(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077919
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】液圧駆動システム、及び、建設機械
(51)【国際特許分類】
F15B 11/02 20060101AFI20240603BHJP
F15B 11/16 20060101ALI20240603BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
F15B11/02 E
F15B11/16 B
E02F9/22 K
E02F9/22 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190160
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】小森 悦朗
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA01
2D003BB02
2D003BB03
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003FA02
3H089AA01
3H089AA35
3H089AA73
3H089BB01
3H089BB19
3H089CC09
3H089CC12
3H089CC16
3H089DA03
3H089DA13
3H089DA14
3H089DB03
3H089DB46
3H089DB49
3H089FF02
3H089FF07
3H089FF08
3H089FF12
3H089GG01
3H089GG02
3H089JJ02
(57)【要約】
【課題】複数の駆動部を同時に動作させるときにおけるエネルギーのロスを低減することができる液圧駆動システム、及び、建設機械を提供する。
【解決手段】液圧駆動システムは、液圧ポンプ1と、複数の可変容量アクチュエータと、制御部と、を備えている。液圧ポンプ1は、作動液を吐出する。可変容量アクチュエータは、液圧ポンプ1から吐出された作動液の圧力を受けて対応する複数の駆動部を動作させる。制御部は、各可変容量アクチュエータの容量可変部13を制御する。制御部は、使用する各可変容量アクチュエータの液流入部の検出圧力に基づいて、使用する各可変容量アクチュエータの液流入部の圧力が共通のターゲット圧力に近づくように、各可変容量アクチュエータの容量可変部13を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動液を吐出する液圧ポンプと、
前記液圧ポンプから吐出された作動液の圧力を受けて対応する複数の駆動部を動作させる複数の可変容量アクチュエータと、
各前記可変容量アクチュエータの容量可変部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
使用する各前記可変容量アクチュエータの液流入部の検出圧力に基づいて、使用する各前記可変容量アクチュエータの前記液流入部の圧力が共通のターゲット圧力に近づくように、各前記可変容量アクチュエータの前記容量可変部を制御する液圧駆動システム。
【請求項2】
前記制御部は、使用する各前記可変容量アクチュエータの容量変化が、各前記可変容量アクチュエータの定格最大容量以下、かつ定格最小容量以上の範囲となるように、各前記可変容量アクチュエータの前記容量可変部を制御する請求項1に記載の液圧駆動システム。
【請求項3】
前記制御部は、使用する前記可変容量アクチュエータの総合計流量が規定流量以下となるように、各前記可変容量アクチュエータの前記容量可変部を制御する請求項1または2に記載の液圧駆動システム。
【請求項4】
前記制御部は、使用する前記可変容量アクチュエータの総合計馬力が規定馬力以下となるように、各前記可変容量アクチュエータの前記容量可変部を制御する請求項1または2に記載の液圧駆動システム。
【請求項5】
複数の駆動部と、
作動液の圧力を受けて複数の前記駆動部を動作させる液圧駆動システムと、を備え、
前記液圧駆動システムは、
作動液を吐出する液圧ポンプと、
前記液圧ポンプから吐出された作動液の圧力を受けて対応する複数の駆動部を動作させる複数の可変容量アクチュエータと、
各前記可変容量アクチュエータの容量可変部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
使用する各前記可変容量アクチュエータの液流入部の検出圧力に基づいて、使用する各前記可変容量アクチュエータの前記液流入部の圧力が共通のターゲット圧力に近づくように、各前記可変容量アクチュエータの前記容量可変部を制御する建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧駆動システム、及び、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の建設機械として、自走する走行体と、走行体に旋回自在に支持された旋回体と、を備えたものが知られている。旋回体は、操作者が搭乗するキャブと、ブーム、アーム、及び、バケット等から成る多関節動作部と、を備えている。キャブとブーム、ブームとアーム、アームとバケットの各間には、液圧(油圧)によって動作する駆動部が設けられている。各駆動部のアクチュエータとしては、定容量型の液圧アクチュエータが用いられることがある。
