(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077940
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】駆動基板、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
B41J2/14 611
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190194
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関谷 寧人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 憲右
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊顕
(72)【発明者】
【氏名】川本 俊司
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AG81
2C057AG91
2C057AK07
2C057AK09
2C057AK10
(57)【要約】
【課題】印刷品質を向上させることが可能な駆動基板等を提供する。
【解決手段】本開示の一実施の形態に係る駆動基板は、複数のノズルを有する液体噴射ヘッドに適用する駆動信号を出力する基板であって、基板面上に実装されており、ノズルから液体を噴射させるための駆動信号を生成する1または複数の駆動デバイスと、この駆動デバイスの実装領域内において駆動デバイスの長手方向に沿って延在しており、所定の定電位が印加された1または複数の定電位配線と、を備えている。上記駆動デバイスは、上記長手方向に沿って互いに異なる位置に配置されており、駆動信号を個別に出力する複数の出力端子と、上記長手方向に沿って配置されており、同一の定電位が印加された定電位配線に対して電気的に接続された3箇所以上の定電位端子と、を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有する液体噴射ヘッドに適用する駆動信号を出力する基板であって、
基板面上に実装されており、前記ノズルから液体を噴射させるための前記駆動信号を生成する、1または複数の駆動デバイスと、
前記駆動デバイスの実装領域内において前記駆動デバイスの長手方向に沿って延在しており、所定の定電位が印加された、1または複数の定電位配線と
を備え、
前記駆動デバイスは、
前記長手方向に沿って配置されており、前記駆動信号を個別に出力する、複数の出力端子と、
前記長手方向に沿って互いに異なる位置に配置されており、同一の前記定電位が印加された前記定電位配線に対して電気的に接続された、3箇所以上の定電位端子と
を有する駆動基板。
【請求項2】
前記駆動デバイスは、前記長手方向に沿って、一対の端部領域と、前記一対の端部領域の間に位置する中央領域と、を有しており、
前記一対の端部領域および前記中央領域の各領域内に、前記定電位端子が配置されている
請求項1に記載の駆動基板。
【請求項3】
前記中央領域内に、複数の前記定電位端子が配置されている
請求項2に記載の駆動基板。
【請求項4】
前記駆動デバイスの前記長手方向に沿って、前記3箇所以上の定電位端子が、均等配置されている
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の駆動基板。
【請求項5】
前記定電位配線が、
前記定電位としての電源電位が印加されている、1または複数の電源配線と、
前記定電位としてのグランド電位が印加されているグランド配線と
を含んでおり、
前記電源配線に対して電気的に接続された前記3箇所以上の定電位端子としての、3箇所以上の電源端子と、
前記グランド配線に対して電気的に接続された前記3箇所以上の定電位端子としての、3箇所以上のグランド端子と、
のうちの少なくとも一方が、設けられている
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の駆動基板。
【請求項6】
複数の前記電源配線および前記グランド配線に対して、前記3箇所以上の電源端子および前記3箇所以上のグランド端子が、それぞれ設けられている
請求項5に記載の駆動基板。
【請求項7】
前記駆動デバイスが、前記基板面上にフリップチップ実装されている
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の駆動基板。
【請求項8】
複数の前記駆動デバイスが、前記基板面上において前記長手方向に沿って、並んで配置されている
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の駆動基板。
【請求項9】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の駆動基板と、
前記駆動基板から出力される前記駆動信号に基づいて前記液体を噴射する、前記複数のノズルを有する噴射部と
を備えた液体噴射ヘッド。
【請求項10】
請求項9に記載の液体噴射ヘッドを備えた
液体噴射記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動基板、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドを備えた液体噴射記録装置が様々な分野に利用されており、液体噴射ヘッドとしては、各種方式のものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような液体噴射ヘッドでは一般に、印刷の際の印刷品質を向上させることが求められている。印刷品質を向上させることが可能な、駆動基板、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係る駆動基板は、複数のノズルを有する液体噴射ヘッドに適用する駆動信号を出力する基板であって、基板面上に実装されており、ノズルから液体を噴射させるための駆動信号を生成する1または複数の駆動デバイスと、この駆動デバイスの実装領域内において駆動デバイスの長手方向に沿って延在しており、所定の定電位が印加された1または複数の定電位配線と、を備えたものである。上記駆動デバイスは、上記長手方向に沿って配置されており、駆動信号を個別に出力する複数の出力端子と、上記長手方向に沿って互いに異なる位置に配置されており、同一の定電位が印加された定電位配線に対して電気的に接続された3箇所以上の定電位端子と、を有している。
【0006】
本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドは、上記本開示の一実施の形態に係る駆動基板と、この駆動基板から出力される駆動信号に基づいて液体を噴射する複数のノズルを有する噴射部と、を備えたものである。
【0007】
本開示の一実施の形態に係る液体噴射記録装置は、上記本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施の形態に係る駆動基板、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置によれば、印刷品質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係る液体噴射記録装置の概略構成例を表すブロック図である。
【
図2】
図1に示した液体噴射ヘッドの概略構成例を模式的に表す平面図である。
【
図3】
図2に示した駆動デバイスの詳細構成例を模式的に表すブロック図である。
【
図4】
図2に示した駆動基板の概略構成例を模式的に表す平面図である。
【
図5】
図4中に示したV-V線に沿った断面構成例を模式的に表す図である。
【
図6】変形例1-1に係る駆動基板の概略構成例を模式的に表す平面図である。
【
図7】変形例1-2に係る駆動基板の概略構成例を模式的に表す平面図である。
【
図8】変形例1-3に係る駆動基板の概略構成例を模式的に表す平面図である。
【
図9】第2の実施の形態に係る液体噴射ヘッドの概略構成例を模式的に表す平面図である。
【
図10】
図9に示した駆動基板の概略構成例を模式的に表す平面図である。
【
図11】
図10中に示したXI-XI線に沿った断面構成例を模式的に表す図である。
