(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078115
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】円柱状築造物上端調節装置及び円柱状築造物上端調節方法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/42 20060101AFI20240603BHJP
E02D 5/48 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
E02D27/42 A
E02D5/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190490
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】515085945
【氏名又は名称】株式会社エスエスティー協会
(74)【代理人】
【識別番号】100125818
【弁理士】
【氏名又は名称】立原 聡
(72)【発明者】
【氏名】飯田 哲夫
【テーマコード(参考)】
2D041
2D046
【Fターム(参考)】
2D041AA02
2D041BA11
2D041BA51
2D041CA04
2D041CB01
2D046DA33
(57)【要約】
【課題】地表から手が届くか否かにかかわらず簡単かつ正確に円柱状築造物の上端の上下位置を調節し、上端の面を平坦にすることができる円柱状築造物上端調節装置及び円柱状築造物上端調節方法を提供すること。
【解決手段】円柱状築造物の上端を調節する円柱状築造物上端調節装置1が、上下方向に延びたシャフト10と、シャフト10の下端部に固定された円盤部20とを備える。円盤部20が、下方を向いた平面状の下面21と、下面21から下方に向かって突出した突起23と、円盤部20を上下に貫通した貫通孔24とを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状築造物の上端を調節する円柱状築造物上端調節装置であって、
前記円柱状築造物上端調節装置が、
上下方向に延びたシャフトと、
前記シャフトの下端部に固定された円盤部と、
を備え、
前記円盤部が、
下方を向いた平面状の下面と、
前記下面から下方に向かって突出した突起と、
前記円盤部を上下に貫通した貫通孔と、
を備える、
円柱状築造物上端調節装置。
【請求項2】
前記シャフトが、上下方向に延びた仮想的な回転軸を中心として、回転可能に構成されており、
前記突起が、前記シャフトの正回転方向の前方を向いた前面を備え、
前記前面と前記下面との間の角度が直角以下であり、
前記正回転方向において、前記貫通孔が前記突起の前方に位置しており、
前記前面と前記貫通孔との間に前記下面が位置しないように、前記前面と前記貫通孔を規定する内面とが連続して配置されている、
請求項1に記載の円柱状築造物上端調節装置。
【請求項3】
前記突起が、前記正回転方向の後方を向いた後面を備え、
前記後面と前記下面との間の角度が鈍角である、
請求項2に記載の円柱状築造物上端調節装置。
【請求項4】
前記円柱状築造物上端調節装置が、上下位置測定部を備え、
前記上下位置測定部が、前記シャフトの上端と前記円盤部との間において前記シャフトに固定されており、
前記上下位置測定部が、上下方向に直交する平面に沿って広がる水平板状部を備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の円柱状築造物上端調節装置。
【請求項5】
前記円柱状築造物上端調節装置が、前記円盤部の前記下面の中心から円錐状に下方に突出した円錐部を備え、
前記円錐部が、下方に向かって徐々に径が小さくなる、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の円柱状築造物上端調節装置。
【請求項6】
前記円柱状築造物上端調節装置が、前記円盤部の外周から上方に延びた筒状部を備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の円柱状築造物上端調節装置。
【請求項7】
