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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078095
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】液体噴射装置及び液体噴射方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240603BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B41J2/175 501
B41J2/01 305
B41J2/01 303
B41J2/175 115
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190448
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】勝田 治
(72)【発明者】
【氏名】関野 博一
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EA06
2C056EC15
2C056EC17
2C056KB15
2C056KB37
2C056KB40
(57)【要約】
【課題】連続流で噴射された液体を液滴状で媒体に衝突させる際の噴射ムラを抑制する。
【解決手段】媒体Mの搬送部9と、搬送される媒体Mと対向する位置においてキャリッジ移動方向Bに移動するキャリッジ4と、キャリッジ4に設けられ媒体Mに向けて液体3を連続流3aで噴射するとともに連続流3aを液滴3b化させて液滴3b状で媒体Mに衝突させる少なくとも1つのノズル27を有するヘッド部2と、ノズル27に送液される液体3を貯留する液体貯留部63と、キャリッジ4のキャリッジ移動方向Bにおける1回分の移動の間に、液体貯留部内63の液体3をノズル27に圧力変動を抑制しつつ送液し続ける送液部6と、を備え、液体貯留部63の容積は、キャリッジ4のキャリッジ移動方向Bにおける1回分の移動の間にノズル27から噴射される液体3の体積よりも大きい液体噴射装置1。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送方向に搬送される前記媒体と対向する位置において前記搬送方向と交差するキャリッジ移動方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジに設けられ、前記媒体に向けて液体を連続流で噴射するとともに前記連続流を液滴化させて液滴状で前記媒体に衝突させる少なくとも1つのノズルを有するヘッド部と、
前記ノズルに送液される前記液体を貯留する液体貯留部と、
前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間に、前記液体貯留部内の前記液体を前記ノズルに圧力変動を所定の圧力範囲内に抑制しつつ送液し続ける送液部と、
を備え、
前記液体貯留部の容積は、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間に前記ノズルから噴射される前記液体の体積よりも大きいことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記送液部は、移動部が前記液体貯留部内を第1方向及び前記第1方向と逆方向である第2方向に移動することにより前記液体を前記ノズルに送液し、
前記移動部は、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間においては前記第1方向または前記第2方向の一方のみに移動することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射装置において、
前記送液部は、空気圧を用いて前記移動部を移動させることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の液体噴射装置において、
前記送液部は、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動ごとに前記移動部の前記第1方向の移動と前記第2方向の移動とを切り替えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の液体噴射装置において、
前記送液部は、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における複数回分の移動ごとに前記移動部の前記第1方向の移動と前記第2方向の移動とを切り替えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射装置において、
前記キャリッジを複数備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体噴射装置において、
複数の前記キャリッジの動作タイミングは、同期していることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射装置において、
前記ヘッド部は、前記ノズルを複数有することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射装置において、
