(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078250
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
H01L21/304 651B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190676
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 友耶
(72)【発明者】
【氏名】張 松
(72)【発明者】
【氏名】塚原 隆太
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
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5F157CF60
5F157CF70
5F157CF74
5F157CF90
5F157DA21
(57)【要約】
【課題】従来のスピンドライに比べてパターンの倒壊率を低下させることができる新規な基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理方法は、パターンPAが形成された基板Wの表面に撥水剤含有液を供給する撥水剤供給工程と、撥水剤含有液を置換液に置換する置換液供給工程と、置換液をリンス液に置換するリンス液供給工程と、基板Wの表面がリンス液で覆われている状態で基板Wおよびリンス液を加熱することにより、パターンPAによって表面に形成された凹部Qがリンス液で満たされた状態でリンス液が基板Wの表面を覆う非浮上状態から、凹部Qの少なくとも一部が気体で満たされた状態でリンス液が基板Wの表面を覆う浮上状態に、リンス液を変化させる加熱工程と、浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去することにより、基板Wの表面を乾燥させる乾燥工程とを含む。
【選択図】
図1A-E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成された基板の表面に撥水剤含有液を供給する撥水剤供給工程と、
前記撥水剤含有液と溶け合う置換液を、前記撥水剤含有液で覆われている前記基板の前記表面に供給することにより、前記撥水剤含有液を前記置換液に置換する置換液供給工程と、
前記置換液と溶け合い、前記置換液よりも表面張力が高く、水を主成分とするリンス液を、前記置換液で覆われている前記基板の前記表面に供給することにより、前記置換液を前記リンス液に置換するリンス液供給工程と、
前記基板の前記表面が前記リンス液で覆われている状態で前記基板およびリンス液を加熱することにより、前記パターンによって前記表面に形成された凹部が前記リンス液で満たされた状態で前記リンス液が前記基板の前記表面を覆う非浮上状態から、前記凹部の少なくとも一部が気体で満たされた状態で前記リンス液が前記基板の前記表面を覆う浮上状態に、前記リンス液を変化させる加熱工程と、
前記浮上状態の前記リンス液を前記基板の前記表面から除去することにより、前記基板の前記表面を乾燥させる乾燥工程と、を含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記撥水剤供給工程は、前記基板の前記表面と同一の材料で形成された平滑面に対する水の接触角を90度以上の値にまで増加させる前記撥水剤含有液を前記基板の前記表面に供給する工程である、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記リンス液は、水である、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記乾燥工程は、前記基板およびリンス液の加熱を停止した状態で、前記浮上状態の前記リンス液を前記基板の前記表面から除去することにより、前記基板の前記表面を乾燥させる工程である、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記乾燥工程は、前記基板の前記表面と前記撥水剤含有液との接触によって前記基板の前記表面に形成された撥水膜が前記基板の前記表面に残った状態で、前記浮上状態の前記リンス液を前記基板の前記表面から除去することにより、前記基板の前記表面を乾燥させる工程である、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記浮上状態は、前記凹部の少なくとも一部が気体で満たされており、前記リンス液の液膜が前記パターンに接した状態で前記リンス液が前記基板の前記表面を覆う状態である、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記浮上状態は、前記凹部の少なくとも一部が気体で満たされた状態で前記リンス液が前記基板の前記表面の全域を覆う状態である、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項8】
パターンが形成された基板の表面に撥水剤含有液を供給する撥水剤供給手段と、
前記撥水剤含有液と溶け合う置換液を、前記撥水剤含有液で覆われている前記基板の前記表面に供給することにより、前記撥水剤含有液を前記置換液に置換する置換液供給手段と、
前記置換液と溶け合い、前記置換液よりも表面張力が高く、水を主成分とするリンス液を、前記置換液で覆われている前記基板の前記表面に供給することにより、前記置換液を前記リンス液に置換するリンス液供給手段と、
前記基板の前記表面が前記リンス液で覆われている状態で前記基板およびリンス液を加熱することにより、前記パターンによって前記表面に形成された凹部が前記リンス液で満たされた状態で前記リンス液が前記基板の前記表面を覆う非浮上状態から、前記凹部の少なくとも一部が気体で満たされた状態で前記リンス液が前記基板の前記表面を覆う浮上状態に、前記リンス液を変化させる加熱手段と、
前記浮上状態の前記リンス液を前記基板の前記表面から除去することにより、前記基板の前記表面を乾燥させる乾燥手段と、を含む、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。基板には、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置や有機EL(electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置やFPDなどの製造工程では、薬液やリンス液などの処理液で基板を処理するウェット処理が行われる。このような処理には、基板から処理液を除去して基板を乾燥させる基板の乾燥が含まれる。特許文献1は、基板の上面と有機溶剤の液膜との間に有機溶剤の蒸気の層を形成することにより有機溶剤の液膜をパターンから浮上させ、この状態で有機溶剤の液膜を基板の上面から除去する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の基板の乾燥方法は、基板を乾燥させるために基板の高速回転によって基板の上面から処理液の液膜を除去する従来のスピンドライに比べてパターンの倒壊率を低下させることができるものの、このような乾燥方法が好まれない場合もある。
【0005】
そこで、本発明の目的の一つは、従来のスピンドライに比べてパターンの倒壊率を低下させることができる新規な基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、パターンが形成された基板の表面に撥水剤含有液を供給する撥水剤供給工程と、前記撥水剤含有液と溶け合う置換液を、前記撥水剤含有液で覆われている前記基板の前記表面に供給することにより、前記撥水剤含有液を前記置換液に置換する置換液供給工程と、前記置換液と溶け合い、前記置換液よりも表面張力が高く、水を主成分とするリンス液を、前記置換液で覆われている前記基板の前記表面に供給することにより、前記置換液を前記リンス液に置換するリンス液供給工程と、前記基板の前記表面が前記リンス液で覆われている状態で前記基板およびリンス液を加熱することにより、前記パターンによって前記表面に形成された凹部が前記リンス液で満たされた状態で前記リンス液が前記基板の前記表面を覆う非浮上状態から、前記凹部の少なくとも一部が気体で満たされた状態で前記リンス液が前記基板の前記表面を覆う浮上状態に、前記リンス液を変化させる加熱工程と、前記浮上状態の前記リンス液を前記基板の前記表面から除去することにより、前記基板の前記表面を乾燥させる乾燥工程と、を含む、基板処理方法を提供する。
【0007】
この方法によれば、パターンが形成された基板の表面に撥水剤含有液を供給する。撥水剤含有液は、パターンの表面だけでなく、パターンによって基板の表面に形成された凹部の内面にも接触し、これらに対する水の接触角を増加させる。これにより、基板の表面の撥水性が高まる。撥水剤含有液を基板の表面に供給した後は、置換液を基板の表面に供給し、撥水剤含有液を置換液に置換する。その後、リンス液を基板の表面に供給し、置換液をリンス液に置換する。
【0008】
