IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニチレイフーズの特許一覧

特開2024-78063食材ばら化装置、食材凍結システム、ばら化食材製造方法及び凍結食材製造方法
<>
  • 特開-食材ばら化装置、食材凍結システム、ばら化食材製造方法及び凍結食材製造方法 図1
  • 特開-食材ばら化装置、食材凍結システム、ばら化食材製造方法及び凍結食材製造方法 図2
  • 特開-食材ばら化装置、食材凍結システム、ばら化食材製造方法及び凍結食材製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078063
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】食材ばら化装置、食材凍結システム、ばら化食材製造方法及び凍結食材製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20240603BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20240603BHJP
   A23L 5/30 20160101ALI20240603BHJP
【FI】
A23L7/10 E
A23L3/36 A
A23L3/36 Z
A23L5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190394
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】505126610
【氏名又は名称】株式会社ニチレイフーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】志田 司
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩昭
【テーマコード(参考)】
4B022
4B023
4B035
【Fターム(参考)】
4B022LA01
4B022LB01
4B022LF02
4B022LJ05
4B022LJ08
4B022LN03
4B022LT01
4B022LT13
4B023LC05
4B023LC08
4B023LE13
4B023LE22
4B023LG01
4B023LK13
4B023LK15
4B023LP10
4B023LP15
4B023LP20
4B023LT43
4B023LT47
4B023LT60
4B023LT61
4B023LT62
4B023LT63
4B035LC03
4B035LC16
4B035LE01
4B035LE16
4B035LE20
4B035LG32
4B035LG34
4B035LG42
4B035LP31
4B035LP43
4B035LP59
4B035LT11
4B035LT14
4B035LT20
(57)【要約】
【課題】複数の食材を含む食材体をばら化する際に各食材のサイズ及び形状が変わるのを抑えるのに有利な技術を提供する。
【解決手段】複数の食材を含む食材体を分割する食材ばら化装置は、第1回転ローラー~第3回転ローラーを備える。第1ばら化ゾーンに投入された食材体は、第1回転ローラー及び第2回転ローラーによって挟まれることで分割される。第1ばら化ゾーンから排出される食材体の少なくとも一部は、第2ばら化ゾーンにおいて第2回転ローラー及び第3回転ローラーによって挟まれることで分割される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の食材を含む食材体を分割する食材ばら化装置であって、
正回転方向に回転する第1回転ローラーと、
前記第1回転ローラーと対面し、逆回転方向に回転する第2回転ローラーと、
前記第1回転ローラー及び前記第2回転ローラーに対して相対的に下方に位置する第3回転ローラーと、を備え、
前記第1回転ローラーと前記第2回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部は、第1ばら化ゾーンを形成し、
前記第2回転ローラーと前記第3回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部は、第2ばら化ゾーンを形成し、
前記第1ばら化ゾーンに投入された前記食材体は、前記第1回転ローラー及び前記第2回転ローラーによって挟まれることで分割され、
前記第1ばら化ゾーンから排出される前記食材体の少なくとも一部は、前記第2ばら化ゾーンにおいて前記第2回転ローラー及び前記第3回転ローラーによって挟まれることで分割される、
食材ばら化装置。
【請求項2】
前記第3回転ローラーは、正回転方向に回転する、
請求項1に記載の食材ばら化装置。
【請求項3】
前記第2ばら化ゾーンを区画する前記第2回転ローラーの部分と前記第3回転ローラーの部分との間の最小クリアランスは、前記第1ばら化ゾーンを区画する前記第1回転ローラーの部分と前記第2回転ローラーの部分との間の最小クリアランス以下である、
請求項1に記載の食材ばら化装置。
【請求項4】
前記第3回転ローラーは、前記第1回転ローラー及び前記第2回転ローラーの各々と対面し、
前記第1回転ローラーと前記第3回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部は、第3ばら化ゾーンを形成し、
前記第3ばら化ゾーンを区画する前記第1回転ローラーの部分と前記第3回転ローラーの部分との間の最小クリアランスは、前記第2ばら化ゾーンを区画する前記第2回転ローラーの部分と前記第3回転ローラーの部分との間の最小クリアランス以下である、
