(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078087
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】熱処理装置
(51)【国際特許分類】
F27B 9/02 20060101AFI20240603BHJP
F27B 9/38 20060101ALI20240603BHJP
F27B 9/39 20060101ALI20240603BHJP
F27D 3/06 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
F27B9/02
F27B9/38
F27B9/39
F27D3/06 A
F27D3/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190428
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000167200
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクトサーモシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】中谷 淳司
【テーマコード(参考)】
4K050
4K055
【Fターム(参考)】
4K050AA02
4K050BA16
4K050CA10
4K050CA12
4K050CC07
4K050CF02
4K050CF12
4K050CG29
4K050EA03
4K055AA06
4K055EA00
(57)【要約】
【課題】複数の加熱室を有する熱処理装置において、熱処理装置をコンパクトにする。
【解決手段】熱処理装置1は、被処理物102を加熱処理する第1加熱室10と、被処理物102を加熱処理する第2加熱室20と、第1加熱室10の内部と外部との間で被処理物102を搬送し、その第1搬送方向D1における第1加熱室10の壁11を通過する第1搬送手段30と、を備える。また、熱処理装置1は、第1加熱室10と第2加熱室20との間で被処理物102を搬送し、その第2搬送方向D2における第1加熱室10または第2加熱室20のいずれかの壁21を通過する第2搬送手段50を備える。第1搬送手段30が通過する壁11と、第2搬送手段50が通過する壁21と、は直交する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を加熱処理する第1加熱室と、
前記被処理物を加熱処理する第2加熱室と、
前記第1加熱室の内部と外部との間で前記被処理物を搬送し、その搬送方向における前記第1加熱室の壁を通過する第1搬送手段と、
を備える熱処理装置において、
前記第1加熱室と前記第2加熱室との間で前記被処理物を搬送し、その搬送方向における前記第1加熱室または前記第2加熱室のいずれかの壁を通過する第2搬送手段を備え、
前記第1搬送手段が通過する壁と、前記第2搬送手段が通過する壁と、は直交することを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱処理装置であって、
前記第1搬送手段による前記被処理物の搬送高さ位置と前記第2搬送手段による前記被処理物の搬送高さ位置が同じであり、前記第1搬送手段が前記第1加熱室の内部と外部との間で前記被処理物を搬送する時と、前記第2搬送手段が前記第1加熱室と前記第2加熱室との間で被処理物を搬送する時と、を重ならないようにすることを特徴とする、熱処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の熱処理装置であって、
前記第1搬送手段は、前記第1加熱室の外部から内部へ前記被処理物を搬送し、
前記第2搬送手段は、前記第1加熱室から前記第2加熱室へ前記被処理物を搬送し、
前記第2加熱室の内部から外部へ前記被処理物を搬送し、その搬送方向における前記第2加熱室の壁を通過する第3搬送手段をさらに備え、
前記第3搬送手段が通過する壁は、前記第1加熱室から前記第2加熱室へ前記被処理物が通過する開口がある壁以外であることを特徴とする、熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に形成した金属と半導体材料との合金化を行う熱処理装置(10)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱処理装置の搬送アームを2つの室間の搬送用と、室の内外での搬送用と、の2つの搬送手段を1つの室へ設ける場合、同じ室壁へ高さ違いや横位置違いで設置すると室壁の高さや幅がその分長くなり、結果、熱処理室が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる熱処理装置は、
被処理物を加熱処理する第1加熱室と、
前記被処理物を加熱処理する第2加熱室と、
前記第1加熱室の内部と外部との間で前記被処理物を搬送し、その搬送方向における前記第1加熱室の壁を通過する第1搬送手段と、
を備える熱処理装置において、
前記第1加熱室と前記第2加熱室との間で前記被処理物を搬送し、その搬送方向における前記第1加熱室または前記第2加熱室のいずれかの壁を通過する第2搬送手段を備え、
