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  • 特開-ノイズ低減回路及び電気機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007797
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ノイズ低減回路及び電気機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/01 20060101AFI20240112BHJP
   H03H 7/01 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H02J3/01
H03H7/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109125
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】521458155
【氏名又は名称】完実電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 正明
【テーマコード(参考)】
5G066
5J024
【Fターム(参考)】
5G066EA01
5J024AA01
5J024BA04
5J024CA06
5J024CA20
5J024DA01
5J024DA25
5J024EA01
5J024EA02
5J024EA08
(57)【要約】
【課題】LCローパスフィルタを使用せずに、電源電圧に重畳したノイズを低減すること。
【解決手段】ノイズ低減回路は、第1の電源線との間に交流電圧が印可される第2の電源線と、一端が第1の電源線に接続された第1のコンデンサと、一端が第1のコンデンサの他端に接続され、他端が第2の電源線に接続された一次巻き線と二次巻き線とを備えたトランスと、第1の端子と二次巻き線の一端に接続された第2の端子とを有し、第1の端子と第2の端子との間の電流を整流する整流回路と、一端が第1の端子に続され、他端が二次巻き線の他端に接続された第2のコンデンサと、第3の端子と、第2のコンデンサの他端に接続された第4の端子とを有し、第2のコンデンサの両極間の電圧が所定電圧以上となったときに、第3の端子と第4の端子とを接続するスイッチ回路と、一端が第3の端子に接続され、他端が第2のコンデンサの一端に接続された素子と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源線と、
前記第1の電源線との間に交流電圧が印可される第2の電源線と、
一端が前記第1の電源線と電気的に接続された第1のコンデンサと、
一端が前記第1のコンデンサの他端に電気的に接続され、かつ他端が前記第2の電源線に電気的に接続された一次巻き線と、前記一次巻き線に磁気的に結合した二次巻き線とを備えたトランスと、
第1の端子と、前記二次巻き線の一端に電気的に接続された第2の端子とを有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間を流れる電流を整流する整流回路と、
一端が前記第1の端子に電気的に接続され、かつ他端が前記二次巻き線の他端に電気的に接続された第2のコンデンサと、
第3の端子と、前記第2のコンデンサの前記他端に電気的に接続された第4の端子とを有し、前記第2のコンデンサの両極間の電圧が所定電圧以上となったときに、前記第3の端子と前記第4の端子とを電気的に接続するスイッチ回路と、
一端が前記第3の端子に電気的に接続され、かつ他端が前記第2のコンデンサの前記一端に電気的に接続された素子と、
を有するノイズ低減回路。
【請求項2】
請求項1に記載のノイズ低減回路であって、
前記スイッチ回路は、アノード端子とカソード端子とを備えたサイリスタを有し、
前記第3の端子は、前記アノード端子と前記カソード端子のうちの一方であり、
前記第4の端子は、前記アノード端子と前記カソード端子のうちの他方である、
ノイズ低減回路。
【請求項3】
請求項2に記載のノイズ低減回路であって、
前記第2のコンデンサの両極間の前記電圧が前記所定電圧以上となったときに、前記サイリスタのゲートに電流を供給する制御回路を更に有する、
ノイズ低減回路。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のノイズ低減回路であって、
前記素子は発光ダイオードである、
ノイズ低減回路。
【請求項5】
第1の電源線と、
前記第1の電源線との間に交流電圧が印可される第2の電源線と、
