(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078079
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】データ処理システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20240603BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20240603BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20240603BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
G08B25/00 510A
G08B17/00 C
H04M11/04
H04M11/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190418
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 隆晴
(72)【発明者】
【氏名】片岡 洋子
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
5K201
【Fターム(参考)】
5C087AA05
5C087AA21
5C087BB20
5C087DD04
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG07
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG20
5C087GG66
5C087GG84
5G405AD01
5G405BA08
5G405CA51
5K201AA07
5K201BA03
5K201CA07
5K201CB13
5K201CC01
5K201CC04
5K201DC04
5K201EC06
5K201ED04
5K201ED09
(57)【要約】
【課題】管理領域において火災警報器により火災が検知された場合、管理領域を管理するユーザが適したアクションを実行できるようにする。
【解決手段】本開示の一実施形態であるサーバ装置20は、記憶手段として機能する記憶装置230、受信手段210b、及び通知手段210dを備える。記憶手段は、ユーザの管理領域内において火災が発生した場合にユーザが端末装置を用いて実行可能なアクションの選択肢を各々示す1以上のアクション選択肢を記憶する。受信手段210bは、管理領域内に設置されている火災警報器から火災を検知したことを示す火災検知データを受信する。通知手段210dは、火災検知データを受信した場合、記憶手段に記憶されている選択肢をユーザに通知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの管理領域内において火災が発生した場合に前記ユーザが自分の使用する端末装置を用いて実行可能なアクションの選択肢を各々示す1以上のアクション選択肢データを記憶する記憶手段と、
前記管理領域内に設置されている火災警報器から火災を検知したことを示す火災検知データを受信する受信手段と、
前記受信手段が火災検知データを受信した場合、前記記憶手段が記憶している1以上のアクション選択肢データが示すアクションの選択肢を前記ユーザに通知する通知手段と
を備えるデータ処理システム。
【請求項2】
前記記憶手段は、各々が異なる管理領域を管理する複数のユーザの各々に関し当該ユーザに応じた1以上のアクション選択肢データを記憶し、
前記通知手段は、前記受信手段が受信した火災検知データの送信元の火災警報器に応じたユーザに対し、当該ユーザに応じて前記記憶手段が記憶している1以上のアクション選択肢データが示すアクションの選択肢を通知する
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記記憶手段は、各々が同一の管理領域を管理する複数のユーザの各々に関し当該ユーザに応じた1以上のアクション選択肢データを記憶し、
前記受信手段が火災検知データを受信した場合、前記通知手段は前記複数のユーザの各々に関し、当該ユーザに応じて前記記憶手段が記憶している1以上のアクション選択肢データが示すアクションの選択肢を通知する
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記ユーザにより入力されたデータであるユーザ入力データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得したユーザ入力データに基づき、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢、又は、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢の優先順位を決定する決定手段と
を備える請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項5】