【0003】
上述の建設機械のような機器では、液圧によって駆動される複数の駆動部が共通の液圧駆動システムによって操作されることがある。この場合、液圧駆動システムは、液圧ポンプから吐出された作動液の圧力が主供給路において一定圧力に制御され、主供給路から分岐する複数の分岐通路に、各駆動部を動作させるための液圧モータ等の液圧アクチュエータが接続されている。各液圧アクチュエータは、各駆動部を個別に動作させるときに設定した作業能力が得られるように、容量(消費する作動液の流量)が設定されている。また、分岐通路を通して各液圧アクチュエータに供給される作動液の圧力は、各液圧アクチュエータに作用する負荷の大きさによって決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の液圧駆動システムは、システム圧と液圧アクチュエータの駆動圧力をほぼ等しくでき、各駆動部を個別に動作させるときには、エネルギー効率を良好に利用することができる。
【0006】
しかし、上記の液圧駆動システムは、複数の駆動部を同時に動作させる場合には、全体としてのエネルギー効率を良好に保つことが難しい。即ち、上記の液圧駆動システムでは、流入部の圧力が最大となる液圧アクチュエータの必要圧力に合わせて主供給路の圧力が制御され、他の液圧アクチュエータで利用される作動液の圧力エネルギーは、分岐通路において、流路の断面を小さくして圧損として消費するか、一部の作動液をタンクに還流することによって消費する。このため、上記の液圧駆動システムでは、一旦高圧に加圧された作動液の多くが減圧のために圧損として消費されたり、タンクに還流される分、液圧のエネルギーが無駄に消費されることになる。
【0007】
本発明は、複数の駆動部を同時に動作させるときにおけるエネルギーのロスを低減することができる液圧駆動システム、及び、建設機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る液圧駆動システムは、作動液を吐出する液圧ポンプと、前記液圧ポンプから吐出された作動液の圧力を受けて対応する複数の駆動部を動作させる複数の可変容量アクチュエータと、各前記可変容量アクチュエータの容量可変部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、使用する各前記可変容量アクチュエータの液流入部の検出圧力に基づいて、使用する各前記可変容量アクチュエータの前記液流入部の圧力が共通のターゲット圧力に近づくように、各前記可変容量アクチュエータの前記容量可変部を制御する。
【0009】
このように構成することで、複数の駆動部を同時に動作させるときには、使用する複数の可変容量アクチュエータの液流入部の圧力が共通のターゲット圧力に近づくように各可変容量アクチュエータの容量が制御される。これにより、各可変容量アクチュエータは、液流入部の圧力を各アクチュエータ共通のターゲット圧力に近い圧力に維持し、その状態で対応する各駆動部に必要とする仕事量を付与し得る流量の作動液を消費する。この結果、液圧ポンプで一旦高圧に加圧された作動液を各アクチュエータの供給流路で大きく減圧する必要がなくなり、その分エネルギーのロスが低減される。
【0010】
前記制御部は、使用する各前記可変容量アクチュエータの容量変化が、各前記可変容量アクチュエータの定格最大容量以下、かつ定格最小容量以上の範囲となるように、各前記可変容量アクチュエータの前記容量可変部を制御することが望ましい。
【0011】
この場合、可変容量アクチュエータの容量可変部を操作するアクチュエータに、可変容量アクチュエータの定格最大容量を超える容積変化を行わせる指令値や、可変容量アクチュエータの定格最小容量を下回る容量変化を行わせる指令値が出力されることがなくなる。このため、アクチュエータに過大が負荷が作用するのを抑制することができる。
【0012】
前記制御部は、使用する前記可変容量アクチュエータの総合計流量が規定流量以下となるように、各前記可変容量アクチュエータの前記容量可変部を制御するようにしても良い。
【0013】
この場合、可変容量アクチュエータの容量可変部を操作するアクチュエータに、使用する可変容量アクチュエータの総合計流量が規定流量を超える指令値が出力されることがなくなる。このため、アクチュエータに規定流量を超える指令値が出力されることによって、各可変容量アクチュエータに適切な流量の作動液を供給できなくなる不具合を無くすことができる。
【0014】
前記制御部は、使用する前記可変容量アクチュエータの総合計馬力が規定馬力以下となるように、各前記可変容量アクチュエータの前記容量可変部を制御するようにしても良い。
