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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078238
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】リアキャリア
(51)【国際特許分類】
   B62J 7/04 20060101AFI20240603BHJP
   B62J 35/00 20060101ALI20240603BHJP
   B62J 43/20 20200101ALI20240603BHJP
【FI】
B62J7/04 B
B62J35/00 D
B62J43/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190654
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】上林 隆洸
(57)【要約】
【課題】給油作業や充電作業の作業性を向上させつつ、操縦安定性を確保することができる。
【解決手段】リアキャリア(30)は、鞍乗型車両(1)のシート(21)から後方に張り出されている。リアキャリアには、鞍乗型車両の車体フレームに固定されるキャリアフレーム(31)と、キャリアフレームによって下側から支えられる荷台(41)と、キャリアフレーム及び荷台の前端部を連結したヒンジ(46)と、が設けられている。ヒンジを中心にして荷台が開閉可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両のシートから後方に張り出されるリアキャリアであって、
前記鞍乗型車両の車体フレームに固定されるキャリアフレームと、
前記キャリアフレームによって下側から支えられる荷台と、
前記キャリアフレーム及び前記荷台の前端部を連結したヒンジと、を備え、
前記ヒンジを中心にして前記荷台が開閉可能であることを特徴とするリアキャリア。
【請求項2】
前記荷台によって前記鞍乗型車両の燃料タンクのタンクキャップ又はバッテリのバッテリキャップが上方から覆われていることを特徴とする請求項1に記載のリアキャリア。
【請求項3】
前記キャリアフレーム及び前記荷台に前記荷台の開動作を規制するロック機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリアキャリア。
【請求項4】
前記荷台が閉じられた状態で、前記荷台の載置面が前記シートの着座面よりも上方に位置していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリアキャリア。
【請求項5】
前記荷台が閉じられた状態で、給油口を開放した起立姿勢のタンクキャップから前記荷台が離れていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリアキャリア。
【請求項6】
前記荷台が閉じられた状態で、前記荷台が前記シートの後方に位置していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリアキャリア。
【請求項7】
前記ヒンジが前記シートの着座面よりも上方に位置していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリアキャリア。
【請求項8】
前記荷台が板状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリアキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
スクータ等の鞍乗型車両では、車両後部のリアフレームカバーの内側に燃料タンクがレイアウトされて燃料タンクのタンクキャップがシートの後方に位置付けられるものがある。この種の鞍乗型車両のリアキャリアとして、タンクキャップの後方に設置されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のリアキャリアはリアフレーム(シートレール)の後端に固定されており、リアキャリアの荷台とシートの間からタンクキャップが上方に露出されている。これにより、リアキャリアの荷台から荷物を降ろすことなくタンクキャップを開いて給油口から容易に給油することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-158479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のリアキャリアでは荷台が車両後方に張り出しており、前輪分担荷重が減って操縦安定性が悪化する。また、荷台に荷物を載せるためだけでなくトップケースの装着にリアキャリアが使用される場合があり、同乗者の背もたれとしてトップケースが使用されると前輪分担荷重がさらに減るという不具合がある。また、リアフレームカバーの内側にバッテリが設置される電動型の鞍乗型車両のリアキャリアにおいても同様の不具合が起こり得る。