前記第1搬送手段が通過する壁と、前記第2搬送手段が通過する壁と、は直交する。
【0006】
(2)前記第1搬送手段による前記被処理物の搬送高さ位置と前記第2搬送手段による前記被処理物の搬送高さ位置が同じであり、前記第1搬送手段が前記第1加熱室の内部と外部との間で前記被処理物を搬送する時と、前記第2搬送手段が前記第1加熱室と前記第2加熱室との間で被処理物を搬送する時と、を重ならないようにしてもよい。
【0007】
(3)前記第1搬送手段は、前記第1加熱室の外部から内部へ前記被処理物を搬送し、
前記第2搬送手段は、前記第1加熱室から前記第2加熱室へ前記被処理物を搬送し、
前記熱処理装置は、前記第2加熱室の内部から外部へ前記被処理物を搬送し、その搬送方向における前記第2加熱室の壁を通過する第3搬送手段をさらに備え、
前記第3搬送手段が通過する壁は、前記第1加熱室から前記第2加熱室へ前記被処理物が通過する開口がある壁以外であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、複数の搬送手段を有する熱処理装置において、熱処理装置が大型化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の熱処理装置の構成を説明するための模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、熱処理装置の第1加熱室、および第1搬送機構などの模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、熱処理装置の第1加熱室、第2加熱室、および第2搬送機構などの模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、熱処理装置の第2加熱室、および第3搬送機構などの模式的な断面図である。
【
図5】
図5は、搬送手段の動作を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の熱処理装置の構成を説明するための模式的な断面図である。
【
図7】
図7(A)は、実施形態の変形例の模式図であり、
図7(B)は、実施形態の別の変形例の模式図であり、
図7(C)および
図7(D)は、それぞれ実施形態のさらに別の変形例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<熱処理装置の全体構成>
図1は、熱処理装置1の構成を説明するための模式的な断面図であり、熱処理装置1の全体構成を示している。
【0012】
熱処理装置1は、第1加熱室10と、第2加熱室20と、第1搬送手段30と、第2搬送手段50と、第3搬送手段70と、図示しない制御部と、を有している。
【0013】
第1加熱室10内には、第1ヒータ13と、被処理物102(
図2参照)が載せられる第1ワーク台14とが設置されている。第1ヒータ13により、第1加熱室10の雰囲気が所定温度に加熱される。第2加熱室20内には、第2ヒータ23と、被処理物102が載せられる第2ワーク台24とが設置されている。第2ヒータ23により、第2加熱室20の雰囲気が所定温度に加熱される。また、第1加熱室10に第1開口15,第2開口16が設けられ、第2加熱室20に第4開口18が設けられる。さらに、第1加熱室10と第2加熱室20の間を被処理物102が通過する第3開口17と、その第3開口17に扉2が設けられる。この扉2はアクチュエータにより開閉する。
【0014】
第1搬送手段30は第1加熱室10の内部と外部との間で被処理物102を搬送する搬送装置であり、第2搬送手段50は第1加熱室10と第2加熱室20との間で被処理物102を搬送する搬送装置であり、第3搬送手段70は第2加熱室20の内部と外部との間で被処理物102を搬送する搬送装置である。これらの各搬送手段30,50,70は、アクチュエータにより動作する。
【0015】
また、第1搬送手段30と、第1加熱室10の第1開口15と、の間に扉42,43が設けられ、第1搬送手段30は第1開口15を通過して被処理物102を搬送する。また、第2搬送手段50と、第1加熱室10の第2開口16と、の間に扉42が設けられ、第2搬送手段50は第2開口16を通過して被処理物102を搬送する。また、第3搬送手段70と、第2加熱室20の第4開口18と、の間に扉42,43が設けられ、第3搬送手段70は第4開口18を通過して被処理物102を搬送する。これら扉42,43はアクチュエータにより開閉する。
【0016】
制御部は、各ヒータ13,23と、各扉2,42,43のアクチュエータと、各搬送手段30,50,70のアクチュエータとに電気的に接続されており、それらを制御する。
【0017】
被処理物(ワーク)102として、電子部品を例示できる。電子部品として、セラミック電子部品(例えば、MLCC(Multi Layered Ceramic Capacitor))と、フェライトコア、EMIフィルタ(Electromagnetic Interference Filter)、磁性シート、インダクタといった高周波部品およびデバイスと、GPSなどのGNSS(Global Navigation Satellite System)用アンテナおよびモジュールと、パワーインダクタと、全固体電池、SOFC(Solid Oxide Fuel Cell)といった二次電池部品と、を例示できる。
