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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078203
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】ダイヤル錠
(51)【国際特許分類】
   E05B 37/02 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
E05B37/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190613
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000152169
【氏名又は名称】株式会社栃木屋
(71)【出願人】
【識別番号】595164512
【氏名又は名称】株式会社タイム
(74)【代理人】
【識別番号】110002882
【氏名又は名称】弁理士法人白浜国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高倉 浩
(72)【発明者】
【氏名】蒋治 大力
(57)【要約】
【課題】任意の暗証番号の設定が必要なく、施錠操作および解錠操作を簡単に行うことができるようにしたダイヤル錠を提供する。
【解決手段】複数の解錠パターンを有するキーコードダイヤル41と、このキーコードダイヤル41の複数の解錠パターンのうち1つの解錠パターンを解錠に寄与する解錠パターンとして選択するプッシュボタン42と、キーコードダイヤル41の複数の解錠パターンに対応する対応パターンを有するダイヤルキー43と、このダイヤルキー43の対応パターンのうちキーコードダイヤル41の解錠に寄与する解錠パターンに対応する対応パターンを選択するダイヤル31と、プッシュボタン42により選択された解除パターンにダイヤルキー43の対応パターンが一致する状態で解錠可能とし、不一致状態で施錠可能にする錠機構部44と、キーコードダイヤル41の解錠に寄与する解錠パターンを暗号化して表示するキーコード表示部34を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉操作を行う操作部と、
複数の解錠パターンを有するキーコードダイヤルと、
該キーコードダイヤルの複数の解錠パターンのうち1つの解錠パターンを解錠に寄与する解錠パターンとして選択するキーコード選択部と、
前記キーコードダイヤルの複数の解錠パターンに対応する対応パターンを有するダイヤルキーと、
該ダイヤルキーの対応パターンのうち前記キーコードダイヤルの解錠に寄与する解錠パターンに対応する対応パターンを選択するダイヤルと、
前記キーコード選択部により選択された解除パターンに前記ダイヤルキーの対応パターンが一致する状態で前記操作部を解錠可能とし、不一致状態で前記操作部を施錠可能にする錠機構部と、
前記キーコードダイヤルの解錠に寄与する解錠パターンを暗号化して表示する表示部と、
を備えたことを特徴とするダイヤル錠。
【請求項2】
さらに、前記表示部の解錠パターンを露出状態と遮蔽状態にするシャッター機構部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のダイヤル錠。
【請求項3】
前記キーコードダイヤル、前記ダイヤルキーおよび前記ダイヤルは複数組設け、
複数の前記キーコードダイヤルは一体で回転する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のダイヤル錠。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貸しロッカーなどに用いられるダイヤル錠に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のダイヤル錠としては、従来、種々のものが提案されている。
【0003】
たとえば特許文献1には、複数のダイヤルにより使用者が任意の暗証番号を設定して施錠し、この暗証番号によって解錠するようにした符号合わせ錠が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2821368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この符号合わせ錠では、任意の暗証番号を設定して施錠する施錠操作や、暗証番号を忘れた場合の解錠操作が面倒である。