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、給油作業や充電作業の作業性を向上させつつ、操縦安定性を確保することができるリアキャリアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のリアキャリアは、鞍乗型車両のシートから後方に張り出されるリアキャリアであって、前記鞍乗型車両の車体フレームに固定されるキャリアフレームと、前記キャリアフレームによって下側から支えられる荷台と、前記キャリアフレーム及び前記荷台の前端部を連結したヒンジと、を備え、前記ヒンジを中心にして前記荷台が開閉可能であることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様のリアキャリアによれば、ヒンジを中心にして荷台が開閉されるため、燃料タンクのタンクキャップやバッテリのバッテリキャップの上方に荷台が位置付けられても給油作業や充電作業が妨げられることがない。よって、シートに荷台を近づけることができ、荷台への荷物の載置による前輪分担荷重の減少が抑えられて操縦安定性が向上される。また、荷台にトップケースが装着されて、同乗者の背もたれとしてトップケースが使用されても前輪分担荷重の減少が抑えられる。このように、操縦安定性を確保しながら給油作業や充電作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例の鞍乗型車両の車両後部の左側面図である。
図2】本実施例の鞍乗型車両の車両後部の上面図である。
図3】本実施例の荷台を開いたときの鞍乗型車両の車両後部の上面図である。
図4】本実施例の荷台の閉状態を示す図である。
図5】本実施例の荷台の開状態を示す図である。
図6】本実施例のトップケースを装着した荷台の開閉状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様のリアキャリアは鞍乗型車両のシートから後方に張り出されている。リアキャリアのキャリアフレームが鞍乗型車両の車体フレームに固定され、キャリアフレームによって荷台が下側から支えられ、荷台の前端部がヒンジを介してキャリアフレームに連結している。ヒンジを中心にして荷台が開閉可能であるため、燃料タンクのタンクキャップの上方に荷台が位置付けられても給油作業が妨げられることがない。よって、シートに荷台を近づけることができ、荷台への荷物の載置による前輪分担荷重の減少が抑えられて操縦安定性が向上される。また、荷台にトップケースが装着されて、同乗者の背もたれとしてトップケースが使用されても前輪分担荷重の減少が抑えられる。このように、操縦安定性を確保しながら給油作業や充電作業の作業性を向上させることができる。
【実施例0010】
スクータ等の鞍乗型車両では車両後部に燃料タンクがレイアウトされ、シートの後方に給油口が位置していることが多い。このような鞍乗型車両にリアキャリアを設置するためには、リアキャリアの荷台によって給油作業が阻害されないようにする必要がある。給油口よりも後方に荷台が位置付けられることで、給油作業の作業性が向上されるが、荷台上の荷物等によって前輪分担荷重が減少して操縦安定性が低下する。また、荷台には背もたれ付きのトップケースが装着されることがあるが、トップケースに同乗者が寄りかかると前輪分担荷重がさらに減少する。
【0011】
この場合、リアキャリアの荷台が給油口の真上に位置付けられて、給油時にのみ荷台を後方にスライドさせる構成も考えられる。荷台に背もたれ付きのトップケースが装着される場合には、ロックをかけ忘れたまま同乗者が背もたれに寄りかかっても、同乗者が後方にのけぞらないように安全性を確保しなければならない。このため、ロックをかけ忘れるとエンジンが停止するようなインターロックスイッチが必要になって構造が複雑になる。そこで、本実施例のリアキャリアでは、給油作業の作業性、操縦安定性、同乗者の安全性を考慮した揺動式の荷台が採用されている。
【0012】
以下、添付図面を参照して、本実施例のリアキャリアが搭載された鞍乗型車両について説明する。図1は本実施例の鞍乗型車両の車両後部の左側面図である。図2は本実施例の鞍乗型車両の車両後部の上面図である。図3は本実施例の荷台を開いたときの鞍乗型車両の車両後部の上面図である。また、以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。
【0013】
図1に示すように、鞍乗型車両1の車両後部には、左右一対のリアフレーム(車体フレーム)10を覆うように車体外装として複数のカバーが設けられている。左右一対のリアフレーム10は、左右一対のリアフレームカバー11によって左右側方から覆われ、リアセンターカバー12によって後方から覆われ、リアフェンダ13によって下方から覆われている。また、左右一対のリアフレーム10は、リアアッパーカバー14及びシート21によって上方から覆われている。これら上下左右及び後方のカバー部材とシート21によって、鞍乗型車両1の車両後部の車体外装が形成されている。
【0014】