【0018】
<熱処理方法の概要>
熱処理装置1は、被処理物102を熱処理する装置であり、本実施形態では、被処理物102を2種類の温度で熱処理する。熱処理装置1は、被処理物102を第1加熱室10において第1温度(例えば、600℃)の雰囲気下で熱処理し、さらに、被処理物102を第2加熱室20において第2温度(例えば、1300℃)の雰囲気下で熱処理する。なお、第1温度および第2温度は、上述した一定値に限定されず、時間ともに変化する値であってもよく、互いに異なる値であってもよい。本実施形態では、熱処理装置1は、複数の(2つの)加熱室10,20を有しており、被処理物102を第1加熱室10から第2加熱室20に搬送することで、被処理物102を上記2種類の温度で連続して熱処理する。本実施形態では、熱処理装置1は、加熱室10,20内に所定の熱処理ガスを供給しながら被処理部品102に熱処理を行う。なお、熱処理装置1は、第1加熱室10と第2加熱室20を個別に運用することで2つの熱処理装置として運用されることも可能である。
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。
【0020】
なお、以下では、各図に示すように、左右、前後、および、上下を規定する。
【0021】
被処理物102として、例えば上述した電子部品であるMLCC(積層セラミックコンデンサ)を用いる。なお、本実施形態では、被処理物102は、セッター101に載せられた状態で、搬送および熱処理が行われる。セッター101は、例えば、セラミック系材料で形成された矩形状の平板部材である。
【0022】
主に
図1~4を参照しつつ、熱処理装置1における、第1加熱室10と、第2加熱室20と、第1搬送手段30と、第2搬送手段50と、第3搬送手段70と、の詳細について説明する。
【0023】
各加熱室10,20は中空の立方体である。第1加熱室10と第2加熱室20は、第2搬送方向D2に並んでいる。第2搬送方向D2は、本実施形態では、水平方向であり、左右方向である。第1加熱室10と第2加熱室20は、隣接している。
【0024】
第1加熱室10の壁11は、壁11aと、壁11bと、壁11cと、壁11dと、壁11eと、を有している。第2加熱室20の壁21は、壁21aと、壁21bと、壁21cと、壁21dと、壁21eと、を有している。
【0025】
第1加熱室10の壁12は、壁11の壁11a,壁11d,壁11c、および壁11eに囲まれている。また、第2加熱室20の壁22は、壁21の壁21a,壁21d,壁21c、および壁21eに囲まれている。また、これらの壁12,22が互いに突き合わされている。これらの壁12,22には、セッター101が通過するための第3開口17が形成されている。また、第3開口17を開閉する扉2が設置されている。この扉2は、油圧シリンダなどのアクチュエータである駆動機構3によって開閉される。
【0026】
第1加熱室10の壁11には、第1開口15が形成されている。第1開口15は、第1搬送手段30により、第1加熱室10の内部と外部との間で搬送されるセッター101が通過する開口である。第1開口15は、壁11aに配置されている。
【0027】
第1搬送手段30は、上記のように第1加熱室10の内部と外部との間でセッター101を搬送し、当該第1搬送手段30の一部(例えば、後述する第1搬送ロッド31)が第1搬送方向D1における第1加熱室10の壁11(壁11a)を通過する構成である。すなわち、第1搬送手段30が第1開口15を通ることで、セッター101が搬送される。
【0028】
また、第1加熱室10の壁11には、第2開口16が形成されている。第2開口16は、第2搬送手段50の一部が通過する開口であり、第2開口16は、壁11bに配置されている。
【0029】
第2搬送手段50は、第1加熱室10と第2加熱室20との間でセッター101を搬送し、当該第2搬送手段50の一部(例えば、後述する第2搬送ロッド51)が第2搬送方向D2における第1加熱室10または第2加熱室20のいずれかの壁11,21(本実施形態では、第1加熱室10の壁11)を通過する構成である。すなわち、第2搬送手段50が第2開口16を通ることで、セッター101が搬送される。
【0030】
また、第2加熱室20の壁11には、第4開口18が形成されている。第4開口18は、第3搬送手段70により、第2加熱室20の内部と外部との間で搬送されるセッター101が通過する開口である。第4開口18は、壁21aに配置されている。
【0031】
第3搬送手段70は、第2加熱室20の内部と外部との間でセッター101を搬送し、当該第3搬送手段70の一部(例えば、後述する第3搬送ロッド71)が第3搬送方向D3における第2加熱室20の壁21(壁21a)を通過する構成である。すなわち、第3搬送手段70が第4開口18を通ることで、セッター101が搬送される。
【0032】
図1の矢印B1~B3に示す通り、第1搬送手段30は、第1加熱室10の外部から内部へセッター101を搬送する。第2搬送手段50は、第1加熱室10から第2加熱室20へセッター101を搬送する。第3搬送手段70は、第2加熱室20の内部から外部へセッター101を搬送する。
