IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置 図1
  • 特開-半導体装置 図2
  • 特開-半導体装置 図3
  • 特開-半導体装置 図4
  • 特開-半導体装置 図5
  • 特開-半導体装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078029
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240603BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H01L29/78 301X
H01L29/78 626A
H01L29/78 617K
H01L29/78 616T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190332
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】仮屋園 広宣
【テーマコード(参考)】
5F110
5F140
【Fターム(参考)】
5F110AA30
5F110CC09
5F110DD01
5F110DD04
5F110DD05
5F110EE22
5F110GG04
5F110GG42
5F110HK02
5F110HK03
5F110HM01
5F110HM12
5F110NN23
5F110NN27
5F110NN36
5F140AA00
5F140AC36
5F140BA01
5F140BA06
5F140BA10
5F140BB04
5F140BC13
5F140BE09
5F140BE10
5F140BF04
5F140BF54
5F140BG27
5F140BG28
5F140BH30
5F140BH47
5F140BJ05
5F140BJ25
5F140CC03
5F140CC10
5F140CC11
5F140CC12
5F140CC16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】異なる動作電圧に応じた耐圧を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、ソース部30と、ドレイン部34と、チャネル形成領域32と、ゲート電極50と、ドレイン部に接続された第1配線60と、第1配線と離隔し、ドレイン部に接続された第2配線62と、第1配線を介してドレイン部と電気的に接続された第1端子と、第2配線を介してドレイン部と電気的に接続された第2端子と、を有する。第1配線のドレイン部との第1接触領域61と、チャネル形成領域と、の間の距離D1は、第2配線のドレイン部との第2接触領域63と、チャネル形成領域と、の間の距離D2よりもより小さく、第1端子に所定の電圧が印加された場合、第2端子は、電気的にフローティングであり、第2端子に所定の電圧が印加された場合、第1端子は、電気的にフローティングである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース部と、
ドレイン部と、
前記ソース部と前記ドレイン部との間のチャネル形成領域と、
前記チャネル形成領域の電流を制御するゲート電極と、
前記ドレイン部に接続された第1配線と、
前記第1配線と離隔し、前記ドレイン部に接続された第2配線と、
前記第1配線を介して前記ドレイン部と電気的に接続された第1端子と、
前記第2配線を介して前記ドレイン部と電気的に接続された第2端子と、
を有し、
前記第1配線の前記ドレイン部との第1接触領域と、前記チャネル形成領域と、の間の距離は、前記第2配線の前記ドレイン部との第2接触領域と、前記チャネル形成領域と、の間の距離よりもより小さく、
前記第1端子に所定の電圧が印加された場合、前記第2端子は、電気的にフローティングであり、
前記第2端子に所定の電圧が印加された場合、前記第1端子は、電気的にフローティングである、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
基板と、
前記基板から突出した柱状部と、
を有し、
前記柱状部は、前記ソース部、前記チャネル形成領域、および前記ドレイン部を有し、
前記ソース部、前記チャネル形成領域、および前記ドレイン部は、前記柱状部の突出方向に並び、
前記第1接触領域および前記第2接触領域は、前記柱状部の側面と接触している、半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記ゲート電極は、前記チャネル形成領域を囲んでいる、半導体装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記第1接触領域は、前記ドレイン部を囲み、
前記第2接触領域は、前記ドレイン部を囲んでいる、半導体装置。
【請求項5】
請求項1において、