前記ノズルの内径は、150μm以下であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射装置において、
前記ヘッド部からの前記液体の噴射速度は、10m/s以上であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項11】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送方向に搬送される前記媒体と対向する位置において前記搬送方向と交差するキャリッジ移動方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジに設けられ、前記媒体に向けて液体を連続流で噴射するとともに前記連続流を液滴化させて液滴状で前記媒体に衝突させる少なくとも1つのノズルを有するヘッド部と、
前記ノズルに送液される前記液体を貯留する液体貯留部と、
前記液体貯留部内の前記液体を前記ノズルに送液し続ける送液部と、
を備える液体噴射装置における液体噴射方法であって、
前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間に前記ノズルから噴射される前記液体の体積よりも大きい容積の前記液体貯留部を用い、
前記液体を前記ノズルから噴射させる際、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間に、前記送液部によって前記液体貯留部内の前記液体を前記ノズルに圧力変動を所定の圧力範囲内に抑制しつつ送液し続けることを特徴とする液体噴射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置及び液体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、対象物に対して液体を噴射させる様々な液体噴射装置が使用されている。このような液体噴射装置のうち、液体を連続流で噴射するとともに該連続流を液滴化させて液滴状で対象物に衝突させることが可能な液体噴射装置がある。例えば、特許文献1には、液体の連続流が液滴化される液滴化距離を考慮し、洗浄効果や破砕効果の高い液滴化した状態の液体により対象物を洗浄や破砕することが可能な液体噴射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-109418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるような、液体を連続流で噴射するとともに該連続流を液滴化させて液滴状で対象物に衝突させることが可能な従来の液体噴射装置においては、液体を噴射するために使用されるポンプなどの送液部の構成によっては、送液中の液体に脈動が生じ、送液圧力にムラが発生する場合があった。送液圧力にムラが発生すると、液体の噴射にもムラが発生し、対象物の洗浄や破砕にムラが生じる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の液体噴射装置は、媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送方向に搬送される前記媒体と対向する位置において前記搬送方向と交差するキャリッジ移動方向に移動するキャリッジと、前記キャリッジに設けられ、前記媒体に向けて液体を連続流で噴射するとともに前記連続流を液滴化させて液滴状で前記媒体に衝突させる少なくとも1つのノズルを有するヘッド部と、前記ノズルに送液される前記液体を貯留する液体貯留部と、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間に、前記液体貯留部内の前記液体を前記ノズルに圧力変動を所定の圧力範囲内に抑制しつつ送液し続ける送液部と、を備え、前記液体貯留部の容積は、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間に前記ノズルから噴射される前記液体の体積よりも大きいことを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための本発明の液体噴射方法は、媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送方向に搬送される前記媒体と対向する位置において前記搬送方向と交差するキャリッジ移動方向に移動するキャリッジと、前記キャリッジに設けられ、前記媒体に向けて液体を連続流で噴射するとともに前記連続流を液滴化させて液滴状で前記媒体に衝突させる少なくとも1つのノズルを有するヘッド部と、前記ノズルに送液される前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部内の前記液体を前記ノズルに送液し続ける送液部と、を備える液体噴射装置における液体噴射方法であって、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間に前記ノズルから噴射される前記液体の体積よりも大きい容積の前記液体貯留部を用い、前記液体を前記ノズルから噴射させる際、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間に、前記送液部によって前記液体貯留部内の前記液体を前記ノズルに圧力変動を所定の圧力範囲内に抑制しつつ送液し続けることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1の液体噴射装置を表す概略側面図。