置換液は、撥水剤含有液と溶け合う液体である。リンス液は、置換液と溶け合う液体である。置換液は、基板の表面に形成された凹部内の撥水剤含有液に溶け込みながら、凹部内に進入する。したがって、凹部の外の撥水剤含有液だけでなく、凹部の中の撥水剤含有液も置換液で置換される。置換液と同様に、リンス液は、基板の表面に形成された凹部内の置換液に溶け込みながら、凹部内に進入する。したがって、凹部の外の置換液だけでなく、凹部の中の置換液もリンス液で置換される。撥水剤含有液が置換液に溶け込んでいる場合、撥水剤含有液が溶け込んだ置換液をリンス液で置換することができ、基板に残留する不要な撥水剤含有液を減らすことができる。
【0009】
置換液をリンス液で置換した後は、凹部の外だけでなく、凹部の中にもリンス液がある。基板およびリンス液を加熱すると、リンス液の蒸発やリンス液からの溶存ガスの放出によって凹部の底面とリンス液との間に気体が発生し、リンス液が凹部の底面から離れる。これにより、リンス液が、凹部がリンス液で満たされた状態でリンス液が基板の表面を覆う非浮上状態から、凹部の少なくとも一部が気体で満たされた状態でリンス液が基板の表面を覆う浮上状態に変化する。
【0010】
リンス液は、水を主成分とする液体であり、置換液よりも表面張力が高い。基板の表面は、撥水剤含有液との接触によって撥水性が高まっている。半導体装置やFPD等の製造工程で基板の表面に形成されるパターンは微細であり、このようなパターンによって形成された凹部も微細である。リンス液の表面張力が高い上に、凹部の幅が狭く、凹部の内面の撥水性が高いので、リンス液が凹部に入り難い。したがって、リンス液が浮上状態に変化すると、この状態、つまり、リンス液が基板の表面を覆っており、凹部の少なくとも一部が気体で満たされた状態が維持される。
【0011】
基板が浮上状態に変化した後は、浮上状態のリンス液を基板の表面から除去する。基板を高速回転させて非浮上状態のリンス液を基板の表面から除去する従来のスピンドライでは、凹部の底側の空間がリンス液で満たされた状態で気体とリンス液との界面がパターンの先端付近に形成され、パターンを倒壊させる倒壊力が気体とリンス液とパターンとの境界からパターンの表面に加わる。これに対して、浮上状態では、凹部が気体で満たされており、気体とリンス液との界面がパターンの先端付近に位置している。したがって、従来のスピンドライに比べてパターンの倒壊率を低下させることができる。
【0012】
さらに、水を主成分とするリンス液を蒸発させるので、有機溶剤などの他の液体を蒸発させる場合に比べて、リンス液の濃縮によりリンス液から固体が析出し難い。加えて、水を主成分とするリンス液は、有機溶剤などの他の液体に比べて不純物の含有量が少ないので、パーティクルなどの汚染物質がリンス液に溶け込んだとしても、汚染物質がリンス液から析出し難い。以上の理由により、リンス液の代わりに有機溶剤などの他の液体を用いる場合に比べて、乾燥後の基板の清浄度を高めることができる。
【0013】
前記実施形態において、以下の特徴の少なくとも1つを、前記基板処理方法に加えてもよい。
【0014】
撥水剤含有液を基板の表面に供給すると、基板の表面に対する水の接触角が増加する。基板およびリンス液を加熱したときにリンス液が非浮上状態から浮上状態に変化するのであれば、基板の表面と同一の材料で形成された平滑面に撥水剤含有液を供給したときの平滑面に対する水の接触角は、90度以上であってもよいし、90度未満であってもよい。つまり、前記撥水剤供給工程は、前記基板の前記表面と同一の材料で形成された平滑面に対する水の接触角を90度以上の値にまで増加させる前記撥水剤含有液を前記基板の前記表面に供給する工程であってもよい。この場合、凹部の内面に対する水の接触角が90度以上の値にまで増加するので、凹部に対するリンス液の入り難さを高めることができる。
【0015】
前記リンス液は、水である。
【0016】
この場合、リンス液に相当する水を、非浮上状態から浮上状態に変化させ、基板の表面から除去する。水の表面張力が高いので、スピンドライなどの従来の乾燥方法では、水を除去して基板を乾燥させるときに、気液界面(気体と水との界面)からパターンの側面に大きな倒壊力が加わる。水を非浮上状態から浮上状態に変化させ、基板の表面から除去する乾燥方法では、このような水の欠点を利点に変えることができ、従来の乾燥方法に比べてパターンの倒壊率を低下させることができる。
【0017】
前記乾燥工程は、前記基板およびリンス液の加熱を停止した状態で、前記浮上状態の前記リンス液を前記基板の前記表面から除去することにより、前記基板の前記表面を乾燥させる工程である。
【0018】
この場合、基板およびリンス液の加熱によりリンス液が非浮上状態から浮上状態に変化した後、基板およびリンス液への意図的な熱の供給を停止する。この状態で、浮上状態のリンス液を基板の表面から除去する。リンス液が浮上状態に変わると、熱などのエネルギーを供給し続けなくても、リンス液は浮上状態に維持される。したがって、基板およびリンス液を加熱しながら、浮上状態のリンス液を基板の表面から除去する場合に比べて、基板の処理に要するエネルギーの消費量を削減することができる。
【0019】
前記乾燥工程は、前記基板の前記表面と前記撥水剤含有液との接触によって前記基板の前記表面に形成された撥水膜が前記基板の前記表面に残った状態で、前記浮上状態の前記リンス液を前記基板の前記表面から除去することにより、前記基板の前記表面を乾燥させる工程である。
【0020】
この場合、撥水剤含有液を基板の表面に接触させ、基板の表面に撥水膜を形成する。その後、置換液およびリンス液を基板の表面に順次供給し、基板およびリンス液を加熱する。その後、浮上状態のリンス液を基板の表面から除去する。浮上状態のリンス液を基板の表面から除去しているとき、撥水膜は、基板の表面に残っている。したがって、リンス液を基板から除去しているときも、リンス液を確実に浮上状態に維持することができる。
【0021】
浮上状態のリンス液の除去を開始するときに、撥水膜が基板の表面に残っているのであれば、撥水膜は、基板の表面からリンス液を除去し終わったときに全部または一部が基板の表面に残っていてもよいし、残っていなくてもよい。前者の場合、リンス液を除去した基板処理装置または別の基板処理装置で、撥水膜を除去してもよいし、後工程で問題にならなければ、撥水膜を除去せずに残してもよい。
【0022】
前記浮上状態は、前記凹部の少なくとも一部が気体で満たされており、前記リンス液の液膜が前記パターンに接した状態で前記リンス液が前記基板の前記表面を覆う状態である。
【0023】
この場合、リンス液を非浮上状態から浮上状態に変化させると、リンス液の液膜がパターンに接した状態で、基板の表面の凹部の少なくとも一部が気体で満たされる。言い換えると、凹部の入口に相当する凹部の開口が、リンス液の液膜によって塞がれ、気体が凹部内に閉じ込められる。そのため、リンス液が凹部に入り難い。さらに、リンス液の表面張力が高く、凹部の内面の撥水性が高いので、凹部に入ろうとするリンス液を凹部から遠ざける力が凹部の内面からリンス液に働く。したがって、より確実にリンス液を浮上状態に維持することができる。
【0024】
前記浮上状態は、前記凹部の少なくとも一部が気体で満たされた状態で前記リンス液が前記基板の前記表面の全域を覆う状態である。
【0025】
この場合、置換液をリンス液で置換すると共に、基板の表面の全域を覆うリンス液の液膜を形成する。その後、基板およびリンス液を加熱し、基板の表面の全域を覆う浮上状態のリンス液の液膜を基板の表面から除去する。浮上状態のリンス液が基板の表面の一部だけを覆っている場合、リンス液の液膜の外縁にパーティクルが発生し易い。浮上状態のリンス液で基板の表面の全域を覆えば、基板の表面に発生するパーティクルを減らすことができる。
【0026】
本発明の他の実施形態は、パターンが形成された基板の表面に撥水剤含有液を供給する撥水剤供給手段と、前記撥水剤含有液と溶け合う置換液を、前記撥水剤含有液で覆われている前記基板の前記表面に供給することにより、前記撥水剤含有液を前記置換液に置換する置換液供給手段と、前記置換液と溶け合い、前記置換液よりも表面張力が高く、水を主成分とするリンス液を、前記置換液で覆われている前記基板の前記表面に供給することにより、前記置換液を前記リンス液に置換するリンス液供給手段と、前記基板の前記表面が前記リンス液で覆われている状態で前記基板およびリンス液を加熱することにより、前記パターンによって前記表面に形成された凹部が前記リンス液で満たされた状態で前記リンス液が前記基板の前記表面を覆う非浮上状態から、前記凹部の少なくとも一部が気体で満たされた状態で前記リンス液が前記基板の前記表面を覆う浮上状態に、前記リンス液を変化させる加熱手段と、前記浮上状態の前記リンス液を前記基板の前記表面から除去することにより、前記基板の前記表面を乾燥させる乾燥手段と、を含む、基板処理装置を提供する。この装置によれば、前述の基板処理方法と同様の効果を奏することができる。基板処理方法に関する前述の特徴の少なくとも1つを前記基板処理装置に加えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A-E】本発明の一実施形態に係る基板の処理の一例について説明するための基板の概略断面図である。
【
図2A-C】リンス液を基板の表面に供給してから、基板を乾燥させるまでの一連の処理の3つの例を説明するための概略図である。
【
図3A】Wenzelモデルについて説明するための基板の概略断面図である。
【
図3B】Cassie-Baxterモデルについて説明するための基板の概略断面図である。
【
