(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077959
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/37 20200101AFI20240603BHJP
D06F 39/02 20060101ALI20240603BHJP
D06F 33/57 20200101ALI20240603BHJP
D06F 103/22 20200101ALN20240603BHJP
【FI】
D06F33/37
D06F39/02 Z
D06F33/57
D06F103:22
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190217
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】樋熊 康裕
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
3B166AA01
3B166AA04
3B166AA05
3B166AA11
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3B167LE05
3B167LF30
3B167LG11
3B167MA03
3B167MA13
(57)【要約】
【課題】洗濯処理剤の種類を判別可能な、ユーザの利便性を向上する洗濯機を提供する
【解決手段】洗濯機は、水槽と、水槽に所定量の洗濯処理剤を自動で投入する自動投入装置であって、洗濯運転複数回分の濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクと、少なくとも一対の電極を有し静電容量を検知する検知装置と、を有する自動投入装置と、検知装置の検知結果に基づいて処理剤タンクに貯留されている洗濯処理剤の種類を判別する判別処理を実行する判別処理部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
前記水槽に所定量の洗濯処理剤を自動で投入する自動投入装置であって、洗濯運転複数回分の前記洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクと、少なくとも一対の電極を有し静電容量を検知する検知装置と、を有する自動投入装置と、
前記検知装置の検知結果に基づいて前記処理剤タンクに貯留されている前記洗濯処理剤の種類を判別する判別処理を実行する判別処理部と、
を備える洗濯機。
【請求項2】
前記検知装置は、前記自動投入装置による投入動作の前後に静電容量を検知し、
前記判別処理部は、前記検知装置が検知した前記投入動作の前後での静電容量の変化量と前記投入動作による投入量とに基づいて、前記判別処理を実行する、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記処理剤タンク内に貯留された前記洗濯処理剤の液面高さを検知する液面検知処理を実行する液面検知処理部を更に備え、
前記検知装置は、前記自動投入装置による投入動作の前後に静電容量を検知し、
前記液面検知処理部は、前記検知装置が検知した前記投入動作の前後での静電容量の変化量と、前記投入動作による投入量とから、前記洗濯処理剤の誘電率と補正係数とを算出し、前記誘電率と前記補正係数とから導いた補正後の静電容量値に基づいて、前記洗濯処理剤の液面高さを検知する、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記処理剤タンク内に貯留された前記洗濯処理剤の液面高さを検知する液面検知処理を実行する液面検知処理部を更に備え、
前記検知装置は、上下方向に延びる第1対の電極と、前記第1対の電極とは異なる位置に配置された第2対の電極と、を有し
前記洗濯処理剤の液面位置の変動によって、前記第1対の電極間に満たされた前記洗濯処理剤の液面高さは変動し、
前記検知装置は、前記第2対の電極間に前記洗濯処理剤が満たされた状態で検知し、
前記液面検知処理部は、前記第2対の電極間の静電容量値と、前記第1対の電極間の静電容量値とから、前記液面検知処理を実行する、
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記検知装置は、前記自動投入装置による投入動作完了後所定の期間経過後、静電容量を検知する、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記検知装置は、前記自動投入装置による投入動作前、投入動作中、投入動作後の少なくとも3点において検知する、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記検知装置は、前記処理剤タンク内に設けられた基板と、前記基板に接続された少なくとも一対の電極と、を有し、
前記処理剤タンクは、前記基板及び前記少なくとも一対の電極と前記洗濯処理剤が貯留される空間との間に設けられた保護部材を有し、
前記保護部材は伸縮性を有し、前記処理剤タンクに前記洗濯処理剤が補充されると、前記洗濯処理剤の液圧によって、前記洗濯処理剤の液面以下では前記電極と接触し、かつ前記洗濯処理剤の液面よりも上方においては前記電極と接触しない、
請求項2に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ユーザの利便性向上のために、洗濯処理剤を自動投入用の処理剤タンクに予め複数回分貯留しておき、各洗濯運転時に必要量を処理剤タンクから自動的に投入する自動投入装置を備えた洗濯機が開発されている。このような洗濯機は、洗剤用や柔軟剤用等のように、予め洗濯処理剤の種類に応じて専用の処理剤タンクが設定されている。ユーザは、例えば洗剤用の処理剤タンクには洗剤を補充し、柔軟剤用の処理剤タンクには柔軟剤を補充する、というように処理剤タンクの設定に合った洗濯処理剤を補充する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばユーザが洗剤用の処理剤タンクに誤って柔軟剤を補充してしまうといったように、処理剤タンクに設定された種類の洗濯処理剤とは異なった種類の洗濯処理剤が補充された場合、ユーザが自ら間違いに気づくことは難しい。このような場合、ユーザが洗濯処理剤の種類の間違いに気づくか又はその洗濯処理剤を使い切って正しい種類の洗濯処理剤が補充されるまで、誤った洗濯処理剤を用いた運転が繰り返される。そのため、ユーザの意図した内容で衣類が洗濯されないことになり、ユーザの利便性が損なわれる。
【0005】
