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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077969
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】風向調整装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20240603BHJP
   F24F 13/10 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B60H1/34 631
F24F13/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190235
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】米山 陽二郎
(72)【発明者】
【氏名】上原 信真
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA03
3L081AB02
3L081HB01
3L081HB04
3L211BA52
3L211DA15
(57)【要約】
【課題】部品点数を抑制しつつ性能を向上した風向調整装置を提供する。
【解決手段】風向調整装置1は、内部に通気路5を区画するケース体3と、ケース体3にて通気路5に回動可能に配置され、回動に応じて風向を調整するフィン15と、ケース体3にて通気路5にフィン15の回動方向と交差する方向に回動可能に配置され、回動に応じて通気路5を開閉可能なバルブ30と、フィン15の回動に伴って動作することでフィン15の回動にバルブ30の回動を連動させるリンク35と、を備える。バルブ30は、リンク35とギヤ連結されるリンク連結部46を有し、リンク35の動作に伴い回動される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に通気路を区画するケース体と、
このケース体にて前記通気路に回動可能に配置され、回動に応じて風向を調整するフィンと、
前記ケース体にて前記通気路に前記フィンの回動方向と交差する方向に回動可能に配置され、回動に応じて前記通気路を開閉可能なバルブと、
前記フィンの回動に伴って動作することで前記フィンの回動に前記バルブの回動を連動させるリンクと、を備え、
前記バルブは、前記リンクとギヤ連結されるリンク連結部を有し、前記リンクの動作に伴い回動される
ことを特徴とする風向調整装置。
【請求項2】
フィンを回動させる操作部を備え、
前記フィンは、前記操作部の操作方向に回動可能である
ことを特徴とする請求項1記載の風向調整装置。
【請求項3】
リンクは、フィンの回動に伴い前記フィンの回動方向に沿う方向に直線的に移動可能であり、
バルブは、前記リンクの直線的な移動に伴いリンク連結部に前記リンク側から加わる直線方向の外力により回動される
ことを特徴とする請求項1記載の風向調整装置。
【請求項4】
リンクは、フィンの回動角度に応じて回動するギヤを有し、
リンク連結部は、前記ギヤと歯合されてバルブを回動させるギヤである
ことを特徴とする請求項1記載の風向調整装置。
【請求項5】
フィンは、ケース体の長手方向に複数配置され、
バルブは、前記長手方向に沿って長手状に配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気路を開閉可能なバルブを備える風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両に用いられる空調装置において、吹き出す風向を調整する風向調整装置がある。風向調整装置は、空調風吹出装置、エアアウトレット、ベンチレータ、レジスタなどとも呼ばれ、例えばインストルメントパネルやセンタコンソール部などの車両の各部に設置されて、冷暖房による快適性能の向上に寄与している。
【0003】
このような風向調整装置において、風向を調整するフィンと、通気路を開閉するシャットバルブと、を備え、フィンを操作ノブにより回動操作するとともに、シャットバルブを操作ダイヤルにより操作するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この構成の場合、操作ノブと操作ダイヤルとが必要となることから、機構が複雑であり、レイアウト制限が生じたり、意匠性も損なわれやすくなったりする。
【0005】
また、シャットバルブに代えて、複数のフィンを最大に振った位置で互いに重ね合わせて通気路を閉じるものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
この構成の場合、フィン同士の重ね合わせのみで通気路の密閉を保持することは容易でなく、フィン表面に密着性を持たせる構造としたり、フィンを押さえつける方向に付勢する機構を備える構造としたりすることが必要となることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-106352号公報 (第4-6頁、図1
【特許文献2】特開2010-89529号公報 (第9-10頁、図7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、風向調整装置において、より簡素な構成で性能を向上することが望まれている。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、部品点数を抑制しつつ性能を向上した風向調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の風向調整装置は、内部に通気路を区画するケース体と、このケース体にて前記通気路に回動可能に配置され、回動に応じて風向を調整するフィンと、前記ケース体にて前記通気路に前記フィンの回動方向と交差する方向に回動可能に配置され、回動に応じて前記通気路を開閉可能なバルブと、前記フィンの回動に伴って動作することで前記フィンの回動に前記バルブの回動を連動させるリンクと、を備え、前記バルブは、前記リンクとギヤ連結されるリンク連結部を有し、前記リンクの動作に伴い回動されるものである。