図4】基板処理装置に備えられた処理ユニットの内部を水平に見た概略図である。
【
図5】
図4に示す処理ユニットとは異なる処理ユニットを水平に見た概略図である。
【
図6】
図5に示す処理ユニットに設けられたスピンチャックおよびホットプレートを上から見た概略図である。
【
図7】制御装置のハードウェアを示すブロック図である。
【
図8】基板処理装置によって行われる基板の処理の一例について説明するための工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
最初に、基板Wの断面の一例について説明する。
図1A~
図1Eは、本発明の一実施形態に係る基板Wの処理の一例について説明するための基板Wの概略断面図である。
【0030】
基板Wは、互いに平行な表面および裏面と、表面および裏面の外縁同士を表面および裏面の全周にわたって接続する環状の端面とを含む。基板Wの表面は、デバイスが形成されるデバイス形成面である。基板Wの裏面は、デバイスが形成されない非デバイス形成面である。基板Wの表面および裏面の両方がデバイス形成面であってもよい。
【0031】
基板Wの表面および裏面は、互いに平行な平坦面である。パターンPAが基板Wの表面に形成されている場合、基板Wの表面は、厳密には凹凸面である。パターンPAが基板Wの表面に形成されている場合、基板Wの表面は、規則的な凹凸が設けられたパターン面に相当する。基板Wの厚み方向は、パターンPAが形成される前の基板Wの平坦な表面に直交する方向であり、基板Wの面方向は、同表面と平行な方向である。
図1A~
図1Eでは、紙面の上下方向が基板Wの厚み方向に、紙面の左右方向が基板Wの面方向に、それぞれ対応する。
【0032】
図1A~
図1Eは、パターンPAが形成される前の基板Wの平坦な表面に直交する平面で切断した基板Wの断面の一例を示している。この例では、基板Wのベース層Sの表面から基板Wの厚み方向に延びる複数のパターンエレメントP1が形成されている。パターンPAは、複数のパターンエレメントP1によって構成されている。複数のパターンエレメントP1は、基板Wの面方向に互いに離れている。間隔を空けて基板Wの面方向に向かい合う2つのパターンエレメントP1は、2つのパターンエレメントP1の先端から基板Wの厚み方向に凹んだ凹部Qを形成している。
【0033】
図1A~
図1Eは、パターンエレメントP1が基板Wの厚み方向に延びる長方形状である例を示している。パターンエレメントP1は、柱状または板状であってもよいし、これら以外の形状であってもよい。パターンエレメントP1は、基板Wの厚み方向ではなく、基板Wの面方向に延びていてもよい。パターンエレメントP1の幅は、パターンエレメントP1の根元からパターンエレメントP1の先端まで一定であってもよいし、変化していてもよい。凹部Qの幅は、凹部Qの底から凹部Qの入口まで一定であってもよいし、変化していてもよい。
【0034】
パターンエレメントP1は、1つの層だけで構成されていてもよいし、パターンエレメントP1の高さ方向に積み重ねられた複数の層によって構成されていてもよい。
図1A~
図1Eは、前者の例を示している。後者の場合、1つのパターンエレメントP1に含まれる全ての層が同じまたは別々の材料で形成されていてもよいし、同全ての層のいくつかが、同全ての層の残りとは異なる同じ材料で形成されていてもよい。パターンエレメントP1の一部または全部を形成する材料は、半導体、絶縁体、および金属のいずれかであってもよいし、これら以外であってもよい。
【0035】
図1A~
図1Eは、基板Wのベース層Sと一体の1つの層がパターンエレメントP1である例を示している。ベース層Sは、シリコンウエハなどの基板Wの板状の母材の一部であってもよいし、母材上に形成された薄膜であってもよい。ベース層SおよびパターンエレメントP1は、ケイ素(Si)またはケイ素を含む材料で形成されていてもよい。パターンエレメントP1は、ベース層Sに接するベース層Sとは異なる1つ以上の層であってもよい。
【0036】
基板Wの表面にパターンPAが形成されている場合、基板Wの表面は、パターンエレメントP1の表面と凹部Qの内面とを含む。パターンエレメントP1の表面は、パターンエレメントP1の先端を形成する先端面s1と、先端面s1の外縁からパターンエレメントP1の根元に向かって延びる筒状の側面s2とを含む。凹部Qの内面は、パターンエレメントP1の幅方向に向かい合う一対の側面と、一方の側面から他方の側面に延びる底面s3とを含む。凹部Qの一対の側面は、2つのパターンエレメントP1の側面s2の一部である。凹部Qの底面s3は、ベース層Sの表面の一部である。
【0037】
次に、基板Wの処理の一例について説明する。
【0038】
図2A、
図2B、および
図2Cは、リンス液を基板Wの表面に供給してから、基板Wを乾燥させるまでの一連の処理の3つの例を説明するための概略図である。
図2A~
図2Cにおいてハッチングされた領域は、リンス液がある領域を表している。以下では、
図1A~
図1Eおよび
図2A~
図2Cを参照する。
【0039】
以下では、特に断りがない限り、処理中の基板Wの姿勢が、基板Wの表面を上に向けた水平な姿勢である例について説明する。以下の説明では、基板Wの表面が基板Wの上面に相当する。処理中の基板Wの姿勢は、基板Wの表面を下に向けた水平な姿勢、鉛直な姿勢、または、鉛直面に対して傾いた姿勢であってもよいし、処理中に変更してもよい。
【0040】
図1A~
図1Dに示すように、基板Wを処理するときは、撥水剤含有液、IPAなどの置換液、および、水などのリンス液をこの順番で基板Wの表面に順次供給し、その後、凹部Qからリンス液を排出する。その後、
図1Eに示すように、凹部Qからリンス液が排出された状態でリンス液を基板Wの表面から除去し、基板Wを乾燥させる。
【0041】
図1Aに示すように、撥水剤含有液を基板Wの表面に供給し、基板Wの表面の全域を覆う撥水剤含有液の液膜を形成すると、撥水剤含有液が基板Wの表面の全域に接触し、水をはじく撥水膜Rが基板Wの表面に形成される。
図1Aは、撥水膜Rが、基板Wの表面の全域、つまり、パターンPAの先端面s1と、凹部Qの側面に相当するパターンPAの側面s2と、凹部Qの底面s3とに形成された例を示している。撥水膜Rは、液体、固体、および半固体のいずれであってもよいし、これらのうちの2つ以上を複合した状態であってもよい。撥水膜Rが基板Wの表面に形成された状態では、撥水膜Rの表面が基板Wの表面に相当する。
【0042】
撥水剤含有液は、基板Wに対する水の接触角を増加させる撥水剤を含む液体である。撥水剤含有液は、基板Wを疎水化することにより基板Wの疎水性を強める疎水化剤を含む液体でもある。撥水剤含有液は、撥水剤の液体であってもよいし、撥水剤と撥水剤以外の成分とを含んでいてもよい。撥水剤含有液は、基板Wの表面と同一の材料で形成された平滑面に対する水の接触角を90度以上の値にまで増加させる液体であってもよいし、同平滑面に対する水の接触角を90度未満の値にまで増加させる液体であってもよい。
【0043】
撥水剤は、ヒドロキシル基などの基板Wの表面に存在する親水基を疎水基に置換する物質であってもよい。撥水剤は、シランカップリング剤であってもよい。シランカップリング剤は、HMDS(hexamethyldisiloxane、ヘキサメチルジシロキサン)、トリクロロシラン系分子、および、トリアルコキシ系分子のうちの少なくとも1つであってもよいし、これら以外であってもよい。撥水剤含有液は、溶質としての撥水剤と、撥水剤を溶解させる溶媒とを含有していてもよい。
【0044】
撥水剤含有液が撥水剤と溶媒とを含有する場合、撥水剤は、例えば、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデシルトリエトキシシラン(FDTS)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、ベンジルトリクロロシラン(Bn-TS)、11-シアノウンデシルトリクロロシラン、11-ヨードウンデシルトリクロロシラン、11-ブロモウンデシルトリクロロシラン、11-クロロウンデシルトリクロロシラン、および、ウンデシルトリクロロシラン(H-UTS)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。すなわち、撥水剤含有液は、シリル化剤と溶媒とを含有するシリル化液体であってもよい。シリル化剤は、基板Wの表面で露出するヒドロキシル基とシリル化反応を起こし、撥水膜Rに相当する撥水性の単分子膜を基板Wの表面に形成する物質であってもよい。
【0045】
撥水剤含有液が撥水剤と溶媒とを含有する場合、溶媒は、有機溶剤であってもよい。撥水剤含有液に含有される有機溶剤は、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、アルコール、および、エーテルのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。具体的には、有機溶剤は、IPA等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)等の乳酸エステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類、γ-ブチロラクトン等のラクトン類等を含有していてもよい。これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0046】