基板を有し、
前記基板は、 前記ソース部、前記チャネル形成領域、および前記ドレイン部を有する、半導体装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
パワーデバイスである、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置として、集積化に優れたMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が知られている。例えば特許文献1には、高耐圧の横型拡散MOSFETが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-73414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなFETは、動作電圧に応じた耐圧を有することが望まれている。そのため、異なる動作電圧でFETを動作させる場合には、異なる耐圧を有する複数のFETを用意する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る半導体装置の一態様は、
ソース部と、
ドレイン部と、
前記ソース部と前記ドレイン部との間のチャネル形成領域と、
前記チャネル形成領域の電流を制御するゲート電極と、
前記ドレイン部に接続された第1配線と、
前記第1配線と離隔し、前記ドレイン部に接続された第2配線と、
前記第1配線を介して前記ドレイン部と電気的に接続された第1端子と、
前記第2配線を介して前記ドレイン部と電気的に接続された第2端子と、
を有し、
前記第1配線の前記ドレイン部との第1接触領域と、前記チャネル形成領域と、の間の距離は、前記第2配線の前記ドレイン部との第2接触領域と、前記チャネル形成領域と、の間の距離よりもより小さく、
前記第1端子に所定の電圧が印加された場合、前記第2端子は、電気的にフローティングであり、
前記第2端子に所定の電圧が印加された場合、前記第1端子は、電気的にフローティングである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置を模式的に示す断面図。
図2】第1実施形態に係る半導体装置を模式的に示す断面図。
図3】第1実施形態に係る半導体装置を模式的に示す平面図。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
図5】第2実施形態に係る半導体装置を模式的に示す断面図。
図6】第2実施形態に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に
説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0008】
1. 第1実施形態
1.1. 半導体装置
1.1.1. 構成
まず、第1実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る半導体装置100を模式的に示す断面図である。図2は、第1実施形態に係る半導体装置100を模式的に示す図1のII-II線断面図である。図3は、第1実施形態に係る半導体装置100を模式的に示す平面図である。なお、図1図3では、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
【0009】
半導体装置100は、図1図3に示すように、例えば、基板10と、柱状部20と、絶縁層40,42,44,46,48と、ゲート電極50と、配線60,62,64,66,68と、端子70,72,74,76,78と、を含む。半導体装置100は、縦型の電界効果トランジスター(FET)である。なお、便宜上、図3では、配線60,62,64,66,68および端子70,72,74,76,78以外の部材の図示を省略している。
【0010】
基板10は、例えば、シリコン基板、ゲルマニウム基板、サファイア基板、ダイヤモンド基板、II-VI族やIII-V族などの化合物半導体基板である。基板10は、導電性を有していてもよい。
【0011】
柱状部20は、基板10上に設けられている。柱状部20は、基板10から上方に突出した柱状の形状を有している。図示の例では、柱状部20の突出方向は、Z軸方向である。柱状部20は、例えば、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーとも呼ばれる。柱状部20の平面形状は、例えば、六角形や四角形などの多角形、円である。図2に示す例では、柱状部20の平面形状は、円である。柱状部20の材質は、半導体材料である。柱状部20の材質は、例えば、GaNである。
【0012】
柱状部20の径は、例えば、50nm以上500nm以下であり、好ましくは100nm以上300nm以下である。柱状部20の径を500nm以下とすることによって、高品質な結晶の柱状部20を得ることができる。