図2図1の液体噴射装置の液体の供給経路を表す概略図。
図3図1の液体噴射装置を用いて搬送される媒体に液体を噴射している様子を表す概略平面図。
図4図1の液体噴射装置の送液部を表す断面図。
図5図1の液体噴射装置を用いてキャリッジを往路に移動しつつ搬送される媒体に液体を噴射している様子と送液部の状態とを対比しつつ表す概略図。
図6図1の液体噴射装置を用いてキャリッジを復路に移動しつつ搬送される媒体に液体を噴射している様子と送液部の状態とを対比しつつ表す概略図。
図7図1の液体噴射装置で使用可能なヘッド部の例を表す概略底面図。
図8図1の液体噴射装置で使用可能なヘッド部の例を表す概略底面図。
図9図1の液体噴射装置で使用可能なヘッド部の例を表す概略底面図。
図10図1の液体噴射装置で使用可能なヘッド部の例を表す概略底面図。
図11図1の液体噴射装置で使用可能なヘッド部の例を表す概略底面図。
図12図1の液体噴射装置で使用可能なヘッド部の例を表す概略底面図。
図13図1の液体噴射装置で使用可能なヘッド部の例を表す概略底面図。
図14図1の液体噴射装置で使用可能なヘッド部の例を表す概略底面図。
図15】実施例2の液体噴射装置を用いて搬送される媒体に液体を噴射している様子を表す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の液体噴射装置は、媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送方向に搬送される前記媒体と対向する位置において前記搬送方向と交差するキャリッジ移動方向に移動するキャリッジと、前記キャリッジに設けられ、前記媒体に向けて液体を連続流で噴射するとともに前記連続流を液滴化させて液滴状で前記媒体に衝突させる少なくとも1つのノズルを有するヘッド部と、前記ノズルに送液される前記液体を貯留する液体貯留部と、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間に、前記液体貯留部内の前記液体を前記ノズルに圧力変動を所定の圧力範囲内に抑制しつつ送液し続ける送液部と、を備え、前記液体貯留部の容積は、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間に前記ノズルから噴射される前記液体の体積よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、キャリッジのキャリッジ移動方向における1回分の移動の間にノズルから噴射される液体の体積よりも大きい容積の前記液体貯留部を用いて、液体をノズルから噴射させる際、キャリッジのキャリッジ移動方向における1回分の移動の間に、送液部によって液体貯留部内の液体をノズルに圧力変動を所定の圧力範囲内に抑制しつつ送液し続けることができる。このため、送液中の液体に脈動が生じることを抑制でき、送液圧力にムラが発生することを抑制することができる。したがって、連続流で噴射された液体を液滴状で媒体に衝突させる際の噴射ムラを抑制することができる。
【0010】
本発明の第2の態様の液体噴射装置は、前記第1の態様において、前記送液部は、移動部が前記液体貯留部内を第1方向及び前記第1方向と逆方向である第2方向に移動することにより前記液体を前記ノズルに送液し、前記移動部は、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間においては前記第1方向または前記第2方向の一方のみに移動することを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、送液部は移動部が液体貯留部内を第1方向及び第2方向に移動することにより液体をノズルに送液し、移動部はキャリッジのキャリッジ移動方向における1回分の移動の間においては第1方向または第2方向の一方のみに移動する。すなわち、液体の噴射に伴うキャリッジのキャリッジ移動方向における1回分の移動の間においては、移動部の移動方向が変わらない。キャリッジのキャリッジ移動方向における1回分の移動の間に移動部の移動方向が変わると移動部の移動方向の変化の際に圧力変動を発生してしまい送液中の液体に脈動が生じる虞が生じるが、このような虞を抑制することができる。
【0012】
本発明の第3の態様の液体噴射装置は、前記第2の態様において、前記送液部は、空気圧を用いて前記移動部を移動させることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、送液部は空気圧を用いて移動部を移動させる。このため、簡単な構成で移動部を移動させることができる。
【0014】
本発明の第4の態様の液体噴射装置は、前記第2または第3の態様において、前記送液部は、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動ごとに前記移動部の前記第1方向の移動と前記第2方向の移動とを切り替えることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、送液部はキャリッジのキャリッジ移動方向における1回分の移動ごとに移動部の第1方向の移動と第2方向の移動とを切り替える。このため、液体貯留部を大型化させることなく液体をノズルに圧力変動を所定の圧力範囲内に抑制しつつ送液し続けることができる。