撥水剤含有液を基板Wの表面に供給した後は、
図1Bに示すように、IPAなどの置換液を基板Wの表面に供給し、基板Wの表面の全域を覆う置換液の液膜を形成する。置換液は、撥水剤含有液に溶ける液体である。置換液を基板Wの表面に供給すると、置換液は、基板Wの表面の凹部Q内の撥水剤含有液に溶け込みながら、凹部Q内に進入する。これにより、凹部Qの外の撥水剤含有液だけでなく、凹部Qの中の撥水剤含有液も置換液で置換される。撥水剤含有液を置換液に置換した後も、撥水膜Rは基板Wの表面に残る。
【0047】
置換液は、IPA等の有機溶剤の液体であってもよいし、有機溶剤と有機溶剤以外の成分とを含んでいてもよい。後者の場合、置換液は、後述するリンス液を含んでいてもよい。置換液に含有される有機溶剤の具体例は、撥水剤含有液に含有される有機溶剤の具体例と同じである。IPAの液体(以下では、単に「IPA」ともいう。)は、イソプロピルアルコールの濃度が99.8%以上の液体である。イソプロピルアルコールの濃度は、これに限られない。IPAは、撥水剤含有液に溶けると共に、水にも溶ける液体であり、IPAの表面張力は、水の表面張力の1/3程度である。凹部Qの内面は、撥水剤含有液の供給によって撥水性が高まっているものの、IPAなどの表面張力が低くかつ撥水剤含有液に溶ける液体を置換液として用いれば、より多くの置換液を凹部Qに進入させることができ、凹部Qに残留する余分な撥水剤含有液を減らすことができる。
【0048】
置換液を基板Wの表面に供給した後は、
図1Cに示すように、水などのリンス液を基板Wの表面に供給し、基板Wの表面の全域を覆うリンス液の液膜を形成する。リンス液は、置換液に溶ける液体である。リンス液を基板Wの表面に供給すると、リンス液は、基板Wの表面の凹部Q内の置換液に溶け込みながら、凹部Q内に進入する。これにより、凹部Qの外の置換液だけでなく、凹部Qの中の置換液もリンス液で置換される。置換液をリンス液に置換した後も、撥水膜Rは基板Wの表面に残る。
【0049】
リンス液は、置換液よりも表面張力が高く、置換液に溶ける液体である。リンス液は、水を主成分とする液体である。リンス液における水の含有率は、100vol%または概ね100vol%であってもよいし、98vol%以上であってもよいし、これら以外であってもよい。つまり、リンス液が、置換液と溶け合い、置換液よりも表面張力が高ければ、リンス液は、純水(脱イオン水:DIW(Deionized Water))などの水であってもよいし、水以外の成分を含んでいてもよい。リンス液の表面張力は、水の表面張力と等しいまたは概ね等しい。リンス液は、置換液および撥水剤含有液の両方に溶ける液体であってもよいし、置換液に溶けるが、撥水剤含有液には溶けないまたは殆ど溶けない液体であってもよい。
【0050】
リンス液は、純水である。リンス液は、純水以外の液体であってもよい。リンス液は、純水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、希釈濃度(例えば、10~100ppm程度)の塩酸水、および希釈濃度(例えば、10~100ppm程度)のアンモニア水のうちの少なくとも1つを含む液体であってもよいし、これ以外の液体であってもよい。リンス液は、過酸化水素水などの薬品を含む水溶液であってもよい。
【0051】
水に対するIPAの溶解度が極めて大きいので、置換液がIPAであり、リンス液が純水である場合、凹部Qの内外に置換液がある状態で基板Wの表面にリンス液を供給すると、凹部Qの内外で置換液の濃度に差がある間は、凹部Q内の置換液にリンス液が拡散し、凹部Q内の液体におけるリンス液の濃度が徐々に増加していく。したがって、凹部Qの内面の撥水性が高くても、より多くのリンス液を凹部Qに進入させることができ、凹部Qに残留する置換液を減らすことができる。
【0052】
リンス液を基板Wの表面に供給した後は、
図1Dに示すように、凹部Q内のリンス液を凹部Qの外に移動させるために、基板Wおよびリンス液を加熱する。このとき、凹部Q内の一部のリンス液が蒸気に変化し、リンス液の溶存ガスが凹部Q内に放出される。リンス液の蒸発と溶存ガスの放出の一方だけが起こる場合もある。基板Wおよびリンス液の加熱を続けると、凹部Q内の気体が増加し、凹部Q内のリンス液を、リンス液のバルク側、すなわち、凹部Qよりも体積が大きくかつ凹部Qの外に位置するリンス液の1つの塊側に移動させる。さらに、リンス液の表面張力が高く、凹部Qの内面の撥水性が高いので、リンス液の表面と凹部Qの内面との間に働く力によって、凹部Qからのリンス液の排出が促進される。
【0053】
基板Wおよびリンス液の加熱を続けると、凹部Q内のリンス液が、リンス液のバルク側に移動し、リンス液のバルクに取り込まれる。これにより、リンス液が、非浮上状態から浮上状態に変化する。非浮上状態は、基板Wの表面に形成された凹部Qがリンス液で満たされた状態でリンス液が基板Wの表面を覆う状態である。浮上状態は、基板Wの表面に形成された凹部Qの少なくとも一部が気体で満たされた状態でリンス液が基板Wの表面を覆う状態である。
【0054】
複数の凹部Qが基板Wの表面に形成されている場合、基板Wおよびリンス液の加熱を続けると、全てまたは殆ど全ての凹部Qからリンス液が排出される。このとき、リンス液の液膜は、少なくとも1つの凹部Qの底面s3から浮上しており、パターンPAと凹部Q内の気体とによって支えられた状態で、基板Wの表面の全域を覆う。言い換えると、リンス液の液膜は、全てまたは殆ど全ての凹部Qの底面s3から離れており、全てまたは殆ど全てのパターンエレメントP1の先端によって支えられた状態で、基板Wの表面の全域を覆う。
【0055】
リンス液が非浮上状態から浮上状態に変化すると、凹部Qの入口に相当する凹部Qの開口が、リンス液の液膜によって塞がれ、気体が凹部Q内に閉じ込められる。そのため、リンス液が凹部Qに入り難い。さらに、リンス液の表面張力が高く、凹部Qの内面の撥水性が高いので、凹部Qに入ろうとするリンス液を凹部Qから遠ざける力が凹部Qの内面からリンス液に働く。したがって、基板Wおよびリンス液の加熱を停止したとしても、リンス液は直ぐには非浮上状態に戻らない、もしくは、浮上状態に維持される。
【0056】
基板Wおよびリンス液の加熱は、ヒーターなどの電力の供給に応じて発熱する電気機器の熱を直接または間接的に基板Wおよびリンス液に伝達することによって行ってもよいし、加熱ガスや加熱液などの室温(例えば、20~30℃)よりも高温の加熱流体を基板Wおよびリンス液の少なくとも一方に接触させることにより行ってもよい。電気機器と加熱流体の両方を用いてもよい。電気機器および加熱流体の少なくとも一方に加えてまたは代えて、電気機器および加熱流体以外の熱源を用いて基板Wおよびリンス液を加熱してもよい。基板Wの中央部に直交する回転軸線まわりに基板Wを回転させながら基板Wを加熱してもよいし、基板Wを回転させずに基板Wを加熱してもよい。
【0057】
リンス液が非浮上状態から浮上状態に変化するのであれば、基板Wおよびリンス液を加熱しているときのリンス液の温度は、リンス液の沸点以上であってもよいし、リンス液の沸点未満であってもよい。電気機器や加熱流体などの熱源の温度を、変化させてもよいし、一定に維持してもよい。電気機器の温度を変えずに、基板Wおよび電気機器の少なくとも一方を移動させることにより、基板Wおよび電気機器の間隔を増加または減少させることにより、リンス液の温度を変化させてもよい。
【0058】
基板Wおよびリンス液を加熱しているときのリンス液の温度は、リンス液の沸点未満、置換液の沸点以上であってもよい。この場合、凹部Q内のリンス液に溶け込んでいる置換液を蒸発させて、凹部Qの少なくとも一部を置換液の蒸気で満たすことができる。加えて、置換液が蒸発することでリンス液の純度が高まるので、リンス液(厳密には、置換液が溶け込んだリンス液)の表面張力を高めることができ、より確実にリンス液を浮上状態に維持することができる。
【0059】
リンス液を浮上状態に変化させた後は、
図1Eに示すように、浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去することにより、基板Wを乾燥させる。基板Wを高速回転させて非浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去する従来のスピンドライでは、凹部Qの底側の空間がリンス液で満たされた状態で気体とリンス液との界面がパターンPAの先端付近に形成され、パターンPAを倒壊させる倒壊力が気体とリンス液とパターンPAとの境界からパターンPAの表面に加わる。これに対して、浮上状態では、凹部Qが気体で満たされており、気体とリンス液との界面がパターンPAの先端付近に位置している。したがって、従来のスピンドライとは異なる状態を経て基板Wを乾燥させることができる。
【0060】
基板Wの乾燥は、浮上状態のリンス液を除去して基板Wの表面を露出させるリンス液の除去と、基板Wの表面が濡れた状態から乾いた状態に基板Wを変化させる仕上げ乾燥とを含む。仕上げ乾燥は、リンス液の除去と同時に行ってもよいし、リンス液の除去の後に行ってもよい。前者の場合、