前記第1の電源線又は前記第2の電源線に重畳しているノイズを抽出するノイズ抽出部と、
抽出された前記ノイズで素子を駆動する素子駆動部と、
を有する電気機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電気機器であって、
筐体を更に有し、
前記素子は、前記筐体の外部から視認可能な発光ダイオードである、
電気機器。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の電気機器であって、
前記第1の電源線と前記第2の電源線の各々に接続されたコンセントを複数有する、
電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズ低減回路及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用や商用の電源電圧にはノイズが重畳することがあり、そのノイズが原因で電気機器の性能を十分に引き出すことができない場合がある。例えば、オーディオ機器では、ノイズが原因で高品位な音を出力できないことがある。
【0003】
そこで、電源電圧のノイズをノイズ低減回路で低減し、ノイズが低減された電源電圧で電気機器を駆動することが考えられる。ノイズ低減回路としては、例えばLCローパスフィルタがある。LCローパスフィルタは、電源電圧に重畳した高周波のノイズ成分をカットし、低周波成分のみを通過させるため、簡便なノイズ低減回路として使用することができる。
【0004】
また、電源電圧ではなく、アース線に重畳したノイズを抽出し、抽出したノイズを非常用の電源として活用する方法も提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-86528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、オーディオ機器に供給する電源電圧のノイズをLCローパスフィルタで低減すると、LCローパスフィルタのインダクタが原因で、オーディオ機器から出力される音に「力」がなくなることが経験的に知られている。また、特許文献1の方法は、アース線に重畳したノイズを低減する方法であり、この方法では電源のノイズを低減することができない。
【0007】
本発明は、このような現状を鑑みてなされたものであり、LCローパスフィルタを使用せずに、電源電圧に重畳したノイズを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明の一態様に係るノイズ低減回路は、第1の電源線と、前記第1の電源線との間に交流電圧が印可される第2の電源線と、一端が前記第1の電源線と電気的に接続された第1のコンデンサと、一端が前記第1のコンデンサの他端に電気的に接続され、かつ他端が前記第2の電源線に電気的に接続された一次巻き線と、前記一次巻き線に磁気的に結合した二次巻き線とを備えたトランスと、第1の端子と、前記二次巻き線の一端に電気的に接続された第2の端子とを有し、前記第1の端子と前記第2の端子との間を流れる電流を整流する整流回路と、一端が前記第1の端子に電気的に接続され、かつ他端が前記二次巻き線の他端に電気的に接続された第2のコンデンサと、第3の端子と、前記第2のコンデンサの前記他端に電気的に接続された第4の端子とを有し、前記第2のコンデンサの両極間の電圧が所定電圧以上となったときに、前記第3の端子と前記第4の端子とを電気的に接続するスイッチ回路と、一端が前記第3の端子に電気的に接続され、かつ他端が前記第2のコンデンサの前記一端に電気的に接続された素子と、を有する。
【0010】
前記スイッチ回路は、アノード端子とカソード端子とを備えたサイリスタを有し、前記第3の端子は、前記アノード端子と前記カソード端子のうちの一方であり、前記第4の端子は、前記アノード端子と前記カソード端子のうちの他方とすることができる。
【0011】
前記第2のコンデンサの両極間の前記電圧が前記所定電圧以上となったときに、前記サイリスタのゲートに電流を供給する制御回路を更に有することができる。
【0012】
前記素子は発光ダイオードとすることができる。
【0013】
本発明の他の態様に係る電気機器は、第1の電源線と、前記第1の電源線との間に交流電圧が印可される第2の電源線と、前記第1の電源線又は前記第2の電源線に重畳しているノイズを抽出するノイズ抽出部と、抽出された前記ノイズで素子を駆動する素子駆動部と、を有する。
【0014】
筐体を更に有し、前記素子は、前記筐体の外部から視認可能な発光ダイオードとすることができる。
【0015】
