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  • 特開-結晶析出抑制剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078236
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】結晶析出抑制剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20240603BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240603BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240603BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240603BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240603BHJP
   A61K 31/195 20060101ALI20240603BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q19/00
A61K8/44
A61K47/36
A61P17/00
A61K31/195
A61K47/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190652
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】306018376
【氏名又は名称】クラシエ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中野 克哉
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD67Q
4C076EE30Q
4C076FF36
4C083AC622
4C083AD211
4C083AD212
4C083EE01
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA01
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA83
4C206NA03
4C206ZA89
(57)【要約】      (修正有)
【課題】トラネキサム酸に起因する結晶析出を抑制する成分、及びこれらが配合された皮膚化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】下記(A)を有効成分とするトラネキサム酸に起因する結晶析出抑制剤により上記課題を解決する。好ましくは、(A)が、α-グルカンオリゴサッカリドおよびその誘導体、グリコシルトレハロースおよびその誘導体から選択される1種又は2種以上である。
(A)分子量500~5000のオリゴ糖およびその誘導体から選択される1種又は2種以上
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)を有効成分とするトラネキサム酸に起因する結晶析出抑制剤。
(A)分子量500~5000のオリゴ糖およびその誘導体から選択される1種又は2種以上
【請求項2】
前記(A)が、α-グルカンオリゴサッカリドおよびその誘導体、グリコシルトレハロースおよびその誘導体から選択される1種又は2種以上である請求項1に記載のトラネキサム酸に起因する結晶析出抑制剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の結晶析出抑制剤を含有する皮膚化粧料。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は結晶析出抑制剤に関し、詳細には、トラネキサム酸もしくはその誘導体またはその塩に由来する固い結晶の析出を抑制するための結晶析出抑制剤、および当該結晶析出抑制剤を含有する皮膚化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラネキサム酸やその誘導体は、色素沈着やあれ肌の抑制効果といった美容効果を有する物質であり、医薬品およびスキンケア用途の医薬部外品に用いられている。トラネキサム酸は水溶性の物質であるが、非常に結晶性が高いことが知られており、皮膚化粧料に高濃度配合されていた場合、容器の吐出口やキャップなどに皮膚化粧料が付着し、時間が経過した際に皮膚化粧料中に含まれる水分が蒸発して濃縮されることによって、トラネキサム酸に起因する固い結晶が析出することが知られている。結晶が析出することによって、皮膚化粧料の品質の低下や、使用の際にジャリジャリとした塗布時の刺激および不快感を生じるため、トラネキサム酸に起因する固い結晶の析出抑制効果が非常に求められていた。