図2Aに示すように、基板Wの中央部に直交する回転軸線まわりに基板Wを回転させるスピンオフを行ってもよい。この場合、窒素ガスなどの気体を基板Wの表面に吹き付けるガスブローを行うことにより、リンス液の除去と仕上げ乾燥とをアシストしてもよい。ガスブローに加えてまたは代えて、基板Wに接する雰囲気の圧力(気圧)を低下させる減圧を行うことにより、リンス液の除去と仕上げ乾燥とをアシストしてもよい。
【0061】
リンス液の除去の後に仕上げ乾燥を行う場合、ガスブローを行うことにより、基板Wの表面の全域を覆うリンス液の液膜の中央部に穴を形成し、この穴の外周を基板Wの外周まで広げることにより、浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去してもよい。この後、基板Wに残留している微量のリンス液をスピンオフによって除去することにより、基板Wを乾燥させてもよい。リンス液の液膜に穴を形成してから穴の外周を基板Wの外周まで広げるまでの間、基板Wを非回転に維持してもよいし、回転させてもよい。
【0062】
リンス液の除去の後に仕上げ乾燥を行う場合、
図2Bに示すように、浮上状態のリンス液を重力によって基板Wから落下させてもよい。例えば、リンス液を浮上状態に変化させる前または後に、基板Wの表面を上に向けた水平な姿勢から、基板Wの表面を上に向けた傾いた姿勢、または、基板Wの表面を下に向けた水平または傾いた姿勢に、基板Wを変更してもよい。この後、基板Wに残留している微量のリンス液をスピンオフによって除去することにより、基板Wを乾燥させてもよい。
【0063】
リンス液の除去は、基板Wに対してリンス液を移動させるのではなく、リンス液に対して基板Wを移動させることにより行ってもよい。例えば、
図2Cに示すように、基板Wの全体が鉛直な姿勢でリンス液に浸漬された状態でリンス液を浮上状態に変化させ、その後、鉛直な姿勢の基板Wをリンス液の表面(上面)から引き上げることにより、浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去してもよい。
【0064】
鉛直な姿勢の基板Wをリンス液の表面から引き上げながら、もしくは、引き上げた後に、気体をリンス液の上方の空間で基板Wの表面に衝突させることにより、基板Wに残留している微量のリンス液を除去してもよい。気体は、不活性ガス、清浄空気、および乾燥空気のいずれかであってもよいし、IPAなどの有機溶剤の蒸気であってもよい。このような気体の衝突に加えてまたは代えて、リンス液の上方の空間内の気圧を低下させることにより、基板Wに残留している微量のリンス液を除去してもよい。
【0065】
リンス液の除去は、基板Wおよびリンス液の加熱を継続しているときに行ってもよいし、基板Wおよびリンス液の加熱を停止した後に行ってもよい。前述のように、気体が凹部Qに閉じ込められる、リンス液の表面張力が高く、凹部Qの内面の撥水性が高い、などの理由により、基板Wおよびリンス液の加熱を停止したとしても、リンス液は直ぐには非浮上状態に戻らない、もしくは、浮上状態に維持される。したがって、基板Wおよびリンス液の加熱を停止したとしても、浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去することができる。
【0066】
図2Aは、リンス液を基板Wの表面に供給してから、基板Wを乾燥させるまでの一連の処理の第1の例を示している。第1の例では、基板Wの姿勢が基板Wの表面を上に向けた水平な姿勢に維持される。
図2Aに示すように、基板Wの下方に配置されたヒーターを発熱させることにより、基板Wおよびリンス液を加熱し、リンス液を非浮上状態から浮上状態に変化させてもよい。その後、基板Wの中央部に直交する回転軸線まわりに基板Wを回転させるスピンオフにより、浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去し、基板Wを乾燥させてもよい。
【0067】
図2Bは、リンス液を基板Wの表面に供給してから、基板Wを乾燥させるまでの一連の処理の第2の例を示している。第2の例では、基板Wの姿勢が、基板Wの表面を上に向けた水平な姿勢から、基板Wの表面を下に向けた水平な姿勢に変更され、その後、基板Wの表面を上に向けた水平な姿勢に戻される。
【0068】
図2Bに示すように、基板Wの表面にリンス液を供給した後、基板Wの表面を下に向けてもよい。このとき、リンス液のバルクが基板Wの表面から落下するものの、凹部Q内のリンス液は凹部Qに留まる。この状態で、基板Wの上方に配置されたヒーターを発熱させることにより、基板Wおよびリンス液を加熱してもよい。このようにすれば、重力だけでなく、凹部Q内に発生した気体の圧力も、凹部Q内のリンス液に加わる。これにより、基板Wの表面が下に向けられたまま、リンス液が非浮上状態から浮上状態に変化する。
【0069】
基板Wの表面が下に向けられたまま、リンス液が非浮上状態から浮上状態に変化すると、リンス液は、凹部Qの中から凹部Qの外に移動し、基板Wの表面から落下する。基板Wの表面の残留する微量のリンス液を除去して基板Wを乾燥させるために、スピンオフを行ってもよい。この場合、基板Wの表面を上に向けてからスピンオフを行ってもよいし、基板Wの表面を下に向けたままスピンオフを行ってもよい。
【0070】
図2Cは、リンス液を基板Wの表面に供給してから、基板Wを乾燥させるまでの一連の処理の第3の例を示している。第3の例では、基板Wの姿勢が鉛直な姿勢に維持される。
図2Cに示すように、基板Wをリンス液に浸漬させることにより、リンス液を基板Wの表面に供給してもよい。基板Wの全体がリンス液に浸かった状態でヒーターを発熱させることにより、基板Wおよびリンス液を加熱し、リンス液を非浮上状態から浮上状態に変化させてもよい。その後、基板Wをリンス液の表面から引き上げることにより、浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去してもよい。その後、必要であれば、IPAの蒸気などを用いて仕上げ乾燥を行ってもよい。
【0071】
次に、凹凸面(粗面)の濡れについて説明する。
【0072】
図3Aは、Wenzel(ウェンゼル)モデルについて説明するための基板Wの概略断面図である。
図3Bは、Cassie-Baxter(カシー・バクスター)モデルについて説明するための基板Wの概略断面図である。
【0073】
WenzelモデルおよびCassie-Baxterモデルは、凹凸面(粗面)の濡れについて説明する際に用いられるモデルである。Wenzelの式によると、同一の材料で形成された平滑面と凹凸面とを比較した場合、平滑面の接触角が90度を上回ると、凹凸面の接触角(見かけの接触角)は平滑面の接触角を上回る。Wenzelモデルにしたがう凹凸面の濡れは、凹凸面上の液滴が凹みの中にまで進入した
図3Aに示すWenzel状態(以下、W状態)に基づいて説明される。Cassie-Baxterモデルにしたがう凹凸面の濡れは、凹みが空気で満たされており、液滴が凸部の先端で支えられた
図3Bに示すCassie-Baxter状態(以下、CB状態)に基づいて説明される。
【0074】
凹凸面上の液滴がW状態およびCB状態のいずれを採るかは、液体の表面張力、凹凸面(固体)の表面自由エネルギー、および凹みの幅などの要因が影響し、液体の表面張力が高く、凹凸面の表面自由エネルギーが低い(凹凸面の撥水性が高い)ほど、凹凸面上の液滴がCB状態になりやすいと考えられる。また、凹凸面上の液滴がCB状態になり得る条件が満たされていても、凹凸面上の液滴がW状態になり得ると考えられる。この場合、何らかのエネルギーを与えることで液滴がW状態からCB状態に遷移し、CB状態で安定すると考えられる。
【0075】
半導体装置やFPD等の製造工程では、微細なパターンPAが基板Wの表面に形成される。パターンPAの幅やパターンPAの間隔は、1000nm以下であり、近年では、数nmまたは数十nmの場合もある。パターンPAのアスペクト比(パターンPAの幅に対するパターンPAの高さの比)は、1~数十程度であり、近年では、100以上の場合もある。パターンPAが基板Wの表面に形成されている場合、基板Wの表面は、微細な凹凸面であり、形状に関してはCB状態になり得る条件を満たしている。したがって、液体の表面張力および基板Wの表面の表面自由エネルギーなどをコントロールすれば、液膜がCB状態になり得ると考えられる。
【0076】
前述の非浮上状態は、W状態に類似する状態である。前述の浮上状態は、CB状態に類似する状態である。リンス液は、水を主成分とする液体であり、置換液よりも表面張力が高い。基板Wの表面は、撥水剤含有液との接触によって撥水性が高まっている。基板Wおよびリンス液を加熱すると、熱エネルギーがリンス液に加わり、リンス液が非浮上状態から浮上状態、つまり、W状態からCB状態に変化する。その後、新たなエネルギーを加えない限り、リンス液は、浮上状態に維持される。したがって、IPAなどの有機溶剤を浮上状態に維持する場合のように、基板Wに接する液体を加熱し続けなくても、この液体を浮上状態に維持することができる。
【0077】
水滴が凹凸面である基板Wの表面にCB状態で接している場合について検討する。撥水剤含有液が、基板Wの表面と同一の材料で形成された平滑面に対する水の接触角を90度以上の値にまで増加させる液体である場合、撥水剤含有液が供給された基板Wの表面に対する水の見かけの接触角は、平滑面に対する水の接触角を上回る。この場合、撥水剤含有液が供給された基板Wの表面に対する水の見かけの接触角は、150度を上回っていてもよい。つまり、撥水剤含有液が供給された基板Wの表面は、水の接触角が150度を上回る超撥水面であってもよい。
