IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミマキエンジニアリングの特許一覧

特開2024-78152印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置
<>
  • 特開-印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置 図1
  • 特開-印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置 図2
  • 特開-印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置 図3
  • 特開-印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置 図4
  • 特開-印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置 図5
  • 特開-印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置 図6
  • 特開-印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置 図7
  • 特開-印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置 図8
  • 特開-印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078152
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240603BHJP
【FI】
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190545
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 悠
(72)【発明者】
【氏名】小林 幸成
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA00
5L049AA00
(57)【要約】
【課題】印刷装置の保守作業に対する適切な保守契約料を算出する。
【解決手段】印刷装置の管理装置は、印刷装置の稼働実績に関する稼働実績情報、印刷装置の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、印刷装置に用いられるインクに関するインク情報、印刷装置の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び印刷装置の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、印刷装置の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出部と、保守情報と、印刷装置で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、印刷装置のユーザの評価を導出する評価部と、導出されたユーザの評価に基づいて、印刷装置の保守作業に対する保守契約料を算出する料金算出部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置の稼働実績に関する稼働実績情報、前記印刷装置の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、前記印刷装置に用いられるインクに関するインク情報、前記印刷装置の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び前記印刷装置の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、前記印刷装置の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出部と、
前記保守情報と、前記印刷装置で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、前記印刷装置のユーザの評価を導出する評価部と、
導出された前記ユーザの評価に基づいて、前記印刷装置の保守作業に対する保守契約料を算出する料金算出部と
を備える印刷装置の管理装置。
【請求項2】
前記稼働実績情報は、通電時間、通電回数、動作時間、動作回数、前記インクの使用量、前記印刷装置が印刷した前記メディアにおける印刷面積、印刷成功率、及びエラー発生履歴の少なくとも1つを含む
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項3】
前記実施履歴情報は、前記印刷装置のクリーニング実施履歴、前記印刷装置のステーションメンテナンス実施履歴、前記印刷装置のヘッドメンテナンス実施履歴、前記印刷装置のワイパ交換履歴、前記印刷装置の定期点検の実施回数、前記印刷装置の不具合改修及び定期点検以外の保守作業回数、前記印刷装置の保守部品の交換回数、前記印刷装置の保守部品の交換間隔、前記印刷装置の保守部品の使用実績、前記印刷装置で使用される消耗品、前記印刷装置で使用される保守交換品の少なくとも1つを含む
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項4】
前記インク情報は、前記インクの種類に関する情報、前記インクが純正か否かに関する情報、前記インクの成分に関する情報の少なくとも1つを含む
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項5】
前記メディア情報は、前記メディアの種類に関する情報、前記メディアが純正か否かに関する情報、前記メディアが推奨品であるか否かに関する情報の少なくとも1つを含む
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項6】
前記設置環境情報は、前記印刷装置を設置する設置場所の気温、湿度、高度、清浄度、前記印刷装置を設置する床部の傾斜角度、前記設置場所における紫外線の照射量、前記設置場所における照度、輝度に関する情報、前記床部の素材に関する情報、前記設置場所の建物の構造に関する情報の少なくとも1つを含む
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項7】
