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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078124
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】座席シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240603BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20240603BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B60N2/90
A61B5/0245 C
A61B5/02 310L
A61B5/0245 100C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190501
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】藤川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】遠山 正之
(72)【発明者】
【氏名】林 和多留
【テーマコード(参考)】
3B087
4C017
【Fターム(参考)】
3B087DE09
3B087DE10
4C017AA02
4C017AA09
4C017AB04
4C017AC03
4C017AC20
4C017BC08
4C017BC14
4C017FF15
(57)【要約】
【課題】圧電センサのひずみ量を増加させることができる座席シートを提供することを目的とする。
【解決手段】着座者の荷重を受けるメインパッド(15)と、前記メインパッド(15)の前記荷重を受ける面に対して反対側の面に形成された凹部(17)に嵌め込まれるサブパッド(16)と、前記サブパッド(16)の前記荷重を受ける面に配置されて、前記着座者の心弾動をセンシングする圧電センサ(21)と、前記圧電センサ(21)と前記圧電センサ(21)に対向する前記凹部(17)の底面(17A)との間に介在して、前記圧電センサ(21)の一部分を押圧可能に配置された前記圧電センサ(21)から所定高さの介在部材(23)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者の荷重を受けるメインパッドと、
前記メインパッドの前記荷重を受ける面に対して反対側の面に形成された凹部に嵌め込まれるサブパッドと、
前記サブパッドの前記荷重を受ける面に配置されて、前記着座者の心弾動をセンシングする圧電センサと、
前記圧電センサと前記圧電センサに対向する前記凹部の底面との間に介在して、前記圧電センサの一部分を押圧可能に配置された前記圧電センサから所定高さの介在部材と、
を備える、座席シート。
【請求項2】
前記圧電センサは、長尺状であり、
前記介在部材は、前記圧電センサの長尺方向の中央部に配置されている、
請求項1に記載の座席シート。
【請求項3】
前記介在部材は、
前記圧電センサの前記長尺方向に直交する方向の寸法が、前記圧電センサの短手方向の幅以上に形成されている、
請求項2に記載の座席シート。
【請求項4】
前記メインパッドと前記サブパッドは、座面を構成するシートクッションに含まれ、
前記圧電センサは、
前記シートクッションの前後方向に沿って配置され、
前記圧電センサの前記長尺方向の前記中央部が、前記シートクッションに着座した前記着座者の左臀部または右臀部のうちの少なくとも一方に対向するように配置されている、
請求項2または3に記載の座席シート。
【請求項5】
前記圧電センサは、前記シートクッションの左右方向にて複数個並列配置されている、
請求項4に記載の座席シート。
【請求項6】
前記介在部材は、前記圧電センサに固定されている、
請求項1または2に記載の座席シート。
【請求項7】
前記介在部材は、
合成樹脂製または金属製であって、下面が平面状に形成され、上面が球面状に形成されている、
請求項6に記載の座席シート。
【請求項8】
前記介在部材は、前記凹部の前記底面に一体的に設けられている、
請求項1または2に記載の座席シート。
【請求項9】
前記メインパッドと前記サブパッドは、背もたれとなるシートバックに含まれ、
前記圧電センサは、
前記シートバックの上下方向に沿って配置され、
前記圧電センサの前記長尺方向の前記中央部が、着座した前記着座者の左腰部または右腰部のうちの少なくとも一方に対向するように配置されている、
請求項2または3に記載の座席シート。
【請求項10】
前記圧電センサは、前記シートバックの左右方向にて複数個並列配置されている、