【0015】
この場合、可変容量アクチュエータの容量可変部を操作するアクチュエータに、使用する可変容量アクチュエータの総合計馬力が規定馬力を超える指令値が出力されることがなくなる。このため、アクチュエータに規定馬力を超える指令値が出力されることによって、液圧ポンプを駆動する駆動源に過大な負荷が作用する不具合を無くすことができる。
【0016】
本発明の一態様に係る建設機械は、複数の駆動部と、作動液の圧力を受けて複数の前記駆動部を動作させる液圧駆動システムと、を備え、前記液圧駆動システムは、作動液を吐出する液圧ポンプと、前記液圧ポンプから吐出された作動液の圧力を受けて対応する複数の駆動部を動作させる複数の可変容量アクチュエータと、各前記可変容量アクチュエータの容量可変部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、使用する各前記可変容量アクチュエータの液流入部の検出圧力に基づいて、使用する各前記可変容量アクチュエータの前記液流入部の圧力が共通のターゲット圧力に近づくように、各前記可変容量アクチュエータの前記容量可変部を制御する。
【発明の効果】
【0017】
上述の液圧駆動システムは、複数の駆動部を同時に動作させるときには、使用する各可変容量アクチュエータの液流入部の圧力が共通のターゲット圧力に近づくように各可変容量アクチュエータの容量を制御し、その状態で各可変容量アクチュエータが対応する駆動部に必要な仕事量を付与することになる。したがって、上述の液圧駆動システムを採用した場合には、液圧ポンプで一旦高圧に加圧された作動液の多くを各アクチュエータの供給流路で減圧のために排出する必要がなくなるため、複数の駆動部を同時に動作させるときにおけるエネルギーのロスを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態のショベル(建設機械)を側方から見た概略構成図である。
【
図2】実施形態の液圧駆動システムの回路構成図である。
【
図3】実施形態の液圧駆動システムの可変容量アクチュエータの圧力-流量特性図である。
【
図4】実施形態の液圧駆動システムの制御の一例を示すフローチャート。
【
図5】他の実施形態の液圧駆動システムの制御の一例を示すフローチャート。
【
図6】他の実施形態の液圧駆動システムの制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本明細書において、「液圧」とは、油分を含む作動液を用いる場合の圧力(油圧)と、油分を含まない作動液を用いる場合の圧力(水圧等)を含むものとする。
【0020】
(建設機械)
図1は、建設機械の一形態であるショベル100を側方から見た概略構成図である。
ショベル100は、旋回体101と、走行体102と、を備えている。旋回体101は、走行体102の上に旋回可能に設けられている。旋回体101には、旋回体101の各部を液圧によって駆動する液圧駆動システム10が搭載されている。走行体102は、例えば、路面に接地するクローラを有し、クローラが動力源であるエンジンや電動モータによって駆動されることにより、路面上を走行可能とされている。
なお、走行体102の走行手段はクローラに限定されるものでなく、車輪等であっても良い。
【0021】
旋回体101は、操作者が搭乗可能なキャブ103と、操作者によって操作される多関節動作部110と、を備えている。キャブ103上には、操作者が着座するシート107と、シート107に着座した操作者によって操作されるレバーやスイッチ等の複数の操作部108a,108bが配置されている。
【0022】
多関節動作部110は、ブーム104と、アーム105と、バケット106と、を備えている。ブーム104は、基端がキャブ103の前端部に回転軸111aを中心として揺動自在に連結され、アーム105は、基端がブーム104の先端部に回転軸111bを中心として揺動自在に連結されている。また、バケット106は、基端がアーム105の先端部に回転軸111cを中心として揺動自在に連結されている。多関節動作部110は、ブーム104、アーム105、及び、バケット106の各連結部を複合的に動作させることにより、バケット106によって、例えば、土砂や瓦礫等をすくい上げることができる。多関節動作部110の各連結部は、後述する可変容量モータ12A,12B,12C(
図2参照)によって駆動される。可変容量モータ12A,12B,12Cによって駆動される連結部(駆動部)は、上記の各回転軸111a,111b,111cが直接駆動されるものであっても良く、上記の各回転軸111a,111b,111cとは別の可動機器によって駆動されるものであっても良い。
なお、多関節動作部110の先端部に取り付けられるバケット106は、アタッチメントの一例であり、バケット106に変えて機械式フォークや油圧ブレーカー等を用いることも可能である。
【0023】
(液圧駆動システム)
図2は、本実施形態の液圧駆動システム10の回路構成図である。