前記評価部は、更に前記印刷装置の保有台数に基づいて、前記ユーザの評価を導出する
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項8】
前記評価部は、更に前記印刷装置の保守履歴が記録されているか否か、前記印刷装置による印刷成功回数及びエラー発生回数、前記印刷装置の全印刷時間に対する純正の前記メディア及び純正の前記インクの使用量、前記印刷装置のメンテナンスが所定の頻度で実施されているか否か、前記印刷装置の全印刷時間に対する保守部品の交換頻度及び前記保守部品の交換に要したコスト、及び交換した前記保守部品の使用状態の少なくとも1つに基づいて、前記ユーザの評価を導出する
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項9】
前記料金算出部は、算出された前記評価に基づいて、段階的な値である前記ユーザの優良度を算出し、算出した前記優良度に基づいて前記保守契約料を算出する
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項10】
前記料金算出部は、更に前記印刷装置の設置場所に基づいて、前記保守契約料を算出する
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項11】
前記料金算出部は、導出された前記保守情報に基づいて、前記印刷装置のメンテナンスを行う度に必要な都度作業料を算出する
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項12】
導出された前記保守情報、及び前記ユーザの評価の少なくとも一方に基づいて、前記印刷装置に関する関連情報を導出する関連情報導出部を更に備える
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項13】
前記関連情報は、前記印刷装置の利用の改善点に関する情報、前記印刷装置の健全性に関する情報、前記印刷装置のメンテナンスの時期に関する情報の少なくとも1つを含む
請求項12に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項14】
前記保守情報導出部は、更に前記印刷装置において所定期間内に発生している保守作業回数、前記印刷装置の保守作業のコスト、及び前記印刷装置における保守作業の発生理由の少なくとも1つに基づいて、前記保守情報を導出する
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項15】
前記保守情報導出部は、更に前記保守作業の種類、前記保守作業の発生間隔に基づいて、前記保守情報を導出する
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項16】
前記保守情報導出部、前記評価部及び料金算出部は、所定の学習モデルに基づいて前記保守情報の導出、前記評価の導出及び前記保守契約料の算出を行う
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項17】
前記評価部は、導出された前記保守情報と前記印刷装置の稼働実績とに基づいてスコアリング情報を導出し、前記スコアリング情報に基づいて前記ユーザの評価を求める
請求項1に記載の印刷装置の管理装置。
【請求項18】
印刷装置の稼働実績に関する稼働実績情報、前記印刷装置の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、前記印刷装置に用いられるインクに関するインク情報、前記印刷装置の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び前記印刷装置の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、前記印刷装置の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出ステップと、
前記保守情報と、前記印刷装置で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、前記印刷装置のユーザの評価を導出する評価ステップと、
導出された前記ユーザの評価に基づいて、前記印刷装置の保守作業に対する保守契約料を算出する料金算出ステップと
を含む印刷装置の管理方法。
【請求項19】
印刷装置の稼働実績に関する稼働実績情報、前記印刷装置の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、前記印刷装置に用いられるインクに関するインク情報、前記印刷装置の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び前記印刷装置の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、前記印刷装置の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出ステップと、
前記保守情報と、前記印刷装置で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、前記印刷装置のユーザの評価を導出する評価ステップと、
導出された前記ユーザの評価に基づいて、前記印刷装置の保守作業に対する保守契約料を算出する料金算出ステップと
をコンピュータに実行させる印刷装置の管理プログラム。
【請求項20】
印刷装置と、
前記印刷装置との間で通信可能であり、前記印刷装置を管理する管理装置と
を備え、
前記管理装置として、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の印刷装置の管理装置が用いられる
印刷装置の管理システム。
【請求項21】
印刷装置の稼働実績に関する稼働実績情報、前記印刷装置の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、前記印刷装置に用いられるインクに関するインク情報、前記印刷装置の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び前記印刷装置の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、前記印刷装置の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出部と、
