(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077962
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】インターホン装置、インターホンシステム、制御プログラム及びモード切替方法
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
H04M9/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190225
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】土居 敦
(72)【発明者】
【氏名】橋▲崎▼ ひなた
【テーマコード(参考)】
5K038
【Fターム(参考)】
5K038AA06
5K038DD09
5K038DD22
5K038EE02
5K038EE05
(57)【要約】
【課題】インターネット契約前後の各々において中継機がより好ましい通信を実現可能なインターホン装置、インターホンシステム、制御プログラム及びモード切替方法を提供する。
【解決手段】インターホン装置は、子機と、中継機とを備える。子機は、屋外に設置される。中継機は、配線を通じて子機に接続され、屋内に設置される。中継機は、電力供給部と、第1通信部と、第2通信部と、第3通信部とを含む。電力供給部は、配線を通じて子機へ電力を供給する。第1通信部は、配線を通じて子機との間で音声データを送受信する。第2通信部は、IEEE802.11規格に準拠した無線通信を行なう。第3通信部は、第2通信部の無線通信と異なる方式の近距離通信を利用した無線通信又は商用回線を利用した無線通信を行なう。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置される子機と、
配線を通じて前記子機に接続され、屋内に設置される中継機とを備え、
前記中継機は、
前記配線を通じて前記子機へ電力を供給する電力供給部と、
前記配線を通じて前記子機との間で音声データを送受信する第1通信部と、
IEEE802.11規格に準拠した無線通信を行なう第2通信部と、
前記第2通信部の無線通信と異なる方式の近距離通信を利用した無線通信又は商用回線を利用した無線通信を行なう第3通信部とを含む、インターホン装置。
【請求項2】
前記中継機は、前記電力供給部、前記第2通信部及び前記第3通信部の各々を制御する制御部をさらに含み、
前記電力供給部は、
系統電源から供給される電力を前記子機へ供給する第1供給部と、
バッテリから供給される電力を前記子機へ供給する第2供給部とを含み、
前記制御部は、前記第1供給部が前記系統電源から電力の供給を受けられない場合に、前記第2供給部によって前記子機へ電力を供給するように前記電力供給部を制御すると共に、前記第2通信部による無線通信から前記第3通信部による無線通信へ切り替えるための制御を行なう、請求項1に記載のインターホン装置。
【請求項3】
前記中継機においては、設定可能なモードとして、第1モードと第2モードとが設けられており、
前記中継機が前記第1モードに設定されている場合には、前記第1供給部によって前記子機へ電力が供給されると共に、前記第2通信部によって無線通信が行なわれ、
前記中継機が前記第2モードに設定されている場合には、前記第2供給部によって前記子機へ電力が供給されると共に、前記第3通信部によって無線通信が行なわれ、
前記中継機は、設定中の前記モードを変更するための物理的なスイッチをさらに含む、請求項2に記載のインターホン装置。
【請求項4】
前記中継機の上面には電子機器を配置することが可能であり、
前記電子機器は、非接触で受電する受電用コイルを備え、
前記中継機は、非接触で送電する送電用コイルをさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインターホン装置。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載のインターホン装置と、
前記インターホン装置の外部に設けられた外部機器とを備え、
前記外部機器は電力によって作動する、インターホンシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1供給部が前記系統電源から電力の供給を受けられない場合に、前記外部機器へ電力を供給するように前記第2供給部を制御する、請求項5に記載のインターホンシステム。
【請求項7】
前記第3通信部は、移動端末のIP(Internet Protocol)アドレスを収集するクラウドサーバと通信することによって、前記IPアドレス又は前記IPアドレスに基づいて生成された端末位置情報を取得し、
前記制御部は、前記IPアドレス又は前記端末位置情報に基づいて、前記移動端末が前記屋内に存在するか否かを判定する、請求項5に記載のインターホンシステム。
【請求項8】
請求項5に記載のインターホンシステムに含まれる前記インターホン装置と無線通信する移動端末の制御プログラムであって、
前記屋内には、アクセスポイントが設けられ、
前記アクセスポイントに関する第1情報の入力を受け付けるステップと、
前記中継機の筐体上に配置された二次元コードに対応付けられた第2情報を読み取るステップと、
前記第1情報及び前記第2情報の各々を前記移動端末の外部のクラウドサーバへ送信するステップと、
前記第1情報及び前記第2情報を用いることによって前記クラウドサーバと前記中継機とが前記アクセスポイントを通じて無線通信することが可能となった後に、前記中継機との間で無線通信を開始するステップとをコンピュータに実行させる、制御プログラム。
【請求項9】
インターホン装置に含まれる中継機のモード切替方法であって、
前記インターホン装置は、
屋外に設置される子機と、
配線を通じて前記子機に接続され、屋内に設置される前記中継機とを備え、
前記中継機は、
前記配線を通じて前記子機へ電力を供給する電力供給部と、
前記配線を通じて前記子機との間で音声データを送受信する第1通信部と、
IEEE802.11規格に準拠した無線通信を行なう第2通信部と、
前記第2通信部の無線通信と異なる方式の近距離通信を利用した無線通信又は商用回線を利用した無線通信を行なう第3通信部とを含み、
前記電力供給部は、
系統電源から供給される電力を前記子機へ供給する第1供給部と、
バッテリから供給される電力を前記子機へ供給する第2供給部とを含み、
前記中継機においては、設定可能なモードとして、第1モードと第2モードとが設けられており、
前記中継機が前記第1モードに設定されている場合には、前記第1供給部によって前記子機へ電力が供給されると共に、前記第2通信部によって無線通信が行なわれ、
