(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077935
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】ベルト付き胸当てエプロン
(51)【国際特許分類】
A41D 13/04 20060101AFI20240603BHJP
A41D 13/12 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
A41D13/04
A41D13/12 136
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190183
(22)【出願日】2022-11-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】503067546
【氏名又は名称】角住 由美
(72)【発明者】
【氏名】角住 由美
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA02
3B011AB08
3B211AA02
3B211AB08
(57)【要約】
【課題】松葉杖の使用において、腕を上げても松葉杖が地面に落下せず、1人で階段の昇降ができ、荷物の持ち運びができるようになる、ベルト付き胸当てエプロンを提供する。
【解決手段】付属品のベルトからなる、ベルト付きの胸当てエプロンであって、
左右側縁部を二次放物線状の弓型になした胸を覆う胸当て部1と、胸当て部1の下に延設された胴体覆い部2からなり、エプロンの胸当て部1左右横に連結具4を有したベルト5を設け、両肩紐3に連結具16を有したベルト17を設け、エプロン裾の両端に連結具18を有したベルト19を設け、エプロン前面にポケット7を設け、
付属品の面ファスナーがついているベルト8には、一体になっている腋当て下方に延在するベルト9を設け、その先端に連結具10を設けたことを特徴とする、ベルト付き胸当てエプロン。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付属品のベルトからなる、ベルト付きの胸当てエプロンであって、
左右側縁部を二次放物線状の弓型になした胸を覆う胸当て部1と、胸当て部1の下に延設された胴体覆い部2からなり、エプロンの胸当て部1左右横に連結具4を有したベルト5を設け、両肩紐3に連結具16を有したベルト17を設け、エプロン裾の両端に連結具18を有したベルト19を設け、エプロン前面にポケット7を設け、付属品の面ファスナーがついているベルト8には、一体になっている腋当て下方に延在するベルト9を設け、その先端に連結具10を設けたことを特徴とする、ベルト付き胸当てエプロン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、松葉杖と胸当てエプロンを連結するベルトが付いた、エプロンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
松葉杖とは、足の不自由な人が足への負担を軽減して歩行できるよう、腋の下に入れて、グリップを掴んで歩行する補助器具である。松葉杖を使用中に、棚から物を取ったり、洗濯物を取り込んだり、リュックサックから物を出したりと、腕を上げて使用する場合には、片手または両手を松葉杖から離さなければならず、その際松葉杖が地面に落下したり、松葉杖が倒れないように不安定な体勢をとらなければならなかった。常に松葉杖が倒れないように両手で掴んでいなければならない状況は、松葉杖使用者の日常生活にとって大変不便な事である。松葉杖を使用する人は足になんらかの障害を持つ人が多く、誤って松葉杖を倒してしまうと拾うことが困難であり、不安定な体勢は事故や怪我を招く恐れがあり大変危険であった。
【0003】
松葉杖での階段の昇降は、安全の為手すりを掴む事を推奨とされているが、そうした場合、片方の松葉杖を運ぶ手段が問題となっていた。介助者がいない場合は、通行人に頼むか、無理やり2本の松葉杖を持ちながら使用するか、階段の使用を諦めるか、手すりを使わず昇降するなど、困難や危険を伴っていた。