前記管理領域内に設置され、前記ユーザが使用する端末装置と通信可能な装置と当該端末装置が通信接続するための情報を示す装置通信接続用データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した装置通信接続用データに基づき、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢、又は、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢の優先順位を決定する決定手段と
を備える請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項6】
前記ユーザ又は前記ユーザの関係者の現在位置を示す位置データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した位置データに基づき、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢、又は、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢の優先順位を決定する決定手段と
を備える請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項7】
現在時刻を示す現在時刻データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した現在時刻データに基づき、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢、又は、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢の優先順位を決定する決定手段と
を備える請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項8】
前記管理領域内に複数の火災警報器が設置されている場合、
前記受信手段が受信した火災検知データの送信元の火災警報器の前記管理領域内における設置場所を示す設置場所データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した設置場所データに基づき、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢、又は、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢の優先順位を決定する決定手段と
を備える請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項9】
前記管理領域内に複数の火災警報器が設置されている場合、
前記受信手段が受信した火災検知データの送信元の火災警報器の数を示す火災検知数データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した火災検知数データに基づき、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢、又は、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢の優先順位を決定する決定手段と
を備える請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項10】
前記火災警報器が火災の検知に用いたセンサの測定値を示す測定値データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した測定値データに基づき、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢、又は、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢の優先順位を決定する決定手段と
を備える請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項11】
前記決定手段は、機械学習モデルによって、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢、又は、前記通知手段が前記ユーザに通知するアクションの選択肢の優先順位を決定する
請求項4乃至10の何れか1項に記載のデータ処理システム。
【請求項12】
ユーザが使用するコンピュータに、
前記ユーザの管理領域内において火災が発生した場合に前記ユーザが前記コンピュータを用いて実行可能なアクションの選択肢を各々示す1以上のアクション選択肢データを記憶する第1処理と、
前記管理領域内に設置されている火災警報器から火災を検知したことを示す火災検知データを受信した場合、前記1以上のアクション選択肢データが示すアクションの選択肢を前記ユーザに通知する第2処理と、
前記ユーザが通知された1以上のアクションの選択肢の中から何れかのアクションを選択する操作を行った場合、前記ユーザが選択したアクションを実行可能とする第3処理と
