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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078007
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】シュート、振動搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 27/24 20060101AFI20240603BHJP
   B65G 27/34 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B65G27/24
B65G27/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190297
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】前田 峰尚
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲行
(72)【発明者】
【氏名】大西 孝信
【テーマコード(参考)】
3F037
【Fターム(参考)】
3F037AA07
3F037BA03
3F037CA14
3F037CA17
3F037CB04
(57)【要約】
【課題】水平振動モードを含む振動モードにおいて搬送路が傾く方向に変位する事態を防止・抑制して、次工程設備への乗り継ぎ部分に到達しているワークを次工程設備のワーク移載面へスムーズに乗り継がせてワークの定量供給を実現可能なシュートを提供する。
【解決手段】搬送面21を有する搬送路2と、弾性変形によって生じた振動を搬送面21に伝達する搬送部3とを備え、駆動部4によって搬送部3を弾性変形させた振動モードが水平振動モードを含むものであり、振動モードにおいて搬送部3を構成する第1振動部31と第2振動部32とが互いに逆相で振動するようにした。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面に沿って搬送対象物であるワークを搬送方向下流端に向かって移動させながら所定の次工程設備のワーク移載面に搬送可能なシュートであって、
前記搬送面を有する搬送路と、
弾性変形によって生じた振動を前記搬送面に伝達する搬送部と、
前記搬送部を弾性変形させる駆動部とを備え、
前記搬送部は、前記搬送路に隣接する位置に配置される第1振動部と、
当該第1振動部のうち前記ワークの搬送方向に直交する方向の2面の法線方向それぞれに突出する姿勢で配置される弾性変形可能な第2振動部とを有するものであり、
前記駆動部によって前記搬送部を弾性変形させた状態である振動モードが、少なくとも前記ワークの搬送方向と平行な方向に撓む振動である水平振動モードを有し、
前記振動モードにおいて、前記第1振動部と前記第2振動部とが互いに逆相で振動することを特徴とするシュート。
【請求項2】
前記第2振動部は、前記搬送部の重心または重心近傍に配置されることを特徴とする請求項1に記載のシュート。
【請求項3】
搬送対象物であるワークを振動によってメイン搬送路の終端に向かって移動させながら搬送方向下流側に搬送可能な振動搬送装置であって、
前記メイン搬送路の終端に隣接する位置に請求項1または2に記載のシュートを配置していることを特徴とする振動搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動によってワークを搬送する装置(パーツフィーダ)に適用可能なシュート、及び振動搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子チップ部品等の小型のワークを振動によって搬送しながら整列させて次工程に供給する振動搬送装置(パーツフィーダ)として、直線状に延伸する搬送路に沿ってワークを搬送するリニアフィーダと、リニアフィーダの上流側に接続されるボウルフィーダとを備えた装置が知られている。このようなパーツフィーダでは、リニアフィーダの振動する搬送路(シュート)の先端からワークを排出して、例えば定速回転する円板テーブル上に供給する構成が採用され、円板テーブル上に供給されたワークに対して外観検査等の検査・処理を施す外観検査装置と組み合わせて用いられていることが多い。外観検査等の検査・処理を適切に行えるようにするためには、シュートの先端から排出されるワークが円板テーブル上に等ピッチで並べられることが望ましい。
【0003】
しかし、通常のリニアフィーダでは、振動によって時々刻々シュート先端の位置が変動しているため、ワークが排出されるタイミングによって円板テーブルへの乗り継ぎ位置が変動し、ワーク同士の間隔にバラツキが生じやすくなる。したがって、排出されるワークを円板テーブル上に等ピッチで並べることが困難である。
【0004】