請求項9に記載の座席シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に設けられた座席シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ベースクッション材の凹部内に圧電フィルムセンサが配置され、当該圧電フィルムセンサを覆うようにカバークッション材が上記凹部内に配置された車両用シートのシートクッションが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-146953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシートクッションには、圧電フィルムセンサのひずみ量が低下するという問題がある。
【0005】
本開示は、上述の問題点を鑑みたものであり、圧電センサのひずみ量を増加させることができる座席シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の態様1に係る座席シートは、着座者の荷重を受けるメインパッドと、前記メインパッドの前記荷重を受ける面に対して反対側の面に形成された凹部に嵌め込まれるサブパッドと、前記サブパッドの前記荷重を受ける面に配置されて、前記着座者の心弾動をセンシングする圧電センサと、前記圧電センサと前記圧電センサに対向する前記凹部の底面との間に介在して、前記圧電センサの一部分を押圧可能に配置された前記圧電センサから所定高さの介在部材と、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、メインパッドは、所定高さの介在部材を介して、圧電センサの一部分を押圧して着座者の荷重を付与する。これにより、着座者の荷重により発生する圧電センサのひずみ量を、介在部材を配置しない場合におけるひずみ量よりも増加させることができる。
【0008】
本開示の態様2に係る座席シートは、上記態様1において、前記圧電センサは、長尺状であり、前記介在部材は、前記圧電センサの長尺方向の中央部に配置されている。
【0009】
上記の構成によれば、介在部材が圧電センサの長尺方向の中央部に配置されているので、圧電センサを部分的に押圧可能となり、それゆえ、着座者の荷重を受けた圧電センサのひずみ量を大きくすることができる。
【0010】
本開示の態様3に係る座席シートは、上記態様2において、前記介在部材は、前記圧電センサの前記長尺方向に直交する方向の寸法が、前記圧電センサの短手方向の幅以上に形成されている。
【0011】
上記の構成によれば、介在部材は、圧電センサの長尺方向の中央部を短手方向の全幅に亘って押圧するため、着座者の荷重を受けた圧電センサのひずみ量を大きくすることができる。
【0012】
また、本開示の態様4に係る座席シートは、上記態様2または3において、前記メインパッドと前記サブパッドは、座面を構成するシートクッションに含まれ、前記圧電センサは、前記シートクッションの前後方向に沿って配置され、前記圧電センサの前記長尺方向の前記中央部が、前記シートクッションに着座した前記着座者の左臀部または右臀部のうちの少なくとも一方に対向するように配置されている。
【0013】
上記の構成によれば、長尺状の圧電センサは、シートクッションの前後方向に沿って配置され、長尺方向の中央部が着座者の左臀部または右臀部のうちの少なくとも一方に対向するように配置されている。これにより、着座者の姿勢や着座位置による圧電センサの感度のバラツキを抑制することができる。また、左臀部または右臀部から圧電センサに付与される荷重は、左大腿部または右大腿部から圧電センサに付与される荷重よりも大きいため、圧電センサのひずみ量を増大させることができる。その結果、圧電センサから出力される着座者の心弾動波形の振幅を増大させることができる。
【0014】
また、本開示の態様5に係る座席シートは、上記態様4において、前記圧電センサは、前記シートクッションの左右方向にて複数個並列配置されている。
【0015】
上記構成によれば、圧電センサは、シートクッションの左右方向にて複数個並列配置されているため、各圧電センサから出力される着座者の心弾動波形のうち、振幅が最も大きい心弾動波形を採用することが可能となる。
【0016】
また、本開示の態様6に係る座席シートは、上記態様1または2において、前記介在部材は、前記圧電センサに固定されている。
【0017】
上記構成によれば、介在部材は、圧電センサに固定されているため、座席シートの組み立て時に、介在部材の紛失を防止することができる。
【0018】
また、本開示の態様7に係る座席シートは、上記態様6において、前記介在部材は、合成樹脂製または金属製であって、下面が平面状に形成され、上面が球面状に形成されている。
【0019】
上記構成によれば、介在部材は、合成樹脂製または金属製であって、下面が平面状に形成されているため、圧電センサに接着等によって容易に固定することができる。また、介在部材の上面は、球面状に形成されているためメインパッドの摩耗を防ぎ、メインパッドの長寿命化を図ることができる。
【0020】
また、本開示の態様8に係る座席シートは、上記態様1または2において、前記介在部材は、前記凹部の前記底面に一体的に設けられている。
【0021】
上記構成によれば、介在部材は、メインパッドの凹部の底面に一体的に設けられているため、座席シートの組み立て時の工数の削減化を図ることができる。
【0022】