シート21には運転者用の着座面22と同乗者用の着座面23が前後に並んでおり、運転者用の着座面22よりも上方に同乗者用の着座面23が位置付けられている。左右一対のリアフレームカバー11の内側には燃料タンク26が収容されており、シート21の後方のリアアッパーカバー14には給油口27(図3参照)が形成されている。給油口27にはタンクキャップ28が装着されており、メカニカルキーやスマートキー等によってタンクキャップ28が上開きされる。また、リアセンターカバー12には、一対のブレーキランプ16、一対のターンシグナルランプ17、ライセンスランプ18が設けられている。
【0015】
図1から図3に示すように、シート21から後方にリアキャリア30が張り出しており、リアキャリア30にはトップケース61が装着されている。リアキャリア30のキャリアフレーム31は、左右一対のリアフレームカバー11及びリアセンターカバー12を外側から囲むようにリアフレーム10に固定されている。リアキャリア30の荷台41は板状に形成されており、キャリアフレーム31によって荷台41が下側から支えられている。荷台41の前端部には連結パイプ44(図3参照)が設けられており、連結パイプ44に挿し込まれたヒンジ46を介してキャリアフレーム31と荷台41の前端部が連結されている。
【0016】
より詳細には、キャリアフレーム31は、上面視U字状のアッパーフレーム32と、アッパーフレーム32の左右両側を下方から支える左右一対のロアフレーム33と、アッパーフレーム32とロアフレーム33を補強する左右一対のブリッジ34と、を有している。アッパーフレーム32の左右両側の上面に一対のピボットブラケット35が設けられており、一対のピボットブラケット35には左右方向に延在するヒンジ46が支持されている。荷台41の連結パイプ44にヒンジ46が挿し込まれており、ヒンジ46を中心にして荷台41が起立する開位置と荷台41が倒伏する閉位置の間で荷台41が開閉可能になっている。
【0017】
アッパーフレーム32の後側の上面にサポートブラケット36が設けられており、サポートブラケット36によって荷台41の自由端である後端部が支えられている。荷台41は前方から後方に向かって幅が狭くなるように形成されており、荷台41の中央には楕円形の開口43が形成されている。荷台41の外縁及び開口縁が下向きに屈曲されており、これら屈曲部分によって荷台41の強度が高められている。荷台41によってタンクキャップ28が上方から覆われており、タンクキャップ28の上方が荷物やトップケース61の設置スペースとして有効活用されている。
【0018】
サポートブラケット36には側面視L字状のロックピン52が支持されており、ロックピン52の先端が前方に向けられている。荷台41の裏面にはロック片53が設けられており、荷台41が閉じられた状態でロック片53がサポートブラケット36に対向する。ロック片53にはロック穴54が形成されており、ロック穴54にロックピン52が挿し込まれることで荷台41がロックされる。このように、キャリアフレーム31に設けられたサポートブラケット36のロックピン52及び荷台41に設けられたロック片53のロック穴54によって荷台41の開動作を規制するロック機構51が形成されている。
【0019】
荷台41の載置面42には固定ブラケット56を介してトップケース61が着脱可能に取り付けられている。トップケース61のケース本体62の上面が開放されており、ケース本体62の前縁にはヒンジ(不図示)を介してケースカバー63が開閉可能に連結されている。ケース本体62とケースカバー63によって荷物の収納空間が形成されている。ケースカバー63には、ケースカバー63が閉じられた状態でケース本体62にケースカバー63を固定するラッチ機構64が設けられている。ケースカバー63の前面には、クッション材等によって同乗者用の背もたれ65が設けられている。
【0020】
図4から図6を参照して、荷台の開閉状態について説明する。図4は本実施例の荷台の閉状態を示す図であり、図4(A)は荷台の上面図、図4(B)は図4(A)の荷台をA-A線に沿って切断した断面図である。図5は本実施例の荷台の開状態を示す図であり、図5(A)は荷台の上面図、図5(B)は図5(A)の荷台をB-B線に沿って切断した断面図である。図6は本実施例のトップケースを装着した荷台の開閉状態を示す図であり、図6(A)は荷台を閉じた状態、図6(B)は荷台を開いた状態を示している。
【0021】
図4(A)及び図4(B)に示すように、荷台41が閉じられた状態で、荷台41がシート21の後方に位置している。上面視にて荷台41がシート21に重ならないのでシート21の着座面22、23が広く確保されている。シート21の運転者用の着座面22よりも同乗者用の着座面23が高く、同乗者用の着座面23の後端24がシート21において最も高くなっている。この着座面23の後端24よりも上方にヒンジ46が位置しており、荷台41が閉じられた状態で着座面23の後端24よりも上方に荷台41の載置面42が位置している。荷台41に荷物が載せられていても、荷物をシート21に引っ掛けることなく荷台41を開くことができる。
【0022】
上記したように荷台41が板状に形成されており、荷台41の下方にタンクキャップ28が位置している。荷台41によってタンクキャップ28が上方から覆われることで、タンクキャップ28に砂塵や水滴等の異物が付着し難くなっている。タンクキャップ28はリアアッパーカバー14に上開き可能に取り付けられており、タンクキャップ28が起立することで給油口27(図3参照)が上方に開放される。荷台41が閉じられた状態では、起立姿勢のタンクキャップ28から荷台41が離れている。このため、タンクキャップ28が起立した状態で、誤って荷台41が倒されても荷台41がタンクキャップ28に衝突することがない。