液圧駆動システム10は、例えば、上述のショベル100(建設機械)の多関節動作部110の任意の連結部(駆動部)を同時に、若しくは、個別に動作させることができる。液圧駆動システム10は、作動液を吐出する液圧ポンプ1と、液圧ポンプ1から吐出された作動液の圧力を受けて対応する駆動部を動作させる可変容量モータ12A,12B,12Cと、各可変容量モータ12A,12B,12Cの容量可変部13を制御するコントローラ90(制御部)と、を備えている。
なお、各可変容量モータ12A,12B,12Cの出力軸と対応する駆動部の間には、出力軸の回転を減速する減速機が適宜配置されている。
本実施形態では、可変容量モータ12A,12B,12Cが可変容量アクチュエータを構成している。
【0024】
液圧ポンプ1は、エンジンや電動モータ等の動力源によって駆動される。液圧ポンプ1は、タンク2に貯留された作動液を液圧回路3の主供給路14に向けて吐出する。液圧回路3の主供給路14の上流側には、液圧回路3内の過大な圧力上昇を抑制するリリーフ弁4が設けられている。過大な圧力上昇時にリリーフ弁4から排出された作動油液はタンク2に戻される。
【0025】
主供給路14の下流側には、絞り5が設けられている。絞り5の下流側には、主供給路14の作動液をタンク2に戻すための還流通路6が接続されている。
【0026】
液圧回路3は、主供給路14から分岐する複数(三つ)の分岐通路7A,7B,7Cを備えている。各分岐通路7A,7B,7Cには、対応する可変容量モータ12A,12B,12Cが設けられている。各分岐通路7A,7B,7Cは、上流側が絞り部を介して主供給路14に接続され、下流側が還流通路6に接続されている。また、各分岐通路7A,7B,7Cには、主供給路14に接続される側と還流通路6に接続される側とに跨るように流路切換弁15A,15B,15Cが設けられている。流路切換弁15A,15B,15Cは、可変容量モータ12A,12B,12Cに流す作動液の向きを切り換える二位置と、可変容量モータ12A,12B,12Cへの作動液の流入を停止する一位置とを持つ4ポート3位置の電磁弁等によって構成されている。可変容量モータ12A,12B,12Cは、流路切換弁15A,15B,15Cによって作動液の流れる向きを変えることにより、回転方向を正転方向と反転方向に切り換えることができる。また、可変容量モータ12A,12B,12Cは、流路切換弁15A,15B,15Cを停止位置に切り換えることによって回転を停止する。
各流路切換弁15A,15B,15Cは、コントローラ90からの切換指令を受け、上記の三位置のうちのいずれかの位置に切り換えられる。
【0027】
可変容量モータ12A,12B,12Cは、例えば、斜板の傾斜角度を任意に調整できる斜板式のアキシャルプランジャモータによって構成されている。このアキシャルプランジャモータは、プランジャの進退ストロークを規制する斜板の傾斜角度を変更することにより、プランジャによる作動液の流入・流出容量を変更する周知の構造を採用している。可変容量モータ12A,12B,12Cの斜板の傾斜角度は、コントローラ90によって制御される操作用のアクチュエータ50A,50B,50Cによって操作される。
アクチュエータ50A,50B,50Cは、コントローラ90からの制御指令を受けて斜板の傾斜角度を任意の角度に操作し得るものであれば構造は特に限定されない。アクチュエータ50A,50B,50Cは、例えば、液圧によって斜板の傾斜角度を操作するものであっても、電動式のモータや電磁アクチュエータによって斜板の傾斜角度を操作するものであっても良い。
【0028】
なお、ここでは可変容量モータ12A,12B,12Cの一例として、斜板式のアキシャルプランジャモータを挙げているが、可変容量モータ12A,12B,12Cの構造は特に限定されない。可変容量モータ12A,12B,12Cは、コントローラ90からの作動指令に基づいて作動液の流入・流出容量を変更し得る液圧モータであればどのような構造であっても良い。例えば、複数のプランジャが放射状に配置された回転ブロックと、回転ブロックの外側に配置されたストローク規制リングの偏心量を変更することで、プランジャの流入・流出容量を変更するラジアルプランジャモータ等であっても良い。また、モータの形式もプランジャ式に限らず、ベーン式やギヤ式等の他の種々の形式のものを採用することができる。
【0029】
上述した可変容量モータ12A,12B,12Cは、液圧ポンプ1から吐出された作動液の圧力を受け、例えば、上述のショベル100(建設機械)の多関節動作部110の複数の連結部(駆動部)を動作させる。
複数(三つ)の駆動部のうちのいずれか一つの駆動部を単独で動作させる場合には、複数の流路切換弁15A,15B,15Cのうちの一つが対応する一つの分岐通路7A,7B,7Cを開き、残余の二つが対応する残余の分岐通路7A,7B,7Cを閉じる。このとき、動作させる可変容量モータ12A,12B,12Cの容量と、主供給路14の圧力は、設定した作業能力が得られるようにコントローラ90によって制御される。駆動部を動作させた作動液は還流通路6を通ってタンク2に還流する。なお、このとき動作させる駆動部の作動方向は、流路切換弁15A,15B,15Cの切換え位置の変更によって適宜変更することができる。
