(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007809
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0175 20060101AFI20240112BHJP
H03K 19/018 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H03K19/0175 240
H03K19/018
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109144
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 亮
(72)【発明者】
【氏名】徳本 功
(72)【発明者】
【氏名】飯田 拓也
【テーマコード(参考)】
5J056
【Fターム(参考)】
5J056AA01
5J056BB37
5J056BB51
5J056BB58
5J056CC03
5J056CC21
5J056DD02
5J056DD25
5J056DD51
5J056DD55
5J056FF08
5J056KK01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】入力された電圧に対する判定を効率的に行う入力回路を備える車載装置を提供する。
【解決手段】車載装置は、入力回路2、駆動電源回路4及び電圧変換回路5を備える。入力回路は、pnp型バイポーラトランジスタT2、第2プルアップ抵抗R4、ベース抵抗R5、プルアップ回路3及び入力端21を備える。プルアップ回路は、直列に接続されるプルアップ電源31、第1プルアップ抵抗3及び第2ダイオードD2を含み、pnp型バイポーラトランジスタのベースと、入力端との間に設けられる。第2プルアップ抵抗は、pnp型バイポーラトランジスタのベースと、駆動電源回路との間に設けられ、ベース抵抗は、pnp型バイポーラトランジスタのベースと、第2プルアップ抵抗との間に設けられている。第2プルアップ抵抗とベース抵抗との接続点と、入力端との間には、第1ダイオードD1がカソードを入力端に向けて介在している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であって、
入力電圧が入力される入力端を含む入力回路と、
前記入力回路への駆動電圧を出力する駆動電源回路とを備え、
前記入力回路は、pnp型バイポーラトランジスタ、プルアップ回路、第2プルアップ抵抗、及びベース抵抗を含み、
前記プルアップ回路は、直列に接続されるプルアップ電源、第1プルアップ抵抗及び、前記第1プルアップ抵抗にアノードを向けた第2ダイオードを含み、前記pnp型バイポーラトランジスタのベースと、前記入力端との間に設けられ、
前記第2プルアップ抵抗は、前記pnp型バイポーラトランジスタのベースと、前記駆動電源回路との間に設けられ、
前記ベース抵抗は、前記pnp型バイポーラトランジスタのベースと、前記第2プルアップ抵抗との間に設けられており、
前記第2プルアップ抵抗と前記ベース抵抗との接続点と、前記入力端との間には、第1ダイオードがカソードを前記入力端に向けて介在している
車載装置。
【請求項2】
前記駆動電源回路は、
駆動電源、npn型バイポーラトランジスタ、第1抵抗、及び、第1抵抗に直列に接続される第2抵抗を含み、
前記第1抵抗と前記第2抵抗とによる抵抗分圧比に応じた前記駆動電圧を出力する
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記入力回路とマイコン間にて電圧変換を行う電圧変換回路を更に備え、
前記電圧変換回路は、
レベルシフト電源とデジタルトランジスタとを含むレベルシフト回路であり、
前記レベルシフト回路にて変換された電圧を、前記デジタルトランジスタのコレクタに接続される前記マイコンに出力する