円柱状築造物上端調節装置を使用した円柱状築造物上端調節方法であって、
前記円柱状築造物上端調節装置が、
上下方向に延びたシャフトと、
前記シャフトの下端部に固定された円盤部と、
を備え、
前記円盤部が、
下方を向いた平面状の下面と、
前記下面から下方に向かって突出した突起と、
前記円盤部を上下に貫通した貫通孔と、
を備え、
前記円柱状築造物上端調節方法が、前記円盤部の前記下面を円柱状築造物の上端に載せた状態で、前記シャフトを介して前記円盤部に対して下方に力を加えながら、上下方向に延びた仮想的な回転軸を中心として正回転方向に前記シャフトを回転させることにより、前記円柱状築造物の前記上端の位置を低くすること、を含む、
円柱状築造物上端調節方法。
【請求項8】
前記突起が、前記正回転方向の後方を向いた後面を備え、
前記後面と前記下面との間の角度が鈍角であり、
前記円柱状築造物上端調節方法が、前記円盤部の前記下面を円柱状築造物の上端に載せた状態で、前記貫通孔を通して前記円柱状築造物の前記上端に前記円柱状築造物の材料を供給しながら、前記正回転方向とは逆方向に前記シャフトを回転させることにより、前記円柱状築造物の前記上端の位置を高くすることを含む、
請求項7に記載の円柱状築造物上端調節方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱状築造物上端調節装置及び円柱状築造物上端調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な理由から地盤を強化することが求められる。例えば建造物を地上に建設する場合、建設物を安定的に支えるのに必要な強度まで地盤を強化する必要がある。別の例では地盤の液状化を防ぐために地盤を強化することが必要とされる。そこで、例えば特許文献1に開示されているように、地盤より固い円柱状築造物を地中に築造することにより地盤を強化する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、円柱状築造物の築造において、円柱状築造物の上端を調節することが必要な場合がある。例えば地盤に掘った穴内に築造した円柱状築造物の上端を、地表から手が届かない位置に正確に配置したい場合がある。地表から手が届く位置までは簡易な道具で調節が可能であるが、円柱状築造物の上端を手が届かない位置に正確に配置し、上端の面を平坦にすることは、従来の道具や方法では困難である。
【0005】
本発明の目的は、地表から手が届くか否かにかかわらず簡単かつ正確に円柱状築造物の上端の上下位置を調節し、上端の面を平坦にすることができる円柱状築造物上端調節装置及び円柱状築造物上端調節方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の円柱状築造物上端調節装置は、円柱状築造物の上端を調節する円柱状築造物上端調節装置であって、円柱状築造物上端調節装置が、上下方向に延びたシャフトと、シャフトの下端部に固定された円盤部と、を備え、円盤部が、下方を向いた平面状の下面と、下面から下方に向かって突出した突起と、円盤部を上下に貫通した貫通孔と、を備える、円柱状築造物上端調節装置である。
【0007】
第1の態様によれば、円柱状築造物の上端に円盤部の下面を載せてシャフトを回転させたときに、円柱状築造物の上端を突起で切削できるので、円柱状築造物の上端位置を低くし上端の面を平坦にすることが簡単かつ正確にできる。本態様によれば、地表から手が届くか否かにかかわらず簡単かつ正確に円柱状築造物の上端の上下位置を調節し、上端の面を平坦にすることができる。
【0008】
第2の態様の円柱状築造物上端調節装置では、第1の態様において、シャフトが、上下方向に延びた仮想的な回転軸を中心として、回転可能に構成されており、突起が、シャフトの正回転方向の前方を向いた前面を備え、前面と下面との間の角度が直角以下であり、正回転方向において、貫通孔が突起の前方に位置しており、前面と貫通孔との間に下面が位置しないように、前面と貫通孔を規定する内面とが連続して配置されている。
【0009】
第2の態様によれば、前面と貫通孔との間に下面が位置しないように、前面と貫通孔を規定する内面とが連続して配置されているので、突起の前面に当たって切削された物質が、貫通孔からそのまますぐに効率良く円盤部の上方に排出される。