【
図12】変形例2に係る駆動基板の概略構成例を模式的に表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(フリップチップ実装、3箇所以上のグランド端子の場合の例)
2.第1の実施の形態の変形例
変形例1-1(3箇所以上の電源端子と3箇所以上のグランド端子との場合の例)
変形例1-2(複数の電源配線が設けられている場合の例)
変形例1-3(3箇所以上の電源端子の場合の例)
3.第2の実施の形態(ワイヤボンディング実装、3箇所以上のグランド端子の場合の例)
4.第2の実施の形態の変形例
変形例2(3箇所以上の電源端子と3箇所以上のグランド端子との場合の例)
5.その他の変形例
【0011】
<1.第1の実施の形態>
[プリンタ5の概略構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る液体噴射記録装置としてのプリンタ5の概略構成例を、ブロック図で表したものである。なお、本明細書の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0012】
プリンタ5は、後述するインク9を利用して、被記録媒体(例えば、
図1中に示した記録紙P)に対し、画像や文字等の記録(印刷)を行うインクジェットプリンタである。このプリンタ5は、
図1に示したように、インクジェットヘッド1および印刷制御部2を主に備えている。
【0013】
なお、インクジェットヘッド1は、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応し、プリンタ5は、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例に対応している。また、インク9は、本開示における「液体」の一具体例に対応している。
【0014】
(A.印刷制御部2)
印刷制御部2は、インクジェットヘッド1に対して、各種の情報(データ)を供給するものである。具体的には
図1に示したように、印刷制御部2は、インクジェットヘッド1内(後述する駆動デバイス41等)に対してそれぞれ、印刷制御信号Scを供給するようになっている。
【0015】
なお、この印刷制御信号Scには、例えば、画像データ、吐出タイミング信号、および、インクジェットヘッド1を動作させるための電源電圧等が、含まれるようになっている。
【0016】
(B.インクジェットヘッド1)
インクジェットヘッド1は、
図1中の破線の矢印で示したように、後述する複数のノズル孔Hnから記録紙Pに対して液滴状のインク9を噴射(吐出)して、画像や文字等の記録を行うヘッドである。このインクジェットヘッド1は、
図1に示したように、1つの噴射部11と、1つのI/F(インターフェース)基板12と、1つの駆動基板13とを、備えている。
【0017】
(B-1.噴射部11)
噴射部11は、
図1に示したように、複数のノズル孔Hnを有しており、これらのノズル孔Hnからインク9を噴射する部分である。このようなインク9の噴射は、駆動基板13上の後述する駆動デバイス41から出力される駆動信号Sd(駆動電圧Vd)に基づいて、行われるようになっている(
図1参照)。
【0018】
このような噴射部11は、
図1に示したように、アクチュエータプレート111およびノズルプレート112を含んで構成されている。なお、この噴射部11(アクチュエータプレート111)に対するインク9の供給は、例えば、プリンタ5内のインクタンク(
図1中に図示せず)から、インク供給管を介して行われるようになっている。
【0019】
(ノズルプレート112)
ノズルプレート112は、ポリイミド等のフィルム材または金属材料により構成されたプレートであり、
図1に示したように、上記した複数のノズル孔Hnを有している。これらのノズル孔Hnは、所定の間隔をおいて並んで形成されており、例えば円形状となっている。なお、このような複数のノズル孔Hnはそれぞれ、本開示における「ノズル」の一具体例に対応している。
【0020】
(アクチュエータプレート111)
アクチュエータプレート111は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料により構成されたプレートである。ただし、このようなプレート(板状)のアクチュエータには限られず、他の形状のアクチュエータであってもよい。このアクチュエータプレート111には、複数のチャネル(圧力室)が設けられている。これらのチャネルは、インク9に対して圧力を印加するための部分であり、所定の間隔をおいて互いに平行となるよう、並んで配置されている。各チャネルは、圧電体からなる駆動壁(不図示)によってそれぞれ画成されており、断面視にて凹状の溝部となっている。
【0021】
このようなチャネルには、インク9を吐出させるための吐出チャネルと、インク9を吐出させないダミーチャネル(非吐出チャネル)とが、存在している。言い換えると、吐出チャネルにはインク9が充填される一方、ダミーチャネルにはインク9が充填されないようになっている。なお、各吐出チャネルに対するインク9の充填は、例えば、そのような各吐出チャネルに共通して連通する流路(共通流路)を介して、行われるようになっている。また、各吐出チャネルは、ノズルプレート112におけるノズル孔Hnと個別に連通している一方、各ダミーチャネルは、ノズル孔Hnには連通しないようになっている。これらの吐出チャネルとダミーチャネルとは、所定の方向に沿って、交互に並んで配置されている。
【0022】
また、上記した駆動壁における対向する内側面にはそれぞれ、駆動電極が設けられている。この駆動電極には、吐出チャネルに面する内側面に設けられたコモン電極(共通電極)と、ダミーチャネルに面する内側面に設けられたアクティブ電極(個別電極)とが、存在している。これらの駆動電極と、後述する駆動デバイス41との間は、駆動基板13を介して電気的に接続されている。これにより、駆動基板13を介して、駆動デバイス41から各アクティブ電極に対し、前述した駆動電圧Vd(駆動信号Sd)が印加されるようになっている(
図1参照)。なお、各コモン電極に対しては、後述するグランド電位Vgが印加されるようになっている。
【0023】
(B-2.I/F基板12)
I/F基板12は、
図1に示したように、駆動基板13とインクジェットヘッド1の外部(印刷制御部2)との間を、中継する基板(中継基板)である。これにより、印刷制御部2から入力された印刷制御信号Scが、I/F基板12を介して、駆動基板13(駆動デバイス41等)へと供給されるようになっている。
【0024】
(B-3.駆動基板13)
駆動基板13は、
図1に示したように、I/F基板12と噴射部11との間を電気的に接続する基板である。この駆動基板13は、詳細は後述するが(
図5参照)、ベースフィルム131aにポリイミド等を使用した、フレキシブル基板131を用いて構成されている。なお、駆動基板13とI/F基板12との間は、後述するコネクタ130(
図2参照)を介して、互いに電気的接続されている。この駆動基板13は、前述した駆動信号Sdを駆動デバイス41から出力することで、前述したノズルプレート112におけるインク9の噴射動作を、個別に制御するようになっている。
【0025】
このような駆動基板13は、
図1に示したように、複数の駆動デバイス41を備えている。具体的には、
図1の例では、駆動デバイス411,412,…,41(n-1),41n(n:2以上の整数)からなる、n個の駆動デバイス41が、駆動基板13上に設けられている。
【0026】
これらの駆動デバイス41はそれぞれ、
図1に示したように、I/F基板12から入力された印刷制御信号Scに基づいて、噴射部11における各ノズル孔Hnからインク9を噴射させるための、上記した駆動信号Sd(駆動電圧Vd)を生成し、噴射部11へと出力するデバイスである。このような駆動デバイス41はそれぞれ、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成されている。
【0027】
[インクジェットヘッド1の詳細構成]
続いて、
図2~
図5を参照して、インクジェットヘッド1の詳細構成例について説明する。
図2は、
図1に示したインクジェットヘッド1の概略構成例を、模式的に平面図(X-Y平面図)で表したものである。なお、この