そこで、洗濯処理剤の種類を判別可能な、ユーザの利便性を向上する洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の洗濯機は、水槽と、前記水槽に所定量の洗濯処理剤を自動で投入する自動投入装置であって、洗濯運転複数回分の前記洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクと、少なくとも一対の電極を有し静電容量を検知する検知装置と、を有する自動投入装置と、前記検知装置の検知結果に基づいて前記処理剤タンクに貯留されている前記洗濯処理剤の種類を判別する判別処理を実行する判別処理部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態による洗濯機の一例の構成を概略的に示す図
【
図2】第1実施形態による洗濯機の一例の電気的構成を示すブロック図
【
図3】第1実施形態による洗濯機の一例の検知装置の電気的構成を示すブロック図
【
図4】第1実施形態による洗濯機の一例について空の処理剤タンクがタンク収容部に収容された状態で処理剤タンクの壁面の一部を切り欠いて示す図
【
図5】タンク収容部に収容された状態で処理剤タンクを
図4のV-V線に沿って示す断面図
【
図6】第1実施形態による洗濯機の一例について洗濯処理剤が貯留された処理剤タンクがタンク収容部に収容された状態で処理剤タンクの壁面の一部を切り欠いて示す図
【
図7】誘電率毎の液面高さhと静電容量Cとの関係を示すグラフ
【
図8】記憶領域に記憶された各種の洗濯処理剤の誘電率を示すチャートの一例
【
図9】誘電率毎の液面高さhと傾き補正後の静電容量C´との関係を示すグラフ
【
図10】誘電率毎の液面高さhと誤差補正後の静電容量値Csとの関係を示すグラフ
【
図11】第1実施形態による洗濯機の一例について自動投入に伴う制御のフローチャート
【
図12】第2実施形態による洗濯機の一例について処理剤タンクがタンク収容部に収容された状態で示す断面図(
図5相当図)
【
図13】第2実施形態による洗濯機の一例について自動投入に伴う制御のフローチャート
【
図14】第3実施形態による洗濯機の一例について空の処理剤タンクがタンク収容部に収容された状態で処理剤タンクの壁面の一部を切り欠いて示す図
【
図15】タンク収容部に収容された状態で処理剤タンクを
図14のXV-XV線に沿って示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態による洗濯機について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。各実施形態は、
図1に示す横軸または斜め軸型のドラム式洗濯機、及び図示しない縦軸型の洗濯機のいずれにも適用することができる。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態について
図1~
図11を参照して説明する。洗濯機10は、
図1及び
図2に示すように、外箱11、水槽12、回転槽13、回転槽モータ14、給水経路15、給水弁16、排水経路17、排水弁18、注水ケース19、自動投入装置20、及び検知装置30を備えている。
【0010】
外箱11は、洗濯機10の外殻を構成する物であり、例えば箱状に構成されている。水槽12は、外箱11内に配置されて図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。回転槽13は、水槽12内に回転可能に配置されている。この場合、水槽12及び回転槽13は、内部に洗濯物を収容する洗濯槽として機能する。回転槽モータ14は、回転槽13を回転駆動する。
【0011】
給水経路15は、水道の蛇口等、図示しない外部の水源から水槽12に至る水路である。給水弁16は、給水経路15の途中に設けられており、給水経路15を開閉する機能を有する。給水弁16は、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁で構成されており、電磁的な指令に基づいて開閉する。給水弁16は水槽12内に対する給水を制御する。給水弁16の上流側は、水道の蛇口等、図示しない外部の水源に接続される。給水弁16の下流側は、例えば注水ケース19を介して水槽12に繋がっている。
【0012】
排水経路17は、水槽12から機外に至る水路で、水槽12内の水を機外に排水する。排水弁18は、排水経路17の途中に設けられており、排水経路17を開閉する機能を有する。排水弁18は、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁で構成されており、電磁的な指令に基づいて開閉する。排水弁18の上流側は水槽12に接続される。排水弁18の下流側は、外部の例えば排水溝等に接続される。
【0013】
注水ケース19は、例えば樹脂製であって内部に空間を有する箱状に形成されている。注水ケース19は、給水経路15の途中において給水弁16の下流に設けられている。注水ケース19は、例えば1つまたは複数の処理剤収容部191を有して構成することができる。処理剤収容部191は、ユーザが洗濯処理剤を洗濯運転毎に手動で投入する際に使用される。
【0014】
処理剤収容部191は、容器状に形成されて例えば注水ケース19に出し入れ又は着脱可能に構成されており、ユーザから例えば液体又は粉末の洗濯処理剤の投入を受ける。処理剤収容部191に洗濯処理剤が投入された状態で給水弁16が開放されると、処理剤収容部191に投入された洗濯処理剤は、給水弁16から注水ケース19に供給される水と共に水槽12内に流し落とされる。
【0015】
自動投入装置20は、所定量の洗濯処理剤を洗濯運転の任意のタイミングで水槽12内に自動で投入する機能を有する。自動投入装置20は、複数種類の洗濯処理剤を水槽12内へ選択的に自動で投入する。自動投入装置20は、複数この場合2つの処理剤タンク211、212と、選択弁22と、投入ポンプ23と、を有している。
【0016】
処理剤タンク211,212は、例えばそれぞれ複数回の洗濯運転に使用する量の液体の洗濯処理剤を内部に貯留可能に構成されている。各処理剤タンク211、212の形状及び容量は同一であっても良いし異なっていても良い。処理剤タンク211、212は、外箱11内に出し入れ可能、又は着脱可能に構成されている。この場合、外箱11は、タンク収容部111を有している。タンク収容部111は、少なくとも一部が開口した箱状に形成されて例えば外箱11の上部に設けられている。ユーザは各処理剤タンク211、212をタンク収容部111から出し入れ又は着脱することができる。各処理剤タンク211、212は、タンク収容部111の所定の位置に配置された場合に、選択弁22、投入ポンプ23、を介して給水経路15の途中部分に接続される。なお、以下の説明において、各処理剤タンク211、212を区別する必要がない場合、処理剤タンク21と総称することがある。
【0017】
