(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077946
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】冷却衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/005 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
A41D13/005 103
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190201
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】511190096
【氏名又は名称】株式会社ブレイン
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】大倉 博則
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AB11
3B011AC01
3B211AA01
3B211AB01
3B211AB11
3B211AC01
(57)【要約】
【課題】高温環境下で良好な冷却効果が得ることができる冷却衣服を提供すること。
【解決手段】前身頃と、前記前身頃と脇部及び肩部において連結される後身頃と、前記後身頃内に配置され、前記後身頃の外面に給水口を有する貯水袋と、前記前身頃及び前記後身頃の内面にサーペンタイン状に張り巡らされた循環路と、前記貯水袋に貯留する水を前記循環路に供給するポンプと、を具備し、前記水が前記循環路を循環することで着用者の身体を冷却すること、を特徴とする水冷衣服。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃と、
前記前身頃と脇部及び肩部において連結される後身頃と、
前記後身頃内に配置され、前記後身頃の外面に給水口を有する貯水袋と、
前記前身頃及び前記後身頃の内面にサーペンタイン状に張り巡らされた循環路と、
前記貯水袋に貯留する水を前記循環路に供給するポンプと、を具備し、
前記水が前記循環路を循環することで着用者の身体を冷却すること、
を特徴とする水冷衣服。
【請求項2】
前記循環路が、前記前身頃及び前記後身頃の内面に取り付けられたホースであること、
を特徴とする請求項1に記載の水冷衣服。
【請求項3】
前記循環路が、前記前身頃及び前記後身頃の縁部に沿って配置される外循環路と、前記外周部に囲まれた領域に配置される内循環路と、を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の水冷衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の身体を冷却することができる冷却衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高気温下での作業や運動から引き起こされる熱中症が問題視されている。熱中症が引き起こされると適切な処置を早急に行うことが重要であり、処置が遅れると死に至るケースもある。
【0003】
上記のような熱中症対策及び快適な作業環境を提供するために、身体を冷却しつつ作業を可能とする空調衣服が知られている(例えば、特許文献1参照)。この空調衣服は、左右の腰部に開口を有する上衣と、それら開口に装着された電動ファンと、を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、空調衣服は、外気を衣服内に取り込んで循環させるものであるため、外気温が40℃を超えるような高温環境下では良好な冷却効果が得られない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、高温環境下で良好な冷却効果が得ることができる冷却衣服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は、
前身頃と、
前記前身頃と脇部及び肩部において連結される後身頃と、
前記後身頃内に配置され、前記後身頃の外面に給水口を有する貯水袋と、
前記前身頃及び前記後身頃の内面にサーペンタイン状に張り巡らされた循環路と、
前記貯水袋に貯留する水を前記循環路に供給するポンプと、を具備し、
前記水が前記循環路を循環することで着用者の身体を冷却すること、
を特徴とする水冷衣服、を提供する。
【0008】
本発明の冷却衣服においては、前記循環路が、前記前身頃及び前記後身頃の内面に取り付けられたホースであること、が好ましい。
【0009】
また、本発明の冷却衣服においては、前記循環路が、前記前身頃及び前記後身頃の縁部に沿って配置される外循環路と、前記外周部に囲まれた領域に配置される内循環路と、を含むこと、が好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、着用者は、高温環境下で良好な冷却効果が得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る冷却衣服1の内面図及び外面図である。