請求項1に記載の食材ばら化装置。
【請求項5】
前記第1回転ローラー、前記第2回転ローラー及び前記第3回転ローラーのうちの少なくとも2以上の回転速度は相互に異なる、
請求項1に記載の食材ばら化装置。
【請求項6】
前記第1回転ローラー、前記第2回転ローラー及び前記第3回転ローラーのうちの少なくとも1以上は、凹凸を含む外周面を有する、
請求項1に記載の食材ばら化装置。
【請求項7】
冷却ゾーンと、前記冷却ゾーンよりも下流に位置する凍結ゾーンとを含む搬送ゾーンにわたって、複数の食材を搬送する搬送装置と、
前記凍結ゾーンにおける雰囲気の温度を、前記凍結ゾーンを搬送される前記複数の食材が凍結される温度に調整する凍結雰囲気生成装置と、
前記冷却ゾーン及び前記凍結ゾーンのうちの少なくともいずれかに設置される請求項1~6のいずれか一項に記載の食材ばら化装置と、を備え、
前記冷却ゾーンには、前記複数の食材を含む食材体が供給され、
前記食材ばら化装置は、少なくとも一部が凍結していない前記食材体を分割する、
食材凍結システム。
【請求項8】
前記凍結ゾーンにおいて、前記搬送装置により搬送される前記複数の食材を相対的に動かすばらけ状態維持装置を備える、
請求項7に記載の食材凍結システム。
【請求項9】
複数の食材を含む食材体を分割してばら化食材を作るばら化食材製造方法であって、
第1回転ローラーと第2回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部により形成される第1ばら化ゾーンにおいて、前記食材体を、正回転方向に回転する前記第1回転ローラー及び逆回転方向に回転する前記第2回転ローラーにより挟むことで分割する工程と、
前記第2回転ローラーと第3回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部により形成される第2ばら化ゾーンにおいて、前記第1ばら化ゾーンから排出される前記食材体の少なくとも一部を、前記第2回転ローラー及び前記第3回転ローラーにより挟むことで分割する工程と、
を含むばら化食材製造方法。
【請求項10】
冷却ゾーンにおいて、複数の食材を冷却する工程と、
凍結ゾーンにおいて、前記複数の食材を凍結する工程と、
請求項9に記載のばら化食材製造方法によって、前記複数の食材を含む食材体を分割してばら化食材を作る工程と、を含み、
前記ばら化食材を作る工程では、少なくとも一部が凍結していない前記食材体を分割する、
凍結食材製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食材ばら化装置、食材凍結システム、ばら化食材製造方法及び凍結食材製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ばら状凍結食品を歩留まり良く衛生的に製造することを目的とした装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-252028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置で利用されているような回転櫛を使って食品のばら化を行う場合、回転櫛の櫛歯によって食品中の食材が破砕されることがある。例えば、米及び具材類を含む米飯食品を回転櫛によってばら化する場合、米及び具材類が回転櫛によって不必要に切断されることがある。
【0005】
食品中の各種食材の形状及び大きさは、食感などの食品のおいしさに影響を与える要素である。そのため食品のばら化処理では、各食材が不必要に破砕されるのを抑えることで、各食材の本来の形状及び本来の大きさを可能な限り維持することが好ましい。
【0006】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、複数の食材を含む食材体をばら化する際に各食材のサイズ及び形状が変わるのを抑えるのに有利な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、複数の食材を含む食材体を分割する食材ばら化装置であって、正回転方向に回転する第1回転ローラーと、第1回転ローラーと対面し、逆回転方向に回転する第2回転ローラーと、第1回転ローラー及び第2回転ローラーに対して相対的に下方に位置する第3回転ローラーと、を備え、第1回転ローラーと第2回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部は、第1ばら化ゾーンを形成し、第2回転ローラーと第3回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部は、第2ばら化ゾーンを形成し、第1ばら化ゾーンに投入された食材体は、第1回転ローラー及び第2回転ローラーによって挟まれることで分割され、第1ばら化ゾーンから排出される食材体の少なくとも一部は、第2ばら化ゾーンにおいて第2回転ローラー及び第3回転ローラーによって挟まれることで分割される、食材ばら化装置に関する。
【0008】
本開示の他の態様は、冷却ゾーンと、冷却ゾーンよりも下流に位置する凍結ゾーンとを含む搬送ゾーンにわたって、複数の食材を搬送する搬送装置と、凍結ゾーンにおける雰囲気の温度を、凍結ゾーンを搬送される複数の食材が凍結される温度に調整する凍結雰囲気生成装置と、冷却ゾーン及び凍結ゾーンのうちの少なくともいずれかに設置される上記の食材ばら化装置と、を備え、冷却ゾーンには、複数の食材を含む食材体が供給され、食材ばら化装置は、少なくとも一部が凍結していない食材体を分割する、食材凍結システムに関する。
