(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077933
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】レール監視システム、レール監視方法、及びレール監視プログラム
(51)【国際特許分類】
B61L 25/06 20060101AFI20240603BHJP
B61L 7/06 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B61L25/06 Z
B61L7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190181
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】西脇 一雅
(72)【発明者】
【氏名】沖野 将司
(72)【発明者】
【氏名】吉川 智貴
(72)【発明者】
【氏名】横江 隆司
(57)【要約】
【課題】より簡易な構成で安全性を確保した鉄道車両の走行が可能なレール監視システム、レール監視方法、及びレール監視プログラムを提供する。
【解決手段】本開示に係るレール監視システム10は、切替判定手段11と、表示手段12と、を備える。切替判定手段11は、鉄道車両が走行するレールにおいて、鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングしたセンシング情報に基づいて、トングレールの切替状態を判定する。表示手段12は、トングレールの切替状態を表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両が走行するレールにおいて、前記鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングしたセンシング情報に基づいて、前記トングレールの切替状態を判定する切替判定手段と、
前記トングレールの前記切替状態を表示する表示手段と、
を備えるレール監視システム。
【請求項2】
前記センシング情報は、距離センサが検出した当該距離センサと前記トングレールとの距離情報である、
請求項1に記載のレール監視システム。
【請求項3】
前記センシング情報は、接触センサが検出した基本レールと前記トングレールとの接触情報である、
請求項1に記載のレール監視システム。
【請求項4】
前記表示手段は、入力された鉄道レールの始点と終点とに基づいて、切替を必要とする前記トングレールを表示する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレール監視システム。
【請求項5】
転轍機と、
前記転轍機が前記トングレールの切替動作をおこなうことを補助する補助装置と、
前記トングレールの切替動作指示信号を前記補助装置に送信する遠隔操作手段と、
をさらに備えた、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレール監視システム。
【請求項6】
撮像手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記撮像手段により撮像された前記トングレールの前記切替状態をさらに表示する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレール監視システム。
【請求項7】
前記切替判定手段が判定した前記トングレールの前記切替状態と前記トングレールが予め記憶された切替状態とが異なる場合に警告する警告手段をさらに備えた、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレール監視システム。
【請求項8】
転轍機と、
前記転轍機がトングレールの切替動作をおこなうことを補助する補助装置と、
前記補助装置の内部スイッチにより前記転轍機の操作レバーが倒れている方向を検知して前記トングレールの切替状態を判定する切替判定手段と、
前記トングレールの前記切替状態を表示する表示手段と、
前記切替状態に応じたユーザーの操作によって前記トングレールの切替動作指示信号を前記補助装置に送信する遠隔操作手段と、
を備えるレール監視システム。
【請求項9】
鉄道車両が走行するレールにおいて、前記鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングしたセンシング情報に基づいて、前記トングレールの切替状態を判定し、
前記トングレールの前記切替状態を表示する、
処理をコンピュータが実行する、
レール監視方法。
【請求項10】
鉄道車両が走行するレールにおいて、前記鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングしたセンシング情報に基づいて、前記トングレールの切替状態を判定し、
前記トングレールの前記切替状態を表示する、
処理をコンピュータに実行させる、
レール監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レール監視システム、レール監視方法、及びレール監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道路線の発達に伴い、レールの切替を監視する技術の開発がされている。
例えば、特許文献1には、転轍機の制御状態を映像監視する列車走行監視システムが記載されている。特許文献1に開示された列車走行監視システムでは、トングレールの切替前後の画像データを比較することにより、トングレールの切替状態を自動的に判断して監視している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示された列車走行監視システムでは、切替前後におけるトングレールの画像解析を行うことにより、トングレールの切換が正常か否かを自動的に判定する。しかし、画像解析は、複雑なシステム構成となるため、高コストになる問題があった。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題に鑑み、より簡易な構成で安全性を確保した鉄道車両の走行が可能なレール監視システム、レール監視方法、及びレール監視プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るレール監視システムは、
鉄道車両が走行するレールにおいて、前記鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングしたセンシング情報に基づいて、前記トングレールの切替状態を判定する切替判定手段と、
前記トングレールの前記切替状態を表示する表示手段と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係るレール監視方法は、
鉄道車両が走行するレールにおいて、前記鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングしたセンシング情報に基づいて、前記トングレールの切替状態を判定し、
前記トングレールの前記切替状態を表示する、