【0011】
請求項2記載の風向調整装置は、請求項1記載の風向調整装置において、フィンを回動させる操作部を備え、前記フィンは、前記操作部の操作方向に回動可能であるものである。
【0012】
請求項3記載の風向調整装置は、請求項1記載の風向調整装置において、リンクは、フィンの回動に伴い前記フィンの回動方向に沿う方向に直線的に移動可能であり、バルブは、前記リンクの直線的な移動に伴いリンク連結部に前記リンク側から加わる直線方向の外力により回動されるものである。
【0013】
請求項4記載の風向調整装置は、請求項1記載の風向調整装置において、リンクは、フィンの回動角度に応じて回動するギヤを有し、リンク連結部は、前記ギヤと歯合されてバルブを回動させるギヤであるものである。
【0014】
請求項5記載の風向調整装置は、請求項1記載の風向調整装置において、フィンは、ケース体の長手方向に複数配置され、バルブは、前記長手方向に沿って長手状に配置されているものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の風向調整装置によれば、例えばフィンを操作するための操作部とバルブを操作するための操作部とを別個に備える必要がないなど、部品点数を抑制しつつ、バルブによって通気路の密閉を容易に保つことができ、性能を向上できる。
【0016】
請求項2記載の風向調整装置によれば、請求項1記載の風向調整装置の効果に加えて、操作部の操作によってフィンを直感的に操作可能になるとともに、操作部の操作に応じてフィンが回動すると、それに連動してバルブを回動させることができるので、フィンとバルブとを共通の操作部によって操作可能になり、構成を簡素化できる。
【0017】
請求項3記載の風向調整装置によれば、請求項1記載の風向調整装置の効果に加えて、リンクによって、フィンの回動にバルブの回動を容易に連動させることができる。
【0018】
請求項4記載の風向調整装置によれば、請求項1記載の風向調整装置の効果に加えて、リンクによって、フィンの回動にバルブの回動を容易に連動させることができる。
【0019】
請求項5記載の風向調整装置によれば、請求項1記載の風向調整装置の効果に加えて、薄型の風向調整装置を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施の形態の風向調整装置の内部構造を示す斜視図である。
図2】同上風向調整装置の内部構造を示す分解斜視図である。
図3】同上風向調整装置のリンクの一部を示す斜視図である。
図4】同上風向調整装置における操作部の保持構造を示す平面図である。
図5】同上風向調整装置のフィンとバルブとの動作を示す平面図であり(a)は同上風向調整装置のフィンを一方向に最大に振った状態を示し、(b)はフィンの中立状態を示し、(c)はフィンを他方向に振った状態を示し、(d)はバルブの閉状態を示す。
図6】同上風向調整装置を示す斜視図である。
図7】本発明の第2の実施の形態の風向調整装置の内部構造を示す斜視図である。
図8】同上風向調整装置の内部構造を示す分解斜視図である。
図9】同上風向調整装置のリンクの一部を示す斜視図である。
図10】同上風向調整装置のフィンとバルブとの動作を示す平面図であり(a)は同上風向調整装置のフィンを一方向に最大に振った状態を示し、(b)はフィンの中立状態を示し、(c)はフィンを他方向に振った状態を示し、(d)はバルブの閉状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
図6において、1は風向調整装置である。風向調整装置1は、エアアウトレット、ベンチレータ、レジスタなどとも呼ばれ、空調装置などからの風の吹き出し方向を調整するものである。以下、説明をより明確にするために、風向調整装置1は、風が吹き出す側である風下側を前側、正面側または手前側とし、その反対側、つまり風を受け入れる側である風上側を後側、背後側または奥側として、前側から見て左右方向である両側方向または幅方向、及び、上下方向を規定する。本実施の形態において、風向調整装置1は、自動車などの車両用の空調装置に適用される。風向調整装置1は、任意の位置に配置されていてよいが、図面においては、矢印FR側を前側、矢印RR側を後側、矢印L側を左側、矢印R側を右側、矢印U側を上側、矢印D側を下側とするように配置されているものとする。これらの方向は、あくまで一例として図示されるものであって、風向調整装置1の設置位置や設置向きによって適宜変更されるものとする。
【0023】
風向調整装置1は、ケース体3を備える。ケース体3は、ダクトとも呼ばれる。ケース体3は、筒状に形成されている。本実施の形態において、ケース体3は、前後方向に筒状に形成されている。図示される例では、ケース体3は、角筒状に形成されている。ケース体3により、内部に通気路5が囲まれている。ケース体3の中心軸に平行な方向が通気路5の通気方向である。本実施の形態において、通気路5の通気方向は、前後方向であり、後方から前方に向かって通気される。すなわち、通気路5において、後側は通気方向の上流側、前側は通気方向の下流側である。
【0024】