【0006】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、任意の暗証番号の設定が必要なく、施錠操作および解錠操作を簡単に行うことができるようにしたダイヤル錠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るダイヤル錠は、開閉操作を行う操作部と、複数の解錠パターンを有するキーコードダイヤルと、このキーコードダイヤルの複数の解錠パターンのうち1つの解錠パターンを解錠に寄与する解錠パターンとして選択するキーコード選択部と、キーコードダイヤルの複数の解錠パターンに対応する対応パターンを有するダイヤルキーと、このダイヤルキーの対応パターンのうちキーコードダイヤルの解錠に寄与する解錠パターンに対応する対応パターンを選択するダイヤルと、キーコード選択部により選択された解除パターンにダイヤルキーの対応パターンが一致する状態で操作部を解錠可能とし、不一致状態で操作部を施錠可能にする錠機構部と、キーコードダイヤルの解錠に寄与する解錠パターンを暗号化して表示する表示部とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るダイヤル錠によれば、任意の暗証番号の設定が必要なく、施錠操作および解錠操作を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本発明の第1実施形態に係るダイヤル錠を示す斜視図。
図2】同ダイヤル錠の分解斜視図。
図3】同ダイヤル錠の内部を示す分解斜視図。
図4】同ダイヤル錠の正面図。
図5】同ダイヤル錠の平面図。
図6】同ダイヤル錠の背面図。
図7】同ダイヤル錠のダイヤルシャフト周りを示す斜視図。
図8】同ダイヤル錠のダイヤルシャフト周りを示す分解斜視図。
図9】同ダイヤル錠のキーシャフト周りを示す分解斜視図。
図10】同キーシャフトを示す斜視図。
図11】同ダイヤル錠の作用説明図。
図12】同ダイヤル錠の作用説明図。
図13】同ダイヤル錠の作用説明図。
図14】同ダイヤル錠の作用説明図。
図15】同ダイヤル錠の作用説明図。
図16】同ダイヤル錠の作用説明図。
図17】同ダイヤル錠の作用説明図。
図18】同ダイヤル錠の作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1中、符号1は、本発明の第1実施形態に係るダイヤル錠を示している。
【0012】
このダイヤル錠1は、不特定多数が使用する貸しロッカーなどに使用されるもので、前面側を開口したケース2と、このケース2の開口を覆うカバー3を有し、取付ブラケット4を介してロッカーの扉に取付けられるようになっている。
【0013】
また、カバー3からは扉の開閉操作を行うための操作摘み(操作部)5および解錠を行うためのたとえば4個のダイヤル31が突出している。
【0014】
ダイヤル31は、カバー3から一部突出するダイヤル操作部32と、このダイヤル操作部32と同軸かつ一体に形成されたダイヤル表示部33とを有している。
【0015】
このダイヤル表示部33の周面には、たとえば0~9の数字などのダイヤル表示が等間隔に表示されている。
【0016】
さらに、カバーには、操作摘み5が突出するための開口7、ダイヤル操作部32が突出するための開口8、およびたとえば二次元コードであるQRコード(登録商標)などのキーコード表示を表示するキーコード表示部(詳細を後述する。)34を覗くことができる窓9が形成されている。
【0017】
開口8には、ダイヤル表示部33のダイヤル表示を覗くことができる窓10が隣接して設けられている。
【0018】
また、カバー3の裏面側には、操作摘み5に連動して回動する止め金具12が設けられている。
【0019】
すなわち、図2および図3に示すように、操作摘み5は筒状に形成され、摘みカバー13に嵌合し摘みカバー13と一体に回動するようになっている。
【0020】
この操作摘み5と摘みカバー13との嵌合は、カバー3で蓋して押えることにより外れないようになっている。
【0021】
また、摘みカバー13には雄ネジ14がスライドカバー(後述する。)15およびケース2を挿通してケース2の裏面側に突出し、この突出した雄ネジ14に止め金具12が取付けられ、操作摘み5を回動すると止め金具12が回動するようになっている。
【0022】
さらに、摘みカバー13には雄ネジ14から偏心した位置に規制突起16が突設され、一方、スライドカバー15には規制突起16が嵌合する円弧状の長穴17が形成され、これにより操作摘み5の回動範囲が規制されるようになっている。
【0023】