【0004】
松葉杖を使用して歩行する状況では、松葉杖のグリップを掴んで使用するため、両手がふさがってしまい荷物の持ち運びが困難であった。仮にビニール袋や手提げ袋などの軽量な荷物を手の平に引っ掛けて持ち運びができたとしても、松葉杖を動かすたびに袋が大幅に揺れてしまうことで歩行の邪魔となり、頻繁に荷物の落下を招き不安定な動作になっていた。病院で書類やレントゲン写真など、重量は軽いが折ってはならない物を渡される場面も多く、曲げずに持ち運ぶ事に苦労を強いられていた。洗面や入浴で使用する着替えやタオルの持ち運びや、洗濯物の取り込みなど、嵩張る布物も、持ち運びが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【0006】
【0007】
【特許文献3】仏国特許出願公開第2905852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、松葉杖の使用には次のような欠点があった。
(イ)腕を上げると、松葉杖が腋から離れてしまい地面に落下することがあった。
(ロ)一人では、階段の昇降が困難であった。
(ハ)松葉杖を使用すると両手がふさがり、荷物を運ぶ事が困難であった。
この課題は、以下のベルト付き胸当てエプロンにより解決される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
付属品のベルトからなる、ベルト付きの胸当てエプロンであって、
左右側縁部を二次放物線状の弓型になした胸を覆う胸当て部1と、胸当て部1の下に延設された胴体覆い部2からなり、エプロンの胸当て部1左右横に連結具4を有したベルト5を設け、両肩紐3に連結具16を有したベルト17を設け、エプロン裾の両端に連結具18を有したベルト19を設け、エプロン前面にポケット7を設け、
付属品の面ファスナーがついているベルト8には、一体になっている腋当て下方に延在するベルト9を設け、その先端に連結具10を設けたことを特徴とする、ベルト付き胸当てエプロン。
【発明の効果】
【0010】
本発明のベルト付き胸当てエプロンは、エプロン胸当て部1左右横のベルトに有した連結具4と、松葉杖に装着した付属品のベルトに有した連結具10とを嵌合することで、松葉杖が腋下で釣支され、松葉杖の落下を防ぐことができる。エプロン胸当て部1左右横の連結具4と連結具10に釣支した状態から、歩行する為に松葉杖の腋当て12を腋下のポジションに戻す場合も、姿勢を崩さなくても容易に戻す事ができ、すぐに歩行が可能である。
【0011】
上記エプロン胸当て部1左右横の連結具4と連結具10に嵌合・釣支した状態の時に、片方のエプロン裾の連結具18を、松葉杖のY字脚空間部分14に通し、胴体覆い部2をくぐらせて持ち上げ、上方にあるエプロン肩紐連結具16に嵌合・釣支すると、松葉杖を床から浮かせて保持することができる。これにより、エプロンと松葉杖が一体となる為、片方の松葉杖を手で持たなくてもよくなり、空いた手で手すりを掴まりながら松葉杖を使用する事ができ、安全な階段の昇降が可能となる。昇る時は松葉杖の腋当て12の向きを身体より前にして、降りる時は腋当て12の向きを身体の後ろにして、片方のエプロン裾の連結具18を、松葉杖のY字脚空間部分14に通し、胴体覆い部2をくぐらせて持ち上げ、上方にあるエプロン肩紐連結具16に嵌合をする。釣支された松葉杖は階段の角度と同じような角度がつくことで、ゴム底15が階段に当たらず昇降が可能となる。昇降後は、ワンタッチで連結具16と連結具18を外し、すぐに松葉杖を使用した歩行が可能となり、介助者がいなくても、安全に手すりを捕まりながら1人で階段の昇降ができるようになる。
【0012】
エプロン前面にはポケット7があり、松葉杖を使用しながら容易に荷物の持ち運びが出来るようになる。また、エプロン両裾連結具18をそれぞれ上方に持ち上げ、両肩紐3に有する連結具16と嵌合させると、エプロン胴体覆い部2が2つ折りのようになり、簡易的な大きなポケットを作る事ができる。
【0013】
本発明は、服の上から着用するため脱着も容易で、季節を問わず、エプロンの特性でもあるフリーサイズで万人の使用が可能となる。ベルトがついている以外は一般的な胸当てエプロンである為、抵抗なく