【0009】
本開示の他の態様は、複数の食材を含む食材体を分割してばら化食材を作るばら化食材製造方法であって、第1回転ローラーと第2回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部により形成される第1ばら化ゾーンにおいて、食材体を、正回転方向に回転する第1回転ローラー及び逆回転方向に回転する第2回転ローラーにより挟むことで分割する工程と、第2回転ローラーと第3回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部により形成される第2ばら化ゾーンにおいて、第1ばら化ゾーンから排出される食材体の少なくとも一部を、第2回転ローラー及び第3回転ローラーにより挟むことで分割する工程と、を含むばら化食材製造方法に関する。
【0010】
本開示の他の態様は、冷却ゾーンにおいて、複数の食材を冷却する工程と、凍結ゾーンにおいて、複数の食材を凍結する工程と、上記のばら化食材製造方法によって、複数の食材を含む食材体を分割してばら化食材を作る工程と、を含み、ばら化食材を作る工程では、少なくとも一部が凍結していない食材体を分割する、凍結食材製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、複数の食材を含む食材体をばら化する際に各食材のサイズ及び形状が変わるのを抑えるのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、食材凍結システムの一例の概略構成を示す図である。
図2図2は、食材ばら化装置の一例を示す拡大図である。
図3図3は、凍結食材製造方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態について説明する。
【0014】
各図面における各要素の形状及びサイズは図面間で必ずしも厳密には一致せず、要素間の配置関係及び寸法比も図面間で必ずしも厳密には一致しない。また各図面において、各要素の形状及びサイズは必ずしも実物の形状及びサイズとは必ずしも一致せず、要素間の配置関係及び寸法比も実物の配置関係及び寸法比とは必ずしも一致しない。また各要素の形状などの幾何学的条件を表す用語は、必ずしも厳密な意味には限定されない。
【0015】
図1は、食材凍結システム10の一例の概略構成を示す図である。図1には、包囲体20の内側の空間(すなわち第1包囲体20aの内側の冷却ゾーンZc及び第2包囲体20bの内側の凍結ゾーンZf)の状態が透視的に示されている。
【0016】
食材凍結システム10は、複数の食材を冷却して凍結させるシステムである。特に本実施形態の食材凍結システム10は、食材同士が固着した状態で凍結されるのを抑えて、複数の食材をばら化した状態で凍結するのに好適である。
【0017】
ここで言う「複数の食材」は、例えば破砕されることなくお互いに適切に分離可能な複数の固形状食材を全般的に含みうるものであり、単一種類の複数の食材(例えば米)であってもよいし、複数種類の食材(例えば米及び具材(肉や野菜など))であってもよい。このような複数の食材は、固形状食材に加え、液状食材を含んでいてもよい。
【0018】
複数の食材が粘着成分を含む場合、そのような粘着成分を介して食材同士がくっついた状態で複数の食材が凍結しやすい。また水分含有量が多い複数の食材の場合、水分(氷)を介して食材同士がくっついた状態で複数の食材が凍結することがある。ばら化された状態の複数の食材は、食材間の分離が促されて食材同士のくっつきが低減された状態の複数の食材を意味する。
【0019】
本明細書においてそのような複数の食材の一群は、集合的に「食材体」とも呼ばれる。食材体は、全体として塊状を有し、少なくとも一部の食材が隣り合う他の食材とくっついた状態で食材凍結システム10に供給される。ただし、必ずしも食材体中のすべての食材が隣り合う他の食材とくっついていなくてもよい。
【0020】
本開示の技術を適用可能な食材体(複数の食材)は限定されず、例えば炒飯などの米飯食品を食材体(複数の食材)とすることが可能である。
【0021】
図1に示す食材凍結システム10は、搬送装置11、冷却凍結装置12及び食材ばら化装置30を備える。
【0022】
搬送装置11は、搬送ゾーンZtにわたって、複数の食材を搬送する。
【0023】
図1に示す搬送装置11は、相対的に上流側に位置する第1搬送ベルト11aと、相対的に下流側に位置する第2搬送ベルト11bとを含む。第1搬送ベルト11a及び第2搬送ベルト11bは、複数の食材が載せられた状態で、当該複数の食材とともに水平方向(図1において矢印参照)に移動する。図1において簡略的に示される第1搬送ベルト11a及び第2搬送ベルト11bは、任意の構成を有し、例えば無端状ベルトの形態を有することができる。
【0024】
搬送ゾーンZtは、冷却ゾーンZcと、冷却ゾーンZcよりも下流に位置する凍結ゾーンZfとを含む。図1に示す例において、冷却ゾーンZcは第1包囲体20aによって包囲される空間であり、凍結ゾーンZfは第2包囲体20bによって包囲される空間である。
【0025】
図1に示す例において、第1搬送ベルト11aは、第1包囲体20aの外側から第1包囲体20aの内側(冷却ゾーンZc)にわたって延在する。第2搬送ベルト11bは、第1包囲体20aの内側(冷却ゾーンZc)、第2包囲体20bの内側(冷却ゾーンZc)、及び第2包囲体20bの外側にわたって延在する。
【0026】