【0016】
本発明の第5の態様の液体噴射装置は、前記第2または第3の態様において、前記送液部は、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における複数回分の移動ごとに前記移動部の前記第1方向の移動と前記第2方向の移動とを切り替えることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、送液部はキャリッジのキャリッジ移動方向における複数回分の移動ごとに移動部の第1方向の移動と第2方向の移動とを切り替える。このため、移動部の移動回数を減らすことができ、圧力変動を特に効果的に抑制することができる。
【0018】
本発明の第6の態様の液体噴射装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記キャリッジを複数備えることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、キャリッジを複数備える。このため、複数のキャリッジを用いて、媒体に対する液体を用いての処理を効果的に行うことができる。
【0020】
本発明の第7の態様の液体噴射装置は、前記第6の態様において、複数の前記キャリッジの動作タイミングは、同期していることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、複数のキャリッジの動作タイミングは同期している。このため、複数のキャリッジの動作の制御が簡単になり、例えば、1つの送液部でキャリッジの動作の制御を行うことが可能になる。
【0022】
本発明の第8の態様の液体噴射装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記ヘッド部は、前記ノズルを複数有することを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、ヘッド部はノズルを複数有する。このため、複数のノズルを用いて、媒体に対する液体を用いての処理を効果的に行うことができる。
【0024】
本発明の第9の態様の液体噴射装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記ノズルの内径は、150μm以下であることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、ノズルの内径は150μm以下である。このような構成とすることで、液体を媒体に対して緻密に塗布することができる。
【0026】
本発明の第10の態様の液体噴射装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記ヘッド部からの前記液体の噴射速度は、10m/s以上であることを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、ヘッド部からの液体の噴射速度は10m/s以上である。このような構成とすることで、液体を媒体に対して高い直進性で衝突させることができ、高精度に液体を媒体の所望の位置に塗布することができる。
【0028】
本発明の第11の態様の液体噴射方法は、媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送方向に搬送される前記媒体と対向する位置において前記搬送方向と交差するキャリッジ移動方向に移動するキャリッジと、前記キャリッジに設けられ、前記媒体に向けて液体を連続流で噴射するとともに前記連続流を液滴化させて液滴状で前記媒体に衝突させる少なくとも1つのノズルを有するヘッド部と、前記ノズルに送液される前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部内の前記液体を前記ノズルに送液し続ける送液部と、を備える液体噴射装置における液体噴射方法であって、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間に前記ノズルから噴射される前記液体の体積よりも大きい容積の前記液体貯留部を用い、前記液体を前記ノズルから噴射させる際、前記キャリッジの前記キャリッジ移動方向における1回分の移動の間に、前記送液部によって前記液体貯留部内の前記液体を前記ノズルに圧力変動を所定の圧力範囲内に抑制しつつ送液し続けることを特徴とする。
【0029】
本態様によれば、キャリッジのキャリッジ移動方向における1回分の移動の間にノズルから噴射される液体の体積よりも大きい容積の前記液体貯留部を用いて、液体をノズルから噴射させる際、キャリッジのキャリッジ移動方向における1回分の移動の間に、送液部によって液体貯留部内の液体をノズルに圧力変動を所定の圧力範囲内に抑制しつつ送液し続けることができる。このため、送液中の液体に脈動が生じることを抑制でき、送液圧力にムラが発生することを抑制することができる。したがって、連続流で噴射された液体を液滴状で媒体に衝突させる際の噴射ムラを抑制することができる。
【0030】
[実施例1]