前記第1の電源線と前記第2の電源線の各々に接続されたコンセントを複数有することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、LCローパスフィルタを使用せずに、電源電圧に重畳したノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態に係る電気機器の一例を示す外観図である。
図2図2は、本実施形態に係る電気機器の回路図の一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係るノイズ低減回路の回路図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、一実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0019】
<本実施形態>
図1は、本実施形態に係る電気機器の一例を示す外観図である。
【0020】
電気機器1は、テーブルタップであって、筐体2、電源ケーブル3、及び複数のコンセント4を有する。電源ケーブル3は、家庭用又は商用の交流電圧が印可されるケーブルである。その交流電圧に重畳しているノイズは、後述のノイズ低減回路で低減される。そして、各コンセント4には、このようにノイズが低減された交流電圧が供給される。
【0021】
電気機器1には更に発光部5が設けられる。一例として、発光部5は、後述のノイズ低減回路が抽出したノイズで発光する発光ダイオードであって、筐体2の外部から視認可能に設けられる。例えば、透光性材料で筐体2を構成し、筐体2の内側に発光部5を設けることにより、筐体2を介して発光部5を外部から視認可能にしてもよい。これに代えて、筐体2の外側表面に発光部5を設けることにより、筐体2の外部から発光部5を視認可能としてもよい。
【0022】
発光部5は、交流電圧から抽出したノイズで発光するため、このように筐体2の外部から視認可能とすることにより、ノイズが抽出されていることをユーザが目視で確認することができる。
【0023】
図2は、本実施形態に係る電気機器1の回路図の一例を示す図である。
【0024】
図2に示すように、電源ケーブル3は、第1の電源線11と第2の電源線12とを有する。これらの電源線11、12の間には、周波数が50Hz~60Hzの家庭用又は商用の交流電圧VACが印加される。これらの電源線11、12は、筐体2(図1参照)に収容されたノイズ低減回路10と接続される。
【0025】
ノイズ低減回路10は、各電源線11、12に重畳しているノイズを低減する回路である。各電源線11、12が分岐して各コンセント4に交流電圧VACが供給される。交流電圧VACのノイズはノイズ低減回路10で低減されているため、コンセント4からオーディオ機器(不図示)に交流電圧を供給することで、ノイズに伴う雑音等が排除された高品位な音をオーディオ機器が出力できるようになる。
【0026】
図3は、本実施形態に係るノイズ低減回路10の回路図の一例を示す図である。
【0027】
図3に示すように、ノイズ低減回路10は、前述の発光部5の他に、ノイズ抽出部15と素子駆動部16とを備える。
【0028】
ノイズ抽出部15は、交流電圧VACに重畳している高周波のノイズを抽出する回路であって、第1~第3のコンデンサC1~C3が並列に接続されたハイパスフィルタである。なお、ノイズ抽出部15におけるコンデンサの個数は特に限定されない。例えば、1個のコンデンサでノイズ抽出部15を構成してもよいし、並列接続された2個又は4個以上のコンデンサをノイズ抽出部15として採用してもよい。
【0029】
この例では、第1のコンデンサC1の一端11aを第1の電源線11に電気的に接続する。これにより、交流電圧VACに重畳しているノイズがノイズ抽出部15を透過し、そのノイズが第1のコンデンサC1の他端11bから出力されるため、交流電圧VACに重畳しているノイズを低減することができる。これについては第2~第3のコンデンサC2~C3についても同様である。
【0030】
ノイズ抽出部15が抽出するノイズの周波数は特に限定されないが、この例ではAM(Amplitude Modulation)波帯域における数百kHzのノイズがノイズ抽出部15で抽出されるように第1~第3のコンデンサC1~C3の静電容量を設定する。一例として、第1~第3のコンデンサC1~C3の静電容量をいずれも470nFとする。
【0031】
また、第1の電源線11と第2の電源線12との間には、第4のコンデンサC4と第1の抵抗R1とが設けられる。第4のコンデンサC4は、交流電圧VACに重畳しているノーマルモードのノイズを低減するフィルタであり、その静電容量は例えば470nFである。また、第1の抵抗R1は、その第4のコンデンサC4の放電抵抗であって、その抵抗値は例えば330kΩである。