冷却凍結処理をこれから受ける複数の食材(食材体)は、第1搬送ベルト11aに載せられた状態で第1搬送ベルト11aとともに、第1包囲体20aの外側から第1包囲体20aの内側の冷却ゾーンZcに進入する。冷却凍結装置12において冷却凍結処理を受け終わった複数の食材は、第2搬送ベルト11bに載せられた状態で第2搬送ベルト11bとともに、第2包囲体20bの内側の凍結ゾーンZfから第2包囲体20bの外側に出る。
【0027】
冷却ゾーンZcの雰囲気温度は、第1包囲体20aに設けられる冷却雰囲気生成装置21によってコントロールされる。凍結ゾーンZfの雰囲気温度は、第2包囲体20bに設けられる凍結雰囲気生成装置22によってコントロールされる。
【0028】
冷却ゾーンZcは複数の食材(食材体)を予冷するための空間である。冷却雰囲気生成装置21は、複数の食材が冷却ゾーンZcを移動する間に冷却されて完全には凍結されないが所望温度になるように、冷却ゾーンZcの雰囲気温度をコントロールする。例えば、冷却雰囲気生成装置21は、包囲体20(第1包囲体20a及び第2包囲体20b)の外側の環境温度(例えば常温(5~35℃))よりも低く且つ凍結ゾーンZfの雰囲気温度よりも高い温度に、冷却ゾーンZcの雰囲気温度を調整する。
【0029】
冷却雰囲気生成装置21によって調整される冷却ゾーンZcの雰囲気の具体的な温度は限定されず、搬送装置11によって搬送される複数の食材の凍結温度よりも高い温度であってもよいし、当該複数の食材の一部又は全部を凍結しうる温度であってもよい。一例として、冷却雰囲気生成装置21によってコントロールされる冷却ゾーンZcの温度は、0℃付近の温度(例えば-5℃~5℃程度)であってもよいし、-20℃~0℃(例えば-15℃)であってもよい。
【0030】
このように冷却雰囲気生成装置21は、冷却ゾーンZcの雰囲気温度を、複数の食材を凍結しうる温度に調整してもよく、例えば凍結ゾーンZfの雰囲気温度よりも低い温度に調整してもよい。このように冷却ゾーンZcの雰囲気温度を複数の食材を凍結可能な温度に調整することで、複数の食材を短時間に十分に冷却することが可能である。
【0031】
凍結雰囲気生成装置22は、凍結ゾーンZfにおける雰囲気の温度を、搬送装置11(本例では第2搬送ベルト11b)によって複数の食材が凍結ゾーンZfを搬送される間に当該複数の食材が凍結される温度に調整する。一例として、凍結雰囲気生成装置22によってコントロールされる凍結ゾーンZfの温度は、-15℃~-50℃(例えば-30℃~-40℃程度(例えば-35℃))であってもよい。
【0032】
本明細書において、冷却ゾーンZcにおいて複数の食材が低温状態に調整される処理を冷却処理と呼び、凍結ゾーンZfにおいて複数の食材が凍結するように低温状態に調整される処理を凍結処理と呼び、冷却処理及び凍結処理を包括的に冷却凍結処理と呼ぶ。なお上述のように、冷却ゾーンZcにおける冷却処理は、複数の食材を部分的に凍結させる処理を含みうる。
【0033】
食材ばら化装置30は、冷却ゾーンZcに供給された食材体(特に少なくとも一部(例えば各食材の中心部)が凍結していない食材体)を分割する。食材ばら化装置30による食材体の分割は、食材間同士の分離を目的とした処理であり、各食材の意図しない破損を目的とするものではない。したがって食材ばら化装置30は、食材体中の各食材の本来の形状及び本来のサイズが維持された状態で食材同士が分離されるように、食材体を分割することが好ましい。
【0034】
食材ばら化装置30によって分割された食材体(複数の食材)は、凍結ゾーンZfにおいて、第2搬送ベルト11bによって搬送されつつ凍結処理を受ける。
【0035】
図1に示す食材ばら化装置30は、冷却ゾーンZcにおいて、第1搬送ベルト11aと第2搬送ベルト11bとの間に設置される。具体的には、本例の食材ばら化装置30は、相対的に高く位置づけられる第1搬送ベルト11a(特に搬送下流端部)と、相対的に低く位置づけられる第2搬送ベルト11b(特に搬送上流端部)との間の中間的な高さ位置に、設置される。第1搬送ベルト11aの搬送下流端部から落下した複数の食材(食材体)は、食材ばら化装置30でばら化処理を受け、その後、食材ばら化装置30から第2搬送ベルト11bの搬送上流端部に着地する。
【0036】
なお食材ばら化装置30は、図1に示す形態での設置には限定されず、後述のように、冷却ゾーンZc及び凍結ゾーンZfのうちの少なくともいずれかにおいて、任意の形態で設置可能である。
【0037】
凍結ゾーンZfには、第2搬送ベルト11bにより搬送される複数の食材を相対的に動かすばらけ状態維持装置25が設けられる。ばらけ状態維持装置25の具体的な構成は限定されない。ばらけ状態維持装置25は、例えば、第2搬送ベルト11b上の複数の食材に振動を与える振動装置、及び/又は、第2搬送ベルト11b上の複数の食材に風を吹き付ける風吹き付け装置として構成されてもよい。特に、ばらけ状態維持装置25が第2搬送ベルト11b上の複数の食材に風(例えば凍結温度以下の温度を有する冷風)を吹き付ける場合、複数の食材の凍結を促進できる。
【0038】
図2は、食材ばら化装置30の一例を示す拡大図である。
【0039】
図2に示す食材ばら化装置30は、第1回転ローラー31、第2回転ローラー32及び第3回転ローラー33を有する。
【0040】
第1回転ローラー31は正回転方向Dfに回転し、第2回転ローラー32は逆回転方向Drに回転する。第1回転ローラー31及び第2回転ローラー32はお互いに水平方向に対面する。第1回転ローラー31と第2回転ローラー32との間のスペースの少なくとも一部は、第1ばら化ゾーンZ1を形成する。
【0041】