図2においては、構造体の図示を省略し、電気回路およびアクチュエータプレート111のみを示している。また、
図2中の符号P1で示した領域(前述したコネクタ130と後述するデカップリングコンデンサ134との間の領域)内では、便宜上、各種配線の図示を省略している。
図3は、
図2に示した駆動デバイス41(後述する駆動デバイス411~413)の詳細構成例を、模式的にブロック図で表したものである。
図4は、
図2に示した駆動基板13の概略構成例(各駆動デバイス411~413付近での構成例)を、模式的に平面図(X-Y平面図)で表したものである。
図5は、
図4中に示したV-V線に沿った断面構成例(Z-X断面構成例)を、模式的に表したものでである。
【0028】
(駆動基板13の平面構成・断面構成)
まず、
図2に示したように、駆動基板13の基板面S(X-Y平面)上には、複数の駆動デバイス41(
図2の例では、3つの駆動デバイス411~413)が、駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿って、並んで配置されている。ただし、この「長手方向に沿って、並んで配置」とは、(X軸方向に沿った)直線状には限られず、例えば、Y軸方向に沿って互い違いに配置(千鳥配置)されている場合などのように、多少、ずれて配置されていてもよい。
【0029】
また、駆動基板13の基板面S上には、各種の配線がパターン化して配置されている。具体的には
図2に示したように、駆動基板13の基板面S上には、所定の定電位配線Lvが配置されている。この定電位配線Lvとしては、
図2の例では、定電位としての後述する電源電位Vpが印加されている電源配線Lpと、定電位としての後述するグランド電位Vgが印加されているグランド配線Lgとが、含まれている。電源配線Lpは、
図2の例では、複数の駆動デバイス41ごとに個別に電気的接続されおり、グランド配線Lgは、
図2の例では、複数の駆動デバイス41に対して共通して電気的接続されている。なお、これらの定電位配線Lv(電源配線Lpおよびグランド配線Lg)の詳細構成例については、後述する(
図4)。
【0030】
また、
図5に示したように、駆動基板13が、ベースフィルム131a上に配線層131bが配置された、フレキシブル基板131を用いて構成されている。この第1の実施の形態では、駆動デバイス41(411~413)が、このフレキシブル基板131における基板面S上に、フリップチップ実装されている。具体的には、
図5に示した駆動基板13の例では、各駆動デバイス411~413の裏面側に配置されたバンプ133(後述するグランド端子Tgに対応)を介して、各駆動デバイス411~413と、フレキシブル基板131における基板面S上の配線層131b(
図5の例ではグランド配線Lg)とが、電気的に接続されている。
【0031】
ここで、
図2に示したように、駆動基板13の基板面S上では、互いに隣接配置された電源配線Lpおよびグランド配線Lgの間に、デカップリングコンデンサ134が配置されている。具体的には、各駆動デバイス41における電源入力端子(後述する定電位端子Tv)の近傍に、そのようなデカップリングコンデンサ134が配置されている。このようなデカップリングコンデンサ134が配置されていることで、このデカップリングコンデンサ134よりも上流側(電源回路側)における、長い配線距離に起因した配線インピーダンスの問題(電圧変動、ノイズの発生、動作異常など)が、解決されるようになっている。ただし、デカップリングコンデンサ134よりも下流側(駆動デバイス411~413側)においては、長い配線距離に起因した配線インピーダンスの問題(詳細は後述)は、このデカップリングコンデンサ134によっては、解決できない。
【0032】
(駆動デバイス41のブロック構成)
続いて、
図3を参照して、駆動デバイス41(上記した駆動デバイス411~413)のブロック構成例について、説明する。
【0033】
この
図3に示したように、駆動デバイス41は、波形生成部60、シフトレジスタ61、ラッチ回路62、波形セレクタ63およびスイッチ部64を有している。
【0034】
波形生成部60は、駆動信号Sdを生成する際に使用される、波形データDwを生成するものである。このようにして波形生成部60によって生成された波形データDwは、波形セレクタ63へと出力されるようになっている。
【0035】
シフトレジスタ61は、複数のノズル孔Hnごとの画像データを、入力データDinとして入力すると共に、複数のノズル孔Hnごとの駆動信号Sdに対応して、前段側から後段側へと順次転送して保持する回路である。このシフトレジスタ61は、対応する複数のノズル孔Hnの個数と同数の、FF(フリップフロップ)回路を有している。なお、シフトレジスタ61からはまた、上記した複数のノズル孔Hnごとの画像データが、出力データDoutとして出力されるようになっている。
【0036】
ラッチ回路62は、シフトレジスタ61内の各FF回路から出力される、複数のノズル孔Hnごとの画像データを、所定の吐出タイミング信号に同期して保持する回路である。このラッチ回路62は、対応する複数のノズル孔Hnの個数と同数の、ラッチ回路を有している。
【0037】
波形セレクタ63は、ラッチ回路62内の各ラッチ回路から出力される、複数のノズル孔Hnごとの画像データと、前述した吐出タイミング信号と、波形生成部60から出力される波形データDwとに基づいて、後述する各スイッチ640に対する制御信号(スイッチ制御信号)を生成する回路である。この波形セレクタ63は、対応する複数のノズル孔Hnの個数と同数の、波形選択回路を有しており、各波形選択回路において、複数のノズル孔Hnごとのスイッチ制御信号の生成を、行うようになっている。
【0038】
スイッチ部64は、波形セレクタ430内の各波形選択回路から出力される、複数のノズル孔Hnごとのスイッチ制御信号に基づいて、複数のノズル孔Hnごとの駆動信号Sdを生成する回路である。このスイッチ部64は、対応する複数のノズル孔Hnの個数と同数の、スイッチ640を有している。そして、各スイッチ640は、上記したスイッチ制御信号と、前述した所定の定電位Vv(電源電位Vpおよびグランド電位Vg:
図3参照)とに基づいて、信号レベル(電圧値)の変換を行うことにより、各ノズル孔Hnに対応する駆動電圧Vdを有する駆動信号Sdを、それぞれ生成するようになっている。
【0039】
(駆動デバイス41の平面構成)
続いて、
図4を参照して、この第1の実施の形態の駆動基板13における、各駆動デバイス41(411~413)付近での平面構成例(X-Y平面構成例)について、詳細に説明する。なお、この
図4においては、各駆動デバイス41の裏面側(
図4の例ではフレキシブル基板131側)に位置する各種端子およびフレキシブル基板131上の各種配線をそれぞれ、便宜上、実線で示し、各駆動デバイス41については便宜上、外形にて破線で示している。この点については、後述する変形例1-1~1-3(
図6~
図8)においても、同様である。
【0040】
図4に示したように、各駆動デバイス41(411~413)の裏面側には、複数の制御端子Tcと、複数の定電位端子Tvと、複数の出力端子Toutとがそれぞれ、各駆動デバイス41の(基板面Sへの)実装領域Am内に、設けられている。また、各駆動デバイス41の裏面側には、前述した所定の定電位Vv(電源電位Vpまたはグランド電位Vg)が印加された1または複数の定電位配線Lvが、各駆動デバイス41の実装領域Am内において、各駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿って延在している。具体的には、
図4の例では、このような定電位配線Lvとして、電源電位Vpが印加された1つの電源配線Lpと、グランド電位Vgが印加された1つのグランド配線Lgとが、設けられている。ただし、電源配線Lpについては、各駆動デバイス41の外部から長手方向に沿った一対の端部まで延在しており、各端部よりも長手方向に沿った内部側(後述する中央領域Ac側)までは、延在していない。
【0041】