前記保守情報と、前記印刷装置で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、前記印刷装置のユーザの評価を導出する評価部と
を備える印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタ等の印刷装置は、一般家庭、オフィス、工場等の各場所で使用されている。このような印刷装置の使用方法、使用環境も様々であり、発生する異常の種類や頻度、必要な保守作業がユーザによって異なる。
【0003】
このような印刷装置のメーカは、ユーザとの間に保守契約を結び、当該保守契約に基づいて、ユーザが保有する印刷装置の保守及び修理を行っている。例えば、ユーザが保有する印刷装置の状態を示す装置情報と、印刷装置の使用状態を示す使用情報と、ユーザとメーカと間の保守契約に関する契約情報とのうち、少なくとも1つの情報に基づいて、印刷装置に異常が発生した場合の保守の優先度を示す優先情報を決定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-43660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような印刷装置の保守作業を行う保守サービスは、定額の定期保守契約であることが多い。そのため、メーカ側の保守作業者の出動回数が多く、保守部品の無償交換回数が多く、無償交換の交換対象となる保守部品が高価であるほど、メーカ側の損失が大きくなる。一方で、契約期間中に、保守サービスの利用が少なかったユーザは、定期保守契約費用を必要以上に支払っていることになる。このため、メーカとユーザとの間で適切な保守契約料で定期保守契約を締結することが求められる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、印刷装置の保守作業に対する適切な保守契約料を算出することが可能な印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る印刷装置の管理装置は、印刷装置の稼働実績に関する稼働実績情報、前記印刷装置の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、前記印刷装置に用いられるインクに関するインク情報、前記印刷装置の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び前記印刷装置の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、前記印刷装置の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出部と、前記保守情報と、前記印刷装置で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、前記印刷装置のユーザの評価を導出する評価部と、導出された前記ユーザの評価に基づいて、前記印刷装置の保守作業に対する保守契約料を算出する料金算出部とを備える。
【0008】
本発明に係る印刷装置の管理方法は、印刷装置の稼働実績に関する稼働実績情報、前記印刷装置の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、前記印刷装置に用いられるインクに関するインク情報、前記印刷装置の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び前記印刷装置の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、前記印刷装置の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出ステップと、前記保守情報と、前記印刷装置で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、前記印刷装置のユーザの評価を導出する評価ステップと、導出された前記ユーザの評価に基づいて、前記印刷装置の保守作業に対する保守契約料を算出する料金算出ステップとを含む。
【0009】
本発明に係る印刷装置の管理プログラムは、印刷装置の稼働実績に関する稼働実績情報、前記印刷装置の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、前記印刷装置に用いられるインクに関するインク情報、前記印刷装置の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び前記印刷装置の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、前記印刷装置の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出ステップと、前記保守情報と、前記印刷装置で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、前記印刷装置のユーザの評価を導出する評価ステップと、導出された前記ユーザの評価に基づいて、前記印刷装置の保守作業に対する保守契約料を算出する料金算出ステップとをコンピュータに実行させる。
【0010】
本発明に係る印刷装置の管理システムは、印刷装置と、前記印刷装置との間で通信可能であり、前記印刷装置を管理する管理装置とを備え、前記管理装置として、上記の印刷装置の管理装置が用いられる。
【0011】
本発明に係る印刷装置は、印刷装置の稼働実績に関する稼働実績情報、前記印刷装置の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、前記印刷装置に用いられるインクに関するインク情報、前記印刷装置の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び前記印刷装置の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、前記印刷装置の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出部と、前記保守情報と、前記印刷装置で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、前記印刷装置のユーザの評価を導出する評価部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印刷装置の保守作業に対する適切な保守契約料を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る印刷装置の管理システムの一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る印刷装置の管理方法の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、保守情報導出ステップの処理内容の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、保守情報導出ステップで導出される保守情報の一例を模式的に示す図である。