以下、添付図面を参照して、本発明に係る液体噴射装置1の実施形態を説明する。最初に、図1を参照して本発明の実施例1に係る液体噴射装置1Aの概要について説明する。図1で表されるように、本実施例の液体噴射装置1Aは、例えば布帛などの媒体Mを搬送方向Aに搬送する搬送部9を備えている。なお、本実施例の搬送部9は、少なくとも2カ所設けられているローラー対であるが、搬送部9の構成や数に特に限定は無い。例えば、媒体MとしてのTシャツなどの被服や布帛以外の液体塗布対象物を載置して搬送するトレイなどであってもよい。
【0031】
また、図1で表されるように、本実施例の液体噴射装置1Aは、搬送方向Aに搬送される媒体Mと対向する位置において搬送方向Aと交差するキャリッジ移動方向Bに移動するキャリッジ4を備えている。そして、キャリッジ4には、媒体Mに向けて液体3を噴射する少なくとも1つのノズル27を有するヘッド部2が設けられている。
【0032】
ここで、本実施例の液体噴射装置1Aは、該液体噴射装置1Aよりも搬送方向Aにおける上流側にインクジェットプリンターなどを接続することが可能に構成されている。液体噴射装置1Aよりも搬送方向Aにおける上流側にインクジェットプリンターなどを接続する場合、液体3として例えば撥水剤、防虫剤、防カビ剤、防火剤などを含む溶液を使用することができる。ただし、本実施例の液体噴射装置1Aは、液体噴射装置1Aよりも搬送方向Aにおける上流側にインクジェットプリンターなどを接続しない場合などにおいても、インクジェットプリンターなどで画像が形成された媒体Mに対して例えば撥水剤、防虫剤、防カビ剤、防火剤などを含む液体3を噴射させることができる。
【0033】
一方、本実施例の液体噴射装置1Aは、該液体噴射装置1Aよりも搬送方向Aにおける下流側にインクジェットプリンターなどを接続することが可能に構成されている。液体噴射装置1Aよりも搬送方向Aにおける下流側にインクジェットプリンターなどを接続する場合、液体3として例えばインクの発色を良くする前処理剤などを含む溶液を使用することができる。ただし、本実施例の液体噴射装置1Aは、液体噴射装置1Aよりも搬送方向Aにおける上流側にインクジェットプリンターなどを接続しない場合などにおいても、インクジェットプリンターなどで画像を形成する予定の媒体Mに対して例えば前処理剤を含む液体3を噴射させることができる。
【0034】
なお、本発明の液体噴射装置1は、このような目的以外にも様々な目的に使用することができる。例えば、媒体Mとしての液体塗布対象物を洗浄や破砕することを目的とすることができる。媒体Mとしての液体塗布対象物を洗浄や破砕することを目的とする液体噴射装置1に使用する場合、液体3として水を用いることもできる。
【0035】
次に、図2を参照して図1の液体噴射装置1Aの液体の供給経路などについて説明する。図2に示すように、本実施例の液体噴射装置1Aは、ノズル27を有するヘッド部2と、噴射する液体3を貯留する液体タンク8と、ヘッド部2と液体タンク8とをつなぐ液体搬送管7と、送液部6と、送液部6への制御信号線52を有する制御部5を備えている。なお、制御部5は、本実施例の液体噴射装置1Aの全体を制御する。また、ヘッド部2は、上記のように、キャリッジ4に搭載される。
【0036】
ここで、本実施例の液体噴射装置1Aは、ヘッド部2に設けられた1つまたは複数のノズル27から方向bに連続状態で噴射された液体3の連続流3aが液滴3bとなる液滴化された状態で該液滴3bを媒体Mに衝突させる液体噴射装置である。本実施例の液体噴射装置1Aは、このような構成としていることで、高いエネルギーで且つミストなどを抑制しつつ高精度に液体3を媒体Mの所望の位置に塗布することができる。したがって、媒体Mに対して少量且つ均一に液体3を噴射することができる。
【0037】
なお、上記のように、本実施例の液体噴射装置1Aは、液体3を貯留する液体タンク8と、液体タンク8からヘッド部2に液体3を送る送液部6と、を備える。このため、本実施例の液体噴射装置1Aは、送液部6によって特に高いエネルギーで液体3を媒体Mに塗布することができる。本実施例の液体噴射装置1Aにおける送液部6についての詳細は後述する。
【0038】
次に、図3を参照して図1の液体噴射装置1Aを用いて搬送される媒体Mに液体3を噴射している様子について説明する。本実施例の液体噴射装置1Aは、上記のように、搬送部9を備えている。ここで、搬送部9は、制御部5の制御により、媒体Mの搬送方向Aへの搬送と停止とを繰り返して媒体Mを間欠搬送することが可能に構成されている。そして、本実施例の液体噴射装置1Aは、搬送部9による媒体Mの間欠搬送における停止中に、キャリッジ4をキャリッジ移動方向Bに移動させつつヘッド部2から液体3を媒体Mに向けて噴射させることが可能に構成されている。図3は、搬送部9による媒体Mの間欠搬送における停止中に、キャリッジ4をキャリッジ移動方向Bに移動させつつヘッド部2から液体3を媒体Mに向けて噴射させている様子を表している。本実施例の液体噴射装置1Aは、このような構成となっていることで、停止中の媒体Mに液体3を噴射することができるので液体3の噴射精度を高くすることができ、特に均一に液体3を媒体Mに塗布することができる。
【0039】