また、本開示の態様9に係る座席シートは、上記態様2または3において、前記メインパッドと前記サブパッドは、背もたれとなるシートバックに含まれ、前記圧電センサは、前記シートバックの上下方向に沿って配置され、前記圧電センサの前記長尺方向の前記中央部が、着座した前記着座者の左腰部または右腰部のうちの少なくとも一方に対向するように配置されている。
【0023】
上記構成によれば、長尺状の圧電センサは、シートバックの上下方向に沿って配置され、長尺方向の中央部が着座者の左腰部または右腰部のうちの少なくとも一方に対向するように配置されている。これにより、着座者の姿勢や着座位置による圧電センサの感度のバラツキを抑制することができる。また、左腰部または右腰部から圧電センサに付与される荷重は、圧電センサのひずみ量を増大させることができる。その結果、圧電センサから出力される着座者の心弾動波形の振幅を増大させることができる。
【0024】
また、本開示の態様10に係る座席シートは、上記態様9において、前記圧電センサは、前記シートバックの左右方向にて複数個並列配置されている。
【0025】
上記構成によれば、圧電センサは、シートバックの左右方向にて複数個並列配置されているため、各圧電センサから出力される着座者の心弾動波形のうち、振幅が最も大きい心弾動波形を採用することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本開示の一態様によれば、圧電センサのひずみ量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】座席シートの外観の一例を示す斜視図である。
図2】座席シートの座面の一例を示す図である。
図3図2のIII-III矢視断面図の一例を示す図である。
図4】介在部材の一例を示す斜視図である。
図5】着座者が着座する前と着座後の圧電センサの変形状態の一例を示す図である。
図6】静的条件で、介在部材がある状態と、介在部材がない状態とのそれぞれにおいて、座席シートの圧電センサによりセンシングされた着座者の心弾動の信号波形の一例を示す図である。
図7】静的条件で、介在部材がない状態と、介在部材がある状態とのそれぞれおいて実測されたセンシング結果から求められたRRI推定精度の割合の一例を示す図である。
図8】動的条件で、介在部材がない状態と、介在部材がある状態とのそれぞれおいて実測されたセンシング結果から求められたRRI推定精度の割合の一例を示す図である。
図9】RRI正答率を説明するための分布図の一例を示す図である。
図10】変形例1に係る座席シートの座面の一例を示す図である。
図11】変形例2に係る座席シートの外観の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。
【0029】
〔1.座席シートの構成例〕
本実施形態に係る座席シート1について図1図5に基づいて説明する。図1は、座席シート1の外観の一例を示す斜視図である。なお、本実施形態における各図に適宜示す前後左右上下の方向は、図1に示すように、乗員(図略)が座席シート1に着座した状態で見た方向と一致するものである。
【0030】
図1に示すように、座席シート1は、シートクッション11、シートバック12及びヘッドレスト13を有している。シートクッション11は、座席シート1の座面を構成し、シートバック12及びヘッドレスト13は、座席シート1の背面を構成する。なお、座席シート1は、布製、皮革製、ビニールレザー製、等またはこれらの組み合わせの表皮部材14で覆われる。
【0031】
以下、座席シート1は、移動体に設けられているものとして説明するが、これに限定されず、建物等の移動しない場所に設けられる構成であってもよい。また、移動体は、車両であるものとして説明するが、これに限定されず、船舶又は航空機等であってもよい。また、座席シート1は、移動体の運転席に設けられる構成に限定されず、移動体の客席に設けられる構成であってもよい。
【0032】
シートクッション11は、乗員が着座するものであり、表皮部材14が上面側を覆うように装着される。シートクッション11について図2および図3に基づいて説明する。図2は、座席シート1の座面の一例を示す図である。図3は、図2のIII-III矢視断面図の一例を示す図である。図2および図3に示すように、シートクッション11は、メインパッド15と、サブパッド16と、を備えている。
【0033】
メインパッド15は、軟質ポリウレタンフォームである発泡ポリウレタンフォームによって形成されている。メインパッド15の下面15Eの前側縁部と左右側縁部には、図2において平面視略U字状のシートクッションフレーム(不図示)が嵌合される嵌合溝15Dが形成されている。そして、メインパッド15は、下面15Eの前側縁部と左右側縁部に形成された嵌合溝15Dとシートクッションフレームとが嵌合して、シートクッションフレーム上に支持される。
【0034】
メインパッド15は、着座した乗員の荷重を受ける。メインパッド15の着座者の荷重を受ける上面に対して反対側の下面15Eには、平面視略矩形状の有底の凹部17が下方に開口して形成されている。そして、平面視略矩形状のサブパッド16が、凹部17に下方から嵌め込まれる。
【0035】