【
図2】着用者Uに着用された冷却衣服1の前面図及び背面図である。
【
図5】貯水袋4に水Wを入れる様子を示す図である。
【
図6】凍った水の入ったペットボトルPを貯水袋4に入れる様子を示す図である。
【
図7】貯水袋4にペットボトルPが収納された状態を示す図である。
【
図9】ポンプ6と循環路5との接続関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る冷却衣服の代表的な実施形態について、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明は図示されるものに限られない。また、各図面は本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。更に、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
【0013】
ここでは、本発明に係る冷却衣服1の一例としてベストを挙げるが、本発明はこれに限られず、例えば作業服、ジャンパーなどの袖のあるタイプの衣服でもよい。
図1(A),(B)に示すように、冷却衣服1は、前身頃2、後身頃3、貯水袋4、循環路5、及びポンプ6を含む。冷却衣服1は、更にポンプ6の電源(図示せず)を含んでもよい。
以下、冷却衣服1の構成要素を詳細に説明する。
【0014】
前身頃2は、着用者Uの正面側を覆う生地である(
図2(A)参照)。ここでは、前身頃2は、着用の容易性の観点から左右のパーツ21,22に分かれており、例えばバックル等の留め具23,24により着脱自在に連結される(
図2(A)参照)。留め具23,24は調整ベルトのように長さを適宜変更できることが好ましい。
また、前身頃2は外面側にポケット25,26を有してもよい。
【0015】
後身頃3は、着用者Uの背面側を覆う生地であり、脇部29及び肩部27,28において前身頃2と連結される(
図2(B)参照)。すなわち、前身頃2及び後身頃3は、脇部29において一体的に連結されている。また、前身頃2及び後身頃3は、肩部27,28においては、面ファスナやバックル(調整ベルト)などの留め具27A,28Aにより着脱自在に連結されている。これは、冷却衣服1の着用者Uへの密着性を高めて、冷却効率を向上させるためである。
【0016】
後身頃3は、貯水袋4の給水口41及びキャップ42を覆うカバー31を有する(
図1(B)参照)。これにより、キャップ42への直接的なアクセスを防止し、キャップ42の意図しない(例えば他者による)開操作を抑制することができる。
【0017】
また、後身頃3は、ポンプ6を収納する収納空間32を有する。冷却衣服1の外部から収納空間32へはファスナ33を介してアクセス可能である(
図7及び
図8参照)。
収納空間32には、貯水袋4の取水口(図示せず)に繋がる孔34が形成され、孔34を介してポンプ6と取水口(図示せず)とが接続される。
収納空間32には、ポンプ6を保持するためのホルダ35が設けられている。
【0018】
後身頃3は袋状に形成されており、その内部には貯水袋4が配置されている(
図1(B)参照)。なお、貯水袋4は、前身頃2内にまで及んでいてもよい。
貯水袋4は、内部に水を貯めることができる袋体である。貯水袋4は、ウレタン樹脂や塩化ビニール樹脂等の樹脂材料で作製され、水密性を有する。ここでは、貯水袋4は、250ml程度の水を貯め、更に、凍らせた500mlのペットボトルを収納できることが好ましい(
図5、
図6参照)。
【0019】
貯水袋4は、後身頃3の外面に給水口41を有する(例えば
図1(B)及び
図4参照)。ここでは給水口41は後身頃3の上方に配置されているが、これに限られない。給水口41は、ねじ式のキャップ42により開閉され、これにより貯水袋4が水密に保たれる。
なお、図示しないが、貯水袋4は、ポンプ6を介して循環路5の一端に繋がる取水口、及び、循環路5の他端に繋がる排水口を有する。
【0020】
図1(A)に示すように、前身頃2及び後身頃3の内面側には循環路5が設けられている。循環路5は、前身頃2及び後身頃3の内面にサーペンタイン状に張り巡らされた、冷却水の流路である。循環路5は、例えば柔軟性を有する樹脂製のホースであり、前身頃2及び後身頃3の内面に露出している。
【0021】
ここで、サーペンタイン状の流路とは、折り返し部を介して水の流路の入口と出口とが連結されている循環路である。折り返し部の角度は、前身頃2及び後身頃3の形状に合わせて、それぞれ略180°でも略直角でも略鋭角(又は略鈍角)であってもよい。例えば面積が広く略矩形に近い後身頃3では、折り返し部を略180°の部分を設けて、水の流路の総面積を広くするとよい。他方、肩部27,28のような延出部のあるような前身頃2においては、折り返し部を略直角又は略鋭角(若しくは略鈍角)として、全体的に張り巡らせればよい。
