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特開2024-77941駆動基板、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077941
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】駆動基板、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
B41J2/14 611
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190195
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 憲右
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AG81
2C057AG91
2C057AK07
2C057AK09
2C057AK10
(57)【要約】
【課題】信頼性を向上させることが可能な駆動基板等を提供する。
【解決手段】本開示の一実施の形態に係る駆動基板は、複数のノズルを有する液体噴射ヘッドに適用する駆動信号を出力する基板であって、基板面上に実装されており、ノズルから液体を噴射させるための駆動信号を生成すると共に、互いに異なる複数箇所に位置する複数のデジタルグランド端子を有する1または複数の駆動デバイスと、この駆動デバイスの実装領域内に配置されており、複数箇所のデジタルグランド端子のうちの2箇所以上のデジタルグランド端子に対して、電気的に共通接続されたデジタルグランド配線と、を備えている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有する液体噴射ヘッドに適用する駆動信号を出力する基板であって、
基板面上に実装されており、前記ノズルから液体を噴射させるための前記駆動信号を生成すると共に、互いに異なる複数箇所に位置する複数のデジタルグランド端子を有する、1または複数の駆動デバイスと、
前記駆動デバイスの実装領域内に配置されており、前記複数箇所のデジタルグランド端子のうちの2箇所以上の前記デジタルグランド端子に対して、電気的に共通接続されたデジタルグランド配線と
を備えた駆動基板。
【請求項2】
前記駆動デバイスは、前記実装領域内に、デジタル回路が配置されたデジタル回路配置領域を、更に有しており、
前記デジタルグランド配線は、前記デジタル回路配置領域の少なくとも一部と重なるように形成されている、第1ガード領域を有する
請求項1に記載の駆動基板。
【請求項3】
前記駆動デバイスは、複数のデバイス制御端子を更に有していると共に、
前記複数のデバイス制御端子に対して個別に電気的接続された、複数のデバイス制御配線が更に設けられており、
前記複数のデバイス制御配線のうちの少なくとも1つが、前記第1ガード領域内において、前記デジタルグランド配線と電気的に接続されている
請求項2に記載の駆動基板。
【請求項4】
前記駆動デバイスは、データが入力されるデータ入力端子と、前記データを出力するデータ出力端子と、を更に有していると共に、
前記データ入力端子および前記データ出力端子に対して個別に電気的接続されたデータ配線が、更に設けられており、
前記デジタルグランド配線は、前記データ配線の周囲に配置されていると共に前記第1ガード領域と電気的に接続された、第2ガード領域を更に有している
請求項2または請求項3に記載の駆動基板。
【請求項5】
前記データ配線が、差動伝送配線を含む
請求項4に記載の駆動基板。
【請求項6】
複数の前記駆動デバイスが、前記差動伝送配線を介して互いにカスケード接続されている
請求項5に記載の駆動基板。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3いずれか1項に記載の駆動基板と、
前記駆動基板から出力される前記駆動信号に基づいて前記液体を噴射する、前記複数のノズルを有する噴射部と
を備えた液体噴射ヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載の液体噴射ヘッドを備えた
液体噴射記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動基板、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドを備えた液体噴射記録装置が様々な分野に利用されており、液体噴射ヘッドとしては、各種方式のものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-144672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような液体噴射ヘッドでは一般に、信頼性を向上させることが求められている。信頼性を向上させることが可能な、駆動基板、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係る駆動基板は、複数のノズルを有する液体噴射ヘッドに適用する駆動信号を出力する基板であって、基板面上に実装されており、ノズルから液体を噴射させるための駆動信号を生成すると共に、互いに異なる複数箇所に位置する複数のデジタルグランド端子を有する1または複数の駆動デバイスと、この駆動デバイスの実装領域内に配置されており、複数箇所のデジタルグランド端子のうちの2箇所以上のデジタルグランド端子に対して、電気的に共通接続されたデジタルグランド配線と、を備えたものである。
【0006】
本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドは、上記本開示の一実施の形態に係る駆動基板と、この駆動基板から出力される駆動信号に基づいて液体を噴射する複数のノズルを有する噴射部と、を備えたものである。
【0007】
本開示の一実施の形態に係る液体噴射記録装置は、上記本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施の形態に係る駆動基板、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置によれば、信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施の形態に係る液体噴射装置の概略構成例を表すブロック図である。
図2図1に示した液体噴射ヘッドの概略構成例を模式的に表す斜視図である。
図3図2に示した液体噴射ヘッドの構成例を模式的に表す断面図である。
図4A図2図3に示したフレキシブル基板の詳細構成例を模式的に表す平面図である。
図4B図2図3に示した他のフレキシブル基板の詳細構成例を模式的に表す平面図である。
図5図4Bに示したフレキシブル基板内での各配線等の配置構成例を模式的に表す平面図である。
図6】実施の形態に係る駆動デバイスの詳細構成例を模式的に表す平面図である。
図7】実施の形態に係るフレキシブル基板の詳細構成例を模式的に表す平面図である。
図8】実施の形態に係るフレキシブル基板の他の詳細構成例を模式的に表す平面図である。
図9】比較例に係るフレキシブル基板の構成例を模式的に表す平面図である。
図10】変形例1-1に係るフレキシブル基板の詳細構成例を模式的に表す平面図である。
図11】変形例1-2に係るフレキシブル基板の詳細構成例を模式的に表す平面図である。
図12】変形例1-3に係るフレキシブル基板の詳細構成例を模式的に表す平面図である。
図13】変形例2-1に係るフレキシブル基板の詳細構成例を模式的に表す平面図である。
図14】変形例2-2に係るフレキシブル基板の詳細構成例を模式的に表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(2箇所以上のデジタルグランド端子に対して電気的に共通接続されたデジタルグランド配線を設けた駆動基板の例)