第3回転ローラー33は、第1回転ローラー31及び第2回転ローラー32に対して相対的に下方に位置し、正回転方向Dfに回転する。本例の第3回転ローラー33は、第1ばら化ゾーンZ1の直下(鉛直方向下向きの位置)に配置され、第1回転ローラー31及び第2回転ローラー32の各々と対面する。第2回転ローラー32と第3回転ローラー33との間のスペースの少なくとも一部は、第2ばら化ゾーンZ2を形成する。第1回転ローラー31と第3回転ローラー33との間のスペースの少なくとも一部は、第3ばら化ゾーンZ3を形成する。図2に示す例において、第2回転ローラー32は第1回転ローラー31に対して下流側に位置し、第2ばら化ゾーンZ2は第3ばら化ゾーンZ3に対して下流側に位置する。
【0042】
第1搬送ベルト11a(図1参照)から第1ばら化ゾーンZ1に投入された食材体Fは、第1ばら化ゾーンZ1において第1回転ローラー31及び第2回転ローラー32により挟まれることで分割される。
【0043】
第1ばら化ゾーンZ1から排出される食材体Fの少なくとも一部は、第2ばら化ゾーンZ2において第2回転ローラー32及び第3回転ローラー33により挟まれることで分割される。また第1ばら化ゾーンZ1から排出される食材体Fの他の部分は、第3ばら化ゾーンZ3において第1回転ローラー31及び第3回転ローラー33により挟まれることで分割される。このように食材体Fは、第1ばら化ゾーンZ1から排出された後、第2ばら化ゾーンZ2及び第3ばら化ゾーンZ3のいずれか一方を通って更に分割される。
【0044】
第2ばら化ゾーンZ2及び第3ばら化ゾーンZ3から排出された複数の食材は、ばら化された状態で、第2搬送ベルト11b(図1参照)に向かって落下する。
【0045】
上述の構成を有する食材ばら化装置30において、第1回転ローラー31、第2回転ローラー32及び第3回転ローラー33の相互間の間隔は、食材体Fに応じて適宜調整可能である。
【0046】
例えば第2ばら化ゾーンZ2を区画する第2回転ローラー32の部分と第3回転ローラー33の部分との間の最小クリアランスを、第1ばら化ゾーンZ1を区画する第1回転ローラー31の部分と第2回転ローラー32の部分との間の最小クリアランス以下にしうる。
【0047】
なお「第1ばら化ゾーンZ1を区画する第1回転ローラー31の部分」は、図2において符号「31z1」で示される。また「第1ばら化ゾーンZ1を区画する第2回転ローラー32の部分」は、図2において符号「32z1」で示される。
【0048】
特に第1ばら化ゾーンZ1の最小クリアランスを第2ばら化ゾーンZ2の最小クリアランスよりも大きくすることで、第1ばら化ゾーンZ1で相対的に大きな食材体Fを分割した後に、第2ばら化ゾーンZ2で相対的に小さな食材体Fを分割できる。このように食材体Fの分割サイズを段階的に小さくすることは、各食材の意図しない破砕を抑えつつ、食材体Fを適切に分割するのに有利である。
【0049】
また第3ばら化ゾーンZ3を区画する第1回転ローラー31の部分と第3回転ローラー33の部分との間の最小クリアランスを、第2ばら化ゾーンZ2を区画する第2回転ローラー32の部分と第3回転ローラー33の部分との間の最小クリアランス以下にしうる。
【0050】
特に、第2ばら化ゾーンZ2の最小クリアランスを第3ばら化ゾーンZ3の最小クリアランスよりも大きくすることで、第1ばら化ゾーンZ1から供給される食材体Fを第2ばら化ゾーンZ2に誘導するのに有利である。複数の食材を上流から下流に向けて効率的に搬送する観点からは、第1ばら化ゾーンZ1から排出される食材体Fは、相対的に上流側に位置する第3ばら化ゾーンZ3にではなく、相対的に下流側に位置する第2ばら化ゾーンZ2に誘導されるのが好ましい。
【0051】
第1回転ローラー31、第2回転ローラー32及び第3回転ローラー33の相互間の間隔は、例えば各食材の意図しない破砕を低減する観点から、0mmよりも大きく、且つ、食材体F中の複数の食材の最大サイズの60%以上が望ましいことがある。
【0052】
例えば食材体F中の複数の食材が、種類の異なる複数の食材種に分類される場合、ばら化ゾーンの間隔は以下のように定められてもよい。
【0053】
また各回転ローラー31、32、33の回転速度は適宜調整可能である。例えば食材体F、各ばら化ゾーンZ1、Z2、Z3のクリアランス(特に最小クリアランス)、及び/又は各回転ローラー31、32、33の外周面特性に応じて、各回転ローラー31、32、33の回転速度が調整されてもよい。
【0054】
すべての回転ローラー31、32、33の回転速度は相互に同じであってもよいし、第1回転ローラー31、第2回転ローラー32及び第3回転ローラー33のうちの少なくとも2以上の回転速度が相互に異なっていてもよい。例えば第1回転ローラー31及び第2回転ローラー32を同じ速度で回転させつつ、第3回転ローラー33を、第1回転ローラー31及び第2回転ローラー32とは異なる速度で回転させてもよい。また第1回転ローラー31及び第3回転ローラー33を同じ速度で回転させつつ、第2回転ローラー32を、第1回転ローラー31及び第3回転ローラー33とは異なる速度で回転させてもよい。また第2回転ローラー32及び第3回転ローラー33を同じ速度で回転させつつ、第1回転ローラー31を、第2回転ローラー32及び第3回転ローラー33とは異なる速度で回転させてもよい。一例として、第1回転ローラー31及び第2回転ローラー32の回転速度を相対的に低速に設定しつつ、第3回転ローラー33の回転速度を相対的に高速に設定してもよい。
【0055】
