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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078114
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】インクジェットシステム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240603BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B41J29/38 801
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190482
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮岸 暁良
(72)【発明者】
【氏名】村山 寿郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸朗
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EB07
2C056EB30
2C056EB31
2C056EB59
2C056EC28
2C056FA04
2C056FA10
2C061AQ05
2C061HJ08
2C061HK10
2C061HK23
2C061HN05
2C061HN15
2C061HP00
2C061HQ01
(57)【要約】
【課題】記録動作中に取得したデータを、ユーザーにとって適切な保存先に保存すること。
【解決手段】インクを吐出するヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行する記録装置と、記録装置と接続し、記録装置に記録動作を実行させるためのデータ処理を行う処理装置と、記録装置及び処理装置のいずれかと接続可能なサーバーと、を有するインクジェットシステムであって、記録装置及び処理装置のいずれかには、第1記憶部が設けられ、サーバーには、第2記憶部が設けられ、記録動作中に第1データを取得する取得部と、第1記憶部と第2記憶部とのいずれに第1データを保存させるかをユーザーに選択させた結果を示す第1選択情報を受け付ける受付部と、第1選択情報に基づいて、第1データを第1記憶部と第2記憶部とのいずれかに保存する保存部と、を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行する記録装置と、
前記記録装置と接続し、前記記録装置に前記記録動作を実行させるためのデータ処理を行う処理装置と、
前記記録装置及び前記処理装置のいずれかと接続可能なサーバーと、を有するインクジェットシステムであって、
前記記録装置及び前記処理装置のいずれかには、第1記憶部が設けられ、
前記サーバーには、第2記憶部が設けられ、
前記記録動作中に第1データを取得する取得部と、
前記第1記憶部と前記第2記憶部とのいずれに前記第1データを保存させるかをユーザーに選択させた結果を示す第1選択情報を受け付ける受付部と、
前記第1選択情報に基づいて、前記第1データを前記第1記憶部と前記第2記憶部とのいずれかに保存する保存部と、
を有することを特徴とするインクジェットシステム。
【請求項2】
前記保存部は、
前記第1選択情報が前記第1データを前記第2記憶部に保存させることを示し、且つ、前記記録装置及び前記処理装置のいずれとも前記サーバーとの接続が遮断されている場合、前記第1記憶部に前記第1データを保存し、
前記第1選択情報が前記第1データを前記第2記憶部に保存させることを示し、且つ、前記記録装置及び前記処理装置のいずれかと前記サーバーとの接続が確立されている場合、前記第2記憶部に前記第1データを保存する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項3】
前記保存部は、
前記第1選択情報が前記第1データを前記第2記憶部に保存させることを示し、且つ、前記記録装置及び前記処理装置のいずれかと前記サーバーとの接続が遮断されていた後に確立された場合、前記第1記憶部に保存された前記第1データを前記第2記憶部に複製し、
前記第1データを前記第2記憶部に複製した後に、前記第1記憶部に保存された前記第1データを消去する、
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェットシステム。
【請求項4】
前記第1記憶部は、前記ヘッドユニット内に設けられた第3記憶部と、前記記録装置内の前記ヘッドユニット以外に設けられた第4記憶部とを有し、
前記第1選択情報は、前記第3記憶部と前記第4記憶部と前記第2記憶部とのいずれに前記第1データを記憶させるかを前記ユーザーに選択させた結果を示し、
前記保存部は、前記第1選択情報に基づいて、前記第1データを前記第3記憶部と前記第4記憶部と前記第2記憶部とのいずれかに保存する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項5】
前記第1記憶部は、前記記録装置内の前記ヘッドユニット以外に設けられた第4記憶部と、前記処理装置に設けられた第5記憶部と、を有し、
前記第1選択情報は、前記第4記憶部と前記第5記憶部と前記第2記憶部とのいずれに前記第1データを記憶させるかを前記ユーザーに選択させた結果を示し、
前記保存部は、前記第1選択情報に基づいて、前記第1データを前記第4記憶部と前記第5記憶部と前記第2記憶部とのいずれかに保存する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項6】
前記第1記憶部は、前記ヘッドユニット内に設けられた第3記憶部と、前記処理装置内に設けられた第5記憶部と、を有し、
前記第1選択情報は、前記第3記憶部と前記第5記憶部と前記第2記憶部とのいずれに前記第1データを記憶させるかを前記ユーザーに選択させた結果を示し、
前記保存部は、前記第1選択情報に基づいて、前記第1データを前記第3記憶部と前記第5記憶部と前記第2記憶部とのいずれかに保存する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項7】
前記取得部は、前記記録動作中に、前記第1データと、前記第1データと異なる第2データとを取得し、
前記受付部は、前記第1選択情報と、前記第1記憶部と前記第2記憶部のいずれに前記第2データを記憶させるかを前記ユーザーに選択させた結果を示す第2選択情報とを受け付け、
前記保存部は、前記第2選択情報に基づいて、前記第2データを前記第1記憶部と前記第2記憶部とのいずれかに保存する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項8】
前記記録装置は、温度センサーを有し、
前記第1データは、前記温度センサーによる測定結果を示すデータである、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項9】
前記記録装置は、湿度センサーを有し、
前記第1データは、前記湿度センサーによる測定結果を示すデータである、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項10】
前記ヘッドユニットは、駆動信号が供給されることにより変位する圧電素子と、前記圧電素子の変位により内部の圧力が増減される圧力室と、前記圧力室に連通しインクを吐出するノズルとを備え、
前記第1データは、前記駆動信号が前記圧電素子に供給された後に、前記圧力室に生じる残留振動に基づくデータである、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項11】
前記ヘッドユニットは、駆動信号が供給されることにより駆動する駆動素子を備え、
前記第1データは、前記駆動素子が駆動した回数である、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項12】
前記取得部は、前記記録動作ではないときに、前記第1データと異なる第3データを更に取得し、
前記受付部は、前記第1記憶部と前記第2記憶部とのいずれに前記第3データを記憶させるかを前記ユーザーに選択させた結果を示す第3選択情報を更に受け付け、
前記保存部は、前記第3選択情報に基づいて、前記第3データを前記第1記憶部と前記第2記憶部とのいずれかに保存する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体等のインクを吐出するヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行するインクジェットプリンター等の記録装置が提供されている。例えば、特許文献1には、記憶部が設けられた記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-157426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術に対して、記録装置、及び、記録装置に記録動作を実行させるためのデータ処理を実行する処理装置のいずれかと、サーバーとを接続し、記録動作中に取得したデータをサーバーに設けられた記憶部に保存することが考えられる。しかしながら、記録装置及び処理装置のいずれかに設けられた記憶部と、サーバーに設けられた記憶部とのうちデータをどの記憶部に保存することがユーザーにとって適切かは不明であり、ユーザーにとって適切な保存先にデータを保存することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係るインクジェットシステムは、インクを吐出するヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行する記録装置と、前記記録装置と接続し、前記記録装置に前記記録動作を実行させるためのデータ処理を行う処理装置と、前記記録装置及び前記処理装置のいずれかと接続可能なサーバーと、を有するインクジェットシステムであって、前記記録装置及び前記処理装置のいずれかには、第1記憶部が設けられ、前記サーバーには、第2記憶部が設けられ、前記記録動作中に第1データを取得する取得部と、前記第1記憶部と前記第2記憶部とのいずれに前記第1データを保存させるかをユーザーに選択させた結果を示す第1選択情報を受け付ける受付部と、前記第1選択情報に基づいて、前記第1データを前記第1記憶部と前記第2記憶部とのいずれかに保存する保存部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係るインクジェットシステム10の構成例を示す概略図。
図2】サーバー300の構成の一例を示す図。
図3】処理装置200の構成を示す図。
図4】インクジェットプリンター100の構成の一例を例示する模式図。
図5】インクジェットプリンター100の構成例を示すブロック図。
図6】ヘッドチップ111の構成例を示す断面図。
図7】インクジェットシステム10の機能を説明するための図。
図8】選択情報受付処理の一例を示すフローチャートを示す図。
図9】保存先選択ウインドウHWの一例を示す図。
図10】保存先選択ウインドウHWの更新例を示す図。
図11】収集データ取得時処理の一例を示すフローチャートを示す図。
図12】記録動作終了時処理の一例を示すフローチャートを示す図。
図13】保存先選択ウインドウHW-Aの一例を示す図。
図14】保存先選択ウインドウHW-Bの一例を示す図。
図15】保存先選択ウインドウHW-Cの一例を示す図。
図16】保存先選択ウインドウHW-Cの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
1.第1実施形態
1-1.インクジェットシステム10の概要
図1は、第1実施形態に係るインクジェットシステム10の構成例を示す概略図である。インクジェットシステム10は、インクジェット方式により、後述する記録媒体PPに対して記録を行うシステムである。図1に示す例では、インクジェットシステム10は、インクジェットプリンター100_1~100_3と処理装置200_1~200_3とサーバー300とを有する。
【0009】
ここで、インクジェットプリンター100_1~100_3は、インクジェットプリンター100_1~100_3のメーカーが提供する装置である。以下の記載では、インクジェットプリンター100_1~100_3のそれぞれを区別せずに、インクジェットプリンター100と総称することがある。インクジェットプリンター100は、液体の一例であるインクを吐出する液体吐出装置である。インクジェットプリンター100のメーカーは、インクジェットプリンター100を製造する業者である。インクジェットプリンター100のメーカーを、「プリンターメーカー」と記載することがある。インクジェットプリンター100_1~100_3のそれぞれは、同一のプリンターメーカーによって提供されてもよいし、異なるプリンターメーカーによって提供されてもよい。但し、インクジェットプリンター100_1~100_3に組み込まれるヘッドユニットHUは、ヘッドユニットHUのメーカーが提供する。ヘッドユニットHUのメーカーは、ヘッドユニットHUを製造する業者である。以下、ヘッドユニットHUのメーカーを、「ヘッドメーカー」と記載することがある。プリンターメーカーは、ヘッドメーカーからヘッドユニットHUの提供を受け、提供されたヘッドユニットHUをインクジェットプリンター100に組み込むことにより、インクジェットプリンター100を製造する。インクジェットプリンター100は、「記録装置」の一例である。