サブパッド16は、軟質ポリウレタンフォームである発泡ポリウレタンフォームによって形成されている。そして、メインパッド15は、凹部17にサブパッド16が嵌め込まれた状態で、下面15Eの左右側縁部の嵌合溝15Dに嵌合する左右のシートクッションフレーム(不図示)の間に架け渡された複数のスプリング19によって支持される。
【0036】
図2および図3に示すように、凹部17の底面17Aは、メインパッド15に着座した着座者の座骨部周辺の左臀部に対向する第1領域15Aと、着座者の座骨部周辺の右臀部に対向する第2領域15Bとを含むように形成されている。従って、着座した着座者の荷重を受けるサブパッド16の凹部17の底面17Aに対向して当接する上面16Aは、着座者の座骨部周辺の左臀部に対向する第1領域15Aと、着座者の座骨部周辺の右臀部に対向する第2領域15Bとに対向するように形成されている。
【0037】
圧電センサ21は、長尺状に形成された圧電フィルムセンサであって、シートクッション11の内部に配置されている。圧電センサ21は、着座者の心弾動(BCG:Ballistocardiology)をセンシングする。圧電センサ21は、圧力を受けると電圧を生じる圧電素子の圧電効果を利用したセンサである。圧電センサ21がセンシングした心弾動を示す信号は、コントローラ25に供給される。
【0038】
具体的には、圧電センサ21は、凹部17に嵌め込まれるサブパッド16の上面16Aにおいて、着座者の座骨部周辺の左臀部に対向する第1領域15Aに対向するように、前後方向に沿って配置されている。そして、圧電センサ21は、接着剤等により上面16Aに固定されている。また、圧電センサ21の配線は、サブパッド16の後方側の側面に沿って下方へ引き出されて、コントローラ25に電気的に接続されている。
【0039】
また、座席シート1に関連付けられたコントローラ25は、圧電センサ21から供給されたセンシング結果である電気信号を参照して、着座者の心拍を計測する。また、コントローラ25は、圧電センサ21によるセンシング結果が、着座者の心弾動に関する所定条件を満たすか否かを判定し、当該所定条件が満たされると判定した場合に、その旨を通知するための信号を出力する処理等を行う。
【0040】
図2および図3に示すように、圧電センサ21の長尺方向の中央部には、介在部材23が、圧電センサ21と凹部17の底面17Aとの間に介在して、圧電センサ21の一部分を押圧可能に配置されている。例えば、図2に示すように、介在部材23は、圧電センサ21の長尺方向における前端および後端から、それぞれ長さL1の距離の位置と、介在部材23の下面23A(図4参照)の前後方向の中央位置とがほぼ重なるように配置されている。つまり、圧電センサ21の長尺方向の中央位置と、介在部材23の下面23Aの前後方向の中央位置とがほぼ重なるように配置されている。
【0041】
なお、介在部材23の下面23Aの前後方向の前側端縁部または後側端縁部が、圧電センサ21の長尺方向の中央位置の近傍位置に配置された状態も、介在部材23が、圧電センサ21の長尺方向の中央部に配置された状態に含まれる。
【0042】
介在部材23について、図4に基づいて説明する。図4は、圧電センサ21の上面に固定された介在部材23の一例を示す斜視図である。図4に示すように、介在部材23は、熱硬化性エラストマーや熱可塑性エラストマーなどの合成樹脂製や、アルミニウムや鉄などの金属製で、下面23Aが平面状に形成され、上面23Bが略球面状に形成されている。
【0043】
介在部材23の下面23Aは、圧電センサ21の幅L2以上の長さ、好ましくは、圧電センサ21の長尺方向に直交する方向の幅L2と同じ長さの左右方向の幅L3、および、圧電センサ21の長尺方向に直交する方向の幅L2とほぼ同じ前後方向の長さL4を有する、平面視略矩形状に形成されている。なお、介在部材23の下面23Aは、圧電センサ21の幅L2以上の長さ、好ましくは、圧電センサ21の幅L2とほぼ同じ長さの直径を有する略円形状や、多角形状に形成されていてもよい。
【0044】
介在部材23の下面23Aは、圧電センサ21の底面17Aに対向する面、つまり、圧電センサ21の上面の長尺方向の中央部に、接着などによって固定されている。また、介在部材23の下面からの高さ、つまり、圧電センサ21からの上面23Bの頂点までの高さは、所定高さ、例えば、高さ約3mm~約15mmで、シートクッション11に着座した着座者に異物感を与えない程度の高さに形成されている。
【0045】
次に、シートクッション11の上面に着座者が着座した際の圧電センサ21の変形状態の一例について図5に基づいて説明する。図5は、着座者が着座する前と着座後の圧電センサ21の変形状態の一例を示す図である。図5に示すように、着座者が着座する前は、メインパッド15を介して、介在部材23に上方からの押圧力は作用しない。従って、サブパッド16の上面16Aに固定された圧電センサ21は、略水平状態で、上方からの押圧力を受けないため、圧電センサ21のひずみ量はほぼゼロである。
【0046】
図5に示すように、着座者が着座した後は、メインパッド15の着座者の左臀部に対向する第1領域15Aが、着座者からの荷重の作用する方向、つまり、下方向へ突出するように弾性変形される。そのため、メインパッド15の下面15Eに形成された凹部17の底面17Aも、第1領域15Aに対向する部分が、下方向へ突出するように弾性変形される。