ケース体3は、通気路5の通気方向に所定長を有する。本実施の形態において、ケース体3は、上下方向に扁平であり、左右方向に長手状、つまり横長に形成されている。したがって、風向調整装置1は、横型の薄型に形成されている。ケース体3は、通気路5の中央部、すなわち中心軸を挟んで互いに対向する一対の端壁部6と、これら一対の端壁部6間を連結する一対の側壁部7と、を一体的に有する。一対の端壁部6は、上下方向に互いに対向し、一対の側壁部7は、左右方向に互いに対向する。一対の端壁部6,6と一対の側壁部7,7との後端部により、通気路5に空気すなわち空調風を受け入れる受入口8が囲まれ、一対の端壁部6,6と一対の側壁部7,7との前端部により、通気路5から空調風を排出する吹出口9が囲まれる。つまり、ケース体3の後端部は、通気路5に空調風を受け入れる受入口8であり、ケース体3の前端部は、通気路5から空調風を吹き出す吹出口9となっている。受入口8と吹出口9との間にこれらを連通する通気路5が形成されている。受入口8から吹出口9へと空調風が通過する。受入口8及び吹出口9は、それぞれ横長となっている。
【0025】
ケース体3は、一体的に形成されていてもよいし、複数の部材を組み合わせて形成されていてもよい。本実施の形態では、ケース体3は、ケース本体部11と、意匠部材であるフィニッシャ12と、を有する。ケース本体部11は、ケース体3の上流側の過半を構成する主体部である。ケース本体部11は角筒状に形成されている。ケース本体部11の前端すなわち下流端にフィニッシャ12が取り付けられている。フィニッシャ12は、パネルとも呼ばれ、風向調整装置1の設置位置の意匠の一部をなす。フィニッシャ12は、吹出口9を囲む四角形枠状に形成されている。
【0026】
図1に示すように、ケース体3の内部、すなわち通気路5には、フィン15が配置されている。フィン15は、ルーバなどとも呼ばれ、ケース体3に対して回動することで、その回動に応じて吹出口9(図6)から吹き出される空調風の風向を調整する。フィン15は、一主面及び他主面が整流面となる板状に形成されている。フィン15は、回動部16を有する。回動部16が、ケース体3に形成された回動受け部17(図6)に回動可能に保持される。そして、フィン15は、ケース体3または通気路5の長手方向に回動することで、風向をケース体3または通気路5の長手方向に調整する。つまり、本実施の形態において、フィン15は、上下に回動部16を有し、各回動部16がケース体3の各端壁部6に形成された回動受け部17(図6)に回動可能に保持され、左右に整流面を有して左右方向に回動可能となっている。回動部16と回動受け部17(図6)とは、一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態においては、回動部16が軸部、回動受け部17(図6)が丸穴状の穴部または凹部である。
【0027】
本実施の形態では、フィン15は、ケース体3において、ケース本体部11の内部に位置する。すなわち、フィン15は、吹出口9に対し上流側に離れて位置する。回動受け部17(図6)は、ケース本体部11に形成されている。
【0028】
フィン15は、単数でも複数でもよい。本実施の形態では、フィン15はケース体3の長手方向に複数配置されている。好ましくは、複数のフィン15は、ケース体3の長手方向に等間隔または略等間隔に配置されている。本実施の形態において、フィン15は、左右方向に整列して配置されている。これら複数のフィン15は、リンク部材により連結され、互いに連動して同方向に回動するように構成されている。なお、図中においては、説明を明確にするために、フィン15は中央部に配置されている一つのみを図示し、その他のフィン15の図示を省略している。
【0029】
図1及び図2に示すように、本実施の形態において、フィン15は操作部20と連結され、フィン15の回動は、操作部20により乗員などの使用者が直接操作可能となっている。フィン15が複数の場合、フィン15のいずれか、好ましくは中央部のフィン15が操作部20と連結される。操作部20は、操作摘みであり、操作部20の操作方向にフィン15が回動可能である。図示される例では、操作部20は、左右方向に移動可能であり、この左右方向への移動によりフィン15を左右方向に回動させるようになっている。操作部20は、吹出口9(図6)から露出している。本実施の形態において、操作部20は、左右方向に長手状の薄型に形成されている。操作部20には、連結部21が形成されている。連結部21がフィン15に形成された連結受け部22に対して回動可能に連結される。連結部21と連結受け部22とは、一方が軸部、他方が凹部または穴部である。本実施の形態において、連結部21はフィン15に向かい操作部20の後部に突設された一対の腕部間の前後方向に長い凹部であり、連結受け部22は、フィン15に回動軸線と平行または略平行に形成された円柱状の軸部である。
【0030】
操作部20は、操作ガイド部である下流側フィン24に移動可能に取り付けられている。図示される例では、操作部20は、下流側フィン24に沿ってスライド可能に取り付けられている。下流側フィン24は、下流側ルーバとも呼ばれる。下流側フィン24は、一主面及び他主面が整流面となる板状に形成されている。下流側フィン24は、フィン15よりも下流側に、フィン15と交差または直交する方向に整流面を有して配置されている。本実施の形態において、下流側フィン24は、上下に整流面を有して配置されている。下流側フィン24は、ケース体3の長手方向に沿って長手状に配置されている。下流側フィン24には、操作部20の移動範囲を規制する規制部25が形成されている。規制部25は、操作部20と当接することで操作部20をそれ以上移動させないようにするストッパ部である。規制部25は、下流側フィン24の背後側に形成されている。本実施の形態では、規制部25により、操作部20によってフィン15を回動可能な範囲が、左方向より右方向に広くなるように設定されている。
【0031】