2.変形例
変形例1-1~1-3(第1ガード領域を有するデジタルグランド配線の例)
変形例2-1,2-2(第2ガード領域を更に有するデジタルグランド配線の例)
3.その他の変形例
【0011】
<1.実施の形態>
[プリンタ5の概略構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る液体噴射記録装置としてのプリンタ5の概略構成例を、ブロック図で表したものである。図2は、図1に示した液体噴射ヘッドとしてのインクジェットヘッド1の概略構成例を、模式的に斜視図で表したものである。図3は、図2に示したインクジェットヘッド1の構成例を、模式的に断面図(Y-Z断面図)で表したものである。なお、本明細書の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0012】
プリンタ5は、後述するインク9を利用して、被記録媒体(例えば、図1中に示した記録紙P)に対し、画像や文字等の記録(印刷)を行うインクジェットプリンタである。このプリンタ5は、図1に示したように、インクジェットヘッド1、印刷制御部2およびインクタンク3を備えている。
【0013】
なお、インクジェットヘッド1は、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応し、プリンタ5は、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例に対応している。また、インク9は、本開示における「液体」の一具体例に対応している。
【0014】
(A.印刷制御部2)
印刷制御部2は、インクジェットヘッド1に対して、各種の情報(データ)を供給するものである。具体的には図1に示したように、印刷制御部2は、インクジェットヘッド1内(後述する駆動デバイス41等)に対してそれぞれ、印刷制御信号Scを供給するようになっている。なお、この印刷制御信号Scには、例えば、画像データ、吐出タイミング信号、および、インクジェットヘッド1を動作させるための電源電圧等が、含まれるようになっている。
【0015】
(B.インクタンク3)
インクタンク3は、インク9を内部に収容するタンクである。このインクタンク3内のインク9は、図1に示したように、インク供給管30を介して、インクジェットヘッド1内(後述する噴射部11)へと供給されるようになっている。なお、このようなインク供給管30は、例えば、可撓性を有するフレキシブルホースにより構成されている。
【0016】
(C.インクジェットヘッド1)
インクジェットヘッド1は、図1中の破線の矢印で示したように、後述する複数のノズル孔Hnから記録紙Pに対して液滴状のインク9を噴射(吐出)して、画像や文字等の記録を行うヘッドである。このインクジェットヘッド1は、例えば図2図3に示したように、1つの噴射部11と、1つのI/F(インターフェース)基板12と、4つのフレキシブル基板13a,13b,13c,13dと、2つの冷却ユニット141,142とを、備えている。
【0017】
(C-1.I/F基板12)
I/F基板12は、図2図3に示したように、2つのコネクタ10と、4つのコネクタ120a,120b,120c,120dと、回路配置領域121とを、備えている。
【0018】
コネクタ10は、図2に示したように、印刷制御部2からインクジェットヘッド1(後述する各フレキシブル基板13a,13b,13c,13d)へ向けて供給される、前述した印刷制御信号Scを入力する部分(コネクタ部分)である。コネクタ120a,120b,120c,120dはそれぞれ、I/F基板12と、フレキシブル基板13a,13b,13c,13dとの間をそれぞれ、電気的に接続する部分(コネクタ部分)である。
【0019】
回路配置領域121は、I/F基板12上において各種の回路が配置されている領域である。なお、I/F基板12上の他の領域にも、このような回路配置領域が設けられているようにしてもよい。
【0020】
(C-2.噴射部11)
噴射部11は、図1に示したように、複数のノズル孔Hnを有しており、これらのノズル孔Hnからインク9を噴射する部分である。このようなインク9の噴射は、各フレキシブル基板13a,13b,13c,13d上の後述する駆動デバイス41から供給される駆動信号Sd(駆動電圧Vd)に従って、行われるようになっている(図1参照)。
【0021】
このような噴射部11は、図1に示したように、アクチュエータプレート111およびノズルプレート112を含んで構成されている。
【0022】
(ノズルプレート112)
ノズルプレート112は、ポリイミド等のフィルム材または金属材料により構成されたプレートであり、図1に示したように、上記した複数のノズル孔Hnを有している。これらのノズル孔Hnは、所定の間隔をおいて並んで形成されており、例えば円形状となっている。
【0023】
具体的には、図2に示した噴射部11の例では、ノズルプレート112内における複数のノズル孔Hnが、列方向(X軸方向)に沿ってそれぞれ配置された、複数のノズル列(4つのノズル列)により構成されている。また、これらの4つのノズル列同士は、列方向と直交する方向(Y軸方向)に沿って、並んで配置されている。
【0024】
なお、このようなノズル孔Hnは、本開示における「ノズル」の一具体例に対応している。
【0025】
(アクチュエータプレート111)
アクチュエータプレート111は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料により構成されたプレートである。このアクチュエータプレート111には、複数のチャネル(圧力室)が設けられている。これらのチャネルは、インク9に対して圧力を印加するための部分であり、所定の間隔をおいて互いに平行となるよう、並んで配置されている。各チャネルは、圧電体からなる駆動壁(不図示)によってそれぞれ画成されており、断面視にて凹状の溝部となっている。
【0026】
このようなチャネルには、インク9を吐出させるための吐出チャネルと、インク9を吐出させないダミーチャネル(非吐出チャネル)とが、存在している。言い換えると、吐出チャネルにはインク9が充填される一方、ダミーチャネルにはインク9が充填されないようになっている。なお、各吐出チャネルに対するインク9の充填は、例えば、そのような各吐出チャネルに共通して連通する流路(共通流路)を介して、行われるようになっている。また、各吐出チャネルは、ノズルプレート112におけるノズル孔Hnと個別に連通している一方、各ダミーチャネルは、ノズル孔Hnには連通しないようになっている。これらの吐出チャネルとダミーチャネルとは、前述した列方向(X軸方向)に沿って、交互に並んで配置されている。
【0027】
また、上記した駆動壁における対向する内側面にはそれぞれ、駆動電極が設けられている。この駆動電極には、吐出チャネルに面する内側面に設けられたコモン電極(共通電極)と、ダミーチャネルに面する内側面に設けられたアクティブ電極(個別電極)とが、存在している。これらの駆動電極と、後述する駆動デバイス41との間は、各フレキシブル基板13a,13b,13c,13dを介して、電気的に接続されている。これにより、各フレキシブル基板13a,13b,13c,13dを介して、駆動デバイス41から各駆動電極に対し、前述した駆動電圧Vd(駆動信号Sd)が印加されるようになっている(図1参照)。
【0028】
(C-3.フレキシブル基板13a,13b,13c,13d)
フレキシブル基板13a,13b,13c,13dはそれぞれ、図2図3に示したように、I/F基板12と噴射部11との間を電気的に接続する基板である。これらのフレキシブル基板13a,13b,13c,13dはそれぞれ、前述したノズルプレート112における4列のノズル列ごとのインク9の噴射動作を、個別に制御するようになっている。また、例えば図3中の符号P1a,P1b,P1c,P1dにて示したように、各フレキシブル基板13a,13b,13c,13dが噴射部11と接続する箇所付近(圧着電極433付近)では、各フレキシブル基板13a,13b,13c,13dが、折り曲げられるようになっている。なお、圧着電極433と噴射部11との間は、例えばACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)を用いた熱圧着によって、互いに電気的接続がなされるようになっている。