請求項1又は請求項2に記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷を電流で駆動する定電流駆動装置が開示されている(例えば、特許文献1)。定電流駆動装置は、第1の端子と第2の端子との間に接続される第1の電流駆動回路と、第3の端子と、第1の端子又は第2の端子との間に接続される第2の電流駆動回路とを備え、負荷に流れる電流を第1の電流駆動回路と第2の電流駆動回路に分流して流す。第1の電流駆動回路は、第1のオペアンプと第1のトランジスタからなり、第1のトランジスタは第1の端子と第2の端子の間に電流が流れるように接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のトランジスタを用いた定電流駆動装置においては、入力された電圧に対し所定の閾値に基づきハイ又はローであるかを判定するにあたり、当該閾値が小さい場合であっても、当該判定を効率的に行う点については、考慮されていない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、入力された電圧に対する判定を効率的に行うことができる入力回路を備える車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、入力電圧が入力される入力端を含む入力回路と、前記入力回路への駆動電圧を出力する駆動電源回路とを備え、前記入力回路は、pnp型バイポーラトランジスタ、プルアップ回路、第2プルアップ抵抗、及びベース抵抗を含み、前記プルアップ回路は、直列に接続されるプルアップ電源、第1プルアップ抵抗及び、前記第1プルアップ抵抗にアノードを向けた第2ダイオードを含み、前記pnp型バイポーラトランジスタのベースと、前記入力端との間に設けられ、前記第2プルアップ抵抗は、前記pnp型バイポーラトランジスタのベースと、前記駆動電源回路との間に設けられ、前記ベース抵抗は、前記pnp型バイポーラトランジスタのベースと、前記第2プルアップ抵抗との間に設けられており、前記第2プルアップ抵抗と前記ベース抵抗との接続点と、前記入力端との間には、第1ダイオードがカソードを前記入力端に向けて介在している。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、入力された電圧に対する判定を効率的に行う入力回路を備える車載装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る車両に搭載される車載装置の概要を例示する模式図である。
【
図2】車載装置に含まれる入力回路等の構成を例示する回路図である。
【
図3】入力回路等の動作を説明する説明図(タイミングチャート)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、入力電圧が入力される入力端を含む入力回路と、前記入力回路への駆動電圧を出力する駆動電源回路とを備え、前記入力回路は、pnp型バイポーラトランジスタ、プルアップ回路、第2プルアップ抵抗、及びベース抵抗を含み、前記プルアップ回路は、直列に接続されるプルアップ電源、第1プルアップ抵抗及び、前記第1プルアップ抵抗にアノードを向けた第2ダイオードを含み、前記pnp型バイポーラトランジスタのベースと、前記入力端との間に設けられ、前記第2プルアップ抵抗は、前記pnp型バイポーラトランジスタのベースと、前記駆動電源回路との間に設けられ、前記ベース抵抗は、前記pnp型バイポーラトランジスタのベースと、前記第2プルアップ抵抗との間に設けられており、前記第2プルアップ抵抗と前記ベース抵抗との接続点と、前記入力端との間には、第1ダイオードがカソードを前記入力端に向けて介在している。
【0011】