一方で、本実施例の液体噴射装置1Aは、制御部5の制御により、搬送部9により媒体Mを連続的に搬送し、搬送部9により連続的に搬送されている媒体Mに対して、キャリッジ4をキャリッジ移動方向Bに移動させつつヘッド部2から液体3を媒体Mに向けて噴射させることも可能に構成されている。このため、本実施例の液体噴射装置1Aは、効率よく短時間で液体3を媒体Mに塗布することもできる。
【0040】
ここで、図4を参照して本実施例の液体噴射装置1Aにおける送液部6の詳細な構成について説明する。図4で表されるように、本実施例の送液部6は、液体搬送管7のうちの送液部6に液体3を供給方向F0に供給する供給管7aと、液体搬送管7のうちの送液部6から液体3を排出方向F3に排出する排出管7bと、に接続されている。ここで、供給管7aは三方弁61としての第1三方弁61aと接続され、排出管7bは三方弁61としての第2三方弁61bと接続され、第1三方弁61a及び第2三方弁61bは、2方向から送液管62に接続されている。
【0041】
なお、図4で表されるように、送液部6は、送液管62として、送液管62a、送液管62b、送液管62c、送液管62d、送液管62e及び送液管62fを有している。ここで、第1三方弁61aは、送液管62aに接続されている。また、送液管62aは、送液管62b及び送液管62cに接続されている。また、送液部6はノズル27に送液される液体3を貯留する液体貯留部63を有し、送液管62bは液体貯留部63に接続されている。そして、送液管62cは第2三方弁61bに接続されている。同様に、第1三方弁61aは送液管62dに接続され、送液管62dは送液管62e及び送液管62fに接続され、送液管62eは液体貯留部63に接続され、送液管62fは第2三方弁61bに接続されている。
【0042】
また、送液部6は、ピストン部65を備えており、ピストン部65は、液体貯留部63の内部に至って配置されており、移動部として移動方向Dに移動可能になっている。さらに、送液部6は、ピストン部65の一部を内包し、不図示のチューブを介して空気66を充填する及び抜くことで移動方向Dにおける両端側において内部の空気圧を変更可能な空気充填部64を備えている。すなわち、図4において空気充填部64の右側の空気圧を空気充填部64の左側の空気圧よりも高くすることでピストン部65を移動方向Dにおける第1方向D1(図4中の左側)に移動させることができる。同様に、図4において空気充填部64の左側の空気圧を空気充填部64の右側の空気圧よりも高くすることでピストン部65を移動方向Dにおける第2方向D2(図4中の右側)に移動させることができる。
【0043】
そして、ピストン部65を第1方向D1に移動させることで、液体貯留部63に貯留されている液体3は、ピストン部65により図4中の左側に押され、送液管62e及び送液管62fの中を方向F1に移動する。そして、第2三方弁61bを介して、排出管7b中を排出方向F3に液体3は移動する。また、同時に、供給管7aを介して第1三方弁61aに対して供給方向F0に供給された液体3は、送液管62a及び送液管62bの中を方向F1に移動する。
【0044】
逆に、ピストン部65を第2方向D2に移動させることで、液体貯留部63に貯留されている液体3は、ピストン部65により図4中の右側に押され、送液管62b及び送液管62cの中を方向F2に移動する。そして、第2三方弁61bを介して、排出管7b中を排出方向F3に液体3は移動する。また、同時に、供給管7aを介して第1三方弁61aに対して供給方向F0に供給された液体3は、送液管62d及び送液管62eの中を方向F2に移動する。
【0045】
次に、図5及び図6を参照して、キャリッジ4の往復移動とピストン部65の移動とを対比して、キャリッジ4の往復移動に対してピストン部65がどのように移動するかについて説明する。最初に、キャリッジ4がキャリッジ移動方向Bにおける往路B1に移動する際について、図5を参照して説明する。図5の上の状態で表されるように、キャリッジ4が往路B1に移動する前の状態においては、ピストン部65は液体貯留部63の一方側端部(図中の右側端部)に位置する。そして、図5の中央の状態で表されるように、キャリッジ4が往路B1に移動すると、キャリッジ4の移動に合わせてピストン部65も第1方向D1に移動する。そして、図5の下の状態で表されるように、キャリッジ4の往路B1の移動が終了すると、キャリッジ4の移動の終了に合わせてピストン部65も第1方向D1への移動を終了する。
【0046】
続いて、キャリッジ4がキャリッジ移動方向Bにおける復路B2に移動する際について、図6を参照して説明する。図5の下の状態に対応する図6の上の状態で表されるように、キャリッジ4が復路B2に移動する前の状態においては、ピストン部65は液体貯留部63の他方側端部(図中の左側端部)に位置する。そして、図6の中央の状態で表されるように、キャリッジ4が復路B2に移動すると、キャリッジ4の移動に合わせてピストン部65も第2方向D2に移動する。そして、図6の下の状態で表されるように、キャリッジ4の復路B2の移動が終了すると、キャリッジ4の移動の終了に合わせてピストン部65も第2方向D2への移動を終了する。なお、本実施例においては、往路B1と第1方向D1とが同じ方向となっており、復路B2と第2方向D2とが同じ方向となっているが、このような構成に限定されない。例えば、往路B1と第2方向D2とが同じ方向となっており、復路B2と第1方向D1とが同じ方向となっていてもよい。
【0047】