【0010】
図1には、インクジェットプリンター100_1を使用するユーザーU_1と、インクジェットプリンター100_2を使用するユーザーU_2と、インクジェットプリンター100_3を使用するユーザーU_3と、を示してある。以下の記載では、ユーザーU_1~U_3のそれぞれを区別せずにユーザーUと総称することがある。ユーザーUは、例えば、プリンターメーカーに属する作業者がインクジェットプリンター100を使用する場合、この作業者がユーザーUである。また、例えば、プリンターメーカーからインクジェットプリンター100の提供を受けた第三者がインクジェットプリンター100を使用する場合、この第三者がユーザーUである。以下の記載では、プリンターメーカーからインクジェットプリンター100の提供を受けた第三者を、「エンドユーザー」と記載することがある。1から3までのそれぞれの整数iについて、ユーザーU_iは、インクジェットプリンター100_iに加えて、処理装置200_iを使用する。
【0011】
インクジェットプリンター100_1は、処理装置200_1に通信可能に接続される。インクジェットプリンター100_2は、処理装置200_2に通信可能に接続される。インクジェットプリンター100_3は、処理装置200_3に通信可能に接続される。このように、インクジェットプリンター100_1~100_3は、処理装置200_1~200_3にそれぞれ対応しており、処理装置200_1~200_3に通信可能に接続される。以下の記載では、処理装置200_1~200_3のそれぞれを区別せずに、処理装置200と総称することがある。
【0012】
また、以下では、1から3までのそれぞれの整数iについて、記録システム20_iを記載することがある。記録システム20_iは、インクジェットプリンター100_iと処理装置200_iとを含む。以下の記載では、記録システム20_1~20_3のそれぞれを区別せずに、記録システム20と総称することがある。インクジェットシステム10は、記録システム20_1~20_3と、サーバー300とを有するとも言える。
【0013】
なお、図1に示す例では、インクジェットシステム10が有するインクジェットプリンター100及び処理装置200のそれぞれの数が3個であるが、当該数は、これに限定されず、1個、2個又は4個以上でもよい。すなわち、インクジェットプリンター100及び処理装置200の組は、3組に限定されず、1組、2組又は4組以上でもよい。
【0014】
インクジェットプリンター100は、処理装置200から、記録処理を実行させる記録ジョブJBを受け付ける。記録ジョブJBは、当該記録ジョブJBを一意に識別する不図示の識別情報と、記録媒体PPに形成される画像を示す記録データDPとを含む。更に、記録ジョブJBは、記録媒体PPに形成される画像の印刷部数を示す情報を含んでもよい。記録ジョブJBは、ユーザーUの操作によって記録指示PIが処理装置200に通知された場合に、処理装置200によって生成される。記録指示PIは、記録データDPの元となる画像データを識別する情報を含む。画像データは、PostScript、PDF、XPS等のファイル形式のデータである。PDFは、Portable Document Formatの略称である。XPSは、XML Paper Specificationの略称である。画像データを識別する情報は、例えば、処理装置200内に記憶された画像データのファイルパスである。インクジェットプリンター100は、記録データDPに基づく画像を、記録媒体PPに形成する。
【0015】
記録媒体PPは、インクジェットプリンター100が印刷可能な媒体であれば特に限定されず、例えば、各種紙、各種布又は各種フィルム等である。
【0016】
インクジェットプリンター100は、1個のヘッドユニットHUを有する。以下の記載において、ヘッドユニットHUは、ヘッドユニットHUに設けられたノズルNからインクを吐出する。以下では、インクジェットプリンター100を構成する要素のうちヘッドユニットHUを除く要素を「プリンター本体」という場合がある。
【0017】
なお、図1に示す例では、インクジェットプリンター100は1個のヘッドユニットHUを有するが、ヘッドユニットHUの個数は1個に限定されず、2個以上でもよい。
【0018】
処理装置200は、デスクトップ型又はノート型等のPCである。PCは、Personal Computerの略称である。処理装置200は、記録データDPを生成する画像処理と、インクジェットプリンター100による印刷を制御する処理と、を実行する。画像処理において、処理装置200は、例えば、PostScript、PDF、XPS等のファイル形式の画像データに対して、色変換処理及びRIP処理等の各種処理を実行することにより、記録データDPを生成する。RIPは、Raster image processorの略称である。
【0019】
処理装置200は、LAN、WAN、及び、インターネット等のネットワークNWを介してサーバー300に通信可能に接続される。LANは、Local Area Networkの略称である。WANは、Wide Area Networkの略称である。
【0020】
サーバー300は、後述するクラウドサーバーCSとして機能するコンピューターである。サーバー300は、例えば、ヘッドメーカー、プリンターメーカー、及び、エンドユーザーとは異なる事業者によって管理される。以下、サーバー300を管理する事業者を、「サーバー事業者」と記載することがある。ヘッドメーカーは、サーバー300の一部を利用する。
【0021】
1-2.サーバー300の構成
図2は、サーバー300の構成の一例を示す図である。サーバー300は、制御回路310と、記憶回路320と、通信装置380とを有する。制御回路310と、記憶回路320と、通信装置380とは、情報を通信するためのバス390により相互に接続される。
【0022】
制御回路310は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。CPUは、Central Processing Unitの略称である。なお、制御回路310は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0023】
記憶回路320は、磁気記憶装置又はフラッシュROM等で構成される。記憶回路320は、制御回路310が読取可能であり、制御回路310が実行する仮想化プログラムVMを含む複数のプログラム、及び、制御回路310が使用する各種の情報などを記憶する。仮想化プログラムVMは、サーバー300の制御回路310及び記憶回路320といったリソースを複数に分割し、分割したリソースのそれぞれを、後述するクラウドサーバーCSとして動作させる。ヘッドメーカーは、サーバー300の一部として、複数のクラウドサーバーCSのうち一部のクラウドサーバーCSを利用する。本実施形態では、図2に示すように、記憶回路320のうち、ヘッドメーカーが利用するクラウドサーバーCSに割り当てられた記憶領域を、クラウド記憶部CMと記載する。クラウド記憶部CMには、制御プログラムPM1が記憶されている。制御プログラムPM1は、ヘッドメーカーによって開発される。
【0024】
但し、記憶回路320が仮想化プログラムVMを有さなくてもよく、処理装置200は、クラウドサーバーCSの替わりにサーバー300にアクセスしてもよい。
【0025】
記憶回路320は、例えば、RAM等の揮発性の1又は複数のメモリーとROM、EEPROM又はPROM等の1又は複数の不揮発性メモリーとの一方又は両方の半導体メモリーを含む。RAMは、Random Access Memoryの略称である。ROMは、Read Only Memoryの略称である。EEPROMは、Electrically Erasable Programmable Read-Only Memoryの略称である。PROMは、Programmable ROMの略称である。
【0026】
通信装置380は、ネットワークNWを介して処理装置200と通信を行うための通信回路を有するハードウェアである。通信装置380は、例えば、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラー、ネットワークカード又は通信モジュールとも表記される。
【0027】
1-3.処理装置200の構成
図3は、処理装置200の構成を示す図である。処理装置200は、制御回路210と、PC記憶回路220と、通信装置230と、入力装置260と、表示装置270とを有する。制御回路210と、PC記憶回路220と、通信装置230と、入力装置260と、表示装置270とは、情報を通信するためのバス290により相互に接続される。
【0028】
制御回路210は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路210は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0029】
PC記憶回路220は、磁気記憶装置又はフラッシュROM等で構成される。PC記憶回路220は、制御回路210が読取可能であり、制御回路210が実行するインクジェットプログラムPM2を含む複数のプログラム、及び、制御回路210が使用する各種の情報などを記憶する。PC記憶回路220は、例えば、RAM等の揮発性の1又は複数のメモリーとROM、EEPROM又はPROM等の1又は複数の不揮発性メモリーとの一方又は両方の半導体メモリーを含む。インクジェットプログラムPM2は、例えば、処理装置200がインクジェットプリンター100に接続した場合に、サーバー300上で動作するクラウドサーバーCSからダウンロードされ、処理装置200にインストールされる。
【0030】
通信装置230は、ネットワークNWを介して処理装置200と通信を行うための通信回路を有するハードウェアである。通信装置230は、例えば、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラー、ネットワークカード又は通信モジュールとも表記される。
【0031】
通信装置240は、インクジェットプリンター100と通信可能な回路である。例えば、通信装置240は、USB、又はBluetooth等のネットワークカードである。USBは、Universal Serial Busの略称である。USB及びBluetoothは、登録商標である。一般的に、処理装置200とサーバー300との通信速度は、処理装置200とインクジェットプリンター100との通信速度よりも遅い。
【0032】
入力装置260は、ユーザーUの操作に応じた操作情報を出力するデバイスである。入力装置260は、例えば、マウス及びキーボードである。
【0033】
表示装置270は、何らかの情報を示す画像をユーザーUに表示する。表示装置270は、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及び、LCDである。ELは、Electro-Luminescenceの略称である。LEDは、Light Emitting Diodeの略称である。LCDは、Liquid Crystal Displayの略称である。また、入力装置260及び表示装置270が一体である構成でもよい。入力装置260及び表示装置270が一体である構成は、例えば、タッチパネルである。
【0034】
図1から図3までに示したように、ヘッドメーカーがプリンターメーカーにヘッドユニットHUを提供し、プリンターメーカーは、プリンター本体にヘッドユニットHUを組み込むことにより、インクジェットプリンター100を製造するというビジネスモデルが存在する。このビジネスモデルにおいて、プリンターメーカーは、ヘッドユニットHU以外を設計及び製造することが一般的である。本実施形態では、ヘッドメーカーがクラウドサーバーCSと、処理装置200で動作するインクジェットプログラムPM2とを用意し、ユーザーUは、処理装置200をクラウドサーバーCSに接続し、処理装置200にインクジェットプログラムPM2を動作させる。以上により、本実施形態では、プリンターメーカーがインクジェットプログラムPM2を用意しなくてよい分、プリンターメーカーの設計及び製造の負荷を低減できる。
【0035】
1-4.インクジェットプリンター100の構成