このような問題を解消すべく、下記特許文献1には、リニアフィーダと回転自在の円形搬送テーブルとの間に、ワークを無振動状態で移送する無振動部を配置したワーク外観検査装置が開示されている。具体的には、搬送テーブルに向かって僅かな傾斜を有して下降するリニアフィーダの下流端に、リニアフィーダと同等の傾斜を有し且つ振動しない無振動部が接続された構成が開示されている。このようなリニアフィーダの下流端と搬送テーブルとの間に振動しない無振動部を設置した構成であれば、無振動部上のワークは後続のワークに押されて前進し、搬送テーブルに向かって少しずつ下降し、無振動部の下流端に到達すると、直後に位置する後続のワークに押されて、搬送テーブル上に移載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-133458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、無振動の搬送面上においてワークを滑らせる構成であれば、ワークが搬送面との摩擦力によってワーク搬送路上で停滞したり、後続のワークによる押圧力を受けることができないワークがワーク搬送路の下流端で停止して、ワーク詰まりやワークの姿勢の乱れが起こり得る。
【0007】
そこで、本発明者は、無振動でワークを滑らせる態様と比較して摩擦を低減することが可能な振動モードを実現すべく鋭意研究を重ねた結果、ワーク搬送方向と平行な方向に撓む振動である水平振動モードを有する振動モードによって搬送面上のワークを搬送する構成が有利であることを見出した。
【0008】
しかしながら、水平振動モードを有する振動モードでワーク搬送処理を実施すると、搬送面を有する搬送路がワーク搬送方向と平行な方向に撓むだけでなく、搬送路が斜めに傾く方向への変位(垂直方向へ撓む振動)が生じ、このような垂直方向への撓み現象は、スムーズなワーク搬送処理に支障を来す場合がある。
【0009】
本発明の主たる目的は、このようなワーク搬送に関する開発過程において現れた新規な問題を解決して、次工程設備への乗り継ぎ部分に到達しているワークの定量供給を実現可能なシュート、及びシュートを備えた振動搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、搬送面に沿って搬送対象物であるワークを搬送方向下流端(終端)に向かって移動させながら所定の次工程設備のワーク移載面に搬送可能なシュートに関する。
【0011】
そして、本発明に係るシュートは、搬送面を有する搬送路と、弾性変形によって生じた振動を搬送面に伝達する搬送部と、搬送部を弾性変形させる駆動部とを備え、搬送部として、搬送路に隣接する位置に配置される第1振動部(主振動部)と、第1振動部のうちワークの搬送方向(以下、「ワーク搬送方向」という)に直交する方向の2面に対して法線方向それぞれに突出する姿勢で配置される弾性変形可能な第2振動部(副振動部)とを有するものを適用し、駆動部によって搬送部を弾性変形させた状態である振動モードが、少なくともワーク搬送方向と平行な方向に撓む振動である水平振動モードを有するものであり、この振動モードにおいて第1振動部と第2振動部とが互いに逆相で振動することを特徴としている。ここで、本発明における振動モードは、振動方向(撓む方向)がワーク搬送方向と平行な方向であるという条件を少なくとも満たす水平振動モードを含む振動モードであればよい。また、本発明におけるワークとしては、例えば電子部品などの微小部品を挙げることができるが、電子部品以外の物品であってもよい。
【0012】
このような本発明に係るシュートであれば、振動モータが水平振動モードだけの振動、または水平振動モードと他の振動モードを合成した振動、これら何れの振動であっても、振動モードにおいてワーク搬送方向と平行な方向に撓む振動により搬送面とワークの間に摩擦力が発生し、この摩擦力が推進力として作用してワークを搬送することができ、当該シュートの搬送面上においてワーク同士が詰まったり、搬送方向において相対的に上流側のワークに押圧されることに起因する姿勢の乱れ(押し圧による姿勢の乱れ)が発生する事態を防止・抑制することができる。加えて、本発明に係るシュートであれば、搬送部が第1振動部(主振動部)と第2振動部(副振動部)を少なくとも有するものであり、振動モードにおいてこれら第1振動部と第2振動部とが互いに逆相で振動するため、第2振動部(副振動部)の振動を利用することにより、第1振動部(主振動部)での垂直方向への撓み変形は抑制され、第1振動部全体が同相で振動する。これにより、第1振動部に隣接する搬送路においても水平方向への一様な振動が発生し、搬送路が斜めに傾く方向への変位を防止・抑制することができる。その結果、搬送面の終端(ワーク搬送方向下流端)から所定の次工程設備のワーク移載面にワークを排出する位置(ワーク排出位置)の変動がゼロまたは略皆無となり、ワークを次工程設備のワーク移載面に等ピッチで安定して供給することが可能になる。
【0013】
特に、本発明に係るシュートにおいて搬送部の重心または重心近傍に第2振動部を配置した構成を採用した場合には、第1振動部及び第2振動部を含む搬送部全体においてバランスよく第1振動部の垂直方向への撓み変形の影響を相殺することができる。
【0014】