回転速度が異なる回転ローラーのペアによってばら化ゾーンが構成される場合、概して、当該回転ローラー間の回転速度差が大きくなるほど、当該ばら化ゾーンで食材体F(複数の食材)が受けるせん断力(すなわち分割力)が増大する傾向が見られる。本発明者は試行錯誤の結果、食材体Fの分割を適切且つ効率的に行う観点から、ばら化ゾーンを構成するローラー間の回転速度比の絶対値が「1」よりも大きく且つ「7」以下であることが好ましく、例えば「4」以上且つ「6」以下であってもよいことを見出した。
【0056】
また各回転ローラー31、32、33の外周面(特に各ばら化ゾーンZ1、Z2、Z3を区画しうる外周面)の特性は限定されない。第1回転ローラー31、第2回転ローラー32及び第3回転ローラー33のうちの少なくとも1以上は、凹凸(例えば溝)を含む外周面を有してもよい。回転ローラーの外周面が凹凸を有する場合、対応のばら化ゾーンに最小クリアランスよりも大きな食材が進入しても、当該食材が凹部にはまり込んで破損することなく当該ばら化ゾーンを通過しうる。また回転ローラーの外周面に形成される凹凸の形状(特に方向性)を工夫することで、対応のばら化ゾーンにおいて食材体Fを効果的に下流に送り出すことが可能であり、対応のばら化ゾーンにおける食材の停滞を低減できる。
【0057】
各回転ローラー31、32、33の外周面は、食材体F(各食材)の付着を抑える観点から、食材体F(各食材)に対して優れた剥離性を示すことが好ましい。各回転ローラー31、32、33の外周面は、本来的に高い剥離性を示す材料(例えばテフロン(登録商標):ポリテトラフルオロエチレン)により構成されてもよいし、表面処理された金属などの材料により構成されてもよい。
【0058】
各回転ローラー31、32、33の外周面に凹凸が設けられる場合、食材体F中の各食材の凹凸部における捕捉を抑えるのに有利な凹凸形状及び凹凸サイズを、各回転ローラー31、32、33が有することが好ましい。一例として食材体F中の各食材(例えば最小体積及び/又は最小サイズの食材)よりも小さな体積及び/又はサイズ(例えば3mm以下)を、凹部及び/又は凸部が有するように、各回転ローラー31、32、33の凹凸形状及び凹凸サイズが決められてもよい。また各回転ローラー31、32、33の外周面(凹凸面を含む)は、滑らかな表面形状を有することが好ましい。
【0059】
次に、上述の食材凍結システム10(図1参照)による凍結食材製造方法の一例、及び、上述の食材ばら化装置30(図2参照)によるばら化食材製造方法の一例について説明する。
【0060】
図3は、凍結食材製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0061】
本例では、まず、図1に示す第1搬送ベルト11aに食材体F(複数の食材)が供給される。食材体Fは、その後、第1搬送ベルト11aによって冷却ゾーンZcに搬送され、冷却ゾーンZcにおいて冷却される(図3のS1:冷却工程)。これにより、食材体Fは予冷される。
【0062】
その後、食材体Fは、第1搬送ベルト11aの搬送下流端部から食材ばら化装置30に向けて落下する。そして食材体Fは、少なくとも一部が凍結していない状態で、食材ばら化装置30によって分割され、ばら化された複数の食材(すなわち「ばら化食材」)を作るばら化処理(分割処理)が行われる(S2:食材ばら化工程)。
【0063】
本実施形態の食材ばら化工程では、経時的に2つの段階(第1分割処理段階及び第2分割処理段階)にわたって食材体Fのばら化処理が行われる。すなわち食材体Fは、まず第1ばら化ゾーンZ1において第1回転ローラー31及び第2回転ローラー32に挟まれることで分割される(第1分割処理段階)。
【0064】
第1ばら化ゾーンZ1を区画する第1回転ローラー31及び第2回転ローラー32の部分(図2の第1ばら化ゾーン区画部31z1、32z1参照)は、第3回転ローラー33に近づく方向に移動する。したがって第1ばら化ゾーンZ1に投入された食材体Fは、第1回転ローラー31及び第2回転ローラー32により、分割処理(第1分割処理)を受けつつ第3回転ローラー33に向けて積極的に送り出される。
【0065】
そして食材体Fは、第2ばら化ゾーンZ2において第2回転ローラー32及び第3回転ローラー33に挟まれることで、又は、第3ばら化ゾーンZ3において第1回転ローラー31及び第3回転ローラー33に挟まれることで、更に分割される(第2分割処理段階)。具体的には、第1ばら化ゾーンZ1から排出された食材体F(複数の食材)は、第3回転ローラー33上に落下し、少なくとも一部分が第2ばら化ゾーンZ2に進入して分割され、他の部分が第3ばら化ゾーンZ3に進入して分割される。
【0066】
第2ばら化ゾーンZ2及び第3ばら化ゾーンZ3の最小クリアランスを、第1ばら化ゾーンZ1の最小クリアランスよりも小さくすることで、食材体Fを段階的に徐々に小さく分割することができ、食材体F中の各食材の意図しない破損を効果的に低減しうる。
【0067】
そして第2ばら化ゾーンZ2及び第3ばら化ゾーンZ3から排出された複数の食材は、ばら化された状態で落下して第2搬送ベルト11b(図1参照)上に着地する。その後、複数の食材は、第2搬送ベルト11bによって搬送され、凍結ゾーンZfにおいて、ばらけ状態維持装置25によってお互いに相対的に動かされてばら化が促されながら、凍結される(S3:凍結工程)。
【0068】
その後、凍結された複数の食材は、第2搬送ベルト11bによって更に下流に送られる。
【0069】