図4は、インクジェットプリンター100の構成の一例を例示する模式図である。図5は、インクジェットプリンター100の構成例を示すブロック図である。以下の説明では、相互に直交するX軸とY軸とZ軸とを想定する。任意の地点からみてX軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向の反対の方向をX2方向と表記する。同様に、任意の地点からY軸に沿って相互に反対の方向をY1方向及びY2方向と表記し、任意の地点からZ軸に沿って相互に反対の方向をZ1方向及びZ2方向と表記する。X軸とY軸とを含むX-Y平面は水平面に相当する。Z軸は鉛直方向に沿う軸線であり、Z2方向は鉛直方向の下方に相当する。
【0036】
第1実施形態に係るインクジェットプリンター100は、マルチパス方式により記録媒体PPに画像を形成するシリアルプリンターである。マルチパス方式とは、複数回の走査によって記録媒体PPに画像を形成させることを言う。具体的には、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100は、図4に示すように、インクジェットプリンター100は、副走査方向であるY1方向に記録媒体PPを搬送し主走査方向であるX1方向及びX2方向にヘッドユニットHUを移動させつつ、ノズルNからインクを吐出することで、記録媒体PPに画像を形成する記録動作を実行する。記録媒体PPは、インクジェットプリンター100が印刷可能な媒体であれば特に限定されず、例えば、各種紙、各種布又は各種フィルム等である。図4では、ヘッドユニットHUが有する複数のノズルNのうちの一部のノズルNが代表的に図示される。
【0037】
図4及び図5に示すように、インクジェットプリンター100は、ヘッドユニットHUと、液体容器120と、移動機構130と、搬送機構140と、通信装置150と、プリンター本体記憶回路160と、制御回路170と、推定ユニット190と、温度センサー195と、湿度センサー197とを有する。
【0038】
ヘッドユニットHUは、ヘッドチップ111と駆動回路112と電源回路183と駆動信号生成回路184とヘッド記憶回路185とを有するアセンブリーである。
【0039】
図4に示す例では、ヘッドユニットHUは、ヘッドチップ111及び駆動回路112を含む液体吐出ヘッド110と、電源回路183、駆動信号生成回路184、及び、ヘッド記憶回路185を含む制御モジュール180と、に区分される。なお、ヘッドユニットHUは、液体吐出ヘッド110と制御モジュール180とに区分される態様に限定されず、例えば、制御モジュール180の一部又は全部が液体吐出ヘッド110に組み込まれてもよい。
【0040】
ヘッドチップ111は、インクを記録媒体PPに向けて吐出する。図4では、ヘッドチップ111の構成要素のうち、複数の駆動素子111fが代表的に図示される。なお、ヘッドチップ111の詳細の一例については、後に図6に基づいて説明する。
【0041】
図5に示す例では、ヘッドユニットHUが有するヘッドチップ111の数が1個であるが、当該数は、2個以上でもよい。記録媒体PPの幅方向の一部にわたり複数のノズルNが分布するように、1個以上のヘッドチップ111が配置される。
【0042】
駆動回路112は、切替回路115と、検出回路117とを含む。切替回路115は、制御回路170による制御のもと、ヘッドチップ111の有する複数の駆動素子111fのそれぞれについて、駆動信号生成回路184から出力される駆動信号Comを供給するか否かを切り替える。また、切替回路115は、複数の駆動素子111fと検出回路117とを電気的に接続するか否かを切り替える。切替回路115は、例えば、当該切り替えのためのトランスミッションゲート等のスイッチ群を含む。検出回路117は、駆動素子111fが駆動された後に、駆動素子111fに対応する圧力室CVにおいて残留している振動を示す残留振動信号NESを推定ユニット190に出力する。圧力室CVは、図6で後述する。以下、圧力室CVにおいて残留している振動を、「残留振動」と記載する。
【0043】
電源回路183は、図示しない商用電源から電力の供給を受け、所定の各種電位を生成する。生成した各種電位は、インクジェットプリンター100の各部に適宜に供給される。図5に示す例では、電源回路183は、電源電位VHVとオフセット電位VBSとを生成する。オフセット電位VBSは、ヘッドチップ111等に供給される。また、電源電位VHVは、駆動信号生成回路184等に供給される。
【0044】
駆動信号生成回路184は、ヘッドチップ111の有する各駆動素子111fを駆動するための駆動信号Comを生成する回路である。具体的には、駆動信号生成回路184は、例えば、DA変換回路と増幅回路とを有する。駆動信号生成回路184では、当該DA変換回路が制御回路170からの後述の波形指定信号dComをデジタル信号からアナログ信号に変換し、当該増幅回路が電源回路183からの電源電位VHVを用いて当該アナログ信号を増幅することにより駆動信号Comを生成する。
【0045】
ヘッド記憶回路185は、フラッシュROM等の不揮発性メモリーで構成される。ヘッド記憶回路185は、例えば、ヘッドユニットHUに関する情報を記憶する。ヘッドユニットHUに関する情報は、例えば、ヘッドユニットHUの製造番号である。更に、ヘッド記憶回路185は、ヘッドユニットHUに関する情報以外のデータを保存可能な空き領域を有する。
【0046】
本実施形態では、インクジェットプリンター100からヘッドユニットHUが取り外される可能性がある。そこで、電源回路183からの電力の供給がなくてもデータが消失しないようにするため、ヘッド記憶回路185が不揮発性メモリーであることを記載したが、これに限らない。例えば、ヘッドユニットHUが、ボタン電池等のバッテリーを有し、ヘッド記憶回路185は、このバッテリーから電力の供給を受ける揮発性メモリーでもよい。
【0047】
図4に例示される通り、インクジェットプリンター100には、インクを貯留する液体容器120が設置される。例えばインクジェットプリンター100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、又は、インクを補充可能なインクタンクが、液体容器120として利用される。
【0048】
移動機構130及び搬送機構140は、制御回路170の制御のもと、記録媒体PPとヘッドユニットHUとの相対的な位置を移動させる。相対的な位置を移動とは、記録媒体PPの位置を固定したままヘッドユニットHUを移動させてもよいし、ヘッドユニットHUの位置を固定したまま記録媒体PPを移動させてもよい。本実施形態では、主走査方向であるX軸に沿う方向に対しては、記録媒体PPのX軸における位置を固定したままヘッドユニットHUをX軸に沿う方向に移動させ、副走査方向であるY1方向に対しては、ヘッドユニットHUのY軸に沿う方向の位置を固定したまま記録媒体PPをY1方向に移動させる。
【0049】
移動機構130は、制御回路170の制御のもと、ヘッドユニットHUをX軸に沿って往復させる。図4に示すように、移動機構130は、ヘッドユニットHUを収容する略箱型のキャリッジ131と、ヘッドユニットHUが固定された無端ベルト132とを具備する。なお、液体容器120をヘッドユニットHUとともにキャリッジ131に搭載した構成も採用され得る。
【0050】
搬送機構140は、制御回路170の制御のもと、記録媒体PPをY1方向に搬送する。具体的には、搬送機構140は、回転軸がX軸に平行な不図示の搬送ローラーと、搬送ローラーを制御回路170による制御のもとで回転させる不図示のモーターとを具備する。
【0051】
通信装置150は、処理装置200と通信可能な回路である。例えば、通信装置150は、USB、又はBluetooth等のネットワークカードである。また、通信装置150は、制御回路170と一体でもよい。
【0052】
本実施形態では、通信装置150が処理装置200と通信可能であるが、ヘッドユニットHUが通信装置を有する場合、この通信装置が、処理装置200と通信してもよい。更に、本実施形態では、インクジェットプリンター100は処理装置200と接続可能であるが、インクジェットプリンター100がサーバー300と接続可能でもよい。更に、インクジェットプリンター100がサーバー300と接続可能である場合、通信装置150がサーバー300と接続するが、これに限らない。例えば、ヘッドユニットHUが通信装置を有する場合、この通信装置が、サーバー300と通信してもよい。
【0053】
プリンター本体記憶回路160は、制御回路170が実行する各種プログラムと、制御回路170が処理する記録ジョブJB等の各種データと、本実施形態に係る保存先選択プログラムPM3とを記憶する。プリンター本体記憶回路160は、例えば、RAM等の揮発性の1又は複数のメモリーとROM、EEPROM又はPROM等の1又は複数の不揮発性メモリーとの一方又は両方の半導体メモリーを含む。なお、プリンター本体記憶回路160は、制御回路170の一部として構成されてもよい。保存先選択プログラムPM3は、ヘッドメーカーによって開発される。保存先選択プログラムPM3は、例えば、処理装置200がインクジェットプリンター100に接続した場合に、サーバー300上で動作するクラウドサーバーCSから処理装置200を介して、インクジェットプリンター100にダウンロードされる。又は、ヘッドメーカーが、保存先選択プログラムPM3のソースコードをプリンターメーカーに提供し、プリンターメーカーが、PC等によって、制御回路170で動作する設定で前述のソースコードをクロスコンパイルすることにより、保存先選択プログラムPM3を生成してもよい。
【0054】
制御回路170は、インクジェットプリンター100の各部の動作を制御する機能と、各種データを処理する機能と、を有する。制御回路170は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路170は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0055】
制御回路170は、プリンター本体記憶回路160に記憶されるプログラムを実行することにより、インクジェットプリンター100の各部の動作を制御する。ここで、制御回路170は、インクジェットプリンター100の各部の動作を制御するための信号として、制御信号Sk1、制御信号Sk2、印刷信号SI及び波形指定信号dCom等の信号を生成する。
【0056】
制御信号Sk1は、移動機構130の駆動を制御するための信号である。制御信号Sk2は、搬送機構140の駆動を制御するための信号である。印刷信号SIは、駆動回路112の駆動を制御するための信号である。具体的には、印刷信号SIは、駆動回路112が駆動信号生成回路184からの駆動信号Comを駆動素子111fに対して供給するか否かを所定の単位期間ごとに指定する。この指定により、ヘッドチップ111から吐出されるインク量等が指定される。波形指定信号dComは、駆動信号生成回路184で生成される駆動信号Comの波形を規定するためのデジタル信号である。
【0057】
記録動作が実行される場合、制御回路170は、まず、処理装置200から供給される記録ジョブJBを、プリンター本体記憶回路160に記憶させる。次に、制御回路170は、プリンター本体記憶回路160に記憶されている記録ジョブJBに含まれる記録データDP等の各種データに基づいて、印刷信号SI、波形指定信号dCom、制御信号Sk1、及び、制御信号Sk2等の各種制御信号を生成する。そして、制御回路170は、各種制御信号と、プリンター本体記憶回路160に記憶されている各種データに基づいて、ヘッドユニットHUに対する記録媒体PPの相対位置を変化させるように搬送機構140及び移動機構130を制御しつつ、駆動素子111fが駆動されるようにヘッドユニットHUを制御する。これにより、制御回路170は、駆動素子111fからのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を調整し、記録データDPに基づく画像を記録媒体PPに形成する記録動作の実行を制御する。
【0058】
更に、本実施形態に係るインクジェットプリンター100は、処理装置200から粘度推定指示を受け付けた場合、各駆動素子111fからのインクの吐出状態が正常であるか否か、すなわち、各駆動素子111fに含まれるノズルNの吐出異常の有無を判定するために、駆動素子111fのインクの粘度を推定する粘度推定処理を実行する。ここで、吐出異常とは、駆動信号Comにより駆動素子111fを駆動して駆動素子111fからインクを吐出させようとしても、駆動信号Comが規定する態様によりインクを吐出できない状態である。吐出異常は、インクの増粘等によって発生することがある。インクの増粘は、ノズルNの界面からのインクの溶媒、典型的には水が蒸発すること等によって進行する。
【0059】