【0029】
このようなフレキシブル基板13a,13b,13c,13d上にはそれぞれ、駆動デバイス41が個別に実装されている(図3参照)。これらの駆動デバイス41はそれぞれ、噴射部11における対応するノズル列内のノズル孔Hnからインク9を噴射させるための、駆動信号Sd(駆動電圧Vd)を出力するデバイスである。したがって、各フレキシブル基板13a,13b,13c,13dからは、このような駆動信号Sdが、噴射部11に対して出力されるようになっている。なお、このような各駆動デバイス41は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成されている。
【0030】
また、これらの各駆動デバイス41は、前述した冷却ユニット141,142によって冷却されるようになっている。具体的には図3に示したように、フレキシブル基板13a,13b上の駆動デバイス41同士の間に、冷却ユニット141が固定配置されており、この冷却ユニット141がこれらの駆動デバイス41に対してそれぞれ押し当てられることで、各駆動デバイス41が冷却されている。同様に、フレキシブル基板13c,13d上の駆動デバイス41同士の間に、冷却ユニット142が固定配置されており、この冷却ユニット142がこれらの駆動デバイス41に対してそれぞれ押し当てられることで、各駆動デバイス41が冷却されている。なお、このような冷却ユニット141,142はそれぞれ、各種方式の冷却機構を用いて構成することが可能である。
【0031】
[フレキシブル基板13a,13b,13c,13dの詳細構成]
続いて、図1図3に加えて、図4A図4B図5図8を参照して、前述したフレキシブル基板13a,13b,13c,13dの詳細構成例について、説明する。
【0032】
図4A図4Bは、図2図3に示したフレキシブル基板13a~13dの詳細構成例を、模式的に平面図(Z-X平面図)で表したものである。具体的には、図4Aは、フレキシブル基板13a,13cの平面構成例(Z-X平面構成例)を、図4Bは、フレキシブル基板13b,13dの平面構成例(Z-X平面構成例)を、それぞれ示している。また、図5は、図4Bに示したフレキシブル基板13b,13d内での各配線等の配置構成例を、模式的に平面図(Z-X平面図)で表したものである。図6は、本実施の形態に係る駆動デバイス41の詳細構成例を、模式的に平面図(Z-X平面図)で表したもの(後述する裏面S2側から図示した場合の構成例)である。図7図8はそれぞれ、本実施の形態に係るフレキシブル基板13(13a~13d)の詳細構成例を、模式的に平面図(Z-X平面図)で表したもの(後述する裏面S2側から図示した場合の構成例)である。
【0033】
なお、図5では、フレキシブル基板13b,13dを、フレキシブル基板13と総称して示している。また、この図5では、フレキシブル基板13b,13bの場合の構成例について示しているが、上記したフレキシブル基板13a,13cの場合についても、基本的には同様の構成となっている。したがって、図7図8ではそれぞれ、フレキシブル基板13a~13dの総称としてフレキシブル基板13と示しており、以降では適宜、フレキシブル基板13として説明する。また、図4A図4Bでは、後述する差動線路Lt1,Lt2,Lt31~Lt34をそれぞれ、差動線路Ltと総称して示しており、以降では適宜、差動線路Ltとして説明する。
【0034】
ここで、上記したフレキシブル基板13(13a~13d)はそれぞれ、本開示における「駆動基板」の一具体例に対応している。
【0035】
まず、図4A図4B図5にそれぞれ示したように、これらのフレキシブル基板13a~13dにはそれぞれ、以下のような各部材が、設けられている。すなわち、接続電極130、第1入力端子Tin1、第2入力端子Tin2、差動線路Lt1,Lt2,Lt31~Lt34、複数(この例では5つ)の駆動デバイス41、および、前述した圧着電極433が、設けられている。
【0036】
接続電極130は、各フレキシブル基板13a~13dにおけるI/F基板12側の端部領域に配置されており、各フレキシブル基板13a~13dとI/F基板12との間を、電気的に接続するための電極である。
【0037】
第1入力端子Tin1および第2入力端子Tin2にはそれぞれ、インクジェットヘッド1の外部(前述した印刷制御部2)から伝送される伝送データDt(前述した印刷制御信号Sc)が、入力されるようになっている(図1図2図4A図4B図5参照)。また、このような伝送データDtは、第1入力端子Tin1および第2入力端子Tin2のうちの一方入力端子を介して、各フレキシブル基板13a~13d内に伝送されるようになっている。具体的には、例えば図4Aに示したように、フレキシブル基板13a,13cではそれぞれ、第1入力端子Tin1を介して、伝送データDtが各フレキシブル基板13a,13c内に、伝送されるようになっている。一方、例えば図4B図5に示したように、フレキシブル基板13b,13dではそれぞれ、第2入力端子Tin2を介して、伝送データDtが各フレキシブル基板13b,13d内に、伝送されるようになっている。
【0038】
上記した5つの駆動デバイス41はそれぞれ、図4A図4B図5に示した例では、各フレキシブル基板13a~13d上(表面S1および裏面S2のうちの、表面S1側)に実装されている。このような5つの駆動デバイス41として、図4A図4B図5に示した例では、駆動デバイス411~415が、それぞれ設けられている。また、これら5つの駆動デバイス41は、第1入力端子Tin1と第2入力端子Tin2との間において、後述する複数の差動線路を経由して、上記した表面S1上で、互いに直列配置(カスケード接続)されている。具体的には、図4A図4B図5に示したように、各フレキシブル基板13a~13dのいずれにおいても、第1入力端子Tin1側から第2入力端子Tin2側へ向けて、駆動デバイス411~415の順で、直列配置されている。換言すると、このような駆動デバイス41の直列配置のうちの一端に、駆動デバイス411が位置すると共に、この直列配置の他端に、駆動デバイス415が位置している。そして、これらの駆動デバイス411,415の間に、複数(この例では3つ)の駆動デバイス412~414が位置している。これら5つの駆動デバイス41はそれぞれ、上記したように、第1入力端子Tin1および第2入力端子Tin2のうちの一方の入力端子を介して入力された伝送データDtに基づいて、前述した駆動信号Sdを生成するようになっている。なお、このようにして生成された駆動信号Sdはそれぞれ、各フレキシブル基板13a~13d上の前述した圧着電極433を介して、噴射部11側へと供給されるようになっている。
【0039】
また、第1入力端子Tin1と第2入力端子Tin2との間には、互いに直列配置された5つの駆動デバイス41を介して、伝送データDtを伝送するための複数の伝送線路(差動線路)が配置されている。換言すると、この差動線路は、各駆動デバイス41へ向けて、差動信号としての伝送データDtを伝送するための線路である。具体的には、図4A図4B図5に示したように、第1入力端子Tin1と駆動デバイス411との間には、差動線路Lt1が配置され、第2入力端子Tin2と駆動デバイス415との間には、差動線路Lt2が配置されている。また、駆動デバイス411,412の間には差動線路Lt31が配置され、駆動デバイス412,413の間には差動線路Lt32が配置されている。駆動デバイス413,414の間には差動線路Lt33が配置され、駆動デバイス414,415の間には差動線路Lt34が配置されている。
【0040】