前記中継機が前記第2モードに設定されている場合には、前記第2供給部によって前記子機へ電力が供給されると共に、前記第3通信部によって無線通信が行なわれ、
前記モード切替方法は、
前記第1供給部が前記系統電源から電力の供給を受けられないことを検出するステップと、
前記第1供給部が前記系統電源から電力の供給を受けられないことが検出された場合に、前記中継機における設定中の前記モードを前記第1モードから前記第2モードへ切り替えるステップとを含む、モード切替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホン装置、インターホンシステム、制御プログラム及びモード切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2008-131427号公報(特許文献1)は、ドアホンシステムを開示する。このドアホンシステムは、屋外機と、屋内機と、中継機とを含んでいる。屋外機と中継機とは有線又は無線で通信可能となっており、中継機と屋内機とは有線又は無線で通信可能となっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているドアホンシステムにおいて、中継機と屋内機とは所定の通信規格に準拠した通信を行なう。したがって、このドアホンシステムにおいて、中継機と屋内機との間の通信は、所定の通信規格の制約を受ける。その結果、例えば、インターネット契約前においてはドアホンシステムを使用できないという問題、又は、屋内機が中継機から遠くへ離れた位置に存在する場合に屋内機と中継機とが通信できないという問題が生じ得る。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、インターネット契約前後の各々において中継機がより好ましい通信を実現可能なインターホン装置、インターホンシステム、制御プログラム及びモード切替方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従うインターホン装置は、子機と、中継機とを備える。子機は、屋外に設置される。中継機は、配線を通じて子機に接続され、屋内に設置される。中継機は、電力供給部と、第1通信部と、第2通信部と、第3通信部とを含む。電力供給部は、配線を通じて子機へ電力を供給する。第1通信部は、配線を通じて子機との間で音声データを送受信する。第2通信部は、IEEE802.11規格に準拠した無線通信を行なう。第3通信部は、第2通信部の無線通信と異なる方式の近距離通信を利用した無線通信又は商用回線を利用した無線通信を行なう。
【0007】
このインターホン装置は、第2通信部の無線通信と異なる方式の近距離通信を利用した無線通信又は商用回線を利用した無線通信を行なう第3通信部を含む。したがって、このインターホン装置によれば、インターネット契約前等の第2通信部を通じた無線通信ができない状況においても、第3通信部を通じて所望の情報をインターホン装置の外部に送信することができる。また、このインターホン装置は、IEEE802.11規格に準拠した無線通信を行なう第2通信部を含む。したがって、このインターホン装置によれば、インターネット契約後において、中継機からより遠くへ離れた位置に存在する機器へ所望の情報を送信することができる。
【0008】
上記インターホン装置において、中継機は、電力供給部、第2通信部及び第3通信部の各々を制御する制御部をさらに含んでもよく、電力供給部は、系統電源から供給される電力を子機へ供給する第1供給部と、バッテリから供給される電力を子機へ供給する第2供給部とを含んでもよく、制御部は、第1供給部が系統電源から電力の供給を受けられない場合に、第2供給部によって子機へ電力を供給するように電力供給部を制御すると共に、第2通信部による無線通信から第3通信部による無線通信へ切り替えるための制御を行なってもよい。
【0009】
このインターホン装置においては、第1供給部が系統電源から電力の供給を受けられない場合に、第2供給部によって子機へ電力が供給されると共に、第2通信部による無線通信から第3通信部による無線通信へ切り替えるための制御が行なわれる。したがって、このインターホン装置によれば、例えば停電が生じたとしても、子機へ電力を供給することができ、かつ、第3通信部を通じて所望の情報をインターホン装置の外部に送信することができる。
【0010】
上記インターホン装置において、中継機においては、設定可能なモードとして、第1モードと第2モードとが設けられていてもよく、中継機が第1モードに設定されている場合には、第1供給部によって子機へ電力が供給されると共に、第2通信部によって無線通信が行なわれてもよく、中継機が第2モードに設定されている場合には、第2供給部によって子機へ電力が供給されると共に、第3通信部によって無線通信が行なわれてもよく、中継機は、設定中のモードを変更するための物理的なスイッチをさらに含んでもよい。
【0011】
このインターホン装置において、中継機は、設定中のモードを変更するための物理的なスイッチを含んでいる。したがって、このインターホン装置によれば、物理的なスイッチの操作によって中継機のモードを容易に変更することができる。
【0012】
上記インターホン装置において、中継機の上面には電子機器を配置することが可能であってもよく、電子機器は、非接触で受電する受電用コイルを備えてもよく、中継機は、非接触で送電する送電用コイルをさらに含んでもよい。
【0013】
このインターホン装置において、中継機は、非接触で送電する送電用コイルを含んでいる。したがって、このインターホン装置によれば、中継機上に配置された電子機器に非接触で電力を供給することができる。
【0014】
本発明の他の局面に従うインターホンシステムは、上記インターホン装置と、外部機器とを備える。外部機器は、インターホン装置の外部に設けられる。外部機器は電力によって作動する。
【0015】
上記インターホンシステムにおいて、制御部は、第1供給部が系統電源から電力の供給を受けられない場合に、外部機器へ電力を供給するように第2供給部を制御してもよい。
【0016】
このインターホンシステムによれば、例えば停電時であっても第2供給部によって外部機器へ電力を供給することができる。
【0017】
上記インターホンシステムにおいて、第3通信部は、移動端末のIP(Internet Protocol)アドレスを収集するクラウドサーバと通信することによって、IPアドレス又はIPアドレスに基づいて生成された端末位置情報を取得してもよく、制御部は、IPアドレス又は端末位置情報に基づいて、移動端末が屋内に存在するか否かを判定してもよい。
【0018】
このインターホンシステムによれば、移動端末が屋内に存在するか否かが判定されるため、例えば、判定結果に応じて移動端末との通信経路を選択することができる。
【0019】