【0013】
なお、「柱状部20の径」とは、柱状部20の平面形状が円の場合は、直径であり、柱状部20の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。例えば、柱状部20の径は、柱状部20の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の直径であり、柱状部20の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の直径である。
【0014】
柱状部20は、例えば、複数設けられている。柱状部20が複数設けられることにより、半導体装置100は、大電流化を図ることができ、パワーデバイスとして、好適に用いられる。複数の柱状部20は、互いに離隔している。隣り合う柱状部20の間隔は、例えば、10nm以上1μm以下であり、好ましくは100nm以上800nm以下であり、より好ましくは400nm以上600nm以下である。複数の柱状部20は、Z軸方向からみて、例えば、所定の方向に所定のピッチで配列されている。複数の柱状部20は、例えば、正三角格子状、正方格子状に配列されている。図2に示す例では、複数の柱状部20は、例えば、正方三角格子状に配列されている。
【0015】
なお、「柱状部20のピッチ」とは、所定の方向に隣り合う柱状部20の中心間の距離である。「柱状部20の中心」とは、柱状部20の平面形状が円の場合は、該円の中心であり、柱状部20の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の中心である。例えば、柱状部20の中心は、柱状部20の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の中心であり、柱状部20の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の中心である。
【0016】
柱状部20は、図1に示すように、ソース部30と、チャネル形成領域32と、ドレイン部34と、を有している。図示の例では、ソース部30、チャネル形成領域32、およびドレイン部34は、Z軸方向に並んでいる。
【0017】
ソース部30は、基板10上に設けられている。ソース部30は、基板10とチャネル形成領域32との間に設けられている。ソース部30の材質は、例えば、n電型の半導体である。ソース部30の材質は、例えば、Siがドープされたn型のGaNである。
【0018】
チャネル形成領域32は、ソース部30上に設けられている。チャネル形成領域32は、ソース部30とドレイン部34との間に設けられている。チャネル形成領域32の材質は、例えば、p型の半導体である。チャネル形成領域32の材質は、例えば、Mgがドープされたp型のGaNである。チャネル形成領域32には、ゲート電極50に所定の電圧が印加されることにより、チャネルが形成される。チャネル形成領域32には、例えば、Nチャネルが形成される。
【0019】
ドレイン部34は、チャネル形成領域32上に設けられている。ドレイン部34は、チャネル形成領域32と第3ドレイン配線64との間に設けられている。図示の例では、Z軸方向において、ドレイン部34の大きさは、ソース部30の大きさ、およびチャネル形成領域32の大きさよりも大きい。ドレイン部34の材質は、例えば、n型の半導体である。ドレイン部34の材質は、例えば、Siがドープされたn型のGaNである。
【0020】
第1絶縁層40は、基板10上に設けられている。第1絶縁層40は、基板10と第2絶縁層42との間、および基板10とゲート電極50との間に設けられている。第1絶縁層40は、Z軸方向からみて、ソース部30を囲んでいる。第1絶縁層40は、隣り合う柱状部20の間に設けられている。第1絶縁層40は、例えば、SOG(spin on glass)層、酸化シリコン層、ポリイミド層である。
【0021】
第2絶縁層42は、柱状部20の側面22に設けられている。第2絶縁層42は、側面22を構成するチャネル形成領域32に接している。側面22は、例えば、m面である。第2絶縁層42は、第1絶縁層40上に設けられている。第2絶縁層42は、第1絶縁層40と第3絶縁層44との間に設けられている。第2絶縁層42は、Z軸方向からみて、チャネル形成領域32を囲んでいる。第2絶縁層42は、チャネル形成領域32とゲート電極50との間に設けられている。第2絶縁層42は、例えば、酸化シリコン層である。第2絶縁層42は、ゲート絶縁層である。
【0022】
ゲート電極50は、第1絶縁層40上に設けられている。ゲート電極50は、第1絶縁層40と第3絶縁層44との間に設けられている。ゲート電極50は、第2絶縁層42に接している。ゲート電極50は、Z軸方向からみて、第2絶縁層42を囲んでいる。ゲート電極50は、Z軸方向からみて、チャネル形成領域32を囲んでいる。ゲート電極50は、隣り合う柱状部20の間に設けられている。ゲート電極50の材質は、例えば、リンやボロンなどの不純物がドーピングされたポリシリコン、金属である。ゲート電極50は、チャネル形成領域32の電流を制御する。半導体装置100は、GAA(Gate All Around)構造を有している。