図4に示すように、本実施の形態において、操作部20は、下流側フィン24に対して、付勢手段である板ばねSによって左右への移動に抵抗が付与されている。板ばねSは、操作部20内に位置し、図示される例では、下流側フィン24の上流側の端面に対して弾性的に圧接されている。板ばねSは、その弾性的な圧接によって、操作部20に移動抵抗を付与している。また、本実施の形態では、板ばねSは、下流側フィン24に形成された受け部Wに対して弾性的に嵌合または強干渉することで、下流側フィン24に対して所定の位置を保持可能となっている。
【0032】
図1及び図4に示すように、好ましくは、下流側フィン24は、ケース体3にてフィン15の回動方向と交差または直交する方向に回動可能に配置されている。下流側フィン24は、回動部26を有する。回動部26が、ケース体3に形成された回動受け部に回動可能に保持される。そして、下流側フィン24は、ケース体3または通気路5の長手方向と交差または直交する方向に沿って回動することで、風向をケース体3または通気路5の長手方向と交差または直交する方向に調整する。図示される例では、下流側フィン24は、上下方向に回動可能に配置されている。つまり、本実施の形態において、下流側フィン24は、左右に回動部26を有し、各回動部26がケース体3の各側壁部7に形成された回動受け部に回動可能に保持され、上下に整流面を有して上下方向に回動可能となっている。回動部26と回動受け部とは、一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態においては、回動部26が軸部、回動受け部が丸穴状の穴部または凹部である。下流側フィン24は、操作部20の移動方向に沿って回動可能となっている。つまり、下流側フィン24は、操作部20を上下に移動させることに伴い操作部20と一体的に上下に回動するようになっている。
【0033】
本実施の形態では、図6に示すように、下流側フィン24は、ケース体3において、フィニッシャ12の内部に位置する。すなわち、下流側フィン24は、吹出口9に臨んで位置する。回動受け部は、フィニッシャ12に形成されている。図示される例では、下流側フィン24は、吹出口9の短手方向である上下方向の中央部に一枚設定されている。
【0034】
また、ケース体3の内部、すなわち通気路5には、図1及び図2に示すバルブ30が配置されている。バルブ30は、ケース体3に対して回動することで、その回動に応じて通気路5を開閉するシャットバルブである。バルブ30は四角形板状に形成されている。バルブ30は、通気路5の断面形状と略等しい外形を有する。バルブ30は、バルブ回動部31を有する。バルブ回動部31が、ケース体3に形成されたバルブ回動受け部32(図6)に回動可能に保持される。そして、バルブ30は、ケース体3または通気路5の長手方向と交差する方向に回動することで通気路5を開閉する。つまり、本実施の形態において、バルブ30は、左右にバルブ回動部31を有し、各バルブ回動部31がケース体3の各側壁部7に形成されたバルブ回動受け部32(図6)に回動可能に保持され、上下方向に回動可能となっている。したがって、バルブ30の回動方向は、フィン15の回動方向と交差または直交している。バルブ回動部31とバルブ回動受け部32(図6)とは、一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態においては、バルブ回動部31が軸部、バルブ回動受け部32(図6)が丸穴状の穴部または凹部である。
【0035】
バルブ30は、フィン15に対し上流側に離れて位置する。本実施の形態では、バルブ30は、ケース体3において、ケース本体部11の内部、かつ、受入口8(図6)の近傍に位置する。バルブ回動受け部32(図6)は、ケース本体部11に形成されている。
【0036】
バルブ30の回動は、リンク35を介してフィン15の回動と連動される。リンク35は、バルブ30及びフィン15に対して、回動可能に直接または間接的に連結されている。本実施の形態において、リンク35は、バルブ30及びフィン15に対してそれぞれ回動可能に直接連結されている。リンク35は、フィン15の回動方向に沿う方向に移動可能であり、このリンク35の移動に伴いバルブ30側に外力を伝えることで、バルブ30を回動させるように構成されている。
【0037】
リンク35は、長手状に形成されている。リンク35は、前後方向に長手方向を有するように通気路5に配置される。リンク35は、ケース体3に対して、フィン15の回動方向に沿う直線方向である前後方向に移動可能にガイドされている。図6に示される例では、リンク35は、ケース体3の一方の端壁部6、例えば上側の端壁部6に形成されたガイド部36に気密に嵌合されて、前後方向に移動可能となっている。本実施の形態において、ガイド部36は、端壁部6に形成された直線状の溝部である。図示される例では、ガイド部36に嵌合されたリンク35の上側が、ケース体3の上側の端壁部6から露出している。
【0038】
ガイド部36には、リンク35の移動範囲を規制するためのリンク規制部37,38が形成されている。リンク規制部37,38は、リンク35の移動方向の一端側と他端側とに位置する。本実施の形態において、リンク規制部37,38は、前後に互いに離れて位置する。図示される例では、リンク規制部37,38は、ケース体3の上側の端基部6に突出し、ガイド部36の前部と後部との上部を覆っている。そして、リンク35に一体的に取り付けられたストッパ部材であるブラケット39がリンク規制部37,38に当接することで、リンク35の移動範囲が規制される。ブラケット39は、リンク35の上部にて長手方向の中央部の一体的に取り付けられ、リンク35がガイド部36に嵌合された状態でガイド部36からケース体3の端壁部6の上部へと突出している。
【0039】