本態様にあたっては、車載装置は、入力回路、入力回路への駆動電圧を出力する駆動電源回路、及び入力回路の出力端に接続される電圧変換回路を備える。これら入力回路及び駆動電源回路によりローサイド入力回路装置が構成される。当該ローサイド入力回路装置を含む車載装置は、例えば、車両に搭載されるボディ系アクチュエータの駆動制御を行うボディECU、CANゲートウェイ等の中継装置、又は半導体ヒューズを備える電気接続箱として機能する。車載装置(ローサイド入力回路装置)は、入力回路の入力端(入力コネクタが接続されるコネクタ端)から入力された入力電圧に応じて、ハイ又はローの信号(出力電圧)を出力する。ハイ又はローの信号(出力電圧)は、例えば、入力回路の出力端に接続される電圧変換回路から、マイコン等に出力される。ハイ又はローの信号(出力電圧)が入力されたマイコンは、当該信号(出力電圧)に基づき、種々の制御処理又は演算処理を行う。入力回路は、pnp型バイポーラトランジスタを含み、入力端(コネクタ端)から延設された第1導電路は、pnp型バイポーラトランジスタのベースに接続されている。当該第1導電路には、第1ダイオード及びベース抵抗が介在して設けられており、この場合、入力端の電圧(V:入力端電圧)は、駆動電圧(V_OUT)から、第1ダイオードの電圧降下(VfD:順方向電圧)、及びpnp型バイポーラトランジスタのエミッタ・ベース間電圧降下(Vbe)を減算した値(V=V_OUT-Vf-Vbe)となる。入力端に入力された入力電圧(Vin)に対し、ロー又はハイ判定する際の閾値(ON/OFF電圧の閾値)が、比較的に小さい値(低電圧)となる場合、入力端電圧を決定する各素子の温度特性等によるばらつきの影響が大きくなる。これに対し、入力端電圧(V)に対し影響を与えるのは、第2第1導電路に介在して設けられる第1ダイオードの電圧降下及びpnp型バイポーラトランジスタのエミッタ・ベース間電圧降下であるため、ばらつきを小さくすることができ、閾値の高精度化を実現することができる。例えば、抵抗内蔵型のデジタルトランジスタを用いた場合、当該デジタルトランジスタの内部抵抗(Ri)とベース抵抗(Rb)との抵抗分圧比((Ri+Rb)/Ri)により、pnp型バイポーラトランジスタのエミッタ・ベース間電圧降下が決定(Vbe×(Ri+Rb)/Ri)される。この場合、デジタルトランジスタの内部抵抗(Ri)の誤差(ばらつき)が大きく、抵抗分圧比が大きく変わってしまうことが懸念される。これに対し、上述のとおり、入力回路は、pnp型バイポーラトランジスタを用い、第2プルアップ抵抗とベース抵抗とを並列接続することにより、抵抗分圧を廃止(不要に)でき、デジタルトランジスタを用いる場合と比較して、ばらつきを小さくすることができる。これにより、閾値の高精度化を実現することができ、かつ比較的に安価な素子を用いることができるため、製品コストの低減を図ることができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載装置は、前記駆動電源回路は、駆動電源、npn型バイポーラトランジスタ、第1抵抗、及び、第1抵抗に直列に接続される第2抵抗を含み、前記第1抵抗と前記第2抵抗とによる抵抗分圧比に応じた前記駆動電圧を出力する。
【0013】
本態様にあたっては、駆動電源回路は、駆動電源、npn型バイポーラトランジスタ、第1抵抗、及び、第1抵抗に直列に接続される第2抵抗を含み、例えば、エミッタフォロワー回路により構成される。このようにエミッタフォロワー回路を用いて駆動電源回路を構成することにより、駆動電源回路による出力電圧(V_OUT)が、駆動電源の出力電圧(V_OUT)に対し、一定となるように第1抵抗(R1)及び第2抵抗(R2)による抵抗分圧比にて、出力電圧調整を行うことができる。又、これら第1抵抗(R1)及び第2抵抗(R2)の抵抗定数を変更することにより、ロー又はハイ判定する際の閾値(ON/OFF電圧の閾値)を調整することが可能となり、駆動電源回路における可用性を向上させることができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載装置は、前記入力回路とマイコン間にて電圧変換を行う電圧変換回路を更に備え、前記電圧変換回路は、レベルシフト電源とデジタルトランジスタとを含むレベルシフト回路であり、前記レベルシフト回路にて変換された電圧を、前記デジタルトランジスタのコレクタに接続される前記マイコンに出力する。
【0015】