ここで、上記したように、フレキシブル基板13a,13cとフレキシブル基板13b,13dとではそれぞれ、伝送データDtが入力される入力端子(第1入力端子Tin1または第2入力端子Tin2)が、互いに異なっている(図4A図4B図5参照)。また、それに伴い、フレキシブル基板13a,13cとフレキシブル基板13b,13dとではそれぞれ、入力された伝送データDtにおける基板内での伝送方向が、互いに異なっている。すなわち、フレキシブル基板13a,13cではそれぞれ、第1入力端子Tin1から入力された伝送データDtが、駆動デバイス411~415の順に、伝送されるようになっている(図4A参照)。一方、フレキシブル基板13b,13dではそれぞれ、第2入力端子Tin2から入力された伝送データDtが、駆動デバイス415~411の順に、伝送されるようになっている(図4B図5参照)。
【0041】
このようにして、フレキシブル基板13a,13cとフレキシブル基板13b,13dとではそれぞれ、伝送データDtが入力される入力端子および伝送データDtが出力される出力端子が、互いに異なっている。ただし、これらのフレキシブル基板13a,13cとフレキシブル基板13b,13dとではそれぞれ、基板の構造自体は互いに同一となっており、各フレキシブル基板13a~13dの構成が、共通化(共用)されている(図4A図4B図5参照)。つまり、伝送データDtの伝送方向等に応じて複数種類のフレキシブル基板(駆動基板)を用意する必要がなく、インクジェットヘッド1内において、1種類のフレキシブル基板13(駆動基板)のみが、設けられていることになる。
【0042】
また、図5に示したように、このフレキシブル基板13には、各駆動デバイス41(駆動デバイス411~415)へ向けて駆動用の所定の定電位を供給するための、駆動用定電位ラインLdが配置されている。この駆動用定電位ラインLdとしては、詳細は後述するが、所定の定電位Vvを供給するための定電位配線Wvが、設けられている(図7図8参照)。また、この定電位配線Wvは、定電位Vvとしての電源電位Vpを供給するための電源配線Wpと、定電位Vvとしてのグランド電位Vgを供給するためのグランド配線Wgとを、含んでいる(図7図8参照)。更に、フレキシブル基板13(裏面S2)には、駆動デバイス41以外の各種部品が配置されている、部品配置領域40が設けられている。
【0043】
なお、このフレキシブル基板13は、前述した表面S1および裏面S2を有する、2層構造の両面基板となっている。つまり、このフレキシブル基板13は、そのような2層構造の配線層として、基板面(Z―X平面)と直交する方向(Y軸方向)に沿って互いに対向する、表面S1側の第1配線層と、裏面S2側の第2配線層とを、有している。
【0044】
(駆動デバイス41および各種配線)
上記した各駆動デバイス41(駆動デバイス411~415)は、フレキシブル基板13における表面S1側(上記した第1配線層)に、実装されている。具体的には、本実施の形態では、各駆動デバイス41は、フレキシブル基板13における基板面(表面S1)上に、後述する各種の端子(バンプ)を介して、フリップチップ実装されている。なお、図6図8中には、駆動デバイス41における基板面への被実装領域Am(フレキシブル基板13上での駆動デバイス41の実装領域)を、示している。
【0045】
このような駆動デバイス41は、図6図8に示した例では、デジタル回路配置領域410、2つのデータ入力端子Tin、2つのデータ出力端子Tout、複数のデバイス制御端子Tc、複数の駆動端子Td、複数の定電位端子Tv、および、複数のデジタルグランド端子Tdgを、有している。なお、「デジタルグランド」とは、デジタル信号に対するグランドのことを意味しており、以下同様である。
【0046】
デジタル回路配置領域410は、図6に示したように、上記した被実装領域Am内において、後述する複数のデバイス制御端子Tcと複数の定電位端子Tvとの間の領域に、駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿って延在している。このデジタル回路配置領域410には、駆動デバイス41における各種のデジタル回路(駆動信号Sdを生成するためのデジタル回路等)が、配置されている。
【0047】
データ入力端子Tinおよびデータ出力端子Toutにはそれぞれ、データ配線としての前述した差動線路Ltが接続されるようになっており、この差動線路Ltを介して伝送データDtが伝送されるようになっている。具体的には、データ入力端子Tinには差動線路Ltを介して伝送データDtが入力され、データ出力端子Toutから差動線路Ltを介して伝送データDtが出力されるようになっている。図6図8に示した例では、これらのデータ入力端子Tinおよびデータ出力端子Toutは、駆動デバイス41の入力側(Z軸に沿った正方向側)において、駆動デバイス41の長手方向(X軸方向)に沿った両端付近に配置されている。
【0048】
ここで、上記した伝送データDt(印刷制御信号Scに含まれる各種のデータ)は、本開示における「データ」の一具体例に対応している。また、差動線路Lt(Lt1,Lt2,Lt31~Lt34)は、本開示における「データ配線」および「差動伝送配線」の一具体例に対応している。
【0049】
デバイス制御端子Tcは、フレキシブル基板13上におけるデバイス制御配線Wc(駆動デバイス41に対して各種制御を行うための配線:図7図8参照)を、駆動デバイス41に対して電気的に接続するための端子である。つまり、このようなデバイス制御端子Tcに対して、デバイス制御配線Wcが個別に電気的接続されている。図6図8に示した例では、複数のデバイス制御端子Tcが、駆動デバイス41の入力側(データ入力端子Tinおよびデータ出力端子Toutの間の領域)において、駆動デバイス41の長手方向に沿って並んで配置されている。また、図6図8に示した例では、これら複数のデバイス制御端子Tcが、駆動デバイス41の長手方向に沿って配置された、2つのデバイス制御端子群に区別(グループ化)されている。
【0050】
駆動端子Tdは、駆動信号Sdを個別に伝送するための配線(駆動信号配線)を、駆動デバイス41に対して電気的に接続するための端子である。つまり、このような駆動端子Tdに対して、駆動信号配線が個別に電気的接続されている。図6図8に示した例では、複数(例えば128個)の駆動端子Tdが、駆動デバイス41の出力側(Z軸に沿った負方向側)において、駆動デバイス41の長手方向に沿って並んで配置されている。また、図6図8に示した例では、これら複数の駆動端子Tdが、駆動デバイス41の長手方向に沿って配置された、2つの駆動端子群に区別(グループ化)されている。なお、一例として、これら2つの駆動端子群はそれぞれ、64個ずつの駆動端子Tdを含んで構成されている。
【0051】
定電位端子Tvは、前述した所定の定電位Vv(電源電位Vpまたはグランド電位Vg)を供給するための定電位配線Wv(図7図8参照)を、駆動デバイス41に対して電気的に接続するための端子である。この定電位端子Tvは、図6に示した例では、複数の電源端子Tpと、複数のグランド端子Tgとを、有している。また、図6に示した例では前述したように、定電位配線Wvは、電源電位Vpを供給するための電源配線Wpと、グランド電位Vgを供給するためのグランド配線Wgとを、含んでいる。
【0052】
図6に示した例では、これら複数の電源端子Tpおよび複数のグランド端子Tgはそれぞれ、駆動デバイス41における複数のデバイス制御端子Tcと複数の駆動端子Tdとの間の領域において、駆動デバイス41の長手方向に沿って並んで配置されている。具体的には、これらの電源端子Tpおよびグランド端子Tgはそれぞれ、駆動デバイス41における被実装領域Am内において、上記した複数の駆動端子Tdと近接して配置されている。なお、本実施の形態では、駆動デバイス41は基板面上にフリップチップ実装されていることから、これらの電源端子Tpおよびグランド端子Tgのうちの一部は、駆動デバイス41における内部領域にも、配置されている。