また、図3及び図4に示すように、リンク35は、フィン15側と連結されるフィン側連結部41を有する。フィン側連結部41は、リンク35の一端部である前端部に形成されている。フィン側連結部41は、リンク35の移動方向に対して交差する方向に突出している。本実施の形態では、フィン側連結部41は、リンク35の下部に突出する円柱状のピンである。
【0040】
フィン側連結部41は、フィン15に形成されたリンク側連結受け部42に対し着脱可能に連結される。リンク側連結受け部42は、フィン15の回動部16を基準として連結受け部22とは反対側の位置に配置されている。本実施の形態において、リンク側連結受け部42は、フィン15の上部の後端部から延出されている。リンク側連結受け部42は、フィン15が一方向に所定以上回動した所定位置でフィン側連結部41に対して後方から当接し、所定位置からフィン15が他方向に回動した位置ではフィン側連結部41から離れるようになっている。すなわち、フィン15側とリンク35とは、フィン15が所定の一方向に所定以上回動した範囲でのみ連結され、それ以外のフィン15の回動位置では連結されないように構成されている。
【0041】
好ましくは、フィン側連結部41とリンク側連結受け部42とは、連結状態がリンク付勢手段であるばね43により保持される。ばね43は、リンク35を移動方向の一方側に付勢するものである。本実施の形態において、ばね43は、リンク35を後方へと付勢する。例えば、ばね43は、後端部がリンク35の前端部にリンク35の長手方向に沿って形成された穴部35aに挿入され、前端部がリンク規制部37(図6)の内部にてケース体3側に保持されている。ばね43は、基本的にリンク側連結受け部42がフィン側連結部41と当接する位置に向かってリンク35を付勢している。
【0042】
さらに、リンク35は、バルブ30側と連結されるバルブ側連結部45を有する。本実施の形態において、バルブ側連結部45は、ギヤ状、例えば平歯車状に形成されている。本実施の形態において、バルブ側連結部45は、リンク35の下部に長手方向にギヤ歯が順次並んで形成されている。バルブ側連結部45は、リンク35の前部において、前端部に亘り形成されている。図示される例では、バルブ側連結部45は、リンク35においてブラケット39よりも後側の下部全体に形成されている。したがって、リンク35の後部は、ラックギヤ状となっている。
【0043】
図1に示すように、バルブ側連結部45は、バルブ30に形成されたリンク連結部46と直接ギヤ連結される。つまり、本実施の形態において、リンク連結部46は、バルブ側連結部45に対して歯合される。リンク連結部46は、バルブ30の一主面に形成されている。本実施の形態において、リンク連結部46は、バルブ30の一主面に対し直交する方向に突出する半円板状の突出部47の外周の一部に並ぶギヤ歯によって構成されている。つまり、リンク連結部46は、バルブ30の回動軸線を軸線とするギヤ状、例えば円歯車状となっている。バルブ側連結部45とリンク連結部46とにより、フィン15の回動つまり操作部20の操作にバルブ30の開閉を連動させる連動部が構成されている。
【0044】
そして、風向調整装置1は、受入口8を空調装置と連結して配置する。空調装置からの空調風は、受入口8から通気路5を通過し、フィン15及び下流側フィン24によって配風されて吹出口9から吹き出される。
【0045】
本実施の形態の風向調整装置1は、フィン15による左右方向の配風と、下流側フィン24による上下方向の配風と、の組み合わせにより、任意方向への空調風の吹き出しが可能となる。
【0046】
まず、上下方向の配風については、乗員などの使用者が操作部20を摘み、操作部20を上下方向に移動させると、操作部20と一体的に下流側フィン24が上下に回動することで、空調風は下流側フィン24の整流面に沿って上下方向に整流され、吹出口9から上下方向に吹き出す。
【0047】
また、左右方向の配風については、乗員などの使用者が操作部20を摘み、操作部20を左右にスライド操作させることで、フィン15が左右に回動し、空調風はフィン15の整流面に沿って左右方向に整流され、吹出口9から左右方向に吹き出す。
【0048】
具体的に、図5(b)に示すように、操作部20が下流側フィン24の左右方向の中央部にある場合、つまりフィン15が中立位置にある場合、空調風は通気路5内をフィン15の整流面に沿って吹出口9へと直進し、ケース体3の軸方向つまり通気路5の通気方向に沿って吹出口9から正面方向に吹き出す。
【0049】
また、図5(a)に示すように、操作部20を中立位置から下流側フィン24に沿って左側にスライドさせると、操作部20に連結されているフィン15の下流側が左側に移動し、フィン15が回動部16を中心として図中の時計回り方向に回動する。図5(a)には、操作部20が左側の規制部25に接触するまで移動した、左側への最大スライド状態、つまりフィン15を左側に最大に振った状態を示す。そこで、空調風は通気路5内をフィン15の整流面に沿って左方向に整流され、吹出口9から左方向に吹き出す。
【0050】
これらの中立位置および左側に最大に振った状態で、フィン15のリンク側連結受け部42とリンク35のフィン側連結部41とは互いに離れており、リンク35は、ばね43の付勢により、最後部の位置となっている。そのため、フィン15の回動にバルブ30が連動せず、バルブ30が通気路5を開いた状態を維持する。
【0051】
一方、図5(c)に示すように、操作部20を中立位置から下流側フィン24に沿って右側にスライドさせると、操作部20に対して連結されているフィン15の下流側が右側に移動し、フィン15が回動部16を中心として図中の反時計回り方向に回動する。そこで、空調風は通気路5内をフィン15の整流面に沿って右方向に整流され、吹出口9から右方向に吹き出す。
【0052】