【0022】
より具体的には、循環路5は、前身頃2及び後身頃3の縁部に沿って配置された外循環路51と、外循環路51によって囲まれた領域内に配置された内循環路52と、を含み、外循環路51と内循環路52とが繋がることで1つの循環路5を構成している。ただし、外循環路51と内循環路52とは、別個の循環路を構成してもよいし、少なくとも一方が分岐を有してもよい。
なお、循環路5の前身頃2及び後身頃3の内面への固定は例えば帯材ないしテープ材を用いて行うことができるが、これに限られない。
【0023】
ポンプ6は、貯水袋4に貯留する水を循環路5に供給する。ポンプ6としては、チューブポンプ、ダイヤフラムポンプ等を好適に使用することができるが、これに限られない。
ポンプ6は、一次電池や二次電池などの電源(図示せず)により作動する。電源としては携帯型電池が好ましく、例えばポケット25,26等に収納される。
【0024】
ポンプ6は、収納空間32内に収納され、ファスナ33を介してアクセスされる。また、ポンプ6は収納空間32内でホルダ35に固定されている(
図8及び
図9参照)。
【0025】
次いで、冷却衣服1の使用方法を説明する。
まず貯水袋4内に水を入れる。すなわち、カバー31を開け、キャップ42を露出させる(
図3及び
図4)。キャップ42を外して給水口41を開き、水Wを所定量だけ入れる(
図5参照)。
【0026】
ちなみに、通常時には、キャップ42がカバー31で覆われていることで、キャップ42が意図せず開操作されることがない(
図2(B)参照)。また、ねじ式のキャップ42で水を貯水袋4内に封止しているため、水が貯水袋4の外に漏れにくい。
【0027】
更には、凍らせた水ないし冷水を入れたペットボトルPを用意し、給水口41から貯水袋4中に入れてもよい(
図6及び
図7)。ペットボトルP内の氷ないし冷水により貯水袋4内の水が冷やされるため、冷却効果が向上する。
その後、キャップ42を取り付け、キャップ42をカバー31で覆う。
【0028】
そして、冷却衣服1を着用し(
図2参照)、冷却効率を高めるべく留め具23,24及び留め具27A,28Aで締め付け具合を調整する。即ち、冷却衣服1が全体的に身体に沿って固定されるように、留め具23,24及び留め具27A,28Aで冷却衣服1を身体に締め付ける。この際、窮屈になり過ぎないようにする。
【0029】
次に、電源(図示せず)を投入する。ポンプ6が貯水袋4内の水を循環路5に供給することで、水が循環路5を循環する。このとき、循環する水が着用者Uの身体から熱を奪うことで着用者Uの身体が冷却される。
【0030】
循環路5から貯水袋4に戻ってきた水は着用者Uからの熱で温められているが、貯水袋4内の水と混ざることによって冷却され、再び循環路5を巡る。これにより、着用者Uの身体は繰り返し冷却される。
【0031】
本実施形態では、冷却衣服1は、貯水袋4内の水が循環路5を循環することで着用者Uの身体を冷却することができる。とりわけ、凍らせたペットボトルで貯水袋4内の水を冷やすことで、冷却衣服1に冷水が流れて着用者Uの身体をより冷却することができる。
【0032】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明してきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲の記載の精神及び教示を逸脱しない範囲でその他の改良例や変形例が存在する。そして、かかる改良例や変形例は全て本発明の技術的範囲に含まれることは、当業者にとっては容易に理解されるところである。
【符号の説明】
【0033】
1 冷却衣服
2 前身頃
3 後身頃
4 貯水袋
41 給水口
42 キャップ
5 循環路
6 ポンプ
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在に連結される延出部で構成される肩部を含む左右のパーツからなる前身頃と、
前記前身頃に連結されている後身頃と、
前記後身頃内に配置され、前記後身頃の外面に給水口を有する貯水袋と、
前記前身頃及び前記後身頃の内面にサーペンタイン状に張り巡らされた循環路と、
前記貯水袋に貯留する水を前記循環路に供給するポンプと、を具備し、
前記循環路が、前記前身頃及び前記後身頃の縁部に沿って配置される外循環路と、前記外循環路に囲まれた領域に配置される内循環路と、を含み、
前記後身頃においては、前記循環路が略180°の折り返し部を有し、かつ、前記前身頃においては、前記循環路が略直角、略鋭角又は略鈍角の折り返し部を有し、
前記水が前記循環路を循環することで着用者の身体を冷却すること、
を特徴とする水冷衣服。
【請求項2】
前記循環路がホースで構成されていること、
を特徴とする請求項1に記載の水冷衣服。
【請求項3】
ベストタイプであること、
を特徴とする請求項1に記載の水冷衣服。