以上説明したように本実施形態によれば、食材体F(複数の食材)は、第1ばら化ゾーンZ1で回転ローラー31、32によってばら化された後、第2ばら化ゾーンZ2及び第3ばら化ゾーンZ3において回転ローラー31、32、33によって更にばら化される。このように回転ローラー31、32、33間の挟み込む力を利用して食材体Fをばら化(分割)することは、食材体Fをばら化する際に各食材のサイズ及び形状が変わるのを抑えるのに有利である。このように各食材の不必要な破砕を抑えることで各食材の本来の形状及び本来の大きさが維持された食品は、食感などのおいしさについての評価が良くなることが期待できる。したがって本実施形態に係る技術を利用して食品を製造することは、そのような食品に関する商品としての付加価値を向上させることにつながり、持続可能な開発目標(SDGs)の実現の観点からも有利である。
【0070】
また本実施形態によれば、食材体F(複数の食材)は、予冷処理(冷却工程)、ばら化処理(食材ばら化工程)及び凍結処理(凍結工程)を、この順番で受ける。これにより複数の食材は、予冷後(ただし完全に凍結される前)にばら化され、ばら化された後に凍結処理を受けることができる。その結果、複数の食材はほぐされた状態で完全に凍結される。特に、予冷によって隣り合う食材間における粘着性が低減された後に、ばら化処理を行うことで、ばら化の処理効率を高めることができ、またばら化処理後の食材間のくっつき(再固着)を抑えることができる。
【0071】
複数の食材が高温状態でばら化処理を受けると、ばら化処理後の凍結工程で当該複数の食材が完全に凍結されるまでの間に食材の再固着が生じる可能性が高くなりうるとともに、複数の食材の凍結に要する時間及び凍結ゾーンZfの長大化を招く。
【0072】
ばら化の処理効率及びばら化処理後の食材間の再固着の抑制の観点から、食材ばら化装置30によってばら化処理を受ける食材(例えば米飯食品)は、-5℃~15℃(例えば-3℃~10℃(例えばチルド温度(0~5℃)))を有することが好ましい場合がある。特に、ばら化処理を受ける複数の食材が部分的に凍結している場合(ただし完全には凍結されていない場合)、食材体F中の個々の食材の強度が増大し、ばら化処理において各食材の本来の形状を維持しつつ食材体Fの分割を適切に行うのに有利なことがある。
【0073】
[変形例]
冷却ゾーンZc及び凍結ゾーンZfは、お互いに物理的に分離された別空間として設けられてもよいし、一体的な単一空間の上流側部分が冷却ゾーンZcとして利用されつつ、下流側部分が凍結ゾーンZfとして利用されてもよい。
【0074】
また上述の図1に示す例では、冷却ゾーンZcの全体に対応する箇所に冷却雰囲気生成装置21が設けられ、凍結ゾーンZfの全体に対応する箇所に凍結雰囲気生成装置22が設けられるが、これには限定されない。例えば、冷却雰囲気生成装置21は、冷却ゾーンZcの一部にのみ対応する箇所に設けられてもよいし、凍結雰囲気生成装置22は、凍結ゾーンZfの一部にのみ対応する箇所に設けられてもよい。
【0075】
また冷却ゾーンZc及び凍結ゾーンZfの雰囲気温度は、お互いに別個の装置(図1の冷却雰囲気生成装置21及び凍結雰囲気生成装置22参照)によってコントロールされてもよいし、単一の装置によってコントロールされてもよい。例えば、単一の包囲体20によって形成される単一の内側空間の下流側に凍結雰囲気生成装置22を設置しつつ、当該内側空間の上流側には雰囲気温度をコントロールする装置(冷却雰囲気生成装置21参照)が設けられなくてもよい。この場合、凍結雰囲気生成装置22は、包囲体20の内側空間の下流側から上流側に冷気を移動させることで、当該内側空間の上流から下流に向けて徐々に温度が低下するように雰囲気温度に勾配を持たせることができる。
【0076】
また食材ばら化装置30は、上述の実施形態では冷却ゾーンZcに設けられて凍結工程の開始に先立ってばら化処理を行うが、凍結ゾーンZfに設けられてもよい。この場合、食材ばら化装置30は、凍結工程の開始後であって複数の食材が完全に凍結する前に(すなわち凍結工程の最中に)、ばら化処理を行う。
【0077】
また食材ばら化装置30は、上述の例では3つのばら化ゾーンZ1、Z2、z3を構成する3つのローラー31、32、33を備えるが、ばら化ゾーン及びそのようなばら化ゾーンを構成するローラーの数及び配置は限定されない。例えば食材ばら化装置30は、複数のばら化ゾーンを構成する4つ以上の回転ローラーを具備してもよい。
【0078】
また冷却凍結装置12(例えば包囲体20(第1包囲体20a及び第2包囲体20b、冷却雰囲気生成装置21及び/又は凍結雰囲気生成装置22))は、搬送装置11(第1搬送ベルト11a及び第2搬送ベルト11b)に対して取り外し可能に設けられてもよい。
【0079】
本明細書で開示されている実施形態及び変形例はすべての点で例示に過ぎず限定的には解釈されないことに留意されるべきである。上述の実施形態及び変形例は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態での省略、置換及び変更が可能である。例えば上述の実施形態及び変形例が全体的に又は部分的に組み合わされてもよく、また上述以外の実施形態が上述の実施形態又は変形例と組み合わされてもよい。また、本明細書に記載された本開示の効果は例示に過ぎず、その他の効果がもたらされてもよい。
【0080】
上述の技術的思想を具現化する技術的カテゴリーは限定されない。例えば上述の装置を製造する方法或いは使用する方法に含まれる1又は複数の手順(ステップ)をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムによって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。またそのようなコンピュータプログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な非一時的(non-transitory)な記録媒体によって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。