【0023】
第3絶縁層44は、第2絶縁層42上およびゲート電極50上に設けられている。第3絶縁層44は、第2絶縁層42と第1ドレイン配線60との間、およびゲート電極50と第1ドレイン配線60との間に設けられている。第3絶縁層44は、Z軸方向からみて、ドレイン部34を囲んでいる。第3絶縁層44は、隣り合う柱状部20の間に設けられている。第3絶縁層44の材質は、例えば、第1絶縁層40と同じである。
【0024】
第1ドレイン配線60は、第3絶縁層44上に設けられている。第1ドレイン配線60は、第3絶縁層44と第4絶縁層46との間に設けられている。第1ドレイン配線60は、図2に示すように、Z軸方向からみて、ドレイン部34を囲んでいる。第1ドレイン配線60は、隣り合う柱状部20の間に設けられている。第1ドレイン配線60の材質は、例えば、アルミニウム、銅である。なお、第1ドレイン配線60の材質は、導電性の材料であれば、金属以外であってもよい。
【0025】
第1ドレイン配線60は、ドレイン部34に接続されている。第1ドレイン配線60は、第1ドレイン配線60の第1接触領域61において、ドレイン部34に接触している。第1接触領域61は、柱状部20の側面22と接触している。第1接触領域61は、Z軸方向からみて、ドレイン部34を囲んでいる。第1ドレイン配線60は、ドレイン部34の周囲に沿って、ドレイン部34に接している。柱状部20は、第1ドレイン配線60を貫通している。
【0026】
第4絶縁層46は、第1ドレイン配線60上に設けられている。第4絶縁層46は、第1ドレイン配線60と第2ドレイン配線62との間に設けられている。第4絶縁層46は、Z軸方向からみて、ドレイン部34を囲んでいる。第4絶縁層46は、隣り合う柱状部20の間に設けられている。第4絶縁層46の材質は、例えば、第1絶縁層40と同じである。
【0027】
第2ドレイン配線62は、第4絶縁層46上に設けられている。第2ドレイン配線62は、第4絶縁層46と第5絶縁層48との間に設けられている。第2ドレイン配線62は、Z軸方向からみて、ドレイン部34を囲んでいる。第2ドレイン配線62は、隣り合う柱状部20の間に設けられている。第2ドレイン配線62の材質は、例えば、第1ドレイン配線60と同じである。
【0028】
第2ドレイン配線62は、第1ドレイン配線60と離隔している。第2ドレイン配線62は、ドレイン部34に接続されている。第2ドレイン配線62は、第2ドレイン配線62の第2接触領域63において、ドレイン部34に接触している。第2接触領域63は、柱状部20の側面22と接触している。第2接触領域63は、Z軸方向からみて、ドレイン部34を囲んでいる。第2ドレイン配線62は、ドレイン部34の周囲に沿って、ドレイン部34に接している。柱状部20は、第2ドレイン配線62を貫通している。
【0029】
第5絶縁層48は、第2ドレイン配線62上に設けられている。第5絶縁層48は、第2ドレイン配線62と第3ドレイン配線64との間に設けられている。第5絶縁層48は、Z軸方向からみて、ドレイン部34を囲んでいる。第5絶縁層48は、隣り合う柱状部20の間に設けられている。第5絶縁層48の材質は、例えば、第1絶縁層40と同じである。
【0030】
第3ドレイン配線64は、柱状部20上および第5絶縁層48上に設けられている。第3ドレイン配線64は、ドレイン配線60,62と離隔している。図示の例では、柱状部20の上面と、第5絶縁層48の上面とは、面一である。これにより、第3ドレイン配線64の平坦性を向上させることができる。なお、図示はしないが、柱状部20は、第3ド
レイン配線64に食い込んで設けられていてもよい。これにより、第3ドレイン配線64と柱状部20との接触面積を大きくすることができる。
【0031】
第3ドレイン配線64は、ドレイン部34との第3接触領域65を有している。第3接触領域65の形状は、柱状部20の上面の形状と同じである。第3接触領域65は、柱状部20の上面と接している。第3ドレイン配線64の材質は、例えば、第1ドレイン配線60と同じである。
【0032】
第1ドレイン配線60のドレイン部34との第1接触領域61と、チャネル形成領域32と、の間の距離D1は、第2ドレイン配線62のドレイン部34との第2接触領域63と、チャネル形成領域32と、の間の距離D2よりも小さい。距離D2は、第3ドレイン配線64のドレイン部34との第3接触領域65と、チャネル形成領域32と、の間の距離D3よりも小さい。距離D1,D2,D3は、例えば、SEM(Scanning Electron Microscope)、TEM(Transmission Electron Microscope)を用いて測定される。第1接触領域61、第2接触領域63、および第3接触領域65は、Z軸方向に並んでいる。