粘度推定処理において、インクジェットプリンター100は、第1に、制御回路170により、複数の駆動素子111fのいずれかの駆動素子111fを駆動させることにより、駆動素子111fに残留振動を生じさせ、第2に、検出回路117により、残留振動が生じた駆動素子111fから検出された検出信号Voutに基づいて残留振動信号NESを生成し、第3に、推定ユニット190により、残留振動信号NESに基づいて粘度を推定し、推定した粘度を示す粘度情報NNDを生成する、という一連の処理を実行する。なお、粘度情報NNDは、「残留振動に基づくデータ」の一例である。
【0060】
温度センサー195は、インクジェットプリンター100の温度を測定して、測定結果を示す温度情報KT1を生成し、温度情報KT1を制御回路210に出力する。湿度センサー197は、インクジェットプリンター100の湿度を測定して、測定結果を示す湿度情報KT2を生成し、湿度情報KT2を制御回路210に出力する。
【0061】
なお、第1実施形態では、温度センサー195及び湿度センサー197が、インクジェットプリンター100内に設けられる基板上の電子回路に実装され、インクジェットプリンター100の温度及び湿度を検出する場合を想定するが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、温度センサー195及び湿度センサー197の一方又は両方は、ヘッドユニットHUの内部に設けられてもよい。
【0062】
図6は、ヘッドチップ111の構成例を示す断面図である。図4及び図6に示すように、ヘッドチップ111は、Y軸に沿う方向に配列される複数のノズルNを有する。当該複数のノズルNは、X軸に沿う方向に互いに間隔をあけて並ぶ第1列L1と第2列L2とに区分される。第1列L1及び第2列L2のそれぞれは、Y軸に沿う方向に直線状に配列される複数のノズルNの集合である。
【0063】
ヘッドチップ111は、X軸に沿う方向で互いに略対称な構成である。ただし、第1列L1の複数のノズルNと第2列L2の複数のノズルNとのY軸に沿う方向での位置は、互いに一致してもよいし異なってもよい。図6では、第1列L1の複数のノズルNと第2列L2の複数のノズルNとのY軸に沿う方向での位置が互いに一致する構成が例示される。
【0064】
図6に示すように、ヘッドチップ111は、流路基板111aと圧力室基板111bとノズル板111cと吸振体111dと振動板111eと複数の駆動素子111fと保護板111gとケース111hと配線基板111iとを有する。
【0065】
流路基板111a及び圧力室基板111bは、この順でZ1方向に積層されており、複数のノズルNにインクを供給するための流路を形成する。流路基板111a及び圧力室基板111bからなる積層体よりもZ1方向に位置する領域には、振動板111eと複数の駆動素子111fと保護板111gとケース111hと配線基板111iとが設置される。他方、当該積層体よりもZ2方向に位置する領域には、ノズル板111cと吸振体111dとが設置される。ヘッドチップ111の各要素は、概略的にはY方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤により、互いに接合される。以下、ヘッドチップ111の各要素を順に説明する。
【0066】
ノズル板111cは、第1列L1及び第2列L2のそれぞれの複数のノズルNが設けられた板状部材である。複数のノズルNのそれぞれは、インクを通過させる貫通孔である。ここで、ノズル板111cのZ2方向を向く面がノズル面FNである。ノズル板111cは、例えば、ドライエッチング又はウェットエッチング等の加工技術を用いる半導体製造技術によりシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。ただし、ノズル板111cの製造には、他の公知の方法及び材料が適宜に用いられてもよい。また、ノズルNの断面形状は、典型的には円形状であるが、これに限定されず、例えば、多角形又は楕円形等の非円形状であってもよい。
【0067】
流路基板111aには、第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、空間R1と複数の供給流路Raと複数の連通流路Naとが設けられる。空間R1は、Z軸に沿う方向でみた平面視で、Y軸に沿う方向に延びる長尺状の開口である。供給流路Ra及び連通流路Naのそれぞれは、ノズルNごとに形成された貫通孔である。各供給流路Raは、空間R1に連通する。
【0068】
圧力室基板111bは、第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、キャビティと称される複数の圧力室CVが設けられた板状部材である。複数の圧力室CVは、Y軸に沿う方向に配列される。各圧力室CVは、ノズルNごとに形成され、平面視でX軸に沿う方向に延びる長尺状の空間である。流路基板111a及び圧力室基板111bそれぞれは、前述のノズル板111cと同様に、例えば、半導体製造技術によりシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。ただし、流路基板111a及び圧力室基板111bのそれぞれの製造には、他の公知の方法及び材料が適宜に用いられてもよい。
【0069】
圧力室CVは、流路基板111aと振動板111eとの間に位置する空間である。第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、複数の圧力室CVがY軸に沿う方向に配列される。また、圧力室CVは、連通流路Na及び供給流路Raのそれぞれに連通する。従って、圧力室CVは、連通流路Naを介してノズルNに連通し、かつ、供給流路Raを介して空間R1に連通する。
【0070】
圧力室基板111bのZ1方向を向く面には、振動板111eが配置される。振動板111eは、弾性的に振動可能な板状部材である。振動板111eは、例えば、第1層と第2層とを有し、これらがこの順でZ1方向に積層される。第1層は、例えば、酸化シリコン(SiO2)で構成される弾性膜である。当該弾性膜は、例えば、シリコン単結晶基板の一方の面を熱酸化することにより形成される。第2層は、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)で構成される絶縁膜である。当該絶縁膜は、例えば、スパッタ法によりジルコニウムの層を形成し、当該層を熱酸化することにより形成される。なお、振動板111eは、前述の第1層及び第2層の積層による構成に限定されず、例えば、単層で構成されてもよいし、3層以上で構成されてもよい。
【0071】
振動板111eのZ1方向を向く面には、第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、互いにノズルNに対応する複数の駆動素子111fが配置される。各駆動素子111fは、駆動信号Comの供給により変形する受動素子である。各駆動素子111fは、平面視でX軸に沿う方向に延びる長尺状をなす。複数の駆動素子111fは、複数の圧力室CVに対応するようにY軸に沿う方向に配列される。駆動素子111fは、平面視で圧力室CVに重なる。
【0072】
各駆動素子111fは、圧電素子であり、図示しないが、第1電極と圧電体層と第2電極とを有し、この順でこれらがZ1方向に積層される。第1電極及び第2電極のうちの一方の電極は、駆動素子111fごとに互いに離間して配置される個別電極であり、当該一方の電極には、駆動信号Comが供給される。第1電極及び第2電極のうちの他方の電極は、複数の駆動素子111fにわたり連続するようにY軸に沿う方向に延びる帯状の共通電極であり、当該他方の電極には、オフセット電位VBSが供給される。これらの電極の金属材料としては、例えば、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銅(Cu)等の金属材料が挙げられ、これらのうち、1種を単独で又は2種以上を合金又は積層等の態様で組み合わせて用いることができる。圧電体層は、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)等の圧電材料で構成されており、例えば、複数の駆動素子111fにわたり連続するようにY軸に沿う方向に延びる帯状をなす。ただし、圧電体層は、複数の駆動素子111fにわたり一体でもよい。この場合、圧電体層には、互いに隣り合う各圧力室CVの間隙に平面視で対応する領域に、当該圧電体層を貫通する貫通孔がX軸に沿う方向に延びて設けられる。以上の駆動素子111fの変形に連動して振動板111eが振動すると、圧力室CV内の圧力が変動することで、インクがノズルNから吐出される。
【0073】
また、粘度推定処理では、駆動素子111fの個別電極に駆動信号Comを供給することにより、駆動素子111fが駆動する。駆動素子111fの個別電極は、駆動素子111fに対応する圧力室CVに生じている残留振動によって電位を変化させる。換言すれば、駆動素子111fの個別電極は、残留振動に起因する駆動素子111fの起電力に応じた電位を示す。駆動素子111fが駆動した後に、切替回路115が、駆動素子111fの個別電極と検出回路117とを電気的に接続することにより、検出回路117には、検出信号Voutが供給される。
【0074】
保護板111gは、振動板111eのZ1方向を向く面に設置される板状部材であり、複数の駆動素子111fを保護するとともに振動板111eの機械的な強度を補強する。ここで、保護板111gと振動板111eとの間には、複数の駆動素子111fが収容される。保護板111gは、例えば、樹脂材料で構成される。
【0075】
ケース111hは、複数の圧力室CVに供給されるインクを貯留するための部材である。ケース111hは、例えば、樹脂材料で構成される。ケース111hには、第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、空間R2が設けられる。空間R2は、前述の空間R1に連通する空間であり、空間R1とともに、複数の圧力室CVに供給されるインクを貯留するリザーバーRとして機能する。ケース111hには、各リザーバーRにインクを供給するための導入口IHが設けられる。各リザーバーR内のインクは、各供給流路Raを介して圧力室CVに供給される。
【0076】
吸振体111dは、コンプライアンス基板とも称され、リザーバーRの壁面を構成する可撓性の樹脂フィルムであり、リザーバーR内のインクの圧力変動を吸収する。なお、吸振体111dは、金属製の可撓性を有する薄板であってもよい。吸振体111dのZ1方向を向く面は、流路基板111aに接着剤等により接合される。
【0077】
配線基板111iは、振動板111eのZ1方向を向く面に実装されており、ヘッドチップ111と駆動回路112及び制御モジュール180等とを電気的に接続するための実装部品である。配線基板111iは、例えば、COF、FPC又はFFC等の可撓性の配線基板である。本実施形態の配線基板111iには、前述の駆動回路112が実装される。COFは、Chip On Filmの略称である。FPCは、Flexible Printed Circuitの略称である。FFCは、Flexible Flat Cableの略称である。
【0078】
なお、ヘッドチップ111は、図6に示す態様に限らない。例えば、1つのノズルNに対して複数の圧力室CVが連通することにより、吐出量を増大させてもよい。また、図6に示した、第1列L1の複数のノズルNと第2列L2の複数のノズルNとのY軸に沿う方向での位置が互いに一致する構成では、Y軸に沿う方向での位置が互いに一致する2つのノズルNの一方のノズルNが吐出異常となった場合でも、他方のノズルNが吐出することにより、一方のノズルNが吐出すべき位置にインクを吐出できるため、記録媒体PPに形成される画像の質の劣化を低減できる。一方、第1列L1の複数のノズルNと第2列L2の複数のノズルNとのY軸に沿う方向での位置が互いに異なる構成では、Y軸に沿う方向での位置が互いに一致する構成と比較して、Y軸に沿う方向の解像度を高くできる。
【0079】
説明を図5に戻す。検出回路117は、上述のとおり、検出信号Voutに基づいて残留振動信号NESを生成する。残留振動信号NESとは、検出信号Voutの振幅を増幅し、また、検出信号Voutからノイズ成分を除去する等することで、検出信号Voutを推定ユニット190における処理に適した波形に整形した信号である。残留振動信号NESは、アナログの信号である。
【0080】
検出回路117は、例えば、検出信号Voutを増幅させるための負帰還型のアンプと、検出信号Voutの高域周波数成分を減衰させるためのローパスフィルターと、インピーダンスを変換してローインピーダンスの残留振動信号NESを出力するボルテージフォロアと、を含む構成等であってもよい。
【0081】
推定ユニット190は、残留振動信号NESに基づいて粘度情報NNDを生成する。例えば、推定ユニット190は、残留振動信号NESに基づいて、残留振動の振幅を示す振幅情報を生成し、振幅情報に基づいて、圧力室CVの内部に存在するインクの粘度を推定し、当該推定されたインクの粘度を示す粘度情報NNDを生成する。
【0082】
1-5.データの保存先について