図5図5は、評価ステップの処理内容の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、評価ステップで導出される評価の一例を模式的に示す図である。
図7図7は、料金算出ステップの処理内容の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、料金算出ステップで算出される保守契約料の一例を模式的に示す図である。
図9図9は、関連情報導出ステップの処理内容の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る印刷装置の管理装置、印刷装置の管理方法、印刷装置の管理プログラム、印刷装置の管理システム及び印刷装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
図1は、本実施形態に係る印刷装置の管理システム100の一例を示す図である。図1に示すように、管理システム100は、印刷装置10と、管理装置20とを備える。本実施形態において、印刷装置10と管理装置20とは、例えばインターネット等のネットワークNWを介して接続される。
【0016】
印刷装置10は、本体部11と、ヘッド12と、制御部13とを備える。本実施形態において、印刷装置10は、インクジェット型の印刷装置である。本体部11は、メディアMを搬送する搬送部31、ヘッド12を移動させるヘッド駆動部32、ヘッド12にインクを供給するインク供給部33、ヘッド12のクリーニングを行うクリーニング部34、印刷装置10を操作するための操作パネル35、インクに紫外線を照射する紫外線照射部36等、印刷動作及び関連動作を行う部位を有する。ヘッド12は、メディアMにインクを吐出する。制御部13は、本体部11及びヘッド12の各部を統括的に制御する。
【0017】
制御部13は、通信部14と、処理部15と、記憶部16とを有する。通信部14は、管理装置20を含む外部機器との間で有線又は無線による通信を行う。通信部14は、ネットワークインタフェースカード等のインタフェースを含む。処理部15は、処理部22は、各種の情報処理を行う。処理部22は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリとを含む。処理部15は、印刷装置10の各部を制御するための情報処理を行う。処理部15は、印刷装置10を管理するための各種情報(後述)を通信部14から管理装置20へ送信するように制御する。
【0018】
記憶部16は、各種プログラム、データ等の情報を記憶する。記憶部16は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、クラウドストレージ等のストレージを含む。
【0019】
管理装置20は、通信部21と、処理部22と、記憶部23とを備える。管理装置20は、印刷装置10を管理する。管理装置20は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等の各種の情報処理装置を用いることができる。管理装置20は、不図示の入力部(キーボード、マウス、タッチパネル等)、出力部(表示部、音声出力部等)に接続されてもよい。
【0020】
通信部21は、印刷装置10を含む外部機器との間で有線又は無線による通信を行う。通信部21は、ネットワークインタフェースカード等のインタフェースを含む。
【0021】
処理部22は、各種の情報処理を行う。処理部22は、CPU等のプロセッサと、ROM、RAM等のメモリとを含む。
【0022】
処理部22は、保守情報導出部24と、評価部25と、料金算出部26と、関連情報導出部27とを有する。保守情報導出部、評価部、料金算出部、関連情報導出部は別体であっても、全てまたは一部が同体であってもよい。
【0023】
保守情報導出部24は、印刷装置10の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する。保守情報導出部24は、印刷装置10の稼働実績に関する稼働実績情報、印刷装置10の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、印刷装置10に用いられるインクに関するインク情報、印刷装置10の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び印刷装置10の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、保守情報を導出する。
【0024】
印刷装置10の稼働実績は、通電時間、通電回数、動作時間、動作回数、インクの使用量、印刷装置10が印刷したメディアにおける印刷面積、印刷成功率、及びエラー発生履歴の少なくとも1つを含む。稼働実績情報は、稼働実績に関する原データであってもよいし、稼働実績に関する原データに基づいて加工を加えた加工データであってもよい。加工データとしては、例えば印刷ごとにかかった時間、1回の印刷にかかった時間の平均値、印刷にかかった累積時間、アイドリングの累積時間等が挙げられる。
【0025】
実施履歴情報は、印刷装置10のクリーニング実施履歴、印刷装置10のステーションメンテナンス実施履歴、印刷装置10のヘッドメンテナンス実施履歴、印刷装置10のワイパ交換履歴、印刷装置10の定期点検の実施回数、印刷装置10の不具合改修及び定期点検以外の保守作業回数、印刷装置10の保守部品の交換回数、印刷装置10の保守部品の交換間隔、印刷装置10の保守部品の使用実績、印刷装置10で使用される消耗品、印刷装置10で使用される保守交換品の少なくとも1つを含む。
【0026】
インク情報は、インクの種類に関する情報、インクが純正か否かに関する情報、インクの成分に関する情報の少なくとも1つを含む。
【0027】
メディア情報は、メディアの種類に関する情報、メディアが純正か否かに関する情報、メディアが推奨品であるか否かに関する情報の少なくとも1つを含む。