したがって、図4に示すように、止め金具12は、起立状態から倒伏状態まで回動可能に構成され、図5および図6に示すように、施錠時には倒伏状態でロッカーの筐体に設けられた係止部18に係止することにより扉の開閉を不能とし、解錠時には起立状態で係止部18との係止が解除されることにより扉の開閉を可能とするようになっている。
【0024】
また、ケース2の裏面側には止め金具制御ボタン20が設けられ、スライドカバー15に取付けられたバネ19によってケース2の裏面側に突出するように付勢されている。
【0025】
この止め金具制御ボタン20は、扉の開放時にはケース2から突出して止め金具12が起立状態から倒伏状態へ回動するのを規制し、扉の閉鎖時にはロッカーの筐体に設けられた押えプレート21によってケース2内に押込まれることにより止め金具12の起立状態から倒伏状態への回動を可能するようになっている。
【0026】
この押えプレート21は、扉の閉鎖時にはケース2と止め金具12との隙間に位置するようになっているため、止め金具12が起立状態にならないと扉が開かないようになっている。
【0027】
すなわち、止め金具12の倒伏状態や傾斜状態では、止め金具12が押えプレート21に引っ掛かり、扉は開けられないようになっている。
【0028】
さらに、図2および図3に戻り、ケース2内には、解錠するための複数の解錠パターンを有するキーコードダイヤル41と、このキーコードダイヤル41の複数の解錠パターンのうち1つの解錠パターンを解錠に寄与する解錠パターンとして選択するプッシュボタン(キーコード選択部)42と、キーコードダイヤル41の複数の解錠パターンに対応する対応パターンを有するダイヤルキー43と、このダイヤルキー43の対応パターンのうち前記キーコードダイヤル41の解錠に寄与する解錠パターンに対応する対応パターンを選択するダイヤル31と、プッシュボタン42により選択された解除パターンにダイヤルキー43の対応パターンが一致する状態で操作摘み5を解錠可能とし、不一致状態で操作摘み5を施錠可能にする錠機構部44が設けられている。
【0029】
この錠機構部44は、キーコードシャフト45を有し、キーコードシャフト45は、ケース2内に固設された枠体46に回転可能かつ軸方向へスライド可能に取付けられている。
【0030】
このキーコードシャフト45には、たとえば4個のキーコードダイアル41が所定間隔を開けて固定されている。
【0031】
すなわち、これらのキーコードダイヤル41はそれぞれ、スプリングピン47によってキーコードシャフト45に対し回動不能かつ軸方向へスライド不能に固定されている。
【0032】
キーコードダイヤル41の各々の周面には、たとえば10個のキーコードパターン(解錠パターン)が凹凸形状で形成されている。
【0033】
また、このキーコードシャフト45には、プッシュボタン42に連結されたラッチ48に係合するラチェット49が固定され、キーコードシャフト45と一体に回転するようになっている。
【0034】
すなわち、プッシュボタン42は、頭部が操作摘み5から突出可能に操作摘み5に内嵌され、操作摘み5と一体に回動するとともに、操作摘み5に対して軸方向へスライド可能に構成されている。
【0035】
また、プッシュボタン42は、筒状に形成され、この筒状部分に収容されたバネ50によって操作摘み5から突出する方向に付勢されるようになっている。
【0036】
そして、このプッシュボタン42を押込むと、ラッチ48がラチェット49に歯合し、ラチェット49をキーコードシャフト45とともに所定角度だけ回動するようになっている。
【0037】
すなわち、キーコードダイヤル41のキーコードパターンが10個の場合は、1/10回転だけ回転するようになっている。
【0038】
さらに、ラッチ48には、カバー3に取付けられたラッチ11が係合するようになっている。
【0039】
すなわち、このラッチ11は、ラッチ48と係合する方向に図示しないバネによって付勢され、衝止面と傾斜面を有している。
【0040】
そして、ラッチ48は、ラッチ11の衝止面に衝止することにより、操作摘み5の施錠状態から解錠方向への回動操作を阻止するようになっている。
【0041】
また、ラッチ48は、プッシュボタン42を押込むことによりラッチ11の衝止面との接触が回避され、これにより操作摘み5の解錠方向への回動操作を可能とするようになっている。
【0042】
さらに、ラッチ48は、操作摘み5の施錠方向へ回動操作に伴ってラッチ11の傾斜面を乗り上げながらラッチ11をバネの付勢力に抗して押込むように構成されている。
【0043】
さらに、プッシュボタン42の周面には、所定角度に亘って径方向に延出する扇状のフランジ51が連結され、枠体46にスライド可能に取付けられたラッチ53に係合するようになっている。
【0044】