【0003】
そのような背景から、トラネキサム酸の結晶の析出抑制をするために様々な検討がなされている。特定の活性剤を用い、かつpHを調整した例(例えば特許文献1を参照)や、特定の酸を用いた例(例えば特許文献2、3を参照)、糖類やポリオールの一種であるイノシトールと多価アルコールを組み合わせた例(例えば特許文献4を参照)、多糖類などの増粘剤を組み合わせた例(例えば特許文献5、6を参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-195460号公報
【特許文献2】特開2013-121955号公報
【特許文献3】特開2018-048097号公報
【特許文献4】特開2016-121092号公報
【特許文献5】特開2018-177763号公報
【特許文献6】特開2021-161111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術の化粧料はトラネキサム酸由来の固い結晶析出抑制作用について言及されているが、酸などを用いることで皮膚化粧料のpHが変化してしまい、皮膚化粧料の経時での安定性が制限される、糖類を用いることでトラネキサムと糖類とのメイラード反応に起因する経時での黄変が生じる、多糖類や増粘剤を用いることで皮膚化粧料に粘性が生じ、べたつきやヌルつきを生じる、といった各種課題があった。このような背景から、トラネキサム酸およびその誘導体またはその塩に由来する固い結晶の析出を抑制できるだけでなく、経時での製剤安定性が高く、ヌルつきのない皮膚化粧料およびその皮膚化粧料を実現するための結晶析出抑制剤が非常に求められていた。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、トラネキサム酸に起因する結晶析出を抑制する成分、及びこれらが配合された皮膚化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記目的を達成するためにさらに鋭意検討をした結果、固い結晶析出は針状あるいは粒状に大きく成長したトラネキサム酸によるものであり、シート状の細かい結晶析出状態では品質および使用時の不快感を生じないことを見出し、さらにこの固い結晶析出を抑制する成分を見出した。すなわち、増粘性多糖類と単糖類との間ともいえるオリゴ糖である、分子量500~5000のオリゴ糖およびそれらの誘導体に、固い結晶析出の抑制効果を見出した。
【0008】
さらに驚くべきことに、糖類に起因する黄変などが生じない経時安定性と、多糖類に起因するヌルつきが生じない皮膚化粧料とを同時に達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
本願発明は以下のとおりである。
[1]
下記(A)を有効成分とするトラネキサム酸に起因する結晶析出抑制剤である。
(A)分子量500~5000のオリゴ糖およびその誘導体から選択される1種又は2種以上
[2]
前記(A)が、α-グルカンオリゴサッカリドおよびその誘導体、グリコシルトレハロースおよびその誘導体から選択される1種又は2種以上である、トラネキサム酸に起因する結晶析出抑制剤である。
[3]
前記結晶析出抑制剤を含有する皮膚化粧料である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、トラネキサム酸に起因する結晶析出を抑制する成分を見出し、さらに製剤安定性に優れ、またヌルつきのない皮膚化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】顕微鏡による結晶の状態確認試験の評価基準
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の構成について詳述する。本発明は、分子量500~5000のオリゴ糖およびその誘導体から選択される1種又は2種以上をトラネキサム酸もしくはその誘導体または塩と組み合わせることにより、本発明の効果を発揮することができる。
【0013】
本明細書において、「トラネキサム酸に起因する結晶析出抑制剤」とは、トラネキサム酸もしくはその誘導体またはその塩に由来する固い結晶析出を抑制するための剤を意味する。
【0014】
<(A)分子量500~5000のオリゴ糖>
(A)成分は、分子量500~5000のオリゴ糖およびその誘導体から選択される1種又は2種以上である。オリゴ糖は、グルコースやフルクトース、ガラクトースなどの単糖がグリコシド結合によって数個~数十個結合したオリゴマーである。オリゴ糖は保湿剤や処方の安定化剤として化粧料に一般的に用いられる成分であり、植物や微生物による発酵などによって製造される他、酵素などを用いて合成をすることができる。