気軽に使用する事ができ、足が治癒した後も普段使いのエプロンとして継続して使用が可能である。本発明を使用することによって、松葉杖の落下の心配がなくなり、手すりを捕まりながら階段の昇降が可能となり、多様な荷物を運ぶ事ができるようになり、松葉杖利用者の日常生活(家事・通院・職場・学校等)における制限を大きく軽減する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】付属品のベルトの俯瞰図と、ベルトを垂直に垂らした状態(T字型)の側面図である。
【
図4】付属品のベルトを松葉杖の腋当てに装着した図と、装着説明の拡大図である。
【
図6】階段を下りる為に、松葉杖を斜めに釣支している斜視図である。
【
図7】階段を上る為に、松葉杖を斜めに釣支している斜視図である。
【
図9】本発明の他の実施形態 胸当てエプロンX型(たすき掛け型)の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を
図1によって説明する。
図1は松葉杖とエプロンの連結前の正面図である。
【実施例0016】
左右側縁部を二次放物線状の弓型になした胸を覆う胸当て部1と、胸当て部1の下に延設された胴体覆い部2がある、一般的に言われている胸当てエプロンであり、エプロンの胸当て部1左右横に連結具凹4を有したベルト5を設けている。
付属品の面ファスナーがついているベルト8には、一体になっている腋当て下方に延在するベルト9を有し、その先端には連結具凸10が設けられており、
付属品の面ファスナーがついているベルト8を左右2本の松葉杖の腋当て12に包み込むように装着している。
エプロン肩紐左右に連結具凹16を有したベルト17を設け、エプロン裾裏両端に連結具凸18を有したベルト19を設ける。エプロン裾右側連結具凸18を有したベルト19の点線囲み部分は裏側にあると言う意味であり、エプロン裾左側連結具凸18を有したベルト19のように、右側も裾をめくると連結具凸18が現われる。エプロン裾裏側に設けたのは、見た目がスッキリとしたデザイン性からの事であって、裾前面や裾下にあっても可能とする。
胸当て部1の下に延設された胴体覆い部2には、雑誌や書類、ノートパソコンも入る大きさの、大ポケット7があり、その中には、診察券や携帯電話を入れるのに便利な内ポケット6を設けている。大ポケット7は上部のみ縫製20され、両サイドと底面は胴体覆い部2に縫製しておらず、袋状の形になっている。
連結具は、連結具凹4と連結具凸10、連結具凹16と連結具凸18とを備える所謂バックルと称されるものであり、各々、嵌合及び離脱させることによりワンタッチで着脱ができるものであって、連結具凹と連結具凸は各々が逆に設置してもよいとする。連結具はバックルのみならず、図示は省略するが、例えばボタン留めや面ファスナー留めなどにしてもよいとする。
【0017】
本発明の実施形態を
図2によって説明する。
図2は、松葉杖とエプロンの連結後の正面図である。
上記エプロンの連結具凹4と松葉杖に装着した連結具凸10とを嵌合し、松葉杖をエプロン胸当て部1左右横で釣支することで、腕を上げても松葉杖が地面に落下しない。エプロン胸当て部1左右横の嵌合した連結具凹4と連結具凸10に釣支している時は、松葉杖の重さは、胸当て全体に重さが分散されるので、肩や首に直接荷重されることなく、体に大きな負担がかかる事はない。ベルト9は、調整器具11で長さを変える事ができ、腋下に若干のたるみがある状態にすることで、松葉杖の使用に支障はなく、普段通りの松葉杖での歩行ができる。椅子などに着席する時など、松葉杖を腋から離さなければならない場合は、ワンタッチで連結具凹4と連結具凸10の離脱ができるので、容易に松葉杖を離して置くことができる。
【0018】
本発明の実施形態を
図3によって説明する。
図3は、付属品のベルトの俯瞰図と、ベルトを垂直に垂らした状態(T字型)の側面図である。