本態様にあたっては、電圧変換回路は、レベルシフト電源とデジタルトランジスタとを含むレベルシフト回路にて構成され、当該レベルシフト回路にてレベルシフト(電圧変換)された出力電圧が、電圧変換回路から出力される。このように電圧変換回路によって、入力回路とマイコン間にて電圧変換が行われる。例えば、当該電圧変換回路の出力端(マイコン端)に、マイコン、IC(Integrated Circuit)、ASCI(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等、演算機能を有する電子部品が接続された場合、当該マイコン等のスレッシュホールド電圧が、駆動電源回路からの出力電圧に対応していないことも考えられる。このような場合であっても、電圧変換回路(レベルシフト回路)のレベルシフト電源の出力電圧を用いることにより、駆動電源回路からの出力電圧(プルアップ電圧)に依存することなく、マイコン等のスレッシュホールド電圧に対応(満足)させることができる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車載装置1を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0017】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る車両Cに搭載される車載装置1の概要を例示する模式図である。
図2は、車載装置1に含まれる入力回路2等の構成を例示する回路図である。車載装置1は、車両Cに搭載され、入力回路2、及び入力回路2への駆動電圧を出力する駆動電源回路4を備え、更に入力回路2の出力端に接続される電圧変換回路5を備えるものであってもよい。車載装置1は、更に当該電圧変換回路5に接続されるマイコン6を備えるものであってもよい。駆動電源回路4と入力回路2とは、第2導電路102にて接続されている。入力回路2と電圧変換回路5とは、第3導電路103にて接続されている。
【0018】
これら入力回路2、駆動電源回路4及び電圧変換回路5によりローサイド入力回路装置が構成される。当該ローサイド入力回路装置として機能する車載装置1は、入力回路2に入力された入力電圧の電圧値に応じて、ハイ(Hi)又はロー(Lo)を示す信号(出力電圧)をマイコン6に出力する。詳細は、後述するが、入力回路2及び駆動電源回路4により、入力電圧に対しハイ・ロー判定する際の閾値(ON/OFF電圧の閾値)が決定される。入力回路2はpnp型バイポーラトランジスタT2を備え、ベース抵抗R5等による分圧比を廃止した構成としているため、比較的に低電圧の閾値を設定でき、かつ当該閾値の高精度化を図り、閾値のばらつきを小さくすることができる。
【0019】
駆動電源回路4は、駆動電源41、npn型バイポーラトランジスタT1、第1抵抗R1、及び第2抵抗R2を備える。駆動電源41は、車両Cに搭載された鉛バッテリ又はオルタネータ等の電源装置から供給される電圧(例えば、12V)を、レギュレータ等を用いて降圧された所定の電圧(例えば、5V)を出力する。
【0020】
駆動電源41には、npn型バイポーラトランジスタT1が接続されており、npn型バイポーラトランジスタT1に対し、常時、駆動電源41から出力される電圧が印加される。駆動電源41からnpn型バイポーラトランジスタT1に延設された電線は、2つに分岐され、分岐された2つの端部それぞれは、npn型バイポーラトランジスタT1のコレクタと、ベースとに接続される。
【0021】
駆動電源41と、npn型バイポーラトランジスタT1のベースとの間には、第1抵抗R1が介在して設けられている。第1抵抗R1からグランドに延設される電線には、第2抵抗R2が介在して設けられている。すなわちnpn型バイポーラトランジスタT1のベースには、第1抵抗R1と第2抵抗R2との接続点から、延設された電線が接続されるものなる。このような接続形態により、第1抵抗R1及び第2抵抗R2は直列に接続され、npn型バイポーラトランジスタT1のベースは、第1抵抗R1と第2抵抗R2との接続点に接続されることにより、npn型バイポーラトランジスタT1のエミッタから出力される電圧は、第1抵抗R1と第2抵抗R2との抵抗分圧比に応じた電圧値となる。