【0053】
また、図7図8に示したように、駆動デバイス41における複数の定電位端子Tv(電源端子Tpまたはグランド端子Tg)の配置位置(長手方向:X軸方向)に沿って、定電位配線Wv(電源配線Wpまたはグランド配線Wg)が延在している。これらの電源配線Wpおよびグランド配線Wgから、各電源端子Tpおよび各グランド端子Tgを介して、駆動デバイス41に対して電源電位Vpおよびグランド電位Vgがそれぞれ、個別に供給されるようになっている。
【0054】
デジタルグランド端子Tdgは、駆動デバイス41の被実装領域Am内において、互いに異なる複数箇所に配置されている。具体的には、図6図8の例では、複数のデジタルグランド端子Tdgが、被実装領域Am内の6箇所に分けて(点在するように)配置されている。詳細には、上記した複数の駆動端子Tdにおける2つの駆動端子群の間の位置と、上記した複数のデバイス制御端子Tcにおける2つのデバイス制御端子群の間の位置と、一方のデバイス制御端子群とデータ入力端子Tinとの間の位置と、他方のデバイス制御端子群とデータ出力端子Toutとの間の位置と、デジタル回路配置領域410の長手方向(X軸方向)に沿った両端側の位置とにそれぞれ、複数個(2個または3個)ずつのデジタルグランド端子Tdgが配置されている。
【0055】
また、例えば図7図8に示したように、本実施の形態のフレキシブル基板13では、これら複数箇所に位置するデジタルグランド端子Tdgのうちの、2箇所以上のデジタルグランド端子Tdgに対して、デジタルグランド配線Wdgが電気的に共通接続されている。具体的には、図7図8の例では、駆動デバイス41における図中の左上側に位置する2箇所のデジタルグランド端子Tdg同士が、逆L字型形状のデジタルグランド配線Wdg1を介して、互いに電気的に共通接続されている。また、駆動デバイス41における図中の右上側に位置する2箇所のデジタルグランド端子Tdg同士が、L字型形状のデジタルグランド配線Wdg3を介して、互いに電気的に共通接続されている。なお、図7図8の例では、複数のデバイス制御端子Tcにおける2つのデバイス制御群間に位置する1箇所のデジタルグランド端子Tdgが、デジタルグランド配線Wdg2に対して電気的接続されていると共に、複数のデバイス制御端子Tcにおける2つのデバイス制御端子群間に位置するデジタルグランド端子Tdgは、デジタルグランド配線Wdgに電気的接続されていない。
【0056】
また、図7に示したフレキシブル基板13の例では、上記したデジタルグランド配線Wdg1における一端側が、多数のスルーホールTHを介して、駆動デバイス41外部のデジタルグランド領域DGaに対して電気的接続されている。一方、このデジタルグランド配線Wdg1における他端側は、1つのスルーホールTHのみを介して、駆動デバイス41外部のデジタルグランド領域DGbに対して電気的接続されている。つまり、このデジタルグランド配線Wdg1における一端側は、安定的なデジタルグランド領域DGaに対して電気的接続されている一方、デジタルグランド配線Wdg1における他端側は、不安定なデジタルグランド領域DGbに対して電気的接続されている。これにより、デジタルグランド配線Wdg1の一方側には安定的なグランド領域を配置できない場合であっても、他方側には安定的なグランド領域を配置するといった構成が可能となる。
【0057】
ちなみに、図8に示したフレキシブル基板13の例では、上記したデジタルグランド配線Wdg1における一方側のみが、多数のスルーホールTHを介して、駆動デバイス41外部のデジタルグランド領域DGcに対して電気的接続されている。つまり、デジタルグランド配線Wdg1における他方側は、駆動デバイス41外部のデジタルグランド領域には、電気的接続されていない。この場合においても、デジタルグランド配線Wdg1の一方側には、安定的なグランド領域が配置されていることになる。
【0058】
(差動線路Lt)
前述した差動線路Lt(差動線路Lt1,Lt2,Lt31~Lt34)はそれぞれ、図6図8に示したように、フレキシブル基板13における表面S1側(前述した第1配線層)に、配置されている。これらの各差動線路Ltは、前述したように、差動信号としての伝送データDtを伝送するための線路であり、例えば、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)を用いて構成されている。ただし、各差動線路Ltが、例えば、CML(Current Mode Logic)やECL(Emitter Coupled Logic)等を用いて構成されていてもよい。また、これらの各差動線路Ltは、例えば、いわゆるマイクロストリップ線路やコプレーナ線路を用いて構成されている。
【0059】
なお、このような各差動線路Lt上に、各種の部品(例えば、出力側デバイスと入力側デバイスとの間でコモン電圧が異なる場合などに必要となる、ACカップリング用のコンデンサなど)や、スルーホールなどを配置するようにしてもよい。また、スルーホールを配置するようにした場合、このスルーホール上にてインピーダンスコントロールを行うために、各種の電源配線Wpやグランド配線Wgの近傍に、スルーホールを配置するようにしてもよい。
【0060】
[動作および作用・効果]
(A.プリンタ5の基本動作)
このプリンタ5では、以下のようなインクジェットヘッド1によるインク9の噴射動作を用いて、被記録媒体(記録紙P等)に対する画像や文字等の記録動作(印刷動作)が行われる。具体的には、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、以下のようにして、せん断(シェア)モードを用いたインク9の噴射動作が行われる。
【0061】
まず、各フレキシブル基板13a,13b,13c,13d上の駆動デバイス41はそれぞれ、噴射部11におけるアクチュエータプレート111内の前述した駆動電極(コモン電極およびアクティブ電極)に対し、駆動電圧Vd(駆動信号Sd)を印加する。具体的には、各駆動デバイス41は、前述した吐出チャネルを画成する一対の駆動壁に配置された各駆動電極に対し、駆動電圧Vdを印加する。これにより、これら一対の駆動壁がそれぞれ、その吐出チャネルに隣接するダミーチャネル側へ、突出するように変形する。
【0062】
このとき、駆動壁における深さ方向の中間位置を中心として、駆動壁がV字状に屈曲変形することになる。そして、このような駆動壁の屈曲変形により、吐出チャネルがあたかも膨らむように変形する。このように、一対の駆動壁での圧電厚み滑り効果による屈曲変形によって、吐出チャネルの容積が増大する。そして、吐出チャネルの容積が増大することにより、インク9が吐出チャネル内へ誘導されることになる。
【0063】
次いで、このようにして吐出チャネル内へ誘導されたインク9は、圧力波となって吐出チャネルの内部に伝播する。そして、ノズルプレート112のノズル孔Hnにこの圧力波が到達したタイミング(またはその近傍のタイミング)で、駆動電極に印加される駆動電圧Vdが、0(ゼロ)Vとなる。これにより、上記した屈曲変形の状態から駆動壁が復元する結果、一旦増大した吐出チャネルの容積が、再び元に戻ることになる。
【0064】
このようにして、吐出チャネルの容積が元に戻る過程で、吐出チャネル内部の圧力が増加し、吐出チャネル内のインク9が加圧される。その結果、液滴状のインク9が、ノズル孔Hnを通って外部へと(記録紙Pへ向けて)吐出される(図1参照)。このようにしてインクジェットヘッド1におけるインク9の噴射動作(吐出動作)がなされ、その結果、記録紙Pに対する画像や文字等の記録動作が行われる。
【0065】
(B.インクジェットヘッド1における作用・効果)
続いて、本実施の形態のインクジェットヘッド1における作用および効果について、比較例等と比較しつつ、詳細に説明する。
【0066】