このとき、フィン15は所定の回動位置に回動するまで、例えば右側に最大に振った状態となるまでリンク側連結受け部42がリンク35のフィン側連結部41と当接しない。そのため、フィン15の右側への通常の回動にはバルブ30が連動せず、バルブ30が通気路5を開いた状態を維持する。
【0053】
そして、図5(c)に示す状態から、図5(d)に示すように、操作部20をさらに下流側フィン24に沿って右側にスライドさせる、つまり操作部20を右側にオーバーストロークさせると、フィン15のさらなる回動に伴いリンク側連結受け部42がフィン側連結部41を押し込み、フィン15の回動にリンク35の移動が連動する。図示される例では、フィン15が所定の回動位置から反時計回り方向に移動するほど、リンク側連結受け部42がフィン側連結部41を前方に押し込むことで、リンク35がばね43の付勢に抗してガイド部36に沿って前方にスライドする。リンク35がさらに回動することで、リンク35のバルブ側連結部45が前方に移動し、このバルブ側連結部45に対してリンク連結部46がギヤ連結されているバルブ30が連動して回動して、その回動角度に応じて通気路5を閉じる。図5(d)には、操作部20が右側の規制部25に接触するまで移動した、右側への最大スライド状態、つまりフィン15を通常の右側の最大風向調整位置からさらに右側にオーバーストロークさせた状態を示す。少なくともこの状態では、バルブ30が通気路5を完全または略完全に閉じる位置となる。この位置で、図4に示すように、板ばねSが受け部Wに対して弾性的に嵌合することで、ばね43の付勢に抗して、操作部20が位置を保ち、バルブ30が通気路5を閉じた状態を保持する。
【0054】
このように、第1の実施の形態によれば、ケース体3にて通気路5に回動可能に配置されたフィン15の回動に、ケース体3にて通気路5にフィン15の回動方向と交差する方向に回動可能に配置されたバルブ30の回動を連動させるため、例えばフィン15を操作するための操作部とバルブ30を操作するための操作部とを別個に備える必要がないなど、部品点数を抑制しつつ、バルブ30によって通気路5の密閉を容易に保つことができ、性能を向上できる。
【0055】
特に、本実施の形態では、リンク35をフィン15及びバルブ30に対してギヤ連結しているため、より簡素な構成とすることができ、ケース体3への組み付けが容易になる。
【0056】
フィン15を回動させる操作部20の操作方向にフィン15を回動可能としたことで、操作部20の操作によってフィン15を直感的に操作可能になるとともに、操作部20の操作に応じてフィン15が回動すると、それに連動してバルブ30を回動させることができるので、フィン15とバルブ30とを共通の操作部20によって操作可能になり、構成を簡素化できる。
【0057】
また、バルブ30により通気路5を閉じた状態では、空調風が通気路5を流れないため、フィン15を回動させる必要がない。そのため、フィン15を回動させる操作部20を利用してバルブ30の開閉を連動させる構成としても、操作部20によるフィン15の操作に不都合が生じることはない。
【0058】
リンク35を、フィン15の回動方向に沿う方向に直線的に移動可能とし、バルブ30を、リンク35の直線的な移動に伴いリンク連結部46にリンク35側から加わる外力により回動されるように構成することで、リンク35によって、フィン15の回動にバルブ30の回動を容易に連動させることができる。
【0059】
リンク35は、リンク連結部46に対しバルブ側連結部45をギヤ連結しているので、これらのギヤ比を変えるだけで、リンク35の移動距離つまりフィン15側からの外力に応じたバルブ30の回動角度を設定できる。したがって、バルブ30が通気路5を開閉するために必要となる操作部20の操作量つまりフィン15の振り角を、簡素な構成で容易に調整できる。
【0060】
また、下流側フィン24に構成を追加する必要がないため、下流側フィン24をエラストマなどにより厚くするなどの必要がなく、デザイン性を損なうことがないとともに、下流側フィン24の補強用の芯材との併用も可能となる。
【0061】
フィン15をケース体3の長手方向である左右方向に複数配置し、バルブ30を、長手方向に沿って長手状に配置することで、薄型の風向調整装置1を構成できる。
【0062】
このように、本実施の形態によれば、薄型、小型で、シンプルなデザインの風向調整装置1を提供できる。
【0063】
また、リンク35やリンク連結部46などの構造をケース体3内に納めることができるので、組み付けや運搬時に破損しにくい。
【0064】
なお、第1の実施の形態では、操作部20により直接回動させるフィン15にリンク35を連動させる構成としたが、これに限らず、複数のフィン15を有する場合には、操作部20により直接回動させるフィン15に連動して回動する他のフィン15にリンク35を連動させるようにしてもよい。
【0065】
次に、第2の実施の形態について、図7ないし図10を参照して説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図7及び図8に示すように、本実施の形態は、複数のフィン15が、リンク部材50により互いに同方向に回動するように連結され、リンク35が、リンク本体部51と、ギヤ52と、を有するものである。
【0067】
リンク部材50は、長手状に形成されており、フィン15が並ぶ左右方向に長手方向を有して配置されている。リンク部材50は、フィン15において回動部16と離れた位置に形成されている連結回動部55を回動可能に保持する連結回動受け部56を備える。連結回動部55と連結回動受け部56とは、一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態においては、連結回動部55が軸部、連結回動受け部56が丸穴状の穴部または凹部である。連結回動部55は、フィン15の回動軸線に対して平行または略平行に形成されている。
