保管(保存)しておくことができる。つまり、在庫として保管された中間製品は、適宜取り崩して製品バッチにおいて使用することができる。同図において、中間製品バッチB11からB14までのそれぞれには、中間製品保管のプロセスが後続している。なお、中間製品保管のプロセスは、選択的なものであり、保管のプロセスが存在しなくてもよい。保管される場合にせよ保管されない場合にせよ、ある中間製品バッチで製造された中間製品は、1つまたは複数の製品バッチにおいて使用することが可能である。また、ある製品バッチは、0個以上の任意の数の中間製品バッチにおいて製造された中間製品を使用することが可能である。ただし、本実施形態の特徴は中間製品バッチを使用して、中間製品を使用する製品バッチの管理を可能とすることである。つまり、本実施形態に特有の機能は、製品バッチが、1個以上の任意の数の中間製品バッチにおいて製造された中間製品を使用する場合において意味を持つ。
【0120】
図25に示す例では、製品バッチB21は、中間製品バッチB11とB12とB13とで製造された中間製品を使用した製造を行う。また、製品バッチB23は、中間製品バッチB12とB13とで製造された中間製品を使用した製造を行う。また、中間製品バッチB11、B12、B13、およびB14のそれぞれで製造された中間製品は、その量が足りる場合には、製品バッチB21やB23以外の製品バッチにおいても使用可能である。
【0121】
なお、本実施形態の変形例として、中間製品バッチにおいて製造された中間製品を用いてさらに別の中間製品を製造する中間製品バッチを管理できるようにしてもよい。
【0122】
次に、本実施形態におけるバッチの登録のための機能について、説明する。本実施形態の管理サーバー装置61は、製品バッチを登録するための機能と、中間製品バッチを登録するための機能とを持つ。それらの機能は、ユーザーインターフェースを通して適宜選択される。一例として、製品バッチを登録するための機能と、中間製品バッチを登録するための機能とを、画面上のタブ(tab)のインターフェースによって切り替えるようにしてよい。それら両者の機能について、図26および図27を参照しながら説明する。
【0123】
図26は、本実施形態において、ユーザーが製品バッチを登録するための画面の概要を示す概略図である。同図の例では、「製品」のタブと「中間製品」のタブとのうち、「製品」タブが選択されている状態である。図示するように製品バッチを登録するための画面は、データとして、バッチ番号(No.)、製造品目カテゴリー、製造品目番号、製造品目名称、製造開始日時、製造終了日時の各項目を含むように構成される。バッチ番号は、個々のバッチを一意に識別するための情報である。製造品目カテゴリーは、当該バッチにおいて製造する製造物(品目)のカテゴリーである。この画面においては、ユーザーは、マスターデータに登録されている製造品目カテゴリーの中からメニューによって1つを選択することができるようになっている。製造品目番号は、当該バッチにおいて製造する製造物(品目)の種類を表す番号の情報である。この画面においては、ユーザーは、マスターデータに登録されている製造品目番号の中からメニューによって1つを選択することができるようになっている。製造品目名称は、製造物(品目)の名称である。製造品目名称は、マスターデータにおいて製造品目番号に関連付けられている。この画面においては、ユーザーが上記の製造品目番号を登録すると、その番号に対応する製造品目名称が自動的に表示されるようになっている。製造開始日時および製造終了日時は、それぞれ、当該バッチにおける製造を開始する日時および終了する日時である。
【0124】
また、図26に示す画面は、登録ボタンおよびキャンセルボタンを有している。ユーザーはこれらのボタンをポインティングデバイス等で選択することにより、バッチを登録したり、その時点での入力内容をキャンセルしたりすることができる。
【0125】
図27は、本実施形態において、ユーザーが中間製品バッチを登録するための画面の概要を示す概略図である。同図の例では、「製品」のタブと「中間製品」のタブとのうち、「中間製品」タブが選択されている状態である。図示するように中間製品バッチを登録するための画面は、データとして、バッチ番号(No.)、製造品目カテゴリー、製造品目番号、製造品目名称、製造開始日時、製造終了日時、用途、保管場所、保管方法の各項目を含むように構成される。つまり、図27の画面は、図26の画面が持つ項目に加えて、用途、保管場所、および保管方法というデータ項目を有する。バッチ番号(No.)、製造品目カテゴリー、製造品目番号、製造品目名称、製造開始日時、製造終了日時のそれぞれの項目については、図26を参照しながら既に説明した通りである。
【0126】