【0030】
また、各分岐通路7A,7B,7Cの可変容量モータ12A,12B,12Cを間に挟む上流側と下流側には、作動液の圧力を検出するための圧力センサp1,p2が夫々設置されている。各圧力センサp1,p2は、可変容量モータ12A,12B,12Cの回転方向に応じて使い分けられ、可変容量モータ12A,12B,12Cの液流入部(高圧側部分)の圧力を検出する。圧力センサp1,p2で検出された検出信号(作動液の圧力)はコントローラ90に入力される。コントローラ90は、圧力センサp1,p2の検出信号に基づいて液圧駆動システム10の各部を制御する。
【0031】
全て(三つ)の駆動部を同時に動作させる場合には、流路切換弁15A,15B,15Cが対応する分岐通路7A,7B,7Cを開き、各分岐通路7A,7B,7Cに流入する作動液を対応する可変容量モータ12A,12B,12Cに供給する。各可変容量モータ12A,12B,12Cで対応する駆動部を動作させた作動液は、還流通路6を通ってタンク2に還流する。
【0032】
このとき、各分岐通路7A,7B,7Cの液流入部(各可変容量モータ12A,12B,12Cの上流側部分)の圧力は、圧力センサp1,p2の一方によって検出され、その検出信号はコントローラ90に入力される。コントローラ90は、この検出信号を受け、各可変容量モータ12A,12B,12Cの液流入部の圧力が共通のターゲット圧力(目標圧力)に近づくように、各可変容量モータ12A,12B,12Cの容量可変部(例えば、斜板の傾斜可変部)を制御する。これにより、各可変容量モータ12A,12B,12Cは、各液流入部の圧力をターゲット圧力に近い圧力に維持し、その状態で対応する各駆動部に必要とする仕事量を付与する。
なお、本実施形態の場合、ターゲット圧力は、コントローラ90によって設定調整することができる。ターゲット圧力は、例えば、駆動部を動作させるのに最大流量を必要とする可変容量モータの液流入部の最大圧力の70~80%に設定することができる。この場合、各駆動部の必要流量を減少させ、エネルギーの消費をより抑えることができる。
また、ターゲット圧力は、最大システム圧の50%程度に設定すれば、各可変容量モータ12A,12B,12Cの容量変動を少なく抑えることができる。
【0033】
図3は、全て(三つ)の駆動部を同時に動作させるときにおける三つの可変容量モータ12A,12B,12Cの液流入部の圧力と流量(消費する作動液の流量)の様子を示す図である。
本実施形態の液圧駆動システム10において、全て(三つ)の駆動部を同時に動作させると、
図3に示すように、各可変容量モータ12A,12B,12Cの液流入部側の圧力がターゲット圧力に近接するようにほぼ均一になり、各可変容量モータ12A,12B,12Cには、駆動部で必要とする流量の作動液が供給される。このため、本実施形態の液圧駆動システム10において、上述のように各可変容量モータ12A,12B,12Cの容量可変部13を制御した場合には、
図3に示すように、全体として消費される作動液のエネルギーが大幅に削減される。
なお、
図3中の二点鎖線で示す12Ac,12Bc,12Ccは、各モータの容量が一定の場合(可変容量モータを採用しない場合)の流入部の圧力と流量(消費する作動液の流量)の様子を示している。
【0034】
また、任意の二つの駆動部を同時に動作させる場合には、複数の流路切換弁15A,15B,15Cのうちの二つが対応する二つの分岐通路7A,7B,7Cを開き、残余の一つが対応する残余の分岐通路7A,7B,7Cを閉じる。このとき、開かれた分岐通路7A,7B,7Cの液流入部(各可変容量モータ12A,12B,12Cの上流側部分)の圧力は、圧力センサp1,p2の一方によって検出され、その検出信号はコントローラ90に入力される。コントローラ90は、この検出信号を受け、二つの可変容量モータ12A,12B,12Cの液流入部の圧力が共通のターゲット圧力(目標圧力)に近づくように、二つの可変容量モータ12A,12B,12Cの容量可変部を制御する。この場合、二つの各可変容量モータ12A,12B,12Cは、各液流入部の圧力をターゲット圧力に近い圧力に維持し、その状態で所定流量の作動液を消費する。したがって、この場合も、全体として消費される作動液のエネルギーは抑制される。
【0035】
つづいて、液圧駆動システム10の制御の一例を、
図4に示すフローチャートを参照して説明する。
図4は、全て(三つ)の駆動部を同時に動作させるときの制御の流れを示している。
なお、
図4中の三桁のステップを示す数字(例えば、S102)に「-」に続いて付されている数字は、各可変容量モータ12A,12B,12Cに関連するステップであることを意味している。具体的には、可変容量モータ12Aに関連するステップには、「-」に続いて数字「1」が付され、可変容量モータ12Bに関連するステップには、「-」に続いて数字「2」が付され、可変容量モータ12Cに関連するステップには、「-」に続いて数字「3」が付されている。