【0033】
第1搬送手段30が通過する壁11(壁11a)と、第2搬送手段50が通過する壁11(壁11b)と、は直交している。このように、第1搬送手段30と第2搬送手段50とを同じ壁に設けないことで、第1加熱室10の壁の長さをその分長くすることに繋がらず、熱処理装置1が大型化せずに済み、熱処理装置1をコンパクトにできる。
【0034】
また、第3搬送手段70が通過する壁21(壁21a)と、第2搬送手段50が通過する壁11(壁11b)と、は直交している。このように、第3搬送手段70と第2搬送手段50とを同じ壁に設けないことで、壁の長さをその分長くすることに繋がらず、熱処理装置1が大型化せずに済み、熱処理装置1をコンパクトにできる。
【0035】
<搬送手段の構造と、セッター101の搬送方法>
第1搬送手段30は、セッター101が搭載される第1搬送ロッド31と、第1搬送ロッド31を第1搬送方向D1に移動させるとともに回転させるアクチュエータ(移動機構32,回転機構33)と、を有している。なお、第1搬送方向D1は、本実施形態では、水平方向であり、前後方向である。
【0036】
第1搬送ロッド31は、例えば、第1搬送方向D1を長手方向とする棒状に形成されている。第1搬送ロッド31は、棒状の本体35と、本体35の先端に突起状の凸部36と、を有している。本実施形態では、1つの本体35に、複数(2つ)の凸部36が第1搬送方向D1に並んで設けられている。
【0037】
また、第1搬送ロッド31は、セッター101を搭載した状態で、第1搬送ロッド31の本体35の先端にある凸部36がセッター101の裏面に当接している。これにより、セッター101は第1搬送ロッド31に支持される。
【0038】
図5は、搬送ロッド31(51,71)の動作を説明するための模式図である。
図5に示すように、第1搬送ロッド31(第2搬送ロッド51,第3搬送ロッド71)が回転すると、凸部36は、上向きまたは下向きになる。本実施形態では、各搬送ロッド31(51,71)は、左右一対設置されている。左右一対の搬送ロッド31(51,71)が回転し、凸部36が下向きから上向きになることで、セッター101を持ち上げる。また、左右一対の搬送ロッド31(51,71)が回転し、凸部36が上向きから下向きになることで、セッター101を下ろしてセッター101をワーク台14(24)に載せる。
【0039】
第1搬送手段30に関連して、熱処理装置1には、第1チャンバユニット40が設けられている。この第1チャンバユニット40は、本実施形態では、第1加熱室10の壁11aに設置されている。
【0040】
第1チャンバユニット40は、チャンバ41と、断熱扉42と、シール扉43と、これらの扉を開閉する電動モータ、エアシリンダなどのアクチュエータ(駆動機構44)と、を有している。
【0041】
チャンバ41は、第1開口15を覆うようにして壁11の壁11aに設置される箱である。チャンバ41内の空間が、第1開口15につながっている。このチャンバ41には、第1搬送ロッド31が通されている。
【0042】
チャンバ41には、扉45が設けられており、扉45を開いた状態でセッター101をチャンバ41内の空間に対して出し入れする。扉45は、例えば作業員の手作業などによって、開閉される。なお、扉45をアクチュエータで開閉させてもよい。
【0043】
断熱扉42は第1開口15に隣接して配置され、この断熱扉42と扉45との間に、シール扉43が配置されている。
【0044】
第2搬送手段50は、第1加熱室10のうち第2搬送方向D2の一端側の壁である壁11bに設置されている点以外は、第1搬送手段30と同様の構成を有している。より具体的には、第2搬送手段50は、セッター101が搭載される第2搬送ロッド51と、第2搬送ロッド51を第2搬送方向D2に移動させるとともに回転させるアクチュエータ(移動機構32,回転機構33)と、を有している。なお、第2搬送方向D2は、水平方向であり、左右方向である。
【0045】
第2搬送ロッド51は、本実施形態では、第1搬送ロッド31と同じ形状に形成されている。
【0046】
第2搬送手段50に関連して、熱処理装置1には、第2チャンバユニット60が設けられている。この第2チャンバユニット60は、第1加熱室10の壁11bに設置されている点と、シール扉43および扉45が設けられていない点以外は、第1チャンバユニット40と同様の構成を有している。
【0047】
第2チャンバユニット60は、チャンバ41と、断熱扉42と、この扉を開閉する電動モータ、エアシリンダなどのアクチュエータ(駆動機構44)とを有している。
【0048】
第2チャンバユニット60のチャンバ41は、第2開口16を覆うようにして壁11の壁11bに設置された箱部材であり、当該チャンバ41内の空間が、第2開口16につながっている。このチャンバ41には、第2搬送ロッド51が通されている。
【0049】
第2チャンバユニット60の断熱扉42は、第2開口16に隣接して配置されている。
【0050】