選択弁22は、例えば電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁で構成されており、各処理剤タンク211、212と投入ポンプ23との間の経路を開閉する機能を有する。選択弁22は、各処理剤タンク211、212と投入ポンプ23とを繋ぐ2つの経路の内の1つを択一的に開く。これにより、投入ポンプ23を駆動させた際に、各処理剤タンク211、212のいずれもから洗濯処理剤が吸い出されて複数種の洗濯処理剤が混ざり合ってしまうことが抑制される、
【0018】
投入ポンプ23は、各処理剤タンク211、212の下流、この場合選択弁22の下流に設けられている。投入ポンプ23は、処理剤タンク211、212から所定量の洗濯処理剤を吸出して水槽12に投入する機能を有する。投入ポンプ23は、例えば電気モータを駆動源としたシリンジポンプで構成することができる。投入ポンプ23は、各処理剤タンク211、212のうち選択弁22によって経路が開かれたものから洗濯処理剤を一定量吸引して給水経路15の下流へ吐出する。
【0019】
検知装置30は、処理剤タンク21内に貯留された洗濯処理剤の特性を検知することができる。検知装置30は、処理剤タンク211、212毎に設置されており、各処理剤タンク211、212内の洗濯処理剤の貯留量をそれぞれ検知する。本実施形態では、検知装置30は、例えば相互容量方式の静電容量センサであって、観測した周波数から静電容量を測定することができる。
【0020】
図3に示すように、検知装置30は、基板31と、検知部32と、発振部33と、デジタルコンバータ34と、受電部35と、送電部36と、を含んで構成される。
【0021】
基板31には、検知部32と、発振部33と、デジタルコンバータ34と、受電部35と、が実装されている。
図4~
図6に示すように、基板31は、処理剤タンク21の内部に設けられている。具体的には、基板31は、処理剤タンク21の前後左右の面を構成する壁面の近傍に設けられている。基板31は、処理剤タンク21の中央部に向いた第1面311と、処理剤タンク21の外部に向いた第2面312とを有する。
【0022】
検知部32は、少なくとも1対の電極32A、32Bと、を含む。検知装置30は、電極32A、32B間に生じた静電容量の変化を検知する。電極32A、32Bは、基板31の第1面311に実装されている。例えば、電極32Aは、送信電極であり、電極32Bは受信電極である。電極32A、32Bは、処理剤タンク21の高さ寸法よりもやや短い縦長の矩形に構成されて、水平方向に一定の距離を保って互いに平行になるように配置されている。この場合、電極32A、32Bは、処理剤タンク21の上下方向の長さ寸法の概ね全体に亘って伸びている。電極32A、32Bと、発振部33とは、共に静電容量センサのLC共振部を構成する。電極32A、32Bは、LC共振部のコンデンサとして機能する。
【0023】
発振部33は、電極32A、32B間の静電容量に応じて周波数信号を発振する。発振部33は、例えば水晶発振子や、セラミック振動子である。発振部33は、LC共振部のインダクタとして機能する。
【0024】
デジタルコンバータ34は、発振部33が発振した周波数信号を、デジタル信号に変換する。
図5に示すように、デジタルコンバータ34は、基板31の第2面312に実装されている。デジタルコンバータ34は、電極32A、32Bとの間の電線の長さが短いほどノイズの影響を抑制することができるため、電極32A、32Bの比較的近傍に設置されている。例えば、デジタルコンバータ34と電極32A、32Bとの水平方向及び又は上下方向の距離は、デジタルコンバータ34と受電部35との水平方向及び又は上下方向の距離よりも短くなるように設定されている。
【0025】
受電部35は、
図4に示すように、基板31の第2面312に実装されている。受電部35は、送電部36から無線給電を受けて、検知部32、発振部33、デジタルコンバータ34に電力を供給する。また、受電部35は、送電部36に対し電気信号を発信及び受信が可能である。
【0026】
送電部36は、図示しないメインの給電部から供給された電力を、受電部35に無線給電する。無線給電の規格は、例えば近距離無線通信規格であるNFC(Near Field Communication)を採用することができるがこれに限らない。送電部36は、図示しないメインの給電部に電気的に接続されている。送電部36は、受電部35に対し電気信号を発信及び受信が可能である。すなわち、受電部35と送電部36とは、互いにデータ通信可能に構成されている。
【0027】
送電部36は、処理剤タンク21の外部に設けられている。この場合、送電部36は、タンク収容部111の前後左右の面を構成する壁面の外側において、処理剤タンク21がタンク収容部111の所定の位置に装着された状態で受電部35と対向する位置に設けられている。これにより、送電部36は、機外に露出せず、かつ受電部35との近距離無線給電及び近距離無線通信が可能となる。受電部35と送電部36とは、それぞれアンテナを搭載した大規模集積回路(LSI)とすることができる。
【0028】
受電部35で用いるアンテナの検知部32への影響を抑制するため、受電部35は検知部32から遠ざけることが好ましい。本実施形態では、受電部35は、基板31において、電極32A、32Bが設けられた端部とは反対の端部の近傍に設けられている。すなわち、受電部35と電極32A、32Bとの間の距離は、デジタルコンバータ34と電極32A、32Bとの間の距離よりも長く設定されている。また、液面高さhが低いほどつまり貯留されている洗濯処理剤が少ないほどノイズの影響を受けやすいため、受電部35は、処理剤タンク21の上部に設けることが好ましい。
【0029】
処理剤タンク21は、保護部材24を有する。保護部材24は、処理剤タンク21内部の空間を、洗濯処理剤の貯留される空間と、洗濯処理剤の貯留されない空間とに仕切る。基板31や、電極32A、32Bは、洗濯処理剤の貯留されない空間に設けられている。換言すると、保護部材24は、処理剤タンク21内部の空間を、検知装置30の一部を内部に含む空間と、検知装置30を内部に含まない空間とに仕切る。すなわち、保護部材24は、基板31を洗濯処理剤などの液体から保護する機能を有する。
【0030】
保護部材24は、液不透過性及び伸縮性を有する例えばプラスチックなどの樹脂部材によって例えば薄いシート状又はフィルム状に形成されている。保護部材24の厚み寸法は、処理剤タンク21の壁面の厚み寸法未満に設定されている。本実施形態では、処理剤タンク21の壁面の厚み寸法は1mm~5mmの範囲内に設定することができる。この場合、保護部材24の厚み寸法は1mm未満、例えば0.1mm~0.5mmの範囲内に設定することができる。
【0031】
図4は、一方の処理剤タンク21この場合211の壁面を一部切り欠いて内部を示している。