インクジェットプリンター100は、様々なデータを取得する。データの一例としては、温度センサー195の測定結果を示す温度情報KT1と、湿度センサー197の測定結果を示す湿度情報KT2と、記録動作中の粘度情報NNDと、駆動素子111fが駆動した駆動回数とのうち1つのデータ又は複数のデータである。以下の記載では、インクジェットプリンター100が取得する様々なデータを、収集データCDと総称する。温度情報KT1と、湿度情報KT2と、粘度情報NNDと、駆動回数とのうち任意の1つのデータが「第1データ」の一例であり、当該1つのデータ以外のデータが「第2データ」の一例である。
【0083】
収集データCDは、一般的には、記録システム20内の記憶部に記憶される。記録システム20内の記憶部とは、PC記憶回路220と、プリンター本体記憶回路160と、ヘッド記憶回路185とである。以下の記載では、記録システム20内の記憶部を、「記録システム内記憶部KM」と記載する。また、記録システム20内のヘッドユニットHU、プリンター本体、及び、処理装置200を、「記録システム内装置」と総称することがある。
【0084】
記録システム内記憶部KMに収集データCDを記憶する場合、収集データCDの転送を行わない限り、収集データCDが記憶された記録システム内装置のみが収集データCDを活用できるため、収集データCDを記憶しない記録システム内装置が収集データCDを活用できないという課題があった。ヘッドメーカーがプリンターメーカーにヘッドユニットHUを提供するビジネスモデルでは、例えば、以下に示す3つのインクジェットシステム10の使用態様が考えられる。第1の使用態様は、1つのヘッドユニットHUを複数のプリンター本体のいずれかの1つのプリンター本体に切り替えて装着させる態様である。第2の使用態様は、1つのプリンター本体に複数のヘッドユニットHUのうちいずれか1つのヘッドユニットHUを切り替えて装着させる態様である。第3の使用態様は、1台の処理装置200に複数のインクジェットプリンター100のうちいずれか1つのインクジェットプリンター100を切り替えながら接続する態様である。
【0085】
第1の使用態様でインクジェットシステム10が使用される状況は、例えば、複数のプリンター本体のそれぞれに装着したヘッドユニットHUのいずれかに吐出不良が発生し、吐出正常であるヘッドユニットHUを複数のプリンター本体で使いまわす場合である。第2の使用態様でインクジェットシステム10が使用される状況は、例えば、複数のヘッドユニットHUのそれぞれが有する特徴が互いに異なる場合に、ユーザーUの要求に応じて切り替える場合である。例えば、吐出量を増大させたい場合には、ユーザーUは、1つのノズルNに対して複数の圧力室CVが連通するヘッドチップ111を有するヘッドユニットHUをプリンター本体に装着する。又は、記録媒体PPに形成される画像を高解像度としたい場合には、ユーザーUは、第1列L1の複数のノズルNと第2列L2の複数のノズルNとのY軸に沿う方向での位置が互いに異なるヘッドチップ111を有するヘッドユニットHUをプリンター本体に装着する。第3の使用態様でインクジェットシステム10が使用される状況は、例えば、複数のインクジェットプリンター100の記録媒体PPの種類及びインクの種類の一方又は両方が互いに異なる場合に、ユーザーUの要求に応じて記録動作を実行させるインクジェットプリンター100を切り替える場合である。
【0086】
上述した3つの使用態様は、ヘッドユニットHU、プリンター本体、及び、処理装置200のうちいずれか1種類の記録システム内装置について、同一種類の複数の記録システム内装置を切り替える点で共通する。このような複数の使用態様のうちどの使用態様を選択するかは、ユーザーU次第である。従って、切り替えて使用される記録システム内装置に収集データCDが記憶されると、記録システム内装置を切り替えた後に、収集データCDを活用できないという問題があった。また、記録システム内記憶部KMに収集データCDを記憶すると、クラウドサーバーCSで解析できない問題と、記録システム内記憶部KMの記憶容量が圧迫される問題とがあった。
【0087】
一方、クラウド記憶部CMに収集データCDを記憶する場合、記録動作を実行する場合に前の記録動作中の収集データCDが必要になる場合があり、記録システム20からクラウドサーバーCSに問い合わせることになる。クラウドサーバーCSに問い合わせるため、単位期間当たりの記録動作が可能な枚数の低下、即ち、スループットの低下を招くという問題があった。前の記録動作中の収集データCDが必要になる場合とは、例えば、現在の温度情報KT1が高温又は低温であったり、又は、現在の粘度情報NNDが増粘を示していたりする等、異常状態を示している場合に、前回の記録動作の温度情報KT1又は粘度情報NNDを読み出して、前回の記録動作時も異常であったかを判定する場合である。記録システム20は、前回の記録動作時も異常状態であった場合、現在の異常状態はユーザーUが意図した状態であると判断して、記録動作を実行し、前回の記録動作時に異常状態でない場合、現在の異常状態はユーザーUが意図しない状態であると判断して、記録動作を停止する。また、クラウド記憶部CMに収集データCDを常に記憶する場合、個人情報及び機密性が高い情報が漏洩しないようにセキュリティーを担保する必要がある問題があった。
【0088】
上述した問題をどの程度解決するのかは、ユーザーUによっても異なるし、収集データCDの種類によっても変わる。そこで、本実施形態に係る記録システム20は、記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとのいずれに収集データCDを記憶させるかをユーザーUに選択させた結果を示す選択情報CIを受け付ける。記録システム内記憶部KMと記憶回路320とのいずれに収集データCDを記憶させるとは、記録システム内記憶部KMのみに収集データCDを記憶させてもよいし、クラウド記憶部CMのみに収集データCDを記憶させてもよいし、記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとの両方に収集データCDを記憶させてもよい。
【0089】
1-6.インクジェットシステム10の機能及び動作
図7は、インクジェットシステム10の機能を説明するための図である。図7に示すように、処理装置200の制御回路210は、PC記憶回路220からインクジェットプログラムPM2を読み取り、読み取ったインクジェットプログラムPM2を実行することによって、受付部213として機能する。また、インクジェットプリンター100の制御回路170が保存先選択プログラムPM3を読み取り、読み取った保存先選択プログラムPM3を実行することによって、取得部171と保存部175として機能する。
【0090】
なお、制御回路210が、受付部213と機能し、更に、取得部171と保存部175としても機能してもよい。又は、インクジェットプリンター100が、入力装置及び表示装置を有し、取得部171と保存部175として機能し、更に、受付部213としても機能してもよい。
【0091】
図7に示すように、記録システム内記憶部KMは、ヘッド記憶回路185と、プリンター本体記憶回路160と、PC記憶回路220とを有する。なお、記録システム内記憶部KMが「第1記憶部」の一例である。クラウド記憶部CMが「第2記憶部」の一例である。ヘッド記憶回路185が「第3記憶部」の一例である。プリンター本体記憶回路160が「第4記憶部」の一例である。PC記憶回路220が「第5記憶部」の一例である。
【0092】
インクジェットシステム10は、選択情報受付処理と、収集データ取得時処理と、記録動作終了時処理とを実行する。選択情報受付処理は、選択情報CIを受け付ける処理である。収集データ取得時処理は、記録動作を開始した後、収集データCDを取得した場合に実行する処理である。記録動作終了時処理は、記録動作が終了した後に実行する処理である。本実施形態では、特に説明のない限り、選択情報受付処理が実行された後に収集データ取得時処理を実行することを前提とする。
【0093】
図8は、選択情報受付処理の一例を示すフローチャートである。例えば、制御回路210は、インクジェットプログラムPM2が処理装置200にインストールされた後、インクジェットプログラムPM2が始めて実行された場合、選択情報受付処理を実行する。但し、選択情報受付処理が実行されるタイミングは、ユーザーUの操作によって選択情報受付処理を実行する指示を受け付けた場合でもよい。
【0094】
制御回路210は、ステップS2において、表示装置270に保存先選択ウインドウHWを表示させる。保存先選択ウインドウHWについて、図9を用いて説明する。
【0095】
図9は、保存先選択ウインドウHWの一例を示す図である。保存先選択ウインドウHWは、収集データCDごとに、保存先を選択可能なウインドウである。保存先選択ウインドウHWは、収集データCDの種類を選択するプルダウンメニューPD1と、収集データ取得時の一連の動作を設定するウィジェットを含むペインPN1と、ユーザーUの操作結果に基づいて選択情報CIを生成するOKボタンBT1とを有する。ペインPN1は、記録動作中に取得した収集データCDの保存先を設定するウィジェットを含むペインPN2と、非記録動作中に取得した収集データCDの保存先を設定するウィジェットを含むペインPN3とを有する。図9の例では、初期状態として、プルダウンメニューPD1に温度を示す文字列が表示されている。記録動作中に取得する収集データCDは、例えば、温度情報KT1と、湿度情報KT2と、粘度情報NNDと、駆動回数とである。非記録動作中に取得する収集データCDは、温度情報KT1と、湿度情報KT2とである。従って、温度情報KT1及び湿度情報KT2のうち任意の情報が「第3データ」の一例ともいえる。
【0096】
ペインPN2は、プルダウンメニューPD2と、プルダウンメニューPD3と、チェックボックスCB1と、チェックボックスCB2と、を有する。プルダウンメニューPD2は、記録動作中に取得した収集データCDの保存先を選択可能なウィジェットである。プルダウンメニューPD3は、記録動作が終了して非記録動作後に遷移した場合の収集データCDの保存先を選択可能なウィジェットである。チェックボックスCB1は、記録動作中に取得した収集データCDを、クラウドサーバーCSとの接続確立時に自動でクラウド記憶部CMにアップロードを行うか否かを選択可能なウィジェットである。チェックボックスCB2は、記録動作中に取得した収集データCDをクラウド記憶部CMにアップロードした後、記録システム内記憶部KMに保存された収集データCDを消去するか否かを選択可能なウィジェットである。
【0097】
ペインPN3は、プルダウンメニューPD4と、チェックボックスCB3と、チェックボックスCB4と、を有する。プルダウンメニューPD4は、非記録動作中に取得した収集データCDの保存先を選択可能なウィジェットである。チェックボックスCB3は、非記録動作中に取得した収集データCDを、クラウドサーバーCSとの接続確立時に自動でクラウド記憶部CMにアップロードを行うか否かを選択可能なウィジェットである。チェックボックスCB4は、非記録動作中に取得した収集データCDをクラウド記憶部CMにアップロードした後、記録システム内記憶部KMに保存された収集データCDを消去するか否かを選択可能なウィジェットである。
【0098】
プルダウンメニューPD1~PD4、及び、チェックボックスCB1~CB4は、複数の収集データCDのそれぞれで個別に設定可能である。
【0099】
説明を図8に戻す。ステップS2の処理終了後、受付部213として機能する制御回路210は、ステップS4において、ユーザーUの入力装置260の操作に応じた操作情報を受け付ける。ステップS4の処理終了後、制御回路210は、ステップS6において、操作情報がOKボタンBT1以外のウィジェットの操作を示すか否かを判定する。OKボタンBT1以外のウィジェットとは、プルダウンメニューPD1~PD4、及び、チェックボックスCB1~CB4である。
【0100】
ステップS6の判定結果が肯定である場合、制御回路210は、ステップS8において、ウィジェットの操作に応じて保存先選択ウインドウHWを更新する。
【0101】
図10は、保存先選択ウインドウHWの更新例を示す図である。ステップS8の処理の一例として、操作情報がプルダウンメニューPD1の押下である場合、複数の収集データCDのそれぞれを示す文字列を表示する。複数の収集データCDのそれぞれを示す文字列は、例えば、温度を示す文字列と、湿度を示す文字列と、粘度を示す文字列と、駆動回数を示す文字列である。操作情報がプルダウンメニューPD1の押下によって表示された複数の文字列のうちいずれか1つの文字列の押下である場合、押下された文字列をプルダウンメニューPD1の左方向の領域に表示する。プルダウンメニューPD2~PD4のいずれか1つの押下である場合、表示装置270は、ヘッド記憶回路185と、プリンター本体記憶回路160と、PC記憶回路220とのうち2以上の保存先の候補の一覧を表示する。図10の例では、プルダウンメニューPD2~PD4のいずれか1つの押下である場合、ヘッド記憶回路185と、プリンター本体記憶回路160と、PC記憶回路220とを示す一覧を表示する。操作情報がチェックボックスCB1~CB4のいずれか1つの押下である場合、押下されたチェックボックスの選択又は選択の解除を行う。