【0023】
荷台41の前端部には連結パイプ44が設けられており、連結パイプ44の一端部(右端部)には半円プレート71が設けられている。半円プレート71は荷台41の開閉動作に伴って回転し、荷台41が閉じられた状態では半円プレート71が上方に向けられている。キャリアフレーム31の上面には一対のピボットブラケット35が設けられており、一端側(右棚側)のピボットブラケット35から車幅方向内側に板状のストッパ72が突き出している。荷台41が閉じられた状態では半円プレート71の下方にストッパ72が設けられ、半円プレート71の回転方向の前方にストッパ72が位置している。
【0024】
本実施例のリアキャリア30では荷台41がシート21に近づけられているため、荷台41に荷物が載せられていても前輪分担荷重の大幅な減少が抑えられるので操縦安定性が低下することがない。また、リアキャリア30にはロック機構51が設けられており、荷台41が閉じられた状態でロックされることで走行中に荷台41がひとりでに開くことがない。運転者の不注意によって荷台41のロックをかけ忘れるおそれがあるが、荷台41のロックをかけ忘れたまま走行すると、ヒンジ46を支点にして荷台41が振動するので、荷台41の振動音によって運転者にロックのかけ忘れを気づかせることができる。
【0025】
図5(A)及び図5(B)に示すように、荷台41が開かれた状態では、リアアッパーカバー14のタンクキャップ28が上方に露出される。このとき、荷台41と一体に動く半円プレート71がストッパ72に突き当って、荷台41が前斜め上方に起立した最大開放位置で維持されている。荷台41の重心O1がヒンジ46よりも前方に位置しているため、荷台41が最大開放位置から自重で後方に倒れることがない。このように、タンクキャップ28の上方が荷台41に覆われていても、荷台41を開いてタンクキャップ28を露出させることで、燃料タンク26(図1参照)への給油作業の作業性が向上されている。
【0026】
図6(A)に示すように、荷台41が閉じられた状態で、荷台41に固定ブラケット56を介してトップケース61が装着されている。トップケース61がシート21に近づけられているため、トップケース61の背もたれ65に同乗者が寄りかかっても、前輪分担荷重の大幅な減少が抑えられ、操縦安定性が低下することがない。また、荷台41のロックをかけ忘れたまま同乗者が背もたれ65に寄りかかっても、同乗者の背中で荷台41が押さえ付けられるだけである。同乗者が後方にのけぞらないため、安全性の確保のためにインターロックスイッチ等を設置する必要がない。
【0027】
図6(B)に示すように、荷台41が開かれた状態では、リアアッパーカバー14のタンクキャップ28が上方に露出される。このとき、トップケース61の背もたれ65がシート21に突き当たって荷台41が起立した状態で維持されている。荷台41とトップケース61の重心O2がヒンジ46よりも前方に位置しており、荷台41とトップケース61が自重で後方に倒れることがない。半円プレート71とストッパ72が接触していないのでストッパ72に強い負荷が作用することがない。このように、荷台41にトップケース61が装着されたまま、燃料タンク26(図1参照)への給油作業が可能になっている。
【0028】
以上、本実施例のリアキャリア30によれば、ヒンジ46を中心にして荷台41が開閉されるため、燃料タンク26のタンクキャップ28の上方に荷台41が位置付けられても給油作業が妨げられることがない。よって、シート21に荷台41を近づけることができ、荷台41への荷物の載置による前輪分担荷重の減少が抑えられて操縦安定性が向上される。また、荷台41にトップケース61が装着されて、同乗者の背もたれとしてトップケース61が使用されても前輪分担荷重の減少が抑えられる。このように、操縦安定性を確保しながら給油作業の作業性を向上させることができる。
【0029】
なお、本実施例のリアキャリアは電動車両に設置されていてもよい。スクータタイプの電動車両ではシート下方に最も広いスペースが確保されており、このシート下方のスペースにバッテリが設置されることが多い。バッテリからは充電ケーブルだけでなく通信ケーブルも延びており、ケーブル費用を減らすためにバッテリに充電口を近づけたいが、シート下方のスペースを収納にも使用しため、シート後方に充電口を設置することが望まれている。本実施例のリアキャリアを用いることで、シート後方に充電口を設置しても、操縦安定性を確保しながら、コストを増やすことなく充電作業の作業性を向上させることができる。
【0030】
また、本実施例では、荷台に荷物が無いときに円形プレートがストッパに突き当てられて荷台の開放が規制されているが、荷台に荷物が無いときに荷台の載置面がシートの着座面に突き当てられて荷台の開放が規制されてもよい。この場合、円形プレート及びストッパが不要になってリアキャリアをシンプルな構造にできる。
【0031】