【0032】
一方、素子駆動部16は、発光部5の発光ダイオード等の素子を駆動する回路であって、トランスTR、整流回路17、第5のコンデンサC5、及びスイッチ回路19を備える。
【0033】
トランスTRは、第1のコンデンサC1の他端11bから出力されるノイズの電圧を昇圧する回路素子である。この例では、トランスTRは、互いに磁気的に結合した一次巻き線L1と二次巻き線L2と有する。一次巻き線L1は、その一端が第1のコンデンサC1の他端11bと電気的に接続されており、他端が第2の電源線12に電気的に接続される。一次巻き線L1の巻き数n1と二次巻き線L2の巻き数n2の比は特に限定されないが、ここではn1:n2 = 7:75とする。このようにn2>n1とすることにより、一次側よりも昇圧されたノイズが二次側に出力される。
【0034】
二次巻き線L2にはツェナーダイオードZNが並列接続される。ツェナーダイオードZNは、二次巻き線L2の一端16aと他端16bの電位差をクランプ電圧以下にすることで、素子駆動部16を過電圧から保護する役割を担う。
【0035】
整流回路17は、第1の端子17aと第2の端子17bとの間を流れる電流を一方向に整流する半波倍電圧整流回路である。一例として、整流回路17は、第6のコンデンサC6、第1のダイオードD1、及び第2のダイオードD2を備える。
【0036】
第6のコンデンサC6は、二次巻き線L2の両端の電位差の二倍の電圧で充電される充電用のコンデンサであって、その静電容量は例えば100nFである。ここでは、第6のコンデンサC6の一端である第2の端子17bを、二次巻き線L2の一端16aに電気的に接続する。
【0037】
また、各ダイオードD1、D2は整流用のダイオードである。この例では、第6のコンデンサC6の他端17cに、第1のダイオードD1のカソード端子を電気的に接続する。また、第1のダイオードD1のアノード端子は、トランスTRの他端16bと電気的に接続される。
【0038】
そして、第2のダイオードD2は、そのカソード端子が第1の端子17aとして機能すると共に、そのアノード端子が第6のコンデンサC6の他端17cに電気的に接続される。
【0039】
一方、第5のコンデンサC5は、第2の抵抗R2と共にRC充電回路を構成する回路素子である。一例として、第2の抵抗R2の抵抗値は100kΩであり、第5のコンデンサC5の静電容量は4.7μFである。ここでは、第5のコンデンサC5の一端16cを第2の抵抗R2を介して第1の端子17aに電気的に接続する。また、第5のコンデンサC5の他端16dは、二次巻き線L2の他端16bに電気的に接続される。
【0040】
その第5のコンデンサC5は、第3の抵抗R3を介して第7のコンデンサC7と並列接続される。第3の抵抗R3と第7のコンデンサC7は、スイッチ回路19のチャタリングを防止するためのRC充電回路である。一例として、第3の抵抗R3の抵抗値は100kΩであり、第7のコンデンサC7の静電容量は100nFである。
【0041】
スイッチ回路19は、発光部5に供給する電流をスイッチングするための回路である。例えば、スイッチ回路19は、制御IC18、第4の抵抗R4、及びサイリスタTHを備える。
【0042】
サイリスタTHは、ゲート19cに電流が供給されたときに、アノード端子19aとカソード端子19bとが電気的に接続されてオン状態となる回路素子である。カソード端子19bは、第4の端子の一例であって、第5のコンデンサC5の他端16dと電気的に接続される。また、アノード端子19aは、第3の端子の一例であって、発光部5と電気的に接続される。なお、整流回路17で整流する電流の向きを逆にすることで、第5のコンデンサC5の他端16dにアノード端子19aを電気的に接続し、発光部5にカソード端子19bを電気的に接続してもよい。
【0043】
制御IC(Integrated Circuit)18は、制御回路の一例であって、第5の端子18aと第6の端子18bとを備える。第5の端子18aは、第3の抵抗R3を介して第5のコンデンサC5の一端16cと電気的に接続される。そして、第6の端子18bは、第5のコンデンサC5の他端16dと電気的に接続される。
【0044】
第5の端子18aと第6の端子18bとの電位差は、第5のコンデンサC5の両極間の電圧VCに等しい。制御IC18は、その電圧VCを監視し、第5のコンデンサC5の充電が進んで電圧VCが所定電圧VTH以上となったときに、第4の抵抗R4を介してゲート19cに電流を供給する。なお、第4の抵抗R4は、ゲート19cに供給される電流を制限するための抵抗であって、その抵抗値は例えば10kΩである。