各可変容量モータ12A,12B,12Cに関連するステップは、いずれも内容はほぼ同様であるため、以下では、可変容量モータ12Aに関するステップを代表として詳細に説明し、他の可変容量モータ12B,12Cに関するステップについては詳細な説明を省略する。
【0036】
ステップS101では、ターゲット駆動圧Pt(ターゲット圧力)を設定する。
ステップS102-1では、可変容量モータ12Aの定格最大容量V1max(以下、「最大容量V1max」と称する)を設定する。最大容量V1maxは、例えば、予め記憶部に記憶されていた値を読み込む。
ステップS103-1では、可変容量モータ12Aの定格最小容量V1min(以下、「最小容量V1min」と称する)を設定する。最小容量V1minは、例えば、予め記憶部に記憶されていた値を読み込む。
ここまでのステップは、システムの起動時にのみ行うようにしても良い。
【0037】
ステップS104-1では、圧力センサp1またはp2によって検出した可変容量モータ12Aの液流入部側の実際の圧力P1を読み込む。
【0038】
ステップS105-1では、前回制御信号を出力したときの可変容量モータ12Aの容量の設定値V1に、ターゲット駆動圧Ptに対する実検出圧力P1の比率を乗じて、次の容量の設定値V1を算出する。
なお、システムの起動時には、ターゲット駆動圧Ptに対する実検出圧力P1の比率に乗じる設定値V1として、適宜の初期値(例えば、最大容量V1max)を代入する。
【0039】
ステップS106-1では、算出した値V1が最大容量V1max以上であるか否かを判定し、最大容量V1max以上である場合には、つづくステップS107-1に進んで値V1に最大容量V1maxの値を代入する。また、算出した値V1が最大容量V1maxよりも小さいの場合には、ステップS108-1へと進む。
【0040】
ステップS108-1では、算出した値V1が最小容量V1min以下であるか否かを判定し、最小容量V1min以下である場合には、つづくステップS109-1に進んで値V1に最小容量V1minの値を代入し、その後にステップS110-1へと進む。また、算出した値V1が最小容量V1minよりも大きい場合には、値V1に、ステップS105-1の算出値を代入してステップS110-1へと進む。
【0041】
ステップS110-1では、ステップS105-1~S109-1の間で決定した値V1を設定値V1として更新し、その更新値V1に対応する容量制御信号CS1を、可変容量モータ12Aの容量操作用のアクチュエータ50Aに出力する。
なお、
図4中の点線で囲まれたステップS105-1からステップS110-1までの処理(ステップS105-2からステップS110-2の処理、ステップS105-3からステップS110-3の処理)は、コントローラ90の演算部で行われる処理である。
【0042】
他の可変容量モータ12B,12Cの容量操作用のアクチュエータ50B,50Cには、同様にして決定された更新値V2,V3に対応する容量制御信号CS2,CS3がコントローラ90から出力される。
【0043】
各アクチュエータ50A,50B,50Cに、容量制御信号CS1,CS2,CS3が一度出力された後には、ステップS105-1からステップS110-1までの処理(ステップS105-2からステップS110-2の処理、ステップS105-3からステップS110-3の処理)が同様に繰り返される。
【0044】
ここで、上記の処理において、更新した設定値V1,V2,V3がステップS105-1,S105-2,S105-3の算出値である場合には、各可変容量モータ12A,12B,12Cの容量はターゲット駆動圧Pt(ターゲット圧力)に対する実検出圧力P1,P2,P3の比率に応じた容量に変更され、それによって各可変容量モータ12A,12B,12Cの液流入部側の圧力はターゲット駆動圧Pt(ターゲット圧力)に近づくようになる。
【0045】
また、上記の処理において、更新した設定値V1が最大容量V1maxである場合には、可変容量モータ12Aの容量が最大容量V1maxに変更、若しくは、維持され、更新した設定値V1が最小容量V1minである場合には、可変容量モータ12Aの容量が最小容量V1minに変更、若しくは、維持される。このため、各可変容量モータ12A,12B,12Cの容量操作用のアクチュエータ50A,50B,50Cには、可変容量モータ12A,12B,12Cの定格最大容量V1maxを超える容積変化を行わせる指令値や、可変容量モータ12A,12B,12Cの定格最小容量V1minを下回る容量変化を行わせる指令値が出力されることはない。
【0046】
(実施形態の効果)
