(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007795
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】エゼチミブ・ロスバスタチン配合錠
(51)【国際特許分類】
A61K 31/505 20060101AFI20240112BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240112BHJP
A61K 31/397 20060101ALI20240112BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240112BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240112BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240112BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240112BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240112BHJP
A61K 9/24 20060101ALI20240112BHJP
A61K 9/32 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A61K31/505
A61P3/06
A61K31/397
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/04
A61K47/32
A61K9/24
A61K9/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109123
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000207252
【氏名又は名称】ダイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083301
【弁理士】
【氏名又は名称】草間 攻
(72)【発明者】
【氏名】長田 結佳里
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 祥真
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 勝
(72)【発明者】
【氏名】辻井 賢
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA40
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC14
4C076DD05F
4C076DD29H
4C076DD29U
4C076DD41
4C076DD55F
4C076DD67
4C076EE06H
4C076EE16
4C076EE31B
4C076EE32B
4C076FF21
4C076FF37
4C076FF65
4C076GG14
4C086AA01
4C086BC03
4C086BC42
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA03
4C086ZC33
4C086ZC75
(57)【要約】
【課題】 エゼチミブ・ロスバスタチン配合錠において、ロスバスタチンの光分解物の生成を大幅に抑制することが可能なエゼチミブ含有層/ロスバスタチン含有層からなる2層錠を提供すること
【解決手段】 エゼチミブ及びロスバスタチン、並びに医薬的に許容し得る添加剤を含有し、1層のエゼチミブ層と1層のロスバスタチン層からなる2層素錠に、有色のフィルムコーティングを施したことを特徴とする、エゼチミブ・ロスバスタチン配合錠であり、医薬的に許容可能な添加剤が、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤であり、有色のフィルムコーティングが、黄色三二酸化鉄または三二酸化鉄により着色されたものであるエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エゼチミブ及びロスバスタチン、並びに医薬的に許容し得る添加剤を含有し、1層のエゼチミブ層と1層のロスバスタチン層からなる2層素錠に、有色のフィルムコーティングを施したことを特徴とする、エゼチミブ・ロスバスタチン配合錠。
【請求項2】
医薬的に許容可能な添加剤が、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤である請求項1に記載のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠。
【請求項3】
賦形剤が、糖アルコール、乳糖水和物、結晶セルロース、無水乳糖、トウモロコシデンプン、リン酸水素カルシウムから選択されるものである、請求項2に記載のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠。
【請求項4】
結合剤が、ポリビニルピロリドン、ポビドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロースから選択されるものである、請求項2に記載のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠。
【請求項5】
崩壊剤が、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンから選択されるものである、請求項2に記載のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠。
【請求項6】
1層のエゼチミブ層が、エゼチミブ、乳糖水和物、ポビドン、結晶セルロース、ラウリル硫酸ナトリウムを含有する層からなる、請求項1に記載のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠。
【請求項7】
1層のロスバスタチン層が、ロスバスタチンカルシウム、D-マンニトール、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウムを含有する層からなる、請求項1に記載のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠。
【請求項8】