すなわち、このラッチ53は、バネ52によってプッシュボタン42に向けて付勢されていて、施錠状態のときにプッシュボタン42が押込まれるとフランジ51に係合し、プッシュボタン42を押込み状態に保持するようになっている。
【0045】
また、このラッチ53は、操作摘み5を解錠方向へ回動すると、フランジ51との係合が解除されるようになっている。
【0046】
さらに、このフランジ51は、枠体46に固定されたストッパ54に係合するようになっている。
【0047】
すなわち、ストッパ54は、操作摘み5が解錠方向へ回動されるとフランジ51とラッチ53との係合が解除されると同時にフランジ51に係合し、操作摘み5が解錠状態まで回動されるとフランジ51との係合が解除されプッシュボタン42が元の状態に復帰するようになっている。
【0048】
さらに、錠機構部44は、枠体46に回転可能かつ軸方向へスライド可能に取付けられダイヤルシャフト61を有している。
【0049】
このダイヤルシャフト61には、図7にも示すように、4個のキーコードダイヤル41に対応して4個のダイヤル31がそれぞれ回動可能に取付けられている。
【0050】
各ダイヤル31のダイヤル表示部33と反対側にはダイヤルキー43が一体的に固定されている。
【0051】
ダイヤルキー43の各々の周面には、キーコードダイヤル41のキーコードパターンに対応する対応パターン、すなわちキーコードパターンの凹凸形状に歯合可能な凹凸形状が形成されている。
【0052】
このダイヤルシャフト61の端部には、ケース2とスライドカバー15とによってスライド可能に挟持されたスライダ62が取付けられている。
【0053】
このスライダ62には、摘みカバー13に設けられた規制突起16がスライド可能に内嵌する案内溝63が形成されている。
【0054】
この案内溝63は、スライダ62のスライド方向と直交する方向に形成されている。
【0055】
そして、操作摘み5が回動すると、規制突起16の回動動作が案内溝63によってスライダ62の直線動作に変換され、スライダ62がダイヤルシャフト61とともに軸方向へスライドするようになっている。
【0056】
さらに、ダイヤルシャフト61には、図8に示すように、4個のダイヤル31に対応して4個の楔形突起64が設けられている。
【0057】
一方、ダイヤル31の内周面には、楔形突起64に係合する円筒カム65が形成されている。
【0058】
そして、楔形突起64が円筒カム65に係合しない状態では、ダイヤル31はダイヤルシャフト61に対して回動可能になっている。
【0059】
また、ダイヤルシャフト61がスライドして楔形突起64が円筒カム65に嵌り係合するとダイヤル31が回転しダイヤルシャフト61に対して所定の回動位置で停止するように構成されている。
【0060】
すなわち、操作摘み5が回動し止め金具12が解錠位置である起立状態になると、窓10から見えるダイヤル表示部33のダイヤル表示がたとえば「0000」となるように設定されている。
【0061】
なお、ダイヤル31のダイヤル操作部32周縁部は波状に形成されている。
【0062】
このダイヤル操作部32の周縁部には板バネ122が圧接して設けられ、これによりダイヤル表示部33が窓10から見える位置で停止するように構成されている。
【0063】
また、板バネ122は、ダイヤル制御板132によってダイヤル操作部32から離間する方向へ押上げられるようになっていて、これによりダイヤル31が回転し易くなるように構成されている。
【0064】
なお、このダイヤル制御板132は、操作摘み5の外周面に設けられた凸部133によって押上げられるようになっている。
【0065】
さらに、キーコードシャフト45には、図9にも示すように、スライドブロック71がキーコードシャフト45の軸方向と直交する方向に移動可能に嵌合され、バネ80によってスライダ62の方向へ付勢されている。
【0066】
このスライドブロック71は、キーコードシャフト45に固定された一対のフランジ121に挟持され、キーコードシャフト45の軸方向へは移動できないようになっている。
【0067】
また、このスライドブロック71は、キーコードシャフト45が軸方向と直交する方向に移動可能に外嵌する断面長円形状の孔72を有するブロック本体73を備えている。
【0068】
このブロック本体73は、スライダ62に係合する係合部74と、キーコードシャフト45を径方向から孔72に嵌入するための開口75を有している。
【0069】
この係合部74は、スライダ62が解錠方向にスライドするとスライダ62に当接する当接面111と、スライダ62が施錠方向にスライドするとスライダ62に係合してスライドブロック71をスライダ62から離間する方向に押し下げる傾斜面112とを有している。
【0070】
