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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077958
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/44 20200101AFI20240603BHJP
   D06F 37/42 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
D06F58/44
D06F37/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190216
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
(72)【発明者】
【氏名】藤田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
【テーマコード(参考)】
3B165
3B167
【Fターム(参考)】
3B165AA01
3B165AA02
3B165AA04
3B165AA24
3B165AB23
3B165AB30
3B165AB32
3B165AB43
3B165AE01
3B165AE02
3B165AE05
3B165AE07
3B165AE11
3B165AE12
3B165BA78
3B165BA82
3B165CA01
3B165CA11
3B165CB01
3B165CB02
3B165CB31
3B165CB55
3B165CC02
3B165DW03
3B165DW05
3B165EW03
3B165EW04
3B165EW05
3B165FA02
3B165GA02
3B165GA12
3B165GH04
3B165JM02
3B165JM03
3B167AA01
3B167AA02
3B167AA04
3B167AA24
3B167AB23
3B167AB30
3B167AB32
3B167AB43
3B167AE01
3B167AE02
3B167AE05
3B167AE07
3B167AE11
3B167AE12
3B167BA78
3B167BA82
3B167FB01
3B167HA16
3B167HA22
3B167KA32
3B167LA02
3B167LA03
3B167LA08
3B167LB04
3B167LC20
3B167LC30
3B167LD03
(57)【要約】
【課題】長期に亘って適切な除菌機能を維持することができる衣類処理装置を提供する。
【解決手段】衣類処理装置は、外槽と、外槽内に回転可能に設けられて衣類を収容可能な回転槽と、回転槽内に紫外線を照射可能な照射装置と、照射装置を動作させて回転槽内に収容された衣類に紫外線を照射する照射処理を実行可能な照射処理部と、照射装置の照射時間を計時する計時処理部と、照射時間の総計である累積照射時間に基づいて照射装置の出力の低下を推定する推定処理を行う推定処理部と、推定処理の結果に基づいて照射装置の出力の低下を補完する補完処理を実行する補完処理部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外槽と、
前記外槽内に回転可能に設けられて衣類を収容可能な回転槽と、
前記回転槽内に紫外線を照射可能な照射装置と、
前記照射装置を動作させて前記回転槽内に収容された前記衣類に紫外線を照射する照射処理を実行可能な照射処理部と、
前記照射装置の照射時間を計時する計時処理部と、
前記照射時間の総計である累積照射時間に基づいて前記照射装置の出力の低下を推定する推定処理を行う推定処理部と、
前記推定処理の結果に基づいて前記照射装置の出力の低下を補完する補完処理を実行する補完処理部と、
を備える衣類処理装置。
【請求項2】
前記照射装置の温度を直接又は間接的に測定する温度検知部を備え、
前記推定処理部は、前記累積照射時間と前記温度検知部の測定した前記照射装置の温度とに基づいて前記推定処理を実行する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記照射装置の湿度を直接又は間接的に測定する湿度検知部を備え、
前記推定処理部は、前記累積照射時間と前記湿度検知部の測定した前記照射装置の湿度とに基づいて前記推定処理を実行する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
動作中の湿度の累積
【請求項4】
前記補完処理は、前記推定処理の結果に基づいて前記照射装置の照射時間を長くする処理である、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記補完処理は、前記推定処理の結果に基づいて前記照射装置に印加する電圧又は電流を増加する処理である、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記照射装置に風を送る送風装置と、
前記照射装置の動作時に、前記送風装置を動作させて前記照射装置を冷却する冷却処理部と、を更に備え、
前記冷却処理部は、前記補完処理部が照射装置に印加する電圧又は電流を増加した場合、前記補完処理部が照射装置に印加する電圧又は電流を増加しない場合と比較して前記送風装置の回転数を増加する、
請求項5に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類に対して紫外線を照射して衣類等の雑菌の繁殖を抑えることができる洗濯機等が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、洗濯物を収容する洗濯槽と、光励起作用を有する光励起抗菌材を溶出させて水に添加した光励起抗菌材添加水を前記洗濯槽に供給する光励起抗菌材供給手段と、光励起抗菌材添加水を含有した洗濯物に光を照射する光照射手段とを備えたものであり、光励起抗菌材添加水を洗濯物に接触させて光を照射し、洗濯物の除菌、抗菌効果を向上する洗濯機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-066244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紫外線光源の出力は、長年の使用による経年劣化により低下することが知られている。洗濯機の購入時には十分な除菌性能が備わっていても、製品の寿命の末期には衣類の除菌に必要な性能が得られなくなる虞がある。このため、経年劣化を見越して初期の出力を高く設定した製品を出荷することも考えられるが、ユーザごとに使用頻度や使用環境が異なるため、初期の出力を一様に設定することが難しい。
【0006】