【0033】
ソース端子70は、図3に示すように、ソース配線66に接続されている。ソース端子70は、ソース配線66を介して、ソース部30と電気的に接続されている。ソース配線66の材質は、アルミニウム、銅などの金属であってもよいし、基板10が導電性を有している場合、基板10がソース配線66を構成していてもよい。
【0034】
ゲート端子72は、ゲート電極50に接続されている。ゲート端子72は、ゲート配線68を介して、ゲート電極50と電気的に接続されている。ゲート配線68の材質は、例えば、第1ドレイン配線60と同じである。
【0035】
第1ドレイン端子74は、第1ドレイン配線60に接続されている。第1ドレイン端子74は、第1ドレイン配線60を介して、ドレイン部34と電気的に接続されている。
【0036】
第2ドレイン端子76は、第2ドレイン配線62に接続されている。第2ドレイン端子76は、第2ドレイン配線62を介して、ドレイン部34と電気的に接続されている。第2ドレイン端子76は、第1ドレイン端子74と離隔して設けられている。
【0037】
第3ドレイン端子78は、第3ドレイン配線64に接続されている。第3ドレイン端子78は、第3ドレイン配線64を介して、ドレイン部34と電気的に接続されている。第3ドレイン端子78は、ドレイン端子74,76と離隔して設けられている。
【0038】
端子70,72,74,76,78は、例えば、アルミニウム、銅である。端子70,72,74,76,78の材質は、例えば、パッケージ基板12に設けられている。パッケージ基板12は、基板10と一体に設けられていてもよい。
【0039】
1.1.2. 動作
半導体装置100の動作電圧が第1値未満の場合、ユーザーは、第1ドレイン端子74に所定の電圧を印加し、ドレイン端子76,78には、電圧を印加しない。第1ドレイン端子74に所定の電圧が印加された場合、ドレイン端子76,78は、電気的にフローティングである。第1ドレイン端子74に所定の電圧が印加された場合、半導体装置100の耐圧は、特に限定されないが、例えば、100Vである。
【0040】
半導体装置100の動作電圧が第1値以上第2値未満の場合、ユーザーは、第2ドレイン端子76に所定の電圧を印加し、ドレイン端子74,78には、電圧を印加しない。第2ドレイン端子76に所定の電圧が印加された場合、ドレイン端子74,78は、電気的
にフローティングである。距離D2は、距離D1よりも大きいため、第2ドレイン端子76に所定の電圧が印加された場合、半導体装置100は、第1ドレイン端子74に所定の電圧が印加された場合よりも大きな耐圧を有する。第2値は、第1値よりも大きな値である。第2ドレイン端子76に所定の電圧が印加された場合、半導体装置100の耐圧は、特に限定されないが、例えば、500Vである。
【0041】
半導体装置100の動作電圧が第2値以上の場合、ユーザーは、第3ドレイン端子78に所定の電圧を印加し、ドレイン端子74,76には、電圧を印加しない。第3ドレイン端子78に所定の電圧が印加された場合、ドレイン端子74,76は、電気的にフローティングである。距離D3は、距離D2よりも大きいため、第3ドレイン端子78に所定の電圧が印加された場合、半導体装置100は、第2ドレイン端子76に所定の電圧が印加された場合よりも大きな耐圧を有する。第3ドレイン端子78に所定の電圧が印加された場合、半導体装置100の耐圧は、特に限定されないが、例えば、1000Vである。
【0042】
このように、半導体装置100では、複数のドレイン端子74,76,78のうちの1つだけによってドレイン部34に電圧が印加され、複数のドレイン端子74,76,78のうちの2つ以上によってドレイン部34に同時に電圧が印加されない。複数のドレイン端子74,76,78のうちの1つだけによってドレイン部34に電圧が印加される場合、ソース端子70によってソース部30に電圧が印加され、ゲート端子72によってゲート電極50に電圧が印加される。
【0043】
なお、上記では、ソース部30およびドレイン部34がn型であり、チャネル形成領域32がp型であり、チャネル形成領域32にNチャネルが形成される例について説明したが、ソース部30およびドレイン部34がp型であり、チャネル形成領域32がn型であり、チャネル形成領域32にPチャネルが形成されてもよい。
【0044】
また、半導体装置100は、GAA構造を有するため、ソース部30およびドレイン部34を高濃度のn型とし、チャネル形成領域32を低濃度のn型とし、チャネル形成領域32にNチャネルが形成されてもよい。また、ソース部30およびドレイン部34を高濃度のp型とし、チャネル形成領域32を低濃度のp型とし、チャネル形成領域32にPチャネルが形成されてもよい。
【0045】