【0028】
設置環境情報は、印刷装置10を設置する設置場所の気温、湿度、高度、清浄度、印刷装置10を設置する床部の傾斜角度、設置場所における紫外線の照射量、設置場所における照度、輝度に関する情報、床部の素材に関する情報、設置場所の建物の構造に関する情報の少なくとも1つを含む。
【0029】
保守情報導出部24は、印刷装置10において所定期間内に発生している保守作業回数、印刷装置10の保守作業のコスト、及び印刷装置10における保守作業の発生理由の少なくとも1つに基づいて、保守情報を導出することができる。
【0030】
保守情報導出部24は、更に、それまでに実施された保守作業の種類、保守作業の発生間隔に基づいて、保守情報を導出することができる。
【0031】
保守情報としては、例えば発生リスク「高」「中」「低」等の段階的な値とすることができる。保守情報導出部24は、例えばヘッド、クリーニング部等のように保守作業の対象となる項目ごとに保守情報を導出してもよいし、印刷装置10全体としての保守情報を導出してもよい。
【0032】
評価部25は、印刷装置10のユーザの評価を求める。評価部25は、保守情報と、印刷装置10で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて評価を求める。消耗品としては、例えばインク、メディア、洗浄液等が挙げられる。
【0033】
評価部25は、上記に加えて、更に印刷装置10の保有台数、印刷装置10の保守履歴が記録されているか否か、印刷装置10による印刷成功回数及びエラー発生回数、印刷装置10の全印刷時間に対する純正のメディア及び純正のインクの使用量、印刷装置10のメンテナンスが所定の頻度で実施されているか否か、印刷装置10の全印刷時間に対する保守部品の交換頻度及び保守部品の交換に要したコスト、及び交換した保守部品の使用状態のうち少なくとも1つの項目に基づいて、ユーザの評価を求めることができる。
【0034】
印刷装置10の保有台数については、例えばユーザが保有する印刷装置10の全台数、同一の設置場所に存在する台数、ユーザがこれまで保有した印刷装置10の通算の台数等が挙げられる。
【0035】
評価部25は、導出された保守情報と、印刷装置10の稼働実績とに基づいて、スコアリング情報を導出し、当該スコアリング情報に基づいてユーザの評価を求めることができる。
【0036】
料金算出部26は、印刷装置10の保守作業に対する保守契約料を算出する。料金算出部26は、導出されたユーザの評価に基づいて保守契約料を算出する。
【0037】
料金算出部26は、算出された評価に基づいて、ユーザの優良度を算出し、算出した優良度に基づいて保守契約料を算出することができる。優良度は、例えば等級等のように段階的に設定することができる。
【0038】
料金算出部26は、更に印刷装置10の設置場所に基づいて、保守契約料を算出することができる。保守契約料は、例えば等級制又は階段制等のように段階的に金額が変化する料金体系として設定することができる。
【0039】
料金算出部26は、導出された保守情報に基づいて、印刷装置10のメンテナンスを行う度に必要な都度作業料を算出することができる。
【0040】
関連情報導出部27は、印刷装置10に関する関連情報を導出する。関連情報導出部27は、導出された保守情報、及びユーザの評価の少なくとも一方に基づいて関連情報を導出する。関連情報は、印刷装置10を利用するにあたってユーザが改善すべき点に関する情報、印刷装置10の健全性に関する情報、印刷装置10のメンテナンスの時期に関する情報の少なくとも1つを含む。
【0041】
保守情報導出部24、評価部25、料金算出部26及び関連情報導出部27は、所定の学習モデルに基づいて保守情報の導出、評価の導出及び保守契約料の算出を行うことができる。学習モデルは、保守情報、評価及び保守契約料と、これらの保守情報、評価及び保守契約料を算出又は導出するために必要な入力項目とを対応付けて学習し、所定の入力項目が入力された場合に対応する値(保守情報、評価又は保守契約料)を出力することができる。学習モデルは、例えば記憶部23に記憶させることができる。
【0042】
記憶部23は、各種プログラム、データ等の情報を記憶する。記憶部23は、HDD、SSD等のストレージを含む。
【0043】
記憶部23は、例えば、印刷装置10の管理プログラムを記憶する。印刷装置10の管理プログラムは、印刷装置10の稼働実績に関する稼働実績情報、印刷装置10の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、印刷装置10に用いられるインクに関するインク情報、印刷装置10の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び印刷装置10の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、印刷装置10の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出ステップと、保守情報と、印刷装置10で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、印刷装置10のユーザの評価を導出する評価ステップと、導出されたユーザの評価に基づいて、印刷装置10の保守作業に対する保守契約料を算出する料金算出ステップとをコンピュータに実行させる。
【0044】
管理装置20では、処理部22においてプロセッサが各種プログラムを読み出してメモリに展開することで、上記各部の機能に対応した情報処理を実行する。各種プログラムとしては、例えば通信部21が受信したプログラム、記憶部23に記憶されたプログラム、外部の記録媒体に記録されたプログラム等が挙げられる。管理装置20は、各種の情報処理を実行する情報処理装置(コンピュータ)として機能する。なお、管理装置20とは異なる他の情報処理装置が各種プログラムを実行してもよいし、管理装置20と他の情報処理装置とが協働して各種プログラムを実行してもよい。
【0045】
次に、上記のように構成された管理システム100を用いた印刷装置10の管理方法の一例を説明する。図2は、本実施形態に係る印刷装置10の管理方法の一例を示すフローチャートである。図2に示すように、本実施形態に係る印刷装置10の管理方法は、保守情報導出ステップS10と、評価ステップS20と、料金算出ステップS30と、関連情報導出ステップS40とを含む。
【0046】