そこで、長期に亘って適切な除菌機能を維持することができる衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の衣類処理装置は、外槽と、前記外槽内に回転可能に設けられて衣類を収容可能な回転槽と、前記回転槽内に紫外線を照射可能な照射装置と、前記照射装置を動作させて前記回転槽内に収容された前記衣類に紫外線を照射する照射処理を実行可能な照射処理部と、前記照射装置の照射時間を計時する計時処理部と、前記照射時間の総計である累積照射時間に基づいて前記照射装置の出力の低下を推定する推定処理を行う推定処理部と、前記推定処理の結果に基づいて前記照射装置の出力の低下を補完する補完処理を実行する補完処理部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について概略構成を示す縦断側面図
図2】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について概略構成を示す縦断背面図
図3】第1実施形態について、照射装置の電気的構成を概略的に示すブロック図
図4】第1実施形態による洗濯乾燥機の電気的構成を概略的に示すブロック図
図5】第1実施形態について、照射装置の構成を概略的に示す縦断側面図
図6】照射装置の動作時の温度による出力変化の一例を示すグラフ
図7】第1実施形態について、照射装置の動作時の平均温度別の累積照射時間に対する出力比のチャートの一例
図8】他の実施形態について、照射装置の各照射工程における平均温度別の重み付け係数のチャートの一例
図9】他の実施形態について、標準温度における照射装置の動作での累積照射時間に対する出力比の変化のチャートの一例
図10】第1実施形態による洗濯乾燥機の補完処理における出力比別の照射時間の延長率のチャートの一例
図11】第2実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について概略構成を示す縦断側面図
図12】第2実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について概略構成を示す縦断背面図
図13】第2実施形態による洗濯乾燥機の電気的構成を概略的に示すブロック図
図14】第3実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について概略構成を示す縦断側面図
図15】第3実施形態による洗濯乾燥機の電気的構成を概略的に示すブロック図
図16】照射装置の動作時の湿度による出力変化の一例を示すグラフ
図17】第3実施形態について、照射装置の動作時の平均湿度別の累積照射時間に対する出力比のチャートの一例
図18】第4実施形態による洗濯乾燥機の補完処理における出力比別の照射装置に印加する電流値の増加率のチャートの一例
図19】第4実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について概略構成を示す縦断背面図
図20】第4実施形態による洗濯乾燥機の電気的構成を概略的に示すブロック図
図21図19の楕円X21内を拡大して示す拡大断面図
図22】第4実施形態について、強化冷却処理における、印加電流値の倍率別の第2送風装置の回転数のチャートの一例
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態による衣類処理装置について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態について図1図10を参照しながら説明する。図1及び図2に示す洗濯乾燥機10は、本実施形態の衣類処理装置の適用例である。図1及び図2に示す洗濯乾燥機10は、乾燥機能を備えた横軸または斜め軸型のドラム式洗濯機である。なお、本実施形態の衣類処理装置は、乾燥機能を備えた縦軸型のいわゆる全自動洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態の衣類処理装置は、洗濯機能を有さない構成にも適用することができる。
【0011】
図1及び図2に示すように、洗濯乾燥機10は、外箱11、扉12、外槽13、ベローズ14、回転槽15、モータ16、給水機構17、排水機構18、及び操作パネル19を備えている。なお、本実施形態において、外箱11に対して扉11側つまり図1の紙面左側を洗濯乾燥機10の前側とする。外箱11は、例えばステンレス鋼板等によって矩形の中空箱状を形成しており、洗濯乾燥機10の外郭を構成している。外箱11は、前側部分に外箱11の内部と外部とを連通する衣類出入口111を有している。
【0012】
扉12は、外箱11の前部に設けられており、衣類出入口111を開閉可能に構成されている。ユーザは、扉12を開いた状態で、衣類出入口111を通じて衣類90を回転槽15に投入し、又は取り出すことができる。
【0013】
外槽13は、前側に開口部131を有した有底円筒状に形成されている。本実施形態の場合、外槽13は、内部に水を貯留することができ、この場合水槽として機能する。外槽13は、排気口132及び給気口133を有している。排気口132は、例えば外槽13の筒状部分を構成する周壁の上部前寄り部分にあって、外槽13の左右方向の中心つまり外槽13の筒状の外周面の最頂部から左右方向へ離れた位置に設けられている。給気口133は、例えば外槽13の底部において底部の上下方向の中心よりやや上寄り部分に設けられている。排気口132及び給気口133は、外槽13の内部と外部とを連通している。
【0014】
ベローズ14は、外箱11の衣類出入口111及び外槽13の開口部131の周囲に設けられている。ベローズ14は、例えば円筒形の蛇腹状に形成されており、衣類出入口111と開口部131とを連通した状態で外箱11と外槽13とを弾性的に接続している。
【0015】
回転槽15は、衣類90を収容可能な有底円筒状に形成されており、外槽13の内部に回転可能に収容されている。回転槽15の回転軸は、外槽13の中心軸に重なっている。回転槽15は、複数の連通口151を有している。連通口151は、回転槽15の内部と外部とを連通している。連通口151は、回転槽15の円筒状の筒状部分を構成する周壁及び回転槽15の底部の全域に形成されている。連通口151は、洗濯運転時及び脱水運転時には、主に水が出入りする通水孔として機能し、乾燥運転時には空気が出入りする通風孔として機能する。また、詳細は図示しないが、回転槽15には、筒状部分の内側に複数のバッフルが設けられている。バッフルは、回転槽15が回転すると、回転槽15の内側に収容された衣類90を撹拌する。
【0016】