【0015】
(A)成分が、トラネキサム酸に起因する固い結晶の析出を抑制する作用については、皮膚化粧料中に含まれる水分の蒸発にあわせて、トラネキサム酸と複合体を形成し、シート状の細かい結晶として析出することが要因だと推察される。トラネキサム酸単独であれば、大きく結晶が成長し、針状および粒状のジャリジャリとした大きな結晶となるが、(
A)成分とトラネキサム酸が組み合わさることによって結晶性が変化し、このような結晶が生じるのを防いでいると考えられる。
【0016】
(A)成分は単糖類ほど分子量が小さくなく、かつ多糖類の有する増粘作用を有するほど分子量が大きくないことが、本発明の効果を有していると推察される。(A)成分は分子量がある程度大きく末端部分の反応性が低いため、糖類の構造を有しているにも関わらずトラネキサム酸と組み合わせた際の黄変を生じづらい傾向がある。また、増粘性多糖類ほど分子量が大きくないため、皮膚化粧料に配合した際に皮膚化粧料の粘度に影響せず、皮膚化粧料のヌルつきを生じづらい傾向がある。本発明の成分(A)以外のオリゴ糖にもこのような作用があるか、どの程度の分子量であれば本発明の効果が達成されるかについて網羅的に検証をするには至っていないが、これを満たす単糖の重合数は3~20であり、分子量については、500~5000程度であると推察される。
【0017】
また、末端の構造や反応性によって、トラネキサム酸と組み合わせた時の黄変傾向が異なってくるため、(A)成分のオリゴ糖は、経時で製剤が黄変するのを防ぐなどの製剤安定性の観点から、特に化学式(1)の構造であることが好ましい。一般に還元糖のアルデヒド基あるいはケトン基はトラネキサム酸のアミノ基と反応することで経時での褐変を生じることが知られており、本構造も同様のアルデヒド基となりうるが、驚くことに本構造のオリゴ糖を用いることで、経時で製剤が黄変する傾向が少なく、トラネキサム酸に起因する結晶析出を抑制しつつ、経時安定性を高めることができる。
[化学式(1)]
(Glu)n-R
(式中、Glu はグルコースを指し、nは2~19までの整数であり、
Rはグルコースあるいはフルクトースを表し、
それぞれの単糖は1-4グリコシル結合あるいは1,1-グリコシル結合によって接続される)
【0018】
(A)成分として、さらに好ましくは、α-グルカンオリゴサッカリド又はグリコシルトレハロースである。α-グルカンオリゴサッカリドは、重合度が2~10程度のグルコースからなるオリゴ糖で、マルトース・ショ糖縮合物とも呼ばれる。α-グルカンオリゴサッカリドは、皮膚上の常在菌のバランスを調節、皮膚のpH調整、皮膚の水分量の維持および回復などの効果が知られている。本発明のα-グルカンオリゴサッカリドおよびその誘導体は、例えば植物由来の多糖類から酵素反応などを用いて製造することができ、一般的に市販されているものを使用することができる。
【0019】
また、グルコシルトレハロースは、オリゴ糖の一種であり、トレハロースにいくつかのブドウ糖が結合した構造をしている。グルコシルトレハロースは、化粧料に用いることで保水効果や乳化安定効果を得られることが知られている。グリコシルトレハロースおよびその誘導体は、例えば植物由来のデンプンを加水分解し、さらにその末端を酵素処理させて製造することができ、一般的に市販されているものを使用することができる。
【0020】
<トラネキサム酸>
トラネキサム酸はアミノ基とカルボキシル基を有する分子であり、止血剤や抗炎症剤として医薬品の有効成分として用いられるものである。また、皮膚に適用した際には美白効果や抗炎症効果などがあることが知られており、医薬部外品の有効成分として化粧品にも含有される。
【0021】
トラネキサム酸は水溶性の物質ではあるが結晶性も高く、水溶液とした後に水分が蒸発してくると、トラネキサム酸に起因する固い結晶乾固物が生成されることが知られている。また、トラネキサム酸の有するアミノ基が糖類などのカルボキシル基と反応して褐変を
生じる、メイラード反応を起こすことが知られている。本発明におけるトラネキサム酸は一般に化粧品への配合目的で市販されているものを用いることができる。
【0022】
(A)成分の配合量は、トラネキサム酸の量との割合である「(A)成分/トラネキサム酸」の配合量が0.01~1が好ましい。0.01以上では十分な固い結晶の析出抑制作用を発揮することができ、1以下だとトラネキサム酸との反応に起因する黄変を十分生じない。
【0023】
本発明の析出抑制剤を皮膚化粧料に用いる場合、(A)成分の配合量は皮膚化粧料全体に対して、全組成中5.0重量%以下(以下、特定の記載がない限り重量%を表す)が好ましい。5.0%以下であれば皮膚化粧料の経時での劣化を十分起こさず、また皮膚化粧料にべたつきが生じない。