本実施例の送液部6は、このような構成になっていることにより、キャリッジ4のキャリッジ移動方向Bにおける1回分の移動(1回分の往路B1の移動または1回分の復路B2の移動)の間に、液体貯留部63内の液体3をノズル27に圧力変動を所定の圧力範囲内に抑制しつつ送液し続けることができる。そして、本実施例の送液部6においては、液体貯留部63の容積は、キャリッジ4のキャリッジ移動方向Bにおける1回分の移動の間にノズル27から噴射される液体3の体積よりも大きい。
【0048】
別の観点から説明すると、本実施例の液体噴射装置1Aを使用して実行可能な液体噴射方法は、キャリッジ4のキャリッジ移動方向Bにおける1回分の移動の間にノズル27から噴射される液体3の体積よりも大きい容積の液体貯留部63を用いて、液体3をノズル27から噴射させる際、キャリッジ4のキャリッジ移動方向Bにおける1回分の移動の間に、送液部6によって液体貯留部63内の液体3をノズル27に圧力変動を所定の圧力範囲内に抑制しつつ送液し続けることができる。このため、本実施例の液体噴射装置1Aは、送液中の液体3に脈動が生じることを抑制でき、送液圧力にムラが発生することを抑制することができる。したがって、本実施例の液体噴射装置1Aは、連続流3aで噴射された液体3を液滴3b状で媒体Mに衝突させる際の噴射ムラを抑制することができる。なお、「所定の圧力範囲内」とは、具体的には、20%以下の圧力変動とすることが好ましく、10%以下の圧力変動とすることがさらに好ましい。本実施例においては、10%以下の圧力変動となっている。
【0049】
また、上記のように、送液部6は、移動部としてのピストン部65が液体貯留部63内を第1方向D1及び第2方向D2に移動することにより液体3をノズル27に送液する。そして、ピストン部65は、キャリッジ4のキャリッジ移動方向Bにおける1回分の移動の間においては第1方向D1または第2方向D2の一方のみに移動する。すなわち、液体3の噴射に伴うキャリッジ4のキャリッジ移動方向Bにおける1回分の移動の間においては、ピストン部65の移動方向Dが変わらない。キャリッジ4のキャリッジ移動方向Bにおける1回分の移動の間にピストン部65の移動方向Dが変わるとピストン部65の移動方向Dの変化の際に圧力変動を発生してしまい送液中の液体3に脈動が生じる虞が生じるが、このような虞を抑制することができる。
【0050】
また、上記のように、送液部6は、空気圧を用いてピストン部65を移動させる。このため、本実施例の液体噴射装置1Aは、簡単な構成で移動部としてのピストン部65を移動させることができる構成となっている。ただし、ピストン部65以外の構成の移動部としてもよいし、移動部を空気圧式以外の方法で移動させる構成としてもよい。移動部を空気圧式以外の方法としては、例えば、水頭差(負圧)などを利用する方式、水圧式、油圧式、モーターを利用する方式、エンジンを利用する方式、などが挙げられる。
【0051】
また、上記のように、送液部6は、キャリッジ4のキャリッジ移動方向Bにおける1回分の移動ごとにピストン部65の第1方向D1の移動と第2方向D2の移動とを切り替える構成となっている。本実施例の液体噴射装置1Aは、このような構成となっているため、液体貯留部63を大型化させることなく液体3をノズル27に圧力変動を所定の圧力範囲内に抑制しつつ送液し続けることができる。
【0052】
ただし、このような構成に限定されない。例えば、液体貯留部63を大きく構成し、送液部6が、キャリッジ4のキャリッジ移動方向Bにおける複数回分の移動ごとにピストン部65の第1方向D1の移動と第2方向D2の移動とを切り替える構成としてもよい。このような構成とすることで、ピストン部65の移動回数を減らすことができ、圧力変動を特に効果的に抑制することができる。
【0053】
なお、本実施例の液体噴射装置1Aは、ヘッド部2として様々な構成のものを付け替えて使用可能な構成となっている。本実施例の液体噴射装置1Aで使用可能なヘッド部2の例について図7から図14を参照して説明する。
【0054】
最初に、図7で表されるヘッド部2は、1つのノズル27のみを有する構成である。このように、ヘッド部2は1つのノズル27のみを有していてもよい。ただし、ヘッド部2は複数のノズル27を有していてもよい。図8で表されるヘッド部2は、キャリッジ移動方向Bに沿って並ぶ2つのノズル27を有する構成である。ただし、キャリッジ移動方向Bに沿って3つ以上のノズル27を有する構成としてもよい。
【0055】
図9で表されるヘッド部2は、搬送方向Aに沿って並ぶ4つのノズル27を有する構成である。ただし、搬送方向Aに沿って並ぶ2つ、3つ、或いは、5つ以上のノズル27を有する構成としてもよい。図10及び図11で表されるヘッド部2は、搬送方向Aに沿って並ぶ複数のノズル27からなるノズル列を3本有する構成である。図10で表されるヘッド部2のようにキャリッジ移動方向Bにおける各ノズル列のノズル27の位置が揃っていてもよいし、図11で表されるヘッド部2のようにキャリッジ移動方向Bにおける各ノズル列のノズル27の位置が揃っていないものを含んでいてもよい。
【0056】
このように、ヘッド部2はノズル27を複数有することが好ましい。複数のノズル27を用いて、媒体Mに対する液体3を用いての処理を効果的に行うことができる。なかでも、ヘッド部2は、搬送方向Aに沿って複数のノズル27が並ぶノズル列を有することが好ましい形態の1つである。このような構成となっていることで、効率的に媒体Mに液体3を塗布することができるためである。