【0010】
第3の態様の円柱状築造物上端調節装置では、第2の態様において、突起が、正回転方向の後方を向いた後面を備え、後面と下面との間の角度が鈍角である。
【0011】
第3の態様によれば、シャフトを正回転方向とは逆方向に回転させながら、貫通孔を通して上面から下面に円柱築造物を構成する材料を供給することにより、後面が「こて」のように作用して円柱状築造物の上端を締め固めながら、円柱状築造物の上端位置を高くすることができる。
【0012】
第4の態様の円柱状築造物上端調節装置では、第1の態様から第3の態様のいずれか1つにおいて、円柱状築造物上端調節装置が、上下位置測定部を備え、上下位置測定部が、シャフトの上端と円盤部との間においてシャフトに固定されており、上下位置測定部が、上下方向に直交する平面に沿って広がる水平板状部を備える。
【0013】
第4の態様によれば、円柱状築造物上端調節装置が上下位置測定部を備えるので、穴の中に円柱状築造物高さ調節装置を入れて円柱状築造物の上端に円盤部の下面を載せたとき、地表から上下位置測定部までの距離を測ることで、間接的に地表から円盤部の下面までの距離、すなわち、地表から円柱状築造物の上端までの距離を測ることができる。円柱状築城物の上端及び円盤部より上下位置測定部の方が上にあるので、短い測定部材で地表から円柱状築造物上端までの距離を測ることができる。
【0014】
第5の態様の円柱状築造物上端調節装置では、第1の態様から第3の態様のいずれか1つにおいて、円柱状築造物上端調節装置が、円盤部の下面の中心から円錐状に下方に突出した円錐部を備え、円錐部が、下方に向かって徐々に径が小さくなる。
【0015】
第5の態様によれば、円錐部が円柱状築造物の上端の面に突き刺さることにより、円柱状築造物上端調節装置の回転が安定する。
【0016】
第6の態様の円柱状築造物上端調節装置では、第1の態様から第3の態様のいずれか1つにおいて、円柱状築造物上端調節装置が、円盤部の外周から上方に延びた筒状部を備える。
【0017】
第6の態様によれば、円柱状築造物上端調節装置が筒状部を備えるので、切削された物質を円盤部の横からこぼさずに、円盤部の上方に取り去って保持することができ、確実に切削することができる。また、逆回転時に円柱状築造物の上端に供給するための材料を保持することができる。
【0018】
第7の態様の円柱状築造物上端調節方法は、円柱状築造物上端調節装置を使用した円柱状築造物上端調節方法であって、円柱状築造物上端調節装置が、上下方向に延びたシャフトと、シャフトの下端部に固定された円盤部と、を備え、円盤部が、下方を向いた平面状の下面と、下面から下方に向かって突出した突起と、円盤部を上下に貫通した貫通孔と、を備え、円柱状築造物上端調節方法が、円盤部の下面を円柱状築造物の上端に載せた状態で、シャフトを介して円盤部に対して下方に力を加えながら、上下方向に延びた仮想的な回転軸を中心として正回転方向にシャフトを回転させることにより、円柱状築造物の上端の位置を低くすること、を含む、円柱状築造物上端調節方法である。
【0019】
第7の態様によれば、円柱状築造物の上端に下面を載せてシャフトを正回転方向に回転させたときに、円柱状築造物の上端を突起で切削しながら、切削された物質を貫通孔から円盤部の上方に送ることができるので、円柱状築造物の上端位置を低くし上端の面を平坦にすることが簡単かつ正確にできる。本態様によれば、地表から手が届くか否かにかかわらず簡単かつ正確に円柱状築造物の上端の上下位置を調節し、上端の面を平坦にすることができる。
【0020】
第8の態様の円柱状築造物上端調節方法では、第7の態様において、突起が、正回転方向の後方を向いた後面を備え、後面と下面との間の角度が鈍角であり、円柱状築造物上端調節方法が、円盤部の下面を円柱状築造物の上端に載せた状態で、貫通孔を通して円柱状築造物の上端に円柱状築造物の材料を供給しながら、正回転方向とは逆方向にシャフトを回転させることにより、円柱状築造物の上端の位置を高くすることを含む。
【0021】