【0068】
リンク本体部51は、フィン15に対して直接連結されている。リンク本体部51は、長手状に形成されており、一端部にフィン15と連結されるフィン側連結部57を有し、他端部にギヤ52とカム連結されるバルブ側連結部58を有する。好ましくは、リンク本体部51は、ケース体3つまり通気路5の外部に位置する。本実施の形態では、リンク本体部51は、ケース体3の上方に位置する。
【0069】
本実施の形態において、フィン側連結部57は、リンク本体部51の長手方向に対して交差または直交する方向に突出する軸部として形成され、いずれか一つのフィン15の回動部16aに対し接続されている。図示される例では、フィン側連結部57は、リンク本体部51から下方に突出する。そのため、リンク本体部51がフィン15の回動方向と同方向に回動するようになっている。本実施の形態では、回動部16aは、円筒状またはボス状に形成されており、操作部20の連結部21を受ける連結受け部22が形成されているフィン15とは異なるフィン15に設定されている。これに限らず、連結受け部22が形成されているフィン15に回動部16aを設定してもよい。
【0070】
また、本実施の形態において、バルブ側連結部58は、リンク本体部51の長手方向に対して交差または直交する方向に突出するカム軸として形成されている。図示される例では、バルブ側連結部58は、リンク本体部51から上方に突出する。つまり、バルブ側連結部58は、フィン側連結部57とは反対方向に突出している。
【0071】
図7ないし図9に示すギヤ52は、リンク連結部46にギヤ連結つまり歯合される。ギヤ52としては、傘歯車が好適に用いられる。ギヤ52は、ギヤ回動部60を有する。ギヤ回動部60は、ケース体3などに形成されたギヤ回動受け部に回動可能に保持され、前後方向に回動可能となっている。ギヤ回動部60とギヤ回動受け部とは、一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態においては、ギヤ回動部60が軸部、ギヤ回動受け部が丸穴状の穴部または凹部である。ギヤ回動部60を中心としてギヤ52が扇形状に形成されており、外周縁部分に形成されたギヤ歯がケース体3の一側部、例えば左側に位置している。
【0072】
また、ギヤ52には、バルブ側連結部58を受ける連動受け部62を備える。本実施の形態において、連動受け部62は、カム溝であり、ギヤ52を厚み方向に貫通して形成されている。連動受け部62には、風向制御範囲62aと、連動範囲62bと、が設定されている。
【0073】
風向制御範囲62aは、リンク本体部51の回動とギヤ52とを非連動とする範囲である。すなわち、風向制御範囲62aは、フィン15の回動に対してリンク35を連動させない範囲であり、バルブ30により通気路5を閉じることなくフィン15を回動させることができる範囲を設定している。風向制御範囲62aは、ギヤ52が初期位置にある状態で、リンク本体部51のフィン側連結部57、つまりリンク本体部51と連結されているフィン15の回動部16aを中心とする円弧状となるように形成されている。
【0074】
連動範囲62bは、リンク本体部51の回動にギヤ52を連動させる範囲である。連動範囲62bは、ギヤ52の回動軸線を中心とする円弧状にとなるように形成されている。連動範囲62bは、ギヤ52の外周縁に沿う円弧状に形成され、風向制御範囲62aの一端部からこの風向制御範囲62aに対して交差する方向に延びている。連動範囲62bと風向制御範囲62aとは、互いに滑らかに連なっている。
【0075】
本実施の形態において、ギヤ52とギヤ連結されるリンク連結部46は、バルブ30とは別体に形成されたギヤであり、バルブ30に一体的に連結されてバルブ30と同方向に一体的に回動可能となっている。リンク連結部46としては、傘歯車が好適に用いられる。リンク連結部46は、バルブ30のバルブ回動部31と連結されるバルブ連結部64を備える。バルブ連結部64とバルブ回動部31とは、一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態においては、バルブ連結部64が軸部、バルブ回動部31が穴部または凹部を有する円筒状またはボス状に形成されている。バルブ連結部64を中心としてリンク連結部46が扇形状に形成され、外周縁部分に形成されたギヤ歯がケース体3の上部に位置して、ケース体3の一側部に位置するギヤ52のギヤ歯と歯合されている。
【0076】
そして、本実施の形態の風向調整装置1は、操作部20の操作に応じて、フィン15による左右方向の配風と、下流側フィン24による上下方向の配風と、の組み合わせにより、任意方向への空調風の吹き出しが可能となる。上下方向の配風については、第1の実施の形態と同様であるから、説明を省略する。
【0077】
図10(b)に示すように、操作部20が下流側フィン24の左右方向の中央部にある場合、つまりフィン15が中立位置にある場合、空調風は通気路5内をフィン15の整流面に沿って吹出口9へと直進し、ケース体3の軸方向つまり通気路5の通気方向に沿って吹出口9から正面方向に吹き出す。
【0078】
また、図10(a)に示すように、操作部20を中立位置から下流側フィン24に沿って左側にスライドさせると、操作部20に連結されているフィン15の下流側が左側に移動し、このフィン15が回動部16を中心として図中の時計回り方向に回動することで、リンク部材50により連結された他のフィン15も同方向へと、互いに平行または略平行を保ちつつ回動する。図10(a)には、操作部20の左側への最大スライド状態、つまりフィン15を左側に最大に振った状態を示す。そこで、空調風は通気路5内をフィン15の整流面に沿って左方向に整流され、吹出口9から左方向に吹き出す。
【0079】