以上のように、本実施形態の液圧駆動システム10は、複数の駆動部を同時に動作させるときには、使用する複数の可変容量モータ12A,12B,12Cの液流入部の圧力が共通のターゲット圧力に近づくように、各可変容量モータ12A,12B,12Cの容量可変部13がコントローラ90によって制御される。これにより、各可変容量モータ12A,12B,12Cは、液流入部の圧力を各モータ共通のターゲット圧力に近い圧力に維持し、その状態で対応する各駆動部に必要とする仕事量を付与する。したがって、本実施形態の液圧駆動システム10を採用した場合には、液圧ポンプ1で一旦高圧に加圧された作動液の多くを各モータの供給流路で減圧のために排出したり、流路断面積を小さくして圧損として消費させる必要がなくなるため、複数の駆動部を同時に動作させるときにおけるエネルギーのロスを低減することが可能になる。
よって、本実施形態の液圧駆動システム10を採用した場合には、液圧ポンプ1と、液圧ポンプ1を駆動するエンジンや電動モータ等の動力源の小型・軽量化を図ることができ、ショベル100等の建設機械に搭載するうえにおいて有利となる。
【0047】
また、本実施形態の液圧駆動システム10では、制御部であるコントローラ90は、使用する各可変容量モータ12A,12B,12Cの容量変化が、各可変容量モータ12A,12B,12Cの定格最大容量以下、かつ定格最小容量以上の範囲となるように、各可変容量モータ12A,12B,12Cの容量可変部13を制御する。このため、可変容量モータ12A,12B,12Cの容量可変部13を操作するアクチュエータ50A,50B,50Cに、可変容量モータ12A,12B,12Cの定格最大容量を超える容積変化を行わせる指令値や、可変容量モータ12A,12B,12Cの定格最小容量を下回る容量変化を行わせる指令値が出力されることがない。したがって、本実施形態の液圧駆動システム10を採用した場合には、アクチュエータ50A,50B,50Cに過大が負荷が作用するのを抑制することができる。
【0048】
(他の実施形態1)
図5,
図6は、他の実施形態の液圧駆動システムの制御の一例を示すフローチャートである。
上記の実施形態の液圧駆動システム10は、一系統の液圧回路3に3つの可変容量モータ12A,12B,12Cが配置されたものである。これに対し、本実施形態の液圧駆動システムは、二系統の液圧回路に各3つ、合計6つの可変容量モータが配置されたものである。各系統の液圧回路は、上記の実施形態と同様の構成とされ、夫々の液圧回路には個別に液圧ポンプが設けられている。
【0049】
図5は、第一系統の液圧回路の三つの可変容量モータの制御ステップを示し、
図6は、第二系統の液圧回路の三つの可変容量モータの制御ステップを示している。
図5に示すステップS201では、第一系統の液圧回路におけるターゲット駆動圧Pt(ターゲット圧力)の設定を行い、ステップS201Aでは、第二系統の液圧回路におけるターゲット駆動圧Pt(ターゲット圧力)の設定を行う。各液圧回路での可変容量モータの容量制御信号CS1~CS6の生成手法は、上記の実施形態と同様とされている。
図5,
図6のフローチャートでは、第一系統の液圧回路に配置される第1,第2,第3可変容量モータに関連するステップには、「-」に続いて数字「1」、「2」、「3」が夫々付され、第二系統の液圧回路に配置される第4,第5,第6可変容量モータに関連するステップには、「-」に続いて数字「4」、「5」、「6」が夫々付されている。また、各可変容量モータに関連するステップには、同様の数字を用いた変数が用いられている。
各可変容量モータに関連するステップは、いずれも内容は上記の実施形態のステップS102-1~S110-1と同様である。このため、各ステップの詳細については説明を省略する。なお、
図5,
図6では、上記の実施形態のステップと対応するステップには、ステップの三桁の数字の最初の数字を「1」から「2」に変えた数字が付されている。
【0050】
(他の実施形態1の効果)
以上のように、本実施形態の液圧駆動システムは、二系統の液圧回路において、各三つの可変容量モータに対して、上記の実施形態と同様の容量制御を行う。具体的には、本実施形態では、各系統の液圧回路において、複数の駆動部を同時に動作させるときには、各系統で使用する複数の可変容量モータの液圧流入部の圧力が共通のターゲット駆動圧Pt(ターゲット圧力)に近づくように、各可変容量モータの容量可変部がコントローラによって制御される。このため、本実施形態の液圧駆動システムは、上記の実施形態よりも多くの駆動部を同時に作動させる場合にも、各可変容量モータの容量可変部を上記のように制御することにより、同様にエネルギーのロスを低減することができる。
【0051】
(他の実施形態2)
上記の各実施形態では、制御部であるコントローラは、複数の駆動部を同時に動作させるときに、
(a)使用する各可変容量モータの液流入部の検出圧力に基づいて、使用する各可変容量モータの液流入部の圧力が共通のターゲット圧力に近づくように、各可変容量モータの容量可変部を制御し、
かつ、
(b)使用する各可変容量モータの容量変化が、各可変容量モータの定格最大容量以下、かつ定格最小容量以上の範囲となるように各可変容量モータの容量可変部を制御している。
制御部であるコントローラは、複数の駆動部を同時に動作させるときには、上記の(a),(b)に加え、若しくは、上記の(b)に代えて以下の(c)の制御を行うようにしても良い。