モータ16は、例えば外槽13の底部外側に設けられている。モータ16の軸部161の先端側は、外槽13の内部に突出して回転槽15に接続されている。モータ16は、例えばアウタロータ型のダイレクトドライブモータを用いることができる。モータ16の軸部161は、外槽13の底部を貫いて外槽13の内側へ突出し、回転槽15の底部に固定されている。モータ16は、外槽13に対して回転槽15を相対的に回転させる。この場合、モータ16の軸部161、外槽13の中心軸、及び回転槽15の回転軸は、それぞれ一致している。
【0017】
給水機構17は、例えば水道などの外部の水源から供給される水を、外槽13内に注水するための装置である。給水機構17は、例えば外箱11内において外槽13の左右一方寄りの上方に設けられている。給水機構17は、給水弁171、注水ケース172、及び注水ホース173を備えている。給水弁171は、電磁駆動式の液体用の開閉弁であり、図示しない水道などの外部の水源と接続されている。
【0018】
注水ケース172は、内部に洗剤や仕上げ剤等の洗濯処理剤を収容可能に構成されている。注水ホース173は、注水ケース172と外槽13内とを接続している。給水弁171は、外部の水源から給水機構17を介して外槽13内に至る注水経路を開閉する。給水弁171が開放されると、外部の水源からの水は、注水ケース172を介して外槽13内に注水される。その注水の際に注水ケース172に洗濯処理剤が貯留されていると、注水ケース172内の洗濯処理剤は注水ケース172を流れる水に乗って外槽13内に流し落とされる。なお、洗濯乾燥機10は、必ずしも注水ケース172を備えていなくても良い。すなわち、洗濯乾燥機10は、ユーザが外槽13内に洗濯処理剤を直接投入する構成であっても良い。
【0019】
排水機構18は、外槽13の内部に貯留された水を、洗濯乾燥機10の機外へ排出する機能を有する。排水機構18は、排水弁181と排水管182とを含んで構成されている。排水弁181は、電磁駆動式の液体用の開閉弁である。排水弁181は、外槽13内から排水機構18を介して機外に至る排水経路を開閉する。
【0020】
操作パネル19は、ユーザから洗濯乾燥機10の設定や運転に関する操作入力を受け付けるとともに、ユーザに対して洗濯乾燥機10の設定や運転に関する情報を表示や音声等によって提示する機能を有する。操作パネル19は、例えばタッチパネルディスプレイで構成することもできるし、タッチスイッチや機械的なスイッチ等で構成することもできる。また、操作パネル19は、タッチパネルディスプレイとタッチスイッチ及び機械的なスイッチ等を組み合わせて構成することもできる。操作パネル19は、例えば外箱11の上面の前側部分に設けられている。
【0021】
また、洗濯乾燥機10は、乾燥機能を備えている。本実施形態の場合、洗濯乾燥機10は、循環風路20及び乾燥機構30を備えている。循環風路20は、外槽13の外側において、排気口132と給気口133とを繋いでいる。循環風路20は、外槽13内の空気を排気口132から循環風路20内に取り込み、乾燥機構30を通して温風にした後、その温風を給気口133から外槽13内へ供給する機能を有する。
【0022】
循環風路20は、例えば排気ダクト21、フィルタ装置22、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25を有して構成することができる。排気ダクト21、フィルタ装置22、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25は、循環風路20を流れる空気の流れに沿って順に配置されている。
【0023】
排気ダクト21は、外槽13の排気口132とフィルタ装置22とを繋ぐダクトである。フィルタ装置22は、内部に図示しないフィルタが設けられており、循環風路20内を流れる空気に含まれるリントや異物を捕集する。接続ダクト23は、フィルタ装置22と熱交換部24とを繋ぐダクトである。熱交換部24は、外箱11の内側下部でかつ外槽13及び回転槽15の下方に設けられている。外槽13から循環風路20に取り込まれた空気は、熱交換部24を通過する際に除湿及び加熱されて乾燥した温風となる。給気ダクト25は、熱交換部24と外槽13の給気口133とを繋ぐダクトである。
【0024】
乾燥機構30は、回転槽15内の衣類90の乾燥用の温風を生成しその温風を給気口133から外槽13内へ供給する温風供給装置として機能する。乾燥機構30は、例えばヒートポンプ式やヒータ式の加熱装置や含んで構成することができる。本実施形態の場合、乾燥機構30は、ヒートポンプ式の加熱装置を含んで構成されており、蒸発器31、凝縮器32、圧縮機33を有している。
【0025】
蒸発器31及び凝縮器32は、熱交換部24内に設けられている。蒸発器31は、乾燥運転時における熱交換部24内の空気の流れに対して、凝縮器32よりも上流側に設けられている。蒸発器31及び凝縮器32は、熱交換部24の外側に設けられた圧縮機33とともに、ヒートポンプ機構すなわち冷凍サイクルを構成する。熱交換部24内を通る空気は、蒸発器31によって冷却され、これにより除湿される。蒸発器31によって除湿された空気は、その後、凝縮器32によって加熱されて温風になる。
【0026】
熱交換部24の下流側は、給気ダクト25によって外槽13の給気口133に接続されている。また、乾燥機構30は、第1送風装置34を含んでいる。第1送風装置34は、例えば熱交換部24と給気ダクト25との接続部分に設けられており、例えばシロッコファンやプロペラファンなどで構成することができる。第1送風装置34は、熱交換部24内の空気を吸い込み、給気ダクト25側へ吐出する。これにより、熱交換部24で除湿及び加熱された温風は、第1送風装置34の送風作用によって、給気口133から外槽13、さらには回転槽15内へ供給される。
【0027】
また、洗濯乾燥機10は、照射装置40を備えている。照射装置40は、回転槽15内を臨む位置に設けることができる。照射装置40は、回転槽15以外の箇所例えば外槽13の開口部131の内周面、ベローズ14の内周面、又は扉12の内部に設けることができる。本実施形態の場合、照射装置40は、例えば外槽13の開口部131の内周面又はベローズ14の内周面のうち最上部に設けられている。
【0028】
照射装置40は、回転槽15内に紫外線を含む光線を照射する機能を有しており、例えば波長が200nm~380nmの紫外光を発光することができる。この場合、照射装置40は、回転槽15の下方へ向かって、つまり回転槽15の周壁のうち下側部分に向かって、換言すると外槽13に水が貯留された場合の水面側へ向かって紫外線を照射することができる。照射装置40から照射される紫外線は、紫外線単独でつまり触媒等を用いなくても除菌若しくは殺菌能力を有している。この場合、照射装置40から照射される紫外線の波長は、除菌若しくは殺菌力を考慮すると、200nm~280nmの範囲内であることが好ましい。
【0029】