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、火災の警報を行うデータ処理システム、及びプログラム、に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、住宅において火災が発生し、住宅内に設置されている火災警報器がその火災を検知して発音等により警報を行う場合、住人が在宅していれば、住人は、火災の発生の状況を確認し、自ら消火を行ったり、消防署へ電話をしたり、といった適切なアクションを実行することができる。
【0003】
しかしながら、住人が外出中に住宅において火災が発生した場合、住人は、火災警報器が行う警報を認識できず、発生した火災に対し適切なアクションを実行することはできない。
【0004】
上記の課題を解決するための発明として、例えば特許文献1には、住宅内で火災の発生が検知された場合、ユーザが使用する携帯電話に火災警報が通知され、携帯電話がその通知に応じて、自宅、消防署、又は警察署といった所定の連絡先に通話発呼するためのボタンを表示し、ユーザがそれらのボタンの何れかに対する操作を行うと、携帯電話が、ユーザの操作に応じた連絡先に発呼を行う、という仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の発明によれば、外出中の住人が自分の自宅等において火災が発生した際に、その発生を知ることができるだけでなく、速やかに消防署等に電話をかけることができる。ただし、外出時に自宅等において火災が発生した場合、その人がとるべきアクションは、その人の置かれている状況等によって異なることが多い。特許文献1に記載の発明による場合、火災が検知された際、ユーザには自宅、又は消防署等の固定された連絡先へ電話をかける、という選択肢しか提示されない。そのため、必ずしも火災の検知を通知された人は、最適なアクションを速やかにとることができない、という課題がある。
【0007】
本開示は、上記の事情に鑑み、ユーザの管理領域において火災警報器により火災の発生が検知された場合、従来技術による場合と比較し、ユーザがより適したアクションを実行できるようにする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、ユーザの管理領域内において火災が発生した場合に前記ユーザが自分の使用する端末装置を用いて実行可能なアクションの選択肢を各々示す1以上のアクション選択肢データを記憶する記憶手段と、前記管理領域内に設置されている火災警報器から火災を検知したことを示す火災検知データを受信する受信手段と、前記受信手段が火災検知データを受信した場合、前記記憶手段が記憶している1以上のアクション選択肢データが示すアクションの選択肢を前記ユーザに通知する通知手段とを備えるデータ処理システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、管理領域における火災の発生が検知された場合、ユーザに応じた1以上のアクション選択肢がユーザに通知されるので、従来技術による場合と比較し、ユーザはより適したアクションを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態によるデータ処理システム1の構成例を示す図である。
【
図2】データ処理システム1に含まれるサーバ装置20の構成例を示す図である。
【
図3】サーバ装置20の記憶装置230に記憶されるユーザテーブルTBL1の構成例を示す図である。
【
図4】サーバ装置20の記憶装置230に記憶されるグループテーブルTBL2の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<A:実施形態>
図1は、本開示の一実施形態によるデータ処理システム1の構成例を示す図である。データ処理システム1は、管理領域において火災が発生した場合に警報を行うシステムである。データ処理システム1は、サーバ装置20と、各々サーバ装置20と通信する端末装置30X及び端末装置30Yとを含む。
【0012】
管理領域には、火災警報器10A、火災警報器10B、火災警報器10C及び火災警報器10Dが設置される。本実施形態における管理領域は住宅40である。
図1に示されるように住宅40は2階建て家屋である。住宅40の1階には部屋410C及び部屋410Dがあり、住宅40の2階には部屋410A及び部屋410Bがある。
図1に示される例では、部屋410A及び部屋410Dは住宅40の中心から見て西側の部屋であり、部屋410B及び部屋410Cは住宅40の中心から見て東側の部屋である。火災警報器10Aは部屋410Aに、火災警報器10Bは部屋410Bに、火災警報器10Cは部屋410Cに、火災警報器10Dは部屋410Dに夫々設置される。
【0013】
以下では、火災警報器10A、火災警報器10B、火災警報器10C及び火災警報器10Dの各々を区別する必要がない場合には、火災警報器10A、火災警報器10B、火災警報器10C及び火災警報器10Dは火災警報器10と称される場合がある。同様に、部屋410A、部屋410B、部屋410C及び部屋410Dの各々を区別する必要がない場合、部屋410A、部屋410B、部屋410C及び部屋410Dは部屋410と称される場合がある。
【0014】
火災警報器10は、管理領域に設置される無線中継装置50を介してインターネット経由でサーバ装置20と通信する。無線中継装置50の具体例としては、Wi-Fi(登録商標)無線ルータが挙げられる。