第3搬送手段70は、第2加熱室20の壁である壁21aに設置されている点以外は、第1搬送手段30と同様の構成を有している。より具体的には、第3搬送手段70は、セッター101が搭載される第3搬送ロッド71と、第3搬送ロッド71を第3搬送方向D3に移動させるとともに回転させるアクチュエータ(移動機構32,回転機構33)と、を有している。なお、第3搬送方向D3は、本実施形態では、水平方向であり、前後方向である。第1搬送方向D1と第3搬送方向D3とは、平行である。
【0051】
第3搬送ロッド71は、本実施形態では、第1搬送ロッド31と同じ形状に形成されている。
【0052】
第3搬送手段70に関連して、熱処理装置1には、第3チャンバユニット80が設けられている。この第3チャンバユニット80は、第2加熱室20の壁21aに設置されており、第1チャンバユニット40と同じ構成を有している。
【0053】
第3チャンバユニット80は、チャンバ41と、断熱扉42と、シール扉43と、これらの扉を開閉する電動モータ、エアシリンダなどのアクチュエータ(駆動機構44)と、扉45と、を有している。
【0054】
第3チャンバユニット80のチャンバ41は、第4開口18を覆うようにして壁21の壁21aに設置されている。第3チャンバユニット80のチャンバ41には、第3搬送ロッド71が通されている。
【0055】
断熱扉42は第4開口18に隣接して配置され、この断熱扉42と扉45との間に、シール扉43が配置されている。
【0056】
本実施形態では、第1搬送手段30によるセッター101の搬送高さ位置H1と、第2搬送手段50によるセッター101の搬送高さ位置H2と、第3搬送手段70によるセッター101の搬送高さ位置H3と、が同じである。この例では、各搬送ロッド31,51,71の高さ位置H1,H2,H3が同じである。このため、第1開口15の高さ位置と、第2開口16の高さ位置と、第4開口18の高さ位置と、が同じである。一方で、本実施形態では、後述するように、第1搬送ロッド31が第1加熱室10の内部と外部との間でセッター101を搬送する時と、第2搬送ロッド51が第1加熱室10と第2加熱室20との間でセッター101を搬送する時と、を重ならないようにしている。この構成であれば、2つの搬送ロッド31,51を同じ高さに配置しつつ同時には動作しない。よって、2つの搬送ロッド31,51が互いに干渉することなく、セッター101を高さ方向の別移動(例えば、搬送手段に昇降装置を設けること)もさせることなく、セッター101を搬送できる。また、第3搬送ロッド71が第2加熱室20の内部と外部との間でセッター101を搬送する時と、第2搬送ロッド51が第1加熱室10と第2加熱室20との間でセッター101を搬送する時と、を重ならないようにしている。この構成であれば、2つの搬送ロッド51,71を同じ高さにして、同時に動作しないようにしたので、2つの搬送ロッド51,71が互いに干渉することなく、セッター101を高さ方向の別移動(例えば、搬送手段に昇降装置を設けること)もさせることなくセッター101を搬送できる。
【0057】
なお、第1搬送ロッド31が第1加熱室10の内部と外部との間でセッター101を搬送する時と、第3搬送ロッド71が第2加熱室20の内部と外部との間でセッター101を搬送する時は、重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。第1搬送ロッド30と第3搬送ロッド71は、同時に動作したとしても互いに干渉することがないので、第1搬送ロッド31による第1加熱室10へのセッター101の搬入タイミングと、第3搬送ロッド71による第2加熱室20からのセッター101の搬出タイミングをより最適化できる。例えば、第1加熱室10での熱処理完了タイミングと第2加熱室20での熱処理完了タイミングが異なっている場合でも、第1加熱室10から第2加熱室20へセッター101が搬送された直後に新たなセッター101を第1加熱室10へ搬入でき、且つ、第2加熱室20での熱処理完了直後に第2加熱室20からセッター101を搬出できる。
【0058】
なお、「第1搬送手段30によるセッター101の搬送高さ位置H1と、第2搬送手段50によるセッター101の搬送高さ位置H2と、第3搬送手段70によるセッター101の搬送高さ位置H3と、が同じである。」とは、所定のワーク台14,24に被処理物102(セッター101)を搬送するうえで、被処理物102(セッター101)がワーク台14,24に載せられる位置が同じであることをいう。よって、各搬送手段30,50,70の種類・方式が異なることでセッター101を搬送する軌道が異なる形態や、各搬送手段30,50,70が搬送するときの掴んだり載せたりする形態が、異なっていてもワーク台14,24に載せられる位置が同じであればよい。載せられる位置が同じであるので、例えば上下に移動させるための昇降装置を設ける必要がない。
【0059】
第1搬送手段30、第1チャンバユニット40、第3搬送手段70、および第3チャンバユニット80は、加熱室10,20に対して同じ方向側に設置されており、加熱室10,20に対して前側に設置されている。このような配置は、例えば、前工程の処理と、後工程の処理と、が長いライン状である場合にこれら処理ラインを並行して配置し、前工程の処理ラインに繋げて、前工程の処理ラインから搬出された被処理物102を第1搬送手段30にて第1加熱室10搬入させ、第2加熱室20から被処理物102を搬出する第3搬送手段70に後工程の処理ラインに繋げるU字状の搬送ラインを構築することで、設置スペースに対して効率よくレイアウトできる。このようなレイアウトは、熱処理装置1による被処理物102の熱処理の前工程の処理や後工程の処理との関係や、熱処理装置1の設置場所のスペースとの関係や、作業者の使い勝手等により決めればよい。