また、照射装置40は、例えば紫外線の照射と同時に、又は紫外線の照射とは別に可視光を照射する構成としても良い。本実施形態の場合、照射装置40は、紫外線の照射と共に可視光を照射可能に構成されている。この場合、照射装置40から照射される紫外線の照射領域と、照射装置40から照射される可視光の照射領域との少なくとも一部が重なるように設定することができる。更に、例えば紫外線の照射領域の内側に可視光の照射領域全体が収まるように設定することもできるし、可視光の照射領域の内側に紫外線の照射領域全体が収まるように設定することもできる。
【0030】
照射装置40は、図3に示すように、例えば光源用回路41、紫外線光源42、青色光源43、及び白色光源44を含んで構成することができる。照射装置40は、光源用回路41、紫外線光源42、青色光源43、及び白色光源44を、例えば1つの基板401に実装して構成することができる。
【0031】
光源用回路41は、紫外線光源42、青色光源43、及び白色光源44の動作を制御するための電気回路である。紫外線光源42は、紫外線を照射可能な光源であり、例えば紫外線ランプや紫外線LEDで構成することができる。青色光源43は、青色の可視光、例えば紫に近い可視光を照射可能である、例えば青色ランプや青色LEDで構成することができる。また、白色光源44は、白色の可視光を照射可能である、例えば白色ランプや白色LEDで構成することができる。本実施形態では、紫外線光源42、青色光源43、及び白色光源44は、いずれもLEDで構成されている。
【0032】
紫外線光源42から照射される紫外線は人の目には見えない。そのため、照射装置40は、紫外線光源42から紫外線を照射する場合に青色光源43から紫に近い青色の可視光を照射することで、照射装置40から紫外線が照射されていることをユーザに認知させることができる。この場合、紫外線光源42と青色光源43とは、共通の電気配線によって光源用回路41に接続することで、紫外線光源42と青色光源43とが常に同時に発光するように構成することができる。なお、紫外線光源42と青色光源43とは、別の電気配線によって光源用回路41に接続されて、相互に独立して発光するように構成することもできる。その場合、例えば青色光源43を紫外線光源42に先行して発光させるように構成すれば、ユーザは紫外線光源42の発光開始をそれ以前に知ることが可能となる。
【0033】
また、白色光源44は、例えば回転槽15内の照明に用いることができる。この場合、照射装置40は、回転槽15の内部を照明するための照明装置としての機能を兼用している。白色光源44は、紫外線光源42及び青色光源43とは別の電気配線によって光源用回路41に接続されて、紫外線光源42及び青色光源43とは独立して発光するように構成することができる。
【0034】
更に、照射装置40は、放熱効率が良い部材を含んで構成されている。これにより、照射装置40の動作に伴う発熱の冷却が促進される。本実施形態の照射装置40の構成の概略断面図を図5に示す。本実施形態では、照射装置40は、更に、ケース402、充填部材403、カバー部材404、及び電線405を含んで構成されている。なお、図5では、光源用回路41、青色光源43、及び白色光源44は省略している。
【0035】
ケース402は、中空の筒状に形成されて、基板401と電線405とを内部に収容する。本実施形態では、基板401は、紫外線光源42、青色光源43、及び白色光源44が実装された面が外側を向くようにしてケース402の一方の端面に取り付けられている。充填部材403は、基板401と電線405とを収容したケース402内部の空隙に充填されている。充填部材403は、水密であってかつ熱伝導率の高い部材で構成されており、照射装置40内を水密に維持すると共に、紫外線光源42や基板401で発生した熱を放熱して冷却を促進する。カバー部材404は、例えば半球状の容器状に形成されて、ケース402の一方の端面、この場合基板401が取り付けられた端面に配置されている。カバー部材404は、紫外線光源42にユーザの手指や衣類が触れることを抑制すると共に、水分やリントなどの埃から紫外線光源42を保護する機能を有する。電線405は、照射装置40の外部まで延びて、基板401と、後述する制御装置50及び図示しない電力源とを接続している。
【0036】
また、洗濯乾燥機10は、図4に示すように、制御装置50、温度検知部51、運転処理部52、照射処理部53、冷却処理部54、計時処理部55、推定処理部56、及び補完処理部57を備えている。制御装置50は、CPU501や、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの記憶領域502を有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御装置50は、洗濯乾燥機10全体の動作を管理する機能を有する。モータ16、給水弁171、排水弁181、操作パネル19、乾燥機構30、照射装置40、及び温度検知部51は、制御装置50に電気的に接続されており、制御装置50の制御を受けて動作する。
【0037】
温度検知部51は、照射装置40の温度を、より具体的には紫外線光源42の温度を直接又は間接的に検知する機能を有する。温度検知部51は、照射装置40の内部又は外部に取り付けられていても良いし、照射装置40の付近又は照射装置40から離れて取り付けられていても良い。本実施形態では、温度検知部51は、照射装置40の内部に設置されている。これにより、照射装置40の温度を直接的に検知することができる。
【0038】
制御装置50は、温度検知部51が検知した照射装置40の温度を、記憶領域502に記憶する。
【0039】
また、制御装置50の記憶領域502は、例えば運転処理部52、照射処理部53、冷却処理部54、計時処理部55、推定処理部56、及び補完処理部57を実現するためのプログラムを記憶している。制御装置50は、記憶領域502に記憶されている上記プログラムをCPU501において実行することにより、運転処理部52、照射処理部53、冷却処理部54、計時処理部55、推定処理部56、及び補完処理部57をソフトウェアによって仮想的に実現する。なお、運転処理部52、照射処理部53、冷却処理部54、計時処理部55、推定処理部56、及び補完処理部57は、集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
【0040】
運転処理部52は、モータ16、給水弁171、排水弁181、乾燥機構30、及び温度検知部51を必要に応じて動作させることにより、洗濯乾燥運転と、洗濯運転と、乾燥運転と、を選択的に実行することができる。なお、本実施形態において、洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転における「運転」とは、1以上の工程を含む概念であり、ユーザが選択可能な単位である。すなわち、ユーザは、例えば操作パネル19を操作することにより、洗濯乾燥運転、洗濯運転、及び乾燥運転のうち所望の運転を選択して実行することができる。