図4に示すように、処理剤タンク21内が空の状態つまり洗濯処理剤が補充されていない状態においては、保護部材24は、各電極32A、32Bから水平方向に離れて位置している。
図6に示すように、処理剤タンク21内に洗濯処理剤が補充されると、洗濯処理剤の液圧によって、洗濯処理剤の液面以下の位置において、保護部材24は電極32A、32Bに接触する。保護部材24は伸縮するため、洗濯処理剤の液面以下の位置において、電極32A、32Bの間には、保護部材24を介して、洗濯処理剤が満たされる。なお、洗濯処理剤の液面よりも高い位置において、保護部材24は電極32A、32Bに接触しない。
【0032】
洗濯機10は、制御装置40を備えている。制御装置40は、
図3に示すように、例えばCPU401や、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域402を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、洗濯機10の動作の制御や各種の処理を実行する。記憶領域402は、洗濯機10を制御して各種の運転を実行するための洗濯機用のコンピュータプログラムを記憶している。回転槽モータ14、給水弁16、排水弁18、選択弁22、投入ポンプ23、及び検知装置30は、制御装置40に電気的に接続されており、制御装置40の指令に基づいて動作する。
【0033】
洗濯機10は、入力部41、表示部42、音声発生部43及び通信部44を備えている。入力部41、表示部42、音声発生部43及び通信部44は、制御装置40に電気的に接続されており、制御装置40からの指令に基づいて動作する。入力部41、表示部42、及び音声発生部43は、例えば外箱11の上面に設けられた操作パネルとして構成することができる。
【0034】
入力部41は、ユーザからの入力を受け付けるユーザインターフェースであり、例えばタッチパネルやタッチスイッチ又は機械的なスイッチ等で構成することができる。表示部42は、ユーザに対して情報を提示するためのユーザインターフェースであり、例えば液晶ディスプレイ等で構成することができる。この場合、入力部41と表示部42とは、相互に重ね合わせて配置されたタッチパネルディスプレイとして構成することもできるし、それぞれ別の位置に配置した構成とすることもできる。そして、音声発生部43は、例えばアラーム音を発生可能なブザーや音声を再生可能なスピーカー等で構成することができる。表示部42及び音声発生部43は、ユーザに対して各種の情報を報知する報知部として機能する。
【0035】
通信部44は、例えば図示しないアクセスポイントやインターネットを介して接続された外部端末と通信することができる。この場合、通信部44は、例えばアクセスポイントに対して、Wi-Fi規格に準拠した無線LAN、又は有線LANを用いて接続することができる。
【0036】
洗濯機10は、判別処理部51と、液面検知処理部52と、報知処理部53と、を更に備える。判別処理部51と、液面検知処理部52と、報知処理部53とは、制御装置40の制御装置40において、記憶領域402に記憶されているコンピュータプログラムをCPU401で実行することによりソフトウェアによって仮想的に実現される。なお、判別処理部51と、液面検知処理部52と、報知処理部53とは、それぞれの一部又は全部をハードウェアにより実現する構成としても良い。
【0037】
判別処理部51は、処理剤タンク21に貯留された洗濯処理剤の種類を判別する処理を実行する。液面検知処理部52は、処理剤タンク21に貯留された洗濯処理剤の液面位置を判定する処理を実行する。報知処理部53は、ユーザに各種の情報を報知する処理を実行する。
【0038】
判別処理部51は、検知装置30が観測した周波数と、検知装置30のLC共振部の一部を構成するコイルのインダクタ値とから、電極32A、32B間に発生した静電容量Cを算出する。洗濯処理剤の投入前後の静電容量の変化量は、液面高さhの変化量に依存する。処理剤タンク21の断面積が、液面高さに拠らずに一定であると仮定すると、洗濯処理剤の投入前後の静電容量の変化量は、自動投入装置20による投入量に依存する。判別処理部51は、液面位置の変化による静電容量値の変化と、自動投入装置20の投入量とから、処理剤タンク21に貯留された洗濯処理剤の誘電率又は比誘電率この場合誘電率εを算出する。
【0039】
空気の誘電率が洗濯処理剤の誘電率εよりも十分に小さいと仮定して、電極32A、32B間の距離d、洗濯処理剤の誘電率ε、電極32Aと電極32Bとが構成するコンデンサの面積Sから、静電容量Cは、次の式のように表される。
【0040】
【0041】
静電容量Cは、誘電体この場合洗濯処理剤の誘電率ε、と、電極32A、32Bとが構成するコンデンサの面積Sに比例する。
【0042】
電極32A、32Bと、洗濯処理剤とで構成したコンデンサの面積Sは、電極32A、32Bの下端から、洗濯処理剤の液面SLまでの長さlに比例する。ここで、電極32A、32Bの下端から、洗濯処理剤の液面SLまでの長さlが、処理剤タンク21の底から洗濯処理剤の液面SLまでの高さつまり液面高さhに近似できるとする。静電容量Cは、液面高さhに比例する。したがって、洗濯処理剤の液面位置の変化に応じて、電極32A、32B間に発生する静電容量が変化する。
【0043】
ここで、検知装置30は、LC共振部に発生する周波数fを検知する機能を有する。コンデンサの静電容量Cは、周波数fと、共振回路に特有のインダクタンスLとから、次のように表される。
【0044】
【0045】
したがって、周波数fを検知することにより、間接的に静電容量Cが求められる。
【0046】
上述のように、静電容量Cと液面高さhとの間には比例関係がある。したがって、周波数fを検知して静電容量Cを求めることで、液面高さhを求めることができる。
【0047】
洗濯処理剤の種類は多数あり、誘電率εの取り得る範囲は幅広くなるため、個々の洗濯処理剤に最適な範囲で検知することは容易ではない。すなわち、広い範囲の誘電率をカバーした検知解像度を得ることは難しい。例えば、
図7は、誘電率10、30、70、100の場合の液面高さhと静電容量Cとの関係を示すグラフである。この場合、電極32A、32Bの長さlを100mm、電極32A、32B間の距離dを1mm、処理剤タンク21が空の場合の静電容量を0.89pFと仮定している。
【0048】
誘電率が低いほど、グラフの傾きが小さくなり、誘電率が大きいほど、グラフの傾きが大きくなる。
図7のグラフの傾きをAとすると、各洗濯処理剤の誘電率εは傾きAによって以下のように表される。
【0049】
【0050】
各洗濯処理剤によって誘電率εは異なることが想定されるため、判別処理部51は、誘電率εを洗濯処理剤の判定に用いることができる。
【0051】
記憶領域402は、例えば