【0102】
図10に示す保存先選択ウインドウHWは、ステップS8の処理を複数回実行した状態を示す。図10の例では、プルダウンメニューPD1に、粘度を示す文字列が表示され、プルダウンメニューPD2に、プリンター本体記憶回路160を示す文字列が表示され、プルダウンメニューPD3に、PC記憶回路220を示す文字列が表示され、チェックボックスCB1~CB3が選択されており、プルダウンメニューPD4が押下された状態である。
【0103】
ステップS8の処理終了後、制御回路210は、処理をステップS4に戻す。ステップS6の判定結果が否定である場合、制御回路210は、ステップS10において、操作情報がOKボタンBT1の押下を示すか否かを判定する。ステップS10の判定結果が否定である場合、制御回路210は、処理をステップS4に戻す。
【0104】
ステップS10の判定結果が肯定である場合、受付部213として機能する制御回路210は、ステップS12において、保存先選択ウインドウHWの表示内容に基づいて、選択情報CIを生成する。具体的には、受付部213は、収集データCDごとに、プルダウンメニューPD1~PD4のそれぞれに表示されている文字列、及び、チェックボックスCB1~CB4のそれぞれが選択されたか否かを示す情報を有する選択情報CIを生成する。温度情報KT1と、湿度情報KT2と、粘度情報NNDと、駆動回数とのうち、「第1データ」の選択情報CIが、「第1選択情報」に相当し、「第1データ」以外の「第2データ」の選択情報CIが、「第2選択情報」に相当する。ステップS12の処理終了後、制御回路210は、ステップS14において、通信装置240を制御して、選択情報CIをインクジェットプリンター100に送信する。インクジェットプリンター100が選択情報CIを受信した場合、制御回路170は、選択情報CIをプリンター本体記憶回路160に保存する。ステップS14の処理終了後、制御回路210は、図8に示す一連の処理を終了する。
【0105】
図8図10から理解されるように、選択情報CIは、記録システム内記憶部KMと、クラウド記憶部CMとのいずれに収集データCDを保存させるかをユーザーUに選択させた結果を示す。例えば、ユーザーUが、何らかの収集データCDを選択した状態で、プルダウンメニューPD2に、記録システム内記憶部KMのいずれかの記憶部を指定した状態でOKボタンBT1を押下したという前提とする。この前提において、ステップS12の処理によって生成される選択情報CIは、記録システム内記憶部KMに収集データCDを保存させることをユーザーUに選択させた結果を示す。
【0106】
また、ユーザーUが、プルダウンメニューPD2に、記録システム内記憶部KMのいずれかの記憶部を指定し、チェックボックスCB1を選択し、且つ、チェックボックスCB2を選択しなかった状態で、OKボタンBT1を押下したという前提とする。この前提において、ステップS12の処理によって生成される選択情報CIは、記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとの両方に収集データCDを保存させることをユーザーUに選択させた結果を示す。
【0107】
また、ユーザーUが、プルダウンメニューPD2に、記録システム内記憶部KMのいずれかの記憶部を指定し、チェックボックスCB1を選択し、且つ、チェックボックスCB2を選択した状態で、OKボタンBT1を押下したという前提とする。この前提において、ステップS12の処理によって生成される選択情報CIは、クラウド記憶部CMに収集データCDを保存させることをユーザーUに選択させた結果を示す。
【0108】
上述したように、記録システム内記憶部KMは、ヘッド記憶回路185と、プリンター本体記憶回路160と、PC記憶回路220とを有する。従って、選択情報CIは、ヘッド記憶回路185と、プリンター本体記憶回路160と、PC記憶回路220と、クラウド記憶部CMとのいずれに収集データCDを保存させることをユーザーUに選択させた結果を示す、とも言える。
【0109】
図11は、収集データ取得時処理の一例を示すフローチャートである。収集データ取得時処理を実行するタイミング、言い換えれば、収集データCDを取得するタイミングは、例えば、所定期間が満了したタイミングである。所定期間は、ヘッドメーカー、プリンターメーカー、又は、ユーザーUによって決められる値である。所定期間は、複数の収集データCDのそれぞれで同一でもよいし、異なってもよい。図11に示すフローチャートは、複数の収集データCDのうち任意の一つの収集データCDの取得時のフローチャートを示す。
【0110】
ステップS22において、取得部171として機能する制御回路170は、収集データCDを取得する。例えば、温度情報KT1を収集データCDの一つとして取得する場合、制御回路170は、温度センサー195から温度情報KT1を取得する。また、湿度情報KT2を収集データCDの一つとして取得する場合、制御回路170は、湿度センサー197から湿度情報KT2を取得する。
【0111】
また、粘度情報NNDを収集データCDの一つとして取得する場合、制御回路170は、粘度推定処理を実行し、推定ユニット190から粘度推定処理の結果である粘度情報NNDを取得する。ここで、粘度情報NNDを収集データCDの一つとして取得する場合、制御回路170は、複数の駆動素子111fのそれぞれに対して残留振動を生じさせ、取得した複数の粘度情報NNDを取得してもよいし、複数の駆動素子111fのいずれか1つの駆動素子111fに対して残留振動を生じさせ、取得した粘度情報NNDを取得してもよい。
【0112】
また、駆動回数を収集データCDの一つとして取得する場合、制御回路210は、プリンター本体記憶回路160から駆動回数を取得する。駆動回数を取得するため、制御回路210は、駆動回数を計数した結果をプリンター本体記憶回路160に記憶する。例えば、制御回路170は、駆動信号Comを駆動素子111fに対して供給することを指定する印刷信号SIを生成するたびに、駆動回数を更新する。
【0113】
ステップS22の処理終了後、制御回路170は、ステップS24において、記録動作中保存先情報を取得する。記録動作中保存先情報は、選択情報CIのうち、保存先選択ウインドウHWのプルダウンメニューPD2の表示内容に対応する情報である。例えば、記録動作中保存先情報は、図10の例ではプリンター本体記憶回路160である。続けて、制御回路170は、ステップS26において、非記録動作中保存先情報を取得する。非記録動作中保存先情報は、選択情報CIのうち、保存先選択ウインドウHWのプルダウンメニューPD4の表示内容に対応する情報である。本実施形態では、記録動作中保存先情報及び非記録動作中保存先情報は、記録システム内記憶部KM内の記憶部であることを前提とする。
【0114】
ステップS24の処理を実行する時点では、選択情報受付処理を既に実行済みである前提である。従って、本実施形態に係るインクジェットシステム10は、受付部213を実行した後に取得部171を実行するが、実行順序は逆でもよい。例えば、ステップS24を実行する場合に、プリンター本体記憶回路160に選択情報CIが保存されていない場合に、制御回路170は、処理装置200に選択情報受付処理を実行させてもよい。即ち、本実施形態に係るインクジェットシステム10は、取得部171を実行した後に受付部213を実行してもよい。
【0115】
ステップS26の処理終了後、制御回路170は、ステップS28において、制御回路210は、記録動作を実行中か否かを判定する。ステップS28の判定結果が肯定である場合、保存部175として機能する制御回路170は、ステップS30において、収集データCDを記録動作中保存先情報が示す記憶部に保存する。一方、ステップS28の判定結果が否定である場合、言い換えれば、非記録動作中である場合、保存部175として機能する制御回路170は、ステップS32において、収集データCDを非記録動作中保存先情報が示す記憶部に保存する。
【0116】
ステップS30及びステップS32について、制御回路170は、記録動作中保存先情報が示す記憶部又は非記録動作中保存先情報が示す記憶部がPC記憶回路220を示す場合、処理装置200に収集データCDを送信し、処理装置200に、収集データCDをPC記憶回路220に保存するように指示する。
【0117】
ステップS30の処理終了後、又はステップS32の処理終了後、制御回路170は、ステップS34において、クラウドサーバーCSにアップロードを行うか否か判定する。具体的には、記録動作中において、制御回路170は、選択情報CIのうち、保存先選択ウインドウHWのチェックボックスCB1に対応する情報が選択されていることを示す場合に、ステップS34の判定結果が肯定であると判定し、チェックボックスCB1に対応する情報が選択されていないことを示す場合に、ステップS34の判定結果が否定であると判定する。また、非記録動作中において、制御回路170は、選択情報CIのうち、保存先選択ウインドウHWのチェックボックスCB3に対応する情報が選択されていることを示す場合に、ステップS34の判定結果が肯定であると判定し、チェックボックスCB3に対応する情報が選択されていないことを示す場合に、ステップS34の判定結果が否定であると判定する。
【0118】
ステップS34の判定結果が否定である場合、制御回路170は、図11に示す一連の処理を終了する。ステップS34の判定結果が肯定である場合、制御回路170は、ステップS36において、クラウドサーバーCSとの接続が確立されているか否か判定する。例えば、制御回路170は、処理装置200にクラウドサーバーCSとの接続が確立されているか否かを確認させる。処理装置200の制御回路210は、通信装置230を介して、クラウドサーバーCSとのTCPコネクションが確立した場合、クラウドサーバーCSとの接続が確立されていると判定し、TCPコネクションに失敗した場合、クラウドサーバーCSとの接続が遮断されていると判定する。TCPは、Transmission Control Protocolの略称である。
【0119】
ステップS36の判定結果が否定である場合、制御回路170は、所定期間の経過後、再び、ステップS36の処理を実行する。所定期間は、例えば、ヘッドメーカー、プリンターメーカー、又は、ユーザーUによって決定される。但し、制御回路210は、ステップS36の処理を所定回数実行しても判定結果が否定である場合、「クラウドサーバーに接続できませんでした」等のエラーメッセージを処理装置200内の表示装置270に表示させて、図11に示す一連の処理を終了する。所定回数は、例えば、ヘッドメーカー、プリンターメーカー、又は、ユーザーUによって決定される。また、所定回数未満の回数時に判定結果が肯定になった場合、処理装置200とクラウドサーバーCSとの接続が一時的に遮断していたことを示す。処理装置200とクラウドサーバーCSとの接続が一時的に遮断する例としては、ネットワークNWの一時的な輻輳、及び、サーバー事業者によるサーバー300のメンテナンスによって仮想化プログラムVMが実行されていない状態等がある。
【0120】
ステップS36の判定結果が肯定である場合、保存部175として機能する制御回路170は、ステップS38において、通信装置150及び処理装置200を介して、ステップS30の処理又はステップS32の処理によって記録システム内記憶部KMに保存した収集データCDを、クラウド記憶部CMにアップロードする。ステップS38の処理は、記録システム内記憶部KMに保存した収集データCDを、クラウド記憶部CMに複製したとも言える。
【0121】
ステップS38の処理終了後、制御回路170は、ステップS40において、アップロード後に収集データCDを消去するか否かを判定する。具体的には、記録動作中において、制御回路170は、選択情報CIのうち、保存先選択ウインドウHWのチェックボックスCB2に対応する情報が選択されていることを示す場合に、ステップS40の判定結果が肯定であると判定し、チェックボックスCB2に対応する情報が選択されていないことを示す場合に、ステップS40の判定結果が否定であると判定する。また、非記録動作中において、制御回路170は、選択情報CIのうち、保存先選択ウインドウHWのチェックボックスCB4に対応する情報が選択されていることを示す場合に、ステップS40の判定結果が肯定であると判定し、チェックボックスCB4に対応する情報が選択されていないことを示す場合に、ステップS40の判定結果が否定であると判定する。
【0122】
ステップS40の判定結果が否定である場合、制御回路170は、図11に示す一連の処理を終了する。ステップS40の判定結果が肯定である場合、制御回路170は、ステップS42において、記録システム20内の収集データCDを消去する。記録システム20内の収集データCDとは、ステップS30の処理又はステップS32の処理によって保存された収集データCDである。ステップS42の処理終了後、制御回路170は、図11に示す一連の処理を終了する。