本発明の他の局面に従う制御プログラムは、上記インターホンシステムに含まれるインターホン装置と無線通信する移動端末の制御プログラムである。屋内には、アクセスポイントが設けられる。制御プログラムは、アクセスポイントに関する第1情報の入力を受け付けるステップと、中継機の筐体上に配置された二次元コードに対応付けられた第2情報を読み取るステップと、第1情報及び第2情報の各々をクラウドサーバへ送信するステップと、第1情報及び第2情報を用いることによってクラウドサーバと中継機とがアクセスポイントを通じて無線通信することが可能となった後に、中継機との間で無線通信を開始するステップとをコンピュータに実行させる。
【0020】
この制御プログラムによれば、中継機と移動端末とのペアリングを比較的容易に実現することができる。
【0021】
本発明の他の局面に従うモード切替方法は、インターホン装置に含まれる中継機のモード切替方法である。インターホン装置は、子機と、中継機とを備える。子機は、屋外に設置される。中継機は、配線を通じて子機に接続され、屋内に設置される。中継機は、電力供給部と、第1通信部と、第2通信部と、第3通信部とを含む。電力供給部は、配線を通じて子機へ電力を供給する。第1通信部は、配線を通じて子機との間で音声データを送受信する。第2通信部は、IEEE802.11規格に準拠した無線通信を行なう。第3通信部は、第2通信部の無線通信と異なる方式の近距離通信を利用した無線通信又は商用回線を利用した無線通信を行なう。電力供給部は、第1供給部と、第2供給部とを含む。第1供給部は、系統電源から供給される電力を子機へ供給する。第2供給部は、バッテリから供給される電力を子機へ供給する。中継機においては、設定可能なモードとして、第1モードと第2モードとが設けられている。中継機が第1モードに設定されている場合には、第1供給部によって子機へ電力が供給されると共に、第2通信部によって無線通信が行なわれる。中継機が第2モードに設定されている場合には、第2供給部によって子機へ電力が供給されると共に、第3通信部によって無線通信が行なわれる。モード切替方法は、第1供給部が系統電源から電力の供給を受けられないことを検出するステップと、第1供給部が系統電源から電力の供給を受けられないことが検出された場合に、中継機における設定中のモードを第1モードから第2モードへ切り替えるステップとを含む。
【0022】
このモード切替方法によれば、第1供給部が系統電源から電力の供給を受けられないことが検出された場合に中継機のモードが第1モードから第2モードへ切り替えられるため、例えば、停電時であってもインターホン装置を継続して作動させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、インターネット契約前後の各々において中継機がより好ましい通信を実現可能なインターホン装置、インターホンシステム、制御プログラム及びモード切替方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】インターホンシステムの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図2】インターホン装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】移動端末の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図4】クラウドサーバの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図5】インターネット契約後における中継機及び移動端末間のペアリング手順を示すフローチャートである。
【
図6】インターホン装置及び移動端末間における通話開始手順を示すフローチャートである。
【
図7】中継機における自動的なモード切替手順を示すフローチャートである。
【
図8】中継機におけるモードを手動で切り替える手順を示すフローチャートである。
【
図9】中継機から移動端末へ非接触で送電する手順を示すフローチャートである。
【
図10】外部機器への給電手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0026】
[1.構成]
<1-1.インターホンシステムの全体構成>
図1は、本実施の形態に従うインターホンシステム10の構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示されるように、インターホンシステム10は、インターホン装置50と、移動端末300と、無線LAN(Local Area Network)ルータ400と、外部機器500と、クラウドサーバ600とを含んでいる。インターホンシステム10は、通信規格IEEE802.11を利用する無線LANを使って無線通信を行なう。ここで、IEEE802.11規格の一例としては、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n、IEEE802.11ac及びIEEE802.11adが挙げられる。インターホンシステム10においては、例えばインターネットを通じて、インターホン装置50、移動端末300及びクラウドサーバ600が相互に通信可能である。なお、移動端末300は、例えば、スマートフォン、タブレット又はモバイルPC(Personal Computer)によって構成され、クラウドサーバ600は、例えば、汎用コンピュータによって構成される。
【0027】
インターホン装置50は、中継機100と子機200とを含んでいる。中継機100と子機200とは双方向通信が可能であり、中継機100と移動端末300とは双方向通信が可能である。インターホンシステム10においては、子機200と移動端末300との間での通話が中継機100を通じて実現される。インターホンシステム10においては、子機200からの呼び出しが移動端末300へ通知されるため、ユーザは例えば屋内のどこにいても移動端末300を用いることによって子機200からの呼び出しを受けることができる。
【0028】
例えば、中継機100は、ユーザの居住スペースや仕事場等の作業エリアの中(屋内と定義する)に設置され、屋内に存在するユーザの移動端末300と通信する。子機200は、ユーザの居住スペースや仕事場等の作業エリアの外(屋外と定義する)に設置され、ユーザの家や作業場に来る訪問者によって使用される。ユーザの家に訪問者が来た場合に、ユーザ及び訪問者は、ユーザの移動端末300及び子機200をそれぞれ使用して互いに会話することができる。
【0029】