図1に示す例では、無線中継装置50が部屋410Dに設置されているが、無線中継装置50は管理領域内に設置されていればよく、その設置先は部屋410A、部屋410B又は部屋410Cであってもよい。火災警報器10と無線中継装置50との間に無線通信接続を確立する作業は、周知の方法による。例えば、火災警報器10と無線中継装置50の各々がWPSボタン等の所定のボタンを備える場合、ユーザはそれらのボタンを押すことにより、火災警報器10と無線中継装置50との間の無線通信接続を確立させることができる。
【0015】
火災警報器10が火災を検知した場合、火災警報器10は、自装置を一意に識別するための識別情報である火災警報器IDと火災を検知したことを示す火災検知データとをサーバ装置20へ送信する。なお、近年では、火災警報器における火災の検知方式として煙式と熱式とが主流となっている。煙式の火災警報器は、通気口を有し、通気口から取り込んだ空気内の煙の粒子の量を例えば光センサを用いて検知することにより、火災の発生を検知する。熱式の火災警報器は、取り込んだ空気の温度を測定することで火災の発生を検知する。火災警報器10における火災の検知方式は、煙式、熱式、それ以外、それらの2以上の組合せのいずれであってもよい。
【0016】
端末装置30Xは、ユーザUXの携帯するスマートフォンであり、端末装置30YはユーザUYの携帯するスマートフォンである。ユーザUX及びユーザUYは、住宅40に居住する家族の構成員である。つまり、ユーザUX及びユーザUYにとって、住宅40は自宅である。
図1に示される例では、ユーザUXは外出中であり、ユーザUYは部屋410Cに在室中、即ち自宅に在宅中である。以下では、端末装置30Xと端末装置30Yとを区別する必要がない場合には、端末装置30X及び端末装置30Yは端末装置30と表記される。同様に、ユーザUXとユーザUYとを区別する必要がない場合には、ユーザUX及びユーザUYはユーザUと称される場合がある。
【0017】
端末装置30は、移動体通信網を介して他の装置と通話通信を行うことができる。なお、
図1では、移動体通信網の図示は省略されている。端末装置30は、GNSS(Global Navigation Satellite System)により自装置の現在位置(換言すれば自装置を携帯するユーザUの現在位置)を測定する。端末装置30では、本開示に係るプログラム(以下、「専用アプリ」)が実行中であり、端末装置30を携帯するユーザUはサーバ装置20にログインしている。サーバ装置20は、端末装置30を携帯しているユーザUに対して当該端末装置30経由で各種通知を行う。
【0018】
図2は、サーバ装置20の構成例を示す図である。
図2に示されるように、サーバ装置20は、処理装置210、通信装置220、及び記憶装置230を有する。通信装置220及び記憶装置230の各々はバスを介して処理装置210とのデータの授受を行う。
図2では、バスの図示は省略されている。
【0019】
処理装置210は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory) 、RAM(Random Access Memory)を有し、記憶装置230に記憶されているプログラムPをCPUが読み出して実行することによりサーバ装置20の制御中枢として機能する。以下では、プログラムPをCPUに実行させている状態の処理装置210は、プログラムPに従って作動している処理装置210と称される。通信装置220は、通信網に接続する通信回路である。サーバ装置20は、通信装置220により、通信網に接続された他の装置、即ち火災警報器10又は端末装置30と通信する。
【0020】
記憶装置230は、半導体メモリ(ソリッドステートドライブ)やハードディスクドライブ等であり、処理装置210のCPUに読み込まれる各種のプログラム、データ等を記憶する。記憶装置230に記憶されている各種のプログラムの一例としては、プログラムPの他に、処理装置210にOS(Operating System)を実現させるカーネルプログラムが挙げられる。なお、記憶装置230に記憶されている各種のプログラムのうち、プログラムP以外のプログラムの図示は省略されている。また、記憶装置230に記憶されるデータの具体例としては、ユーザテーブルTBL1及びグループテーブルTBL2が挙げられる。記憶装置230は、本開示における記憶手段の一例である。
【0021】
図3は、サーバ装置20の記憶装置230に記憶されるユーザテーブルTBL1の構成例を示す図である。ユーザテーブルTBL1には、ユーザUを一意に識別する識別情報であるユーザIDに対応付けてパスワード、電話番号、及び現在位置の各データが格納される。パスワードは、ユーザIDにより識別されるユーザUの本人確認をするための認証情報である。電話番号は、ユーザIDにより識別されるユーザUの携帯電話の電話番号ある。ユーザIDにより識別されるユーザUの携帯電話は当該ユーザUにより携帯される端末装置30と一体でもよい。現在位置は、ユーザIDにより識別されるユーザUの現在位置、即ち当該ユーザUの携帯する端末装置30の現在位置(具体的には、GNSSの測定値である緯度及び経度)である。
【0022】