処理をコンピュータが実行する。
【0008】
本開示の一態様に係るレール監視プログラムは、
鉄道車両が走行するレールにおいて、前記鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングしたセンシング情報に基づいて、前記トングレールの切替状態を判定し、
前記トングレールの前記切替状態を表示する、
処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、低コストでより安全性を確保した鉄道車両の走行が可能なレール監視システム、レール監視方法、及びレール監視プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係るレール監視システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】トングレールの切替状態を示す模式図である。
【
図3】実施形態1に係るレール監視システムにおける表示手段を示した模式図である。
【
図4】実施形態1に係るレール監視方法の流れを示すフローチャートである。
【
図5】距離センサを用いてトングレールの切替状態を判定する模式図である。
【
図6】接触センサを用いてトングレールの切替状態を判定する模式図である。
【
図7】実施形態3に係るレール監視システムにおける表示手段を示した模式図である。
【
図8】実施形態4に係るレール監視システムの構成を示すブロック図である。
【
図9】転轍機に取り付けられた補助装置の斜視図である。
【
図10】実施形態4に係るレール監視システムを示した模式図である。
【
図11】実施形態5に係るレール監視システムを示した模式図である。
【
図12】実施形態6に係るレール監視システムの構成を示すブロック図である。
【
図13】表示手段52bにより現場でレールを監視するユーザーに対して表示されたトングレールの切替状態を示す図である。
【
図14】表示手段52aにより監視室でレールを監視しているユーザーに対して表示されたトングレールの切替状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を通じて本開示を説明するが、請求の範囲に係る開示を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
なお、当然のことながら、図面に示した右手系xyz直交座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸正向きが鉛直上向き、xy平面が水平面である。
以下の、実施形態では、ユーザーは、例えば、トングレールを現場で監視する保守員又は現場から離れた監視室で監視する保守員である。
【0012】
<実施形態1>
以下、図面を参照して本開示の実施形態1について説明する。
図1は、実施の形態1に係るレール監視システムの構成を示すブロック図である。実施の形態1に係るレール監視システム10は、切替判定手段11、表示手段12を備える。
【0013】
切替判定手段11は、鉄道車両が走行するレールにおいて、鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングしたセンシング情報に基づいて、トングレールの切替状態を判定する。切替判定手段11は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算部と、プログラムやデータ等が格納されたRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部と、を備えている。すなわち、切替判定手段11は、コンピュータとしての機能を有しており、上記プログラム等に基づいて、トングレールの切替状態を判定する。
ここで、センシング情報は、各種センサによって取得された情報であり、詳細には後述するように、例えば距離情報や接触情報を含む。
【0014】
図2を参照しながら、トングレールの切替状態について説明する。
図2は、トングレールの切替状態を示す模式図である。
図2において、矢印は鉄道車両の進行方向を示しており、図のy軸負方向からy軸正方向に向かって鉄道車両が進行する。
図2では、レールは、基本レールL1、基本レールL2、及びトングレールTLを含む。
図2(a)は鉄道車両が基本レールL1を直進する場合を示した図である。
図2(b)は鉄道車両が基本レールL1に対して右折して基本レールL2を走行する場合を示した図である。
図2(a)に示すように鉄道車両が基本レールL1を直進する場合、トングレールTLは基本レールL1に対して平行である。
一方で、
図2(b)に示すように鉄道車両が基本レールL1に対して右折して基本レールL2を走行する場合、トングレールTLは基本レールL1に対して傾いている。すなわち、切替状態とは、トングレールTLが基本レールL1に対して平行な状態、あるいはトングレールTLが基本レールL1に対して傾いている状態を示す。
図2(b)では、鉄道車両が基本レールL1に対して右折して基本レールL2を走行する場合を例にして説明したが、鉄道車両が基本レールL1に対して左折する場合でも同様である。
【0015】
表示手段12は、トングレールの切替状態を表示する。
図3は、実施形態1に係るレール監視システムにおける表示手段を示した模式図である。表示手段12は、始点、終点、基本レールL、トングレールTL301~TL323を表示する。
図3に示した例では、始点から基本レールLを走行した鉄道車両は、トングレールTL301~TL308の切替状態をたどることにより、終点1にたどり着く。すなわち、表示手段12は、切替判定手段11により判定したトングレール301~TL323の切替状態を反映して、鉄道車両がレールを走行する際の始点から終点を導くように表示する。このとき、
図3に示すように、表示手段12は始点から終点1までを目立つように表示してもよい。
表示手段12は、例えば、タブレット端末、PC(Personal Computer)端末である。その他の例として、表示手段12はスマートウォッチなどのウェアラブル端末である。
【0016】
続いて、実施形態1に係るレール監視方法を説明する。
図4は、実施形態1に係るレール監視方法の流れを示すフローチャートである。まず、切替判定手段11は、鉄道車両が走行するレールにおいて、鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングしたセンシング情報に基づいて、トングレールの切替状態を判定する(ST1)。次に、表示手段12は、トングレールの切替状態を表示する(ST2)。
【0017】
このように、実施形態1に係るレール監視システムは、鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングしたセンシング情報に基づいて、トングレールの切替状態を判定して表示する。これにより、ユーザーが現地でトングレールの切替状態を確認することが不要となり、安全性を容易に確保できる。さらに、実施形態1に係るレール監視システムは、簡易な構成であるため、低コストで安全性を確保した鉄道車両の走行が可能となる。
【0018】
<実施形態2>