また、無線LANルータ400及び外部機器500の各々は屋内に設置され、移動端末300はユーザが存在する位置に応じて屋内又は屋外に位置する。無線LANルータ400は、いわゆるルータ及びアクセスポイントとして機能する。無線LANは、通信規格IEEE802.11を利用する無線通信、すなわちWi-Fi(登録商標)を利用する。例えば、中継機100及び移動端末300の各々は、無線LANルータ400を通じてインターネットに接続可能である。また、移動端末300は、無線LANルータ400を通じずに携帯電話ネットワーク(例えば、LTE(Long Term Evolution)、3G、4G、5G)を通じてインターネットに接続することもできる。
【0030】
外部機器500は、電力によって作動する。外部機器500の一例としては、セキュリティカメラ、電子錠及び火災報知器が挙げられる。インターホンシステム10には、複数の外部機器500が含まれていてもよい。外部機器500は、通常時に系統電源から電力供給を受けて作動する。また、詳細については後述するが、外部機器500は、系統電源から電力供給を受けられない非常時(例えば、停電時)に、中継機100から電力供給を受けて作動するように構成されている。なお、系統電源とは、電力会社が保有する商用の配電線網から供給される電源のことをいう。
【0031】
上述のように、インターホンシステム10においては、子機200と移動端末300との間での通話が中継機100を通じて実現される。したがって、子機200と移動端末300との間での通話を実現するためには、中継機100と移動端末300とが通信可能となっている必要がある。仮に中継機100と移動端末300とがインターネットを通じてしか通信できない場合には、インターネット契約が済んでいない状態において、インターホン装置50を使用できないという問題が生じ得る。また、仮に中継機100と移動端末300とがBluetooth(登録商標)等でしか通信できない場合には、移動端末300を持ったユーザが屋外にいるときに子機200からの呼び出しを受けられないという問題が生じ得る。
【0032】
詳細については後述するが、本実施の形態に従うインターホン装置50は、無線LANルータ400を通じずに無線通信を行なうことができる。したがって、インターホン装置50によれば、インターネット契約前等の無線LANルータ400を通じた無線通信ができない状況においても、所望の情報をインターホン装置50の外部(例えば、屋外に移動している移動端末300)へ送信することができる。また、インターホン装置50は、無線LANルータ400を通じて無線通信を行なうことができる。したがって、インターホン装置50によれば、インターネット契約後において、中継機100から遠くへ離れた位置(例えば、屋外)に存在する機器(例えば、移動端末300)へ所望の情報を送信することができる。
【0033】
<1-2.インターホン装置の構成>
図2は、インターホン装置50の構成を模式的に示すブロック図である。
図2に示されるように、インターホン装置50は、中継機100と、子機200とを含んでいる。中継機100と子機200とは、2線式の伝送路L1(配線の一例)を通じて接続されている。伝送路L1は、例えば、ツイストペア線によって構成される。
【0034】
中継機100は、制御部110と、記憶部120と、第1通信部130と、第2通信部140と、第3通信部150と、バッテリ160と、電力供給部170と、スイッチ180と、非接触送電部190とを含んでいる。
【0035】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリ等(不図示)を含み、中継機100の各構成要素を制御するように構成されている。例えば、メモリに記憶された中継機100の制御プログラムがCPUによって実行されることにより、中継機100における各種機能が実現される。
【0036】
記憶部120は、各種データを記憶するように構成されている。記憶部120は、例えば、移動端末300において表示されるUI(User Interface)を示す画像データ、及び、移動端末300において出力される呼び出し音を示す音声データを記憶する。記憶部120は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブの少なくとも一部によって構成される。
【0037】
第1通信部130は、伝送路L1を通じて子機200との間で制御信号、音声データ及び画像データの送受信を行なうように構成されている。すなわち、中継機100及び子機200間においては、伝送路L1を通じた双方向通信が可能である。また、第1通信部130は、伝送路L1を通じて子機200に電力を送るように構成されている。この電力は、後述の電力供給部170によって供給される。
【0038】
第2通信部140は、無線LANルータ400を通じた無線通信を行なうように構成されている。第2通信部140は、無線LANルータ400を通じて、例えば、移動端末300及びクラウドサーバ600の各々と通信する。無線LANは、通信規格IEEE802.11を利用する無線通信、すなわちWi-Fi(登録商標)を利用する。第2通信部140は、例えば、子機200から受信された画像データ及び音声データを移動端末300へ送信する。また、第2通信部140は、画像データ及び音声データを移動端末300から受信する。第2通信部140は、例えば、有線LANモジュール又は無線LANモジュールで構成される。
【0039】
第3通信部150は、無線LANルータ400を通じずに無線通信を行なうように構成されている。第3通信部150は、無線LANルータ400を通じずに、例えば、移動端末300と直接的に通信する。第3通信部150は、第2通信部の無線通信と異なる方式の近距離通信を利用した無線通信もしくは商用回線を利用した無線通信を利用する。例えば、子機200から受信された画像データ及び音声データを移動端末300へ送信する。また、第3通信部150は、画像データ及び音声データを移動端末300から受信する。第3通信部150は、例えば、Bluetooth(登録商標)又はZIGBEE(登録商標)等の近接無線通信規格に準拠した通信を行なう。もしくは、第3通信部150は、LTE回線、3G回線、4G回線若しくは5G回線等の移動体通信網又はインターネット等の商用回線を利用する。
【0040】
バッテリ160は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池又は全固体電池等の二次電池によって構成される。詳細については後述するが、バッテリ160に蓄えられた電力は、例えば、インターホン装置50、外部機器500及び移動端末300へ供給される。バッテリ160に蓄えられた電力は、例えば、系統電源から電力供給を受けられない非常時に用いられる。なお、バッテリ160は、必ずしも中継機100内に設けられる必要はなく、中継機100の外部に設けられてもよい。詳細は省略するが、バッテリ160が中継機100に内蔵されない場合には、中継機100外の移動用のモバイルバッテリから電源を入力する供給ポートが中継機100に設けられてもよい。モバイルバッテリは、移動用の充電器のことであり、中継機100とUSB(Universal Serial Bus)ケーブルで接続する構造になっている。供給ポートは、USB接続を行なうプラグの差込み口である。