【0024】
<その他の成分>
本発明の皮膚化粧料は上述した成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分、例えば、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、油剤、高分子化合物、増粘剤、粉体(色素、樹脂、顔料)、防腐剤、香料、保湿剤、生理活性成分、ミネラル塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、パール化剤、中和剤、pH調整剤、植物エキス、酵素、ビタミン類、アミノ酸等の成分を適宜配合することができる。
【0025】
また、本発明の皮膚化粧料には、本発明の目的を損なわない範囲で、生理活性成分を適宜配合することができる。生理活性物質とは、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質であり、例えば、美白剤、抗炎症剤、老化防止剤、紫外線防御剤、収斂剤、抗酸化剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤等が挙げられる。
【0026】
<皮膚化粧料>
本発明の皮膚化粧料は、常法に従って製造することができる。また、本発明の皮膚化粧料の一例としては、ローション、乳液、クリーム、美容液、ジェル、シートマスク、メイク、ボデイローション、ボディジェル、ボディクリーム、洗顔せっけん、洗顔フォーム、ボディソープ、クレンジング剤、化粧下地等が挙げられる。剤形も目的に応じて任意に選択することができる。すなわち、液状、クリーム状、ジェル状、乳液状、シート状、スティック状、エアゾール状等のものが挙げられる。本発明の皮膚化粧料は、一般の皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬部外品、指定医薬部外品、外用医薬品等を包含するものである。
【実施例0027】
次に本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、これに限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0028】
(固い結晶の析出性の評価試験)
<評価方法>
本発明の皮膚化粧料を黒色のプラスチック板の上に2滴(約0.1g)滴下し、25℃・湿度60%の条件で12時間静置した。その後プラスチック板状に残存している乾燥した皮膚化粧料について、ボランティア3名により目視および指で塗擦することで、結晶の析出性を評価した。結晶の析出性の評点は、下記の「目視評価」の項目と「手触り評価」の項目それぞれについて評価した評点を基に、2つの点数の合計に基づき点数を付け、3名の平均点を用いて以下の通りに分類した。
<目視評価についての評点の内容>
3点…まったく白い結晶析出が見られない
2点…わずかに白くなっているが、結晶は視認できない
1点…やや粉を吹いたように白くなっている
0点…白あるいは透明の結晶性のものが視認できる
<手触りについての評点の内容>
3点…まったく固体状の手触りを感じない、なめらかである
2点…わずかにさらさらとしている
1点…小さな固形の結晶をやや感じるが、固さは感じない
0点…ジャリジャリとした固い固体を感じる
<固い結晶の析出性の評価基準>
◎:3名の平均点が5点以上であった
○:3名の平均点が3.5点以上5点未満であった
△:3名の平均点が2点以上3.5点未満であった
×:3名の平均点が2点未満であった
【0029】
(顕微鏡による結晶の状態確認試験)
本発明の皮膚化粧料をスライドガラス上に1滴(約0.05g)滴下し、25℃・湿度60%の条件で12時間静置した。その後スライドガラスを偏光顕微鏡(ECLIPSE
E600POL、NIKON社製)にて200倍の倍率で観察した。結晶の状態は下記の4項目によって評価した。なお、4項目それぞれの観察像の例について図1に示す。
<結晶の状態確認試験の評価基準>
◎:結晶性の物質がほぼ見られず、薄いシート状の皮膜が確認される
○:結晶性の物質がほぼ見られず、小さな剥片上の結晶状物質が確認される
△:やや結晶性の物質が見られる
×:大きな針状結晶、あるいは大きな粒状結晶が見られる
【0030】
(皮膚化粧料の経時での黄変の評価試験)
<評価方法>
本発明の皮膚化粧料50gをガラス容器に入れ、50℃の恒温器内で1か月保管した。その後ボランティア3名による目視評価にて取り出した皮膚化粧料の外観について試験前の皮膚化粧料の外観と比較を行い、下記の評点にて評価した。試験結果は、5名の平均点を用いて、以下の通りに分類した。