また、本発明に係る振動搬送装置は、搬送対象物であるワークを振動によってメイン搬送路の終端に向かって移動させながら搬送方向下流側に搬送可能なものであって、メイン搬送路の終端に隣接する位置に上述の構成を有するシュートを配置したことを特徴としている。このような本発明に係る振動搬送装置によれば、上述したシュートが奏する作用効果を得て、垂直方向への撓み振動を抑制して全体が一様に振動する搬送面とワークの間に発生する摩擦力が推進力として作用してワークを搬送することができ、ワーク詰まりや押し圧による姿勢の乱れが発生しない状態でシュートの搬送面の終端から次工程設備のワーク移載面に向かってワークを一定供給することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、振動モードとして水平振動モードを含む振動を適用し、この振動モードにおいて第1振動部と第2振動部とを互いに逆相で振動させる構成にするという斬新な技術的思想に基づき、第1振動部の垂直方向への撓み変形を効果的にキャンセルしつつ、次工程設備への乗り継ぎ部分に到達しているワークに対して搬送面との間に生じる摩擦力に基づく推進力を付与することで、乗り継ぎ部分でワークが停滞したり、姿勢が乱れる事態の発生を防止・抑制して、次工程設備に対するワークの定量供給を実現可能なシュート、及びシュートを備えた振動搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るシュートを備えた振動搬送装置の全体図。
図2図1の要部拡大図。
図3】同実施形態に係るシュートの全体外観図。
図4】同実施形態に係るシュートを示す図。
図5】同実施形態における水平振動モードを解析アニメーションで示す図。
図6】同実施形態における垂直振動モードを解析アニメーションで示す図。
図7】同実施形態における垂直振動モードを解析アニメーションで示す図。
図8】同実施形態における振動モードの経時変化を解析アニメーションで示す図。
図9】同実施形態の振動モードによるワーク搬送処理を模式的に示す図。
図10】第2振動部を備えていない搬送部の振動状態を解析アニメーションで示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るシュート1は、図1及び図2に示すように、搬送対象物であるワークWを振動によってメイン搬送路(リニアメイン搬送路L1)の終端L11に向かって移動させながら搬送方向D1下流側に搬送可能な振動搬送装置Xに適用され、メイン搬送路L1の終端L11に接続可能なものである。図1及び図2では、メイン搬送路L1の一例としてリニアフィーダLのリニア搬送路L1を示すとともに、リニアメイン搬送路L1の終端L11に隣接する位置に本実施形態に係るシュート1を配置した態様を示している。
【0018】
リニアフィーダLは、図2に示すように、直線状の搬送路であるリニアメイン搬送路L1を有するリニア搬送部L2に振動を与えることで、リニアメイン搬送路L1に沿ってワークWを搬送方向下流側へ搬送可能なものである。本実施形態におけるリニアフィーダLにおいて、リニア搬送部L2を振動させてリニアメイン搬送路L1上のワークWを搬送方向下流側へ搬送する具体的な構成は特に限定されず、例えば、加振源から与えられる加振力によって、リニア搬送部L2が接続された可動部と所定の固定部とを相互に連結する板バネ(駆動用バネ)を直接または間接的に起振させることで、可動部及び固定部が互いに逆方向に振動し、これによって可動部に接続されているリニア搬送部L2が長手方向に振動し、ワークWを搬送方向に沿って下流側へ搬送する構成を挙げることができる。また、他の例として、リニア搬送部L2に発生させた進行波によりワークWをリニアメイン搬送路L1に沿って搬送するリニアフィーダLであってもよい。
【0019】
リニアメイン搬送路L1の始端及び終端L11は、リニア搬送部L2の外縁に到達し、適宜の断面形状に設定されている。リニアメイン搬送路L1は、ワークWを搬送する搬送面(リニア搬送面)として機能する。なお、リニアメイン搬送面の断面形状は、上向きコ字状、U字状、V字状等、適宜の形状を選択できる。リニアフィーダLは、リニアメイン搬送路L1の始端から搬送されたワークWを搬送中に一列に整列させてリニアメイン搬送路L1の終端L11から次工程装置に供給することができる。
【0020】
図1では、リニア搬送部L2の上流側にボウルフィーダBを備えた振動搬送装置Xを例示している。ボウルフィーダBは、内周面に螺旋状の搬送路B1(螺旋搬送路)を有するボウル状の搬送部B2(ボウル搬送部)に振動を与えることで、螺旋搬送路B1に沿ってワークWを搬送方向下流側へ搬送可能なものである。ボウルフィーダBにおいて、ボウル搬送部B2を振動させて螺旋搬送路B1上のワークWを搬送方向下流側へ搬送する具体的な構成は特に限定されず、上述のリニアフィーダLに準じた構成(板バネを用いた構成、進行波を発生させる構成等)を適宜採用することができる。ボウル搬送部B2に振動を与えると、ワークWは螺旋搬送路B1を登坂し、そのまま螺旋搬送路B1の終端(出口部分)からリニアフィーダLのリニアメイン搬送路L1の始端に搬送される。
【0021】