複数の制御端子Tcは、前述した印刷制御信号Scに含まれる要素(画像データ、吐出タイミング信号および電源電圧等)のうちの、画像データ、吐出タイミング信号およびロジック用電源がそれぞれ伝送される複数の制御配線Lcと、個別に電気的接続されている。これら複数の制御端子Tcは、各駆動デバイス41の短手方向(Y軸方向)のコネクタ130側において、各駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿って並んで配置されている。また、複数の出力端子Toutは、前述した駆動信号Sdが伝送される複数の駆動配線Ldと個別に電気的接続されており、各駆動デバイス41の短手方向(Y軸方向)のアクチュエータプレート111側において、各駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿って並んで配置されている。
【0042】
複数の定電位端子Tvは、
図4の例では、上記した電源配線Lpと電気的接続される電源端子Tpと、上記したグランド配線Lgと電気的接続されるグランド端子Tgとを、有している。つまり、印刷制御信号Scに含まれる上記した要素のうちの、駆動用電源(電源電位Vp)および駆動用グランド(グランド電位Vg)はそれぞれ、これらの電源配線Lpおよびグランド配線Lgを介して、電源端子Tpおよびグランド端子Tgに対して、個別に電気的接続されている。
図4の例では、複数の電源端子Tpおよび複数のグランド端子Tgがそれぞれ、各駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿った一対(左右)の端部において、各駆動デバイス41の短手方向(Y軸方向)に沿って並んで配置されている。また、この
図4の例では、各駆動デバイス41における短手方向のコネクタ130側およびアクチュエータプレート111側の少なくとも一方(
図4の例では、コネクタ130側およびアクチュエータプレート111側の双方)において、各駆動デバイス41の長手方向に沿って、複数のグランド端子Tgが配置されている。
【0043】
ここで、
図4に示した駆動基板13では、各駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿って互いに異なる位置に配置されていると共に、同一の定電位Vvが印加された定電位配線Lvに対して電気的接続された、3箇所以上の定電位端子Tvが、各駆動デバイス41に設けられている。具体的には、
図4の例では、グランド配線Lgに対して電気的接続された3箇所以上のグランド端子Tgが、各駆動デバイス41の長手方向に沿って互いに異なる位置に配置されている。一方、
図4の例では、電源端子Tpは、各駆動デバイス41の長手方向に沿った一対の端部においてのみ(2つずつの電源端子Tpが)、電源配線Lpと電気的接続されている。
【0044】
より具体的には、各駆動デバイス41では長手方向に沿って、一対の端部領域Ae1,Ae2と、それらの端部領域Ae1,Ae2の間に位置する中央領域Acとが、それぞれ設けられているとすると(
図4参照)、
図4に示した駆動基板13では、以下のようになっている。なお、このような端部領域Ae1,Ae2は、一例として、各駆動デバイス41の長手方向に沿った長さ(X軸方向長Lx)を基準として、各駆動デバイス41の長手方向に沿った外縁から、(0.01×Lx~0.1×Lx)程度の長さの領域を、意味している。
【0045】
この
図4の例では、一対の端部領域Ae1,Ae2および中央領域Acの各領域内に、上記した3箇所以上の定電位端子としての、3箇所以上のグランド端子Tgが、配置されている。また、
図4の例では特に、中央領域Ac内に、複数の定電位端子Tvとしての複数のグランド端子Tgが、配置されている。なお、例えば、中央領域Ac内に、1つの定電位端子(
図4の例では1つのグランド端子Tg)のみが設けられている場合には、例えば、駆動デバイス41の短手方向(Y軸方向)に沿った端部(コネクタ130側またはアクチュエータプレート111側)および中央部の、いずれに配置されていてもよい。更に、
図4の例では、各駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿って、これらの3箇所以上の定電位端子Tv(3箇所以上のグランド端子Tg)が、均等配置されている。具体的には、この
図4の例では、4箇所のグランド端子Tg1,Tg2,Tg3,Tg4が、X軸方向に沿って、各駆動デバイス41内で均等配置されている。
【0046】
ここで、上記した電源電位Vpおよびグランド電位Vgはそれぞれ、本開示における「所定の定電位」の一具体例に対応し、上記した電源配線Lpおよびグランド配線Lgはそれぞれ、本開示における「定電位配線」の一具体例に対応している。また、この第1の実施の形態では、上記した3箇所以上のグランド端子Tg(同一のグランド電位Vgが印加されたグランド配線Lgに対して電気的に接続された端子)が、本開示における「3箇所以上の定電位端子」の一具体例に対応している。
【0047】
[動作および作用・効果]
(A.プリンタ5の基本動作)
このプリンタ5では、以下のようなインクジェットヘッド1によるインク9の噴射動作を用いて、被記録媒体(記録紙P等)に対する画像や文字等の記録動作(印刷動作)が行われる。具体的には、このインクジェットヘッド1では、以下のようにして、せん断(シェア)モードを用いたインク9の噴射動作が行われる。
【0048】
まず、プリンタ5内において、インクジェットヘッド1を搭載したキャリッジが、記録紙P上にて往復移動を開始する。そして、印刷制御部2からI/F基板12を介して供給された印刷制御信号Scに基づき、駆動基板13上の各駆動デバイス41は、噴射部11におけるアクチュエータプレート111内の前述したアクティブ電極に対し、駆動電圧Vd(駆動信号Sd)を印加する。具体的には、各駆動デバイス41は、前述した吐出チャネルを画成する一対の駆動壁に配置されたアクティブ電極に対し、駆動電圧Vdを印加する。これにより、これら一対の駆動壁がそれぞれ、その吐出チャネルに隣接するダミーチャネル側へ、突出するように変形する。
【0049】
このとき、駆動壁における深さ方向の中間位置を中心として、駆動壁が屈曲変形することになる。そして、このような駆動壁の屈曲変形により、吐出チャネルがあたかも膨らむように変形する。このように、一対の駆動壁での圧電厚み滑り効果による屈曲変形によって、吐出チャネルの容積が増大する。そして、吐出チャネルの容積が増大することにより、前述したインクタンクからアクチュエータプレート111内へと供給されたインク9が、吐出チャネル内へ誘導されることになる。
【0050】
次いで、このようにして吐出チャネル内へ誘導されたインク9は、圧力波となって吐出チャネルの内部に伝播する。そして、ノズルプレート112のノズル孔Hnにこの圧力波が到達したタイミング(またはその近傍のタイミング)で、駆動電極に印加される駆動電圧Vdが、0(ゼロ)Vとなる。これにより、上記した屈曲変形の状態から駆動壁が復元する結果、一旦増大した吐出チャネルの容積が、再び元に戻ることになる。
【0051】
このようにして、吐出チャネルの容積が元に戻る過程で、吐出チャネル内部の圧力が増加し、吐出チャネル内のインク9が加圧される。その結果、液滴状のインク9が、ノズル孔Hnを通って外部へと(記録紙Pへ向けて)吐出される(
図1参照)。このようにしてインクジェットヘッド1におけるインク9の噴射動作(吐出動作)がなされ、その結果、記録紙Pに対する画像や文字等の記録動作が行われる。
【0052】
(B.作用・効果)
続いて、第1の実施の形態の作用および効果について、詳細に説明する。
【0053】
(B-1.従来のインクジェットヘッドについて)
まず、複数のノズル孔を有するインクジェットヘッドでは一般に、多ノズル化に伴い、個々の駆動デバイス(ドライバIC(Integrated Circuit))で担う出力数も、増やしたいという要求がある。
【0054】
ただし、出力端子を増やそうとすると、駆動デバイスにおける長手方向の長さを大きくすることになるため、駆動デバイス内での電源配線やグランド配線の長手方向の配線距離が大きくなり、配線インピーダンスを各出力端子間で均一にすることが、難しくなる。また、出力数が増えると、総電源電流も増えることとなり、更に出力間の差を大きくすることになる。なお、例えば、駆動デバイス内での配線の幅を増やすことで、配線のインピーダンスを下げることができるものの、その場合、配線の面積が増えるため、駆動基板やインクジェットヘッドのコストアップにつながる。
【0055】