図27の画面が持つ用途というデータ項目は、この中間製品バッチにおいて製造した中間製品の用途を表す情報である。サブバッチ登録において中間製品の引き当てを行う場合に、この「用途」によって中間製品の絞り込みを行うことができるようになっている。また、保管場所というデータ項目は、この中間製品バッチにおいて製造した中間製品を保管する場所を表す情報である。保管場所の候補は、予めマスターデータに登録しておいてユーザーがそれらの候補の中から選択できるようにしてよい。保管場所は、例えば、中間製品保管室、冷蔵室、培地調製室等であってよいが、これらに限定されない。また、保管方法というデータ項目は、この中間製品バッチにおいて製造した中間製品を保管する方法を表す情報である。保管方法は、例えば、小分けバッグあるいは槽等であってよいが、これらに限定されない。
【0127】
バッチ番号は、前述の通り、それぞれのバッチを一意に識別するための情報であるが、例えば、製品バッチと中間製品バッチとでバッチ番号の体系を別のものとして、それら両者を容易に区別することができるようにしてもよい。
【0128】
次に、本実施形態の管理サーバー装置61が表示する中間製品一覧表示画面について説明する。
【0129】
図28は、本実施形態における中間製品一覧表示画面の概要を示す概略図である。図示するように、図28の表は、管理サーバー装置61が管理する中間製品バッチによって製造された中間製品の一覧表である。この表は、中間製品バッチ番号、製造品目、ステータス、保管場所、保管方法、製造開始日時、製造終了日時、バッチ作成者、バッチ作成日時といった項目を含むものである。この表において表示される各行が、中間製品バッチによって製造された中間製品(バッチ単位)を表す。中間製品バッチ番号、製造品目、保管場所、保管方法、製造開始日時、および製造終了日時のそれぞれのデータ項目については、既に図27において説明した通りである。これらのデータは、基本的には中間製品バッチを登録する際に図27の画面において設定(入力)された値を持つものであるが、登録後の段階で適切に更新された情報を表すものであってもよい。ステータスという項目は、その中間製品の状態を表す。ステータスは、オープン(OPEN)またはクローズ(CLOSE)のいずれかである。オープンというステータスは、その中間製品が引き当て可能な状態を表す。クローズというステータスは、その中間製品が引き当て不可能(在庫なし等)な状態を表す。このステータスは適宜更新される。
【0130】
図28に示す表に含まれるバッチ作成者のデータは、その中間製品バッチを作成(登録)したユーザーの情報(識別情報あるいは氏名等)を表す。また、バッチ作成日時は、その中間製品バッチが作成(登録)された日時を表す。
【0131】
中間製品バッチが削除されたときには、その中間製品バッチの情報はこの図28の表においてクローズされる。権限を有するユーザーが任意のタイミングで中間製品バッチをオープンしたりクローズしたりできる。中間製品バッチが削除されるのは、例えば、その中間製品バッチによって製造された中間製品の在庫がなくなった(全量が製品バッチにおいて使用された)場合である。また、ユーザーの操作に依らずに、保管されている中間製品の在庫量を中間製品バッチごとに管理して、その在庫がなくなったときに自動的にその中間製品バッチをクローズする機能を管理サーバー装置61が持つようにしてもよい。中間製品バッチがクローズされた後にも、管理サーバー装置61は、その中間製品バッチに関するデータを保持し続ける。中間製品バッチがクローズされると、その中間製品バッチ自体は表示されるが、他のサブバッチからその中間製品を引き当てることができないように、管理サーバー装置61は情報の管理を行う。
【0132】
ユーザーは、この図28の表を表示させて見ることによって、保管されている状態で残っている中間製品の種類(品目)を知ることができる。また、ユーザーは、その表を見ることによってそれぞれの中間製品バッチの中間製品バッチ番号を知ることができる。保管されている特定の中間製品バッチの中間製品を製品バッチで使用するために引き当てる場合には、ユーザーは、この図28の表を参照することによって、中間製品バッチ番号等の必要な情報を知ることができる。
【0133】
なお、図28の表において例えば特定の中間製品バッチをユーザーが選択したときに、管理サーバー装置61の中間製品管理部219は、その中間製品バッチによって製造された中間製品を使用している製品バッチの情報をポップアップ等の手段で表示するようにしてもよい。1つの中間製品バッチで製造された中間製品は、前述の通り、複数の製品バッチで使用され得る。このときに表示される製品バッチの情報は、例えば、製品バッチ番号、製造品目番号、製造品目名称、製造開始日時、製造終了日時、およびステータス等であってよい。ステータスは、その製品バッチがその時点においてオープン(open、未完了)であるかクローズド(closed、完了)であるかを表す情報である。なお、中間製品バッチと製品バッチとを関連付けるための機能およびユーザーインターフェースについては、下で図29を参照しながら説明する。