【0047】
また、介在部材23が固定された圧電センサ21は、介在部材23を介して、凹部17の底面17Aの第1領域15Aに対向する部分に当接するように、前後方向に沿ってサブパッド16の上面16Aに固定されている。その結果、サブパッド16の圧電センサ21が固定された部分は、介在部材23の高さに応じて、一点鎖線P1で示す位置よりも下方側へ突出するように弾性変形される。その結果、圧電センサ21は、長尺方向、つまり、図5に示す双方向矢印27の方向へ更に延びるように弾性変形される。
【0048】
従って、圧電センサ21の長尺方向の中央部に、介在部材23を配置することにより、着座者の荷重により発生する圧電センサ21のひずみ量を、介在部材23を配置しない場合におけるひずみ量よりも増加させることができる。その結果、圧電センサ21から出力される出力電圧を、介在部材23がない場合よりも大きくすることができる。また、介在部材23は、圧電センサ21の長尺方向の中央部を部分的に、圧電センサ21の全幅に亘って着座者の荷重を付与するため、着座者の荷重を受けた圧電センサ21のひずみ量を大きくすることができる。その結果、圧電センサ21から出力される出力電圧を、介在部材23を配置しない場合よりも更に大きくすることができる。
【0049】
[2.座席シート1による効果]
[心弾動の信号波形の計測例]
次に、座席シート1による効果を図6図9に基づいて説明する。先ず、車両のエンジンが停止した静的条件で、座席シート1に着座した着座者の心弾動の信号波形を検出した一例について図6に基づいて説明する。図6は、車両のエンジンが停止した静的条件で、介在部材23がある状態と、介在部材23がない状態とのそれぞれにおいて、座席シート1の圧電センサ21によりセンシングされた着座者の心弾動の信号波形の一例を示す図である。なお、圧電センサ21によりセンシングされた心弾動の信号波形は、0.8Hz~20Hzのバンドパスフィルタを通して検出した。
【0050】
図6の出力波形図101に示すように、圧電センサ21の長尺方向中央部に、介在部材23がある状態では、例えば、各縦長丸印28、29で囲んで示すように、圧電センサ21の十分な出力電圧を有する信号波形が計測された。一方、図6の出力波形図102に示すように、圧電センサ21の長尺方向中央部に、介在部材23がない状態では、圧電センサ21の出力電圧が低く、ノイズとの分離が難しい信号波形が計測された。
【0051】
従って、圧電センサ21の長尺方向の中央部に、介在部材23を配置することによって、着座者の荷重により発生する圧電センサ21のひずみ量を、介在部材23を配置しない場合におけるひずみ量よりも増加させることができる。その結果、圧電センサ21から出力される出力電圧を、介在部材23がない場合よりも大きくすることができ、十分な出力電圧を有する心弾動の信号波形を得ることが可能となる。
【0052】
[RRI推定精度の計測例]
次に、車両のエンジンが停止した静的な条件で、RRI推定精度を計測した一例について図7に基づいて説明する。図7は、車両のエンジンが停止した静的な条件で、介在部材23がない状態と、介在部材23がある状態とのそれぞれにおいて、座席シート1の圧電センサ21により実測されたセンシング結果から求められたRRI推定精度の割合の一例を示す図である。また、図7のグラフ内における各矩形は、RRI推定精度の上位75%~25%の範囲を示しており、矩形内の横線は、RRI推定精度の中央値を示している。また、各矩形の上下に延びる線は、RRI推定精度の最大値から最小値までの範囲を示している。
【0053】
図7の推定精度測定図103に示すように、圧電センサ21の長尺方向中央部に、介在部材23がない状態では、座席シート1の圧電センサ21の出力電圧が低く、RRI推定精度の割合は、約0.7~約0.8である。一方、図7の推定精度測定図104に示すように、圧電センサ21の長尺方向中央部に、介在部材23がある状態では、座席シート1の圧電センサ21の出力電圧が高くなり、RRI推定精度の割合は、約0.97~約1.0である。従って、圧電センサ21の長尺方向の中央部に、介在部材23を配置することによって、車両のエンジンが停止した静的な条件におけるRRI推定精度の割合が約13%上昇している。
【0054】
次に、車両が時速80kmで走行した動的な条件で、RRI推定精度を計測した一例について図8に基づいて説明する。図8は、車両が時速80kmで走行した動的な条件で、介在部材23がない状態と、介在部材23がある状態とのそれぞれにおいて、座席シート1の圧電センサ21により実測されたセンシング結果から求められたRRI推定精度の割合の一例を示す図である。また、図8のグラフ内における各矩形は、RRI推定精度の上位75%~25%の範囲を示しており、矩形内の横線は、RRI推定精度の中央値を示している。また、各矩形の上下に延びる線は、RRI推定精度の最大値から最小値までの範囲を示している。
【0055】