このようにして、従来のインクジェットヘッド(例えば、前述した定電位端子Tvが、駆動デバイス内で長手方向に沿って2箇所以下で設けられている場合:比較例)では、各出力端子間での配線のインピーダンスのばらつきが増大し、各出力端子から出力される駆動信号同士での駆動波形のばらつき(例えば、リンギングの度合いや、駆動波形の立ち上がりや立ち下がりの速度など)も、増大する。したがって、このような比較例では、各ノズル孔からのインクの吐出特性のばらつきも増大する結果、インクジェットヘッドを用いた印刷の際の印刷品質が、低下してしまうおそれがある。
【0056】
(B-2.作用・効果)
そこで、この第1の実施の形態のインクジェットヘッド1では、前述したように、以下のような構成となっている。
【0057】
まず、このインクジェットヘッド1では、駆動基板13において、前述した3箇所以上の定電位端子Tv(3箇所以上のグランド端子Tg)が、駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿って互いに異なる位置に設けられている。また、この3箇所以上の定電位端子Tv(3箇所以上のグランド端子Tg)が、同一の定電位Vv(グランド電位Vg)が印加された定電位配線Lv(グランド配線Lg)に対して、電気的に接続されている。
【0058】
これにより、この第1の実施の形態では、例えば上記した比較例の場合と比べ、以下のようになる。すなわち、駆動デバイス41内での各定電位端子Tv(各グランド端子Tg)から各出力端子Tout(上記した長手方向に沿って配置)までの配線距離(各駆動デバイス41内での配線距離)が、短くなる。また、デカップリングコンデンサ134から各定電位端子Tv(各グランド端子Tg)までの配線が、フレキシブル基板131上の太い配線にて接続できることから、駆動デバイス41内での配線が補強され、配線のインピーダンスが下がることになる。これにより、各出力端子Tout間でのインピーダンスのばらつきが抑えられ、各出力端子Toutから出力される駆動信号Sd同士での駆動波形のばらつきも抑えられることから、各ノズル孔Hnからのインク9の吐出特性のばらつきも抑えられる。その結果、この第1の実施の形態では、上記比較例の場合等と比べ、インクジェットヘッド1を用いた印刷の際の印刷品質を、向上させることが可能となる。
【0059】
また、特にこの 第1の実施の形態では、上記した定電位配線Lvとして、電源配線Lpとグランド配線Lgとをそれぞれ含んでいると共に、上記したように、3箇所以上の定電位端子Tvとして、3箇所以上のグランド端子Tgが設けられていることから、以下のようになる。すなわち、このような各種配線を定電位配線Lvとして含む場合においても、対応する各定電位端子Tv(グランド端子Tg)から各出力端子Toutまでの配線距離が、短くなる。また、各出力端子Tout間での配線(グランド配線Lg)のインピーダンスのばらつきが、更に抑えられる結果、各ノズル孔Hnからのインク9の吐出特性のばらつきも、更に抑えられる。その結果、インクジェットヘッド1を用いた印刷の際の印刷品質を、更に向上させることが可能となる。
【0060】
また、この第1の実施の形態では、駆動基板13における一対の端部領域Ae1,Ae2および中央領域Acの各領域内に、上記した定電位端子Tv(グランド端子Tg)が配置されている。これにより、例えば、駆動デバイス41の長手方向に沿って上記した3箇所以上の定電位端子Tv(3箇所以上のグランド端子Tg)が偏って配置されている場合と比べ、以下のようになる。すなわち、駆動デバイス41内での上記した配線距離が、平均して更に短くなると共に、上記した各出力端子Tout間でのインピーダンスのばらつきが更に抑えられる結果、各ノズル孔Hnからのインク9の吐出特性のばらつきも、更に抑えられる。その結果、インクジェットヘッド1を用いた印刷の際の印刷品質を、更に向上させることが可能となる。
【0061】
更に、この第1の実施の形態では、上記した中央領域Ac内に、複数の定電位端子Tv(複数のグランド端子Tg)が配置されていることから、例えば、中央領域Ac内に定電位端子Tv(グランド端子Tg)が1つのみ配置されている場合と比べ、以下のようになる。すなわち、駆動デバイス41内での上記した配線距離が、平均してより一層短くなると共に、上記した各出力端子Tout間でのインピーダンスのばらつきが、より一層抑えられる結果、各ノズル孔Hnからのインク9の吐出特性のばらつきも、より一層抑えられる。その結果、インクジェットヘッド1を用いた印刷の際の印刷品質を、より一層向上させることが可能となる。
【0062】
加えて、この第1の実施の形態では、駆動デバイス41の長手方向に沿って、上記した3箇所以上の定電位端子Tv(
図4の例では、前述した4箇所のグランド端子Tg1~Tg4)が、均等配置されている。これにより、例えば、駆動デバイス41の長手方向に沿って、3箇所以上の定電位端子Tvが不均等に(偏って)配置されている場合と比べ、以下のようになる。すなわち、駆動デバイス41内での上記した配線距離が、平均して更に短くなると共に、上記した各出力端子Tout間でのインピーダンスのばらつきが更に抑えられる結果、各ノズル孔Hnからのインク9の吐出特性のばらつきも、更に抑えられる。その結果、インクジェットヘッド1を用いた印刷の際の印刷品質を、更に向上させることが可能となる。
【0063】
更に、この第1の実施の形態では、駆動デバイス41が基板面S上にフリップチップ実装されている。これにより第1の実施の形態では、例えば、駆動デバイス41が基板面S上でワイヤボンディング実装されている場合(後述する第2の実施の形態および変形例2の場合等)と比べ、以下のようになる。すなわち、そのようなワイヤボンディング実装の場合とは異なり、駆動デバイス41の外周縁の領域だけでなく内部領域にも、定電位端子Tvを配置することができる。したがって、定電位端子Tvの配置の自由度を向上させること可能となると共に、後述するリード線135を接続するスペース等も不要となることから、駆動基板13の小型化を図ることも可能となる。
【0064】
加えて、この第1の実施の形態では、複数の駆動デバイス41が、基板面S上で長手方向に沿って並んで配置されていることから、基板面S上の配線パターン(例えば、定電位配線Lv等の配線パターン)の経路が、短くなったり、簡易なものとなる。その結果、駆動基板13の小型化を図ることが可能となる。
【0065】
<2.第1の実施の形態の変形例>
続いて、上記第1の実施の形態の変形例(変形例1-1,1-2,1-3)について説明する。なお、以下では、第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0066】
[変形例1-1]
(構成)
図6は、変形例1-1に係る駆動基板(駆動基板13A)の概略構成例(各駆動デバイス41付近での構成例)を、模式的に平面図(X-Y平面図)で表したものである。この変形例1-1の駆動基板13Aは、第1の実施の形態の駆動基板13(
図4参照)において、電源配線Lpおよび電源端子Tpの配置構成をそれぞれ変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0067】
具体的には
図6に示したように、この駆動基板13Aでは、まず、第1の実施の形態の駆動基板13(
図4)とは異なり、電源配線Lpおよびグランド配線Lgの双方が、各駆動デバイス41の実装領域Am内において、各駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿って延在している。また、この
図6の例では、電源配線Lpに対して電気的接続された3箇所以上の電源端子Tpと、グランド配線Lgに対して電気的接続された3箇所以上のグランド端子Tgとの双方が、各駆動デバイス41の長手方向に沿って互いに異なる位置に配置されている。具体的には、
図6の例では、駆動基板13Aにおける一対の端部領域Ae1,Ae2および中央領域Acの各領域内に、このような3箇所以上の電源端子Tpと、3箇所以上のグランド端子Tgとが、それぞれ配置されている。また、この
図6の例では、中央領域Ac内に、複数の電源端子Tpと複数のグランド端子Tgとが、それぞれ配置されている。更に、この
図6の例では、各駆動デバイス41の長手方向に沿って、上記した3箇所以上の電源端子Tpと、3箇所以上のグランド端子Tgとがそれぞれ、均等配置されている。具体的には、この