図8に一例を示すような各種の洗濯処理剤に特有の誘電率又は比誘電率のチャートを記憶している。洗濯処理剤の種類とは、例えば、洗剤、柔軟剤、おしゃれ着用洗剤、漂白剤、香り付け剤、等の用途による種類や、例えば洗剤O、洗剤P、洗剤Q、…、柔軟剤R、柔軟剤S、柔軟剤T、…おしゃれ着用洗剤U、おしゃれ着用洗剤V、おしゃれ着用洗剤W、…、漂白剤X、柔軟剤Y、柔軟剤Z、…といったように、銘柄の違いによる種類を含む。
【0052】
判別処理部51は、算出した誘電率εを、記憶領域402に記憶された誘電率のチャートと照合して、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の種類を判別する。
【0053】
液面検知処理部52は、周波数f、インダクタンスL、補正係数a、誘電率εなどから、液面高さhを算出する。
【0054】
ここで、
図7のグラフにおいて、傾きが中程度例えば0.5となる傾き補正目標式を定め、補正係数aを導入する。傾きを補正した静電容量C´は以下のように表される。
【0055】
【0056】
誘電率10、30、70、100のグラフに対する適切な補正係数aをそれぞれ導入すると、傾き補正後のグラフは
図9のようになる。傾き補正により、誤差が発生するため、誤差を取り除くため、更に誤差補正目標式を立てる。この場合の誤差補正目標式を、y=0.5x+0.886と設定する。誤差補正後の静電容量値Csは、周波数f、インダクタンスL、補正係数a、誘電率εから、次のように表される。
【0057】
【0058】
誘電率10、30、70、100のグラフに対する適切な補正係数aをそれぞれ導入すると、誤差補正後のグラフは
図10のようになる。各誘電率における誤差補正後の静電容量値Csのグラフは、誤差補正目標式のグラフに概ね一致している。したがって、洗濯処理剤の種類が異なり、誘電率の差が大きくなっても、一定の検知解像度で液面高さhを求めることができる。この場合、液面高さhは、次のように表される。
【0059】
【0060】
制御装置40は、検知装置30が検知した投入動作の前後の静電容量C又は補正した静電容量値Csを、記憶領域402に記憶する。
【0061】
誤差補正をした静電容量値Csから、洗濯処理剤の液面高さhを求めることができる。液面検知処理部52は、液面高さhから、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の残量を計算し、記憶領域402に記憶する。
【0062】
報知処理部53は、報知部によって、及び又は通信部44を介して図示しない外部端末によって、ユーザに対する各種の報知処理を実行する。例えば、報知処理部53は、判別処理部51が判別した洗濯処理剤の種類が、各処理剤タンク211、212に設定されていない洗濯処理剤である場合に、ユーザに報知する第1報知処理を実行することができる。ユーザは、第1報知処理を受けて、各処理剤タンク211、212に、誤った種類の洗濯処理剤を補充したことを認識し、正しい種類の洗濯処理剤を補充し直すことができる。
【0063】
また、報知処理部53は、液面検知処理部52が算出した処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の残量をユーザに報知する第2報知処理を実行することができる。報知処理部53が報知する情報は、例えば(x)mlというように具体的な液量であっても良いし、洗濯運転(y)回分というように、間接的な情報であっても良い。ユーザは、第2報知処理を受けて、各処理剤タンク211、212に貯留された洗濯処理剤の現在の残量を認識し、洗濯処理剤の購入や補充の予定を予め立てることができる。
【0064】
報知処理部53は、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の残量が少なくなった時、例えば液面検知処理部52が判定した洗濯処理剤の液面高さhが所定の高さ以下である場合に、ユーザに報知する第3報知処理を実行することができる。ユーザは、第3報知処理を受けて、各処理剤タンク211、212に貯留された洗濯処理剤の残量が少なくなっていることを認識し、処理剤タンク211、212が空になる前に洗濯処理剤を補充することができる。
【0065】
制御装置40は、少なくとも自動投入装置20による洗濯処理剤の一回の投入動作の前後において、検知装置30を動作させる。すなわち、制御装置40は、少なくとも投入ポンプ23の一回の駆動の前後において、検知装置30を動作させる。投入ポンプ23の1回の駆動により処理剤タンク21から吸い出される洗濯処理剤の量は予め設定されている。そのため、一回の自動投入により液面LSが移動する距離も所定の値となる。これにより、自動投入動作の前後で検知装置30を動作させて、静電容量の変化を検知することにより、一対の電極32A、32Bによって、洗濯処理剤の誘電率εと、洗濯処理剤の液面高さhとを算出することができる。
【0066】
本実施形態では、制御装置40は、投入動作の前後に加えて、投入動作中においても検知装置30によって静電容量を検知する。すなわち、制御装置40は、少なくとも、投入動作前、投入動作中、投入動作後の3点以上の静電容量を検知する。自動投入装置20による投入量と、処理剤タンク21内の洗濯処理剤の液面高さhとの間には線形性があり、液面高さhと静電容量との間にも線形性がある。したがって、例えば液面の揺れなどにより、誤検知が生じた際に、明らかに異常なデータを排除することができる。また、プロット数を増やすことで、誘電率εや静電容量Cのより正確な算出が可能となる。
【0067】
投入動作前のタイミングとしては、投入動作前であって、かつ、回転槽モータ14が駆動していないタイミングとすることができる。例えば、投入動作前のタイミングとしては、自動投入を用いた洗濯運転又は洗濯乾燥運転がユーザの入力部41への操作によって設定された時点や、工程開始前に回転槽13に収容された衣類の重量を検知する重量検知動作が終了した時点とすることができるがこれらに限らない。
【0068】
また、投入動作後のタイミングとしては、投入動作完了後であって、かつ、回転槽モータ14が駆動していないタイミングとすることができる。例えば、投入動作後のタイミングとしては、投入ポンプ23の駆動停止後、洗濯処理剤の液面の揺れが落ち着く所定の期間経過後とすることができる。所定の期間は、たとえば、0.2秒~1秒の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の期間は0.3秒に設定されている。
【0069】
投入動作中のタイミングとしては、投入ポンプ23の駆動中に所定の期間毎に検知装置30によって静電容量を検知することができる。例えば、投入ポンプ23の駆動中、0.5秒毎にて静電容量を検知してもよい。例えば、1秒間投入ポンプ23を駆動する場合、投入開始時点、投入開始から0.5秒後、投入開始から1秒後の3点の静電容量を検知することができる。
【0070】