リニアメイン搬送路L1の始端(上流端)に到達したワークWは、リニアメイン搬送路L1の終端L11(下流端)に向かって搬送され、そのままシュート1に乗り継いで、次工程設備Yのワーク移載面Y1に供給される。図1及び図2では、次工程設備Yが回転テーブルTである態様を示している。回転テーブルTの上向き面のうち外周縁近傍に沿って規定される所定の周回エリアがワーク移載面Y1である。なお、回転テーブルTは、例えばワークの外観を検査する外観検査装置の一部を構成するものであり、このような外観検査装置では、円板状の回転テーブルT上にワークWが一定の姿勢で等ピッチで並べられていることで検査効率が向上する。
【0022】
シュート1は、リニアフィーダLから乗り継いだワークWを一定区間搬送した後に次工程設備YにワークWを供給するものである。シュート1は、図3及び図4に示すように、搬送面21を有し且つ下方空間が開放されている搬送路(ワーク搬送路2)と、弾性変形によって生じた振動を搬送面21に伝達する搬送部3と、搬送部3を加振して弾性変形させる駆動部4とを備えている。ここで、図3はシュート1の全体外観図であり、同図(a),(b)で見る方向を異ならせている。また、図4(a)は図3(a)のF1方向矢視図であり、図4(b)は同図(a)のF2方向矢視図である。
【0023】
本実施形態における搬送部3は、ワーク搬送路2に隣接する位置に配置される第1振動部31(主振動部)と、第1振動部31のうちワーク搬送方向D1に直交する方向の2面に対して法線方向に突出する姿勢で配置される第2振動部32(副振動部)とを有するものである。
【0024】
第1振動部31は、弾性変形可能なプレート体で構成され、下端部にワーク搬送路2を設けたものである。ここで、ワーク搬送路2におけるワークWの搬送方向D1は、第1振動部31の背面311から前面312に向かう方向として特定することができる。また、平面においてシュート1または第1振動部31の前後方向Zと直交する方向を「シュート1または第1振動部31の厚み方向E」として特定することができ、シュート1の前後方向Zに対する垂直な直交方向を「シュート1または第1振動部31の高さ方向H」として特定することができる。本実施形態では、第1振動部1の厚み方向Eにおいて対向する2つの面(2つの側面)のうち一方の面313の下端部に搬送路2を設けている。以下では、この面313を搬送路設定面313とし、反対側の面(側面)を搬送路非設定面314とする。
【0025】
第2振動部32は、弾性変形可能なプレート体で構成され、第1振動部31の搬送路設定面313及び搬送路非設定面314の中央付近からこれら各面(搬送路設定面313、搬送路非設定面314)に対して法線方向にそれぞれ突出姿勢で配置されたものである。第2振動部32のうち第1振動部31の搬送路設定面313から突出している部分32Aと、搬送路非設定面314から突出している部分32Bは相互に同一形状であり、このような第2振動部32を第1振動部31の重心または重心近傍に配置している。搬送路設定面313及び搬送路非設定面314の法線方向(第2振動部32の突出方向)は、第1振動部31の厚み方向Eと略一致する。第2振動部32は、第1振動部31の搬送路設定面313及び搬送路非設定面314の各表面に平行な断面形状をワーク搬送方向D1に延伸する横長な断面形状に設定したものである。なお、本実施形態では、第2振動部32のうちワーク搬送方向D1の寸法を第1振動部31の同一方向D1の寸法よりも小さく設定している。このような第2振動部32を、第1振動部31の厚み方向E中心を通り且つ搬送路設定面313の表面に平行な仮想平面(対象面)に関して対称となるように配置している。
【0026】
本実施形態のシュート1は、第1振動部31の高さ方向H中央部において搬送路非設定面314から搬送部3の厚み方向Eに延伸する姿勢で配置した支持部5を備えている(図3参照)。本実施形態では、第1振動部31のうちワークWの搬送方向D1に沿って所定距離離れた2箇所(第2振動部32のうち搬送路非設定面314から突出している部分32Bをワーク搬送方向D1において挟む箇所)に支持部5を配置している。各支持部5は、剛性が低い素材で構成された棒状をなすものであり、一端を第1振動部31に取り付け、他端を共通の固定部6に取り付けている。第1振動部31と固定部6の間に、低剛性の支持部5を設けることによって第1振動部31の振動状態に悪影響が及ばないよう構成している。支持部5は、第1振動部31及び第2振動部32とともに搬送部3を構成するパーツとして捉えることもできる。第2振動部32は、このような搬送部3の重心または重心近傍に配置されたものである。本実施形態では、第1振動部31及び第2振動部32を一体に形成している。なお、図4では支持部5及び固定部6を省略している。
【0027】