【0078】
リンス液のバルクの厚みを、パターンエレメントP1(
図1A参照)の先端からバルクの表面までのバルクの表面に直交する方向への距離と定義する。基板Wおよびリンス液の加熱によって、リンス液を非浮上状態から浮上状態、つまり、W状態からCB状態に変化させるとき、リンス液のバルクの厚みを増加させると、バルクから凹部Q内のリンス液に加わる圧力が増加するので、リンス液を浮上状態に変化させるために必要な熱エネルギーが増加すると考えられる。非浮上状態のリンス液に接する雰囲気の圧力(気圧)が増加したときも、必要な熱エネルギーが増加すると考えられる。
【0079】
非浮上状態のリンス液のバルクの厚みは、浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去するまで基板Wの表面の全域がリンス液で覆われた状態を維持できる範囲内で薄くしてもよい。このようにすれば、リンス液を浮上状態に変化させる熱エネルギーを削減でき、リンス液が浮上状態に変化するまでの時間を短縮できる。さらに、非浮上状態のリンス液のバルクが薄ければ、浮上状態のリンス液のバルクも薄いので、バルクが厚い場合に比べて凹部Q内の気体に加わるリンス液の圧力が減少する。これにより、リンス液をより確実に浮上状態に維持できる。
【0080】
次に、
図1A~
図1Eに示す基板Wの処理を行う基板処理装置1の一例について説明する。
【0081】
図4は、基板処理装置1に備えられた処理ユニット2の内部を水平に見た概略図である。
図4中のDIWは、純水を表している。これは他の図でも同様である。
【0082】
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、基板Wを収容するキャリアを保持するロードポートと、ロードポート上のキャリアから搬送された基板Wを処理液や処理ガスなどの処理流体で処理する複数の処理ユニット2と、ロードポート上のキャリアと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送システムと、基板処理装置1を制御する制御装置3とを備えている。
【0083】
処理ユニット2は、基板Wに処理液を供給するウェット処理ユニットである。処理ユニット2は、内部空間を有する箱型のチャンバー4と、チャンバー4内で1枚の基板Wを水平に保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに回転させるスピンチャック10と、回転軸線A1まわりにスピンチャック10を取り囲む筒状の処理カップ21とを含む。
【0084】
チャンバー4は、基板Wが通過する搬入搬出口5bが設けられた箱型の隔壁5と、搬入搬出口5bを開閉するシャッター7とを含む。FFU6(ファン・フィルター・ユニット)は、隔壁5の上部に設けられた送風口5aの上に配置されている。FFU6は、クリーンエアー(フィルターによってろ過された空気)を送風口5aからチャンバー4内に常時供給する。チャンバー4内の気体は、処理カップ21の底部に接続された排気ダクト8を通じてチャンバー4から排出される。これにより、クリーンエアーのダウンフローがチャンバー4内に常時形成される。排気ダクト8に排出される排気の流量は、排気ダクト8内に配置された排気バルブ9の開度に応じて変更される。
【0085】
スピンチャック10は、水平な姿勢で保持された円板状のスピンベース12と、スピンベース12の上方で基板Wを水平な姿勢で保持する複数のチャックピン11と、スピンベース12の中央部から下方に延びるスピン軸13と、スピン軸13を回転させることによりスピンベース12および複数のチャックピン11を回転させるスピンモーター14とを含む。スピンチャック10は、複数のチャックピン11を基板Wの外周面に接触させる挟持式のチャックに限らず、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)をスピンベース12の上面12uに吸着させることにより基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。
【0086】
処理カップ21は、基板Wから外方に排出された処理液を受け止める複数のガード24と、複数のガード24によって下方に案内された処理液を受け止める複数のカップ23と、複数のガード24および複数のカップ23を取り囲む円筒状の外壁部材22とを含む。
図4は、4つのガード24と3つのカップ23とが設けられており、最も外側のカップ23が上から3番目のガード24と一体である例を示している。
【0087】
ガード24は、スピンチャック10を取り囲む円筒部25と、円筒部25の上端部から回転軸線A1に向かって斜め上に延びる円環状の天井部26とを含む。複数の天井部26は、上下に重なっており、複数の円筒部25は、同心円状に配置されている。天井部26の円環状の上端は、平面視で基板Wおよびスピンベース12を取り囲むガード24の上端24uに相当する。複数のカップ23は、それぞれ、複数の円筒部25の下方に配置されている。カップ23は、ガード24によって下方に案内された処理液を受け止める環状の受液溝を形成している。
【0088】
処理ユニット2は、複数のガード24を個別に昇降させるガード昇降ユニット27を含む。ガード昇降ユニット27は、上位置から下位置までの任意の位置にガード24を位置させる。
図4は、2つのガード24が上位置に配置されており、残り2つのガード24が下位置に配置されている状態を示している。上位置は、ガード24の上端24uがスピンチャック10に保持されている基板Wが配置される保持位置よりも上方に配置される位置である。下位置は、ガード24の上端24uが保持位置よりも下方に配置される位置である。
【0089】
回転している基板Wに処理液を供給するときは、少なくとも1つのガード24が上位置に配置される。この状態で、処理液が基板Wに供給されると、処理液は、基板Wから外方に振り切られる。振り切られた処理液は、基板Wに水平に対向するガード24の内面に衝突し、このガード24に対応するカップ23に案内される。これにより、基板Wから排出された処理液がカップ23に集められる。
【0090】
処理ユニット2は、スピンチャック10に保持されている基板Wに向けて処理液や処理ガスなどの処理流体を吐出する複数のノズルを含む。複数のノズルは、基板Wの上面に向けて第1薬液を吐出する第1薬液ノズル31aと、基板Wの上面に向けて第2薬液を吐出する第2薬液ノズル31bと、基板Wの上面に向けてリンス液を吐出するリンス液ノズル35とを含む。複数のノズルは、さらに、基板Wの上面に向けて有機溶剤の液体(以下では、単に「有機溶剤」という。)を吐出する有機溶剤ノズル39と、基板Wの上面に向けて撥水剤含有液を吐出する撥水剤含有液ノズル43とを含む。
【0091】
第1薬液ノズル31aは、チャンバー4内で水平に移動可能なスキャンノズルであってもよいし、チャンバー4の隔壁5に対して固定された固定ノズルであってもよい。第2薬液ノズル31b、リンス液ノズル35、有機溶剤ノズル39、および撥水剤含有液ノズル43についても同様である。
図4は、第1薬液ノズル31a、第2薬液ノズル31b、リンス液ノズル35、有機溶剤ノズル39、および撥水剤含有液ノズル43が、スキャンノズルであり、これら5つのノズルにそれぞれ対応する5つのノズル移動ユニットが設けられた例を示している。
【0092】
第1薬液ノズル31aは、第1薬液ノズル31aに第1薬液を案内する第1薬液配管32aに接続されている。第1薬液配管32aに介装された第1薬液バルブ33aが開かれると、第1薬液が、第1薬液ノズル31aの吐出口から下方に連続的に吐出される。第1薬液ノズル31aは、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方に第1薬液ノズル31aを移動させるノズル移動ユニット34aに接続されている。ノズル移動ユニット34aは、第1薬液ノズル31aから吐出された薬液が基板Wの上面に供給される処理位置と、第1薬液ノズル31aが平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置と、の間で第1薬液ノズル31aを水平に移動させる。
【0093】
図示はしないが、第1薬液バルブ33aは、薬液が通過する環状の弁座が設けられたバルブボディと、弁座に対して移動可能な弁体と、弁体が弁座に接触する閉位置と弁体が弁座から離れた開位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む。他のバルブについても同様である。アクチュエータは、空圧アクチュエータまたは電動アクチュエータであってもよいし、これら以外のアクチュエータであってもよい。制御装置3は、アクチュエータを制御することにより、第1薬液バルブ33aを開閉させる。
【0094】