グループテーブルTBL2には、データ処理システム1を利用している複数のグループの各々に関するデータが格納される。グループとは、例えば、同じ住宅に住んでいる家族等のことである。本実施形態では、ユーザUXとユーザUYとは同じグループに属する。
図4は、サーバ装置20の記憶装置230に記憶されるグループテーブルTBL2の構成例を示す図である。グループテーブルTBL2には、グループを一意に識別する識別情報であるグループIDに対応付けて、管理領域位置、所属ユーザID、火災警報器のID並びに設置場所、及びアクションの選択肢並び優先順位の各々を表すデータが格納される。アクションの選択肢を表すデータは本開示におけるアクション選択肢データの一例である。
【0023】
管理領域位置は、グループIDの示すグループに対応する管理領域の位置(緯度及び経度)を示す。所属ユーザIDは、グループIDの示すグループに所属する1以上のユーザの各々のユーザIDである。従って、グループテーブルTBL2には、1つのグループIDに対応付けて1又は複数のユーザIDが格納される。火災警報器のID(以下、火災警報器ID)は、グループIDの示すグループに対応する管理領域に配置されている火災警報器10を識別する識別情報である。設置場所は、管理領域内における、火災警報器10の設置場所を示す。設置場所の具体例としては「2階西」又は「1階東」等が挙げられる。グループテーブルTBL2には、1つのグループIDに対応付けて、火災警報器IDと設置場所との組みが1又は複数格納される。
【0024】
選択肢は、火災が検知された際に、ユーザがその火災に対応するために自分の端末装置30を用いて実行可能なアクションの選択肢を示す。選択肢の具体例としては、「自宅へ電話」、「消防署へ電話」、「他のメンバの現在位置を表示」、又は「自宅に最も近い他のメンバに電話」等が挙げられる。優先順位は、対応する選択肢が示すアクションの優先順位を示す。優先順位は、端末装置30にアクションの選択肢がリスト表示される際の表示順又は表示態様を決定するパラメータの役割を果たす。具体的には、優先順位が高い選択肢ほど、リストの上に表示、大きく表示、又は目立つ色で表示される等である。グループテーブルTBL2には、1つのユーザIDに対応付けて、選択肢及び優先順位の組が1又は複数格納される。なお、1つのユーザIDに対応付けて選択肢及び優先順位の組がグループテーブルTBL2に複数格納される場合には、複数個の選択肢及び優先順位の組は更に複数のパターンに分類されてもよく、これら複数のパターンの何れを採用するのかをユーザUが指定してもよい。
【0025】
グループテーブルTBL2への各種情報の登録は以下の要領で行われる。ユーザUは、例えば自身に対応する管理領域(即ち、住宅40)内にいる時に、専用アプリを端末装置30に実行させ、且つ自身のユーザID及びパスワードを用いてサーバ装置20にログインする。以下、ユーザUが専用アプリを端末装置30に実行させ、且つ自身のユーザID及びパスワードを用いてサーバ装置20にログインしている状態は、情報登録可能状態と称される。情報登録可能状態では、サーバ装置20は、ユーザUによる情報の登録がどのグループに対する登録であるかを特定できる。情報登録可能状態において、ユーザUは、専用アプリの管理領域登録画面を開いて所定の操作(「登録」ボタンのタッチ等)を行うことにより、自分の属するグループに対し、その時に端末装置30が測定している位置を管理領域位置として登録する。
【0026】
また、ユーザUは、情報登録可能状態では、例えば、下記の(方法1)、(方法2)、及び(方法3)のうちの何れかの方法により、自分の属するグループに対して火災警報器IDを登録する。
【0027】
(方法1)は火災警報器IDが印刷等されたシール等の印刷物が火災警報器10の筐体に貼り付けられている場合に採用可能な登録方法である。(方法1)では、ユーザUは、専用アプリの火災警報器登録画面において、火災警報器10に貼られている印刷物に記載されている火災警報器IDを手入力し、手入力した火災警報器IDをサーバ装置20に登録する。
【0028】
(方法2)は、火災警報器IDに一意に変換可能なコード情報(QR(登録商標)コード等のバーコード)が印刷された印刷物が火災警報器10の筐体に貼り付けられている場合に採用可能な登録方法である。(方法2)では、ユーザUは、専用アプリの火災警報器登録画面において、火災警報器10に貼られている印刷物に印刷されているコード情報を読み取り、読み取ったコード情報から変換された火災警報器IDをサーバ装置20に登録する。
【0029】
(方法3)は、端末装置30が火災警報器10と通信することにより、火災警報器IDを取得してリスト表示する一方、リスト表示に対する選択に応じて選択された火災警報器10が何らかの通知を行う場合に採用可能な登録方法である。(方法3)では、ユーザUは、専用アプリの火災警報器登録画面においてリスト表示される火災警報器IDのうち、ユーザUが選択した火災警報器IDに応じた火災警報器10の通知部が通知を行う。通知部が行う通知の具体例としては、例えば、通知部に設けられたLED(Light Emission Diode)の点滅、又は通知部に設けられたスピーカからのブザー音の発音等が挙げられる。ユーザUは、その通知により、自分の目の前の火災警報器10の火災警報器IDがリスト内の何れの火災警報器IDであるかを確認できる。その後、ユーザUは火災警報器登録画面において、選択した火災警報器IDをサーバ装置20に登録する。