本実施形態のシュート1は、第1振動部31の所定箇所に駆動部4を設けている。本実施形態では、図3及び図4に示すように、駆動部4として圧電素子4a,4bを適用し、2つの圧電素子4aを第1振動部31の背面311及び前面312の高さ方向H中央部にそれぞれ貼付処理等の適宜の処理または固定手段によって固定し、1つの圧電素子4bを第1振動部31の搬送路設定面313における高さ方向H中央部周辺に貼付処理等の適宜の処理または固定手段によって固定している。圧電素子4a,4bは矩形状をなす薄板状のものであり、水平振動モード駆動用の圧電素子4aを縦長の姿勢で設け、垂直振動モード用の圧電素子4bを横長の姿勢で設けている。圧電素子4a,4bは各振動モードにおいて大きな歪みが生じる位置(振動の腹の位置)に設けられている。そして、本実施形態のシュート1では、図2及び図4に示すように、第1振動部31及び第2振動部が水平面に対して略45度の傾斜角度で交差する姿勢で搬送部3を配置し、第1振動部31の下端部に設けた搬送路2がリニア搬送路Lの終端L11に連続するように構成している。
【0028】
ワーク搬送路2は、第1振動部31の下端部において当該第1振動部31の厚み方向E(幅方向E)に突出する姿勢で設けられたものである。本実施形態では、搬送路形成面313から側方に突出する姿勢でワーク搬送路2を設けている。ワーク搬送路2の上向き面には、溝状の搬送面21を形成している。搬送面21の溝形状は特に限定されず、図3等では一例として断面上向きコ字状の搬送面21を示している。ワーク搬送路2の始端22及び終端23は、それぞれワーク搬送路2のうちワーク搬送方向D1上流側の外縁及びワーク搬送方向D1下流側の外縁に到達している。ワーク搬送路2の前後方向Zに沿った寸法は、第1振動部31の前後方向Zに沿った寸法と同じである。すなわち、本実施形態のシュート1は、第1振動部31の下端部から側方に張り出したワーク搬送路2を備えたものである。本実施形態では、第1振動部31及びワーク搬送路2を一体に形成している。
【0029】
本実施形態に係るシュート1は、ワーク搬送路2の下向き面に他の部品を設けていないため、ワーク搬送路2の下方空間がフリーなスペースになっている。本実施形態では、第1振動部31を上述の通り所定角度傾斜させた姿勢で配置するように構成し、この配置姿勢においてワーク搬送路2の下面が水平面となるように設定している(図4(b)参照)。
【0030】
以上の構成を有するシュート1をリニアフィーダLの終端L11に隣接する位置に配置した振動搬送装置Xは、図1及び図2に示すように、次工程設備Yである回転テーブルTのワーク移載面Y1にワーク搬送路2のうち下流端側の下向き面を近接させた状態で、シュート1とは別体の部材(図示省略)に固定部5を適宜の手段で固定した状態で設置することができる。本実施形態では、この設置状態において搬送面21がワーク搬送方向D1の上流から下流に向かって漸次斜め下方に傾斜する下り勾配になるように設定している。下り勾配の傾斜角度はワークWが重力で滑り落ちる程度であり、且つワークWの姿勢を崩さない角度であることが肝要であり、本実施形態では、搬送面21を5°乃至15°程度の下り勾配に設定している。
【0031】
そして、本実施形態に係る振動搬送装置Xは、リニアフィーダLと次工程設備Yである回転テーブルTの間に設けたシュート1によって、リニアフィーダLのリニアメイン搬送路L1から搬送面21に乗り継いだワークWを一定区間(搬送面21によるワークWの搬送区間)搬送した後、次工程設備Yである回転テーブルTにワークWを供給することができる。本実施形態に係る振動搬送装置Xでは、駆動部4によって搬送部3を弾性変形させた状態である振動モードが、図5に示す水平振動モードと、図6及び図7に示す垂直振動モードとを合成した楕円振動となるように構成している。
【0032】
水平振動モードは、図5に示すように、搬送面21がワーク搬送方向D1と平行な方向Zに撓む振動である。本実施形態では、圧電素子4aにのみ交流電圧を印加することで第1振動部31を加振すると、第1振動部31全体がワーク搬送方向D1と平行な方向に撓む振動(水平振動)が生じるように構成している。さらにこの水平振動モードは、図5に明示しているように、搬送路2を設けた第1振動部31と第2振動部32が、搬送路2の延伸方向Dに互いに逆相で振動する振動モードである。本実施形態に係る振動搬送装置Xは、水平振動モードにおいて第1振動部31に現れる複数の腹のうち下端部に現れる腹の位置またはその近傍位置にワーク搬送路2を設けている。
【0033】
垂直振動モードは、図6及び図7に示すように、搬送面21がワーク搬送方向D1に対する垂直な直交方向Hに撓む振動である。本実施形態では、圧電素子4bにのみ交流電圧を印加することで第1振動部31を加振すると、第1振動部31全体がワーク搬送方向D1に対する垂直な直交方向Eに撓む振動(垂直振動)が生じるように構成している。さらにこの垂直振動モードは、搬送路2全体がワーク搬送方向D1に垂直な直交方向に撓むことに伴い第2振動部32にも撓みが生じる振動モードである。なお、図6は、図5と同様に搬送路設定面313側からみた垂直振動モードを示す図であり、図7図4(a)のF2方向からみた垂直振動モードを示す図である。図5乃至図8は、振動モードを解析アニメーションによって表示したものであり、振動モードの振動状況を把握し易くするため、無振動状態のシュートを比較対象として一部省略して黒線で示している。
【0034】