第8の態様によれば、シャフトを正回転方向とは逆方向に回転させながら、貫通孔を通して上面から下面に円柱築造物を構成する材料を供給することにより、後面が「こて」のように作用して円柱状築造物の上端を締め固めながら、円柱状築造物の上端位置を高くすること、及び上端の面を平坦にすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、地表から手が届くか否かにかかわらず簡単かつ正確に円柱状築造物の上端の上下位置を調節し、上端の面を平坦にすることができる円柱状築造物上端調節装置及び円柱状築造物上端調節方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施形態の円柱状築造物上端調節装置の正面図である。
【
図2】
図2は、
図1の円柱状築造物上端調節装置の背面図である。
【
図3】
図3は、
図1の円柱状築造物上端調節装置の左側面図である。
【
図4】
図4は、
図1の円柱状築造物上端調節装置の右側面図である。
【
図5】
図5は、
図1の円柱状築造物上端調節装置の平面図である。
【
図6】
図6は、
図1の円柱状築造物上端調節装置の底面図である。
【
図7】
図7は、
図1の円柱状築造物上端調節装置の正面左上から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1の円柱状築造物上端調節装置の正面左下から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、円柱状築造物の上端を調節する円柱状築造物上端調節装置1の正面図である。
図2は、円柱状築造物上端調節装置1の背面図である。
図3は、円柱状築造物上端調節装置1の左側面図である。
図4は、円柱状築造物上端調節装置1の右側面図である。
図5は円柱状築造物上端調節装置1の平面図である。
図6は、円柱状築造物上端調節装置1の底面図である。
図7は、円柱状築造物上端調節装置1の正面左上から見た斜視図である。
図8は、円柱状築造物上端調節装置1の正面左下から見た斜視図である。
【0025】
図1に示すように、円柱状築造物上端調節装置1は、上下方向に延びたシャフト10と、シャフト10の下端部に固定された円盤部20(
図8)と、円盤部20(
図8)の外周から上方に延びた筒状部30(
図8)と、筒状部30とシャフト10との間にL字状に延びた支持部40と、シャフト10の上端と円盤部20との間においてシャフト10に固定された上下位置測定部50とを備える。
【0026】
図1に示すように、シャフト10は、上下方向に延びた仮想的な回転軸2を中心として、第1の回転方向3(
図5)(正回転方向とも呼ばれる)に回転可能であり、更に第1の回転方向3とは逆の第2の回転方向4(
図5)(逆回転方向とも呼ばれる)にも回転可能である。回転は外部機器の動力により実現される。シャフト10の上下方向の中間部分は円柱状である。シャフト10の上端はシャフト10を回転させるための外部機器に接続可能に構成されている。シャフト10の下端は円錐状であり、下に向かって徐々に径が小さくなっており、円盤部20を貫通している。シャフト10のうち円盤部20の下面21(
図8)の中心から円錐状に下方に突出した部分を円錐部11と呼ぶ。円錐部11は、下方に向かって徐々に径が小さくなる。
【0027】
図8に示すように、円盤部20は、回転軸2(
図1)に直交する平面に沿って広がる板状部材である。円盤部20は、下側を向いた平面状の下面21と、上側を向いた平面上の上面22(
図7)と、下面21から下方に向かって突出した2つの突起23と、円盤部20を上下に貫通した2つの貫通孔24とを備える。一方の突起23が隣接する一方の貫通孔24とペアを形成し、他方の突起23が隣接する他方の貫通孔24とペアを形成している。第1の回転方向3において、貫通孔24は隣接する突起23の前方に位置している。2つのペアは回転軸2を中心として180度ずれて、回転対称に形成されている。他の例において突起23と貫通孔24とのペアは3つ以上設けられていてもよい。
【0028】
各貫通孔24は、回転軸2(
図1)を中心とした扇状に形成されている。貫通孔24の最も内側は円錐部11より少し外側に位置している。貫通孔24の最も外側は円盤部20の最外周の少し内側に位置している。
【0029】