付属品のベルトは、面ファスナー8が設けられ、中央部に下方に延在するベルト9が一体化されている。面ファスナーのベルト8の両端を水平に持ち、下方に延在するベルト9を下向きにした時、T字型になるような形である。下方に延在するベルト9の先端には、連結具凸10が設けられている。下方に延在するベルト9には、調整器具11が設けられており、ベルトの長さの調節が可能である。
【0019】
本発明の実施形態を
図4によって説明する。
図4は、付属品のベルトを松葉杖の腋当てに装着した図と、装着説明の拡大図である。
松葉杖は、腋の下から地面までの長さのある杖で、松葉のように上方へ向かって二又に分かれたY字脚のもので、上部に腋当て12と中間にグリップ13、その下にY字脚空間部分14、下部にゴム底15があり、体重を支え下肢に直接体重をかけないようにし、歩行には腕を使って杖を操作する一般的な松葉杖とする。松葉杖の腋当て12に、面ファスナーのベルト8を包み込んで巻き付け、下方に延在するベルト9を下に垂らす様に装着する。
【0020】
本発明の実施形態を
図5によって説明する。
図5は、松葉杖とエプロンの連結後の背面図である。
肩甲骨付近に肩紐のずれを防止する紐22がある、一般的な胸当てエプロンH型と言われるデザインである。後ろ留め紐21を蝶々結びにし、エプロンを体に固定する。後ろ留め紐21は、図示は省略するが、例えばボタン留めや面ファスナー留めなどにしてもよいとする。
【0021】
本発明の実施形態を
図6によって説明する。
図6は、階段を下りる為に松葉杖を斜めに釣支している斜視図である。
エプロン胸当て部1左右横の連結具凹4と連結具凸10とを嵌合・釣支した状態の時に、片方のエプロン裾裏の連結具凸18を、松葉杖のY字脚空間部分14に通し、胴体覆い部2をくぐらせて持ち上げ、上方にあるエプロン肩紐連結具凹16に嵌合すると、松葉杖を床から浮かせ釣支する事ができる。腋当て12の向きを身体より後ろ側にして、松葉杖のゴム底15を前方に向けると階段と同様の角度がつき、松葉杖が階段にぶつからず、空いた手で手すりを持ちながら階段を下りる事ができる。大ポケット7は、上部のみエプロンに縫製20され袋状の形になっており、エプロンの裾を持ち上げても、大ポケット7は裾の引っ張りに影響されず、併せてクリアホルダー等を使用すれば、書類が縒れることなく持ち運ぶ事ができる。
【0022】
本発明の実施形態を
図7によって説明する。階段を上る為に松葉杖を斜めに釣支している斜視図である。
連結具の嵌合と大ポケット7の実施形態は上記と同様で、階段を上る場合は、腋当て12の向きを身体より前方にし、松葉杖のゴム底15を後方に向け、角度をつけることで松葉杖が階段にぶつからず、空いた手で手すりを持ちながら階段を上る事ができる。
【0023】
本発明の実施形態を
図8によって説明する。
図8は、簡易的な大きなポケットの正面図である。
エプロン両裾連結具凸18をそれぞれ上方に持ち上げ、両肩紐3にある連結具凹16と嵌合させると、エプロン胴体覆い部2が2つ折りのようになり、簡易的な大きなポケットを作る事ができる。着替えやバスタオルを入れて運んだり、洗濯物の取り込みの時に使用したりと、嵩張る衣類などを運ぶのに便利なポケットとなる。
【0024】
本発明の他の実施形態を
図9によって説明する。
図9は、胸当てエプロンX型(たすき掛け型)の背面図である。
上記実施形態の胸当てエプロンはH型と言われるものであるが、X型(たすき掛け型)でもよい。肩掛け紐3が長いデザインで、肩掛け紐3を肩から背面に垂らし、背中中央でクロスさせ、腰部左右にあるループに通し、蝶々結びに留める。H型エプロンは肩紐ずれ防止紐22を有していたが、X型はクロスしている箇所が肩紐ずれ防止22と同様の作用となる。背中のデザインは違っているものの、前面は同じで、エプロンと身体を固定させて使用するという構成は同じであり、本発明の形状にすることも考えられる。
本発明のベルト付き胸当てエプロンは、エプロン胸当て部1左右横のベルトに有した連結具4と、松葉杖に装着した付属品のベルトに有した連結具10とを嵌合することで、松葉杖が腋下で釣支され、松葉杖の落下を防ぐことができる。エプロン胸当て部1左右横の連結具4と連結具10に釣支した状態から、歩行する為に松葉杖の腋当て12を腋下のポジションに戻す場合も、姿勢を崩さなくても容易に戻す事ができ、すぐに歩行が可能である。