ユーザが洗濯運転において自動投入を設定した場合の制御装置40による制御内容について、
図11を参照して説明する。制御装置40は、ユーザが例えば入力部41に対する操作によって洗濯処理剤の自動投入を設定した場合、
図11に示す制御フローを開始する(スタート)。
【0071】
なお、洗濯運転又は洗濯乾燥運転が実行されると、図示しない重量検知部によって回転槽13内に収容された衣類の重量を検知する重量検知が実行される。
図11のスタート時には、重量検知が終了しているものとする。すなわち、回転槽モータ14は駆動していない状態である。
【0072】
ステップS11において、制御装置40は、検知装置30により投入動作前の電極32A、32B間の静電容量を検知する。続いて、詳細は省略する洗濯運転の制御により、ステップS12において投入ポンプ23の駆動が開始される。ステップS13において、制御装置40は、検知装置30により、投入動作中の検知を実行する。検知装置30は所定期間毎例えば0.5秒毎に電極32A、32B間の静電容量を検知する。
【0073】
ステップS14において、制御装置40は、投入ポンプ23の駆動期間例えば1秒が経過したか否かを判定する。駆動期間が経過していない場合(ステップS14でNO)、制御装置40は、ステップS14の処理を繰り返す。駆動期間が経過した場合(ステップS14でYES)、制御装置40は、処理をステップS15に進める。ステップS15において、制御装置40は、ポンプの駆動を停止し、それに伴い検知装置30による所定期間毎の検知も終了する。
【0074】
ステップS16において、制御装置40は、投入ポンプ23の駆動停止後所定期間例えば0.3秒経過したか否かを判定する。所定期間が経過していない場合(ステップS16でNO)、制御装置40は、ステップS16の処理を繰り返す。所定期間が経過した場合(ステップS16でYES)、制御装置40は、処理をステップS17に進める。ステップS17において、制御装置40は、検知装置30により、投入動作後の検知を実行する。
【0075】
ステップS18において、制御装置40は、判別処理を実行する。これにより、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の種類が判別される。
【0076】
ステップS19において、制御装置40は、判別処理の結果、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の種類が、処理剤タンク21に設定されている種類と異なるか否かを判定する。設定と異なる種類であった場合(ステップS19でYES)、制御装置40は、処理をステップS20に進める。ステップS20において、制御装置40は、第1報知処理を実行する。これにより、ユーザは、処理剤タンク21に誤った種類の洗濯処理剤が貯留されていることを認識する。なお、制御装置40は、第1報知処理後、所定の期間経過してもユーザによる入力部41への操作がない場合、制御フロー及び若しくは洗濯運転又は洗濯乾燥運転を終了しても良いし、或いはユーザが故意にその洗濯処理剤を利用していると判断してステップS21に進んでも良い。
【0077】
設定と一致する種類であった場合(ステップS19でNo)、制御装置40は、処理をステップS21に進める。ステップS21において、制御装置40は、液面検知処理を実行する。これにより、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の残量が検知される。
【0078】
ステップS22において、制御装置40は、残量が所定量以下であるか否かすなわち液面高さhがLSlowの高さhlow以下かどうか判定する。残量が所定量以下である場合(ステップS22でYES)、制御装置40は処理をステップS23に進める。ステップS23において、制御装置40は、第3報知処理を実行する。これにより、ユーザは、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の残量が少ないため、補充する必要があることを認識することができる。
【0079】
残量が所定量よりも多いである場合(ステップS22でNO)、制御装置40は処理をステップS24に進める。ステップS24において、制御装置40は、第2報知処理を実行する。これにより、ユーザは、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の現在の残量を認識することができる。
【0080】
このようにして、制御装置40は、自動投入に伴う処理を終了する(エンド)。制御装置40は、引き続き、洗濯運転又は洗濯乾燥運転の各工程を実行する。なお、第2報知処理は、洗濯運転又は洗濯乾燥運転の終了時に、実行しても良い。これにより、ユーザが洗濯機10から衣類を回収するタイミングで、ユーザに対する報知を実行することができる。
【0081】
以上説明した実施形態によれば、洗濯機10は、水槽12と、自動投入装置20と、判別処理部51と、を備える。自動投入装置20は、水槽12に所定量の洗濯処理剤を自動で投入する機能を有し、処理剤タンク211、212と、検知装置30と、を有する。処理剤タンク211、212と、は、洗濯運転複数回分の洗濯処理剤を貯留可能に構成されている。検知装置30は、少なくとも一対の電極32A、32Bを有し静電容量を検知する機能を有する。判別処理部51は、検知装置30の検知結果に基づいて処理剤タンク211、212に貯留されている洗濯処理剤の種類を判別する機能を有する。
【0082】
これによれば、判別処理部51が洗濯処理剤の種類を判別して、指定の洗濯処理剤の種類ではなかった場合、報知処理部53はユーザにその旨を報知することができる。したがって、ユーザが洗濯処理剤の入れ間違いに気づかずにそのまま運転が実行されることが抑制される。そのため、ユーザの利便性が向上する。
【0083】
検知装置30は、自動投入装置20による投入動作の前後に静電容量を検知する。判別処理部51は、検知装置30が検知した投入動作の前後での静電容量の変化量と投入動作による投入量とに基づいて、判別処理を実行する。
【0084】
これによれば、自動投入動作の前後の液面変化に伴う静電容量値の変化から、洗濯処理剤の誘電率εを求めることができる。一対の電極32A、32Bによって、洗濯処理剤の種類を判別することができるため、コストを抑制しつつユーザの利便性に貢献することができる。
【0085】
洗濯機10は、処理剤タンク211、212内に貯留された洗濯処理剤の液面位置を検知する液面検知処理を実行する液面検知処理部52を更に備える。検知装置30は、自動投入装置20による投入動作の前後に静電容量を検知する。液面検知処理部52は、検知装置30が検知した投入動作の前後での静電容量の変化量と、投入動作による投入量とから、洗濯処理剤の誘電率と補正係数とを算出し、誘電率と補正係数とから導いた補正後の静電容量値Csに基づいて、洗濯処理剤の液面位置を検知する。