図6に示すように、各突起23は、第1の回転方向3の前方を向いた前面25と、第1の回転方向3の後方を向いた、すなわち第2の回転方向4を向いた後面26とを備える。
図8に示すように、前面25と貫通孔24との間に下面21が位置しないように、前面25と貫通孔24を規定する内面とが連続して配置されている。すなわち、前面25と貫通孔24の内面とが、回転軸2(
図1)を通る平面に平行となるように連続的に形成されている。他の例において前面25と貫通孔24の内面とが回転軸2(
図1)に対してわずかに傾斜していてもよい(一例において約10度以内)。本例では下面21と前面25との間の角度が約90度であるが、他の例において、下面21と前面25との間の角度が90度より小さくてもよい。
【0030】
円盤部20の後面26と下面21が交差する部分の後面26と下面21との間の角度は鈍角である(一例において、180度より小さく、かつ、145度より大きい)。後面26の最も下側は、前面25の最も下側に一致している。後面26の最も下側の大部分が、回転軸2に直交して回転軸2を通る仮想的な直線に沿って延びている。後面26の最も上側は下面21との交差部であり、大部分が回転軸2に直交する仮想的な直線に沿って延びている。他の例において、後面26の最も上側は回転軸2に直交して回転軸2を通る仮想的な直線に沿って延びていてもよい。後面26は、後述のように円柱状築造物を構成する混合材料を締め固めることができる形状であれば他の形状であってもよい。
【0031】
図7に示すように上下位置測定部50は、回転軸2に直交する平面に沿って広がる水平板状部51を備える。水平板状部51のうちのシャフト10に近い端部は、シャフト10の上端と円盤部20との間においてシャフト10に固定されている。上下位置測定部50は、水平板状部51のうちのシャフト10から遠い端部から上方に延びた返し部52を更に備える。
【0032】
円盤部20の下面21から、水平板状部51の上面までの高さがあらかじめ知られている。すなわち、円柱状築造物上端調節装置1の円盤部20の下面21を円柱状築造物の上端に載せたとき、地表から水平板状部51の上面までの距離を測れば、間接的に地表から円盤部20の下面21までの距離が分かり、すなわち、地表から円柱状築造物の上端までの距離が分かる。結果として、例えば定規のように目盛りのついた棒状の測定部材を地表から穴に差し込んで地表から円柱状築造物の上端までの距離を測るとき、測定部材の長さを短くすることができるため、測定がより簡単に正確にできる。
【0033】
図7に示すようにL字状に延びた2つの支持部40が例えば溶接により筒状部30とシャフト10とに強固に固定されている。したがって、シャフト10に対する円盤部20及び筒状部30のブレを防いで円盤部20を安定的に回転させることができる。支持部40の形状は他の形状であってもよい。例えば支持部40は筒状部30の上端からシャフト10まで斜めに直線状に延びていてもよい。
【0034】
次に円柱状築造物上端調節方法について説明する。まず、準備として地中に混合材料により円柱状築造物を形成する。例えば、前述の特許文献1に記載のように、オーガーを正回転させて地表から地中に円柱状の穴を空けた後、オーガーを逆回転させながら混合材料を穴に投入し、オーガーにより混合材料を締め固めながら所定の深さまで穴を埋める。その結果、混合材料により円柱状築造物が穴の中に形成される。
【0035】
なお、混合材料として、例えば、土、粒径の異なる砂、及びセメント系固化材の混合物が挙げられる。また、他の例において円柱状築造物は単一の材料から形成されていてもよい。
【0036】
本実施形態の円柱状築造物上端調節方法を実施せずに、従来のように穴の残りの部分に土を入れて埋め戻すと、円柱状築造物の上端の面が平坦にならない。また、従来の方法では円柱状築造物の上端の上下位置を正確に調節することができない。
【0037】
本実施形態の円柱状築造物上端調節方法のうち円柱状築造物の上端の位置を低くする方法について説明する。まず、
図1に示すように円盤部20の下面21を下に向けた状態で、円柱状築造物上端調節装置1を穴内に入れ、円柱状築造物の上端に載せる。次に、シャフト10を介して円盤部20に対して下方に力を加えながら、シャフト10を上下方向に延びた仮想的な回転軸2を中心として第1の回転方向3(
図6)に回転させる。