<経時での黄変の評価についての評点の内容>
5点…まったく黄変していない
4点…わずかに黄変している
3点…やや黄変している
2点…黄変している
1点…褐変している
<経時での黄変評価基準>
◎:3名の平均点が4.5点以上であった
○:3名の平均点が3.5点以上4.5点未満であった
△:3名の平均点が2.5点以上3.5点未満であった
×:3名の平均点が2.5点未満であった
【0031】
(ぬるつきのなさの評価試験)
<評価方法>
専門パネル5名について、手の甲に本発明の皮膚化粧料を塗布し、塗布開始から3分までのぬるつきについて下記の評点方法にて評価を実施した。試験結果は、5名の平均点を用いて、以下の通りに分類した。
<ぬるつきのなさの官能評価についての評点の内容>
5点…ぬるつきがない
4点…ほとんどぬるつきがない
3点…あまりぬるつきがない
2点…ややぬるつきがある
1点…ぬるつきがある
<ぬるつきの無さ評価基準>
◎:5名の平均点が4。2点以上であった
○:5名の平均点が3.6点以上4.2点未満であった
△:5名の平均点が2.6点以上3.6点未満であった
×:5名の平均点が2.6点未満であった
【0032】
<実施例1~13及び比較例1~6>
表1、2に示す実施例1~13および比較例1~6の各処方における化粧料を常法により調整し、各試験法により評価した。その結果を表1に併せて示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
表1、2から明らかなように、本発明の成分を用いた実施例の化粧料はいずれも優れた性能を有していた。一方、必須成分のいずれかを欠いた比較例では、固い結晶の析出性、顕微鏡による結晶の状態確認、経時での黄変、ぬるつきのなさのいずれかの項目で劣っており、本発明の目的を達成できなかった。
【0036】
以下、本発明の化粧料のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例の化粧料についても、上記の固い結晶の析出性、顕微鏡による結晶の状態確認、経時での黄変、ぬるつきのなさについて検討したところ、いずれにおいても優れた特性を有しており良好であった。
【0037】
実施例14(化粧水) (重量%)
(1)トラネキサム酸 1.0%
(2)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1%
(3)α―グルカンオリゴサッカリド 0.1%
(4)グリコシルトレハロース 0.5%
(5)ナイアシンアミド 3.5%
(6)パルミチン酸レチノール 0.01%
(7)ジプロピレングリコール 2.5%
(8)グリセリン 1.0%
(9)1,3-ブチレングリコール 7.0%
(10)プロパンジオール 2.0%
(11)クエン酸 0.05%
(12)水酸化カリウム 0.005%
(13)ポリオキシエチレン硬化ひまし油 0.6%
(14)モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)0.1%
(15)エデト酸二ナトリウム 0.005%
(16)ピロ亜硫酸ナトリウム 0.001%
(17)ポリグリセリンー6 0.3%
(18)メチルグルセス-20 0.2%
(19)トリプロピレングリコール 4.0%
(20)シクロヘキシルグリセリン 0.2%
(21)フェノキシエタノール 0.2%
(22)メチルパラベン 0.05%
(23)緑茶由来チャエキス 0.5%
(24)ビワ葉エキス 0.05%
(25)ハトムギ種子エキス 0.05%
(26)ユズ果実エキス 0.25%
(27)シャクヤク根エキス 0.05%
(28)サッカロミセス/コメ発酵液 0.25%
(29)精製水 残部
【0038】
(製法)(1)~(5)、(8)~(12)、(15)~(28)を(29)に投入し、均一溶解するまでプロペラで分散させた(A液)。(6)、(13)および(14)を(7)に溶解させたのち、A液に加え、均一溶解して化粧水を調製した。
【0039】
実施例15(オールインワンジェル) (重量%)
(1)トラネキサム酸 2.0%
(2)グリチルリチン酸ジカリウム 0.01%
(3)α―グルカンオリゴサッカリド 0.1%
(4)グリコシルトレハロース 1.0%
(5)ジメチコン 2.0%
(6)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 1.0%
(7)PEG-11メチルエーテルジメチコン 0.3%
(8)PEG-60水添ヒマシ油 0.5%
(9)テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 0.2%
(10)スクワラン 0.2%