まず、従来の一般的なインクジェットヘッドにて使用される駆動基板では、印刷速度の高速化の要求により、駆動デバイス内部におけるデジタル回路の高速化が、必要となっている。ただし、高速なデジタル回路では、動作電圧を低下させる必要があるため、ノイズ孔による誤動作という問題も生じ易い。特にインクジェットヘッドではアクチュエータを駆動する際に、通常のデジタル回路よりも高い電圧を取り扱うことが多いため、この駆動によるノイズからデジタル回路を防御する配線が、重要となっている。
【0067】
また、近年のインクジェットヘッドの多機能化に伴い、駆動デバイス自体の動作設定を行う際に必要となる制御端子などが増加していることから、駆動デバイス内部のデジタル回路に対して、適切なデジタルグランドを配置することが困難となっている。具体的には、駆動デバイスに接続されるグランドは、例えば、駆動基板の両端にのみ存在しているが、この駆動デバイス内部のデジタル回路での高速化を考慮すると、駆動デバイスのデジタルグランドは強化することが望ましいと言える。
【0068】
(B-1.比較例)
ここで、図9は、比較例に係る駆動基板(フレキシブル基板103)の構成例を、模式的に平面図(Z-X平面図)で表したもの(裏面S2側から図示した場合の構成例)である。
【0069】
この比較例のフレキシブル基板103では、上記した本実施の形態のフレキシブル基板13(図7図8)とは異なり、デジタルグランド配線Wdgが、以下のように配置されている。すなわち、この比較例のフレキシブル基板103では、駆動デバイス41において互いに異なる複数箇所に位置している複数のデジタルグランド端子Tdgに対して、各所にデジタルグランド配線Wdgが電気的接続されている。具体的には図9に示したように、このフレキシブル基板103では、複数箇所(この例では5箇所)のデジタルグランド端子Tdgの各々に対して、デジタルグランド配線Wdgが個別に電気的接続されている。
【0070】
ここで、デジタルグランド端子Tdgが駆動デバイス41の各所に点在している場合、駆動デバイス41内部のデジタル回路の安定動作に対しては、有利に働く。ただし、デバイス制御端子Tcなどの個数が多くなった場合、点在したデジタルグランド端子Tdgとデバイス制御端子Tcとの間の電気的接続が、困難となる。具体的には、駆動デバイスが実装された基板面上には、各デバイス制御端子Tcに接続されるデバイス制御配線Wcが非常に多くなると共に、それらのデバイス制御配線Wcが密集した状態となる。そのため、デジタルグランド端子Tdgに対して電気的接続されるデジタルグランド配線Wdgや電源配線の配置が困難となり、貧弱になる。これは、上記したデジタル回路のノイズによる誤動作につながるものである。
【0071】
これらのことから、比較例のフレキシブル基板103では、駆動デバイス41に対して安定的なデジタルグランドを供給したり、フレキシブル基板103の基板面上での配線配置の効率化を図ることが、困難である。その結果、この比較例では、駆動デバイス41の動作の安定化を図ることが困難となり、信頼性の低下を招くおそれがあると言える。
【0072】
(B-2.作用・効果)
これに対して、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、以下のような構成となっていることで、例えば、以下のような作用および効果が得られる。
【0073】
すなわち、まず、このインクジェットヘッド1では、駆動デバイス41において互いに異なる複数箇所に位置するデジタルグランド端子Tdgのうちの、2箇所以上のデジタルグランド端子Tdgに対して、デジタルグランド配線Wdg(Wdg1,Wdg3)が電気的に共通接続されている。
【0074】
これにより、駆動デバイス41の外部からデジタルグランド配線Wdgを導入する際に、複数箇所のデジタルグランド端子Tdgの各々に対して、前述した比較例の場合とは異なり、安定的なデジタルグランド領域を配置する必要性が、低くなる。つまり、デジタルグランド配線Wdgに対して電気的接続された2箇所以上のデジタルグランド端子Tdgのうちの、少なくとも1箇所のデジタルグランド端子Tdgに対して、そのような安定的なデジタルグランド領域(例えば、前述したデジタルグランド領域DGa,DGcなど)を配置すれば、済むようになる。したがって、駆動デバイス41に対して安定的なデジタルグランドを供給しつつ、フレキシブル基板13の基板面上での配線配置の効率化を図ることができる。その結果、駆動デバイス41の動作の安定化を図ることができ、信頼性を向上させることが可能となる。
【0075】
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1-1~1-3,2-1,2-2)について説明する。なお、以下では、実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0076】
[変形例1-1~1-3]
(構成)
図10図12はそれぞれ、変形例1-1,1-2,1-3に係るフレキシブル基板13A,13B,13Cの詳細構成例を、模式的に平面図(Z-X平面図)で表したもの(裏面S2側から図示した場合の構成例)である。
【0077】
ここで、このような変形例1-1,1-2,1-3に係るフレキシブル基板13A,13B,13Cはそれぞれ、本開示における「駆動基板」の一具体例に対応している。
【0078】
図10図12に示したように、変形例1-1~1-3のフレキシブル基板13A~13Cは、実施の形態のフレキシブル基板13(図7図8参照)において、デジタルグランド配線Wdgの代わりにデジタルグランド配線Wdga,Wdgcを設けるようにしたものに対応しており、他の構成は基本的に同様となっている。
【0079】
具体的には、変形例1-1,1-2のフレキシブル基板13A,13Bでは、図10図11に示したように、デジタルグランド配線Wdgの代わりに、デジタルグランド配線Wdgaが設けられている。また、変形例1-3のフレキシブル基板13Cでは、図12に示したように、デジタルグランド配線Wdgの代わりに、デジタルグランド配線Wdgcが設けられている。
【0080】
これらのデジタルグランド配線Wdga,Wdgcはそれぞれ、駆動デバイス41における各箇所のデジタルグランド端子Tdgに対して、電気的に共通接続されていると共に、以下のような第1ガード領域Ag1を有している。この第1ガード領域Ag1は、駆動デバイス41におけるデジタル回路配置領域410(各種のデジタル回路が配置された領域)の少なくとも一部と、重なるように形成されている。具体的には、図10図12の例では、第1ガード領域Ag1が、デジタル回路配置領域410の全領域と重なっている。
【0081】
また、フレキシブル基板13Aでは、複数のデバイス制御配線Wcがいずれも、デジタルグランド配線Wdgaとは電気的に接続されていない(図10参照)。一方、フレキシブル基板13B,13Cではそれぞれ、複数のデバイス制御配線Wcのうちの少なくとも1つ(この例では全てのデバイス制御配線Wc)が、第1ガード領域Ag1内において、デジタルグランド配線Wdga,Wdgcと電気的に接続されている(図11図12参照)。
【0082】
また、フレキシブル基板13A,13Bにおけるデジタルグランド配線Wdgaでは、5箇所のデジタルグランド端子Tdgに対する各接続箇所から、駆動デバイス41の外部(デジタルグランド領域)へと、配線が引き出されている(図10図11参照)。一方、フレキシブル基板13Cにおけるデジタルグランド配線Wdgcでは、5箇所のデジタルグランド端子Tdgに対する接続箇所のうちの一部については、駆動デバイス41の外部(デジタルグランド領域)へと、配線が引き出されていない(図12参照)。具体的には、3箇所のデジタルグランド端子Tdgに対する各接続箇所からは、駆動デバイス41の外部へと配線が引き出されている一方、残りの2箇所(図12中の符号P2a,P2bで示した箇所)からは、駆動デバイス41の外部へと配線が引き出されていない。
【0083】
(作用・効果)