第2薬液ノズル31bは、第2薬液ノズル31bに第2薬液を案内する第2薬液配管32bに接続されている。第2薬液配管32bに介装された第2薬液バルブ33bが開かれると、第2薬液が、第2薬液ノズル31bの吐出口から下方に連続的に吐出される。第2薬液ノズル31bは、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方に第2薬液ノズル31bを移動させるノズル移動ユニット34bに接続されている。ノズル移動ユニット34bは、第2薬液ノズル31bから吐出された薬液が基板Wの上面に供給される処理位置と、第2薬液ノズル31bが平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置と、の間で第2薬液ノズル31bを水平に移動させる。
【0095】
第1薬液は、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸、リン酸、酢酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、および腐食防止剤の少なくとも1つを含む液であってもよいし、これ以外の液体であってもよい。第2薬液についても同様である。第2薬液は、成分、濃度、および温度のうちの少なくとも1つが第1薬液とは異なる液体である。第2薬液は、SC1(水酸化アンモニウムと過酸化水素と水とを含む液体)やオゾン水などのケイ素(Si)またはケイ素を含む材料を酸化させる液体であってもよい。以下では、第1薬液がDHF(希フッ酸)であり、第2薬液がSC1である例について説明する。
【0096】
リンス液ノズル35は、リンス液ノズル35にリンス液を案内するリンス液配管36に接続されている。リンス液配管36に介装されたリンス液バルブ37が開かれると、リンス液が、リンス液ノズル35の吐出口から下方に連続的に吐出される。リンス液ノズル35から吐出されるリンス液は、例えば、純水である。リンス液は、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、希釈濃度(例えば、10~100ppm程度)の塩酸水、および希釈濃度(例えば、10~100ppm程度)のアンモニア水のいずれかであってもよい。
【0097】
リンス液ノズル35は、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方にリンス液ノズル35を移動させるノズル移動ユニット38に接続されている。ノズル移動ユニット38は、リンス液ノズル35から吐出されたリンス液が基板Wの上面に供給される処理位置と、リンス液ノズル35が平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置と、の間でリンス液ノズル35を水平に移動させる。
【0098】
有機溶剤ノズル39は、有機溶剤ノズル39に有機溶剤を案内する有機溶剤配管40に接続されている。有機溶剤配管40に介装された有機溶剤バルブ41が開かれると、有機溶剤が、有機溶剤ノズル39の吐出口から下方に連続的に吐出される。有機溶剤ノズル39は、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方に有機溶剤ノズル39を移動させるノズル移動ユニット42に接続されている。ノズル移動ユニット42は、有機溶剤ノズル39から吐出された有機溶剤が基板Wの上面に供給される処理位置と、有機溶剤ノズル39が平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置と、の間で有機溶剤ノズル39を水平に移動させる。
【0099】
撥水剤含有液ノズル43は、撥水剤含有液ノズル43に撥水剤含有液を案内する撥水剤含有液配管44に接続されている。撥水剤含有液配管44に介装された撥水剤含有液バルブ45が開かれると、撥水剤含有液が、撥水剤含有液ノズル43の吐出口から下方に連続的に吐出される。撥水剤含有液ノズル43は、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方に撥水剤含有液ノズル43を移動させるノズル移動ユニット46に接続されている。ノズル移動ユニット46は、撥水剤含有液ノズル43から吐出された撥水剤含有液が基板Wの上面に供給される処理位置と、撥水剤含有液ノズル43が平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置と、の間で撥水剤含有液ノズル43を水平に移動させる。
【0100】
複数のノズルは、基板Wの下面中央部に向けて処理流体を吐出する下面ノズル71を含む。下面ノズル71は、スピンベース12の上面12uと基板Wの下面との間に配置されたノズル円板部と、ノズル円板部から下方に延びるノズル筒状部とを含む。下面ノズル71の吐出口は、ノズル円板部の上面中央部で開口している。基板Wがスピンチャック10に保持されているときは、下面ノズル71の吐出口が、基板Wの下面中央部に上下に対向する。
【0101】
下面ノズル71は、加熱流体の一例である加熱ガスを下面ノズル71に案内する加熱流体配管72に接続されている。加熱ガスは、室温よりも高温のガスである。加熱ガスは、不活性ガス、清浄空気、および乾燥空気のいずれかであってもよいし、これら以外のガスであってもよい。
図4は、加熱ガスが窒素ガスである例を示している。下面ノズル71に供給される加熱ガスは、加熱流体配管72に介装されたヒーター75によって加熱される。加熱流体配管72に介装された加熱流体バルブ73が開かれると、加熱ガスの流量を変更する流量調整バルブ74の開度に対応する流量で、加熱ガスが、下面ノズル71の吐出口から上方に連続的に吐出される。これにより、加熱ガスが基板Wの下面に供給される。
【0102】
次に、
図4に示す処理ユニット2とは異なる処理ユニット2について説明する。
【0103】
図5は、
図4に示す処理ユニット2とは異なる処理ユニット2を水平に見た概略図である。
図6は、
図5に示す処理ユニット2に設けられたスピンチャック10およびホットプレート92を上から見た概略図である。
図4に示された構成と同等の構成については、
図4と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0104】
図5および
図6に示す処理ユニット2の
図4に示す処理ユニット2に対する主要な相違点は、下面ノズル71の代わりにホットプレート92が設けられていることである。ホットプレート92は、電力の供給に応じて発熱する電気機器の一例である。
図5に示すように、ホットプレート92は、基板Wとスピンベース12との間に配置される。
【0105】
ホットプレート92は、通電によりジュール熱を発生する発熱体93と、発熱体93を収容するアウターケース94とを含む。発熱体93およびアウターケース94は、基板Wの下方に配置される。発熱体93は、発熱体93に電力を供給する配線(図示せず)に接続されている。発熱体93の温度は、制御装置3によって変更される。制御装置3が発熱体93を発熱させると、基板Wの全体が均一に加熱される。
【0106】
ホットプレート92のアウターケース94は、基板Wの下方に配置される円板状のベース部95と、ベース部95の上面から上方に突出する複数の半球状の突出部96とを含む。ベース部95の上面は、基板Wの下面と平行であり、基板Wの直径より小さい外径を有している。複数の突出部96は、ベース部95の上面から上方に離れた位置で基板Wの下面に接触する。複数の突出部96は、基板Wが水平に支持されるように、ベース部95の上面内の複数の位置に配置されている。基板Wは、基板Wの下面がベース部95の上面から上方に離れた状態で水平に支持される。
【0107】
図6に示すように、複数のチャックピン11は、ホットプレート92のまわりに配置されている。ホットプレート92の中心線は、基板Wの回転軸線A1上に配置されている。スピンチャック10が回転しても、ホットプレート92は回転しない。ホットプレート92の外径は、基板Wの直径よりも小さい。ホットプレート92の外径と基板Wの直径との差は、チャックピン11の高さ(
図5参照。スピンベース12の上面12uからチャックピン11の上端までの上下方向の長さ)よりも小さい。
【0108】
図5に示すように、ホットプレート92は、ホットプレート92の中央部から下方に延びる支軸97によって水平に支持されている。ホットプレート92は、スピンベース12に対して上下に移動可能である。ホットプレート92は、支軸97を介してプレート昇降ユニット98に接続されている。プレート昇降ユニット98は、上位置(
図5において実線で示す位置)と下位置(
図5において二点鎖線で示す位置)との間でホットプレート92を鉛直に昇降させる。上位置は、ホットプレート92が基板Wの下面に接触する接触位置である。下位置は、ホットプレート92が基板Wから離れた状態で基板Wの下面とスピンベース12の上面12uとの間に配置される近接位置である。
【0109】
プレート昇降ユニット98は、上位置から下位置までの任意の位置にホットプレート92を位置させる。基板Wが複数のチャックピン11に支持されており、基板Wの把持が解除されている状態で、ホットプレート92が上位置まで上昇すると、ホットプレート92の複数の突出部96が基板Wに下面に接触し、基板Wがホットプレート92に支持される。その後、基板Wは、ホットプレート92によって持ち上げられ、複数のチャックピン11から上方に離れる。この状態で、ホットプレート92が下位置まで下降すると、ホットプレート92上の基板Wが複数のチャックピン11の上に置かれ、ホットプレート92が基板Wから下方に離れる。このようにして、基板Wは、複数のチャックピン11とホットプレート92との間で受け渡される。
【0110】