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態2について説明する。実施形態2に係るレール監視システムは、切替判定手段、表示手段を備える。実施形態2は、実施形態1に係るレール監視システム10の切替判定手段11が判定の基とするセンシング情報の変形例である。その他の構成は、実施形態1に係るレール監視システムと同様であるため、説明を省略する。
【0019】
図5を参照しながら、距離センサを用いてトングレールの切替状態を判定する方法について説明する。
図5は、距離センサを用いてトングレールの切替状態を判定する模式図である。
図5において、矢印は鉄道車両の進行方向を示しており、図のy軸負方向からy軸正方向に向かって鉄道車両が進行する。
図5では、レールは、基本レールL1、基本レールL2、及びトングレールTLを含む。
図5(a)は鉄道車両が基本レールL1を直進する場合を示した図である。
図5(b)は鉄道車両が基本レールL1に対して右折して基本レールL2を走行する場合を示した図である。
図5(a)、
図5(b)に示した例では、距離センサS1はトングレールTLに対して右側方(x軸正方向)に設けられているが、これに限定されることはなく、トングレールTLの側方であればよい。距離センサS1は、当該距離センサS1とトングレールTLとの距離情報を検出する。
【0020】
距離センサS1は、予め、鉄道車両が基本レールL1を直進する場合(
図5(a))のトングレールTLから距離センサS1までの距離laを検出する。また、距離センサS1は、予め、鉄道車両が基本レールL1に対して右折して基本レールL2を走行する場合(
図5(b))のトングレールTLから近接センサS1までの距離lbを検出する。さらに、距離センサS1が検出した距離laから5mm離れた位置までの距離を閾値A、距離センサS1が検出した距離lbから5mm離れた位置までの距離を閾値Bとして設定する。なお、5mmの値は、任意で変更可能である。
【0021】
切替判定手段は、距離センサS1が検出した当該距離センサS1とトングレールTLとの距離情報と、閾値と、を比較することによりトングレールTLの切替状態を判定することができる。より具体的には、距離センサS1からトングレールTLの距離が2395mm~2400mmの間を閾値A、距離センサS1からトングレールTLの距離が2495mm~2500mmの間を閾値Bにあらかじめ設定する。距離センサS1により検出した距離が閾値Bの範囲内(2495mm~2500mmの間)の場合、切替判定手段は鉄道車両が基本レールL1に対して右折して基本レールL2を走行する場合(
図5(b))であると判定する。また、距離センサS1により検出した距離が閾値Aの範囲内(2395mm~2400mmの間)の場合、切替判定手段は鉄道車両が基本レールL1を直進する場合(
図5(a))であると判定する。
【0022】
図5に示した例では、センサが距離センサS1である場合の説明をしたが、これに限定されることなく、当該センサとトングレールTLとの距離情報をセンシングできるセンサであればよい。センサは、例えば、近接センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)形式のレーザセンサ、TOF(Time of Flight)形式のレーザセンサ、超音波センサである。
【0023】
すなわち、
図5に示すように、切替判定手段は距離センサS1が検出した当該距離センサS1とトングレールTLとの距離情報に基づいてトングレールTLの切替状態を判定する。このように、距離情報をセンシングできるセンサを用いることによって、大幅な設備変更が不要となり、低コストでトングレールTLの切替状態を判定することができる。
【0024】
続いて、
図6を参照しながら、接触センサを用いてトングレールの切替状態を判定する方法について説明する。
図6は、接触センサを用いてトングレールの切替状態を判定する模式図である。
図6において、矢印は鉄道車両の進行方向を示しており、図のy軸負方向からy軸正方向に向かって鉄道車両が進行する。
図6では、レールは、基本レールL1、基本レールL2、及びトングレールTLを含む。
図6(a)は鉄道車両が基本レールL1を直進する場合を示した図である。
図6(b)は鉄道車両が基本レールL1に対して右折して基本レールL2を走行する場合を示した図である。
図6(a)、
図6(b)に示した例では、接触センサS2はトングレールTLに設けられているが、これに限定されることはなく、基本レールL1に設けられてもよい。接触センサS2は、基本レールL1とトングレールTLとの接触情報を検出する。
【0025】
鉄道車両が基本レールL1を直進する場合(
図6(a))、基本レールL1とトングレールTLとが平行であり、基本レールL1とトングレールTLとが接触していない状態である。一方で、鉄道車両が基本レールL1に対して右折して基本レールL2を走行する場合(
図6(b))、基本レールL1に対してトングレールTLが傾いており、基本レールL1とトングレールTLとが接触している状態である。換言すると、鉄道車両が基本レールL1に対して右折して基本レールL2を走行する場合(
図6(b))、接触センサS2は基本レールL1とトングレールTLとが接触していることを検出する。
【0026】
切替判定手段は、接触センサS2により検出した基本レールL1とトングレールTLとの接触状態に基づいて、トングレールTLの切替状態を判定することができる。より具体的には、接触センサS2が基本レールL1とトングレールTLとが接触している状態を検出した場合、切替判定手段は鉄道車両が基本レールL1に対して右折する場合(
図6(b))であると判定する。また、接触センサS2が基本レールL1とトングレールTLとが接触していない状態を検出した場合、切替判定手段は鉄道車両がレールを直進する場合(
図6(a))であると判定する。
【0027】
図6に示した例では、センサが接触センサS2である場合の説明をしたが、これに限定されることなく、基本レールL1とトングレールTLとの接触情報をセンシングできるセンサであればよい。センサは、例えば、マイクロスイッチ、接触式変位センサ、マグネットスイッチである。
【0028】
すなわち、
図6に示すように、切替判定手段は接触センサが検出した基本レールL1とトングレールTLとの接触情報に基づいてトングレールTLの切替状態を判定する。このように、接触情報をセンシングできるセンサを用いることによって、大幅な設備変更が不要となり、低コストでトングレールTLの切替状態を判定することができる。
【0029】
図5(b)、及び
図6(b)では、鉄道車両が基本レールL1に対して右折して基本レールL2を走行する場合を例にして説明したが、鉄道車両がレールLに対して左折する場合でも同様に、実施形態2に係るレール監視システムはトングレールの切替状態を判定して表示する。
【0030】
このように、実施形態2に係るレール監視システムは、鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングした距離情報、又は接触情報に基づいて、トングレールの切替状態を判定して表示する。これにより、ユーザーが現地でトングレールの切替状態を確認することが不要となり、安全性を容易に確保できる。さらに、実施形態2に係るレール監視システムは、簡易な構成であるため、低コストで安全性を確保した鉄道車両の走行が可能となる。