【0041】
電力供給部170は、第1供給部171と、第2供給部172とを含んでいる。第1供給部171は、系統電源から供給された電力を中継機100の各構成要素及び子機200へ供給するように構成されている。第2供給部172は、バッテリ160に蓄えられた電力を中継機100の各構成要素及び子機200へ供給するように構成されている。また、詳細については後述するが、第2供給部172は、例えば非常時に、バッテリ160に蓄えられた電力を外部機器500及び移動端末300へ供給するように構成されている。
【0042】
スイッチ180は、例えば、スライドスイッチ、プッシュスイッチ、セレクタスイッチ又はロッカスイッチで構成される。スイッチ180は、中継機100のモード変更に用いられる。中継機100においては、設定可能なモードとして、第1モードと第2モードとが設けられている。中継機100が第1モードに設定されている場合には、第1供給部171によって子機200へ電力が供給されると共に、第2通信部140を通じて移動端末300との間で無線通信が行なわれる。一方、中継機100が第2モードに設定されている場合には、第2供給部172によって子機200へ電力が供給されると共に、第3通信部150を通じて移動端末300との間で無線通信が行なわれる。
【0043】
中継機100の上面には、移動端末300を配置することが可能である。詳細については後述するが、移動端末300は、非接触で受電するように構成されている。非接触送電部190は、送電用コイルを含んでおり、非接触で送電するように構成されている。非接触送電部190は、例えば、バッテリ160によって供給される直流電力を交流電力へ変換し非接触で送電する。非接触送電部190によって送られた電力は、例えば、移動端末300によって受電される。なお、中継機100の上面には、移動端末300を置くべき位置を示すマークが設けられていてもよい。所定の位置に移動端末300が配置されることにより、非接触電力伝送が効率的に行なわれる。
【0044】
子機200は、制御部210と、記憶部220と、第4通信部230と、呼び出しベル240と、マイクロホン250と、スピーカ260と、カメラ270とを含んでいる。
【0045】
制御部210は、CPU及びメモリ等(不図示)を含み、子機200の各構成要素を制御するように構成されている。例えば、メモリに記憶された子機200の制御プログラムがCPUによって実行されることにより、子機200における各種機能が実現される。
【0046】
記憶部220は、各種データを記憶するように構成されている。記憶部220は、例えば、スピーカ260から出力される音声のデータを記憶する。記憶部220は、例えば、ROM、RAM、EEPROM、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブの少なくとも一部によって構成される。
【0047】
第4通信部230は、伝送路L1を通じて中継機100との間で制御信号の送受信を行なうように構成されている。また、第4通信部230は、伝送路L1を通じて中継機100から電力の供給を受けるように構成されている。
【0048】
呼び出しベル240は、例えば、訪問者によって押下されるボタンである。訪問者によって呼び出しベル240が押下されると、呼び出し信号が伝送路L1を通じて子機200から中継機100へ送信される。
【0049】
マイクロホン250は、入力された音声をアナログ音声信号に変換するように構成されている。このアナログ音声信号は、例えば、音声処理回路(不図示)によってデジタル音声信号(音声データ)に変換され、中継機100へ送信される。
【0050】
スピーカ260は、アナログ音声信号を音声に変換して出力するように構成されている。例えば、中継機100から受信されたデジタル音声信号(音声データ)が音声処理回路(不図示)によってアナログ音声信号に変換され、スピーカ260は該アナログ音声信号を音声に変換して出力する。
【0051】
カメラ270は、動画像を撮像し、画像データ(静止画像データ及び動画像データを含む)を生成するように構成されている。呼び出しベル240が押下されると、カメラ270によって生成された画像データは、子機200から中継機100へ送信され、さらに中継機100から移動端末300へ送信される。インターホン装置50において、カメラ270は、例えば、屋外の画像を常時撮影する。常時撮影を通じて生成された画像データを記憶部220に記憶させることによって、インターホン装置50に監視カメラの機能を持たせることができる。カメラ270は、例えば、イメージセンサーを含むカメラモジュールで構成される。
【0052】
<1-3.移動端末の構成>
図3は、移動端末300の構成を模式的に示すブロック図である。上述のように、移動端末300は、例えば、スマートフォン、タブレット又はモバイルPC等によって構成される。
図3に示されるように、移動端末300は、制御部310と、記憶部320と、通信I/F(interface)330と、スピーカ340と、マイクロホン350と、ディスプレイ360と、操作部370と、非接触受電部390とを含んでいる。
【0053】
制御部310は、CPU、RAM及びROM等(不図示)を含み、各構成要素を制御するように構成されている。記憶部320は、例えば、制御プログラムを記憶するように構成されている。制御プログラムが制御部310のCPUによって実行されることによって、移動端末300における各種機能が実現される。
【0054】
通信I/F330は、インターネットを通じて中継機100及びクラウドサーバ600の各々と通信するように構成されている。また、通信I/F330は、中継機100の第3通信部150と通信するように構成されている。
【0055】
スピーカ340は、アナログ音声信号を音声に変換して出力するように構成されている。例えば、中継機100から受信されたデジタル音声信号(音声データ)が音声処理回路(不図示)によってアナログ音声信号に変換され、スピーカ340は該アナログ音声信号を音声に変換して出力する。
【0056】
マイクロホン350は、入力された音声をアナログ音声信号に変換するように構成されている。このアナログ音声信号は、例えば、音声処理回路(不図示)によってデジタル音声信号(音声データ)に変換され、通信I/F330を通じて中継機100へ送信される。
【0057】
ディスプレイ360は、画像を表示するように構成されている。ディスプレイ360は、例えば、液晶モニタ又は有機ELモニタ等のモニタで構成される。操作部370は、ユーザからの操作を受け付けるように構成されている。操作部370は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス及びマイクの一部又は全部で構成される。