【0030】
上記登録作業において、ユーザUは、火災警報器10の設置場所もサーバ装置20へ登録する。上記登録作業により、グループテーブルTBL2に火災警報器10の火災警報器ID及び設置場所が登録される。また、ユーザUは、端末装置30で実行している専用アプリの、アクション選択肢登録画面において、火災発生時に取り得るアクションと、それらの優先順位を設定する。このように、専用アプリは、端末装置30に、ユーザUの管理領域内において火災が発生した場合にユーザUが端末装置30を用いて実行可能なアクションの選択肢を各々示す1以上のアクション選択肢データを記憶する処理を実行させる。アクション選択肢データを記憶する処理は本開示における第1処理の一例である。
【0031】
処理装置210は、サーバ装置20の電源投入を契機として、記憶装置230からプログラムPを読み出し、読み出したプログラムPの実行を開始する。プログラムPに従って作動している処理装置210は、取得手段210a、受信手段210b、決定手段210c、及び通知手段210dとして機能する。つまり、
図2に示される取得手段210a、受信手段210b、決定手段210c、及び通知手段210dの各々は、コンピュータをソフトウェアに従って作動させることにより実現されるソフトウェアモジュールである。取得手段210a、受信手段210b、決定手段210c、及び通知手段210dの各々の機能は次の通りである。
【0032】
取得手段210aは、ユーザUにより入力されるデータであるユーザ入力データを取得する。本実施形態におけるユーザ入力データには、上述したアクション選択肢登録画面においてユーザUにより入力されるデータが含まれる。アクション選択肢登録画面においてユーザUにより入力されるユーザ入力データは、グループテーブルTBL2の「アクション」に格納される。受信手段210bは、管理領域内に設置されている火災警報器10から火災を検知したことを示す火災検知データを受信する。決定手段210cは、受信手段210bにより受信した火災検知データの送信元である火災警報器10が設置されている管理領域を管理するユーザを、グループテーブルTBL2を参照して特定する。次いで、決定手段210cは、上記の要領で特定したユーザと取得手段210aにより取得したユーザ入力データ(より具体的には、グループテーブルTBL2の「アクション」欄に格納されているデータ)に基づき、ユーザに通知するアクションの選択肢及び選択肢の優先順位のパターンを決定する。通知手段210dは、決定手段210cにより決定された1以上の選択肢を決定手段210cにより決定された優先順位で当該ユーザに通知する処理、を実行する。本実施形態では、通知手段210dは、決定手段210cにより決定された1以上の選択肢を決定手段210cにより決定された優先順位で表示することを専用アプリに指示する表示指示データを生成し、生成した表示指示データを、決定手段210cにより特定されたユーザUの携帯する端末装置30へ送信する。
【0033】
専用アプリを実行中の端末装置30は、サーバ装置20から表示指示データを受信すると、受信した表示指示データに従い、アクション選択画面を表示する。
図5は、端末装置30に表示されるアクション選択画面G1の一例を示す図である。アクション選択画面G1の表示の際、端末装置30は、ユーザUに対し警告音の発音、警告メッセージ(例えば、合成音声)の発声、バイブレータによる振動の発生等を行い、ユーザUに火災が検知されたことを通知することが望ましい。警告音の発音、警告メッセージの発声、又はバイブレータの振動は、「アラームを止める」ボタンB4に対する操作が為されるまで継続することが望ましい。
【0034】
例えばユーザUXが、
図5に示されるアクション選択画面G1を表示している端末装置30Xにおいて、「他のメンバの現在位置を表示」ボタンB1に対する所定の操作(例えば、タッチ操作)を行うと、同じグループの他のメンバ(即ち、ユーザUY)の現在位置を示す地図が端末装置30Xに表示される。また、ユーザUXが「最も近い場所にいるメンバに電話」ボタンB2に操作を行うと、他のメンバのうち、管理領域(住宅40)に最も近い位置にいるユーザ(即ち、ユーザUY)の電話番号に対し電話の発呼(ダイヤル)が行われる。また、「消防署に電話」ボタンB3に操作を行うと、消防署(119)に電話の発呼が行われる。つまり、専用アプリを実行中の端末装置30は、管理領域内に設置されている火災警報器10から火災検知データを受信したサーバ装置20による制御の下、1以上のアクションの選択肢をユーザUに通知する処理、及びユーザUが何れかのアクションを選択する操作を行った場合、ユーザUが選択したアクションを実行可能とする処理、を実行する。前者の処理は本開示における第2処理の一例であり、後者の処理は本開示における第3処理の一例である。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザUに対応する管理領域(住宅40)において火災警報器10により火災が検知された場合、従来技術による場合と比較し、ユーザUはより適したアクションを実行することができる。
【0036】
<B:変形例>
以上に説明した実施形態は以下のように変形されてもよい。