保守情報導出ステップS10において、保守情報導出部24は、稼働実績情報、実績履歴情報、インク情報、メディア情報、設置環境情報等の各種情報を収集する。各種情報は、通信部21を介した情報通信により、印刷装置10から取得することができる。例えば印刷装置10の保守作業員が保守作業を行った際、操作パネル等により印刷装置10に保守作業の履歴等の各種情報を登録する。また、1次元バーコード、2次元バーコード、各種センサー等によって、各種部品を交換した際や保守作業を行った際の、交換部品の種類、保守作業の内容、部品の交換履歴、保守作業の履歴等が、自動で印刷装置10に登録されてもよい。印刷装置10において、登録された各種情報は、印刷装置10の記憶部16に記憶される。処理部15は、記憶部16に記憶される各種情報を通信部14により管理装置20に送信させる。保守情報導出部24は、印刷装置10から送信される各種情報を収集し、収集した情報に基づいて、保守情報を導出する。
【0047】
図3は、保守情報導出ステップS10の処理内容の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、例えば、保守情報導出部24は、収集した情報に基づいて、所定期間内に発生している保守作業回数を導出し(ステップS11)、所定期間内に発生している保守作業のコストを導出し(ステップS12)、印刷装置10における保守作業の発生理由を導出する(ステップS13)。保守情報導出部24は、ステップS11からステップS13において導出した各項目の内容に基づいて、保守情報を導出することができる(ステップS14)。保守情報導出部24は、保守作業の種類及び保守作業の発生間隔の少なくとも1つを更に導出し、当該導出結果と、ステップS11からステップS13における導出結果とに基づいて保守情報を導出してもよい。
【0048】
図4は、保守情報導出ステップS10で導出される保守情報の一例を模式的に示す図である。図4に示すように、保守情報導出部24は、ユーザごと又は印刷装置10ごとに保守情報を導出することができる。保守情報導出部24は、導出した保守情報を記憶部23に記憶させることができる。保守情報導出部24は、保守作業の対象となる項目ごとに保守情報を導出してもよいし、印刷装置10全体としての保守情報を導出してもよい。なお、保守情報導出部24は、導出した保守情報に基づいて、保守作業が必要になった場合にその都度発生するコストを予測することができる。例えば、保守情報導出部24は、保守情報に基づいて、例えば年間に保守回数を予測し、保守作業に要する年間の料金を予測することができる。保守情報導出部24は、当該予測結果を不図示の表示部等に表示することができる。
【0049】
評価ステップS20において、評価部25は、保守情報と、印刷装置10で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、印刷装置10のユーザの評価を求める。評価部25は、導出された保守情報と印刷装置10の稼働実績とに基づいてスコアリング情報を導出し、スコアリング情報に基づいてユーザの評価を求めることができる。
【0050】
図5は、評価ステップS20の処理内容の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、例えば、評価部25は、保守情報導出ステップS10で導出された保守情報及び印刷装置10の稼働実績をカテゴリごとに分類し(ステップS21)、分類したカテゴリごとにスコアリング情報を導出し(ステップS22)、導出したスコアリング情報の合計を計算し(ステップS23)、計算結果に基づいてユーザの評価を求める(ステップS24)ことができる。
【0051】
図6は、評価ステップS20で導出される評価の一例を模式的に示す図である。図6に示すように、評価部25は、ユーザごと又は印刷装置10ごとにスコアリング情報及び評価を導出することができる。評価部25は、導出したスコアリング情報及び評価を記憶部23に記憶させることができる。評価部25は、ユーザのスコアリング情報及び評価を点数、等級等の段階的な値として導出することができる。スコアリング情報及び評価については、図6に示す例に限定されず、他の態様であってもよい。
【0052】
なお、ユーザの評価に用いた稼働実績情報を用いて、印刷装置10のヘルスチェック等を行うことができる。この場合、評価部25は、印刷装置10のヘルスチェックを行った結果を不図示の表示部等に表示することができる。
【0053】
料金算出ステップS30において、料金算出部26は、印刷装置10の保守作業に対する保守契約料を算出する。料金算出部26は、ステップS20において導出されたユーザの評価に基づいて保守契約料を算出する。
【0054】
図7は、料金算出ステップS30の処理内容の一例を示すフローチャートである。図7に示すように、例えば、料金算出部26は、ステップS20で算出された評価に基づいて、ユーザの優良度を算出し(ステップS31)、印刷装置10の設置場所に基づいて当該設置場所までの移動コストを算出し(ステップS32)、ステップS10で導出された保守情報に基づいて印刷装置10のメンテナンスを行う度に必要な都度作業料を算出し(ステップS33)、算出した優良度、移動コスト及び都度作業料に基づいて、保守契約料を算出する(ステップS34)ことができる。例えば、料金算出部26は、優良度が高いほど割引率が高くなるように保守契約料を算出することができる。また、料金算出部26は、優良度の高い期間が長いユーザほど割引率が高くなるように保守契約料を算出することができる。このような場合、優良度の高いユーザほど保守契約料が低価格になる。また、料金算出部26は、評価ステップS20による評価を入力項目として、学習モデルにより保守契約料を直接的に算出してもよい。この場合、評価に応じてダイナミックに保守契約料の設定を行うことができる。
【0055】
図8は、料金算出ステップS30で算出される保守契約料の一例を模式的に示す図である。図8に示すように、料金算出部26は、ユーザごと又は印刷装置10ごとに保守契約料を導出することができる。料金算出部26は、導出した保守契約料を記憶部23に記憶させることができる。料金算出部26は、優良度及び移動コストに基づいて、保守契約料を算出することができる。また、料金算出部26は、上記の保守契約料に加えて、算出した都度作業料を例えば不図示の表示部に表示することにより、併せてユーザに提示することができる。また、印刷装置の機種毎の保守基本料金に、料金算出部が算出した料金を加味して、最終的な保守契約料を算出してもよい。
【0056】