【0031】
<実施形態3>
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態3について説明する。実施形態3に係るレール監視システムは、切替判定手段、表示手段を備える。実施形態3に係るレール監視システムにおける表示手段は、実施形態1に係るレール監視システム10における表示手段12と異なる。実施形態3に係るレール監視システムにおける切替判定手段は、実施形態1に係るレール監視システム10における切替判定手段11と同様であるため、説明を省略する。
【0032】
図7は、実施形態3に係るレール監視システムにおける表示手段を示した模式図である。表示手段32は、始点、終点、基本レールL、トングレールTL301~TL323を表示する。
図7に示した例では、始点からレールを走行した鉄道車両は、トングレールTL301~TL308の切替状態をたどることにより、終点1にたどり着く。
【0033】
表示手段32は、入力された鉄道レールの始点と終点とに基づいて、切り替えを必要とするトングレールを表示する。
図7に示した例では、終点として入力された終点6に基づいて、トングレールTL305とトングレールTL310とを表示する。このとき、トングレールTL301~トングレールTL308を表示している色と別の色を用いて、トングレールTL305とトングレールTL310とを表示してもよい。また、トングレールTL310の前後の基本レールL3と基本レールL4とを、TL305とトングレールTL310との色に合わせて表示してもよい。
すなわち、表示手段32は、鉄道車両が始点から終点6に向かって走行する際、切替をおこなうことが必要なトングレールTL305とトングレールTL310とを表示する。
【0034】
図7に示した例では、表示手段32は、トングレールTL305、トングレールTL310、基本レールL3、及び基本レールL4の表示を他のトングレールTL301~TL323(トングレールTL305、トングレールTL310は除く)と異なる色で表示してもよい。しかし、これに限定されず、例えば、レールを表示している線の太さ又は線種を変更して、目立させるように表示してもよい。
【0035】
このように、実施形態3に係るレール監視システムは、鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングした情報に基づいて、トングレールの切替状態を判定して表示する。このとき、始点と終点を入力することにより、切替をおこなうことが必要なトングレールを表示することができる。これにより、ユーザーがトングレールの切替状態を確認することが容易となり、容易に安全性を確保できる。さらに、実施形態3に係るレール監視システムは、簡易な構成であるため、低コストで安全性を確保した鉄道車両の走行が可能となる。
【0036】
<実施形態4>
次に、本開示の実施形態4について説明する。
図8は、実施形態4に係るレール監視システムの構成を示すブロック図である。実施形態4に係るレール監視システム40は、転轍機44、補助装置45、切替判定手段41、表示手段42、遠隔操作手段43を備える。切替判定手段41、及び表示手段42は、実施形態1に係る切替判定手段11、及び表示手段12と同様であるため説明を省略する。ここでは、転轍機44、補助装置45、遠隔操作手段43を説明する。
【0037】
転轍機44は、トングレールを定位又は反位に手動で転換させる。トングレールが定位の状態は、
図2(a)に示すように、鉄道車両が基本レールを直進する状態を示す。トングレールが反位の状態は、
図2(b)に示すように、鉄道車両が基本レールに対して右折する状態を示す。換言すると、転轍機44を用いることによって、トングレールを
図2(a)の状態から
図2(b)の状態又は
図2(b)の状態から
図2(a)の状態に手動で切替動作をおこなうことができる。
【0038】
図9を参照しながら、補助装置45について説明する。
図9は、転轍機に取り付けられた補助装置の斜視図である。
図9に示すように、補助装置45は、転轍器変換ユニット45Uと回動機構45Rとから構成されている。
【0039】
図9に示すように、転轍器変換ユニット45Uは、直方体形状を有する。転轍器変換ユニット45Uは、電動モータ(図示していない)とクラッチ(図示していない)とを備える。電動モータ―は、回動機構45Rを回転駆動させるための駆動源である。クラッチは、回動機構45Rと、転轍器変換ユニット45Uにおける電動モータと、を切り離し可能な部材である。
【0040】
図9に示すように、回動機構45Rは、長板状形状を有し、x軸から反時計回りに45度方向に延在している。回動機構45Rは、一方の端部が回動軸45cとなっており、もう一方の端部が保持部45sとなっている。保持部45sは、y軸負の方向に突出した凸部45saと凸部45sbとを有する。凸部45saと凸部45sbとの間には、転轍機44における操作レバー44Lを挟み込むことができる。すなわち、補助装置45における保持部45sが転轍機44における操作レバー44Lと連結され、転轍機44と補助装置45とが連結される。
【0041】
図9に示すように、回動機構45Rは、回動軸45c周りに回動することができる。操作レバー44Lは、回動機構45Rと連結されているため、回動機構45Rの動きに合わせて回動軸45c周りに回動することができる。このような構成により、回動機構45Rは転轍器変換ユニット45Uにおける電動モータの駆動力を操作レバー44Lに伝達できる。
【0042】
このように、補助装置45を転轍機44に取り付けることにより、補助装置45は転轍機がトングレールの切替動作をおこなうことを補助する。このとき、転轍機44は手動式転轍機から自動式転轍器へと変換する。したがって、トングレールにまで影響する大掛かりな変換作業を要せず、低コスト且つ迅速に手動転轍器を自動転轍器に変換することができる。
【0043】
続いて、
図8に示した遠隔操作手段43について説明する。遠隔操作手段43は、トングレールの切替動作指示信号を補助装置45に送信している。送受信方法は、有線でも無線ネットワークでも構わない。無線ネットワークは、例えば、LTEなどの通信回線規格を用いた無線通信網を含む。無線ネットワークは、無線LAN(Local Area Network)又は第5世代移動通信システムなどの無線通信網を含んでいてもよい。遠隔操作手段43と補助装置45とが長距離であることや間に障害物がある等が原因で電波が届かない場合、無線中継装置(図示していない)を介して通信をおこなってもよい。
【0044】
現場で鉄道のレール監視をするユーザーは、遠隔操作手段43を用いることによって、トングレールの切替状態を確認しながら、補助装置45を遠隔操作することができる。ここで、現場で鉄両のレール監視をするユーザーとは、例えば、トングレールの近くにいる保守員である。トングレールの切替操作が必要な際、現場で鉄道のレール監視をするユーザーは、分岐点P1の近くにいるが、直接分岐点P1におけるトングレールを見ることはできない。
【0045】