また、ドレイン配線およびドレイン端子の数は、特に限定されない。半導体装置100は、例えば、第4ドレイン配線および第4ドレイン端子を有していてもよいし、第3ドレイン配線64および第3ドレイン端子78を有していなくてもよい。
【0046】
また、柱状部20は、円柱、正六角柱、正四角柱に限定されず、例えば、Y軸方向の長さがX軸方向に比べて十分に大きい形状を有していてもよい。
【0047】
また、上記では、柱状部20の材質がIII-V族半導体であるGaNである例について説明したが、柱状部20の材質は、GaN以外のIII-V族化合物半導体であってもよいし、II-VI族化合物半導体であってもよい。または、柱状部20の材質は、シリコンであってもよし、ゲルマニウムであってもよいし、ダイヤモンドであってもよい。ただし、半導体装置100を高周波デバイスとして用いる場合は、柱状部20の材質は、III族窒化物半導体であることが好ましい。
【0048】
半導体装置100は、例えば、電力変換器に用いられるパワーデバイスであり、インバーター、充電器、昇圧器、降圧器、DC(Direct Current)/DCコンバーター、電気飛行機、電気自動車などに適用される。なお、半導体装置100は、パワーデバイスではなく、高周波デバイスなどとして用いられてもよい。
【0049】
1.1.3. 作用効果
半導体装置100では、ドレイン部34に接続された第1配線としての第1ドレイン配線60と、第1ドレイン配線60と離隔し、ドレイン部34に接続された第2配線としての第2ドレイン配線62と、を有する。さらに、半導体装置100は、第1ドレイン配線60を介してドレイン部34と電気的に接続された第1端子としての第1ドレイン端子74と、第2ドレイン配線62を介してドレイン部34と電気的に接続された第2端子としての第2ドレイン端子76と、を有する。第1ドレイン配線60のドレイン部34との第1接触領域61と、チャネル形成領域32と、の間の距離D1は、第2ドレイン配線62のドレイン部34との第2接触領域63と、チャネル形成領域32と、の間の距離D2よりもより小さい。第1ドレイン端子74に所定の電圧が印加された場合、第2ドレイン端子76は、電気的にフローティングであり、第2ドレイン端子76に所定の電圧が印加された場合、第1ドレイン端子74は、電気的にフローティングである。
【0050】
そのため、半導体装置100では、第1ドレイン端子74に所定の電圧が印加された場合と、第2ドレイン端子76に所定の電圧が印加された場合と、で耐圧を変化させることができる。これにより、動作電圧が所定値未満の場合、第1ドレイン端子74に所定の電圧を印加して、第2ドレイン端子76を電気的にフローティングとし、動作電圧が所定値以上の場合、第2ドレイン端子76に所定の電圧を印加して、第1ドレイン端子74を電気的にフローティングとすることができる。したがって、1つのFETで、異なる動作電圧に応じた耐圧を有することができる。よって、管理する製品の種類が減少し、在庫管理が効率化される。
【0051】
例えば、FETが動作電圧に応じた耐圧を有しておらず、耐圧が動作電圧より大きすぎると、オン抵抗が高くなってしまう。一方、耐圧が動作電圧より小さいと、FETがショートしてしまう。
【0052】
半導体装置100では、基板10と、基板10から突出した柱状部20有する。柱状部20は、ソース部30、チャネル形成領域32、およびドレイン部34を有する。ソース部30、チャネル形成領域32、およびドレイン部34は、柱状部20の突出方向に並んでいる。第1接触領域61および第2接触領域63は、柱状部20の側面22と接触している。そのため、半導体装置100では、ドレイン部34に接続されるドレイン配線を2つ設けても、例えば基板にソース部、チャネル形成領域、およびドレイン部を設ける横型のFETに比べて、基板10の面積が大きくならず、小型化を図ることができる。
【0053】
半導体装置100では、ゲート電極50は、チャネル形成領域32を囲んでいる。そのため、半導体装置100では、チャネル形成領域32を完全に空乏化でき、電流制御性を高めることができる。
【0054】
半導体装置100では、第1接触領域61は、ドレイン部34を囲み、第2接触領域63は、ドレイン部34を囲んでいる。そのため、半導体装置100では、ドレイン部34に均一性よく電流を注入することができる。
【0055】
1.2. 半導体装置の製造方法
次に、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図4は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0056】
図4に示すように、基板10上に、柱状部20を形成する。具体的には、まず基板10上に、所定形状の図示せぬマスク層を形成する。マスク層は、例えば、CVD(Chemical