図8の推定精度測定図105に示すように、圧電センサ21の長尺方向中央部に、介在部材23がない状態では、座席シート1の圧電センサ21の出力電圧が低く、RRI推定精度の割合は、約0.1~約0.3である。一方、図8の推定精度測定図106に示すように、圧電センサ21の長尺方向中央部に、介在部材23がある状態では、座席シート1の圧電センサ21の出力電圧が高くなり、RRI推定精度の割合は、約0.45~約0.7である。従って、圧電センサ21の長尺方向の中央部に、介在部材23を配置することによって、車両が時速80kmで走行した動的な条件におけるRRI推定精度の割合が約42%上昇している。
【0056】
従って、図7および図8に示すように、圧電センサ21の長尺方向の中央部に、介在部材23を配置することによって、RRI推定精度を向上させることができる。また、RRI推定精度が高い程、RRI正答率が高い値となる。つまり、圧電センサ21の長尺方向の中央部に、介在部材23を配置することによって、RRI正答率を向上させることができる。
【0057】
[RRI正答率の説明]
前述した「RRI正答率」について図9に基づいて説明する。図9は、RRI正答率を説明するための分布図の一例を示す図である。図9の横軸は、所定期間における心弾動のRRI(R-R Interval)の平均値(図9では「平均RRI」と記載。)に対する各RRIの比の値を示しており、縦軸は、それぞれの比の値となった回数を示している。別の側面から言えば、図9は「RRI/mean(RRI)」の分布を示している。ここで、分母の「mean(RRI)」は、所定期間におけるRRIの平均値を意味しており、分子の「RRI」は、対象となる各RRIの値を意味している。また、上述した所定時間は、特定の時間に限定されず、例えば5分であってもよいし、30分であってもよい。
【0058】
前記比の値が1付近となった場合、対象となるRRIの値が平均値に近いため信頼性が高く、前記比の値が1と大きく異なる場合、対象となるRRIの値の信頼性が低い。心拍の計測においては、信頼性が低い値のRRIの値を除外又は調整することによって、計測精度を向上させることが可能となる。
【0059】
RRI正答率とは、所定期間に計測されたRRIについて、前記比の値が所定範囲に収まる割合を意味する。通常、前記所定範囲は、前記比の値の1を中心とする一定範囲が規定される。また、図9における枠31は、前記所定範囲の一例であり、前記比の値が0.95~1.05である範囲を示している。
【0060】
例えば、図9において、RRI正答率が50%であるとは、所定期間に計測されたRRIの50%の回数に対応する前記比の値が枠31の範囲に収まることを意味している。
【0061】
また、コントローラ25は、着座者の心拍を算出するときに、対象となるRRIの値が前記所定範囲内であれば、当該RRIの値をそのまま使用し、対象となるRRIが前記所定範囲外であれば、直近に計測されたRRIの値を使用してもよい。
【0062】
なお、別の態様として、コントローラ25がRRI正答率を算出する場合に用いる比の値は、直近に計測されたRRIに対する、今回計測されたRRIの比の値が用いられる構成であってもよい。当該構成においては、図9に相当する分布図が「RRI(k)/RRI(k-1)」の分布を示す。ここで、分母の「RRI(k-1)」は、或るk回目の直近であるk-1回目に計測されたRRIの値を意味しており、分子の「RRI(k)」は、今回であるk回目に計測されたRRIの値を意味している。
【0063】
また、コントローラ25は、心拍の算出に用いるRRIの値として、今回のRRIの計測値y(k)と、直近の推定値x(k-1)とを用いて、下記式によって算出した新たな推定値x(k)、
x(k)=w*y(k)+(1-w)*x(k-1)
を用いてもよい。
【0064】
ここで、wは、分布図における分散値等に応じた重み係数であって、0≦w≦1の値を取り得る。また、推定値xの基となる初期値x(0)の値は、コントローラ25が例えばケプストラム解析によって算出してもよい。また、コントローラ25は、初期値x(0)の値を、車両(移動体)の主電源が起動する度にリセットしてもよいし、所定期間毎にリセットしてもよい。
【0065】
また、コントローラ25は、圧電センサ21によるセンシング結果に基づいて算出した着座者の心拍が、着座者に異常が生じていることを示している場合、そのことを着座者へ通知する処理等の所定処理(以下、単に「所定処理」と称する。)を行う。広義には、コントローラ25は、圧電センサ21によるセンシング結果が、着座者の心弾動に関する所定条件を満たす場合に前記所定処理を行う。ここで、圧電センサ21によるセンシング結果が前記所定条件を満たす場合とは、例えば所定時間における着座者の心拍の回数が、下限値以下若しくは上限値以上である場合、又は、基準値以上変化した場合等であってもよい。
【0066】
また、コントローラ25は、前記所定処理として、着座者の状態に関する情報を通知するための信号の出力を伴う、以下に例示する処理を行ってもよい。
・着座者に眠気、興奮又は疲労等が生じていることを通知するために、音声、映像、光又はテキストを出力する処理
・着座者に眠気、興奮又は疲労等が生じていることを通知するために、制御信号を出力して、座席シート、又は移動体が備えるその他の可動部分を稼働させる処理