また、本実施例では、荷台が板状に形成されているが、荷台が網板状に形成されていてもよい。
【0032】
また、本実施例では、荷台に設けられたロック片とキャリアフレームに設けられたロックピンによってロック機構が形成されているが、ロック機構は荷台の開動作を規制するように荷台及びキャリアフレームに設けられたものであればよい。
【0033】
また、本実施例では、荷台がシートの後方に位置しているが、リアキャリアがシートから後方に張り出していればよく、上面視にて荷台の一部がシートに重なっていてもよい。
【0034】
また、本実施例では、荷台の載置面がシートの着座面の後端よりも上方に位置しているが、荷台がヒンジを中心にして開閉可能な構成であれば、荷台の載置面とシートの着座面の位置関係は特に限定されない。
【0035】
また、本実施例のリアキャリアは上記の鞍乗型車両に限らず、他のタイプの鞍乗型車両に採用されてもよい。なお、鞍乗型車両とは、運転者がシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、運転者がシートに跨らずに乗車するスクータタイプの車両も含んでいる。
【0036】
以上の通り、第1態様は、鞍乗型車両(1)のシート(21)から後方に張り出されるリアキャリア(30)であって、鞍乗型車両の車体フレーム(リアフレーム10)に固定されるキャリアフレーム(31)と、キャリアフレームによって下側から支えられる荷台(41)と、キャリアフレーム及び荷台の前端部を連結したヒンジ(46)と、を備え、ヒンジを中心にして荷台が開閉可能である。この構成によれば、ヒンジを中心にして荷台が開閉されるため、燃料タンクのタンクキャップやバッテリのバッテリキャップの上方に荷台が位置付けられても給油作業や充電作業が妨げられることがない。よって、シートに荷台を近づけることができ、荷台への荷物の載置による前輪分担荷重の減少が抑えられて操縦安定性が向上される。また、荷台にトップケースが装着されて、同乗者の背もたれとしてトップケースが使用されても前輪分担荷重の減少が抑えられる。このように、操縦安定性を確保しながら給油作業や充電作業の作業性を向上させることができる。
【0037】
第2態様は、第1態様において、荷台によって鞍乗型車両の燃料タンク(26)のタンクキャップ(28)又はバッテリのバッテリキャップが上方から覆われている。この構成によれば、タンクキャップ及びバッテリキャップの上方スペースを有効活用することができる。
【0038】
第3態様は、第1態様又は第2態様において、キャリアフレーム及び荷台に荷台の開動作を規制するロック機構(51)が設けられている。この構成によれば、荷台がロックされることで走行中等に荷台がひとりでに開くことがない。また、荷台のロックをかけ忘れたまま走行すると、ヒンジを支点にして荷台が振動するので、荷台の振動音によって運転者にロックのかけ忘れを気づかせることができる。
【0039】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1態様において、荷台が閉じられた状態で、荷台の載置面(42)がシートの着座面(23)よりも上方に位置している。この構成によれば、荷物が荷台に載せられていても、荷物をシートに引っ掛けることなく荷台を開くことができる。
【0040】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1態様において、荷台が閉じられた状態で、給油口(27)を開放した起立姿勢のタンクキャップから荷台が離れている。この構成によれば、タンクキャップが起立した状態で、誤って荷台が倒されても荷台がタンクキャップに衝突することがない。
【0041】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1態様において、荷台が閉じられた状態で、荷台がシートの後方に位置している。この構成によれば、荷台がシートに重ならないので着座面を広く確保することができる。
【0042】
第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか1態様において、ヒンジがシートの着座面よりも上方に位置している。この構成によれば、荷物が荷台に載せられていても、荷物をシートに引っ掛けることなく荷台を開くことができる。
【0043】
第8態様は、第1態様から第7態様のいずれか1態様において、荷台が板状に形成されている。この構成によれば、板状の荷台にタンクキャップ及びバッテリキャップが覆われることでタンクキャップやバッテリキャップに砂塵や水滴等の異物が付着し難くなる。
【0044】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0045】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0046】
1 :鞍乗型車両
10:リアフレーム
21:シート
23:着座面
26:燃料タンク
28:タンクキャップ
30:リアキャリア
31:キャリアフレーム
41:荷台
42:載置面
46:ヒンジ
51:ロック機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6