このようにして変形例1-1~1-3のフレキシブル基板13A~13Cでは、デジタルグランド配線Wdga,Wdgcにおいて、上記した第1ガード領域Ag1が設けられていることから、以下のようになる。すなわち、例えば、駆動デバイス41の近傍に配置された各種の電源配線からのノイズが、この駆動デバイス41におけるデジタル回路配置領域410内のデジタル回路へと混入することが、第1ガード領域Ag1によって防止される。これにより、駆動デバイス41の動作の更なる安定化を図ることができ、信頼性を更に向上させることが可能となる。
【0084】
また、特に変形例1-2,1-3では、複数のデバイス制御配線Wcのうちの少なくとも1つが、第1ガード領域Ag1内においてデジタルグランド配線Wdga,Wdgcと電気的に接続されていることから、以下のようになる。すなわち、デバイス制御端子Tcに対するグランド電位への設定を、第1ガード領域Ag1を用いて効率的に行うことができる。これにより、デバイス制御端子Tcの周囲に、他の電源や信号線を接続するための配線用の配置スペースが、確保し易くなる。その結果、フレキシブル基板13B,13Cの小型化を図ることが可能となり、インクジェットヘッドの小型化を図ることも可能となる。
【0085】
[変形例2-1,2-2]
(構成)
図13図14はそれぞれ、変形例2-1,2-2に係るフレキシブル基板13D,13Eの詳細構成例を、模式的に平面図(Z-X平面図)で表したもの(裏面S2側から図示した場合の構成例)である。具体的には、図13に示した変形例2-1のフレキシブル基板13Dでは、1つの駆動デバイス41周辺についての平面構成例を示しており、図14に示した変形例2-2のフレキシブル基板13Eでは、複数(2つ)の駆動デバイス41周辺についての平面構成例を示している。
【0086】
ここで、このような変形例2-1,2-2に係るフレキシブル基板13D,13Eはそれぞれ、本開示における「駆動基板」の一具体例に対応している。
【0087】
図13図14に示したように、変形例2-1,2-2のフレキシブル基板13D,13Eはそれぞれ、変形例1-1~1-3のフレキシブル基板13A~13C(図10図12参照)において、デジタルグランド配線Wdga,Wdgcの代わりにデジタルグランド配線Wdgd,Wdgeを設けるようにしたものに対応しており、他の構成は基本的に同様となっている。
【0088】
具体的には、変形例2-1のフレキシブル基板13Dでは、図13に示したように、デジタルグランド配線Wdga,Wdgcの代わりに、デジタルグランド配線Wdgdが設けられている。また、変形例2-2のフレキシブル基板13Eでは、図14に示したように、デジタルグランド配線Wdga,Wdgcの代わりに、デジタルグランド配線Wdgeが設けられている。
【0089】
これらのフレキシブル基板13D,13Eではそれぞれ、駆動デバイス41におけるデータ入力端子Tinおよびデータ出力端子Toutに対して、データ配線としての差動線路Lt(差動伝送配線)が、個別に電気的接続されている。また、フレキシブル基板13Eでは特に、複数の駆動デバイス41が、この差動線路Ltを介して互いにカスケード接続されている(図14参照)。つまり、一方の駆動デバイス41におけるデータ出力端子Toutと、他方の駆動デバイス41におけるデータ入力端子Tinとが、差動線路Ltを介して互いに接続されている。
【0090】
また、上記したデジタルグランド配線Wdgd,Wdgeはそれぞれ、このような差動線路Ltの周囲に配置されていると共に第1ガード領域Ag1と電気的に接続された、第2ガード領域Ag2を有している(図13図14参照)。つまり、これらのデジタルグランド配線Wdgd,Wdgeは、デジタルグランド配線Wdga,Wdgcにおいて、そのような第2ガード領域Ag2を更に設けたものに対応している。
【0091】
この第2ガード領域Ag2は、図13図14に示した例では、データ入力端子Tinおよびデータ出力端子Toutの各近傍において、差動線路Lt、データ入力端子Tinおよびデータ出力端子Toutの周囲を、X軸方向に沿った両側から、L字状に取り囲む形状となっている。また、特に図14に示したデジタルグランド配線Wdgeの例では、互いに隣接する複数の駆動デバイス41に対して、1つのデジタルグランド配線Wdgeが共通して配置されている。そして、これらの駆動デバイス41間で、第2ガード領域Ag2が差動線路Ltに沿って、延在している。言い換えると、一方の駆動デバイス41に対応する第1ガード領域Ag1と、他方の駆動デバイス41に対応する第1ガード領域Ag1とが、第2ガード領域Ag2を介して互いに接続されている(図14参照)。
【0092】
(作用・効果)
このようにして変形例2-1,2-2のフレキシブル基板13D,13Eでは、デジタルグランド配線Wdgd,Wdgeにおいて、第1ガード領域Ag1と電気的接続された第2ガード領域Ag2が、上記したデータ配線(差動線路Lt)の周囲に設けられていることから、以下のようになる。すなわち、例えば、駆動デバイス41の外部に配置された他のデジタルグランド等を用いることなく、データ配線に対するガード領域を設置できるようになる。これにより、フレキシブル基板13D,13Eの基板面上での配線配置の更なる効率化を図ることができるため、フレキシブル基板13D,13Eの小型化を図ることが可能となり、インクジェットヘッドの小型化を図ることも可能となる。
【0093】
また、これらの変形例2-1,2-2では、上記したデータ配線として差動線路Lt(差動伝送配線)を含んでいることから、デジタルグランド配線Wdgd,Wdgeにおける第2ガード領域Ag2を用いて、インピーダンスコントロールを行うことができるようになる。これにより、インピーダンスコントロールの自由度が上がるため、フレキシブル基板13D,13Eやインクジェットヘッドの更なる小型化を図ることが可能となる。
【0094】
更に、特に変形例2-2では、複数の駆動デバイス41が差動線路Ltを介して互いにカスケード接続されていることから、以下のようになる。すなわち、フレキシブル基板13Eの基板面上に複数の駆動デバイス41が実装されている場合においても、各駆動デバイス41に対して安定的なデジタルグランドを供給しつつ、基板面上での配線配置の効率化を図ることができる。これにより、各駆動デバイス41の動作の安定化を図ることができ、信頼性を向上させることが可能となる。
【0095】
<3.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例をいくつか挙げて本開示を説明したが、本開示はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0096】
例えば、上記実施の形態等では、プリンタおよびインクジェットヘッドにおける各部材の構成例(形状、配置、個数等)を具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の形状や配置、個数等であってもよい。
【0097】