本実施形態に係るシュート1は、このような水平振動モードと垂直振動モードの2つの異なる振動モードを同じ周波数で所定の位相差を与えて励起することによって、搬送面21に図8に示す楕円振動を生成する。図8は、(i)→(ii)→(iii)→(iv)→(i)…の順で繰り返す楕円振動の経時的な変遷を示す図である。なお、圧電素子4a,4bは第1振動部31のうち各振動モード(水平振動モード、垂直振動モード)において大きな歪みが生じる位置に設けられており、交流電圧を印加することで加振する。また、圧電素子4a,4bによる加振時の周波数は水平振動モード及び垂直振動モードの固有周波数付近の周波数に設定している。本実施形態のシュート1は、振動モードにおいて搬送面21を周波数20kHz以上の超音波領域で振動させる(定在波)ことができる。
【0035】
本実施形態に係るシュート1では、駆動部4(圧電素子4a,4b)によって搬送部3を弾性変形させた状態である振動モードが、水平振動モードと垂直振動モードを合成した楕円振動であり、振動モードにおいて搬送面21全体が水平振動モードの腹に相当する位置またはその近傍位置となるように構成することで、図8及び図9に示すように、搬送路2全体に一様な楕円振動が生成される。その結果、搬送路2の搬送面21全体にも一様な楕円振動が生成され、搬送面21上のワークWは、図9に示すように、搬送面2に接触する状態(同図(ii))と、搬送面2に対して離間する状態(同図(iii),(iv),(i))とを所定のサイクルで繰り返し、ワーク搬送方向D1に沿って搬送される。すなわち、ワークWが搬送面21に接触した時点でワークWと搬送面21の間に摩擦力が発生し、この摩擦力が推進力として作用してワークWをワーク搬送方向D1に搬送することができ、搬送面21全域で推進力を得ることができる。なお、搬送路2の搬送面21全体に一様な楕円振動が生成されるということは、振動モードにおけるどの時点を切り取ったとしても各時点における搬送面21上の任意の点(一例として図9中の点P,Q)の相対位置関係が一定であり、例えば搬送面21上に振動に起因する起伏が部分的に現れないということである。図9の(i),(ii),(iii),(iv)は、それぞれ図8の(i),(ii),(iii),(iv)に対応するものである。また、図9の(i),(ii),(iii),(iv)に示す楕円と楕円上の黒丸は、各図が楕円振動におけるどの時点の振動状態であるかを模式的に示すものである。また図9では無振動状態の搬送面21Aを点線で示している。
【0036】
以上のように、本実施形態に係るシュート1は、駆動部4(圧電素子4a,4b)によって搬送部3を弾性変形させた状態である振動モードが、搬送面21に対する垂直な直交方向Hに沿って腹と節が現れ且つ搬送路2におけるワーク搬送方向D1と平行な方向に撓む振動である水平振動モードと、搬送面21に対する垂直な直交方向Hの振動である垂直振動モードとを合成した楕円振動であり、振動モードにおいて搬送面21全体が少なくとも水平振動モードの腹に相当する位置またはその近傍位置となるように構成することで、搬送面21全体に一様な楕円振動が生成される構成であるため、搬送面21上に節のない振動状態を得ることができる。そして、振動モードにおいて搬送面21が一様な楕円振動することによって、搬送面21とワークWの間に摩擦力が発生し、この摩擦力が推進力として作用してワークWを搬送することができ、搬送面21全域で推進力が得られ、ワーク搬送速度を速く設定した場合であっても搬送面21上においてワークW同士が詰まったり、ワーク搬送方向D1において相対的に上流側のワークWに押圧されることに起因する姿勢の乱れ(押し圧による姿勢の乱れ)が発生する事態を回避することができる。詳述すると、本実施形態に係るシュート1によれば、水平振動モードに合成して楕円振動を生成する垂直振動モードの振動方向が、ワーク搬送方向D1に直交し且つ鉛直成分の成分を持つ方向であるため、鉛直下向きに重力を受けるワークWが、鉛直方向に振動する搬送面21に対して鉛直方向に接触する状態と離間する状態を繰り返し、ワークWが搬送面21に接触する時には重力によってワークが搬送面21に押し付けられ、推進力である摩擦力が生じるという作用を得ることができる。
【0037】
すなわち、本実施形態に係るシュート1によれば、楕円振動により搬送面21とワークWの間に発生する摩擦力を推進力として作用させる構成であるため、非常に小さい振動振幅であっても搬送路2全体でワークWをスムーズに搬送することができ、次工程設備Yへの接続や位置調整を行う際に、搬送路2の振動振幅をほとんど考慮する必要がなく容易に行うことができる。また、搬送路2の下方空間がフリースペースであることと相俟って、搬送路2と次工程設備Yとの間の隙間をゼロに近付けることが可能であり、搬送面21の下流端23から次工程設備Yのワーク移載面Y1への乗継時のワークWの姿勢安定化を図ることができる。
【0038】