【0041】
洗濯乾燥運転は、衣類の洗濯及び乾燥を目的とした運転内容であり、洗濯工程及び乾燥工程を含んでいる。洗濯運転は、主に衣類の洗濯を目的とした運転内容であり、乾燥工程は含まずに洗濯工程を含んでいる。そして、乾燥運転は、主に衣類の乾燥を目的とした運転内容であり、洗濯工程は含まずに乾燥工程を含んでいる。なお、各運転の具体的内容については、衣類の量や汚れの状態に応じて自動で又は操作パネル19に対するユーザの操作に基づいて、適宜変更することができる。
【0042】
洗濯乾燥機10は、照射工程を含む除菌運転を実行可能である。照射工程は、回転槽15内部に収容された衣類90に紫外線を照射することで回転槽15内に収容された衣類を除菌及び又は消臭する工程である。なお、洗濯乾燥運転、洗濯運転、及び乾燥運転は、それぞれ照射工程を含んで構成されていても良い。照射工程は、例えば回転槽15を回転させながら照射処理を実行する工程とすることができるし、回転槽15を停止させた状態で照射処理を実行する工程とすることもできる。また、照射工程は、例えば回転槽15を回転させながら照射処理を実行する期間と、回転槽15を停止させた状態で照射処理を実行する期間と、の両方を含む工程とすることもできる。
【0043】
照射処理部53は、照射処理を実行可能である。照射処理は、照射装置40を動作させて回転槽15内に向けて紫外線を照射することで回転槽15内に収容された衣類90を除菌及び又は消臭する処理を含む。
【0044】
冷却処理部54は、照射装置40を冷却する冷却処理を実行する。紫外線光源42は、動作時の温度が高いほど、経年劣化により出力が低下することが知られている。そのため、紫外線光源42の出力の低下を抑制するために、冷却処理部54は冷却処理を実行する。冷却処理部54は、照射処理に伴って実行される。すなわち、冷却処理部54は、少なくとも照射工程の一部の期間又は全ての期間において、冷却処理を実行する。冷却処理は、照射工程中だけに限らず、照射工程終了後の一定の期間も実行されても良い。これにより、照射工程終了後速やかに照射装置40の温度を室温まで下げることができる。
【0045】
本実施形態では、冷却処理は、第1送風装置34を動作させて、循環風を照射装置40に当てる処理である。照射装置40は、開口部131を介して外槽13と連通した空間において回転槽15内部に面して設けられているため、給気口133から外槽13及び回転槽15に入った循環風は、直進して照射装置40に到達する。本実施形態では、照射工程において、乾燥機構30は、温風を生成しない。すなわち、照射工程において、運転処理部52は圧縮機33を動作させない。したがって、第1送風装置34が加熱しない空気を照射装置40に送ることで、照射装置40からの放熱が促進される。
【0046】
計時処理部55は、計時処理を実行可能である。計時処理は、照射装置40が動作している時間を測り、記憶領域502に記録する処理である。記憶領域502は、個々の運転における照射装置40の照射時間と、洗濯乾燥機10の出荷から現在までにおける照射装置40の累積照射時間とを記憶する。
【0047】
推定処理部56は、推定処理を実行可能である。推定処理は、照射装置40の長期間に亘る使用による経年劣化のための紫外線光源42の出力の低下を推定する処理である。具体的には、推定処理部56は、紫外線光源42の出荷時に対する現時点での出力比を推定する。
【0048】
ここで、上述のように、紫外線光源42は、動作時の温度が高いほど、経年劣化により出力が低下する。図6は、動作時の温度が30℃、60℃、及び90℃における、累積照射時間に対する紫外線光源42の出力変化を示している。紫外線光源42の出力は、初期の出力つまり製品出荷時の出力を100として各時点での割合を示している。
【0049】
常時90℃での照射の場合、使用開始から約500時間で、出力比は約90%まで低下する。常時60℃での照射の場合、使用開始から約600時間で、出力比は約90%まで低下する。常時30℃での照射の場合、使用開始から約1500時間で、出力比は約90%まで低下する。例えば、通常の照射工程を含む運転を週に2回、時間の長い照射工程を含む運転を月に1回程度利用するユーザの場合、一般的な洗濯乾燥機の製品寿命と言われる使用開始から10年後には、累積照射時間は約2000時間となる。2000時間照射すると、常時30℃で照射した場合には出力比は約85%、常時60℃で照射した場合には出力比は約77%、常時90℃で照射した場合には出力比は約70%に低下する。
【0050】
推定処理部56は、紫外線光源42の累積照射時間と、照射時の温度との影響を考慮して、現時点での紫外線光源42の出力の低下を推定する。すなわち、補完処理部57は、出荷時の紫外線光源42の出力に対する現時点での出力比を、累積照射時間Tsumと、照射時の温度との関数として求める。本実施形態では、推定処理部56は、記憶領域502に記憶された累積照射時間に亘る平均温度Taveを計算し、この平均温度に基づいて、紫外線光源42の出力の低下を推定する構成とすることができる。記憶領域502は、図7に一例を示すような照射時の温度と出力比との相関関係を示すチャートを記憶していても良い。補完処理部57は、計算した平均温度Taveと、累積照射時間Tsumとに基づいて、現時点での紫外線光源42の出力の低下を推定することができる。
【0051】
なお、推定処理部56が累積照射時間Tsumと照射時の温度とから出力の低下を推定する方法は、上記方法に限らない。例えば、他の実施形態では、各照射工程における平均温度Taveに基づいて重み付けした累積照射時間に基づいて、紫外線光源42の出力の低下を推定する構成とすることもできる。この場合、記憶領域502は、図8に一例を示すような各照射工程における平均温度Taveに対応した重み付け係数xのチャートと、図9に一例を示すような標準とする温度又は温度帯例えばこの場合25℃以下における照射による出力変化のチャートと、を記憶している。補完処理部57は、各照射工程の平均温度Taveをチャートと照合して重み付け係数xを決定し、重み付け係数xを各照射工程の照射時間Tにかけ合わせて、温度の重み付けをした照射時間T´を求める。補完処理部57は、重み付けをした照射時間を足し合わせて重み付けした累積照射時間T´sumを計算し、記憶領域502は、累積照射時間Tsumに加えて、又は累積照射時間Tsumに替えて重み付けをした累積照射時間T´sumを記憶する。補完処理部57は、重み付けした累積照射時間T´sumを、標準とする温度又は温度帯における時間に対する出力変化のチャートと照合し、現時点での紫外線光源42の出力の低下を推定することができる。