【0058】
バッテリ380は、例えば、リチウムイオン電池によって構成される。バッテリ380に蓄えられた電力は、移動端末300の各構成要素へ供給される。非接触受電部390は、受電用コイルを含んでおり、非接触で受電するように構成されている。非接触受電部390は、例えば、非接触で受けた交流電力を直流電力へ変換し、バッテリ380を充電する。
【0059】
カメラ395は、被写体像を撮像し画像データを生成するように構成されている。カメラ395は、例えば、イメージセンサーを含むカメラモジュールで構成される。
【0060】
<1-4.クラウドサーバの構成>
図4は、クラウドサーバ600の構成を模式的に示すブロック図である。上述のように、クラウドサーバ600は、例えば、汎用コンピュータによって実現される。
図4に示されるように、クラウドサーバ600は、制御部610と、通信I/F630と、記憶部620とを含んでいる。
【0061】
制御部610は、CPU、RAM及びROM等(不図示)を含み、各構成要素を制御するように構成されている。通信I/F630は、インターネットを通じてインターホン装置50及び移動端末300の各々と通信するように構成されている。通信I/F630は、例えば、有線LANモジュール又は無線LANモジュールで構成される。
【0062】
記憶部620は、例えば、ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。記憶部620は、例えば、制御プログラムを記憶している。制御プログラムが制御部610のCPUによって実行されることによって、クラウドサーバ600における各種機能が実現される。
【0063】
[2.動作]
<2-1.初期設定動作>
インターホン装置50を最初に使用する場合に、ユーザの移動端末300と中継機100との対応付け(ペアリング)を行なう必要がある。例えば、インターネット契約前の状態においては、中継機100の第3通信部150と移動端末300の通信I/F330との間で通信することによってペアリングが行なわれる。例えば、第3通信部150及び通信I/F330の各々がBluetooth(登録商標)規格に準拠した通信を行なう場合には、当該規格に準拠したペアリングが行なわれる。これにより、中継機100及び移動端末300間における通信が可能となる。一方、インターネット契約後の状態においては、クラウドサーバ600を通じて中継機100及び移動端末300間のペアリングが行なわれる。
【0064】
図5は、インターネット契約後における中継機100及び移動端末300間のペアリング手順を示すフローチャートである。
図5を参照して、左側のフローチャートに示される処理は、例えば、移動端末300においてペアリングのための操作が行なわれた場合に移動端末300の制御部310によって実行される。一方、右側のフローチャートに示される処理は、例えば、クラウドサーバ600の制御部610によって実行される。
【0065】
図5の左側のフローチャートを参照して、移動端末300の制御部310は、例えば、操作部370を通じて無線LANルータ400に関する第1情報の入力を受け付ける(ステップS100)。第1情報の一例としては、SSID(Service Set Identifier)、無線LANルータ400の機器ID及びパスワードが挙げられる。
【0066】
制御部310は、中継機100に関する第2情報を取得する(ステップS110)。第2情報の一例としては、中継機100の機器ID及びパスワードが挙げられる。第2情報の取得は、例えば、中継機100の筐体に印刷された二次元コードがカメラ395によって撮影されることにより行なわれる。
【0067】
制御部310は、取得された第1及び第2情報をクラウドサーバ600へ送信するように通信I/F330を制御する(ステップS120)。その後、制御部310は、クラウドサーバ600から設定完了情報が受信されたか否かを判定する(ステップS130)。設定完了情報とは、中継機100におけるインターネット接続設定が完了したことを示す情報である。
【0068】
設定完了情報が受信されていないと判定されると(ステップS130においてNO)、制御部310は、設定完了情報が受信されるまで待機する。一方、設定完了情報が受信されたと判定されると(ステップS130においてYES)、制御部310は、インターネットを通じて中継機100と移動端末300とを対応付けるための処理を実行する(ステップS140)。これにより、インターネットを通じて中継機100及び移動端末300間の通信が可能となる。
【0069】
図5の右側のフローチャートを参照して、クラウドサーバ600の制御部610は、第1及び第2情報が移動端末300から受信されたか否かを判定する(ステップS200)。第1及び第2情報が受信されていないと判定されると(ステップS200においてNO)、制御部610は、第1及び第2情報が受信されるまで待機する。
【0070】
一方、第1及び第2情報が受信されたと判定されると(ステップS200においてYES)、制御部610は、第1及び第2情報を用いて中継機100のインターネット接続設定を行なう(ステップS210)。第1及び第2情報を送受信する際には、パスワードを利用して情報セキュリティを確保するやり方を採用してもよい。制御部610は、例えば、第1情報を用いることによって無線LANルータ400との間で通信を確立し、第2情報を用いることによって中継機100及び無線LANルータ400間の通信を確立する。これにより、中継機100のインターネット接続設定が完了する。他の例として、クラウドサーバ600ではなく、移動端末300に実装する専用アプリケーションを利用し、無線LANルータ400に関する第1情報を中継機100に送受信し、中継機100に関する第2情報を無線LANルータ400に送受してインターネット接続設定を行なってもよい。
【0071】
中継機100のインターネット接続設定が完了すると、制御部610は、設定完了情報を送信するように通信I/F630を制御する(ステップS220)。その後、制御部610は、インターネットを通じて中継機100と移動端末300とを対応付けるための処理を実行する(ステップS140)。これにより、インターネットを通じて中継機100及び移動端末300間の通信が可能となる。このように、本実施の形態に従うインターホンシステム10においては、中継機100と移動端末300との間のペアリングが比較的容易に実現される。
【0072】
<2-2.インターホン装置における基本動作>
図6は、インターホン装置50及び移動端末300間における通話開始手順を示すフローチャートである。
図6を参照して、左側のフローチャートに示される処理は、インターホン装置50において所定周期で繰り返し実行される。一方、右側のフローチャートに示される処理は、移動端末300において所定周期で繰り返し実行される。