また、ブロック本体73にはキーコードシャフト45が開口75を介して孔72から抜け出るのを阻止する抜け止め部材76が取付けられている。
【0071】
この抜け止め部材76には、カバー3に固定された突起77が内嵌する凹部78が形成され、この凹部78の内周部分には、突起77が係合する傾斜面79が設けられている。
【0072】
そして、スライダ62が移動すると、スライダ62が係合部74の当接面111を押してスライドブロック71とともにキーコードシャフト45をキーコードダイヤル41がダイヤルキー43に歯合する方向へ移動させ、この移動に伴って突起77と傾斜面79とが係合してスライドブロック71がスライダ62から離間する方向に移動し、スライダ62と係合部74との係合が外れると、スライドブロック71がスライダ62方向に復帰するようになっている。
【0073】
さらに、キーコードシャフト45には、キーコードダイヤル41の解錠に寄与する解錠パターンを暗号化して表示する表示ダイヤル81がキーコードダイヤル41に隣接して取付けられている。
【0074】
すなわち、この表示ダイヤル81の周面には、キーコードダイヤル41のキーコードパターンに対応するキーコード表示たとえば10種類の固定番号(解錠番号)をたとえば二次元コードなどのキーコード表示に暗号化して表示するキーコード表示部34が設けられている。
【0075】
この二次元コードは、使用者が予め二次元コードのURLへアクセスして登録したスマートフォンであれば、解錠番号を取得することが可能に構成される。
【0076】
また、この表示ダイヤル81は、キーコードシャフト45に軸方向にスライド可能に取付けられている。
【0077】
すなわち、図10に示すように、キーコードシャフト45には、軸方向に長い長穴83が形成され、この長穴83にスプリングピン84が係合することにより、表示ダイアル81がキーコードシャフト45に対し回動不能かつ軸方向にスライド可能になっている。
【0078】
また、表示ダイヤル81は、枠体46によってキーコードダイヤル41と反対方向への移動が規制されるようになっている。
【0079】
さらに、表示ダイヤル81とキーコードダイヤル41との間にはバネ82が介在されていて、表示ダイヤル81とキーコードダイヤル41を反対方向へ付勢、すなわち、キーコードダイヤル41とキーコードシャフト45を表示ダイヤル81と反対方向へ付勢するようになっている。
【0080】
さらに、表示ダイヤル81のキーコード表示部34は、シャッター機構部131によって露出状態と遮蔽状態を呈する構成となっている。
【0081】
すなわち、キーコードシャフト45には、表示ダイヤル81に対しキーコードダイヤル41と反対側にシャッターラチェット85が取付けられている。
【0082】
このシャッターラチェット85は、キーコードシャフト45に形成された軸方向に長い長穴83にスプリングピン87が係合することにより、キーコードシャフト45に対し回動不能かつ軸方向にスライド可能になっている。
【0083】
したがって、キーコードダイヤル41、キーコードシャフト45、ラチェット49、表示ダイヤル81、シャッターラチェット85は一体に回転するように構成されている。
【0084】
一方、カバー3の裏面側には、窓9を開閉するシャッター91が設けられている。
【0085】
このシャッター91は、カバー3に固定されたシャッター押え92によってスライド自在に支持されている。
【0086】
また、カバー3の裏面には、支軸93が突設され、この支軸93にはシャッター可動板94が回動自在に軸支されている。
【0087】
シャッター可動板94の一端側には突起95が設けられ、シャッター91にはこの突起95がスライド自在に係合する溝96が形成されている。
【0088】
そして、シャッター可動板94の回動動作がシャッター91のスライド動作に変換されるように構成されている。
【0089】
さらに、シャッター可動板94の他端側には、ダイヤルシャフト61の一端部に当接する板状の当接部97が設けられている。
【0090】
さらに、このシャッター可動板94は、バネ98によって当接部97がダイヤルシャフト61に当接する方向すなわちシャッター91が窓9を開放する方向に回動付勢されている。
【0091】
さらに、シャッター可動板94の近傍にはシャッター制御シャフト101が設けられている。
【0092】
このシャッター制御シャフト101は、一端がケース2に回動自在に軸支され、他端である回動端にシャッターラチェット85に係合するラッチ部102を有している。
【0093】
また、このシャッター制御シャフト101は、バネ103によってラッチ部102がシャッターラチェット85に係合する方向に回動付勢されている。