【0052】
補完処理部57は、補完処理を実行可能である。補完処理は、照射装置40の長期間に亘る使用による経年劣化のために低下した紫外線光源42の出力を補完する処理である。紫外線光源42による除菌効果は、発光強度と照射時間とに因る。補完処理は、例えば紫外線光源42の発光強度を高くする及び又は照射工程の照射時間を長くする処理である。本実施形態では、補完処理は、照射工程の照射時間を長くする処理である。
【0053】
記憶領域502は、例えば、一例を図10に示すような、紫外線光源42の出力この場合出力比に対する照射時間の延長率のチャートを記憶している。なお、記憶領域502は、出力比ではなく具体的な出力値に対する延長率のチャートを記憶していても良いし、出力値又は出力比に対する具体的な照射時間のチャートを記憶していても良い。補完処理部57は、推定処理部56により推定された紫外線光源42の出力この場合出力比を、記憶領域502に記憶された延長率のチャートに照合して、照射時間を変更する。この場合、出力の低下が大きいほどつまり出力比が小さいほど、延長率が大きくなるように設定される。例えば、出力比が90%以上では延長率が1倍つまり、照射時間は出荷時の設定のままに設定される。出力比が90%未満80%以上では、延長率が1.15倍に設定され、出力比が80%未満70%以上では、延長率が1.3倍に設定され、出力比が70%未満60%以上では、延長率が1.5倍に設定される。これにより、紫外線光源42の出力が低下した後の期間においても、洗濯乾燥機10の除菌性能が適切に維持される。
【0054】
以上説明した実施形態によれば、衣類処理装置の一例である洗濯乾燥機10は、外槽13と、回転槽15と、照射装置40と、照射処理部53と、計時処理部55と、推定処理部56と、補完処理部57と、を備える。回転槽15は、外槽13内に回転可能に設けられて衣類90を収容可能に構成されている。照射装置40は、回転槽15内に紫外線を照射可能に構成されている。照射処理部53は、照射装置40を動作させて回転槽15内に収容された衣類90に紫外線を照射する照射処理を実行可能に構成されている。計時処理部55は、照射装置40の紫外線の照射時間を計時する機能を有する。推定処理部56は、照射時間の総計である累積照射時間に基づいて照射装置40の出力の低下を推定する推定処理を行う。補完処理部57は、推定処理の結果に基づいて照射装置40の出力の低下を補完する補完処理を実行する。
【0055】
これによれば、各洗濯乾燥機10の実際の累積照射時間に基づいて低下した分の出力を補完することができる。そのため、ユーザによる照射装置40の使用頻度や使用環境の違いに即して出力を補完することが可能である。したがって、照射工程の利用頻度や洗濯乾燥機10の使用期間に拠らずに十分な除菌性能を発揮することのできる衣類処理装置が提供される。すなわち、長期に亘って適切な除菌機能を維持することができる衣類処理装置が提供される。
【0056】
洗濯乾燥機10は、照射装置40の温度を直接又は間接的に測定する温度検知部51を備える。推定処理部56は、累積照射時間Tsumと温度検知部51の測定した照射装置40の温度とに基づいて推定処理を実行する。
【0057】
ここで、上述のように、照射装置40の動作時の温度が高ければ高いほど、紫外線光源42の劣化の程度が高くなり、出力の低下の程度が大きくなる。そのため、累積照射時間だけでなく、照射装置40の温度も考慮して照射装置40の出力の低下度合いを推定することで、更に正確に出力の低下を推定し、及び補完することができる。その結果、長期に亘って一層適切な除菌性能を発揮することのできる衣類処理装置が提供される。
【0058】
補完処理は、推定処理の結果に基づいて照射装置40の照射時間を長くする処理である。
【0059】
これによれば、照射工程における照射装置40の照射時間を長くすることで、出力が低下しても積算照射量を確保して、衣類の除菌性能を維持することができる。その結果、とりわけ洗濯乾燥機10の製品寿命の後期においても十分な除菌性能を発揮することのできる衣類処理装置が提供される。
【0060】
(第2実施形態)
第2実施形態について、図11図13を参照して説明する。本実施形態では、洗濯乾燥機10は、図11図13に示すように、第1実施形態の温度検知部51の代わりに1又は複数の温度検知部60、61を備えている。1又は複数この場合2個の温度検知部60、61は、例えば循環風路20内部に設置され、循環風路20内の空気の温度を検知し、照射装置40の温度を推定することで、照射装置40の温度を間接的に検知する。
【0061】
例えば図11及び図12に示すように、温度検知部60は、例えば循環風路20内の空気の流れる方向に関して排気口132に対する下流部に設けることができる。温度検知部61は、例えば循環風路20内の空気の流れる方向に関して給気口133に対する上流側に設けることができる。例えば排気ダクト21又は接続ダクト23の上流部分に設けた温度検知部60は、外槽13及び回転槽15から排出されたばかりの空気の温度を検知する。例えば給気ダクト25の下流側部分に設けた温度検知部61は、外槽13及び回転槽15に供給される直前の空気の温度を検知する。
【0062】
記憶領域502は、温度検知部60、61の検知した温度を記憶する。推定処理部56は、記憶領域502に記憶された温度検知部60、61の検知した温度から、照射装置40の温度を計算し、計算した照射装置40の温度に基づいて、推定処理を実行する。なお、制御装置50は、温度検知部60の検知した温度と温度検知部61の検知した温度とから、照射装置40の温度を計算し、記憶領域502に記憶しても良い。この場合、推定処理部56は、記憶領域502に記憶された計算された照射装置40の温度に基づいて、推定処理を実行する。
【0063】
本実施形態によっても、上記実施形態と同様の効果が奏される。
【0064】
更にこの場合、温度検知部60、61は、循環風路20内に設置された乾燥運転の制御に用いる温度センサを兼ねても良い。乾燥運転では例えば衣類90に含まれる水分の量に応じて温度検知部60と温度検知部61との温度差が変化することを利用して乾燥終了を判断する制御をおこなうことが考えられる。よってそれらを併用することで、照射装置40の温度を検知する温度センサと乾燥運転の制御に用いる温度センサとを別個に設ける必要がなく、洗濯乾燥機10の製造コストを抑えることができる。
【0065】
なお、洗濯乾燥機10は、温度検知部として、温度検知部60、61のいずれか一方のみを備えていても良い。この場合、更に洗濯乾燥機10の製造コストを抑えることができる。照射装置40は、回転槽15内部に面して開口部131を介して外槽13と連通した空間に設けられているため、排気口132の下流部の温度は、照射装置40の温度と相関関係が強い。そのため、排気口132に対する下流部に設けられた温度検知部60を用いることで、より照射装置40の温度を正確に計算することができる。