【0038】
その結果、突起23の前面25により穴内の円柱状築造物の上端部が削られる。円錐部11が円柱状築造物の上端面の中心に突き刺さることにより、回転が安定する。円柱状築造物から削られた混合材料は、貫通孔24を通って上昇して円筒部の内側に蓄積される。回転を続けるにつれて円柱状築造物の上端の面が徐々に平坦になるとともに、円柱状築造物の上端の位置が徐々に低くなる。
【0039】
適宜、上下位置測定用の部材を挿入して地表から水平板状部51の上面までの距離を測定することにより、間接的に地表から円盤部20の下面21までの距離、すなわち円柱状築造物の上端までの距離を測定する。円柱状築造物の上端が地表から所定の距離となったら、シャフト10の回転を止めて切削を終了する。切削終了後に円柱状築造物上端調節装置1を穴から取り出して、穴内の円柱状築造物の上端より上の空間を例えば土で埋める。
【0040】
逆に、本実施形態の円柱状築造物上端調節方法のうち円柱状築造物の上端の位置を高くする方法について説明する。まず、円盤部20の下面21を下に向けた状態で円柱状築造物上端調節装置1を穴内に入れ、円柱状築造物の上端に載せる。次に、シャフト10を第2の回転方向4に回転させながら、円盤部20の貫通孔24を通して円柱状築造物の上端に混合材料を供給する。突起23の後面26が「こて」のように作用することにより、円柱状築造物の上端に混合材料を押し付けて締め固める。その結果、円柱状築造物の上端位置を高くすること、及び上端の面を平坦にすることができる。
【0041】
(まとめ)
本実施形態によれば、円柱状築造物の上端に下面21を載せてシャフト10を第1の回転方向3に回転させたときに、円柱状築造物の上端を突起23で切削しながら、切削された物質を貫通孔24から円盤部20の上方に送ることができるので、円柱状築造物の上端位置を簡単に正確に低くすることができる。すなわち、本実施形態によれば地表から手が届くか否かにかかわらず簡単かつ正確に円柱状築造物の上端の上下位置を調節し、上端の面を平坦にすることができる。
【0042】
本実施形態によれば、前面25と貫通孔24との間に下面21が位置しないように、前面25と貫通孔24を規定する内面とが連続して配置されているので、突起23の前面25に当たって切削された物質が、貫通孔24からそのまますぐに効率良く円盤部20の上方に排出される。
【0043】
本実施形態によれば、シャフト10を第2の回転方向4に回転させながら、貫通孔24を通して上面22から下面21に円柱築造物を構成する材料を供給することにより、後面26が「こて」のように作用して円柱状築造物の上端を締め固めながら、円柱状築造物の上端位置を高くすること、及び上端の面を平坦にすることができる。
【0044】
本実施形態によれば、円柱状築造物上端調節装置1が上下位置測定部50に水平板状部51を備えるので、穴の中に円柱状築造物上端調節装置1を入れて円柱状築造物の上端に円盤部20の下面21を載せたとき、地表から上下位置測定部50の水平板状部51の上面までの距離を測ることで、間接的に地表から円盤部20の下面21までの距離、すなわち、地表から円柱状築造物の上端までの距離を測ることができる。円柱状築造物の上端及び円盤部20より水平板状部51の方が上にあるので、短い測定部材で地表から円柱状築造物の上端までの距離を測ることができる。
【0045】
本実施形態によれば、円錐部11が円柱状築造物の上端の面に突き刺さることにより、円柱状築造物上端調節装置1の回転が安定する。
【0046】
本実施形態によれば、円柱状築造物上端調節装置1が筒状部30を備えるので、切削された物質を円盤部20の横からこぼさずに、円盤部20の上方に取り去って保持することができ、確実に切削することができる。また、逆回転時に円柱状築造物の上端に供給するための材料を保持することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…円柱状築造物上端調節装置、2…回転軸、3…第1の回転方向、
4…第2の回転方向、10…シャフト、11…円錐部、20…円盤部、21…下面、
22…上面、23…突起、24…貫通孔、25…前面、26…後面、30…筒状部、
40…支持部、50…上下位置測定部、51…水平板状部、52…返し部