【0094】
さらに、このシャッター制御シャフト101は、中途部にシャッター可動板94の当接部97が係合する凸部104を有している。
【0095】
この凸部104は、シャッター可動板94の当接部97がダイヤルシャフト61に押されて回動すると、当接部97に係合する傾斜部105と、当接部97をシャッター91の窓9が閉鎖する状態に保持する係止部106とを有している。
【0096】
そして、シャッター可動板94がダイヤルシャフト61に押されて傾斜部105に係合するとシャッター制御シャフト101が回動し、さらに押されて係合が解除されるとシャッター制御シャフト101が復帰し、係止部106で当接部97をシャッター91の窓9が閉鎖する状態に保持するようになっている。
【0097】
また、シャッターラチェット85によりシャッター制御シャフト101のラッチ部102が押されると、シャッター可動板94と係止部106との係合が解除され、シャッター可動板94が復帰するようになっている。
【0098】
次に、以上の構成において、施錠動作を説明する。
【0099】
先ず、ロッカーの扉を開き、荷物を入れる。
【0100】
このとき、図11に示すように、スライダ62とともにダイアルシャフト61が軸方向にスライドし楔形突起64が円筒カム65に嵌ることにより、4個のダイヤル31は、ダイヤル表示部33が全てたとえば「0」、すなわち、4個のダイヤル表示33全体で、「0000」を表示し保持している。
【0101】
また、シャッター可動板94の当接部97がシャッター制御シャフト101の係止部106で保持され、シャッター91は窓9を閉じている。
【0102】
さらに、止め金具制御ボタン20は、ケース2から突出しているため、止め金具12が止め金具制御ボタン20に当たり、操作摘み5は回らない。
【0103】
次いで、図12に示すように、扉を閉めると、筐体側の押えプレート21が止め金具制御ボタン20をケース2に押込む。
【0104】
これにより、操作摘み5の施錠方向への操作が可能となる。
【0105】
操作摘み5を施錠方向へ操作すると、規制突起16が回動し、スライダ62とともにダイヤルシャフト61がスライドし、楔形突起64が円筒カム65から外れ、ダイヤル31は回転可能になる。
【0106】
また、スライドブロック71は、スライダ62のスライドに伴ってバネ80に抗して変位する。
【0107】
次いで、図13に示すように、操作摘み5を施錠位置まで回動操作すると、止め金具12が筐体側の係止部18に係止し、施錠が完了する。
【0108】
このとき、スライドブロック71の係合部74は、スライダ62に係止した状態となる。
【0109】
この状態で解錠操作すると、ダイヤル31のダイヤル表示部33が「0000」なので、キーコードダイヤル41とダイヤルキー43とが噛み合わず、ダイヤルシャフト61もスライドできず、操作摘み5は回らない。
【0110】
このとき、シャッター91は閉じている。
【0111】
次に、解錠動作について説明する。
【0112】
図13に示す施錠状態からプッシュボタン42を押込むと、図14に示すように、ラッチ48がラチェット49を押下げ、キーコードシャフト45が1/10回転(36°)だけ回転する。
【0113】
同時に、表示ダイヤル81も回転し、キーコード表示部34のキーコード表示が変更される。
【0114】
さらに同時に、シャッターラチェット85も回転し、シャッター制御シャフト101のラッチ部102を押下げる。
【0115】
これにより、シャッター可動板94の当接部97とシャッター制御シャフト101の凸部104との係合が解除され、シャッター91が開き、キーコード表示部34のキーコード表示、たとえば二次元コードが露出する。
【0116】
このとき、プッシュボタン42に固定されたフランジ51はラッチ53に引掛り、プッシュボタン42はプッシュ状態に保持される。
【0117】
次いで、予め二次元コードのURLへアクセスして登録したスマートフォンを用い、キーコード表示部34のキーコード表示である二次元コードを読み取ることにより解錠番号がスマートフォンに表示され、これにより解錠番号を取得することができる。
【0118】
次いで、図15に示すように、ダイヤル表示部33のダイヤル表示である数字を解錠番号に合わせる。
【0119】
次いで、操作摘み5を解錠方向に所定角度だけ回すとスライダ62が図中右方向へスライドし、これに伴って突起77によりスライドブロック71が図中右下へ移動するとともに、キーコードダイヤル41がダイヤルキー43に歯合する。
【0120】
この状態で止め金具12は係止部18から外れるが、押えプレート21が邪魔をして扉は開かない。
【0121】