特に、本実施形態に係るシュート1によれば、水平振動モードにおいて、第2振動部32(副振動部)が第1振動部31(主振動部)とは逆相で振動し、第1振動部31からの反力を第2振動部32が受けることとなり、第1振動部31内での撓み変形量が低減される。これにより、第1振動部31に設けられた搬送路2が全体で一様に振動し易くなり(位置による振幅のバラツキが小さくなり)、しかも、搬送路3におけるワーク搬送方向D1に平行な方向以外の方向への変位が小さくなるため、搬送路2全域で安定したワークWの搬送が可能となる。特に本実施形態では、水平振動モードと垂直振動モードの合成により生成した楕円振動を利用してワークWを搬送しているが、この場合、水平方向の振動と垂直方向の振動の振幅の比や位相差が、搬送速度及び安定性に大きく影響する。そのため、水平振動モードにおいて部分的に大きな垂直方向の振動の成分が生じると、水平方向の振動と垂直方向の振動の振幅の比や位相差が部分的に崩れ、搬送が不安定になるといった不具合が生じる。この点で本実施形態であれば、水平振動モードにおける垂直方向への振動を抑制することができ、楕円振動を利用する場合であっても安定した搬送が可能となる。
【0039】
副振動部32を備えていない場合には、図10に示すように、水平振動モードにより第1振動部31の高さ方向Hの端部(上端部、下端部)周辺において斜め方向への変位が生じ易くなり、このような部分に搬送路2を設定すると、振動モード中に搬送路2も斜め方向に変位することになり、搬送面21上でのワークWを搬送方向D1下流端までスムーズに搬送することができない。このような問題を、第1振動部31とは逆相で振動する第2振動部32を備えた搬送部3とすることで解消することができる。そして、搬送路2を搬送部3の下端付近に設けることで、搬送路2よりも下方の空間に搬送部3が配置されない構成になり、次工程設備Yに対する搬送路2の相対位置の設計自由度が高まり、次工程設備Yのワーク移載面Y1上にワークWを容易に供給可能なレイアウトを選択することができる。
【0040】
さらに、本実施形態に係るシュート1によれば、超音波振動を利用しているため、振動モードにおける振幅が極めて小さく、搬送面21の終端23(ワーク搬送方向D1下流端)から所定の次工程設備Yのワーク移載面Y1にワークWを排出する位置(ワーク排出位置)の変動がほとんど無いため、等ピッチでワークWを次工程設備Yのワーク移載面Y1に供給することができるというメリットや、振動音が聞こえず、作業環境に悪影響を及ぼさないというメリットも得ることができる。
【0041】
加えて、本実施形態に係るシュート1によれば、搬送部3の重心または重心近傍に第2振動部32を配置した構成であるため、第1振動部31及び第2振動部32を含む搬送部3全体においてバランスよく第1振動部31の垂直方向への撓み変形の影響を第2振動部32の振動によって相殺することができる。より具体的には、第2振動部32が第1振動部31の振動の反力を受ける際、第1振動部31の姿勢を安定させる(バランスを取る)ためには第1振動部31の重心付近で反力を受けることが望ましく、その位置は第1振動部31の中央付近であるため、第1振動部31の中央付近に第2振動部32を設けることが好適である。
【0042】
また、本実施形態に係るシュート1によれば、第1振動部31を厚み方向Eに挟む両側に第2振動部32を突出させた姿勢で配置しているため、第2振動部32の振動によって生じる第2振動部32自体の回転モーメントを第2振動部31の一対の突出端で同じ大きさの回転モーメントを発生させることで相殺することができ、第1振動部31の姿勢が安定する。このような観点において、回転モーメントを相殺するためには、両側で同じ大きさの回転モーメントを発生させる必要があり、本実施形態では、第1振動部31を厚み方向Eに挟む両スペースに相互に均衡な関係を保つ第2振動部32を配置する構成を採用している。具体的には、第1振動部31の厚み方向E中心を通り、且つ第1振動部31の厚み方向Eに対して垂直な直交方向に延伸する仮想中心面を対称面として、第2振動部32を対称形状に設定している。
【0043】
特に、本実施形態に係るシュート1によれば、水平振動モードの振動振幅と垂直振動モードの振動振幅を個別に独立して設定することができ、さらに両振動モード間の位相差も自由に設定できるため、ワークWの搬送速度の調整を容易に行うことができる。さらにまた、本実施形態に係るシュート1によれば、楕円振動の回転方向を逆転させると搬送面21上のワークWを逆方向へ搬送することが可能である。
【0044】
加えて、本実施形態に係るシュート1によれば、搬送面21をワーク搬送方向D1下流端に向かって漸次下り勾配となる傾斜面に設定しているため、リニアフィーダLからワーク搬送路2の搬送面21に乗り移ったワークWが滑り落ちるように搬送されることになり、より一層スムーズな搬送処理を実施することができる。また、搬送面21におけるワークWの搬送速度をリニアフィーダLのリニアメイン搬送路L1におけるワークWの搬送速度よりも遅くなるように設定した場合には、搬送面21上でワークWを搬送方向D1に隙間の無い状態または略無い状態で搬送することができ、搬送方向D1におけるワークW同士の距離が大きくなる(ワークWの離間)事象の発生を防止しつつ、単位時間あたりのワーク搬送量増大化が可能であり、より一層安定したワークWの一定供給処理を実現できる。
【0045】