図6の例では、4箇所の電源端子Tp1,Tp2,Tp3,Tp4と、4箇所のグランド端子Tg1,Tg2,Tg3,Tg4とがそれぞれ、X軸方向に沿って、各駆動デバイス41内で均等配置されている。
【0068】
ここで、この変形例1-1では、上記した3箇所以上の電源端子Tp(同一の電源電位Vpが印加された電源配線Lpに対して電気的に接続された端子)、および、3箇所以上のグランド端子Tgがそれぞれ、本開示における「3箇所以上の定電位端子」の一具体例に対応している。
【0069】
(作用・効果)
このような構成の変形例1-1においても、基本的には第1の実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0070】
また、特にこの変形例1-1では、駆動基板13Aにおいて、上記した3箇所以上の定電位端子Tvとして、3箇所以上の電源端子Tpと、3箇所以上のグランド端子Tgとの、双方が設けられていることから、以下のようになる。すなわち、対応する各定電位端子Tv(電源端子Tpおよびグランド端子Tg)から各出力端子Toutまでの配線距離(各駆動デバイス41内での配線距離)が、短くなる。また、各出力端子Tout間での配線(電源配線Lpおよびグランド配線Lg)のインピーダンスのばらつきが、更に抑えられる結果、各ノズル孔Hnからのインク9の吐出特性のばらつきも、更に抑えられる。その結果、印刷の際の印刷品質を、更に向上させることが可能となる。
【0071】
[変形例1-2]
(構成)
図7は、変形例1-2に係る駆動基板(駆動基板13B)の概略構成例(各駆動デバイス41付近での構成例)を、模式的に平面図(X-Y平面図)で表したものである。この変形例1-2の駆動基板13Bは、上記した変形例1-1の駆動基板13A(
図6参照)において、1つの電源配線Lpの代わりに、複数(3つ)の電源配線Lp1~Lp3を設けるようにしたものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0072】
具体的には
図7に示したように、この駆動基板13Bでは、互いに異なる定電位Vv(3種類の電源電位Vp1~Vp3)が個別に印加される3つの電源配線Lp1~Lp3と、1つのグランド配線Lgとがそれぞれ、各駆動デバイス41の実装領域Am内において、各駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿って延在している。また、この
図7の例では、電源配線Lp1には電源電位Vp1が印加され、電源配線Lp2には電源電位Vp2が印加され、電源配線Lp3には電源電位Vp3が印加されるようになっている。
【0073】
そして、この
図7の例では、このような複数の電源配線Lp1~Lp3の各々に対して個別に電気的接続された3箇所以上の電源端子Tpと、グランド配線Lgに対して電気的接続された3箇所以上のグランド端子Tgとがそれぞれ、各駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿って配置されている。つまり、このような複数の電源配線Lp1~Lp2およびグランド配線Lgに対して、上記した変形例1-1と同様にして、3箇所以上の電源端子Tpおよび3箇所以上のグランド端子Tgが、それぞれ設けられている。
【0074】
ここで、上記した複数の電源電位Vp1~Vp3はそれぞれ、本開示における「所定の定電位」の一具体例に対応している。また、上記した複数の電源配線Lp1~Lp3はそれぞれ、本開示における「定電位配線」の一具体例に対応している。また、この変形例1-2においても変形例1-1と同様に、上記した3箇所以上の電源端子Tp、および、3箇所以上のグランド端子Tgがそれぞれ、本開示における「3箇所以上の定電位端子」の一具体例に対応している。
【0075】
(作用・効果)
このような構成の変形例1-2においても、基本的には変形例1-1と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0076】
また、特にこの変形例1-2では、駆動基板13Bにおいて、複数の電源配線Lp1~Lp3およびグランド配線Lgに対して、上記した3箇所以上の電源端子Tpおよび3箇所以上のグランド端子Tgが、それぞれ設けられている。これにより、例えば、複数種類の電源電位Vp1~Vp3に対応した複数の電源配線Lp1~Lp3が設けられている場合においても、前述した配線距離の短縮化や、インク9の吐出特性のばらつきの抑制が、実現される。その結果、印刷の際の印刷品質を、より一層向上させることが可能となる。
【0077】
[変形例1-3]
(構成)
図8は、変形例1-3に係る駆動基板(駆動基板13C)の概略構成例(各駆動デバイス41付近での構成例)を、模式的に平面図(X-Y平面図)で表したものである。この変形例1-3の駆動基板13Cは、上記した変形例1-1の駆動基板13A(
図6参照)において、グランド配線Lgおよびグランド端子Tgの配置構成をそれぞれ変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0078】
具体的には
図8に示したように、この駆動基板13Cでは、変形例1-1の駆動基板13A(
図6)とは異なり、前述した3箇所以上の定電位端子Tvとして、3箇所以上の電源端子Tpのみが設けられている。一方、この
図8の例では、グランド端子Tgは、各駆動デバイス41の長手方向に沿った一対の端部においてのみ(2対のグランド端子Tgが)、グランド配線Lgと電気的接続されている。なお、この
図8の例においても、上記した変形例1-2(
図7)と同様に、1つの電源配線Lpの代わりに、複数の電源配線Lp1~Lp3等が設けられているようにしてもよい。
【0079】
ここで、この変形例1-3では、上記した3箇所以上の電源端子Tpが、本開示における「3箇所以上の定電位端子」の一具体例に対応している。
【0080】
(作用・効果)
このような構成の変形例1-3においても、基本的には第1の実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0081】
また、特にこの変形例1-3では、上記した3箇所以上の定電位端子Tvとして、3箇所以上の電源端子Tpが設けられていることから、以下のようになる。すなわち、対応する各定電位端子Tv(電源端子Tp)から各出力端子Toutまでの配線距離(各駆動デバイス41内での配線距離)が、短くなる。また、各出力端子Tout間での配線(電源配線Lp)のインピーダンスのばらつきが、更に抑えられる結果、各ノズル孔Hnからのインク9の吐出特性のばらつきも、更に抑えられる。その結果、印刷の際の印刷品質を、更に向上させることが可能となる。
【0082】
<3.第2の実施の形態>
続いて、本開示の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、これまでに説明した第1の実施の形態および変形例1-1~1-3とは異なり、各駆動デバイス41が基板面S上にワイヤボンディング実装されている場合の例に、対応している。なお、以下では、第1の実施の形態等における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0083】
(構成)
図9は、第2の実施の形態に係る液体噴射ヘッド(インクジェットヘッド1D)の概略構成例を、模式的に平面図(X-Y平面図)で表したものである。なお、この
図9においては、構造体の図示を省略し、電気回路、アクチュエータプレート111および後述する中継用フレキシブル基板132のみを示している。また、
図9中の符号P2で示した領域(コネクタ130およびデカップリングコンデンサ134の間の領域)内では、便宜上、各種配線の図示を省略している。
図10は、
図9に示した駆動基板13Dの概略構成例(各駆動デバイス411~413付近での構成例)を、模式的に平面図(X-Y平面図)で表したものである。
図11は、
図10中に示したXI-XI線に沿った断面構成例(Z-X断面構成例)を、模式的に表したものでである。なお、
図10においては、各駆動デバイス41の裏面側(
図10の例ではリジッド基板131D側)に位置する各種配線をそれぞれ、便宜上、実線で示し、各駆動デバイス41については便宜上、外形にて破線で示している。この点については、後述する変形例2(