関連情報導出ステップS40において、関連情報導出部27は、印刷装置10に関する関連情報を導出する。図9は、関連情報導出ステップS40の処理内容の一例を示すフローチャートである。図9に示すように、例えば、関連情報導出部27は、印刷装置10を利用するにあたってユーザが改善すべき点に関する情報を算出し(ステップS41)、印刷装置10の健全性に関する情報を算出し(ステップS42)、印刷装置10のメンテナンスの時期に関する情報を算出する(ステップS43)。ステップS41からステップS43において、関連情報導出部27は、ステップS10で導出された保守情報、及びステップS20で導出されたユーザの評価の少なくとも一方の情報を用いることができる。
【0057】
例えば、関連情報導出部27によりユーザが改善すべき点に関する情報を算出することで、当該情報に基づいて、ユーザに対して保守契約料をより低価格にするための方法を提示することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態に係る管理装置(印刷装置の管理装置)20は、印刷装置10の稼働実績に関する稼働実績情報、印刷装置10の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、印刷装置10に用いられるインクに関するインク情報、印刷装置10の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び印刷装置10の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、印刷装置10の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出部24と、保守情報と、印刷装置10で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、印刷装置10のユーザの評価を求める評価部25と、導出されたユーザの評価に基づいて、印刷装置10の保守作業に対する保守契約料を算出する料金算出部26とを備える。
【0059】
また、本実施形態に係る印刷装置10の管理方法は、印刷装置10の稼働実績に関する稼働実績情報、印刷装置10の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、印刷装置10に用いられるインクに関するインク情報、印刷装置10の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び印刷装置10の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、印刷装置10の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出ステップと、保守情報と、印刷装置10で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、印刷装置10のユーザの評価を求める評価ステップと、導出されたユーザの評価に基づいて、印刷装置10の保守作業に対する保守契約料を算出する料金算出ステップとを含む。
【0060】
また、本実施形態に係る印刷装置10の管理プログラムは、印刷装置10の稼働実績に関する稼働実績情報、印刷装置10の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、印刷装置10に用いられるインクに関するインク情報、印刷装置10の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び印刷装置10の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、印刷装置10の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出ステップと、保守情報と、印刷装置10で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、印刷装置10のユーザの評価を求める評価ステップと、導出されたユーザの評価に基づいて、印刷装置10の保守作業に対する保守契約料を算出する料金算出ステップとをコンピュータに実行させる。
【0061】
また、本実施形態に係る印刷装置10の管理システム100は、印刷装置10と、印刷装置10との間で通信可能であり、印刷装置10を管理する管理装置とを備え、管理装置として、上記管理装置20が用いられる。
【0062】
これらの構成によれば、ユーザによる過去の印刷装置10の使用履歴、保守履歴に基づいてユーザを評価し、評価結果に基づいて保守契約料を算出することにより、将来発生する保守作業の発生リスク、費用等を適切に推定することができる。これにより、印刷装置の保守作業に対する適切な保守契約料を算出することができる。また、メーカ推奨の消耗品を使用しているかどうか、といった観点からユーザを評価することで、適切な割引率を設定することができる。
【0063】
本実施形態に係る管理装置20において、稼働実績情報は、通電時間、通電回数、動作時間、動作回数、インクの使用量、印刷装置10が印刷したメディアにおける印刷面積、印刷成功率、及びエラー発生履歴の少なくとも1つを含む。この構成によれば、保守情報を適切に導出することができる。
【0064】
本実施形態に係る管理装置20において、実施履歴情報は、印刷装置10のクリーニング実施履歴、印刷装置10のステーションメンテナンス実施履歴、印刷装置10のヘッドメンテナンス実施履歴、印刷装置10のワイパ交換履歴、印刷装置10の定期点検の実施回数、印刷装置10の不具合改修及び定期点検以外の保守作業回数、印刷装置10の保守部品の交換回数、印刷装置10の保守部品の交換間隔、印刷装置10の保守部品の使用実績、印刷装置10で使用される消耗品、印刷装置10で使用される保守交換品の少なくとも1つを含む。この構成によれば、保守情報を適切に導出することができる。
【0065】
本実施形態に係る管理装置20において、インク情報は、インクの種類に関する情報、インクが純正か否かに関する情報、インクの成分に関する情報の少なくとも1つを含む。この構成によれば、保守情報を適切に導出することができる。
【0066】
本実施形態に係る管理装置20において、メディア情報は、メディアの種類に関する情報、メディアが純正か否かに関する情報、メディアが推奨品であるか否かに関する情報の少なくとも1つを含む。この構成によれば、保守情報を適切に導出することができる。
【0067】