【0060】
<熱処理装置1におけるセッター101の搬送動作>
次に、熱処理装置1におけるセッター101の搬送動作を説明する。
【0061】
以下では、(1)セッター101を第1加熱室10に搬入する動作、(2)セッター101を加熱室10,20間で搬送する動作、(3)セッター101を第2加熱室20から搬出する動作を、順に説明する。これら(1)~(3)の動作では、セッター101は、
図1の矢印B1~B3の順に搬送される。
【0062】
<(1)セッター101を第1加熱室10に搬入する動作>
セッター101を第1加熱室10に搬入する際には、まず、第1チャンバユニット40の扉45を開け、セッター101が第1チャンバユニット40内に入れられる。このとき、セッター101は、扉45の直下に配置された第1搬送ロッド31の凸部36に載せられる。
【0063】
次に、第1チャンバユニット40の扉45が閉じられた後、断熱扉42およびシール扉43が開かれ、セッター101が第1開口15と直接向かい合う。
【0064】
次に、第1搬送ロッド31が第1搬送方向D1に移動することで、第1開口15を通ってセッター101が第1加熱室10に搬入され、第1ワーク台14の上方に位置される。
【0065】
次に、第1搬送ロッド31が回転することでの凸部36が下向きになり、セッター101が第1ワーク台14に載せられる。
【0066】
次に、第1搬送ロッド31の凸部36は、第1チャンバユニット40の開閉扉45の下方にまで後退し、断熱扉42およびシール扉43が閉じられる。この状態で、第1加熱室10にて被処理物102が熱処理された後、セッター101は、第1加熱室10から第2加熱室20へ搬送される。
【0067】
<(2)セッター101を加熱室10,20間で搬送する動作>
第1搬送ロッド31が第1加熱室10から待避した状態において、第2チャンバユニット60では、アクチュエータ(駆動機構44)によって断熱扉42が開かれることで、第2搬送ロッド51と第2開口16とが直接向かい合う。
【0068】
次に、第2搬送ロッド51は、第2開口16を通って第1加熱室10に移動することで、第2搬送手段51の凸部36がセッター101の下方に位置される。次に、第2搬送ロッド51が回転することで凸部36が上向きになることで、セッター101が持ち上げられる。
【0069】
次に、扉2が開かれ、次いで、第2搬送ロッド51と共にセッター101が、第2搬送方向D2に沿って第2加熱室20の第2ワーク台24まで搬送される。
【0070】
次に、第2搬送ロッド51の凸部36が下向きになり、セッター101が第2ワーク台24に載せられる。
【0071】
次に、第2搬送ロッド51は、第2チャンバユニット60のチャンバ41まで後退し、扉2が閉じられ、次いで、断熱扉42が閉じられる。この状態で、第2加熱室20にて被処理物102が熱処理された後、セッター101は、第2加熱室20から第2加熱室20の外部へ搬送される。
【0072】
<(3)セッター101を第2加熱室20から搬出する動作>
第1搬送手段30に代えて第3搬送手段70が行う点以外は、説明した、第1加熱室10へのセッター101の搬入動作の手順と逆の手順によって、セッター101が搬送され、第2加熱室20から第2チャンバユニット80内における扉45の下方に到達する。その後、扉45が開かれ、セッター101が第4開口18を通して第2チャンバユニット80から取り出されることで、熱処理装置1における被処理物102の熱処理が完了する。
【0073】
以上が第1実施形態の説明である。
【0074】
以下では、第1実施形態と異なる構成を主に説明し、第1実施形態と同様の構成には図に同様の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0075】
<第2実施形態>
【0076】
図6は、第2実施形態の熱処理装置1の構成を説明するための模式的な断面図である。
【0077】
第2実施形態の熱処理装置1は、第1実施形態の熱処理装置1においる第3搬送手段70を除いた構成である。
【0078】
第1実施形態では、搬送手段として、第1搬送手段30と第2搬送手段50と第3搬送手段70が設けられていた。この第1実施形態の場合、セッター101は、矢印B1~B3の順に搬送された。より具体的には、被処理物102の熱処理後に、セッター101を第2加熱室20から取出す時に、第3搬送手段70によってセッター101を直接取り出した。一方で、第2実施形態は、一旦、第2搬送手段50によってセッター101を第2加熱室20から第1加熱室10へ戻し、その後第1搬送手段30でセッター101を取り出す構成になっている。なお、この構成では、第2搬送手段70にてセッター101を第2加熱室20から第1加熱室10に搬送してから、第1搬送手段30にて第1加熱室10からセッター101を取り出すようにしているが、例えば、第2加熱室20からセッター101を作業者が直接取り出すようにしてもよい。