すなわち、遠隔操作手段43を用いることによって、ユーザーが遠隔にいながらも転轍機が動作してトングレールの切替をおこなうことができる。遠隔操作手段43は、表示手段42の端末に備えられてもよく、表示手段42の端末とは別の端末でもよい。また、補助装置45と表示手段42とでは、トングレールの切替状態を示す定位又は反位がI/O信号にてやり取りされてもよい。このとき、補助装置45は、補助装置45の内部にスイッチを設け、転轍機44の操作レバー44Lが倒れているか方向をスイッチの接触によって検知して、トングレールの切替状態を示す定位又は反位を間接的に把握する。このような構成により、転轍機44とトングレールとのリンク機構が破損しても、トングレールの定位又は反位の状態をセンサにより、転轍機44の状態を補助装置45によって別々に把握しているため、より安全性が実現される。
【0046】
遠隔操作手段43は、例えば、タブレット端末、PC(Personal Computer)端末である。その他の例として、遠隔操作手段43は、スマートウォッチなどのウェアラブル端末である。
【0047】
続いて、
図10を参照しながら、実施形態4に係るレール監視システム40の一例を説明する。
図10は、実施形態4に係るレール監視システムを示した模式図である。
図10に示すように、分岐点P1、P2、P3には、転轍機44と補助装置45とセンサS3、及び切替判定手段41とが設けられている。
図10に示した例では、鉄道車両TRが図のx軸負方向からx軸正方向へ進行する。
【0048】
ユーザーU1は、分岐点P1、P2、P3におけるトングレール(図示していない)の切替状態を、現場で表示手段42bを用いて監視する。
図10に示した例では、ユーザーU1の表示手段42bに遠隔操作手段43が備えられているとする。ユーザーU1は、分岐点P1、P2、P3の近くにいる保守員である。例えば、分岐点P1におけるトングレール(図示していない)の切替操作が必要な際、ユーザーU1は、分岐点P1の近くにいるが、直接分岐点P1におけるトングレールを見ることはできない。
また、ユーザーU2は、分岐点P1、P2、P3におけるトングレール(図示していない)の切替状態を、表示手段42aを用いて監視室OF1で監視する。
【0049】
続いて、
図10を参照しながら、実施形態4に係るレール監視システム40を用いてトングレールを切替える流れを説明する。
図10に示した例では、分岐点P2以降における鉄道車両TRの進行方向が、基本レールL5ではなく、基本レールL6であるとする。このとき、分岐点P2におけるトングレールを定位から反位に切替が必要であるとする。まず、分岐点P2におけるトングレール(図示していない)をセンサS3によりセンシングする。センシングした情報に基づいて、切替判定手段41が分岐点P2におけるトングレールの切替状態を判定する。切替判定手段41が判定した分岐点P2におけるトングレールの切替状態は、ユーザーU1の表示手段42b及びユーザーU2の表示手段42aに表示される。ユーザーU1は、表示手段42bに表示されたトングレールの切替状態を確認しながら、遠隔操作手段43により、補助装置45を遠隔操作する。このとき、遠隔操作された補助装置45は、転轍機44が分岐点P2におけるトングレールの切替状態を定位から反位に切替えるように補助する。そして、転轍機44が分岐点P2におけるトングレールを定位から反位に切替をおこなう。
【0050】
図10に示したように、ユーザーU1は遠隔にいながらも、表示手段42bに表示されたトングレールの切替状態を確認しながら、遠隔操作手段43を用いてトングレールを切替えることができる。
【0051】
ここで、ユーザーU2がユーザーU1同様にトングレールの切替操作ができる構成にすると、例えば、ユーザーU2とユーザーU1とが同時に遠隔操作して、トングレールの切替状態が元に戻る恐れがある。その他の例として、ユーザーU2がユーザーU1同様にトングレールの切替操作ができる構成にすると、ユーザーU1の操作直後にユーザーU2が操作してしまい、トングレールの切替状態が元に戻る恐れがある。そのため、
図10に示したユーザーU2がユーザーU1のおこなうトングレールの切替操作ができる構成にすると、安全性に欠ける。
【0052】
そのため、本実施形態では、表示手段42aには遠隔操作手段43は備えない。すなわち、ユーザーU1のみがトングレールの切替操作ができる。
しかし、ユーザーU1が操作できない緊急時に、ユーザーU2がトングレールの切替操作をおこなえる構成としてもよい。
【0053】
また、
図10におけるレール監視システム40は、切替判定手段41、センサS3、及び補助装置45に電源供給する制御盤(図示していない)を備えてもよい。また、制御盤は、遠隔操作手段43から補助装置45に送信された切替動作指示信号をI/O信号でやり取りしてもよい。
【0054】
このように、実施の形態4に係るレール監視システムは、鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングした情報に基づいて、トングレールの切替状態を判定して表示する。このとき、トングレールの切替状態を確認しながら、トングレールの切替操作を遠隔でおこなえる。これにより、ユーザーがトングレールの切替状態を確認することが容易となり、現場に行かなくてもトングレールの切替操作をすることができる。さらに、実施形態4に係るレール監視システムは、簡易な構成であるため、低コストで安全性を確保した鉄道車両の走行が可能となる。
【0055】
<実施形態5>
次に、本開示の実施形態5について説明する。実施形態5に係るレール監視システムの構成は、実施形態4における構成と同じであり、
図8に示すブロック図である。転轍機44、補助装置45、遠隔操作手段43は、実施形態4と同様であるため説明を省略する。ここでは、
図11を参照しながら、切替判定手段41について説明する。
図11は、実施形態5に係るレール監視システムを示した模式図である。
図10に示した実施形態5に係るレール監視システムを示した模式図と同様の符号を付している。
【0056】
切替判定手段41は、補助装置45の内部スイッチによって、転轍機44の操作レバー44Lが倒れている方向をスイッチの接触によって検知して、トングレールの切替状態を示す定位又は反位を判定する。
【0057】
続いて、
図11を参照しながら、実施形態5に係るレール監視システム50の一例を説明する。
図11に示すように、分岐点P1、P2、P3には、転轍機44、補助装置45、及び切替判定手段41が設けられている。
図11に示すように、レール監視システム50には、センサが設けられていない。
図11に示した例では、鉄道車両TRが図のx軸負方向からx軸正方向へ進行する。
【0058】
ユーザーU1は、分岐点P1、P2、P3におけるトングレール(図示していない)の切替状態を、現場で表示手段42bを用いて監視する。
図11に示した例では、ユーザーU1の表示手段42bに遠隔操作手段43が備えられているとする。ユーザーU1は、分岐点P1、P2、P3の近くにいる保守員である。例えば、分岐点P1におけるトングレール(図示していない)の切替操作が必要な際、ユーザーU1は、分岐点P1の近くにいるが、直接分岐点P1におけるトングレールを見ることはできない。