【0123】
図12は、記録動作終了時処理の一例を示すフローチャートである。制御回路170は、ステップS52において、記録動作中保存先情報が示す記憶部に収集データCDが保存されているか否かを判定する。
【0124】
ステップS52の判定結果が肯定である場合、制御回路170は、ステップS54において、記録動作中保存先情報が示す記憶部に保存されている収集データCDを、記録動作終了後保存先情報が示す記憶部に移動する。記録動作終了後保存先情報は、選択情報CIのうち、保存先選択ウインドウHWのプルダウンメニューPD3の表示内容に対応する情報である。例えば、記録動作終了後保存先情報は、図12の例ではPC記憶回路220である。
【0125】
ステップS52の判定結果が否定である場合、又は、ステップS54の処理終了後、制御回路170は、図12に示す一連の処理を終了する。
【0126】
図8図11、及び、図12に示すフローチャートによれば、常にクラウドサーバーCSに接続されている記録システム20であれば、クラウドサーバーCSに収集データCDを保存するように設定することにより、ユーザーUがクラウドサーバーCSに収集データCDを保存しなおす手間を削減できる。更に、クラウドサーバーCSに接続されていれば収集データCDがアップロードされるため、ヘッドメーカーは、収集データCDを迅速に入手できる。従って、ヘッドメーカーは、収集データCDを用いて迅速に解析できる。また、記録動作中には、記録システム20内の各装置の負荷が高くなる。記録動作中には記録システム20内の各装置の負荷に影響を与えにくい保存先、例えば、プリンター本体記憶回路160又はヘッド記憶回路185に収集データCDを保存し、記録動作後にはPC記憶回路220又はクラウド記憶部CMに収集データCDを保存することが可能である。
【0127】
1-7.第1実施形態のまとめ
以下、複数の収集データCDの一例として、記録動作中に粘度情報NNDと駆動回数とを収集し、非記録動作中に温度情報KT1を収集する場合について、第1実施形態のまとめを記載する。理解を容易にするため、粘度情報NNDの選択情報CIを、選択情報CI-Nと記載し、駆動回数の選択情報CIを、選択情報CI-Dと記載し、温度情報KT1の選択情報CIを、選択情報CI-Kと記載する。第1実施形態のまとめにおいて、粘度情報NNDが「第1データ」の一例であり、駆動回数が「第2データ」の一例であり、温度情報KT1が「第3データ」の一例であり、選択情報CI-Nが「第1選択情報」の一例であり、選択情報CI-Dが「第2選択情報」の一例であり、選択情報CI-Kが「第3選択情報」の一例である。
【0128】
以上説明したように、インクジェットシステム10は、インクを吐出するヘッドユニットHUが装着され、記録媒体PPに対して記録動作を実行するインクジェットプリンター100と、インクジェットプリンター100と接続し、インクジェットプリンター100に記録動作を実行させるためのデータ処理を行う処理装置200と、インクジェットプリンター100及び処理装置200のいずれかと接続可能なサーバー300と、を有するインクジェットシステムである。インクジェットプリンター100及び処理装置200のいずれかには、記録システム内記憶部KMが設けられ、クラウドサーバーCSとして機能するサーバー300には、クラウド記憶部CMが設けられ、インクジェットシステム10は、記録動作中に粘度情報NNDを取得する取得部171と、記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとのいずれに粘度情報NNDを保存させるかをユーザーUに選択させた結果を示す選択情報CI-Nを受け付ける受付部213と、選択情報CI-Nに基づいて、粘度情報NNDを記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとのいずれかに保存する保存部175と、を有する。
第1実施形態によれば、記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとのいずれに粘度情報NNDを記憶させるかをユーザーUに選択させることにより、粘度情報NNDをユーザーにとって最適な記憶部、具体的には、ユーザーUのインクジェットシステム10の使い方に応じた保存先に保存できる。従って、第1実施形態に係るインクジェットシステム10は、ユーザーUの使い勝手の向上に寄与できる。
【0129】
また、保存部175は、選択情報CI-Nが粘度情報NNDをクラウド記憶部CMに保存させることを示し、且つ、インクジェットプリンター100及び処理装置200のいずれともクラウドサーバーCSとの接続が遮断されている場合、記録システム内記憶部KMに粘度情報NNDを保存し、選択情報CI-Nが粘度情報NNDをクラウド記憶部CMに保存させることを示し、且つ、インクジェットプリンター100及び処理装置200のいずれかとクラウドサーバーCSとの接続が確立されている場合、クラウド記憶部CMに粘度情報NNDを保存する。図9に示す保存先選択ウインドウHWと図11に示すフローチャートで説明すると、チェックボックスCB1及びCB2が選択された状態で選択情報CIが生成され、且つ、ステップS36の判定結果が否定であると判定した場合である。ステップS36の判定結果が否定であっても、ステップS30の処理又はステップS32の処理において、記録システム内記憶部KM内の記憶部に、粘度情報NNDが保存されている。
第1実施形態によれば、選択情報CI-Nが粘度情報NNDをクラウド記憶部CMに保存させることを示しても、記録システム20がクラウドサーバーCSとの接続が遮断されている場合には、記録システム内記憶部KMに粘度情報NNDを保存することにより、粘度情報NNDが消失することを抑制できる。
【0130】
また、保存部175は、選択情報CI-Nが粘度情報NNDをクラウド記憶部CMに保存させることを示し、且つ、インクジェットプリンター100及び処理装置200のいずれかとクラウドサーバーCSとの接続が遮断されていた後に確立された場合、記録システム内記憶部KMに保存された粘度情報NNDをクラウド記憶部CMに複製し、収集データCDをクラウド記憶部CMに複製した後に、記録システム内記憶部KMに保存された粘度情報NNDを消去する。
第1実施形態によれば、粘度情報NNDをクラウド記憶部CMに複製した後に、記録システム内記憶部KMに保存された粘度情報NNDを消去することにより、記録システム内記憶部KMの空き容量を増やすことができる。
【0131】
また、PC記憶回路220を収集データCDの保存先の候補とせず、図10において、プルダウンメニューPD2~PD4のいずれか1つの押下である場合、ヘッド記憶回路185とプリンター本体記憶回路160とを示す一覧を表示する態様でもよい。この態様において、記録システム内記憶部KMは、ヘッドユニットHU内に設けられたヘッド記憶回路185と、インクジェットプリンター100内のヘッドユニットHU以外に設けられたプリンター本体記憶回路160とを有し、選択情報CI-Nは、ヘッド記憶回路185とプリンター本体記憶回路160とクラウド記憶部CMとのいずれに粘度情報NNDを記憶させるかをユーザーUに選択させた結果を示し、保存部175は、選択情報CI-Nに基づいて、粘度情報NNDをヘッド記憶回路185とプリンター本体記憶回路160とクラウド記憶部CMとのいずれかに保存する。
第1実施形態によれば、ユーザーUのインクジェットシステム10の使用態様に応じて、ヘッド記憶回路185とプリンター本体記憶回路160とクラウド記憶部CMとのいずれかに粘度情報NNDを保存できる。具体的には、上述した第1の使用態様でインクジェットシステム10が使用される場合、ヘッド記憶回路185に粘度情報NNDを保存させることにより、ヘッドユニットHUの装着先のプリンター本体が切り替わった後でも、インクジェットシステム10は、粘度情報NNDを利用できる。また、上述した第2の使用態様でインクジェットシステム10が使用される場合、プリンター本体記憶回路160に粘度情報NNDを保存させることにより、プリンター本体に装着されるヘッドユニットHUが切り替わった後でも、インクジェットシステム10は、粘度情報NNDを利用できる。
【0132】
また、ヘッド記憶回路185を収集データCDの保存先の候補とせず、図10において、プルダウンメニューPD2~PD4のいずれか1つの押下である場合、プリンター本体記憶回路160とPC記憶回路220とを示す一覧を表示する態様でもよい。この態様において、記録システム内記憶部KMは、プリンター本体記憶回路160と、処理装置200に設けられたPC記憶回路220と、を有し、選択情報CI-Nは、プリンター本体記憶回路160とPC記憶回路220とクラウド記憶部CMとのいずれに粘度情報NNDを記憶させるかをユーザーUに選択させた結果を示し、保存部175は、選択情報CI-Nに基づいて、収集データCDをプリンター本体記憶回路160とPC記憶回路220とクラウド記憶部CMとのいずれかに保存する。
第1実施形態によれば、ユーザーUのインクジェットシステム10の使用態様に応じて、プリンター本体記憶回路160とPC記憶回路220とクラウド記憶部CMとのいずれかに粘度情報NNDを保存できる。具体的には、上述した第3の使用態様でインクジェットシステム10が使用される場合、PC記憶回路220に粘度情報NNDを保存させることにより、処理装置200に接続するインクジェットプリンター100が切り替わった後でも、インクジェットシステム10は、粘度情報NNDを利用できる。
【0133】
また、プリンター本体記憶回路160を収集データCDの保存先の候補とせず、図10において、プルダウンメニューPD2~PD4のいずれか1つの押下である場合、ヘッド記憶回路185とPC記憶回路220とを示す一覧を表示する態様でもよい。この態様において、記録システム内記憶部KMは、ヘッド記憶回路185と、PC記憶回路220と、を有し、選択情報CI-Nは、ヘッド記憶回路185とPC記憶回路220とクラウド記憶部CMとのいずれに粘度情報NNDを記憶させるかをユーザーUに選択させた結果を示し、保存部175は、選択情報CI-Nに基づいて、粘度情報NNDをヘッド記憶回路185とPC記憶回路220とクラウド記憶部CMとのいずれかに保存する。
第1実施形態によれば、ユーザーUのインクジェットシステム10の使用態様に応じて、ヘッド記憶回路185とPC記憶回路220とクラウド記憶部CMとのいずれかに粘度情報NNDを保存できる。
【0134】
取得部171は、記録動作中に、粘度情報NNDと、粘度情報NNDと異なる駆動回数とを取得し、受付部213は、選択情報CI-Nと、記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMのいずれに駆動回数を記憶させるかをユーザーUに選択させた結果を示す選択情報CI-Dとを受け付け、保存部175は、選択情報CI-Dに基づいて、駆動回数を記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとのいずれかに保存する。
第1実施形態によれば、収集データCDの種類ごとに保存先を変更できる。言い換えれば、インクジェットシステム10は、収集データCDの種類に対して個別に保存先を設定できる。
【0135】
また、インクジェットプリンター100は、温度センサー195を有し、収集データCDは、温度センサー195による測定結果を示す温度情報KT1でもよい。
第1実施形態によれば、ユーザーUのインクジェットシステム10の使用態様に応じて、記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとのいずれかに温度情報KT1を保存できる。
【0136】
また、インクジェットプリンター100は、湿度センサー197を有し、収集データCDは、湿度センサー197による測定結果を示す湿度情報KT2でもよい。
第1実施形態によれば、ユーザーUのインクジェットシステム10の使用態様に応じて、記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとのいずれかに湿度情報KT2を保存できる。
【0137】
また、ヘッドユニットHUは、駆動信号Comが供給されることにより変位する圧電素子である駆動素子111fと、駆動素子111fの変位により内部の圧力が増減される圧力室CVと、圧力室CVに連通しインクを吐出するノズルNとを備え、収集データCDは、駆動信号Comが駆動素子111fに供給された後に、圧力室CVに生じる残留振動に基づく粘度情報NNDでもよい。
第1実施形態によれば、ユーザーUのインクジェットシステム10の使用態様に応じて、記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとのいずれかに粘度情報NNDを保存できる。
【0138】
また、ヘッドユニットHUは、駆動信号Comが供給されることにより駆動する駆動素子111fを備え、収集データCDは、駆動素子111fが駆動した駆動回数でもよい。