【0079】
<第2実施形態におけるセッター101の搬送動作>
次に、第2実施形態におけるセッター101の搬送動作を説明する。
【0080】
第2実施形態の熱処理装置1では、(1)セッター101を第1加熱室10に搬入する動作、(2)セッター101を第1加熱室10から第2加熱室20へ搬送する動作、(3)セッター101を第2加熱室20から第1加熱室10へ搬送する動作、(4)セッター101を第1加熱室10から搬出する動作、が行われる。これら(1)~(4)の動作では、セッター101は、
図6の矢印A1~A4の順に搬送される。
【0081】
<変形例>
以下では、変形例を説明する。
【0082】
(1)各実施形態では、第1搬送手段30は、第1加熱室10の壁11a側に設置される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。第1搬送手段30は、第1加熱室10における壁11b以外の壁11側に設置されてもよい。例えば、第1搬送手段30が、第1加熱室10の壁11の壁11c側に設置されてもよい。
【0083】
実施形態の変形例の模式図である
図7(A)に示すように、例えば、第1搬送手段30が第1加熱室10の壁11の壁11e側に設置される場合、第1搬送手段30は、第1ワーク台14を上下に移動させることで、セッター101を第1加熱室10の内部と外部に移動する。この変形例に代えて、第1搬送手段30が第1加熱室10の壁11の壁11d側に設置されてもよい。この場合、第1搬送手段30は、第1ワーク台14を上下に移動させることで、セッター101を第1加熱室10の内部と外部に移動する。
【0084】
(2)第1実施形態では、第3搬送手段70は、第2加熱室20の壁21a側に設置される形態を例に説明した。しかしながら、変形例として、第3搬送手段70は、第2加熱室20における壁21a以外の壁21側に設置されてもよい。例えば、第3搬送手段70が第2加熱室20の壁21の壁21c側に設置されてもよい。
【0085】
(3)
図7(A)に示すように、第3搬送手段70が第2加熱室20の壁21の壁21e側に設置される場合、第3搬送手段70は、例えば第2ワーク台24を上下に移動させることで、セッター101を第2加熱室20の内部と外部に移動する。この変形例に代えて、第3搬送手段70が第2加熱室20の壁21の壁21d側に設置されてもよい。この場合、第3搬送手段70は、例えば第2ワーク台24を上下に移動させることで、被処理物100を第2加熱室20の内部と外部に移動する。なお、第3搬送手段70が第2加熱室20の壁21の壁21b側に設置されていてもよい。
【0086】
特に、第1搬送手段30と第3搬送手段70の両方を加熱室10,20の上側または下側に配置してもよい。このような搬送手段の配置は、熱処理装置1による被処理物102の熱処理の前工程の処理ラインや後工程の処理ラインとの関係や、熱処理装置1の設置場所との関係や、作業者の使い勝手等により決めればよい。このようなレイアウトは、熱処理装置1による被処理物102の熱処理の前工程の処理や後工程の処理との関係や、熱処理装置1の設置場所のスペースとの関係や、作業者の使い勝手等により決めればよい。
【0087】
(4)各実施形態では、第1加熱室10側に第2搬送手段50が設置される形態を例に説明したけれども、実施形態の別の変形例の模式図である
図7(B)に示すように、第2搬送手段50は、第2加熱室20側に設置されてもよい。この場合、第2搬送手段50の一部(第2搬送ロッド51の本体35)が、第2搬送方向D2における第2加熱室20の壁21(壁21b)を通過する。第2搬送手段50、および第2開口16は、例えば、実施形態における第2搬送手段50と左右対称なレイアウトとなる。この場合においても、第1搬送手段30は、第1加熱室10の壁11のうち、壁11b以外の箇所に配置されていればよい。また、第3搬送手段70は、第2加熱室20の壁21のうち、壁21a以外の箇所に配置されていればよい。なお、第2加熱室20側に第2搬送手段50が設置される場合、第1加熱室10側の第2搬送手段50は省略されてもよい。
【0088】
(5)各実施形態では、加熱室として第1加熱室10と第2加熱室20が合計で2つ備えられる形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、実施形態のさらに別の変形例の模式図である
図7(C)に示すように、熱処理装置1において、第2搬送方向D2に並ぶ3つ以上の加熱室が備えられていてもよい。この場合、例えば、第1加熱室10および第2加熱室20の少なくとも一方が2つ以上設置される。3つの加熱室が備えられる場合、加熱室の並び順は、例えば、第1加熱室10、第2加熱室20、第2加熱室20の順であってもよいし、第2加熱室20、第1加熱室10、第2加熱室20の順であってもよい。第2搬送方向D2に隣接する加熱室同士は、セッター101が通過する第3開口17を形成された壁でつながっており、第2搬送手段50によってセッター101が複数の加熱室間を搬送される。被処理物102の熱処理時における第1加熱室10内の雰囲気温度と、複数の第2加熱室20内の雰囲気温度は、同一でもよいし、互いに異なっていてもよい。3つ並べられる加熱室の雰囲気温度が、加熱室の並び順に低温、中温、高温と3段階に設定されていてもよい。また、この変形例では、熱処理装置1として第1搬送手に段30が少なくとも1つ備えられていればよく、搬送手段30,70の何れも設置されていない加熱室が存在していてもよい。