また、ユーザーU2は、分岐点P1、P2、P3におけるトングレール(図示していない)の切替状態を、表示手段42aを用いて監視室OF1で監視する。
【0059】
続いて、
図11を参照しながら、実施形態5に係るレール監視システム50を用いてトングレールを切替える流れを説明する。
図11に示した例では、分岐点P2以降における鉄道車両TRの進行方向が、基本レールL5ではなく、基本レールL6であるとする。このとき、分岐点P2におけるトングレールを定位から反位に切替が必要であるとする。まず、分岐点P2における補助装置45の内部スイッチによって転轍機44の操作レバー44Lが倒れている方向をスイッチの接触によって検知する。検知した情報に基づいて、切替判定手段41が分岐点P2におけるトングレールの切替状態を判定する。切替判定手段41が判定した分岐点P2におけるトングレールの切替状態は、ユーザーU1の表示手段42b及びユーザーU2の表示手段42bに表示される。ユーザーU1は、表示手段42bに表示されたトングレールの切替状態を確認しながら、遠隔操作手段43により、補助装置45を遠隔操作する。すなわち、遠隔操作手段43は、切替状態に応じたユーザーの操作によって、トングレールの切替動作指示信号を補助装置45に送信する。このとき、遠隔操作された補助装置45は、転轍機44が分岐点P2におけるトングレールの切替状態を定位から反位に切替えるように補助する。そして、転轍機44が分岐点P2におけるトングレールを定位から反位に切替をおこなう。
【0060】
図11に示したように、ユーザーU1は遠隔にいながらも、表示手段42bに表示されたトングレールの切替状態を確認しながら、遠隔操作手段43を用いてトングレールを切替えることができる。
【0061】
ここで、ユーザーU2がユーザーU1同様にトングレールの切替操作ができる構成にすると、例えば、ユーザーU2とユーザーU1とが同時に遠隔操作して、トングレールの切替状態が元に戻る恐れがある。その他の例として、ユーザーU2がユーザーU1同様にトングレールの切替操作ができる構成にすると、ユーザーU1の操作直後にユーザーU2が操作してしまい、トングレールの切替状態が元に戻る恐れがある。そのため、
図11に示したユーザーU2がユーザーU1のおこなうトングレールの切替操作ができる構成にすると、安全性に欠ける。
【0062】
そのため、本実施形態では、表示手段42aには遠隔操作手段43は備えない。すなわち、ユーザーU1のみがトングレールの切替操作ができる。
しかし、ユーザーU1が操作できない緊急時に、ユーザーU2がトングレールの切替操作をおこなえる構成としてもよい。
【0063】
また、
図11におけるレール監視システム40は、切替判定手段41、及び補助装置45に電源供給する制御盤(図示していない)を備えてもよい。また、制御盤は、遠隔操作手段43から補助装置45に送信された切替動作指示信号をI/O信号でやり取りしてもよい。
【0064】
このように、実施の形態5に係るレール監視システムは、鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールを補助装置45の内部スイッチによって転轍機44の操作レバー44Lが倒れている方向をスイッチの接触によって検知した情報に基づいて、トングレールの切替状態を判定して表示する。このとき、トングレールの切替状態を確認しながら、トングレールの切替操作を遠隔でおこなえる。これにより、ユーザーがトングレールの切替状態を確認することが容易となり、現場に行かなくてもトングレールの切替操作をすることができる。さらに、実施形態5に係るレール監視システムは、簡易な構成であるため、低コストで安全性を確保した鉄道車両の走行が可能となる。
【0065】
<実施形態6>
次に、本開示の実施形態6について説明する。
図12は、実施形態6に係るレール監視システムの構成を示すブロック図である。実施形態6に係るレール監視システム60は、転轍機54、補助装置55、切替判定手段51、表示手段52、遠隔操作手段53、撮像手段56、警告手段57を備える。転轍機54、補助装置55、切替判定手段51、遠隔操作手段53は、実施形態4に係る転轍機44、補助装置45、切替判定手段41、遠隔操作手段43と同様であるため説明を省略する。ここでは、表示手段52、撮像手段56、警告手段57を説明する。
【0066】
撮像手段56は、トングレールの切替状態を撮影する。撮像手段56が撮影した画像は表示手段52に送信される。送受信方法は、有線でも無線ネットワークでも構わない。無線ネットワークは、例えば、LTEなどの通信回線規格を用いた無線通信網を含む。無線ネットワークは、無線LAN(Local Area Network)又は第5世代移動通信システムなどの無線通信網を含んでいてもよい。これにより、ユーザーは遠隔でもトングレールの切替状態を表示手段52を介して確認できる。
【0067】
警告手段57は、切替判定手段51が判定した切替状態とトングレールが予め記憶された切替状態とが異なる場合に警告する。警告方法としては、テキスト形式による表示又は音である。警告手段57は、例えば、ブザーにより音を出す方法でもよく、表示手段42に警告メッセージを出す方法でもよい。警告手段57は、音を出すことに加えて、表示手段42に警告メッセージを出してもよい。
また、警告手段57は、表示手段52の端末に備えられてもよく、表示手段52の端末とは別の端末でもよい。
【0068】
表示手段52は、トングレールの切替状態に加えて、撮像手段56により撮像されたトングレールの切替状態をさらに表示する。
図13は、表示手段52bにより現場でレールを監視するユーザーに対して表示されたトングレールの切替状態を示す図である。ここで、現場で鉄道車両のレール監視をするユーザーとは、トングレールの近くにいる保守員である。トングレールの切替操作が必要な際、現場で鉄道車両のレール監視をするユーザーは、切替操作が必要なトングレールの近くにいるが、直接そのトングレールを見ることはできない。
【0069】
図13に示した例では、遠隔操作手段53は、表示手段52bに備えられているとする。
図13に示した例では、表示手段52bは、撮像手段56により撮像されたトングレールTL301~TL306の画像Iを表示している。また、
図13に示すように、表示手段52は、中央にTL301~TL306の画像Iのうちの一つを拡大してライブ画像とスナップショットとを表示してもよい。このとき、表示手段52は、カメラの取り付け状態を示すカメラ状態とカメラの撮像日時及び画像保存した日時とを合わせて表示してもよい。ここで、ライブ画像、スナップショット、カメラ状態、カメラの撮像日時及び画像保存した日時をカメラ情報と称する。
【0070】
図13に示すように、表示手段52bは、TL301~TL306の画像Iのうちの一つにおける、センサ情報m1を表示してもよい。センサ情報m1は、例えば、
図13に示すようにセンサの装着状態とトングレール切替状態とである。また、表示手段52は、TL301~TL306の画像Iのうちの一つにおける補助装置情報m2を表示してもよい。補助装置情報m2は、例えば、
図13に示すように補助装置55の装着状態とトングレール切替状態とである。さらに、表示手段52は、遠隔操作手段53を備えており補助装置操作m3を表示してもよい。補助装置操作m3には、