【0081】
[付記]
上述からも明らかなように、本開示は以下の態様を含む。
【0082】
[態様1]
複数の食材を含む食材体を分割する食材ばら化装置であって、
正回転方向に回転する第1回転ローラーと、
前記第1回転ローラーと対面し、逆回転方向に回転する第2回転ローラーと、
前記第1回転ローラー及び前記第2回転ローラーに対して相対的に下方に位置する第3回転ローラーと、を備え、
前記第1回転ローラーと前記第2回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部は、第1ばら化ゾーンを形成し、
前記第2回転ローラーと前記第3回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部は、第2ばら化ゾーンを形成し、
前記第1ばら化ゾーンに投入された前記食材体は、前記第1回転ローラー及び前記第2回転ローラーによって挟まれることで分割され、
前記第1ばら化ゾーンから排出される前記食材体の少なくとも一部は、前記第2ばら化ゾーンにおいて前記第2回転ローラー及び前記第3回転ローラーによって挟まれることで分割される、
食材ばら化装置。
【0083】
[態様2]
前記第3回転ローラーは、正回転方向に回転する、
態様1に記載の食材ばら化装置。
【0084】
[態様3]
前記第2ばら化ゾーンを区画する前記第2回転ローラーの部分と前記第3回転ローラーの部分との間の最小クリアランスは、前記第1ばら化ゾーンを区画する前記第1回転ローラーの部分と前記第2回転ローラーの部分との間の最小クリアランス以下である、
態様1又は2に記載の食材ばら化装置。
【0085】
[態様4]
前記第3回転ローラーは、前記第1回転ローラー及び前記第2回転ローラーの各々と対面し、
前記第1回転ローラーと前記第3回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部は、第3ばら化ゾーンを形成し、
前記第3ばら化ゾーンを区画する前記第1回転ローラーの部分と前記第3回転ローラーの部分との間の最小クリアランスは、前記第2ばら化ゾーンを区画する前記第2回転ローラーの部分と前記第3回転ローラーの部分との間の最小クリアランス以下である、
態様1~3のいずれかに記載の食材ばら化装置。
【0086】
[態様5]
前記第1回転ローラー、前記第2回転ローラー及び前記第3回転ローラーのうちの少なくとも2以上の回転速度は相互に異なる、
態様1~4のいずれかに記載の食材ばら化装置。
【0087】
[態様6]
前記第1回転ローラー、前記第2回転ローラー及び前記第3回転ローラーのうちの少なくとも1以上は、凹凸を含む外周面を有する、
態様1~5のいずれかに記載の食材ばら化装置。
【0088】
[態様7]
冷却ゾーンと、前記冷却ゾーンよりも下流に位置する凍結ゾーンとを含む搬送ゾーンにわたって、複数の食材を搬送する搬送装置と、
前記凍結ゾーンにおける雰囲気の温度を、前記凍結ゾーンを搬送される前記複数の食材が凍結される温度に調整する凍結雰囲気生成装置と、
前記冷却ゾーン及び前記凍結ゾーンのうちの少なくともいずれかに設置される態様1~7のいずれか一項に記載の食材ばら化装置と、を備え、
前記冷却ゾーンには、前記複数の食材を含む食材体が供給され、
前記食材ばら化装置は、少なくとも一部が凍結していない前記食材体を分割する、
食材凍結システム。
【0089】
[態様8]
前記凍結ゾーンにおいて、前記搬送装置により搬送される前記複数の食材を相対的に動かすばらけ状態維持装置を備える、
態様7に記載の食材凍結システム。
【0090】
[態様9]
複数の食材を含む食材体を分割してばら化食材を作るばら化食材製造方法であって、
第1回転ローラーと第2回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部により形成される第1ばら化ゾーンにおいて、前記食材体を、正回転方向に回転する前記第1回転ローラー及び逆回転方向に回転する前記第2回転ローラーにより挟むことで分割する工程と、
前記第2回転ローラーと第3回転ローラーとの間のスペースの少なくとも一部により形成される第2ばら化ゾーンにおいて、前記第1ばら化ゾーンから排出される前記食材体の少なくとも一部を、前記第2回転ローラー及び前記第3回転ローラーにより挟むことで分割する工程と、
を含むばら化食材製造方法。
【0091】
[態様10]
冷却ゾーンにおいて、複数の食材を冷却する工程と、
凍結ゾーンにおいて、前記複数の食材を凍結する工程と、
態様10に記載のばら化食材製造方法によって、前記複数の食材を含む食材体を分割してばら化食材を作る工程と、を含み、
前記ばら化食材を作る工程では、少なくとも一部が凍結していない前記食材体を分割する、
凍結食材製造方法。
【符号の説明】
【0092】
10 食材凍結システム
11 搬送装置
11a 第1搬送ベルト
11b 第2搬送ベルト
12 冷却凍結装置
20 包囲体
20a 第1包囲体
20b 第2包囲体
21 冷却雰囲気生成装置
22 凍結雰囲気生成装置
25 ばらけ状態維持装置
30 食材ばら化装置
31 第1回転ローラー
31z1 第1ばら化ゾーン区画部
32 第2回転ローラー
32z1 第1ばら化ゾーン区画部
33 第3回転ローラー
Df 正回転方向
Dr 逆回転方向
F 食材体
Z1 第1ばら化ゾーン
Z2 第2ばら化ゾーン
Z3 第3ばら化ゾーン
Zc 冷却ゾーン
Zf 凍結ゾーン
Zt 搬送ゾーン
図1
図2
図3