なお、フィン15が時計回り方向に回動することに伴い、リンク35のリンク本体部51もフィン側連結部57を中心として時計回り方向に移動するため、バルブ側連結部58がフィン側連結部57を中心として時計回り方向へ回動する。このとき、リンク35のギヤ52は、初期位置にあり、このギヤ52の連動受け部62において、バルブ側連結部58が風向調整範囲62aに沿って移動するため、リンク本体部51の回動にギヤ52の回動が連動することなく、ギヤ52は、フィン15が中立位置にある場合と同じ姿勢及び初期位置を維持する。そこで、ギヤ52に対してリンク連結部46が歯合されているバルブ30も連動せず、バルブ30が通気路5を開いた状態を維持する。
【0080】
一方、図10(c)に示すように、操作部20を中立位置から下流側フィン24に沿って右側にスライドさせると、操作部20に連結されているフィン15の下流側が右側に移動し、フィン15が回動部16を中心として図中の反時計回り方向に回動することで、リンク部材50により連結された他のフィン15も同方向へと、互いに平行または略平行を保ちつつ回動する。そこで、空調風は通気路5内をフィン15の整流面に沿って右方向に整流され、吹出口9から右方向に吹き出す。
【0081】
なお、フィン15が反時計回り方向に回動することに伴い、リンク35のリンク本体部51もフィン側連結部57を中心として反時計回り方向に移動するため、バルブ側連結部58がフィン側連結部57を中心として反時計回り方向へ回動する。このとき、リンク35のギヤ52は初期位置にあり、このギヤ52の連動受け部62において、バルブ側連結部58が風向調整範囲62aに沿って移動するため、リンク本体部51の回動にギヤ52の回動が連動することなく、ギヤ52は、フィン15が中立位置にある場合と同じ姿勢及び初期位置を維持する。そこで、ギヤ52に対してリンク連結部46が歯合されているバルブ30も連動せず、バルブ30が通気路5を開いた状態を維持する。
【0082】
そして、図10(c)に示す状態から、図10(d)に示すように、操作部20をさらに下流側フィン24に沿って右側にスライドさせる、つまり操作部20を右側にオーバーストロークさせると、フィン15のさらなる回動に伴ってバルブ側連結部58がギヤ52の連動受け部62において連動範囲62bへと移動することで、リンク本体部51の回動にギヤ52が連動して初期位置から回動する。そこで、ギヤ52と歯合されているリンク連結部46がギヤ52の回動によりギヤ52側から加わる外力により回動するため、リンク連結部46と一体的に連結されたバルブ30も連動して回動し、その回動角度に応じて通気路5を閉じる。図10(d)には、操作部20の右側への最大スライド状態、つまりフィン15を通常の右側の最大風向調整位置からさらに右側にオーバーストロークさせた状態を示す。少なくともこの状態では、バルブ30が通気路5を完全または略完全に閉じる位置となる。
【0083】
このように、第2の実施の形態によれば、ケース体3にて通気路5に回動可能に配置されたフィン15の回動に、ケース体3にて通気路5にフィン15と交差する方向に回動可能に配置されたバルブ30の回動を連動させるなど、第1の実施の形態と同様の構成を有することで、部品点数を抑制しつつ性能を向上できるなど、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0084】
また、フィン15の回動角度に応じて回動するリンク35のギヤ52と、バルブ30を回動させるリンク連結部46と、を歯合させることで、リンク35のギヤ52とリンク連結部46とによって、フィン15の回動にバルブ30の回動を容易に連動させることができる。さらに、ギヤ52とリンク連結部46とのギヤ比を変えるだけで、ギヤ52の回動量、つまりフィン15側からの外力に応じたバルブ30の回動角度を設定できる。
【0085】
しかも、フィン15側とギヤ52とは、カム軸であるリンク本体部51のバルブ側連結部58と、カム溝であるギヤ52の連動受け部62と、を用いて連結しているので、フィン15の回動範囲に対してギヤ52が連動する範囲を、連動受け部62の形状に応じて容易に設定できる。
【0086】
なお、第2の実施の形態において、リンク連結部46は、バルブ30と一体的に回動する構成としたが、これに限らず、ギヤ列などを用いて、リンク連結部46の回動をバルブ30の回動と任意に連動させてもよい。
【0087】
また、上記の各実施の形態において、フィン15を右方向に所定角以上振ったときにバルブ30が回動するように連動させる構成としたが、これに限らず、各部の配置や形状を左右反転することで、フィン15を左方向に所定角以上振ったときにバルブ30が回動するように連動させるようにしてもよい。
【0088】
また、風向調整装置1は、横型のものとしたが、長手方向を上下方向とした縦型のものであっても、同様に構成できる。その場合、フィン15を上下方向に回動可能とし、バルブ30を左右方向に回動させるなど、上記の各実施の形態の配置を正面から見て90°回転させることで、上記の各実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能になる。
【0089】
さらに、風向調整装置1は、自動車用のものに限らず、その他の任意の用途に用いてよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、例えば自動車の空調用の風向調整装置として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 風向調整装置
3 ケース体
5 通気路
15 フィン
20 操作部
30 バルブ
35 リンク
46 リンク連結部
52 ギヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10