【0073】
図6の左側のフローチャートを参照して、子機200の制御部210は、訪問者によって呼び出しベル240が押下されたか否かを判定する(ステップS300)。呼び出しベル240が押下されていないと判定されると(ステップS300においてNO)、制御部210は、呼び出しベル240が押下されるまで待機する。
【0074】
一方、呼び出しベル240が押下されたと判定されると(ステップS300においてYES)、子機200の制御部210は呼び出し信号を中継機100へ送信するように第4通信部230を制御し、中継機100の制御部110は受信された呼び出し信号を移動端末300へ送信するように第2通信部140又は第3通信部150を制御する(ステップS310)。中継機100が第1モードに設定されている場合には呼び出し信号が第2通信部140を通じて送信され、中継機100が第2モードに設定されている場合には呼び出し信号が第3通信部150を通じて送信される。
【0075】
その後、中継機100の制御部110は、移動端末300から通話開始信号を受信したか否かを判定する(ステップS320)。通話開始信号が受信されていないと判定されると(ステップS320においてNO)、制御部110は、通話開始信号が受信されるまで待機する。一方、通話開始信号が受信されたと判定されると(ステップS320においてYES)、制御部110,210の各々は無線通信を通じた通話を開始するための処理を実行する(ステップS330)。
【0076】
図6の右側のフローチャートを参照して、移動端末300の制御部310は、中継機100から呼び出し信号を受信したか否かを判定する(ステップS400)。呼び出し信号が受信されていないと判定されると(ステップS400においてNO)、制御部310は、呼び出し信号が受信されるまで待機する。
【0077】
一方、呼び出し信号が受信されたと判定されると(ステップS400においてYES)、制御部310は、呼び出しをユーザへ通知するための処理を実行する(ステップS410)。例えば、制御部310は、呼び出し音を出力するようにスピーカ340を制御する。
【0078】
制御部310は、例えば、操作部370を通じて通話開始指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS420)。通話開始指示が受け付けられていないと判定されると(ステップS420においてNO)、制御部310は、通話開始指示が受け付けられるまで待機する。
【0079】
一方、通話開始指示が受け付けられたと判定されると(ステップS420においてYES)、制御部310は、中継機100へ通話開始信号を送信するように通信I/F330を制御する(ステップS430)。その後、制御部310は、無線通信を通じた通話を開始するための処理を実行する(ステップS330)。これにより、子機200及び移動端末300間における通話が開始される。
【0080】
<2-3.自動的なモード切替動作>
図7は、中継機100における自動的なモード切替手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、中継機100が第1モードに設定されている場合に、中継機100の制御部110によって繰り返し実行される。
【0081】
図7を参照して、中継機100の制御部110は、系統電源から中継機100への電力供給が停止したか否かを判定する(ステップS500)。電力供給が停止していないと判定されると(ステップS500においてNO)、制御部110は、再びステップS500の処理を実行する。
【0082】
一方、電力供給が停止したと判定されると(ステップS500においてYES)、制御部110は、中継機100のモードを第1モードから第2モードへ切り替えるための処理を実行する(ステップS510)。インターホン装置50においては、第1供給部171が系統電源から電力の供給を受けられない場合に、第2供給部172によって子機200へ電力が供給されると共に、第2通信部140による無線通信から第3通信部150による無線通信へ切り替えるための制御が行なわれる。したがって、インターホン装置50によれば、例えば停電が生じたとしても、子機200へ電力を供給することができ、かつ、第3通信部150を通じて所望の情報をインターホン装置50の外部(例えば、移動端末300)へ送信することができる。
【0083】
<2-4.手動によるモード切替動作>
図8は、中継機100におけるモードを手動で切り替える手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、中継機100の制御部110によって繰り返し実行される。
【0084】
図8を参照して、中継機100の制御部110は、スイッチ180の切り替え操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS600)。スイッチ180の切り替え操作を受け付けていないと判定されると(ステップS600においてNO)、制御部110は、再びステップS600の処理を実行する。
【0085】
一方、スイッチ180の切り替え操作を受け付けたと判定されると(ステップS600においてYES)、制御部110は、スイッチ180の操作に応じて中継機100のモードを切り替えるための処理を実行する(ステップS610)。インターホン装置50において、中継機100は、設定中のモードを変更するための物理的なスイッチ180を含んでいる。したがって、インターホン装置50によれば、物理的なスイッチ180の操作によって中継機100のモードを容易に変更することができる。中継機100のモード設定を適切に行なうことによって、例えば、インターネット契約の状態、及び、系統電源からの電力供給の状態に拘わらずインターホン装置50を使用することができる。
【0086】
<2-5.移動端末への給電動作(非接触電力伝送)>
図9は、中継機100から移動端末300へ非接触で送電する手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、中継機100が第2モードに設定されている場合に、中継機100の制御部110によって繰り返し実行される。
【0087】
図9を参照して、中継機100の制御部110は、中継機100の上面に移動端末300が配置されたか否かを判定する(ステップS700)。制御部110は、例えば、第3通信部150を通じた移動端末300との通信結果に基づいて中継機100の上面に移動端末300が配置されたか否かを判定してもよい。中継機100の上面に移動端末300が配置されていないと判定されると(ステップS700においてNO)、制御部110は、中継機100の上面に移動端末300が配置されるまで待機する。
【0088】