【0022】
このように、駆動電源回路4は、第1抵抗R1と第2抵抗R2との抵抗分圧比に応じて、駆動電源41からの出力電圧(VCC)を所定の電圧(V_OUT)に降圧するエミッタフォロワー回路にて構成される。当該降圧された電圧が、駆動電源回路4としての出力電圧(V_OUT)に相当する。当該エミッタフォロワー回路を用いることにより、リニアレギュレータの動作原理をも基にnpn型バイポーラトランジスタT1をアナログ的に使用し、抵抗分圧にて出力電圧(V_OUT)を調整することができる。これにより、比較的に高価なコンパレータを不要とし、安価な構成で必要機能を実現(充足)することが可能となる。
【0023】
駆動電源回路4による出力電圧(V_OUT)は、駆動電源41の出力電圧(VCC)に対し、一定となるように第1抵抗R1(Ω:R1)及び第2抵抗R2(Ω:R2)による抵抗分圧比(V_OUT=VCC*R2/(R1+R1)-Vbe[npn型バイポーラトランジスタT1のエミッタ・ベース間電圧降下])にて、出力電圧調整が行われるものとなる。抵抗分圧比は、第1抵抗R1及び第2抵抗R2の抵抗定数を変更することにより変更可能であり、従って、ハイ又はロー判定する際の閾値(ON/OFF電圧の閾値)を効率的に調整できるため、駆動電源回路4における可用性を向上させることができる。
【0024】
npn型バイポーラトランジスタT1のエミッタと、入力回路2が含むpnp型バイポーラトランジスタT2のエミッタとは、第2導電路102により、接続されている。駆動電源回路4から抵抗分圧比にて降圧された出力電圧(V_OUT)が、入力回路2のpnp型バイポーラトランジスタT2に対し常時、印加される。
【0025】
入力回路2は、pnp型バイポーラトランジスタT2、第2プルアップ抵抗R4、ベース抵抗R5、プルアップ回路3、及び入力端21を備える。pnp型バイポーラトランジスタT2のエミッタには、第2導電路102が接続されており、当該第2導電路102を介して、駆動電源回路4から抵抗分圧比にて降圧された出力電圧(V_OUT)が、常時、印加される。
【0026】
pnp型バイポーラトランジスタT2のベースは、入力端21と、第1導電路101にて接続されている。入力端21は、例えば、コネクタ端子等にて構成され、コネクタ端として機能するものであってもよい。入力端21(コネクタ端)には、ハイ又はローの判定対象となる入力電圧が、入力される。pnp型バイポーラトランジスタT2のコレクタは、電圧変換回路5と、第3導電路103にて接続されている。当該pnp型バイポーラトランジスタT2のコレクタは、入力回路の出力端に相当する。
【0027】
第2導電路102と第1導電路101との間には、第2プルアップ抵抗R4が介在して設けられている。すなわち、第2プルアップ抵抗R4は、第2接続点S2にて第1導電路101と接続し、第3接続点S3にて第2導電路102と接続している。
【0028】
ベース抵抗R5は、pnp型バイポーラトランジスタT2のベースと、第3接続点S3(第2プルアップ抵抗R4と第1導電路101との接続点)との間に介在して設けられている。このような構成とすることにより、pnp型バイポーラトランジスタT2のベースに接続される入力端21(コネクタ端)の電圧(V:入力端21電圧)に対し、抵抗分圧を廃止することができる。例えば、抵抗内蔵型のデジタルトランジスタT3を用いた場合、内部抵抗とベース抵抗R5とが直列接続され、当該内部抵抗のばらつきにより、抵抗分圧比が変動し、入力端21(コネクタ端)の電圧(V:入力端21電圧)がばらつくことが懸念される。これに対し、pnp型バイポーラトランジスタT2を用いた上で、第2プルアップ抵抗R4とベース抵抗R5とを並列接続することにより、抵抗分圧を廃止させ、入力電圧のハイ・ロー判定する際の閾値の精度を向上させることができる。
【0029】