図12)においても、同様である
【0084】
この第2の実施の形態のインクジェットヘッド1Dは、第1の実施の形態のインクジェットヘッド1(
図2参照)において、駆動基板13の代わりに駆動基板13Dを設けるようにしたものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0085】
なお、このインクジェットヘッド1Dは、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応している。
【0086】
駆動基板13Dは、駆動基板13(
図2,
図5参照)において、上記したように、各駆動デバイス41を基板面S上にワイヤボンディング実装するように変更していると共に、前述したフレキシブル基板131の代わりにリジッド基板131Dを設けるようにしたものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0087】
具体的には、この駆動基板13Dは、例えば
図11に示したように、駆動基板13(
図5参照)とは異なり、ガラスエポキシ基板131c上に配線層131bが配置された、リジッド基板131Dを用いて構成されている。また、例えば
図9~
図11に示したように、この駆動基板13Dでは、駆動基板13とは異なり、リジッド基板131Dにおける基板面S上に、各駆動デバイス41(411~413)がワイヤボンディング実装されている。なお、
図9の例では、この駆動基板13Dは、中継用フレキシブル基板132を介して、アクチュエータプレート111と電気的接続されている。
【0088】
より具体的には、例えば
図11に示したように、駆動基板13Dでは、各駆動デバイス41の表面側(リジッド基板131Dとは反対側)に配置されたボンディングパッド133Dと、リジッド基板131Dにおける配線層131b(基板面S)上の接続箇所とが、リード線135を介して、電気的に接続されている。
【0089】
また、
図10に示した駆動基板13Dの例は、
図4に示した駆動基板13の例において、各駆動デバイス41における各端子と各配線における端子とを、上記したように、ボンディングパッド133Dおよびリード線135を介して電気的接続させるように変更したものとなっており、他の構成は基本的に同様となっている。具体的には、各駆動デバイス41上の複数の制御端子Tcと、複数の制御配線Lc上の接続箇所とが、リード線135等を介して電気的接続されており、各駆動デバイス41上の複数の出力端子Toutと、複数の駆動配線Ld上の接続箇所とが、リード線135等を介して電気的接続されている。同様に、各駆動デバイス41上の電源端子Tpと、電源配線Lp上の接続箇所とが、リード線135等を介して電気的接続されており、各駆動デバイス41上のグランド端子Tgと、グランド配線Lg上の接続箇所とが、リード線135等を介して電気的接続されている。
【0090】
そして、この駆動基板13Dにおいても、駆動基板13(
図4参照)と同様に、3箇所以上の定電位端子Tv(グランド端子Tg)が、各駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿って互いに異なる位置に配置されている。また、この3箇所以上の定電位端子Tv(グランド端子Tg)が、同一の定電位Vv(グランド電位Vg)が印加された定電位配線Lv(グランド配線Lg)に対して、電気的接続されている。具体的には、
図9の例では、一対の端部領域Ae1,Ae2および中央領域Acの各領域内に、上記した3箇所以上のグランド端子Tgが、配置されている。ただし、この
図9の例では、
図4の例とは異なり、中央領域Ac内には、複数のグランド端子Tgは配置されていない。これは、この
図9に示した駆動基板13Dでは、ワイヤボンディング実装の例となっていることから、各駆動デバイス41上における各端子を、各駆動デバイス41の内部領域(外縁よりも内部の領域)へと、配置するのが難しいためである。
【0091】
ここで、この第2の実施の形態では、上記した3箇所以上のグランド端子Tgが、本開示における「3箇所以上の定電位端子」の一具体例に対応している。
【0092】
(作用・効果)
このような構成の第2の実施の形態においても、基本的には第1の実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0093】
<4.第2の実施の形態の変形例>
続いて、上記第2の実施の形態の変形例(変形例2)について説明する。なお、以下では、第1または第2の実施の形態等における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0094】
[変形例2]
(構成)
図12は、変形例2に係る駆動基板(駆動基板13E)の概略構成例(各駆動デバイス41付近での構成例)を、模式的に平面図(X-Y平面図)で表したものである。この変形例2の駆動基板13Eは、第2の実施の形態の駆動基板13D(
図10参照)において、電源配線Lpおよび電源端子Tpの配置構成をそれぞれ変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0095】
具体的には
図12に示したように、この駆動基板13Eでは、まず、前述した変形例1-1,1-2と同様に、電源配線Lpおよびグランド配線Lgの双方が、各駆動デバイス41の実装領域Am内において、各駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿って延在している。また、この
図12の例では、前述した変形例1-1,1-2と同様に、電源配線Lpに対して電気的接続された3箇所以上の電源端子Tpと、グランド配線Lgに対して電気的接続された3箇所以上のグランド端子Tgとの双方が、各駆動デバイス41の長手方向に沿って配置されている。具体的には、
図12の例では、駆動基板13Eにおける一対の端部領域Ae1,Ae2および中央領域Acの各領域内に、このような3箇所以上の電源端子Tpと、3箇所以上のグランド端子Tgとが、それぞれ配置されている。
【0096】
ここで、この変形例2では、上記した3箇所以上の電源端子Tp、および、3箇所以上のグランド端子Tgがそれぞれ、本開示における「3箇所以上の定電位端子」の一具体例に対応している。
【0097】
(作用・効果)
このような構成の変形例2においても、基本的には第2の実施の形態等と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0098】
また、特にこの変形例2では、前述した変形例1-1,1-2と同様に、駆動基板13Eにおいて、上記した3箇所以上の定電位端子Tvとして、3箇所以上の電源端子Tpと、3箇所以上のグランド端子Tgとの、双方が設けられていることから、以下のようになる。すなわち、対応する各定電位端子Tv(電源端子Tpおよびグランド端子Tg)から各出力端子Toutまでの配線距離(各駆動デバイス41内での配線距離)が、短くなる。また、各出力端子Tout間での配線(電源配線Lpおよびグランド配線Lg)のインピーダンスのばらつきが、更に抑えられる結果、各ノズル孔Hnからのインク9の吐出特性のばらつきも、更に抑えられる。その結果、印刷の際の印刷品質を、更に向上させることが可能となる。
【0099】
なお、この変形例2(ワイヤボンディング実装の場合)においても、例えば前述した変形例1-2と同様に、複数の電源配線Lp1~Lp3およびグランド配線Lgに対して、上記した3箇所以上の電源端子Tpおよび3箇所以上のグランド端子Tgが、それぞれ設けられているようにしてもよい。
【0100】
また、この変形例2とは異なり、例えば前述した変形例1-3と同様に、ワイヤボンディング実装の場合においても、上記した3箇所以上の定電位端子Tvとして、3箇所以上の電源端子Tpが設けられていると共に、グランド端子Tgが2箇所以下で設けられているようにしてもよい。
【0101】
<5.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例をいくつか挙げて本開示を説明したが、本開示はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0102】