【0134】
次に、製品バッチを登録する際に、中間製品バッチで製造された中間製品を引き当てるための管理サーバー装置61の機能について説明する。
【0135】
図29は、本実施形態において、登録済みのバッチ(製品バッチ等)についてサブバッチを登録するための画面の概要を示す概略図である。図示するように、本実施形態では、あるバッチ(製品バッチ等)におけるサブバッチの登録を行う際に、「中間製品使用」の機能をユーザーが選択することができるようになっている。図示する例では、サブバッチ登録の画面内に存在する「中間製品使用」のタブをユーザーが選択することによって、特定の中間製品バッチを、そのバッチ(製品バッチ等)に関連付けることができる。ただし、タブの選択以外の方法によって「中間製品使用」の機能を実行できるようにしてもよい。図29の例では、「中間製品使用」のタブの選択によって表示される画面(サブバッチ登録の画面内の小窓)は、用途、中間製品バッチ番号、製造品目カテゴリー、製造品目番号、製造品目名称、および保管場所というデータ項目を含んでいる。これらそれぞれのデータ項目の意味については、既に説明した通りである。ユーザーは、メニューによって中間製品バッチ番号の候補の中の1つの番号を選択することができる。このメニューにおいて候補として表示される中間製品バッチ番号は、例えば、その時点において存在しているすべての中間製品(図28の中間製品一覧を参照)に対応する中間製品バッチ番号である。それらの候補の中から1つの中間製品バッチ番号を選択すると、管理サーバー装置61内の中間製品管理部219が、その中間製品バッチ番号に関連付けられている製造品目カテゴリー、製造品目番号、製造品目名称の情報を自動的に読み出して、画面上に表示する。また、ユーザーがメニューによって1つの用途を選択すると、選択された用途に合う中間製品バッチ番号への絞り込みが行われる。つまり、画面において用途を選択することにより、ユーザーは、より少ない候補の中からより簡単に中間製品バッチ番号を選択することができるようになる。
【0136】
また、図29に示す「中間製品使用」の画面は、「決定」ボタンを有している。ユーザーがこの「決定」ボタンを押す操作を行うと、その時点で選択されている中間製品バッチ番号が引き当てられる。なお、「決定」ボタンが押されるまでの間は、ユーザーは、表示される候補の中から選択する中間製品バッチ番号を変更することができる。
【0137】
サブバッチと中間製品とは異なる概念であるが、例えば図29の画面のようにあるバッチ(製品バッチ)に属するサブバッチを登録するための画面において製造済みの中間製品の使用を選択できるようにすることによって、ユーザーにとってわかりやすい形で、中間製品バッチと製品バッチとを関連付けることができるようになる。
【0138】
以上、この発明の複数の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計あるいは変形例等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、例えば、製造工程の実行管理や製造物の品質管理などのために利用することができる。ただし、本発明の利用範囲はここに例示したものには限られない。
【符号の説明】
【0140】
1 管理システム
11 管理サーバー装置(製造管理装置)
12 製造機器
15 通信機器
16 端末装置
17 通信ネットワーク
21 製造計画装置
61 管理サーバー装置(製造管理装置)
111 製造管理機能部
112 ステータス提示部
113 スケジュール管理部
114 データ管理部
115 製造記録作成部
121 筐体
122 バッグ
123 チューブ
124 電気線
125 移動手段
126 制御システム
211 製造管理機能部
212 ステータス提示部
213 スケジュール管理部
214 データ管理部
215 製造記録作成部
219 中間製品管理部
501 機器状態表示領域
502 ステータス表示領域
511 アイコン表示領域
512 サブバッチ識別情報表示領域
513 サブバッチステータス表示領域
514 日時情報表示領域
901 中央処理装置
902 RAM
903 入出力ポート
904,905 入出力デバイス
906 バス
図1
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図3
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