第1実施形態によれば、ユーザーUのインクジェットシステム10の使用態様に応じて、記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとのいずれかに駆動回数を保存できる。
【0139】
取得部171は、記録動作ではないときに、粘度情報NNDと異なる温度情報KT1を更に取得し、受付部213は、記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとのいずれに温度情報KT1を記憶させるかをユーザーUに選択させた結果を示す選択情報CI-Kを更に受け付け、保存部175は、選択情報CI-Kに基づいて、温度情報KT1を記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとのいずれかに保存する。
第1実施形態によれば、記録動作ではないときに取得する収集データCDについても、ユーザーUのインクジェットシステム10の使用態様に応じて、記録システム内記憶部KMとクラウド記憶部CMとのいずれかに収集データCDを保存できる。
【0140】
2.第2実施形態
保存先選択ウインドウHWは、図9及び図10に示す態様に限らない。第2実施形態に係る保存先選択ウインドウHW-Aについて、図13を用いて説明する。
【0141】
図13は、保存先選択ウインドウHW-Aの一例を示す図である。保存先選択ウインドウHW-Aは、ペインPN1の替わりにペインPN4を有する点で、保存先選択ウインドウHWと相違する。
【0142】
ペインPN4は、一次保存先を設定するラジオボタングループRG1と、二次保存先を設定するラジオボタングループRG2とを有する。一次保存先は、記録動作の実行中等の記録システム20内の各装置の負荷が高い状態において収集データCDを取得した場合の収集データCDの保存先である。二次保存先は、記録動作が終了した後等の、記録システム20内の各装置の負荷が高い状態から低い状態に遷移した場合の収集データCDの保存先である。
【0143】
ラジオボタングループRG1は、現在選択中の収集データCDの一次保存先をヘッド記憶回路185に設定するラジオボタンRD11と、現在選択中の収集データCDの一次保存先をプリンター本体記憶回路160に設定するラジオボタンRD12と、現在選択中の収集データCDの一次保存先をPC記憶回路220に設定するラジオボタンRD13と、を有する。ラジオボタンRD11~RD13のうち、いずれか1つのラジオボタンが選択された場合、残余のラジオボタンの選択が解除される。ラジオボタングループRG2は、現在選択中の収集データCDの二次保存先をヘッド記憶回路185に設定するラジオボタンRD21と、現在選択中の収集データCDの二次保存先をプリンター本体記憶回路160に設定するラジオボタンRD22と、現在選択中の収集データCDの二次保存先をPC記憶回路220に設定するラジオボタンRD23と、を有する。ラジオボタンRD21~RD23のうち、いずれか1つのラジオボタンが選択された場合、残余のラジオボタンの選択が解除される。
【0144】
なお、図13に示すラジオボタングループRG2に、現在選択中の収集データCDの二次保存先をクラウド記憶部CMに設定するラジオボタンが含まれてもよい。
【0145】
また、図13に示す保存先選択ウインドウHW-Aは、一次保存先を設定するラジオボタングループRG1と、二次保存先を設定するラジオボタングループRG2とを有したが、更に、三次保存先を設定するラジオボタングループを有する態様でもよい。この態様において、一次保存先は、記録動作の実行中等の記録システム20内の各装置の負荷が高い状態において収集データCDを取得した場合の収集データCDの保存先である。二次保存先は、記録動作の実行中等の記録システム20内の各装置の負荷が中程度の状態に遷移した状態における収集データCDの保存先である。三次保存先は、記録動作の実行中等の記録システム20内の各装置の負荷が中程度の状態から低い状態に遷移した状態における収集データCDの保存先である。
【0146】
3.第3実施形態
第1実施形態及び第2実施形態では、記録システム20内の各装置の負荷が高い状態において取得した収集データCDを、記録システム20内の各装置の負荷が低下した場合に移動させることを記載したが、これに限らない。第3実施形態は、記録システム20内の各装置の負荷が低下しても収集データCDを移動させない態様である。第3実施形態に係る保存先選択ウインドウHW-Bについて、図14を用いて説明する。
【0147】
図14は、保存先選択ウインドウHW-Bの一例を示す図である。保存先選択ウインドウHW-Bは、プルダウンメニューPD1及びペインPN1の替わりに、プルダウンメニューPD5~PD8を有する点で、保存先選択ウインドウHWと相違する。
【0148】
プルダウンメニューPD5は、粘度情報NNDを保存する保存先を選択するウィジェットである。プルダウンメニューPD6は、駆動回数を保存する保存先を選択するウィジェットである。プルダウンメニューPD7は、温度情報KT1を保存する保存先を選択するウィジェットである。プルダウンメニューPD8は、湿度情報KT2を保存する保存先を選択するウィジェットである。プルダウンメニューPD5~PD8のいずれか1つのプルダウンメニューが押下された場合、表示装置270は、ヘッド記憶回路185と、プリンター本体記憶回路160と、PC記憶回路220と、クラウド記憶部CMとのうち2以上の保存先の候補の一覧を表示する。
【0149】
4.変形例
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0150】
4-1.第1変形例
保存先選択ウインドウHWの態様は、上述した各態様に限らない。図15及び図16を用いて、第1変形例に係る保存先選択ウインドウHW-Cを説明する。
【0151】
図15及び図16は、保存先選択ウインドウHW-Cの一例を示す図である。図15及び図16に示すように、保存先選択ウインドウHW-Cは、ペインPN1の替わりにラジオボタングループRG3と、プルダウンメニューPD9とを有する点で、保存先選択ウインドウHWと相違する。
【0152】
ラジオボタングループRG3は、現在選択中の収集データCDを記録システム内記憶部KMに設定するラジオボタンRD31と、現在選択中の収集データCDをクラウド記憶部CMに設定するラジオボタンRD32と、を有する。ラジオボタンRD31及びRD32のうち、一方のラジオボタンが選択された場合、他方のラジオボタンの選択が解除される。
【0153】
プルダウンメニューPD9は、現在選択中の収集データCDを記録システム内記憶部KMに設定する場合に、更に、記録システム内記憶部KMのいずれの記憶部に収集データCDを保存するかをユーザーUに選択させるウィジェットである。図15に示すように、ラジオボタンRD32が選択されている場合には、プルダウンメニューPD9は、ユーザーUの操作を受け付けない状態である。
【0154】
図16では、ユーザーUがラジオボタンRD31を選択し、更に、プルダウンメニューPD9を押下した状態である。図16から理解されるように、受付部213として機能する制御回路210は、ユーザーUがラジオボタンRD31を選択する操作を受け付けると、更に、プルダウンメニューPD9の操作を受け付ける。プルダウンメニューPD9が押下された場合、表示装置270は、ヘッド記憶回路185と、プリンター本体記憶回路160と、PC記憶回路220とのうち2以上の保存先の候補の一覧を表示する。
【0155】
4-2.第2変形例
上述の各態様において、粘度情報NNDが、残留振動に基づくデータの一例であることを記載したが、残留振動に基づくデータは、粘度情報NNDに限らない。例えば、残留振動に基づくデータは、残留振動の振幅、残留振動の周期、残留振動の減衰率、及び、残留振動に基づいてノズルNが吐出不良か否かを判定した判定情報のうち1つのデータ又は複数のデータでもよい。
【0156】
4-3.第3変形例
上述の各態様では、駆動素子111fは、圧電素子であったが、これに限らない。例えば、駆動素子111fは、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、加熱により圧力室CVの内部に気泡を発生させて、圧力室CVの内部の圧力を変動させる発熱素子でもよい。第2変形例において、「発熱素子」が、「駆動素子」の一例である。発熱素子は、例えば、駆動信号Comの供給により発熱体が発熱する素子であってもよい。第2変形例における収集データCDは、温度情報KT1と、湿度情報KT2と、駆動回数とのうち任意の1つのデータが「第1データ」の一例であり、当該1つのデータ以外のデータが「第2データ」の一例である。
【0157】
4-4.第4変形例
上述の各態様では、インクジェットシステム10は、収集データCDの種類に対して個別に保存先を変更することを記載したが、これに限らない。インクジェットシステム10は、収集データCDの種類によらず、全ての収集データCDの共通の保存先をユーザーUに選択させてもよい。
【0158】
4-5.第5変形例
上述の各態様におけるヘッドユニットHUは、ヘッド記憶回路185を有したが、ヘッド記憶回路185を有さなくてもよい。ヘッドユニットHUがヘッド記憶回路185を有さない場合、記録システム内記憶部KMは、プリンター本体記憶回路160と、PC記憶回路220と、を有する。
【0159】
4-6.第6変形例
上述の各態様では、ヘッドユニットHUを、X軸に沿う方向に往復同させるシリアル方式のインクジェットプリンター100を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクジェットプリンター100は、複数のノズルNが、記録媒体PPの全幅に亘り分布する、ライン方式の液体吐出装置であってもよい。
【0160】
4-7.その他の変形例
上述のインクジェットプリンター100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置及びコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の記録装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する記録装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する記録装置は、配線基板の配線及び電極を形成する製造装置として利用される。
【符号の説明】
【0161】
10…インクジェットシステム、20,20_1…記録システム、100,100_1,100_2,100_3…インクジェットプリンター、110…液体吐出ヘッド、111…ヘッドチップ、111a…流路基板、111b…圧力室基板、111c…ノズル板、111d…吸振体、111e…振動板、111f…駆動素子、111g…保護板、111h…ケース、111i…配線基板、112…駆動回路、115…切替回路、117…検出回路、120…液体容器、130…移動機構、131…キャリッジ、132…無端ベルト、140…搬送機構、150…通信装置、160…プリンター本体記憶回路、170…制御回路、171…取得部、175…保存部、180…制御モジュール、183…電源回路、184…駆動信号生成回路、185…ヘッド記憶回路、190…推定ユニット、195…温度センサー、197…湿度センサー、200,200_1,200_2,200_3…処理装置、210…制御回路、213…受付部、220…PC記憶回路、230,240…通信装置、260…入力装置、270…表示装置、290…バス、300…サーバー、310…制御回路、320…記憶回路、380…通信装置、390…バス、BT1…OKボタン、CB1,CB2,CB3,CB4…チェックボックス、CD…収集データ、CI…選択情報、CM…クラウド記憶部、CS…クラウドサーバー、CV…圧力室、Com…駆動信号、DP…記録データ、FN…ノズル面、HU…ヘッドユニット、HW,HW-A,HW-B,HW-C…保存先選択ウインドウ、IH…導入口、JB…記録ジョブ、KM…記録システム内記憶部、KT1…温度情報、KT2…湿度情報、L1…第1列、L2…第2列、N…ノズル、NES…残留振動信号、NND…粘度情報、NW…ネットワーク、Na…連通流路、PD1,PD2,PD3,PD4,PD5,PD6,PD7,PD8,PD9…プルダウンメニュー、PI…記録指示、PM1…制御プログラム、PM2…インクジェットプログラム、PM3…保存先選択プログラム、PN1,PN2,PN3,PN4…ペイン、PP…記録媒体、R…リザーバー、R1,R2…空間、RD11,RD12,RD13,RD21,RD22,RD23,RD31,RD32…ラジオボタン、RG1,RG2,RG3…ラジオボタングループ、Ra…供給流路、SI…印刷信号、Sk1,Sk2…制御信号、U,U_1,U_2,U_3…ユーザー、VBS…オフセット電位、VHV…電源電位、VM…仮想化プログラム、Vout…検出信号、dCom…波形指定信号。
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