プルアップ回路3は、プルアップ電源31、第1プルアップ抵抗R3、及び第2ダイオードD2を備える。プルアップ電源31、第1プルアップ抵抗R3、及び第2ダイオードD2は、プルアップ電源31からの電流の流れ方向において、この順番にて、直列接続される。第2ダイオードD2のカソードと、第1導電路101とは、第1接続点S1にて接続されている。第1導電路101における第1接続点S1と、第2接続点S2との間には、第1ダイオードD1が、アノードを第2接続点S2の側(pnp型バイポーラトランジスタT2のベース側)に向けて、介在して設けられている。このように第1導電路101には、プルアップ回路3の第1プルアップ抵抗R3と、第2プルアップ抵抗R4とが接続されるため、当該第1導電路101の電位が不安定な状態となることを防止し、製品仕様に対応した十分に高い電位に保っておくことを効率的に行うことができる。
【0030】
このように構成された入力回路2は、ローサイド入力回路として機能する。入力端21(コネクタ端)から入力された入力電圧(Vin)に対し、ロー又はハイ判定する際の閾値(ON/OFF電圧の閾値)は、入力端21の電圧(V:入力端21電圧)に基づくものとなる。入力端21の電圧(V:入力端21電圧)は、駆動電源回路4からの出力電圧(V_OUT)から、第1ダイオードD1の電圧降下(VfD:順方向電圧)、及びpnp型バイポーラトランジスタT2のエミッタ・ベース間電圧降下(Vbe)を減算した値(V=V_OUT-Vf-Vbe)となる。
【0031】
入力端21に入力された入力電圧(Vin)に対し、ハイ・ロー判定する際の閾値(ON/OFF電圧の閾値)が、比較的に小さい値(低電圧)となる場合、pnp型バイポーラトランジスタT2及び第1ダイオードD1等、各素子の温度特性が、影響する。これに対し、入力電圧(Vin)に対し影響を与えるのは、第1ダイオードD1の電圧降下及びpnp型バイポーラトランジスタT2のエミッタ・ベース間電圧降下であるため、ばらつきを小さくすることができ、閾値の高精度化を実現することができる。
【0032】
電圧変換回路5は、レベルシフト電源51とデジタルトランジスタT3とを備えるレベルシフト回路にて、構成される。デジタルトランジスタT3は、内部抵抗を備えたnpn型のトランジスタである。デジタルトランジスタT3のベースには、入力回路2のpnp型バイポーラトランジスタT2のコレクタから延設される第3導電路103が、接続される。デジタルトランジスタT3のコレクタは、マイコン6及びレベルシフト電源51に接続される。デジタルトランジスタT3のエミッタは、グランドに接地される。
【0033】
レベルシフト電源51とレベルシフト用抵抗R6は、直列接続され、レベルシフト用抵抗R6は、マイコン6とデジタルトランジスタT3のコレクタとを接続する電線に接続されている。すなわち、レベルシフト用抵抗R6の一端はレベルシフト電源51に接続され、レベルシフト用抵抗R6の他端は、マイコン6とデジタルトランジスタT3のコレクタとを接続する電線に接続されている。
【0034】
デジタルトランジスタT3は、ベースに接続される第3導電路103を介して入力される電圧に応じて、オン又はオフとなる。デジタルトランジスタT3がオフの場合、レベルシフト電源51からハイ(Hi)の電圧が、マイコン6に入力される。デジタルトランジスタT3がオンの場合、マイコン6はグランド電位となり、ロー(Lo)の電圧がマイコン6に入力される。このようにレベルシフト回路を用いて電圧変換回路5を構成することにより、電圧変換回路5に接続されるマイコン6等のスレッシュホールド電圧に対し、駆動電源回路4からの出力電圧(V_OUT)に依存することなく、当該スレッシュホールド電圧を満足させることができる。
【0035】
マイコン6は、MPU等の制御部、RAM又はROM等記憶部、及び、入出力端子又はコネクタ等を有し、演算機能等を備えるコンピュータである。マイコン6は、電圧変換回路5から出力される出力電圧に応じて、入力端21(コネクタ端)から入力された入力電圧が、ハイ(Hi)又はロー(Lo)であるかを判定する。マイコン6には、例えば、スレッシュホールド電圧が設定されており、電圧変換回路5から出力される出力電圧が、スレッシュホールド電圧以上である場合、ハイ(Hi)判定し、スレッシュホールド電圧未満である場合、ロー(Lo)判定するものであってもよい。本実施形態において、電圧変換回路5にはマイコン6が接続されるとしたが、これに限定されず、例えば、IC(Integrated Circuit)、ASCI(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等、演算機能を有する電子部品が接続されるものであってもよい。