有色のフィルムコーティングが、黄色三二酸化鉄または三二酸化鉄により着色されたものである、請求項1~7のいずれかに記載のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エゼチミブ・ロスバスタチン配合錠に関わり、詳細には、エゼチミブ含有層及びロスバスタチン含有層の2層からなる2層錠において、ロスバスタチンの光分解物の生成を抑制した、有色のフィルムコーティングを施したエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステロール吸収阻害剤(小腸コレステロールトランスポーター阻害剤)として知られているエゼチミブと、HMG-CoA還元酵素阻害剤として知られているロスバスタチンの両者を配合した配合錠が、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症治療薬として、先発製剤であるロス-ゼット(登録商標)配合錠が臨床的に使用されている(非特許文献1)。
【0003】
この製品は、ロスバスタチンを含有する内核部を含有する有核錠の素錠であり、ロスバスタチンを内核部とする理由としては、(1)エゼチミブとロスバスタチンの接触の低減による安定性の確保と、(2)ロスバスタチンの光分解物の生成抑制としての遮光目的であると考えられている。
しかしながら、有核錠の調製は製剤学的に特殊な技術が必要であって、容易なものではない問題点が存在する。
そのうえ、ロスバスタチンの光分解物の生成を完全に抑制しているものとは言い難いものでもある。
【0004】
その点を解決するべくこれまでに、エゼチミブ含有層と、ロスバスタチン含有層からなる2層構造の錠剤も提供されているが(特許文献1、2)、その目的とするところは、個々の成分が分離していることにより、それらの相互作用を防ぎ、個々の含有層からエゼチミブ及びロスバスタチンを独立して放出することを確実にするものであり、ロスバスタチンの光分解物の生成を抑制するものではない。したがって、ロスバスタチンの光分解物の生成が認められるものでもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2019-526591号公報
【特許文献2】国際公開2013/166117号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ロス-ゼット(登録商標)配合錠の添付文書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、エゼチミブ・ロスバスタチン配合錠において、ロスバスタチンの光分解物の生成を大幅に抑制することが可能なエゼチミブ含有層/ロスバスタチン含有層からなる2層錠を提供することを課題とする。
【0008】
かかる課題を解決するべく本発明者らは鋭意検討した結果、エゼチミブ含有層と、ロスバスタチン含有層からなる2層構造の錠剤とし、フィルムコーティングを施すことにより上記の問題点を解決し得ることを見出した。
更に、フィルムコーティング基剤として、エゼチミブ及びロスバスタチンのそれぞれと配合性が良好であるポリビニルアルコール(PVA)を用い、また、フィルムコーティング層に色素を添加した有色のフィルムコーティング錠とすることにより、ロスバスタチンの光分解物の生成を大幅に抑制し得ることを見出した。
【0009】
すなわち、エゼチミブ層及びロスバスタチン層を含有する2層からなる素錠に、有色のフィルムコーティングを施すこと、特にフィルムコーティング錠の調製に際して着色剤として、黄色三二酸化鉄、或いは三二酸化鉄を添加して作製した製剤においては光苛酷条件下における分解物の生成を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は具体的には、以下の態様からなるものである。
(1) エゼチミブ及びロスバスタチン、並びに医薬的に許容し得る添加剤を含有し、1層のエゼチミブ層と1層のロスバスタチン層からなる2層素錠に、有色のフィルムコーティングを施したことを特徴とする、エゼチミブ・ロスバスタチン配合錠;
(2) 医薬的に許容可能な添加剤が、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤である、上記(1)に記載のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠;
(3) 賦形剤が、糖アルコール、乳糖水和物、結晶セルロース、無水乳糖、トウモロコシデンプン、リン酸水素カルシウムから選択されるものである、上記(2)に記載のエゼチミブ・ロスバスタチン配合;
(4) 結合剤が、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロースから選択されるものである、上記(2)に記載のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠;
(5) 崩壊剤が、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンから選択されるものである、上記(2)に記載のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠;
(6) 1層のエゼチミブ層が、エゼチミブ、乳糖水和物、ポビドン、結晶セルロース、ラウリル硫酸ナトリウムを含有する層からなる、上記(1)に記載のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠;
(7) 1層のロスバスタチン層が、ロスバスタチンカルシウム、D-マンニトール、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウムを含有する層からなる、上記(1)に記載のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠;
及び
(8) 有色のフィルムコーティングが、黄色三二酸化鉄または三二酸化鉄により着色されたものである、上記(1)~(7)に記載の、エゼチミブ・ロスバスタチン配合錠。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、エゼチミブ及びロスバスタチンの両者を、エゼチミブ層及びロスバスタチン層の2層構造の錠剤として構成し、その上で有色のフィルムコーティングを施すことにより、含有されたロスバスタチンの安定性が確保され、光分解物の生成が抑制されることから、品質的に優れたエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠が提供できるものであり、その医療上の効果は多大なものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、上記したように、その基本は、エゼチミブ及びロスバスタチン、並びに医薬的に許容し得る添加剤を含有し、1層のエゼチミブ層と1層のロスバスタチン層からなる2層素錠に、有色のフィルムコーティングを施したことを特徴とする、エゼチミブ・ロスバスタチン配合錠である。