次いで、図16に示すように、操作摘み5をさらに解錠方向へ回すとスライドブロック71がスライダ62から外れ、キーコードシャフト45は元の位置に戻る。
【0122】
次いで、図17に示すように、操作摘み5をさらに解錠方向へ回すとフランジ51がラッチ53から外れ、プッシュボタン42が復帰する。
【0123】
同時に、ダイヤルシャフト61がシャッター可動板94の当接部97を押し、シャッター91が閉じ始める。
【0124】
さらに同時に、ダイヤル制御板132が操作摘み5の凸部133で押上げられ、これにより板バネ122がダイヤル31から離れ、ダイヤル31が回転し易くなる。
【0125】
次いで、図18に示すように、操作摘み5をさらに回し、止め金具12が起立状態になると、止め金具12が押えプレート21から離れ、扉を開くことが可能になる。
【0126】
同時に、スライダ62とともにダイヤルシャフト61がスライドし、楔形突起64が円筒カム65に係合することによりダイヤル表示部34のダイヤル表示が「0000」になる。
【0127】
また、ダイヤルシャフト61によりシャッター可動板94の当接部97が押され、シャッター91が閉じる。
【0128】
さらに、当接部97がシャッター制御シャフト101の凸部104に引掛り、シャッター91が閉状態に保持される。
【0129】
以上の構成によれば、解錠番号はたとえば10種類の固定番号を繰り返して使用することになり、従来のように任意の1種類の固定番号(暗証番号)またはワンタイム番号(暗証番号)を設定する必要がなく、しかも暗証番号を忘れると言うことがないので、施錠操作および解錠操作を簡単に行うことができる。
【0130】
また、解錠番号は、予め二次元コードのURLへアクセスし登録したスマートフォンで二次元コードを読み取ることによりスマートフォンに表示されるので、簡単に取得することができる。
【0131】
さらに、キーコードダイヤル41とダイヤルキー43の組み合わせで解錠番号(固定番号)を設定するため、複数パターンのキーコードダイヤル41とダイヤルキー43を用意することにより、解錠番号(固定番号)を増やすことができる。
【0132】
さらに、止め金具制御ボタン20を設け、扉が閉じられた状態で施錠操作が行えるようにしたので、扉が開いた状態で誤って施錠操作してしまうことを防止することができる。
【0133】
なお、上記実施形態では、4つのキーコードダイヤル41とダイヤルキー43の組み合わせで4桁の数字の解錠番号(固定番号)を設定するようにしたが、本発明はこれに限定されることはなく、1つのキーコードダイヤル41とダイアルキー43の組み合わせで1桁の数字の解錠番号(固定番号)を設定するようにしてもよいことは勿論である。
【0134】
また、上記実施形態では、キーコード表示部34に表示されるキーコード表示をQRコードなどの二次元コードとしたが、本発明は、バーコードなどの一次元コードや符号などでもよい。
【0135】
以上に記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
【0136】
すなわち、本発明に係るダイヤル錠は、開閉操作を行う操作部と、複数の解錠パターンを有するキーコードダイヤルと、このキーコードダイヤルの複数の解錠パターンのうち1つの解錠パターンを解錠に寄与する解錠パターンとして選択するキーコード選択部と、キーコードダイヤルの複数の解錠パターンに対応する対応パターンを有するダイヤルキーと、このダイヤルキーの対応パターンのうちキーコードダイヤルの解錠に寄与する解錠パターンに対応する対応パターンを選択するダイヤルと、キーコード選択部により選択された解除パターンにダイヤルキーの対応パターンが一致する状態で操作部を解錠可能とし、不一致状態で操作部を施錠可能にする錠機構部と、キーコードダイヤルの解錠に寄与する解錠パターンを暗号化して表示する表示部とを備えたことを特徴とするものである。
【0137】
上記発明は、少なくとも下記実施形態を含むことができる。該実施形態は、分離して又は互いに組み合わせて採択することができる。
【0138】
(1)さらに、表示部の解錠パターンを露出状態と遮蔽状態にするシャッター機構部を備える。
【0139】
(2)キーコードダイヤル、ダイヤルキーおよびダイヤルは複数組設け、複数のキーコードダイヤルは一体で回転する構成とする。
【符号の説明】
【0140】
1 ダイヤル錠
5 操作部(操作摘み)
31 ダイヤル
34 表示部(キーコード表示部)
41 キーコードダイヤル
42 キーコード選択部(プッシュボタン)
43 ダイヤルキー
44 錠機構部
131 シャッター機構部

図1
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