Vapor Deposition)法、電子ビーム蒸着法、スパッタ法によって形成される。次に、マスク層マスクとして、基板10上に、柱状部20をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。柱状部20の結晶成長は、所定の不純物をドーピングさせながら行われる。本工程により、ソース部30、チャネル形成領域32、およびドレイン部34を有する柱状部20を形成することができる。
【0057】
図1に示すように、基板10上に、第1絶縁層40を形成する。第1絶縁層40は、例えば、CVD法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、スピンコート法によって形成される。
【0058】
次に、第1絶縁層40上であって、チャネル形成領域32の周囲に、第2絶縁層42を形成する。第2絶縁層42は、例えば、CVD法、ALD法、熱酸化法によって形成される。
【0059】
次に、第1絶縁層40上であって、第2絶縁層42の周囲に、ゲート電極50を形成する。ゲート電極50は、例えば、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法によって形成される。
【0060】
次に、第2絶縁層42上およびゲート電極50上に、第3絶縁層44を形成する。第3絶縁層44は、例えば、第1絶縁層40と同じ方法で形成される。
【0061】
次に、第3絶縁層44上に、第1ドレイン配線60を形成する。第1ドレイン配線60は、例えば、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法によって形成される。
【0062】
次に、第1ドレイン配線60上に、第4絶縁層46を形成する。第4絶縁層46は、例えば、第1絶縁層40と同じ方法で形成される。
【0063】
次に、第4絶縁層46上に、第2ドレイン配線62を形成する。第2ドレイン配線62は、例えば、第1ドレイン配線60と同じ方法で形成される。
【0064】
次に、第2ドレイン配線62上に、第5絶縁層48を形成する。第5絶縁層48は、例えば、第1絶縁層40と同じ方法で形成される。
【0065】
次に、第5絶縁層48上に、第3ドレイン配線64を形成する。第3ドレイン配線64は、例えば、第1ドレイン配線60と同じ方法で形成される。
【0066】
図3に示すように、ソース端子70とソース部30とを、ソース配線66を介して電気的に接続する。次に、ゲート端子72とチャネル形成領域32とを、ゲート配線68を介して電気的に接続する。次に、第1ドレイン端子74とドレイン部34とを、第1ドレイン配線60を介して電気的に接続する。次に、第2ドレイン端子76とドレイン部34とを、第2ドレイン配線62を介して電気的に接続する。次に、第3ドレイン端子78とドレイン部34とを、第3ドレイン配線64を介して電気的に接続する。
【0067】
なお、配線66,68および端子70,72,74,76は、所定の方法で形成される。また、端子70,72,74,76,78と、ソース部30、チャネル形成領域32、ドレイン部34と、の電気的な接続の順序は、特に限定されない。
【0068】
以上の工程により、半導体装置100を製造することができる。
【0069】
2. 第2実施形態
2.1. 半導体装置
次に、第2実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。図5は、第2実施形態に係る半導体装置200を模式的に示す断面図である。以下、第2実施形態に係る半導体装置200において、上述した第1実施形態に係る半導体装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0070】
上述した半導体装置100では、図1に示すように、柱状部20は、ソース部30、チャネル形成領域32、およびドレイン部34を有していた。
【0071】
これに対し、半導体装置200では、基板10は、ソース部30、チャネル形成領域32、およびドレイン部34を有している。半導体装置200では、柱状部20は、設けられていない。半導体装置200は、例えば、横型のFETである。
【0072】
基板10は、支持基板14を有している。支持基板14の材質は、p型の半導体である。ソース部30、チャネル形成領域32、およびドレイン部34は、支持基板14に設けられている。図示の例では、ソース部30、チャネル形成領域32、およびドレイン部34は、X軸方向に並んでいる。X軸方向において、ドレイン部34の大きさは、ソース部30の大きさ、およびチャネル形成領域32の大きさよりも大きい。
【0073】
ゲート絶縁層である第2絶縁層42は、チャネル形成領域32上に設けられている。ゲート電極50は、第2絶縁層42上に設けられている。配線60,62,64,66,68は、ワイヤーボンディングであってもよい。接触領域61,63,65は、基板10の上面と接触している。
【0074】
半導体装置200では、基板10を有し、基板10は、ソース部30、チャネル形成領域32、およびドレイン部34を有している。そのため、半導体装置200では、基板10に不純物をドーピングすることによって、ソース部30およびドレイン部34を形成することができる。