【0036】
図3は、入力回路2等の動作を説明する説明図(タイミングチャート)である。本説明図(タイミングチャート)においては、入力端21(コネクタ端)、駆動電源回路4のnpn型バイポーラトランジスタT1、入力回路2のpnp型バイポーラトランジスタT2、及び電圧変換回路5のデジタルトランジスタT3(マイコン6端)における動作を電圧レベル(Hi、Lo)にて説明する。
図3にて示すAからDの符号は、
図2にて矢印にて示す符号に対応し、各電圧レベル(Hi、Lo)は、当該矢印にて示される部位における電圧レベル(Hi、Lo)を例示する。
【0037】
駆動電源回路4のnpn型バイポーラトランジスタT1は、常時、オンであり、上述のとおり抵抗分圧比に応じて降圧した駆動電圧を、第1導電路101を介して、入力回路2のpnp型バイポーラトランジスタT2に出力(印加)する。入力回路2の入力端21(コネクタ端)は、入力される入力電圧に応じて、変化する。当該入力電圧は、例えば、12Vから0Vに変化するものであってもよい。
【0038】
入力回路2の入力端21(コネクタ端)の入力電圧の電圧レベルが、ハイ(Hi)の場合、入力回路2のpnp型バイポーラトランジスタT2はオフとなり、pnp型バイポーラトランジスタT2のコレクタから出力される電圧の電圧レベルは、ロー(Lo)となる。この場合、電圧変換回路5のデジタルトランジスタT3はオフとなり、デジタルトランジスタT3のエミッタ、すなわちマイコン6が接続されるマイコン6端の電圧の電圧レベルは、ハイ(Hi)となる。
【0039】
入力回路2の入力端21(コネクタ端)の入力電圧の電圧レベルが、ロー(Lo)の場合、pnp型バイポーラトランジスタT2はオンとなり、pnp型バイポーラトランジスタT2のコレクタから出力される電圧の電圧レベルは、ハイ(Hi)となる。この場合、電圧変換回路5のデジタルトランジスタT3はオンとなり、デジタルトランジスタT3のエミッタ、すなわちマイコン6が接続されるマイコン6端の電圧の電圧レベルは、ロー(Lo)となる。
【0040】
車載装置1が備える入力回路2(ローサイド入力回路)、駆動電源回路4(エミッタフォロワー回路)、及び電圧変換回路5(レベルシフト回路)は、上述のように入力端21(コネクタ端)に入力された入力電圧に対するハイ・ロー判定を行う。このように入力回路2(ローサイド入力回路)、駆動電源回路4(エミッタフォロワー回路)、及び電圧変換回路5(レベルシフト回路)のそれぞれが好適に構成され、これらを組み合わせることにより、入力された電圧に対する判定を効率的に行うことができる。
【0041】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項が記載されていない場合であっても、これは、多項従属請求項に従属する多項従属請求項の記載を制限するものではない。
【0042】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
C 車両
1 車載装置
101 第1導電路
102 第2導電路
103 第3導電路
2 入力回路(ローサイド入力回路)
21 入力端(コネクタ端)
T2 pnp型バイポーラトランジスタ
R4 第2プルアップ抵抗
S2 第2接続点
S3 第3接続点
R5 ベース抵抗
3 プルアップ回路
31 プルアップ電源
R3 第1プルアップ抵抗
D2 第2ダイオード
S1 第1接続点
D1 第1ダイオード
4 駆動電源回路(エミッタフォロワー回路)
41 駆動電源
T1 npn型バイポーラトランジスタ
R1 第1抵抗
R2 第2抵抗
5 電圧変換回路(レベルシフト回路)
51 レベルシフト電源
T3 デジタルトランジスタ
R6 レベルシフト用抵抗
6 マイコン