【0086】
これによれば、洗濯処理剤毎に異なる幅広い誘電率に対応して、洗濯処理剤の液面高さhを検知することができる。
【0087】
検知装置30は、自動投入装置20による投入動作完了後所定の期間経過後、静電容量を検知する。
【0088】
特に洗濯処理剤の貯留量が少なくなるほど、液面が揺れやすくなり、周波数の変動が大きくなる。また、上述のように、洗濯処理剤の貯留量が少なくなるほど、外部からの電界ノイズによる周波数の変動が大きくなる。したがって、所定の期間が経過し、液面の揺れが収まってから静電容量値を検知することで、より正確な検知が可能となる。
【0089】
検知装置30は、自動投入装置20による投入動作前、投入動作中、投入動作後の少なくとも3点において検知する。
【0090】
これにより、静電容量の傾きの補正係数を算出できるようにした。また、静電容量値と貯留量との間には正の相関があるため、ポンプ駆動中も検出することで、明らかにおかしな測定値を除外することができる。これにより、洗濯処理剤の液面高さひいては洗濯処理剤の残量の検知を一層正確にすることができる。
【0091】
ここで、例えば電極32A、32Bのみ処理剤タンク211、212内部に設け、基板31、発振部33、デジタルコンバータ34、受電部35を処理剤タンク211、212外部に設けることも考えられる。ユーザは、処理剤タンク211、212をタンク収容部111から取り出して内部を水で洗浄したり洗濯処理剤を補充したりする可能性がある。洗濯機10の内部や周囲には水や液体が存在する可能性が高いため、基板31、発振部33、デジタルコンバータ34、受電部35等の構成が機外に露出することは好ましくない。
【0092】
これに対して、検知装置30は、処理剤タンク211、212内に設けられた基板31と、基板31に接続された少なくとも一対の電極32A、32Bとを有する。処理剤タンク211、212は、基板31及び少なくとも一対の電極32A、32Bと洗濯処理剤が貯留される空間との間に設けられた保護部材24を有する。保護部材24は伸縮性を有する。処理剤タンク211、212に洗濯処理剤が補充されると、洗濯処理剤の液圧によって、洗濯処理剤の液面LS以下では電極32A、32Bと接触し、かつ洗濯処理剤の液面LSよりも上方においては電極32A、32Bと接触しない。
【0093】
すなわち、伸縮性の保護部材24を介して、洗濯処理剤が電極32A、32B間に満たされる。これにより、電極32A、32B、基板31等を処理剤タンク211、212内部に設けて外部への露出を回避しつつ、洗濯処理剤などの液体により基板31や、発振部33、デジタルコンバータ34、受電部35等が故障することを抑制することができる。
【0094】
(第2実施形態)
次に、
図12及び
図13を参照して第2実施形態について説明する。本実施形態では、検知部32は、電極32A、32Bに加えて、少なくとももう一対の電極32C、32Dを有する。電極32C、32Dは、自動投入装置20の使用状態において、基本的に洗濯処理剤の液面LSよりも下方に位置している。すなわち、電極32C、32Dの間には、保護部材24を介して、基本的に洗濯処理剤が満たされた状態である。
【0095】
電極32C、32Dは、
図12に示すように、基板31の第1面311に搭載され、処理剤タンク21の下部に位置している。この場合、電極32C、32Dは、電極32A、32Bよりも短い矩形に形成されており、上下方向に互いに平行になるように配置されている。
【0096】
電極32C、32Dは、最低液面LSminよりも下方に位置している。最低液面LSminの高さ位置は、例えば、洗濯処理剤の残量が少なく自動投入ができない又は近い将来できなくなることを報知処理部53がユーザに報知する液面LSlowの高さとしても良いし、それよりも低い高さとしても良い。通常の自動投入装置20の使用状態において、洗濯処理剤の液面LSは、最低液面LSminよりも上方に位置する。すなわち、通常の自動投入装置20の使用状態において、電極32C、32Dの間には洗濯処理剤が満たされた状態である。
【0097】
電極32A、32B間の静電容量値をC1、電極32C、32D間の静電容量値をC2、処理剤タンク21が空の場合の電極32A、32B間の静電容量値をC1(0)、処理剤タンク21が空の場合の電極32C、32D間の静電容量値をC2(0)、電極32C、32Dの長さl´を10mmとすると、洗濯処理剤の液面高さh(mm)は、以下のように求めることができる。
【0098】
【0099】
処理剤タンク21が空の場合の電極32A、32B間の静電容量値C1(0)、及び処理剤タンク21が空の場合の電極32C、32D間の静電容量値C2(0)は、洗濯処理剤の種類や洗濯処理剤の液面高さhによらない一定の値である。したがって、液面検知処理部52は、検知装置30が検知した電極32A、32B間の静電容量値C1と、電極32C、32D間の静電容量値C2とから、処理剤タンク21に貯留された洗濯処理剤の液面高さhを判定する。これにより、自動投入装置20による投入動作がなくともつまり投入動作の前後で検知装置30が検知しなくとも、洗濯処理剤の液面高さhを検知することができる。したがって、少ない処理数で、洗濯処理剤の残量検知が可能となる。更に、自動投入装置20の投入動作前、例えばユーザが自動投入を設定した時点で洗濯処理剤の残量を検知できるため、途中まで運転が実行された段階で洗濯処理剤の残量が足りないことが判明して運転が停止されたり、運転を始めからやり直す必要が生じたり、といった事態の発生を抑制することができる。
【0100】
洗濯処理剤の誘電率εは、電極32C、32D間の静電容量値C2から以下のように算出することができる。
【0101】
【0102】
したがって、判別処理部51は、検知装置30が検知した電極32C、32D間の静電容量値C2から、処理剤タンク21に貯留された洗濯処理剤の種類を判別する。これにより、自動投入装置20による投入動作がなくとも、洗濯処理剤の種類が判別できる。したがって、少ない処理数で、洗濯処理剤の種類の判別が可能となる。更に、自動投入装置20の投入動作前、例えばユーザが自動投入を設定した時点で洗濯処理剤の種類が判別できるため、誤った種類の洗濯処理剤で運転が実行されたり、途中まで運転が実行された段階で種類が異なることが判別されて運転をやり直す必要が生じたり、といった事態の発生を抑制することができる。
【0103】
本実施形態におけるユーザが洗濯運転において自動投入を設定した場合の制御装置40による制御内容について、
図13を参照して説明する。制御装置40は、ユーザが例えば入力部41に対する操作によって洗濯処理剤の自動投入を設定した場合、
図13に示す制御フローを開始する(スタート)。
【0104】
なお、洗濯運転又は洗濯乾燥運転が実行されると、図示しない重量検知部によって回転槽13内に収容された衣類の重量を検知する重量検知が実行される。