例えば、上記実施の形態等では、プリンタ、インクジェットヘッドおよび駆動基板における各部材(駆動デバイス、各種の配線、各種の端子など)の構成例(形状、配置、接続態様、種類、個数等)を具体的に挙げて説明した。ただし、これらの構成例については、上記実施の形態等で説明した構成例には限られず、他の形状や配置、接続態様、種類、個数等であってもよい。
【0103】
具体的には、例えば、I/F基板や駆動基板等の構成については、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の構成であってもよい。また、上記実施の形態等では、駆動基板が1つ設けられている場合を例に挙げて説明したが、例えば、駆動基板が2つ以上設けられていてもよい。更に、上記実施の形態等では、中継基板としてのI/F基板を、インクジェットヘッド内に設けた場合について説明したが、この場合には限られず、例えばインクジェットヘッド内に、そのような中継基板(I/F基板)を設けないようにしてもよい。加えて、上記実施の形態等では、複数の駆動デバイスが、基板面上で長手方向に沿って、並んで配置されている場合を例に挙げて説明したが、この場合の例には限られない。すなわち、例えば、複数の駆動デバイスが、上記した長手方向に沿って、並んで配置されていないようにしてもよい。更に、上記実施の形態等では、駆動基板(基板面)上に複数の駆動デバイスが実装されている場合を例に挙げて説明したが、この場合の例にはかぎられず、例えば、駆動基板上に1つの駆動デバイスのみが実装されているようにしておよい。
【0104】
また、インクジェットヘッドの構造としては、各タイプのものを適用することが可能である。すなわち、例えば、アクチュエータプレート111における各吐出チャネルの延在方向の中央部からインク9を吐出する、いわゆるサイドシュートタイプのインクジェットヘッドであってもよい。あるいは、例えば、各吐出チャネルの延在方向に沿ってインク9を吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのインクジェットヘッドであってもよい。更には、プリンタの方式としても、上記実施の形態等で説明した方式には限られず、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)方式など、各種の方式を適用することが可能である。
【0105】
更に、例えば、インクタンクとインクジェットヘッドとの間でインク9を循環させて利用する、循環式のインクジェットヘッド、あるいは、インク9を循環させずに利用する、非循環式のインクジェットヘッドのいずれであっても、本開示を適用することが可能である。
【0106】
また、上記実施の形態等で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。ソフトウェアで行われるようにした場合、そのソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。
【0107】
更に、上記実施の形態等では、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例として、プリンタ(インクジェットプリンタ)を挙げて説明したが、この例には限られず、インクジェットプリンタ以外の他の装置にも、本開示を適用することが可能である。換言すると、本開示の「液体噴射ヘッド」(インクジェットヘッド)を、インクジェットプリンタ以外の他の装置に適用するようにしてもよい。具体的には、例えば、ファクシミリやオンデマンド印刷機などの装置に、本開示の「液体噴射ヘッド」を適用するようにしてもよい。
【0108】
加えて、これまでに説明した各種の例を、任意の組み合わせで適用させるようにしてもよい。
【0109】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0110】
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
複数のノズルを有する液体噴射ヘッドに適用する駆動信号を出力する基板であって、
基板面上に実装されており、前記ノズルから液体を噴射させるための前記駆動信号を生成する、1または複数の駆動デバイスと、
前記駆動デバイスの実装領域内において前記駆動デバイスの長手方向に沿って延在しており、所定の定電位が印加された、1または複数の定電位配線と
を備え、
前記駆動デバイスは、
前記長手方向に沿って配置されており、前記駆動信号を個別に出力する、複数の出力端子と、
前記長手方向に沿って互いに異なる位置に配置されており、同一の前記定電位が印加された前記定電位配線に対して電気的に接続された、3箇所以上の定電位端子と
を有する駆動基板。
(2)
前記駆動デバイスは、前記長手方向に沿って、一対の端部領域と、前記一対の端部領域の間に位置する中央領域と、を有しており、
前記一対の端部領域および前記中央領域の各領域内に、前記定電位端子が配置されている
上記(1)に記載の駆動基板。
(3)
前記中央領域内に、複数の前記定電位端子が配置されている
上記(2)に記載の駆動基板。
(4)
前記駆動デバイスの前記長手方向に沿って、前記3箇所以上の定電位端子が、均等配置されている
上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の駆動基板。
(5)
前記定電位配線が、
前記定電位としての電源電位が印加されている、1または複数の電源配線と、
前記定電位としてのグランド電位が印加されているグランド配線と
を含んでおり、
前記電源配線に対して電気的に接続された前記3箇所以上の定電位端子としての、3箇所以上の電源端子と、
前記グランド配線に対して電気的に接続された前記3箇所以上の定電位端子としての、3箇所以上のグランド端子と、
のうちの少なくとも一方が、設けられている
上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の駆動基板。
(6)
複数の前記電源配線および前記グランド配線に対して、前記3箇所以上の電源端子および前記3箇所以上のグランド端子が、それぞれ設けられている
上記(5)に記載の駆動基板。
(7)
前記駆動デバイスが、前記基板面上にフリップチップ実装されている
上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の駆動基板。
(8)
複数の前記駆動デバイスが、前記基板面上において前記長手方向に沿って、並んで配置されている
上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の駆動基板。
(9)
上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の駆動基板と、
前記駆動基板から出力される前記駆動信号に基づいて前記液体を噴射する、前記複数のノズルを有する噴射部と
を備えた液体噴射ヘッド。
(10)
上記(9)に記載の液体噴射ヘッドを備えた
液体噴射記録装置。
【符号の説明】
【0111】
1,1D…インクジェットヘッド、11…噴射部、111…アクチュエータプレート、112…ノズルプレート、12…I/F基板、13,13A~13E…駆動基板、130…コネクタ、131…フレキシブル基板、131a…ベースフィルム、131b…配線層、131c…ガラスエポキシ基板、131D…リジッド基板、132…中継用フレキシブル基板、133…バンプ、133D…ボンディングパッド、134…デカップリングコンデンサ、135…リード線、2…印刷制御部、41,411,412,413~41n…駆動デバイス、5…プリンタ、60…波形生成部、61…シフトレジスタ、62…ラッチ回路、63…波形セレクタ、64…スイッチ部、640…スイッチ、9…インク、P…記録紙、Hn…ノズル孔、Sc…印刷制御信号、Sd…駆動信号、Vd…駆動電圧、Ld…駆動配線、Lv…定電位配線、Lp,Lp1~Lp3…電源配線、Lg…グランド配線、Lc…制御配線、Vv…定電位、Vp,Vp1~Vp3…電源電位、Vg…グランド電位、Tv…定電位端子、Tp,Tp1~Tp4…電源端子、Tg,Tg1~Tg4…グランド端子、Tc…制御端子、Tout…出力端子、Din…入力データ、Dout…出力データ、Dw…波形データ、S…基板面、Am…実装領域、Ae1,Ae2…端部領域、Ac…中央領域。