具体的には、例えば、上記実施の形態等では、フレキシブル基板(駆動基板)、駆動デバイス、差動線路、各種の端子および各種の配線等の構成例(形状、配置、個数等)について、具体的に挙げて説明したが、これらの構成例は、上記実施の形態等で説明したものには限られない。例えば、上記実施の形態等では、本開示における「駆動基板」がフレキシブル基板である場合を、例に挙げて説明したが、例えば、本開示における「駆動基板」が、非フレキシブル基板であってもよい。また、上記実施の形態等では、複数の駆動基板がインクジェットヘッド内に設けられている場合の例について説明したが、この例には限られず、例えば、インクジェットヘッド内に1つの駆動基板のみが設けられているようにしてもよい。また、上記実施の形態等では、各駆動基板内に複数の駆動デバイスが、データ出力端子Toutとデータ入力端子Tinとの間のカスケード接続によって、互いに直列配置されて設けられている場合の例について説明したが、この例には限られない。すなわち、例えば、複数の駆動デバイスが(上記したようなカスケード接続ではなく、)互いに並列接続されていたり、あるいは、各駆動基板内に1つの駆動デバイスのみが設けられているようにしてもよい。更に、上記実施の形態等では、駆動デバイスの形状を長方形状としているが、この例には限られず、例えば正方形状であってもよい。加えて、上記実施の形態等では、複数の駆動デバイスが、それらの長手方向に沿って並んで配置されているが、この例には限られず、例えば複数の駆動デバイスが、それらの長手方向に沿って並んで配置されていないようにしてもよい。また、上記実施の形態等では、各駆動基板における基板面上に、各駆動デバイスがフリップチップ実装されている場合の例について説明したが、この例には限られず、例えば、各駆動デバイスが基板面上に、他の実装方法(半田による挿入実装、表面実装、ワイヤボンディング実装など)によって実装されているようにしてもよい。更に、上記実施の形態等では、伝送データDtを伝送するデータ配線が、差動伝送配線(差動線路Lt)である場合を例に挙げて説明したが、この場合には限られず、例えばデータ配線が、シングルエンド伝送の配線であってもよい。加えて、上記実施の形態等では主に、デジタル回路およびデジタルグランドに関する適用例について説明したが、例えば場合によっては、アナログ回路およびアナロググランド(アナログ信号に対するグランド)に関しても、本開示を適用するようにしてもよい。
【0098】
更に、上記実施の形態等で説明した各種パラメータの数値例については、実施の形態等で説明した数値例には限られず、他の数値であってもよい。
【0099】
また、インクジェットヘッドの構造としては、各タイプのものを適用することが可能である。すなわち、例えば、アクチュエータプレート111における各吐出チャネルの延在方向の中央部からインク9を吐出する、いわゆるサイドシュートタイプのインクジェットヘッドであってもよい。あるいは、例えば、各吐出チャネルの延在方向に沿ってインク9を吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのインクジェットヘッドであってもよい。更には、プリンタの方式としても、上記実施の形態等で説明した方式には限られず、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)方式など、各種の方式を適用することが可能である。
【0100】
更に、例えば、インクタンクとインクジェットヘッドとの間でインク9を循環させて利用する、循環式のインクジェットヘッド、あるいは、インク9を循環させずに利用する、非循環式のインクジェットヘッドのいずれであっても、本開示を適用することが可能である。
【0101】
また、上記実施の形態等で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。ソフトウェアで行われるようにした場合、そのソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。
【0102】
更に、上記実施の形態等では、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例として、プリンタ5(インクジェットプリンタ)を挙げて説明したが、この例には限られず、インクジェットプリンタ以外の他の装置にも、本開示を適用することが可能である。換言すると、本開示の「液体噴射ヘッド」(インクジェットヘッド)を、インクジェットプリンタ以外の他の装置に適用するようにしてもよい。具体的には、例えば、ファクシミリやオンデマンド印刷機などの装置に、本開示の「液体噴射ヘッド」を適用するようにしてもよい。
【0103】
加えて、これまでに説明した各種の例を、任意の組み合わせで適用させるようにしてもよい。
【0104】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0105】
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
複数のノズルを有する液体噴射ヘッドに適用する駆動信号を出力する基板であって、
基板面上に実装されており、前記ノズルから液体を噴射させるための前記駆動信号を生成すると共に、互いに異なる複数箇所に位置する複数のデジタルグランド端子を有する、1または複数の駆動デバイスと、
前記駆動デバイスの実装領域内に配置されており、前記複数箇所のデジタルグランド端子のうちの2箇所以上の前記デジタルグランド端子に対して、電気的に共通接続されたデジタルグランド配線と
を備えた駆動基板。
(2)
前記駆動デバイスは、前記実装領域内に、デジタル回路が配置されたデジタル回路配置領域を、更に有しており、
前記デジタルグランド配線は、前記デジタル回路配置領域の少なくとも一部と重なるように形成されている、第1ガード領域を有する
上記(1)に記載の駆動基板。
(3)
前記駆動デバイスは、複数のデバイス制御端子を更に有していると共に、
前記複数のデバイス制御端子に対して個別に電気的接続された、複数のデバイス制御配線が更に設けられており、
前記複数のデバイス制御配線のうちの少なくとも1つが、前記第1ガード領域内において、前記デジタルグランド配線と電気的に接続されている
上記(2)に記載の駆動基板。
(4)
前記駆動デバイスは、データが入力されるデータ入力端子と、前記データを出力するデータ出力端子と、を更に有していると共に、
前記データ入力端子および前記データ出力端子に対して個別に電気的接続されたデータ配線が、更に設けられており、
前記デジタルグランド配線は、前記データ配線の周囲に配置されていると共に前記第1ガード領域と電気的に接続された、第2ガード領域を更に有している
上記(2)または(3)に記載の駆動基板。
(5)
前記データ配線が、差動伝送配線を含む
上記(4)に記載の駆動基板。
(6)
複数の前記駆動デバイスが、前記差動伝送配線を介して互いにカスケード接続されている
上記(5)に記載の駆動基板。
(7)
上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の駆動基板と、
前記駆動基板から出力される前記駆動信号に基づいて前記液体を噴射する、前記複数のノズルを有する噴射部と
を備えた液体噴射ヘッド。
(8)
上記(7)に記載の液体噴射ヘッドを備えた
液体噴射記録装置。
【符号の説明】
【0106】
1…インクジェットヘッド、10…コネクタ、11…噴射部、111…アクチュエータプレート、112…ノズルプレート、12…I/F基板、120a,120b,120c,120d…コネクタ、121…回路配置領域、13,13a,13b,13c,13d,13A~13E…フレキシブル基板、130…接続電極、141,142…冷却ユニット、2…印刷制御部、3…インクタンク、30…インク供給管、40…部品配置領域、41,411~415…駆動デバイス、410…デジタル回路配置領域、433…圧着電極、5…プリンタ、9…インク、P…記録紙、Hn…ノズル孔、Dt…伝送データ、Sc…印刷制御信号、Sd…駆動信号、Vd…駆動電圧、S1…表面、S2…裏面、Tin1…第1入力端子、Tin2…第2入力端子、Tin…データ入力端子、Tout…データ出力端子、Tc…デバイス制御端子、Td…駆動端子、Tv…定電位端子、Tp…電源端子、Tg…グランド端子、Tdg…デジタルグランド端子、Lt1,Lt2,Lt31~Lt34…差動線路(差動伝送配線)、Ld…駆動用定電位ライン、Wc…デバイス制御配線、Wv…定電位配線、Wp…電源配線、Wg…グランド配線、Wdg,Wdg1~Wdg3,Wdga,Wdgc,Wdgd,Wdge…デジタルグランド配線、DGa~DGc…デジタルグランド領域、Ag1…第1ガード領域、Ag2…第2ガード領域、TH…スルーホール、Am…被実装領域。
図1
図2
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図4B
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