図13に示すようにトングレールの切替状態を示す定位と反位とが表示されている。例えば、ユーザーが補助装置操作m3を操作することにより、トングレールの切替状態を示す定位と反位との切替操作ができる。
【0071】
図13に示すように、現場でレールを監視するユーザーは、センサ情報m1及び補助装置状態m2におけるトングレールの切換情報と、ライブ画像におけるトングレールの切替状態と、が同じであることを確認して、確認ボタンB1を押す。また、
図13に示すように、表示手段52bは、画面を保存する画面保存ボタンB2、前の画面に戻るボタンB3を設けてもよい。
【0072】
図13に示すように、警告手段57(
図12参照)は異常があるときに、表示手段52bに警告メッセージを表示してもよい。例えば、警告手段57は、センサ又は補助装置の装着状態が異常である場合、表示手段52bに警告メッセージを表示してもよい。その他の例として、警告手段57は、切替判定手段が判定したトングレールの切替状態とトングレールが予め記憶された切替状態とが異なる場合、表示手段52bに警告メッセージを表示してもよい。
図13に示した例では、切替判定手段が判定したトングレールTL310の切替状態とトングレールTL310が予め記憶された切替状態とが異なるため、TL310が異常であることを警告している。
また、警告手段57は異常があるときに、監視室でレールを監視しているユーザーの表示手段52a(
図14参照)に警告メッセージを表示してもよい。
【0073】
ここで、
図13を参照しながら、現場でレールを監視するユーザーが遠隔操作をしてトングレールの切替操作おこなう一例を説明する。ここでは、表示手段52bが入力された鉄道レールの始点と終点とに基づいて、切り替えを必要とするトングレールを表示(
図7参照)した後を説明する。
【0074】
まず、
図13に示すように、表示手段52bは、撮像手段56により撮像されたトングレールを画像Iとして表示する。このとき、切替操作が必要なトングレールの画像Iを色つきの枠で囲ってもよい。
【0075】
次に、ユーザーが切替操作の必要なトングレールを選択して、表示手段52bはセンサ情報m1、補助装置情報m2、補助装置操作m3、及びカメラ情報を表示する。
次に、ユーザーはセンサ情報m1、補助装置情報m2、及びカメラ情報をみながら表示手段52bに表示された補助装置操作m3を操作して定位または反位を選択する。このとき、定位又は反位が選択されたら再確認のポップアップ表示をしてユーザーに確認を促してもよい。ここでは、ユーザーは反位を選択したとする。
【0076】
次に、転轍機54は、補助装置55によりトングレールを反位にする。
次に、転轍機54が切替操作を完了すると、補助装置55が表示手段52bに反位の情報を送信する。そのため、表示手段52bに表示された補助装置情報m2が反位であることを反映する。
次に、トングレールに設けられたセンサは、レールが反位に転換されたことを検出して、表示手段52bに反位の情報を送信する。そのため、表示手段52bに表示されたセンサ情報m1が定位から反位となる。
【0077】
次に、ユーザーは、表示手段52bに表示されたセンサ情報m1及び補助装置情報m2におけるトングレールの切替状態と、表示手段52bに表示されたカメラ情報におけるトングレールの切替状態と、が同じであることを確認して、確認ボタンB1を押す。
【0078】
ユーザーは、切替操作が必要なトングレールに対して同様の手順を繰り返す。
このように、ユーザーは、表示手段52bに表示された情報を基に、遠隔にいながらも遠隔操作してトングレールの切替をおこなうことができる。
なお、実施形態5の場合、表示手段52bにセンサ情報m1は表示されない。
【0079】
図14は、表示手段52aにより監視室でレールを監視しているユーザーに対して表示されたトングレールの切替状態を示す図である。
図14におけるトングレールTL301~323の切替状態は、
図7と同様であるため、説明を省略する。ここでは、画像I1、操作メッセージM1、及び警告メッセージM2について説明する。
【0080】
画像I1は、撮像手段56により取得した画像である。
図14に示した例では、画像I1がTL301である。表示手段52は、トングレールTL301~323のうちの一つにおける画像I1を表示する。
【0081】
操作メッセージM1は、現場でレールを監視しているユーザーが遠隔操作手段53を用いておこなったトングレールの切替操作を表したメッセージである。警告メッセージM2は、警告手段57による警告メッセージである。表示手段52aは、トングレールTL301~323に対する操作メッセージM1と警告メッセージM2を表示する。表示手段52aは、複数のトングレールに対する複数の操作メッセージM1を同時に表示してもよい。例えば、表示手段52aは、トングレールTL301に対する切替操作を表した操作メッセージM1とトングレールTL307に対する警告手段57による操作メッセージM1と、を同時に表示してもよい。表示手段52aは、複数のトングレールに対する複数の傾向メッセージM2を同時に表示してもよい。
【0082】
このように、表示手段52aは撮像手段56により取得した画像とトングレールTL301~323に関するメッセージを表示する。
【0083】
また、現場でレールを監視するユーザーには、
図13に示した表示手段52bに加えて、
図14に示した表示手段52aが表示されてもよい。
さらに、監視室でレールを監視するユーザーは、
図14に示した表示手段52aに加えて、
図13に示した表示手段52bが表示されてもよい。このとき、
図13に示した補助装置操作m3は表示されない方が好ましい。
【0084】
このように、実施形態6に係るレール監視システム60は、鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングした情報に基づいて、トングレールの切替状態を判定して表示する。このとき、トングレールの切替状態を画像も合わせて確認することができる。さらに、予め記憶されたトングレールの切替状態とが異なる場合に警告することもできる。これにより、ユーザーがトングレールの切替状態を確認することが容易となり、現場に行かなくても操作をすることができる。さらに、実施形態6に係るレール監視システム60は、簡易な構成であるため、低コストで安全性を確保した鉄道車両の走行が可能となる。
【0085】
図12に示した例では、実施形態6に係るレール監視システム60は、転轍機54、補助装置55、切替判定手段51、表示手段52、遠隔操作手段53、撮像手段56、警告手段57を備えるが、転轍機54と補助装置55と遠隔操作手段53とを含まなくてもよい。
また、
図12におけるレール監視システム60は、切替判定手段、補助装置45及び撮像手段56へ電源供給する制御盤(図示していない)を備えてもよい。
【0086】
また、上述した実施形態1~6に係るレール監視システムにおける処理の一部又は全部は、コンピュータプログラムとして実現可能である。このようなプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0087】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