(1)ユーザUが実行可能なアクションの種類は実施形態に例示のものには限られない。例えば、ユーザUは、管理領域内に設置され、端末装置30と通信可能な装置に端末装置30が通信接続するための情報(例えば、無線ルータのIPアドレス、宅内無線LAN(Local Area Network)におけるネットワークカメラのアドレス、ネットワークカメラに外部からアクセスするためのパスワード等)を示す装置通信接続用データをグループテーブルTBL2に登録することで、その装置を利用したアクションを選択肢に加えることができる。その場合、アクション選択画面には、例えば、ネットワークカメラが撮影する画像の表示を指示するための「管理領域の映像を表示」ボタンや、ネットワークカメラに内蔵のマイク・スピーカを用いた宅内の人と対話を開始するための「管理領域内の人と対話」ボタン等が表示される。なお、ネットワークカメラ等の装置は、サーバ装置20経由で端末装置30と通信してもよいし、サーバ装置20を経由せずに端末装置30と通信してもよい。
【0037】
(2)実施形態においては、ユーザUが選択肢とそれらの優先順位を予め決定しておき、その決定内容をサーバ装置20に設定した。選択肢とそれらの優先順位の少なくとも一方を、サーバ装置20(より正確には、決定手段210c)が決定してもよい。その場合、サーバ装置20(より正確には、取得手段210a)は、例えば以下の(a)~(f)の情報の何れかを取得し、取得した情報に基づき、ユーザU又はグループに応じた選択肢とそれらの優先順位とを決定する。
【0038】
(a)の情報は、管理領域内に設置され、端末装置30と通信可能な装置に端末装置30が通信接続するための情報を示す装置通信接続用データである。(a)の情報を用いて、サーバ装置20(決定手段210c)は、例えば「管理領域内の現在の映像を表示」といったネットワークカメラを用いたアクション等を選択肢として決定することができる。
【0039】
(b)の情報は、ユーザ及び同じグループの他のメンバ(ユーザの関係者)の現在位置を示す位置データである。(b)の情報を用いて、サーバ装置20は、例えば自分が自宅にいる場合、「消防署に電話」といったアクションは選択肢とし、「管理領域内にいる他のメンバに電話」といった無意味なアクションは選択肢としない、といった選択肢の決定を行うことができる。
【0040】
(c)の情報は、現在時刻を示す現在時刻データである。(c)の情報を用いて、サーバ装置20は、例えば日中は「近くにいる他のメンバに電話」を選択肢とするが、夜間はそれを選択肢としない、といった選択肢の決定を行うことができる。
【0041】
(d)の情報は、管理領域内に設置されている複数の火災警報器10のうち火災を検知した火災警報器10の管理領域内における設置場所を示す設置場所データである。(d)の情報を用いて、サーバ装置20は、例えば、管理領域内の1階に他のメンバがおり、2階の火災警報器10が火災を検知した場合、「管理領域内の他のメンバに電話」を選択肢とし、管理領域内の2階に他のメンバがおり、1階の火災警報器10が火災を検知した場合、「管理領域内の他のメンバに電話」は選択肢とせず、「消防署に電話」を最優先の選択肢とする、といった選択肢の決定を行うことができる。
【0042】
(e)の情報は、管理領域内に設置されている複数の火災警報器10のうち火災を検知した火災警報器10の数を示す火災検知数データである。(e)の情報を用いて、サーバ装置20は、例えば火災を検知した火災警報器10の数が複数であれば、「消防署に電話」を最優先の選択肢とし、その数が1つであれば、「管理領域内の現在の映像を表示」を最優先の選択肢とする、といった選択肢の優先順位の決定を行うことができる。
【0043】
(f)の情報は、火災警報器10が火災の検知に用いたセンサの測定値を示す測定値データである。(f)の情報を用いて、サーバ装置20は、例えば火災警報器10が煙式の場合、検知された煙の濃度が高い場合は「消防署に電話」を最優先の選択肢とし、検知された煙の濃度が低い場合は「管理領域内の現在の映像を表示」を最優先の選択肢とする、といった選択肢の優先順位の決定を行うことができる。(熱式の場合は、測定された温度の高低によって選択肢又はそれらの優先順位を決定)
【0044】
また、サーバ装置20は、検知された煙の濃度(又は温度)の経時変化の速度に基づき、その速度が速い(急速に煙の濃度が高まっている、急速に温度が上昇している等)の場合は「消防署に電話」を最優先の選択肢とし、その速度が遅い場合は「管理領域内の現在の映像を表示」を最優先の選択肢とする、といった選択肢の優先順位の決定を行うことができる。
【0045】
サーバ装置20がアクションの選択肢又はそれらの優先順位の決定に用いるパラメータの種類は、上記に限られない。例えば、メンバの各々の属性(年齢、身体能力の高低等)を示すユーザ属性データをサーバ装置20が取得し、用いてもよい。その場合、サーバ装置20は、例えば、子どもや高齢者、身体障害者等が管理領域内にいる場合、「消防署に電話」を最優先の選択肢とする、といった選択肢に関する決定を行うことができる。
【0046】