【0089】
(6)また、各実施形態では、第1および第3搬送手段30,70は、第2搬送方向D2には移動しない構成であったけれども、この通りでなくてもよい。例えば、
図7(D)に示すように、加熱室10,20に対して第2搬送方向D2に沿って移動可能な搬送手段90(搬送ロッド91)が備えられていてもよい。この場合、搬送手段90は、第2搬送方向D2に図示しないアクチュエータなどで搬送されることで、第1加熱室10、または第2加熱室20の側方に移動する。この搬送手段90は、第1搬送手段30と同様の構成であり、第1加熱室10の外部から内部へセッター101を搬入するときには第1搬送手段となり、第2加熱室20の内部から外部へセッター101を搬出するときには第3搬送手段となる。この変形例では、第1開口15または第4開口18を開閉させる扉が設けられ、搬送手段90が通過するときには、この扉が開かれる。
【0090】
(7)第1実施形態、および
図7(C)に示す変形例において、第1搬送手段30は、セッター101を第1加熱室10の外部から内部に搬入し、且つ、セッター101を第1加熱室10の内部から外部へ搬出してもよい。また、第3搬送手段70は、セッター101を第2加熱室20の外部から内部に搬入し、且つ、セッター101を第2加熱室20の内部から外部へ搬出してもよい。
【0091】
(8)各実施形態では、第1搬送方向D1、第2搬送方向D2、および第3搬送方向D3は、それぞれ、当該方向に進むと突き当たる壁11,21の外面に対して直交する方向であった。しかしながら、この通りでなくてもよい。第1搬送方向D1、第2搬送方向D2、および第3搬送方向D3は、そのうちの少なくとも1つが、当該方向に進むと突き当たる壁11,21の外面に対して斜めに交差する方向であってもよい。この場合、第1搬送手段30および第3搬送手段70のいずれかの長手方向が、前後方向、または上下方向に対して傾斜した方向となる、或いは、第2搬送手段50の長手方向が、左右方向に対して傾斜した方向となる。
【0092】
(9)各実施形態では、各搬送ロッド31,51,71が一対設けられてセッター101を両持ち支持する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。各搬送ロッド31,51,71の少なくとも1つにおいて、一本のロッドでセッター101を片持ち支持する構成であってもよい。
【0093】
(10)各実施形態では、第1搬送手段30の一部である第1搬送ロッド31が第1加熱室10の壁11(壁11a)を通過する例、第2搬送手段50の一部である第2搬送ロッド51が第2搬送方向D2における第1加熱室10または第2加熱室20のいずれかの壁11,21(壁11b,壁21b)を通過する例、第3搬送手段70の一部である第3搬送ロッド71が第2加熱室20の壁21(壁21a)を通過する例について説明した。すなわち、搬送手段の一部(搬送ロッド)が通過する例について説明したが、この通りでなくともよい。搬送手段の全てが通過するようにしてもよい。この場合搬送手段の構成する搬送ロッドと、アクチュエータ(移動機構32,回転機構33)と、が全て加熱室の壁を通過することで、セッター101が搬送される。
【0094】
(11)各実施形態では、各搬送手段30,50,70としてアクチュエータを介してロッドを直線移動させる搬送装置を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。第1搬送手段30は、第1加熱室10の内部と外部との間でセッター101を搬送できればよく、第2搬送手段50は、複数の加熱室間でセッター101を搬送できればよく、第3搬送手段70は、第2加熱室の内部と外部との間でセッター101を搬送できればよい。よって、各搬送手段30,50,70として、セッター101を載置する支持部と、搬送方向に伸縮するアームとそれらを動作させるアクチュエータを備えた搬送装置や、多関節アームの先端にセッター101を載せて移送する搬送装置などが用いられてもよい。これらの搬送装置にて、セッター101が対応する搬送方向D1,D2,D3にそれぞれ搬送される。また、各実施形態では、セッター101が直線移動される形態を例に説明したけれども、少なくとも1つの搬送手段においてセッター101は、直線ではない曲線などの搬送方向に沿って搬送されてもよい。
【0095】
(12)各実施形態では、被処理物102が小さい又は機械的強度が低く脆い素材で形成されているなど、被処理物102をセッター101に載せられた状態で、搬送および熱処理が行われる例について説明したが、搬送手段にて直接に掴んだり載せたりできる被処理物102は、セッター101に載せて搬送しなくてもよく、直接搬送されてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 熱処理装置
10 第1加熱室
20 第2加熱室
30 第1搬送手段
50 第2搬送手段
70 第3搬送手段
101 セッター
102 被処理物