図13のスタート時には、重量検知が終了しているものとする。すなわち、回転槽モータ14は駆動していない状態である。
【0105】
ステップS31において、制御装置40は、検知装置30により2対の電極32A、32B間、及び電極32C、32D間の静電容量を検知する。
【0106】
ステップS32において、制御装置40は、判別処理を実行する。これにより、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の種類が判別される。
【0107】
ステップS33において、制御装置40は、判別処理の結果、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の種類が、処理剤タンク21に設定されている種類と異なるか否かを判定する。設定と異なる種類であった場合(ステップS19でYES)、制御装置40は、処理をステップS34に進める。ステップS34において、制御装置40は、第1報知処理を実行する。これにより、ユーザは、処理剤タンク21に誤った種類の洗濯処理剤が貯留されていることを認識する。なお、制御装置40は、第1報知処理後、所定の期間経過してもユーザによる入力部41への操作がない場合、制御フロー及び若しくは洗濯運転又は洗濯乾燥を終了しても良いし、或いはユーザが故意にその洗濯処理剤を利用していると判断してステップS35に進んでも良い。
【0108】
設定と一致する種類であった場合(ステップS33でNo)、制御装置40は、処理をステップS35に進める。ステップS35において、制御装置40は、液面検知処理を実行する。これにより、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の残量が検知される。
【0109】
ステップS36において、制御装置40は、残量が所定量以下であるか否かすなわち液面高さhがLSlowの高さhlow以下かどうか判定する。残量が所定量以下である場合(ステップS36でYES)、制御装置40は処理をステップS37に進める。ステップS37において、制御装置40は、第3報知処理を実行する。これにより、ユーザは、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の残量が少ないため、補充する必要があることを認識することができる。
【0110】
残量が所定量よりも多いである場合(ステップS36でNO)、制御装置40は処理をステップS38に進める。ステップS38において、制御装置40は、第2報知処理を実行する。これにより、ユーザは、処理剤タンク21に貯留されている洗濯処理剤の現在の残量を認識することができる。
【0111】
このようにして、制御装置40は、自動投入に伴う処理を終了する(エンド)。制御装置40は、引き続き、投入ポンプ23の駆動を含む洗濯運転又は洗濯乾燥運転の各工程を実行する。なお、第2報知処理は、洗濯運転又は洗濯乾燥運転の終了時に、実行しても良い。これにより、ユーザが洗濯機10から衣類を回収するタイミングで、ユーザに対する報知を実行することができる。
【0112】
本実施形態によれば、検知装置30は、第1対の電極32A、32Bと、第1対の電極32A、32Bとは異なる位置に配置された第2対の電極32C、32Dと、を有する。洗濯処理剤の液面LSの位置の変動によって、第1対の電極32A、32B間に満たされた洗濯処理剤の液面高さhは変動する。検知装置30は、第2対の電極32C、32D間に洗濯処理剤が満たされた状態で検知する。液面検知処理部52は、第2対の電極32C、32D間の静電容量値と、第1対の電極32A、32B間の静電容量値とから、液面検知処理を実行する。
【0113】
これによれば、複数対の電極32A、32B、32C、32Dを用いることで、少ない処理数で、洗濯処理剤の誘電率εの違いから生じる測定誤差を抑制することができる。したがって、より正確な洗濯処理剤の種類の判別や、洗濯処理剤の液面高さhひいては残量の検知が可能となる。
【0114】
(第3実施形態)
次に、
図14及び
図15を参照して第3実施形態について説明する。本実施形態では、検知部32は、電極32A、32B、電極32C、32Dに加えて、少なくとももう一対の電極32E、32Fを有する。電極32E、32Fの間には、洗濯処理剤が貯留された状態でも保護部材24を介して洗濯処理剤が満たされることがない。すなわち、電極32E、32Fは、処理剤タンク21に貯留された洗濯処理剤の種類に拠らない、検知時の電磁波の影響等環境に依存した静電容量を検知する。本実施形態では、電極32C、32Dは、基板31の第2面312に搭載されている。
【0115】
電極32A、32B間の静電容量値をC1、電極32C、32D間の静電容量値をC2、電極32E、32F間の静電容量値をC3、処理剤タンク21が空の場合の電極32A、32B間の静電容量値をC1(0)、電極32C、32Dの長さl´を10mm、電極32C、32Dの電極の長さl´´を10mmとすると、洗濯処理剤の液面高さh(mm)は、以下のように求めることができる。
【0116】
【0117】
処理剤タンク21が空の場合の電極32A、32B間の静電容量値C1(0)は、洗濯処理剤の種類や洗濯処理剤の液面高さhによらない一定の値である。したがって、液面検知処理部52は、検知装置30が検知した電極32A、32B間の静電容量値C1と、電極32C、32D間の静電容量値C2と、電極32E、32F間の静電容量値C3とから、処理剤タンク21に貯留された洗濯処理剤の液面高さhを判定する。これにより、自動投入装置20による投入動作がなくともつまり投入動作の前後で検知装置30が検知しなくとも、洗濯処理剤の液面高さhを検知することができる。したがって、少ない処理数で、洗濯処理剤の残量検知が可能となる。更に、電極32E、32F間の静電容量値C3を用いることで、磁気ノイズ等、環境による影響を取り除くことができる。したがって、より正確な洗濯処理剤の残量検知が可能となる。
【0118】
なお、上記第2実施形態及び第3実施形態において、制御装置40は、検知装置30に自動投入装置20による投入の前後において静電容量を検知させても良い。これにより、測定ポイントが増えるため、一層正確に洗濯処理剤の誘電率や静電容量を検知することができる。その結果、洗濯処理剤の種類の判別や、残量の検知がより正確になり、ユーザの利便性が更に向上する。
【0119】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0120】
10…洗濯機、12…水槽、20…自動投入装置、21、211、212…処理剤タンク、30…検知装置、32A、32B…第1対の電極(電極)、32C、32D…第2対の電極(電極)、32E、32F…第3対の電極(電極)、51…判別処理部、52…液面検知処理部