【0066】
更になお、洗濯乾燥機10は、第1実施形態の温度検知部51に加えて、温度検知部60、61のいずれか一方または両方を備える構成であっても良い。複数の温度センサを用いることで、より正確に温度を制御し、その結果、照射装置40の出力低下の推定と、出力低下の補完を一層正確に行うことができる。
【0067】
(第3実施形態)
第3実施形態について、図14図17を参照して説明する。本実施形態では、推定処理部56は、照射装置40の設置された環境の湿度と、累積照射時間とに基づいて、現時点での紫外線光源42の出力の低下を推定する。
【0068】
図14図15に示すように、衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、上記実施形態の各温度検知部51,60,61に替えて、又は各温度検知部51,60,61に加えて、湿度検知部58を備える。湿度検知部58は、照射装置40の設置された環境の湿度を直接又は間接的に検知する機能を有する。湿度検知部58は、照射装置40の内部又は外部に取り付けられていても良いし、照射装置40の付近又は照射装置40から離れて取り付けられていても良い。本実施形態では、湿度検知部58は、照射装置40の内部に設置されている。これにより、照射装置40の内部の湿度を直接的に検知することができる。
【0069】
ここで、紫外線光源42は、動作時の湿度が高いほど、経年劣化により出力が低下することが知られている。図16は、動作時の相対湿度が30%RH、60%RH、及び90%RHにおける、累積照射時間に対する紫外線光源42の出力変化を示している。紫外線光源42の出力は、初期の出力つまり製品出荷時の出力を100として各時点での割合を示している。
【0070】
常時90%RHでの照射の場合、使用開始から約500時間で、出力比は約90%まで低下する。常時60%RHでの照射の場合、使用開始から約600時間で、出力比は約90%まで低下する。常時30%RHでの照射の場合、使用開始から約1200時間で、出力比は約90%まで低下する。例えば、通常の照射工程を含む運転を週に2回、時間の長い照射工程を含む運転を月に1回程度利用するユーザの場合、一般的な洗濯乾燥機の製品寿命と言われる使用開始から10年後には、累積照射時間は約2000時間となる。2000時間照射すると、常時30%RHで照射した場合には出力比は約80%、常時60%RHで照射した場合には出力比は約73%、常時90%RHで照射した場合には出力比は約70%に低下する。
【0071】
本実施形態では、推定処理部56は、紫外線光源42の累積照射時間と、照射時の湿度との影響を考慮して、現時点での紫外線光源42の出力の低下を推定する。すなわち、補完処理部57は、出荷時の紫外線光源42の出力に対する現時点での出力比を、累積照射時間Tsumと、照射時の湿度との関数として求める。本実施形態では、推定処理部56は、記憶領域502に記憶された累積照射時間に亘る平均湿度Haveを計算し、この平均湿度に基づいて、紫外線光源42の出力の低下を推定する構成とすることができる。記憶領域502は、図17に一例を示すような照射時の平均相対湿度と出力比との相関関係を示すチャートを記憶していても良い。補完処理部57は、計算した平均湿度Haveと、累積照射時間Tsumとに基づいて、現時点での紫外線光源42の出力の低下を推定することができる。
【0072】
なお、推定処理部56が累積照射時間Tsumと照射時の湿度とから出力の低下を推定する方法は、上記方法に限らない。例えば、詳細は説明しないが、他の実施形態では、各照射工程における平均湿度Haveに基づいて重み付けした累積照射時間に基づいて、紫外線光源42の出力の低下を推定する構成とすることもできる。重み付けは、例えば上記実施形態で一例を説明した温度による重み付けとの類推で実行することができる。
【0073】
本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0074】
洗濯乾燥機10は、照射装置40の湿度を直接又は間接的に測定する湿度検知部58を備える。推定処理部56は、累積照射時間Tsumと湿度検知部58の測定した照射装置40の湿度とに基づいて推定処理を実行する。
【0075】
これによれば、照射装置40の累積照射時間だけでなく、照射装置40の設置された環境の湿度の影響も考慮して照射装置40の出力の低下を推定し、補完することができる。そのため、更に正確に出力の低下を推定することができ、その結果、長期に亘って十分な除菌性能を発揮することのできる衣類処理装置が提供される。
【0076】
(第4実施形態)
図18図22を参照して第4実施形態を説明する。本実施形態では、補完処理部57は、推定処理の結果に基づいて照射工程における照射装置40に印加する電流値又は電圧値を大きくすることで、照射装置40の出力すなわち発光強度を増大させ、これにより、照射装置40の出力の低下を補完する。すなわち、補完処理は、照射装置40に印加電流値又は電圧値を増大する処理とすることができる。本実施形態では、補完処理は、照射装置40に印加する電流値を増大する処理である。
【0077】
この場合、記憶領域502は、例えば、一例を図18に示すような、紫外線光源42の出力この場合出力比に対する照射装置40に印加する電流値の増加率のチャートを記憶している。なお、記憶領域502は、出力比ではなく具体的な出力値に対する増加率のチャートを記憶していても良いし、出力値又は出力比に対する具体的な印加電流値又は印加電圧値のチャートを記憶していても良い。補完処理部57は、推定処理部56により推定された紫外線光源42の出力この場合出力比を、記憶領域502に記憶された増加率のチャートに照合して、印加電流値を変更する。この場合、出力の低下が大きいほどつまり出力比が小さいほど、印加電流値が大きくなるように設定される。例えば、出力比が90%以上では増加率が1倍つまり、印加電流値は出荷時の設定のままに設定される。出力比が90%未満80%以上では、増加率が1.15倍に設定され、出力比が80%未満70%以上では、増加率が1.3倍に設定され、出力比が70%未満60%以上では、増加率が1.5倍に設定される。これにより、紫外線光源42の出力が低下した後の期間においても、洗濯乾燥機10の除菌性能が適切に維持される。
【0078】
図19図21に示すように、洗濯乾燥機10は、第1送風装置34に加えて又は第1送風装置34に替えて第2送風装置70を備えている。本実施形態では、洗濯乾燥機10は、第1送風装置34に加えて第2送風装置70を備えている。第2送風装置70は、照射装置40の近傍から直接送風して照射装置40を冷却する機能を有する。