・着座者に異常が生じたことを示す情報を、電波通信等によって所定の連絡先へ送信する処理である。
【0067】
また、コントローラ25は、前記所定処理として、車両の移動に関する、以下に例示する処理を行ってもよい。
・車両を路肩等に停止させる処理
・車両のスピードを低下させる処理
・車両を病院又は自宅等の所定場所に移動させる処理である。
【0068】
また、コントローラ25は、着座者の心弾動に関する所定条件が満たされた場合、前記所定処理として、着座者の状態に関する情報を通知するための信号を出力する上述した処理と、車両(移動体)の移動に関する上述した処理との双方を行ってもよい。
【0069】
[3.変形例]
前記実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明において、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0070】
[変形例1]
変形例1に係る座席シート41のシートクッション11について図10に基づいて説明する。図10は、変形例1に係る座席シート41の座面の一例を示す図である。座席シート41は、前記実施形態に係る座席シート1とほぼ同じ構成である。但し、図10に示すように、シートクッション11は、メインパッド15の下面15Eに形成された凹部17に嵌め込まれるサブパッド16の上面16Aにおいて、複数の圧電センサ21、例えば、2個の圧電センサ21を左右方向にて並列配置してもよい。
【0071】
また、各圧電センサ21は、シートクッション11の前後方向に沿って配置される。各圧電センサ21は、サブパッド16の上面16Aにおいて、着座者の座骨部周辺の左臀部に対向する第1領域15Aに対向するように、接着等により上面16Aに固定されている。
【0072】
また、各圧電センサ21の配線は、サブパッド16の後方側の側面に沿って下方へ引き出されて、コントローラ25に電気的に接続されている。なお、各圧電センサ21は、着座者の座骨部周辺の左臀部に対向する第1領域15Aに限らず、着座者の座骨部周辺の右臀部に対向する第2領域15Bに対向するように、左右方向にて並列配置し、接着剤等により上面16Aに固定してもよい。
【0073】
また、各圧電センサ21の長尺方向の中央部には、介在部材23が、各圧電センサ21と凹部17の底面17Aとの間に介在して、各圧電センサ21の一部分を押圧可能に配置されている。各介在部材23の平面状の下面23Aは、各圧電センサ21の凹部17の底面17Aに対向する面、つまり、各圧電センサ21の上面の長尺方向の中央部に、接着などによって固定されている。また、各介在部材23の下面23Aからの高さ、つまり、圧電センサ21から各介在部材23の上面23Bの頂点までの高さは、ほぼ同じ所定高さに形成されている。例えば、各介在部材23の下面23Aから上面23Bの頂点までの高さは、高さ約3mm~約15mmで、シートクッション11に着座した着座者に異物感を与えない程度の高さに形成されている。
【0074】
上記のように構成された座席シート41は、前記実施形態に係る座席シート1とほぼ同じ効果を奏することができる。更に、コントローラ25は、各圧電センサ21から出力される着座者の心弾動の信号波形(BCG波形)のうち、振幅が最も大きい心弾動の信号波形を採用することが可能となり、引いては、RRI正答率を更に向上させることができる。
【0075】
[変形例2]
変形例2に係る座席シート51について図11に基づいて説明する。図11は、変形例2に係る座席シート51の外観の一例を示す斜視図である。座席シート51は、前記実施形態に係る座席シート1とほぼ同じ構成である。但し、図11に示すように、シートバック12は、メインパッド52と、サブパッド16と、圧電センサ21と、介在部材23とを備えるようにしてもよい。なお、シートバック12は、表皮部材14が覆うように装着されている。
【0076】
メインパッド52は、メインパッド15と同様に、軟質ポリウレタンフォームである発泡ポリウレタンフォームによって形成されている。メインパッド52の着座者の腰部からの荷重を受ける前面に対して反対側の背面には、正面視略矩形状の有底の凹部17が後方に開口して形成されている。そして、正面視略矩形状のサブパッド16が、凹部17に後方から嵌め込まれる。凹部17の底面17Aは、着座してメインパッド15にもたれかかった着座者の座骨部周辺の左腰部に対向する第3領域53と、着座者の座骨部周辺の右腰部に対向する第4領域54とを含むように形成されている。
【0077】
従って、着座した着座者の荷重を受けるサブパッド16の凹部17の底面17Aに対向する上面16Aは、着座者の座骨部周辺の左腰部に対向する第3領域53と、着座者の座骨部周辺の右腰部に対向する第4領域54とに対向するように形成されている。
【0078】