(11)セラミドIII 0.0001%(12)カルボキシビニルポリマー 0.3%
(13)キサンタンガム 0.0001%(14)(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー0.05%(15)シルクエキス 0.01%
(16)ヒアルロン酸Na 0.001%
(17)ダイズエキス 0.01%
(18)コメヌカエキス 0.01%
(19)加水分解コンキオリン 0.01%
(20)PEG-75 0.5%
(21)加水分解コラーゲン 0.001%
(22)アスコルビン酸硫酸2Na 0.05%
(23)コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.001%
(24)ヘパリン類似物質 0.1%
(25)ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム 0.1%
(26)フェノキシエタノール 0.6%
(27)メチルパラベン 0.1%
(28)精製水 残部
【0040】
(製法)(5)~(11)を70℃に加熱し、均一溶解させた(A液)。(12)~(27)を(28)の一部に投入し、70℃に加熱したのち均一溶解させた(B液)。A液にB液を加え、均一になるまでホモミキサーにて分散した後、35℃まで冷却を行った(C液)。(1)~(4)を(28)の残部に溶解させたのち、C液に加え、均一溶解してオールインワンジェルを調製した。
【0041】
実施例16(クリーム状美容液) (重量%)
(1)トラネキサム酸 1.0%
(2)アスコルビン酸2-グルコシド 0.1%
(3)α―グルカンオリゴサッカリド 0.01%
(4)グリコシルトレハロース 0.01% (5)1,3-ブチレングリコール 2.0%
(6)エタノール 1.0%
(7)シクロヘキサンー1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール0.3%
(8)PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン0.2%
(9)ジメトキシジーp-クレゾール 0.001% (10)セチル硫酸Na 0.2%
(11)ステアロイルグルタミン酸Na 0.4%
(12)カルボキシビニルポリマー 0.1%
(13)ポリアクリル酸Na 0.02% (14)ステアリン酸 0.2%
(15)ステアリン酸モノグリセリル 0.1%
(16)ベヘニルアルコール 0.1%
(17)ミネラルオイル 0.1%
(18)セラミドII 0.0001%
(19)ワセリン 0.1%
(20)加水分解エラスチン 0.001%
(21)加水分解コラーゲン 0.001%
(22)コメヌカエキス 0.05%
(23)オレンジ果汁 0.1%
(24)リンゴ果実エキス 0.1%
(25)香料 0.05%
(26)フェノキシエタノール 0.6%
(27)メチルパラベン 0.1%
(28)精製水 残部
【0042】
(製法)(1)~(13)および(20)~(27)を(28)に投入し、70℃に加熱して均一溶解させた(A液)。(14)~(19)を70℃に加熱したのち均一溶解させた(B液)。B液にA液を加え、均一になるまでホモミキサーにて分散した後、35℃まで冷却を行い、美容液を調製した。
【0043】
実施例17(シートマスク) (重量%)
(1)トラネキサム酸 2.0%
(2)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1%
(3)α―グルカンオリゴサッカリド 0.005%
(4)グリコシルトレハロース 0.5%
(5)1,3-ブチレングリコール 8.0%
(6)グリセリン 2.0%
(7)サッカロミセス/コメ発酵液 0.3%
(8)PEG-60水添ヒマシ油 0.2%
(9)ポリソルベート20 0.1%
(10)PPG-13デシルテトラデセスー24 0.1%
(11)トコフェロール 0.005%
(12)カルボキシビニルポリマー 0.2%
(13)水酸化カリウム 0.01% (14)アスコルビル硫酸Na 0.0001%(15)乳酸桿菌/セイヨウナシ果汁発酵液 0.1%
(16)ユズ果実エキス 0.1%
(17)ピロ亜硫酸ナトリウム 0.005%
(18)フェノキシエタノール 0.6%
(19)メチルパラベン 0.1%
(20)精製水 残部
【0044】
(製法)(1)~(12)を(20)の一部に加え、均一溶解させる(A液)。(13)~(19)を(20)の残部に加え、均一溶解させる(B液)。A液にB液を加え、均一になるまでホモミキサーにて分散し、シートマスク用の美容液を調製した。この美容液を不織布(材質:コットン/PE/PETの混練物)に含浸させ、アルミパウチに充填してシートマスクを調整した。
図1