本実施形態に係る管理装置20において、設置環境情報は、印刷装置10を設置する設置場所の気温、湿度、高度、清浄度、印刷装置10を設置する床部の傾斜角度、設置場所における紫外線の照射量、設置場所における照度、輝度に関する情報、床部の素材に関する情報、設置場所の建物の構造に関する情報の少なくとも1つを含む。この構成によれば、保守情報を適切に導出することができる。
【0068】
本実施形態に係る管理装置20において、評価部25は、更に印刷装置10の保有台数に基づいて、ユーザの評価を求める。この構成によれば、ユーザを適切に評価することができる。
【0069】
本実施形態に係る管理装置20において、評価部25は、更に印刷装置10の保守履歴が記録されているか否か、印刷装置10による印刷成功回数及びエラー発生回数、印刷装置10の全印刷時間に対する純正のメディア及び純正のインクの使用量、印刷装置10のメンテナンスが所定の頻度で実施されているか否か、印刷装置10の全印刷時間に対する保守部品の交換頻度及び保守部品の交換に要したコスト、及び交換した保守部品の使用状態の少なくとも1つに基づいて、ユーザの評価を求める。この構成によれば、ユーザを適切に評価することができる。
【0070】
本実施形態に係る管理装置20において、料金算出部26は、算出された評価に基づいて、段階的な値であるユーザの優良度を算出し、算出した優良度に基づいて保守契約料を算出する。この構成によれば、段階的な値である優良度に基づいて保守契約料を算出するため、保守契約更新時におけるコストの見積もりを容易に行うことができる。
【0071】
本実施形態に係る管理装置20において、料金算出部26は、更に印刷装置10の設置場所に基づいて、保守契約量を算出する。この構成によれば、保守作業の作業者が基地から出動する際に、基地と設置場所との間の移動コストを含めた費用を算出することができる。
【0072】
本実施形態に係る管理装置20において、料金算出部26は、導出された保守情報に基づいて、印刷装置10のメンテナンスを行う度に必要な都度作業料を算出する。この構成によれば、算出された保守契約料と都度作業料とを比較してユーザに提示することができる。ユーザは、提示された保守契約料と都度作業料とを比較して、どちらがよいかを選択することができる。
【0073】
本実施形態に係る管理装置20において、導出された保守情報、及びユーザの評価の少なくとも一方に基づいて、印刷装置10に関する関連情報を導出する関連情報導出部27を更に備える。この構成によれば、関連情報を導出することにより、保守契約の締結においてユーザに幅広い情報を提示することができる。
【0074】
本実施形態に係る管理装置20において、関連情報は、印刷装置10の利用の改善点に関する情報、印刷装置10の健全性に関する情報、印刷装置10のメンテナンスの時期に関する情報の少なくとも1つを含む。この構成によれば、印刷装置10の利用の改善点をユーザに提示することにより、保守作業の回数を低減させることができる。また、印刷装置10の健全性に関する情報及び印刷装置10のメンテナンスの時期に関する情報をユーザに提示することにより、メンテナンスの発生時期をユーザに把握しやすくすることができる。ユーザは、メンテナンスの発生時期を把握することにより、印刷装置10を計画的かつ効率的に使用することができる。
【0075】
本実施形態に係る管理装置20において、保守情報導出部24は、更に印刷装置10において所定期間内に発生している保守作業回数、印刷装置10の保守作業のコスト、及び印刷装置10における保守作業の発生理由の少なくとも1つに基づいて、保守情報を導出する。この構成によれば、保守作業がメーカ側に責任がある事由、ユーザ側に責任がある事由、自然災害等のようにメーカ側の責任でもユーザ側の責任でもない事由のいずれの事由により発生したかを判断し、判断結果に基づいて保守情報を導出することができるため、保守情報をより適切に導出することができる。
【0076】
本実施形態に係る管理装置20において、保守情報導出部24は、更に保守作業の種類、保守作業の発生間隔に基づいて、保守情報を導出する。この構成によれば、保守情報をより適切に導出することができる。
【0077】
本実施形態に係る管理装置20において、保守情報導出部24、評価部25及び料金算出部26は、所定の学習モデルに基づいて保守情報の導出、評価の導出及び保守契約料の算出を行う。この構成によれば、より適切に保守契約料を算出することができる。
【0078】
本実施形態に係る管理装置20において、評価部25は、導出された保守情報と印刷装置10の稼働実績とに基づいて、スコアリング情報を導出し、当該スコアリング情報に基づいてユーザの評価を求める。この構成によれば、スコアリング情報を用いることで、ユーザをより詳細に評価することができる。
【0079】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、管理装置20が印刷装置10とは別個の装置である場合を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。管理装置20は、印刷装置10の内部に設けられてもよい。この場合、管理装置20の処理部22の各機能が印刷装置10の処理部15に設けられた構成とすることができる。
【0080】
例えば、印刷装置10は、当該印刷装置10の稼働実績に関する稼働実績情報、当該印刷装置10の保守作業の実施履歴に関する実施履歴情報、当該印刷装置10に用いられるインクに関するインク情報、当該印刷装置10の印刷対象となるメディアに関するメディア情報、及び当該印刷装置10の設置環境に関する設置環境情報の少なくとも1つの情報に基づいて、当該印刷装置10の保守作業の発生リスクに関する保守情報を導出する保守情報導出部24と、保守情報と、当該印刷装置10で使用される消耗品の使用量又は購入量の少なくとも一方とに基づいて、当該印刷装置10のユーザの評価を導出する評価部25とを備える構成とすることができる。この場合、料金算出部26に対応する構成は、印刷装置10に設けられなくてもよい。
【符号の説明】
【0081】
M…メディア、NW…ネットワーク、10…印刷装置、11…本体部、12…ヘッド、13…制御部、14,21…通信部、15,22…処理部、16,23…記憶部、20…管理装置、24…保守情報導出部、25…評価部、26…料金算出部、27…関連情報導出部、31…搬送部、32…ヘッド駆動部、33…インク供給部、34…クリーニング部、35…操作パネル、36…紫外線照射部、100…管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9