【0075】
2.2. 半導体装置の製造方法
次に、第2実施形態に係る半導体装置200の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図6は、第2実施形態に係る半導体装置200の製造工程を模式的に示す断面図である。以下、第2実施形態に係る半導体装置200の製造方法において、上述した第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0076】
図6に示すように、基板10上に絶縁層42を形成する。次に、絶縁層42上にゲート電極50を形成する。
【0077】
図5に示すように、基板10に不純物をドーピングして、ソース部30およびドレイン部34を形成する。ドーピングは、例えば、イオン注入によって行われる。次に、配線60,62,64,66,68および端子70,72,74,76,78を形成する。
【0078】
以上の工程により、半導体装置200を製造することができる。
【0079】
なお、本発明に係る半導体装置は、ゲート電極のY軸方向の大きさがゲート電極のX軸方向の大きさよりも十分に大きく、ゲート電極がチャネル形成領域を包むように設けられ
たFinFETであってもよい。
【0080】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0081】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0082】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0083】
半導体装置の一態様は、
ソース部と、
ドレイン部と、
前記ソース部と前記ドレイン部との間のチャネル形成領域と、
前記チャネル形成領域の電流を制御するゲート電極と、
前記ドレイン部に接続された第1配線と、
前記第1配線と離隔し、前記ドレイン部に接続された第2配線と、
前記第1配線を介して前記ドレイン部と電気的に接続された第1端子と、
前記第2配線を介して前記ドレイン部と電気的に接続された第2端子と、
を有し、
前記第1配線の前記ドレイン部との第1接触領域と、前記チャネル形成領域と、の間の距離は、前記第2配線の前記ドレイン部との第2接触領域と、前記チャネル形成領域と、の間の距離よりもより小さく、
前記第1端子に所定の電圧が印加された場合、前記第2端子は、電気的にフローティングであり、
前記第2端子に所定の電圧が印加された場合、前記第1端子は、電気的にフローティングである。
【0084】
このような半導体装置によれば、異なる動作電圧に応じた耐圧を有することができる。
【0085】
前記半導体装置の一態様において、
基板と、
前記基板から突出した柱状部と、
を有し、
前記柱状部は、前記ソース部、前記チャネル形成領域、および前記ドレイン部を有し、
前記ソース部、前記チャネル形成領域、および前記ドレイン部は、前記柱状部の突出方向に並び、
前記第1接触領域および前記第2接触領域は、前記柱状部の側面と接触していてもよい。
【0086】
このような半導体装置によれば、小型化を図ることができる。
【0087】
前記半導体装置の一態様において、
前記ゲート電極は、前記チャネル形成領域を囲んでいてもよい。
【0088】
このような半導体装置によれば、チャネル形成領域を完全に空乏化でき、電流制御性を
高めることができる。
【0089】
前記半導体装置の一態様において、
前記第1接触領域は、前記ドレイン部を囲み、
前記第2接触領域は、前記ドレイン部を囲んでいてもよい。
【0090】
このような半導体装置によれば、ドレイン部に均一性よく電流を注入することができる。
【0091】
前記半導体装置の一態様において、
基板を有し、
前記基板は、 前記ソース部、前記チャネル形成領域、および前記ドレイン部を有してもよい。
【0092】
このような半導体装置によれば、基板に不純物をドーピングすることによって、ソース部およびドレイン部を形成することができる。
【0093】
前記半導体装置の一態様において、
パワーデバイスであってもよい。
【符号の説明】
【0094】
2…FET、10…基板、12…パッケージ基板、14…支持基板、20…柱状部、22…側面、30…ソース部、32…チャネル形成領域、34…ドレイン部、40…第1絶縁層、42…第2絶縁層、44…第3絶縁層、46…第4絶縁層、48…第5絶縁層、50…ゲート電極、60…第1ドレイン配線、61…第1接触領域、62…第2ドレイン配線、63…第2接触領域、64…第3ドレイン配線、65…第3接触領域、70…ソース端子、72…ゲート端子、74…第1ドレイン端子、76…第2ドレイン端子、78…第3ドレイン端子、100,200…半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6