【0045】
発光部5は、互いに並列接続された第1の発光ダイオードLED1と第2の発光ダイオードLED2とを備える。なお、発光部5が備える発光ダイオードの個数は2個に限定されない。例えば、1つの発光ダイオードで発光部5を構成してもよいし、直列又は並列に接続された3個以上の発光ダイオードを発光部5として採用してもよい。
【0046】
ここでは、第1の発光ダイオードLED1のアノード端子を、第5の抵抗R5を介して第5のコンデンサC5の一端16cと電気的に接続する。また、第1の発光ダイオードLED1のカソード端子は、サイリスタTHのアノード端子19aと電気的に接続される。
【0047】
同様に、第2の発光ダイオードLED2のアノード端子は、第6の抵抗R6を介して第5のコンデンサC5の一端16cと電気的に接続される。そして、第2の発光ダイオードLED2のカソード端子は、サイリスタTHのアノード端子19aと電気的に接続される。
【0048】
なお、第5の抵抗R5と第6の抵抗R6は、第1の発光ダイオードLED1と第2の発光ダイオードLED2の各々に供給する電流を制限するための抵抗であり、その抵抗値は例えば10kΩである。
【0049】
このようなノイズ低減回路10によれば、各電源線11、12に重畳しているノイズがノイズ抽出部15で抽出された後、そのノイズの電圧がトランスTRで昇圧される。昇圧されたノイズは、整流回路17で交流成分がカットされた後、第5のコンデンサC5を充電する。その第5のコンデンサC5の両極間の電位差VCが所定電圧VTH以上になると、制御IC18がサイリスタTHにゲート電流を供給し、サイリスタTHのアノード端子19aとカソード端子19bとが電気的に接続される。これにより、第5のコンデンサC5が放電するようになり、その放電電流で各LED1、2が発光する。
【0050】
これによれば、各電源線11、12に重畳しているノイズを低減することができるため、各コンセント4(図1参照)にノイズが低減された交流電圧VACを供給することができる。しかも、ノイズ低減回路10にはLCローパスフィルタがないため、例えば各コンセント4からオーディオ機器(不図示)に交流電圧VACを供給することで、そのオーディオ機器から出力される音の「力」を維持することができる。
【0051】
しかも、抽出したノイズを発光部5を発光させる電力として使用するため、ノイズが抽出されたときに発光部5が発光し、ノイズが抽出できていることをユーザが視覚的に確認することができる。なお、ノイズが抽出できていることをユーザが確認する必要がない場合には、ノイズの電力を消費する回路素子を発光部5に代えて採用してもよい。そのような回路素子としては、例えば、インダクタや抵抗がある。
【0052】
更に、この例では、スイッチ回路19におけるスイッチング素子としてサイリスタTHを採用する。サイリスタTHは、一度オン状態になると、アノード端子19aとカソード端子19bとの電位差がゼロになるまでオフ状態にならないという性質がある。そのため、抽出したノイズによってサイリスタTHが一度オン状態になると、アノード端子19aとカソード端子19bとの電位差がゼロにならない限りサイリスタTHのオン状態が維持され、後続のノイズで発光部5の各LED1、2を発光させることができる。これにより、ノイズを抽出するたびにスイッチ回路19をオン状態にする必要がなくなるため、スイッチ回路19のスイッチング回数を大幅に低減できると共に、効率的にノイズを光エネルギに変換することができる。
【0053】
本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、さらに様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態や変形例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある変形例の一部を他の変形例に置き換えたり、変形例を組み合わせたりすることが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…電気機器、2…筐体、3…電源ケーブル、4…コンセント、5…発光部、10…ノイズ低減回路、11…第1の電源線、11a…一端、11b…他端、12…電源線、12…第2の電源線、15…ノイズ抽出部、16…素子駆動部、16a…一端、16b…他端、16c…一端、16d…他端、17…整流回路、17a…第1の端子、17b…第2の端子、17c…他端、18a…第5の端子、18b…第6の端子、19…スイッチ回路、19a…アノード端子、19b…カソード端子、19c…ゲート。
図1
図2
図3