【0013】
本発明が提供するエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠にあっては、エゼチミブ及びロスバスタチンの配合量は、既に臨床的に使用されている先発製剤と同様の配合量であるのが好ましく、エゼチミブとして10mg、それに対するロスバスタチンは、ロスバスタチンカルシウムとして2.6mg(ロスバスタチンとして2.5mg)或いは、ロスバスタチンカルシウムとして5.2mg(ロスバスタチンとして5mg)配合するのが良い。
【0014】
本発明が提供するエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠で使用される医薬的に許容可能な添加剤としては、具体的には、通常使用されている賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、着色剤等が使用できる。
賦形剤としては、例えば、糖アルコール、乳糖水和物、結晶セルロース、無水乳糖、トウモロコシデンプン、リン酸水素カルシウム等が挙げられる。好ましくは乳糖水和物、糖アルコールであるD-マンニトール、結晶セルロース等を使用できる。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。特に限定はされないが、賦形剤は組成物全重量に対して好ましくは5.0~80.0重量%の範囲で含有される。
【0015】
本発明で使用される医薬的に許容される結合剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポビドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、メチルセルロース等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。好ましくはヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール又はポビドンのうち少なくとも1種を含むことが好ましい。特に限定はされないが、結合剤は組成物全重量に対して0.1~10.0重量%の範囲で含有されることが好ましい。
【0016】
また、本発明で使用される崩壊剤としては、例えば、結晶セルロース、トウモロコシ澱粉、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン等が挙げられる。より好ましくは低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンから選ばれ、最も好ましくは低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムである。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。特に限定はされないが、崩壊剤は組成物の全重量に対して好ましくは3.0~50.0重量%の範囲で含有される。
【0017】
また、本発明で使用される界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート、マクロゴール、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴール等が挙げられる。好ましくはラウリル硫酸ナトリウムである。界面活性剤は製剤の全重量に対して好ましくは0.5~5.0重量%の範囲で組成物中に含有される。
【0018】
本発明で使用可能な滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム等が挙げられる。好ましくはステアリン酸マグネシウムである。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。滑沢剤は組成物の全重量に対して0.1~5.0重量%の範囲で含有されることが好ましい。
【0019】
本発明が提供するエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠は、有色のフィルムコーティングが施されたフィルムコーティング錠である。
本発明者らの検討によれば、フィルムコーティング基剤としては、エゼチミブ及びロスバスタチンとの配合性が良好なポリビニルアルコール(PVA)が好ましいことが判明した。
コーティング基剤としてのPVAは、特にカラコン社(Colorcon社)が提供している OPADRY WHITE (登録商標)を用いるのがよい。
OPADRY WHITE (登録商標)は、PVAを主成分とし、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、酸化チタンを含有する完全処方化プレミックスコーティングシステムである。
【0020】
かかるフィルムコーティングは、具体的には、黄色三二酸化鉄、或いは三二酸化鉄により有色のフィルムコーティングとするのが良い。
【0021】
本発明が提供するエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠の調製は、具体的には以下のようにして行われる。
なお、以下の調製法はあくまで一調製方法を説明するものであり、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0022】
本発明の配合錠である2層錠を構成するエゼチミブ含有層のためのエゼチミブ層混合末を、具体的には以下のようにして調製する。
すなわち、エゼチミブと、賦形剤及び崩壊剤の半量を流動層造粒乾燥機(例えば、フロイント産業社製:型式:FLO-5)に入れ、精製水に結合剤及び界面活性剤を溶解した結合液を噴霧して造粒し、乾燥後造粒末をパワーミル(例えば、ダルトン社製:型式:P-03)により破砕しで整粒し、残りの賦形剤及び崩壊剤と混合し、滑沢剤をさらに添加し混合し、エゼチミブ層用の混合末を調製する。
【0023】
一方、本発明の配合錠である2層錠を構成するロスバスタチン含有層のためのロスバスタチン層混合末を以下のようにして調製する。
すなわち、ロスバスタチンと添加剤である賦形剤、崩壊剤、界面活性剤等を流動層造粒乾燥機(例えば、フロイント産業社製:型式:FLO-5)に入れ、精製水に結合剤を溶解した結合液を噴霧して造粒し、乾燥後造粒末を上記と同様にパワーミル(例えば、ダルトン社製:型式:P-03)にて破砕しで整粒し、滑沢剤をさらに添加し混合し、ロスバスタチン層用の混合末を調製する。
【0024】