【0057】
図12図13及び図14で表されるヘッド部2は、複数のノズル27が円形に配置されている。このような構成となっていることでも、効率的に媒体Mに液体3を塗布することができる。ここで、図12で表されるヘッド部2は1重の円状に複数のノズル27が配置され、図13で表されるヘッド部2は同心円状に2重の複数のノズル27が配置されている。また、図14で表されるヘッド部2は、同心円状ではなく3つの円状に複数のノズル27が配置されている。このように、特にノズル27の配置に限定は無い。また、図13で表されるヘッド部2は、外側の円を構成するノズル27のほうが内側の円を構成するノズル27よりも内径が大きくなっている。このように、ノズル27の内径も特に限定は無い。また、複数のノズル27が円形ではなく例えば多角形に配置されていてもよい。
【0058】
ただし、ノズル27が1つの場合及び複数の場合に限られず、ノズル27の内径は、150μm以下であることが好ましい。このような構成とすることで、液体3を媒体Mに対して緻密に塗布することができるためである。なお、ノズルの内径は10μm以上であることが好ましい。ノズルの内径を10μm以上とすることでノズルから噴射された液体がミスト化することを効果的に抑制することができるためである。
【0059】
また、ヘッド部2からの液体3の噴射速度は、10m/s以上であることが好ましい。このような構成とすることで、液体3を媒体Mに対して高い直進性で衝突させることができ、高精度に液体3を媒体Mの所望の位置に塗布することができる。なお、ヘッド部2からの液体3の噴射速度は、20m/s以上であることが特に好ましい。媒体Mにおける特に正確な位置に液体3を噴射できるためである。また、液体3の噴射速度は160m/s以下であることが好ましい。液体3の噴射速度を160m/s以下とすることで媒体Mの損傷を抑制できるためである。
【0060】
[実施例2]
以下に、実施例2の液体噴射装置1Bについて図15を参照して説明する。図15は、実施例1の液体噴射装置1Aにおける図3に対応する図である。本実施例の液体噴射装置1Bは、以下で説明する構成以外については、実施例1の液体噴射装置1Aと同様である。このため、本実施例の液体噴射装置1Bは、下記の説明箇所以外については実施例1の液体噴射装置1Aと同様の特徴を有している。そこで、図15では上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0061】
上記のように、実施例1の液体噴射装置1Aにおいては、キャリッジ4を1つ備えていた。一方、図15で表されるように、本実施例の液体噴射装置1Bは、キャリッジ4を3つ備えている。このように、キャリッジ4を複数有していてもよい。このような構成とすることで、複数のキャリッジ4を用いて、媒体Mに対する液体3を用いての処理を効果的に行うことができる。
【0062】
ここで、本実施例の液体噴射装置1Bは、1つの送液部6でキャリッジ4の動作の制御を行うので、複数のキャリッジ4の各々の動作タイミングは、同期している。このように、例えば、1つの送液部6でキャリッジ4の動作の制御を行うことで、複数のキャリッジ4の動作の制御が簡単になる。
【0063】
なお、本実施例の液体噴射装置1Bは、搬送方向Aと直交するキャリッジ移動方向Bに移動可能なキャリッジ4がキャリッジ移動方向Bに沿って3つ並べられるが、このような構成に限定されない。例えば、搬送方向Aと直交するキャリッジ移動方向Bに移動可能な2つ或いは4つ以上のキャリッジ4が一列に配置或いは千鳥配置されていてもよい。
【0064】
また、本実施例の液体噴射装置1Bは、同じ液体3をヘッド部2から噴射可能なキャリッジ4を3つ備えているが、異なる液体3をヘッド部2から噴射可能なキャリッジ4を複数備えていてもよい。さらには、例えば複数の送液部6を備える構成などとし、複数のキャリッジ4の動作が同期していなくてもよい。
【0065】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば布帛へ液体3を塗布する構成でなくてもよいし、例えばロボットアームの先端にキャリッジ4を装着して平面だけでなく曲面に対しても液体3を塗布することが可能な構成としてもよい。さらには、送液部6を本実施例のような移動部にピストン部を使用するような構成ではなく、例えば、移動部にダイヤフラムを用いる構成などとしてもよい。
【0066】
また、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…液体噴射装置、1A…液体噴射装置、1B…液体噴射装置、2…ヘッド部、3…液体、3a…連続流、3b…液滴、4…キャリッジ、5…制御部、6…送液部、7…液体搬送管、7a…供給管、7b…排出管、8…液体タンク、9…搬送部、61…三方弁、61a…第1三方弁、61b…第2三方弁、62…送液管、62a…送液管、62b…送液管、62c…送液管、62d…送液管、62e…送液管、62f…送液管、63…液体貯留部、64…空気充填部、65…ピストン部(移動部)、66…空気、M…媒体
図1
図2
図3
図4
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図10
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