鉄道車両が走行するレールにおいて、前記鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングしたセンシング情報に基づいて、前記トングレールの切替状態を判定する切替判定手段と、
前記トングレールの前記切替状態を表示する表示手段と、
を備えるレール監視システム。
(付記2)
前記センシング情報は、距離センサが検出した当該距離センサと前記トングレールとの距離情報である、
付記1に記載のレール監視システム。
(付記3)
前記センシング情報は、接触センサが検出した基本レールと前記トングレールとの距離情報である、
付記1に記載のレール監視システム。
(付記4)
前記表示手段は、入力された鉄道レールの始点と終点とに基づいて、切替を必要とする前記トングレールを表示する、
付記1乃至3のいずれか1項に記載のレール監視システム。
(付記5)
転轍機と、
前記転轍機が前記トングレールの切替動作をおこなうことを補助する補助装置と、
前記トングレールの切替動作指示信号を前記補助装置に送信する遠隔操作手段と、
付記1乃至3のいずれか1項に記載のレール監視システム。
(付記6)
撮像手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記撮像手段により撮像された前記トングレールの前記切替状態をさらに表示する、
付記1乃至3のいずれか1項に記載のレール監視システム。
(付記7)
前記切替判定手段が判定した前記トングレールの前記切替状態と前記トングレールが予め記憶された切替状態とが異なる場合に警告する警告手段をさらに備えた、
付記1乃至3のいずれか1項に記載のレール監視システム。
(付記8)
鉄道車両が走行するレールにおいて、前記鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングしたセンシング情報に基づいて、前記トングレールの切替状態を判定し、
前記トングレールの前記切替状態を表示する、
処理をコンピュータが実行する、
レール監視方法。
(付記9)
前記センシング情報は、距離センサが検出した当該距離センサと前記トングレールとの距離情報である、
付記8に記載のレール監視方法。
(付記10)
前記センシング情報は、接触センサが検出した基本レールと前記トングレールとの接触情報である、
付記8に記載のレール監視方法。
(付記11)
入力された鉄道レールの始点と終点とに基づいて、切替を必要とする前記トングレールをさらに表示する、
処理をコンピュータが実行する、
付記8乃至10のいずれか1項に記載のレール監視方法。
(付記12)
遠隔操作手段が前記トングレールの切替動作指示信号を、転轍機が前記トングレールの切替動作をおこなうことを補助する補助装置に送信し、前記補助装置を遠隔操作する、
処理をさらにコンピュータが実行する、
付記8乃至10のいずれか1項に記載のレール監視方法。
(付記13)
撮像された前記トングレールの前記切替状態をさらに表示する、
処理をコンピュータが実行する、
付記8乃至10のいずれか1項に記載のレール監視方法。
(付記14)
判定された前記トングレールの前記切替状態と前記トングレールが予め記憶された切替状態とが異なる場合に警告する、
処理をさらにコンピュータが実行する、
付記8乃至10のいずれか1項に記載のレール監視方法。
(付記15)
鉄道車両が走行するレールにおいて、前記鉄道車両の走行方向を切り替えるトングレールをセンシングしたセンシング情報に基づいて、前記トングレールの切替状態を判定し、
前記トングレールの前記切替状態を表示する、
処理をコンピュータに実行させる、
レール監視プログラム。
(付記16)
前記センシング情報は、距離センサが検出した当該距離センサと前記トングレールとの距離情報である、
付記15に記載のレール監視プログラム。
(付記17)
前記センシング情報は、接触センサが検出した基本レールと前記トングレールとの接触情報である、
付記15に記載のレール監視プログラム。
(付記18)
入力された鉄道レールの始点と終点とに基づいて、切替を必要とする前記トングレールをさらに表示する、
処理をコンピュータに実行させる、
付記15乃至17のいずれか1項に記載のレール監視プログラム。
(付記19)
遠隔操作手段が前記トングレールの切替動作指示信号を、転轍機が前記トングレールの切替動作をおこなうことを補助する補助装置に送信し、前記補助装置を遠隔操作する、
処理をさらにコンピュータに実行させる、
付記15乃至17のいずれか1項に記載のレール監視プログラム。
(付記20)
撮像された前記トングレールの前記切替状態をさらに表示する、
処理をコンピュータに実行させる、
付記15乃至17のいずれか1項に記載のレール監視プログラム。
(付記21)
判定された前記トングレールの前記切替状態と前記トングレールが予め記憶された切替状態とが異なる場合に警告する、
処理をさらにコンピュータに実行させる、
付記15乃至17のいずれか1項に記載のレール監視プログラム。
(付記22)
転轍機と、
前記転轍機がトングレールの切替動作をおこなうことを補助する補助装置と、
前記補助装置の内部スイッチにより前記転轍機の操作レバーが倒れている方向を検知して前記トングレールの切替状態を判定する切替判定手段と、
前記トングレールの前記切替状態を表示する表示手段と、
前記切替状態に応じたユーザーの操作によって前記トングレールの切替動作指示信号を前記補助装置に送信する遠隔操作手段と、
を備えるレール監視システム。
(付記23)
前記表示手段は、入力された鉄道レールの始点と終点とに基づいて、切替を必要とする前記トングレールを表示する、
付記22に記載のレール監視システム。
(付記24)
撮像手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記撮像手段により撮像された前記トングレールの前記切替状態をさらに表示する、
付記22に記載のレール監視システム。
(付記25)
前記切替判定手段が判定した前記トングレールの前記切替状態と前記トングレールが予め記憶された切替状態とが異なる場合に警告する警告手段をさらに備えた、
付記22乃至24のいずれか1項に記載のレール監視システム。
【符号の説明】
【0088】
10、40、50、60 レール監視システム
11、41、51 切替判定手段
12、32、42、42a、42b、52、52a、52b 表示手段
43、53 遠隔操作手段
44、54 転轍機
44L 操作レバー
45、55 補助装置
45c 回動軸
45R 回動機構
45s 保持部
45sa、45sb 凸部
45U 転轍器変換ユニット
56 撮像手段
57 警告手段
B1 確認ボタン
B2 画像保存ボタン
B3 戻るボタン
I、I1 画像
la、lb 距離
L、L1、L2、L3、L4、L5、L6 基本レール
M1 操作メッセージ
M2 警告メッセージ
m1 センサ情報
m2 補助装置情報
m3 補助装置操作
OF1 監視室
P1、P2、P3 分岐点
S1 距離センサ
S2 接触センサ
S3 センサ
TL、TL301~TL323 トングレール
TR 鉄道車両
U1、U2 ユーザー