中継機100の上面に移動端末300が配置されたと判定されると(ステップS700においてYES)、制御部110は、非接触電力伝送のためのペアリング処理を実行する(ステップS710)。その後、制御部110は、移動端末300への送電を開始するように非接触送電部190を制御する(ステップS720)。
【0089】
制御部110は、送電終了条件を満たしたか否かを判定する(ステップS730)。例えば、移動端末300のバッテリ380の充電が完了すると、送電終了条件が満たされる。送電終了条件が満たされていないと判定されると(ステップS730においてNO)、制御部110は、送電制御を継続する。一方、送電終了条件が満たされたと判定されると(ステップS730においてYES)、制御部110は、送電を停止するように非接触送電部190を制御する(ステップS740)。
【0090】
このように、インターホン装置50によれば、例えば非常時に、中継機100上に配置された移動端末300に非接触で電力を供給することができる。
【0091】
<2-6.外部機器への給電動作>
図10は、外部機器500への給電手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、中継機100の制御部110によって所定周期で実行される。
【0092】
図10を参照して、中継機100の制御部110は、系統電源から中継機100への電力供給が停止したか否かを判定する(ステップS800)。電力供給が停止していないと判定されると(ステップS800においてNO)、制御部110は、再びステップS800の処理を実行する。
【0093】
一方、電力供給が停止したと判定されると(ステップS800においてYES)、制御部110は、外部機器500への給電を開始するように電力供給部170(第2供給部172)を制御する(ステップS810)。インターホンシステム10によれば、例えば停電時であっても第2供給部172によって外部機器500へ電力を供給することができる。
【0094】
[3.特徴]
以上のように、本実施の形態に従うインターホン装置50は、無線LANルータ400(アクセスポイントの一例)を通じずに無線通信を行なう第3通信部150を含む。すなわち、第3通信部150は、第2通信部の無線通信と異なる方式の近距離通信を利用した無線通信又は商用回線を利用した無線通信を利用する。したがって、インターホン装置50によれば、インターネット契約前等の無線LANルータ400を通じた無線通信ができない状況においても、第3通信部150を通じて所望の情報をインターホン装置50の外部に送信することができる。また、インターホン装置50は、無線LANルータ400を通じて無線通信を行なう第2通信部140を含む。第2通信部140は、通信規格IEEE802.11を利用する無線通信であるWi-Fiによる無線通信を行なう。したがって、インターホン装置50によれば、インターネット契約後において、中継機100からより遠くへ離れた位置に存在する機器(例えば、移動端末300)へ所望の情報を送信することができる。
【0095】
[4.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。例えば、いずれかの実施の形態の少なくとも一部の構成と、他のいずれかの実施の形態の少なくとも一部の構成とが組み合わされてもよい。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0096】
<4-1>
移動端末300は、例えば、ユーザが屋内に存在する場合に、無線LANルータ400を通じてインターネットに接続するように設定されている。この場合に、移動端末300のIPアドレスは、無線LANルータ400のプライベートIPアドレスとなる。一方、ユーザが屋外に存在する場合に、移動端末300は、例えば、携帯電話ネットワーク(例えば、3G、4G、5G)を通じてインターネットに接続する。この場合に、移動端末300のIPアドレスは、グローバルIPアドレスとなる。
【0097】
インターホンシステム10においては、移動端末300のIPアドレス情報が定期的にクラウドサーバ600へ送信されてもよい。クラウドサーバ600においては、取得されたIPアドレス情報に基づいて、ユーザが屋内に存在するか屋外に存在するかが判定され、判定結果を示す端末位置情報が生成されてもよい。具体的には、取得されたIPアドレス情報が無線LANルータ400のプライベートIPアドレスを示す場合にユーザが屋内に存在すると判定され、取得されたIPアドレス情報がグローバルIPアドレスを示す場合にユーザが屋外に存在すると判定されてもよい。そして、判定結果を示す端末位置情報が生成されてもよい。なお、インターネット契約前の状態においては、ユーザが屋内に存在していたとしても、移動端末300は、携帯電話ネットワークを通じてインターネットに接続する。この場合には、家の近所の基地局経由でインターネット接続しているか否かによって、ユーザが屋内に存在しているか否かが判定されてもよい。
【0098】
また、第3通信部150は、Bluetooth(登録商標)等の近接無線通信、及び、携帯電話ネットワークを通じた通信の両方が可能であってもよい。この場合に、例えば、中継機100が第2モードに設定されている状態において、移動端末300が屋外に存在すると判定されたときは携帯電話ネットワークを通じて第3通信部150及び移動端末300間の通信が行なわれ、移動端末300が屋内に存在すると判定されたときは近接無線通信を通じて第3通信部150及び移動端末300間の通信が行なわれてもよい。
【0099】
<4-2>
なお、中継機100は、必ずしも非接触で送電する機能を有していなくてもよい。また、中継機100には、必ずしもスイッチ180のような物理的なスイッチが設けられなくてもよい。また、インターホンシステム10には、必ずしも外部機器500が含まれていなくてもよい。
【0100】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0101】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0102】
10 インターホンシステム、50 インターホン装置、100 中継機、110,210,310,610 制御部、120,220,320,620 記憶部、130 第1通信部、140 第2通信部、150 第3通信部、160,380 バッテリ、170 電力供給部、171 第1供給部、172 第2供給部、180 スイッチ、190 非接触送電部、200 子機、230 第4通信部、240 呼び出しベル、250,350 マイクロホン、260,340 スピーカ、270,395 カメラ、300 移動端末、330,630 通信I/F、360 ディスプレイ、370 操作部、390 非接触受電部、400 無線LANルータ、500 外部機器、600 クラウドサーバ。