また、このようなシュート1を備えた本実施形態に係る振動搬送装置Xによれば、上述したシュート1が奏する作用効果を奏し、搬送面21の終端23から次工程設備Yのワーク移載面Y1に向かってワークWを等ピッチ且つ同じ姿勢で一定供給することが可能になるとともに、搬送面21の終端23から次工程設備Yのワーク移載面Y1への乗継時にワークWが姿勢変更する不具合を防止・抑制することができる。
【0046】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、搬送路の第1振動部の下端部に配置した構成を例示したが、第1振動部の上端部に搬送路を配置した構成等、搬送路の配置箇所は適宜選択・変更することができる。また、搬送路の配置箇所に応じて第2振動部の配置箇所も搬送路に干渉しない適宜の箇所に変更すればよい。
【0047】
第2振動部の突出寸法や重量等も第1振動部の形状等に応じて適宜変更することが可能である。
【0048】
上述の実施形態では、シュートの搬送面をワーク搬送方向に沿って下り勾配に設定した態様を例示したが、傾斜していないフラットな搬送面を採用することもできる。また、搬送面上のワークに対して十分な推進力を付与することが可能な本発明によれば、搬送面をワーク搬送方向に沿って登り勾配に設定することもできる。
【0049】
第1振動部と第2振動部を別体にした構成や、搬送路と第1振動部を別体にした構成も本発明に含まれる。
【0050】
また、本発明では、搬送面の断面溝形状やワーク搬送方向に沿ったワーク搬送路の長さは、適宜選択・変更することができる。搬送面の断面形状としては、上向きコ字状、U字状、V字状等の形状を挙げることができる。搬送面と所定方向に対面する規制壁を有する規制部を備え、搬送面上を搬送するワークが搬送面から外れる方向に移動する挙動を規制するように構成してもよい。
【0051】
本発明では、駆動部として、圧電素子に代えてまたはそれに加えて、磁歪素子や他の素子を適用することが可能である。また、第1搬送部における駆動部の配置箇所も適宜選択・変更することができ、振動モードによっては駆動部の配置箇所が振動の腹または腹近傍に配置される場合もある。すなわち、振動モードにおいてより効率良く振動させるためには、弾性変形による歪みの大きな位置に駆動部を配置(圧電素子を貼付)することが好ましい。
【0052】
垂直振動モードとして、搬送部全体が高さ方向(鉛直方向)に伸縮運動する弾性変形によって生じる縦振動を採用することも可能である。
【0053】
さらには、水平振動モードのみからなる振動モードで搬送面上のワークを搬送可能に構成した態様も本発明に含まれる。
【0054】
また、本発明に係る振動搬送装置は、ボウルフィーダとリニアフィーダとシュートを全て備えたものに限定されず、ボウルフィーダのメイン搬送路(螺旋搬送路)の終端に隣接する位置にシュートを配置した構成や、ボウルフィーダを備えず、リニアフィーダのメイン搬送路(リニアメイン搬送路)の終端に隣接する位置にシュートを配置した構成であってもよい。なお、リニアフィーダが、リニア搬送部の上向き面に、リニアメイン搬送路と、リニアメイン搬送路から排除されたワークを上流側(例えばボウルフィーダの貯留部)に戻すリターントラックとを形成したものであってもよい。
【0055】
さらにはまた、ボウルフィーダとリニアフィーダの間に本発明に係るシュートを設け、螺旋搬送路の終端からワーク搬送路の始端に到達したワークを、ワーク搬送路の終端まで搬送してリニアフィーダのリニアメイン搬送路の始端に乗り継ぐ構成を実現することもできる。この場合、振動搬送装置は、ボウルフィーダとシュートとを備えたものであり、本発明における「次工程設備のワーク移載面」がリニアメイン搬送路の始端であると捉えることができる。ホッパからシュートに直接ワークを供給する構成であってもよい。
【0056】
メイン搬送路の終端に隣接する位置であって且つメイン搬送路の終端近傍領域の下方にシュートの搬送路の始端近傍領域が位置付けられるようにメイン搬送路及びシュートの搬送路の一部同士を高さ方向に重ねた配置を採用し、下り勾配に設定したメイン搬送路の終端からワークを自重でシュートの搬送路の始端近傍に落下させるようにしても構わない。この場合、搬送路の振幅の制限がなくなり、高振幅で振動させることが可能になり、ワーク供給量を増加することができる。
【0057】
また、本発明における次工程設備は、外観検査装置の回転テーブルに限定されず、適宜の検査装置或いは処理装置の一部を構成し、且つワーク移載面を有するものであればよい。
【0058】
搬送対象物であるワークの一例として電子部品などの微小部品を挙げることができるが、ワークは電子部品以外の物品であってもよい。
【0059】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…シュート
21…搬送面
2…搬送路(ワーク搬送路)
3…搬送部
4,4a,4b…駆動部(圧電素子)
L1…メイン搬送路(リニアメイン搬送路)
W…ワーク
X…振動搬送装置
Y…次工程設備(回転テーブル)
Y1…ワーク移載面
図1
図2
図3
図4
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図10