サーバ装置20が多数の選択肢の候補の中から、ユーザに提示する選択肢を選択(決定)する方法、及び、選択した選択肢の優先順位を決定する方法として、例えば、候補の選択肢の各々に対し、サーバ装置20(決定手段210c)が、ユーザの属性、現在時刻、ユーザの現在位置、火災警報器10が検知した煙の濃度又は温度(又はその経時変化の速度)等の情報に基づき、予め設定された規則に従い優先順位に関するスコアを付与し、スコアの順に優先順位を決定し、優先順位の上位の所定数(例えば5つ)を選択肢として決定する、といった方法が考えられる。
【0047】
また、選択肢及びそれらの優先順位の決定方法として、機械学習モデルを用いた方法が採用されてもよい。その場合、ユーザに、火災が発生した際の様々な状況(例えば、深夜に自分が管理領域から遠く離れたところにおり、他のメンバが管理領域内にいる場合、といった具体的な状況例)を提示すると共に、アクションの選択肢を提示し、ユーザに最適と考えるアクションの選択を行わせるシミュレーションゲームを行わせ、その結果を教師データとして機械学習させたモデルを構築してもよい。また、実運用時に、実際に火災が発生した際の状況と、その際にユーザが選択したアクションとを示すデータを教師データとして収集し、機械学習モデルの更新に用いてもよい。
【0048】
(3)サーバ装置20が選択肢の管理を行う代わりに、端末装置30が選択肢の管理を行ってもよい。その場合、サーバ装置20はなくてもよい。例えば、端末装置30が自分の属するグループのメンバに関するデータ(実施形態におけるユーザテーブルTBL1のレコードのうち、自分及び同じグループに属する他のメンバのレコードに格納されているデータ)と、自分の属するグループに関するデータ(実施形態におけるグループテーブルTBL2のレコードのうち、自分のグループに関するレコードに格納されているデータ)を記憶しておく。端末装置30が、火災警報器10から火災検知データを受信すると、記憶している選択肢をユーザに提示し、ユーザにより選択された選択肢に応じた処理(例えば、他のメンバに電話に発呼する等)を行う。端末装置30が、上記の変形例(2)におけるサーバ装置20が行う選択肢又はそれらの優先順位の決定と同様の処理を行ってもよい。
【0049】
(4)火災警報器10がインターネットに接続する方法は、無線中継装置50を介した方法に限られない。例えば、火災警報器10が移動体通信網に接続する通信インタフェースを備える場合、火災警報器10が無線中継装置50を介さず、移動体通信網を介してインターネットに接続してもよい。
【0050】
(5)上記実施形態では、記憶手段(記憶装置230)、取得手段210a、受信手段210b、決定手段210c、及び通知手段210dが1つの装置(サーバ装置20)に設けられたが、これら各手段が複数の装置(例えば、互いに連係動作するサーバ装置群)に分散して設けられてもよい。
【0051】
(6)上記実施形態における取得手段210a、受信手段210b、決定手段210c、及び通知手段210dは何れもソフトウェアモジュールであったが、取得手段210a、受信手段210b、決定手段210c、及び通知手段210dのうちの任意の1つ、又は複数(全部を含む)が電子回路等のハードウェアモジュールであってもよい。取得手段210a、受信手段210b、決定手段210c、及び通知手段210dのうちの任意の1つ、又は複数(全部を含む)がハードウェアモジュールであっても、上記実施形態と同一の効果が奏される。
【0052】
(7)上記実施形態のデータ処理システム1は、記憶手段(記憶装置230)、取得手段210a、受信手段210b、決定手段210c、及び通知手段210dを有したが、取得手段210aと決定手段210cは省略されてもよい。つまり、本開示のデータ処理システムは、少なくとも以下の記憶手段、受信手段、及び通知手段を有していればよい。記憶手段は、ユーザの管理領域内において火災が発生した場合に前記ユーザが自分の使用する端末装置を用いて実行可能なアクションの選択肢を各々示す1以上のアクション選択肢データを記憶する。受信手段は、前記管理領域内に設置されている火災警報器から火災を検知したことを示す火災検知データを受信する。そして、通知手段は、前記受信手段が火災検知データを受信した場合、前記記憶手段が記憶している1以上のアクション選択肢データが示すアクションの選択肢を前記ユーザに通知する。
【0053】
(8)上記実施形態では、端末装置30に専用アプリが予めインストールされていた。しかし、専用アプリが単体で製造又は譲渡等されてもよい。なお、専用アプリの譲渡は有償であってもよく、また、無償であってもよい。専用アプリを譲渡する際の譲渡先への具体的な提供態様としては、インターネット等の電気通信回線経由のダウンロード、又はフラッシュROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に書き込んで配布すること、が挙げられる。同様に、プログラムPが単体で製造又は譲渡等されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…データ処理システム、10,10A,10B,10C.10D…火災警報器、20…サーバ装置、30,30X,30Y…端末装置、40…住宅、50…無線中継装置、210…処理装置、210a…取得手段、210b…受信手段、210c…決定手段、210d…通知手段、230…記憶装置、410,410A、410B、410C、410D…部屋、UX,UY,U…ユーザ、P…プログラム、TBL1…ユーザテーブル、TBL2…グループテーブル。