(c)使用する可変容量モータの総合計流量が規定流量以下となるように、各可変容量モータの容量可変部を制御する。
【0052】
具体的には、例えば、液圧駆動システムの液圧回路で許容し得る流量の最大値を規定流量Vpとしたときに、係数Aを以下の(1)のように設定する。
A=Vp/{(V1+V2+V3)・C} …(1)
C:固定の係数
コントローラによる各可変容量モータの容量の制御ステップにおいて、ここで設定した係数Aを、前回制御信号を出力したときの可変容量モータの容量の設定値V1,V2,V3…に、V1=A・V1,V2=A・V2,V3=A・V3…のように乗じる。
このステップは、例えば、
図4のフローチャートのステップS105-1,S105-2,S105-3…の後等入れることができる。
このようなステップを追加することにより、使用する可変容量モータの総合計流量を規定流量Vp以下となるように、各可変容量モータの容量可変部を制御することができる。
【0053】
(他の実施形態2の効果)
本実施形態の液圧駆動システムは、使用する可変容量モータの総合計流量が規定流量Vp以下となるように、各可変容量モータの容量可変部がコントローラによって制御される。このため、可変容量モータの容量可変部を操作するアクチュエータに、使用する可変容量モータの総合計流量が規定流量Vpを超える指令値が出力されることがなくなる。したがって、本実施形態の液圧駆動システムを採用した場合には、アクチュエータに規定流量を超える指令値が出力されることによって、各可変容量モータに適切な流量の作動液を供給できなくなる不具合を無くすことができる。
【0054】
(他の実施形態3)
制御部であるコントローラは、複数の駆動部を同時に動作させるときには、上記の(a),(b),(c)に加えて以下の(d)の制御を行うようにしても良い。また、以下の(d)の制御は、上記の(b)+(c)の制御に代えて、若しくは、上記の(b),(c)の一方の制御に代えて行うようにしても良い。
(d)使用する可変容量モータの総合計馬力が規定馬力以下となるように、各可変容量モータの容量可変部を制御する。
【0055】
具体的には、例えば、液圧駆動システムで許容し得る最大値馬力を規定馬力Wとしたときに、係数Bを以下の(2)のように設定する。
B=W/{(P1*V1*N1+P2*V2*N2+P3*V2*V3)・C}…(2)
N1,N2,N3:各可変容量モータの出力軸の回転数
C:固定の係数
コントローラによる各可変容量モータの容量の制御ステップにおいて、ここで設定した係数Bを、前回制御信号を出力したときの可変容量モータの容量の設定値V1,V2,V3…に、V1=B・V1,V2=B・V2,V3=B・V3…のように乗じる。
このステップは、例えば、
図4のフローチャートのステップS105-1,S105-2,S105-3…の後等に入れることができる。
このようなステップを追加することにより、使用する可変容量モータの総合計馬力を規定馬力W以下となるように、各可変容量モータの容量可変部を制御することができる。
【0056】
(他の実施形態3の効果)
本実施形態の液圧駆動システムは、使用する可変容量モータの総合計馬力が規定馬力W以下となるように、各可変容量モータの容量可変部がコントローラによって制御される。このため、可変容量モータの容量可変部を操作するアクチュエータに、使用する可変容量モータの総合計馬力が規定馬力Wを超える指令値が出力されることがなくなる。したがって、本実施形態の液圧駆動システムを採用した場合には、アクチュエータに規定馬力Wを超える指令値が出力されることによって、液圧ポンプを駆動する駆動源に過大な負荷が作用する不具合を無くすことができる。
【0057】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、可変容量アクチュエータとして、可変容量モータ12A,12B,12Cを用いているが、可変容量アクチュエータは、可変容量モータ12A,12B,12Cに限定されない。可変容量アクチュエータは、容量を変更し得る液圧アクチュエータであれば、直動式のシリンダ装置等であっても良い。
【0058】
また、上記の実施形態では、液圧駆動システムを建設機械であるショベル100に適用しているが、液圧駆動システムはショベル100以外の建設機械に適用することも可能である。さらに、液圧駆動システムの適用は、建設機械に限定されるものではなく、複数の液圧アクチュエータによって駆動される機器であれば、他の機器にも適用することができる。
【0059】
また、本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていれば良い。
【符号の説明】
【0060】
1…液圧ポンプ、10…液圧駆動システム、12A,12B,12C…可変容量モータ(可変容量アクチュエータ)、13…容量可変部、90…コントローラ(制御部)、100…ショベル(建設機械)、111a,111b,111c…回動軸(駆動部)。