長尺状の圧電センサ21は、凹部17に嵌め込まれるサブパッド16の上面16Aにおいて、着座者の座骨部周辺の左腰部に対向する第3領域53に対向するように、上下方向に沿って配置され、接着剤等により上面16Aに固定されている。また、圧電センサ21の配線は、サブパッド16の下方側の側面に沿って後方へ引き出されて、コントローラ25に電気的に接続されている。なお、圧電センサ21は、着座者の座骨部周辺の左腰部に対向する第3領域53に限らず、着座者の座骨部周辺の右腰部に対向する第4領域54に対向するように、上下方向に沿って配置し、接着剤等により上面16Aに固定してもよい。
【0079】
また、圧電センサ21の長尺方向の中央部には、介在部材23が、圧電センサ21と凹部17の底面17Aとの間に介在して、圧電センサ21の一部分を押圧可能に配置されている。介在部材23の下面23Aは、圧電センサ21の凹部17の底面17Aに対向する面、つまり、圧電センサ21上の長尺方向の中央部に、接着などによって固定されている。また、介在部材23の下面23Aからの高さ、つまり、圧電センサ21から介在部材23の上面23Bの頂点までの高さは、所定高さに形成されている。例えば、各介在部材23の下面から介在部材23の上面23Bの頂点までの高さは、例えば、高さ約3mm~約15mmで、着座してシートバック12にもたれかかった着座者に異物感を与えない程度の高さに形成されている。
【0080】
従って、圧電センサ21の長尺方向の中央部に、介在部材23を配置することにより、シートバック12にもたれかかった着座者の左腰の押圧力により発生する圧電センサ21のひずみ量は、介在部材23を配置しない場合におけるひずみ量よりも増加する。その結果、圧電センサ21から出力される出力電圧を、介在部材23が無い場合よりも大きくすることができ、十分な出力電圧を有する心弾動の信号波形を得ることが可能となる。
【0081】
[変形例3]
また、例えば、図11に示す座席シート51のシートバック12は、サブパッド16の上面16Aにおいて、複数の圧電センサ21、例えば、2個の圧電センサ21を左右方向にて並列配置してもよい。また、各圧電センサ21は、シートバック12の上下方向に沿って配置される。各圧電センサ21は、サブパッド16の上面16Aにおいて、着座者の座骨部周辺の左腰部に対向する第3領域53に対向するように、接着等により上面16Aに固定されている。
【0082】
また、各圧電センサ21の配線は、サブパッド16の下方側の側面に沿って後方へ引き出されて、コントローラ25に電気的に接続されている。なお、各圧電センサ21は、着座者の座骨部周辺の左腰部に対向する第3領域53に限らず、着座者の座骨部周辺の右腰部に対向する第4領域54に対向するように、左右方向にて並列配置し、接着剤等により上面16Aに固定してもよい。
【0083】
また、各圧電センサ21の長尺方向の中央部には、介在部材23が、各圧電センサ21と凹部17の底面17Aとの間に介在して、各圧電センサ21の一部分を押圧可能に配置されている。各介在部材23の平面状の下面23Aは、各圧電センサ21の凹部17の底面17Aに対向する面、つまり、各圧電センサ21上の長尺方向の中央部に、接着などによって固定されている。また、各介在部材23の下面23Aからの高さ、つまり、圧電センサ21から上面23Bの頂点までの高さは、所定高さ、例えば、高さ約3mm~約15mmで、着座してシートバック12にもたれかかった着座者に異物感を与えない程度の高さに形成されている。
【0084】
上記のように構成された変形例3に係る座席シートは、変形例2に係る座席シート51とほぼ同じ効果を奏することができる。更に、コントローラ25は、各圧電センサ21から出力される着座者の心弾動の信号波形のうち、振幅が最も大きい心弾動の信号波形を採用することが可能となり、引いては、RRI正答率を更に向上させることができる。
【0085】
[変形例4]
例えば、介在部材23の上面23Bが、サブパッド16が嵌め込まれる凹部17の底面17Aに、予め接着などによって固定されて、一体的に設けられるようにしてもよい。例えば、凹部17の底面17Aに、球面状の窪みを形成して、介在部材23の上面23Bをこの窪みに嵌め込んで、接着等で固定してもよい。また、例えば、凹部17の底面17Aに凸部を形成し、介在部材23の上面23Bに、この凸部が嵌め込まれる凹み部を形成してもよい。そして、底面17Aに形成された凸部を、介在部材23の上面23Bに形成された凹み部に嵌め込んで、接着等で固定してもよい。
【0086】
この場合には、介在部材23の上面23Bは、凹部17の底面17Aにおいて、凹部17に嵌め込まれたサブパッド16の上面16Aに固定された圧電センサ21の長尺方向の中央部に対向する位置に固定される。これにより、介在部材23は、メインパッド15の凹部17の底面17Aに一体的に設けられているため、座席シート1の組み立て時の工数の削減化を図ることができる。
【0087】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1、41、51 座席シート、11 シートクッション、12 シートバック、15、52 メインパッド、15A 第1領域、15B 第2領域、16 サブパッド、16A 上面、17 凹部、17A 底面、21 圧電センサ、23 介在部材、53 第3領域、54 第4領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11