【0079】
図21は、照射装置40及び第2送風装置70とそれらの近傍の構成を示す縦断面図である。なお、図21において、照射装置40及び第2送風装置70の内部構造は省略されている。照射装置40は、中空の箱状に形成された第1収容部材80及び第2収容部材81との内部に収容されて、外槽13の開口部131を囲む前板134に取り付けられている。第2送風装置70は、前板134において、照射装置40に対して開口部131の径方向外側この場合上方に設けられている。
【0080】
図21に示すように、照射装置40は、放熱部材45を有する。放熱部材45は、例えば熱伝導性の良い部材で構成されたいわゆるヒートシンクであり、照射装置40からの放熱、排熱を促進する機能を有する。放熱部材45は、例えばアルミニウム、銅、鉄などの金属を含んで構成することができ、表面積が大きくなるようにフィンや棒を多数含んだ形状に形成されている。放熱部材45は、第2送風装置70に対向してケース402に取り付けられている。そのため、第2送風装置70が駆動すると放熱部材45に風があたって放熱部材45による冷却効率が向上する。この場合、放熱部材45は、紫外線光源42とは反対側に位置しているが、紫外線光源42および基板401に発生した熱は充填部材403を介して放熱部材45に伝達されて、ここで放熱される。
【0081】
冷却処理部54は、冷却処理において、第1送風装置34に加えて、第2送風装置70を動作させる。これにより、照射装置40の冷却効率が一層向上する。
【0082】
ここで、紫外線光源42に印加する電流値または電圧値を増加すると、照射装置40の発熱も増大する。冷却処理部54は、照射装置40この場合紫外線光源42に印加する電流値又は電圧値が増加した場合、強化冷却処理を実行する。強化冷却処理は、照射装置40の冷却を強化する処理である。例えば、強化冷却処理は、第1送風装置34又は第2送風装置70のいずれか一方又は両方の回転数を増加して風量を増加する処理である。これにより、補完処理によって高温となり易くなった照射装置40の冷却を促すことができる。本実施形態では、冷却処理部54は、強化冷却処理において第2送風装置70の回転数を増大する。他の実施形態では、冷却処理部54は、強化冷却処理において第1送風装置34及び第2送風装置70の回転数を増大しても良いし、第1送風装置34の回転数を増大しても良い。
【0083】
冷却処理部54は、印加電流又は印加電圧が増加するほど第2送風装置70の回転数を大きくする。例えば、記憶領域502は、図22に一例を示すような、印加電流又は印加電圧の増加率に対する回転数のチャートを記憶している。例えば、印加電流が初期設定つまり補完処理がない場合と比較して1倍又は1.15倍の時は、第2送風装置70の回転数は5000rpmに設定されている。印加電流が1.3倍の時は第2送風装置70の回転数は5500rpmに設定されている。印加電流が1.5倍の時は第2送風装置70の回転数は6000rpmに設定されている。なお、他の実施形態では、記憶領域502は、印加電流又は印加電圧の増加率ではなく、具体的な印加電流値又は印加電圧値に対する回転数又は回転数の増加率のチャートを記憶していても良い。更には前記した印加電流や印加電圧の増加率に代えて、印加する周波数を前記電流や電圧と同様の比率で増加させても良い。
【0084】
本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
【0085】
本実施形態によれば、補完処理は、推定処理の結果に基づいて照射装置40に印加する電圧又は電流を増加する処理である。
【0086】
これによれば、照射工程に掛る時間は維持したまま、製品寿命の後期においても十分な除菌性能を発揮することができる。
【0087】
衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、照射装置40に風を送る送風装置としての第1送風装置34と第2送風装置70と、照射装置40の動作時に、第1送風装置34と第2送風装置70とを動作させて照射装置40を冷却する冷却処理部54とを備える。冷却処理部54は、補完処理部57が照射装置40に印加する電圧又は電流を増加した場合、補完処理部57が照射装置40に印加する電圧又は電流を増加しない場合と比較して第2送風装置70の回転数を増加する。
【0088】
これにより、印加電流値又は印加電圧値を増加した場合には、照射装置40の冷却が強化される。そのため、印加電流値又は印加電圧値を増加したことで発生した熱によって照射装置40の出力の低下が一層促進されることを、抑制することができる。これにより、製品寿命の後期においても十分な除菌性能を発揮することのできる衣類処理装置が提供される。
【0089】
なお、上記第1~第4の各実施形態は、適宜組み合わせて実施することができる。例えば、洗濯乾燥機10は、温度検知部51、60、61に加えて、湿度検知部58を備えていても良い。この場合、推定処理部56は、照射装置40の照射時の温度及び湿度と、累積照射時間Tsumとに基づいて、照射装置40の出力の低下を推定しても良い。
【0090】
第1~第3実施形態において、補完処理部57は、推定処理の結果に応じて、照射工程における照射時間の延長に替えて、照射装置40に印加する電流値又は電圧値を増加する処理を実行しても良い。第4実施形態において、補完処理部57は、推定処理の結果に応じて、照射装置40に印加する電流値又は電圧値の増加に替えて、照射工程における照射時間を延長する処理を実行しても良い。第1~第4実施形態において、補完処理部57は、推定処理の結果に応じて、照射工程における照射時間の延長に加えて、照射装置40に印加する電流値又は電圧値を増加する処理を実行しても良い。
【0091】
第1~第3実施形態の洗濯乾燥機10は、第2送風装置70及び又は放熱部材45を備えていても良い。第2送風装置70及び又は放熱部材45を設けることで、照射装置40の熱による劣化つまり出力の低下を抑制することができる。また、照射時間が長くなるほど、照射装置40で発生する熱の総量が多くなる。そのため、照射時間を延長する補完処理に対しても、冷却処理部54は強化冷却処理を実行する構成であっても良い。
【0092】
本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
10…洗濯乾燥機(衣類処理装置)、13…外槽、15…回転槽、34…第1送風装置(送風装置)、40…照射装置、51…温度検知部、53…照射処理部、54…計時処理部、55…計時検知部、56…推定処理部、57…補完処理部、58…湿度検知部、60、61…温度検知部、70…第2送風装置(送風装置)、90…衣類
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