上記で調製したエゼチミブ層用の混合末及びロスバスタチン層用の混合末を、積層打錠機(例えば、菊水製作所社製:型式:AQUARIUS G-A)を用いて打錠し、2層錠を調製した後、得られた素錠を、フィルムコーティング機(例えば、パウレック社製:型式:DRC-500)を用いてフィルムコート液を噴霧し、乾燥して本発明のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠を調製する。
【0025】
以上のようにして調製された本発明のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠は、エゼチミブ含有層及びロスバスタチン含有層の2層からなる2層錠の有色のフィルムコーティング錠であり、2層錠とすることによりエゼチミブとロスバスタチンの接触の低減が図られ、更に有色のフィルムコーティングによる遮光効果により、ロスバスタチンの光分解物の生成が抑制されるという特徴を有するものである。
【実施例0026】
以下に本発明を具体的実施例、試験例等を記載することにより説明する。
なお、以下の実施例は本発明のエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠の一例を示すものであり、これに限定されるものではなく、種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0027】
本発明の処方例を表1に示した。
【0028】
【0029】
*1:HPC ヒドロキシプロピルセルロース
*2:L-HPC 低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
*3:OPADRY WHITE(登録商標) 完全処方化プレミックスコーティングシステム/日本カラコン社製(ポリビニルアルコール、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、酸化チタンを含有)
【0030】
実施例1:着色コーティング(黄色三二酸化鉄)錠の調製
エゼチミブ、乳糖水和物及びクロスカルメロースナトリウムの半量を流動層造粒乾燥機(フロイント産業社製:型式:FLO-5)に入れ、ポリビニルピロリドン及びラウリル硫酸ナトリウムを精製水に溶解した結合液を噴霧して造粒した後、乾燥した。造粒末をパワーミル(ダルトン社製:型式:P-03)にて粉砕した。得られた整粒末に残りのクロスカルメロースナトリウム及び結晶セルロースを加え、混合した。更にステアリン酸マグネシウムを加え、混合し、エゼチミブ層混合末を得た。
【0031】
別途、ロスバスタチンカルシウム、D-マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、ラウリル硫酸ナトリウム及び結晶セルロースを動層造粒乾燥機(フロイント産業社製:型式:FLO-5)に入れ、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を精製水に溶解した結合液を噴霧して造粒した後、乾燥した。造粒末をパワーミル(ダルトン社製:型式:P-03)にて粉砕した。得られた整粒末にステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロスバスタチン層混合末を得た。
【0032】
上記で得られたエゼチミブ層混合末及びロスバスタチン層混合末を用い、積層打錠機(菊水製作所社製:型式:AQUARIUS G-A)を用いて、エゼチミブ層:100mg、ロスバスタチン層:80mgとし、錠剤重量 180mg、直径 7.5mmにて打錠した。
【0033】
得られた2層錠を、フィルムコーティング機(パウレック社製:型式:DRC-500)を用い、OPADRY WHITE(登録商標)完全処方化プレミックスコーティングシステム:日本カラコン社製(ポリビニルアルコール、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、酸化チタンを含有)及び黄色三二酸化鉄を精製水に分散させた液を噴霧し、乾燥して実施例1の着色フィルムコーティング錠を得た。
【0034】
実施例2:着色コーティング(三二酸化鉄)錠の調製
実施例1と同様にして得られた二層錠を、フィルムコーティング機(パウレック社製:型式:DRC-500)を用い、OPADRY WHITE(登録商標)完全処方化プレミックスコーティングシステム:日本カラコン社製(ポリビニルアルコール、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、酸化チタンを含有)及び三二酸化鉄を精製水に分散させた液を噴霧し、乾燥して実施例2の着色フィルムコーティング錠を得た。
【0035】
比較例:白色コーティング錠の調製
実施例1と同様にして得られた二層錠を、フィルムコーティング機(パウレック社製:型式:DRC-500)を用い、OPADRY WHITE(登録商標)完全処方化プレミックスコーティングシステム:日本カラコン社製(ポリビニルアルコール、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、酸化チタンを含有)を精製水に分散させた液を噴霧し、乾燥し比較例の白色フィルムコーティング錠を得た。
【0036】
以上のようにして調製したフィルムコーティング錠の光安定性試験としてロスバスタチンの光分解物の生成の程度を検討した。
【0037】
試験例:光安定性試験
上記の実施例1及び2、並びに比較例で得られたフィルムコーティング錠のそれぞれをシャーレ(開放)に入れ、光安定性試験装置(型式:LTL-200A)内で、以下の条件の下で光照射を行った。
なお、比較参照例として素錠及び先発製剤も同様に試験した
条件:光量 D65、2500lx
温湿度 25℃/45%RH
期間:20日(120万lx・hr)
【0038】
試験錠剤(検体)中のロスバスタチンに基づく分解物(類縁物質として光分解物A及び光分解物B)の生成量を、HPLCにより測定した。
その結果を下記表2に示した。
【0039】
【0040】
注)N.D. 検出せず
【0041】
上記の表中に示した結果から判明するように、本発明の2層有色フィルムコーティング錠は、無色(白色)の2層フィルムコーティング錠(比較例)に比較して、光分解物の生成が抑制されており、市販の先発製剤に比較してもその安定性に優れていることが理解される。
また、フィルムコーティングを施さない素錠と対比してみると、コーティングを施すことで、光安定性が大幅に向上し、本発明の特異性がよく理解される。
以上のように、本発明により、エゼチミブ及びロスバスタチンの両者を、エゼチミブ層及びロスバスタチン層の2層構造の錠剤として構成し、その上で有色のフィルムコーティングを施すことにより、ロスバスタチンの安定性が確保され、光分解物の生成が抑制されることから、品質的に優れたエゼチミブ・ロスバスタチン配合錠が提供され、その医療上の効果は多大なものである。