図7は、制御装置3のハードウェアを示すブロック図である。
【0111】
制御装置3は、コンピュータ本体3aと、コンピュータ本体3aに接続された周辺装置3dとを含む、コンピュータである。コンピュータ本体3aは、各種の命令を実行するCPU3b(central processing unit:中央処理装置)と、情報を記憶する主記憶装置3cとを含む。周辺装置3dは、プログラムP等の情報を記憶する補助記憶装置3eと、リムーバブルメディアRMから情報を読み取る読取装置3fと、ホストコンピュータ等の他の装置と通信する通信装置3gとを含む。
【0112】
制御装置3は、入力装置および表示装置に接続されている。入力装置は、ユーザーやメンテナンス担当者などの操作者が基板処理装置1に情報を入力するときに操作される。情報は、表示装置の画面に表示される。入力装置は、キーボード、ポインティングデバイス、およびタッチパネルのいずれかであってもよいし、これら以外の装置であってもよい。入力装置および表示装置を兼ねるタッチパネルディスプレイが基板処理装置1に設けられてもよい。
【0113】
CPU3bは、補助記憶装置3eに記憶されたプログラムPを実行する。補助記憶装置3e内のプログラムPは、制御装置3に予めインストールされたものであってもよいし、読取装置3fを通じてリムーバブルメディアRMから補助記憶装置3eに送られたものであってもよいし、ホストコンピュータなどの外部装置から通信装置3gを通じて補助記憶装置3eに送られたものであってもよい。
【0114】
補助記憶装置3eおよびリムーバブルメディアRMは、電力が供給されていなくても記憶を保持する不揮発性メモリーである。補助記憶装置3eは、例えば、ハードディスクドライブ等の磁気記憶装置である。リムーバブルメディアRMは、例えば、コンパクトディスクなどの光ディスクまたはメモリーカードなどの半導体メモリーである。リムーバブルメディアRMは、プログラムPが記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体の一例である。リムーバブルメディアRMは、一時的ではない有形の記録媒体である。
【0115】
補助記憶装置3eは、複数のレシピを記憶している。レシピは、基板Wの処理内容、処理条件、および処理手順を規定する情報である。複数のレシピは、基板Wの処理内容、処理条件、および処理手順の少なくとも1つにおいて互いに異なる。制御装置3は、ホストコンピュータによって指定されたレシピにしたがって基板Wが処理されるように基板処理装置1を制御する。制御装置3は、以下の各工程を実行するようにプログラムされている。
【0116】
次に、
図4に示す処理ユニット2によって行われる基板Wの処理の一例について説明する。
【0117】
図8は、基板処理装置1によって行われる基板Wの処理の一例について説明するための工程図である。処理される基板Wは、例えば、シリコンウエハなどの半導体ウエハである。以下では、パターンPA(
図1A参照)の表面の少なくとも一部がケイ素(Si)またはケイ素を含む材料で形成された例について説明する。以下では、
図4および
図8を参照する。
【0118】
処理ユニット2によって基板Wを処理するときは、チャンバー4内に基板Wを搬入する搬入工程(
図8のステップS1)を行う。
【0119】
具体的には、全てのガード24が下位置に位置しており、全てのスキャンノズルが待機位置に位置している状態で、搬送システムが、基板Wをハンドで水平に支持しながら、ハンドをチャンバー4内に進入させる。その後、搬送システムは、基板Wの表面が上に向けられた状態でハンド上の基板Wを複数のチャックピン11の上に置く。その後、搬送システムは、ハンドをチャンバー4の内部から退避させる。
【0120】
基板Wが複数のチャックピン11の上に置かれた後は、複数のチャックピン11が基板Wの外周面に押し付けられ、基板Wが把持される。その後、スピンモーター14が駆動され、基板Wの回転が開始される(
図8のステップS2)。これにより、基板Wが第1薬液供給速度で回転する。ガード昇降ユニット27は、基板Wの回転が開始される前または後に、少なくとも1つのガード24を下位置から上位置に上昇させる。
【0121】
次に、第1薬液の一例であるDHFを基板Wの上面に供給して、基板Wの上面の全域を覆うDHFの液膜を形成する第1薬液供給工程(
図8のステップS3)を行う。
【0122】
具体的には、少なくとも1つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット34aが第1薬液ノズル31aを待機位置から処理位置に移動させる。その後、第1薬液バルブ33aが開かれ、第1薬液ノズル31aがDHFの吐出を開始する。第1薬液バルブ33aが開かれてから所定時間が経過すると、第1薬液バルブ33aが閉じられ、DHFの吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット34aが、第1薬液ノズル31aを待機位置に移動させる。
【0123】
第1薬液ノズル31aから吐出されたDHFは、第1薬液供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。そのため、DHFが基板Wの上面の全域に供給され、基板Wの上面の全域を覆うDHFの液膜が形成される。第1薬液ノズル31aがDHFを吐出しているとき、ノズル移動ユニット34aは、基板Wの上面に対するDHFの衝突位置が中央部と外周部とを通るように衝突位置を移動させてもよいし、中央部で衝突位置を静止させてもよい。衝突位置を移動させるか否かは、DHFの後に基板Wの上面に供給される処理液についても同様である。
【0124】
次に、リンス液の一例である純水を基板Wの上面に供給して、基板W上の薬液を洗い流す第1リンス液供給工程(
図8のステップS4)を行う。
【0125】
具体的には、少なくとも1つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット38がリンス液ノズル35を待機位置から処理位置に移動させる。その後、リンス液バルブ37が開かれ、リンス液ノズル35が純水の吐出を開始する。純水の吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも1つのガード24を鉛直に移動させてもよい。
【0126】
リンス液ノズル35から吐出された純水は、第1リンス液供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上のDHFは、リンス液ノズル35から吐出された純水に置換される。これにより、基板Wの上面の全域を覆う純水の液膜が形成される。リンス液バルブ37が開かれてから所定時間が経過すると、リンス液バルブ37が閉じられ、純水の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット38が、リンス液ノズル35を待機位置に移動させる。
【0127】
次に、第2薬液の一例であるSC1を基板Wの上面に供給して、基板Wの上面の全域を覆うSC1の液膜を形成する第2薬液供給工程(
図8のステップS5)を行う。
【0128】
具体的には、少なくとも1つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット34bが第2薬液ノズル31bを待機位置から処理位置に移動させる。その後、第2薬液バルブ33bが開かれ、第2薬液ノズル31bがSC1の吐出を開始する。SC1の吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも1つのガード24を鉛直に移動させてもよい。
【0129】
第2薬液ノズル31bから吐出されたSC1は、第2薬液供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上の純水は、第2薬液ノズル31bから吐出されたSC1に置換される。これにより、基板Wの上面の全域を覆うSC1の液膜が形成される。第2薬液バルブ33bが開かれてから所定時間が経過すると、第2薬液バルブ33bが閉じられ、SC1の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット34bが、第2薬液ノズル31bを待機位置に移動させる。
【0130】
次に、リンス液の一例である純水を基板Wの上面に供給して、基板W上の薬液を洗い流す第2リンス液供給工程(
図8のステップS6)を行う。
【0131】
具体的には、少なくとも1つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット38がリンス液ノズル35を待機位置から処理位置に移動させる。その後、リンス液バルブ37が開かれ、リンス液ノズル35が純水の吐出を開始する。純水の吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも1つのガード24を鉛直に移動させてもよい。
【0132】
リンス液ノズル35から吐出された純水は、第2リンス液供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上のSC1は、リンス液ノズル35から吐出された純水に置換される。これにより、基板Wの上面の全域を覆う純水の液膜が形成される。リンス液バルブ37が開かれてから所定時間が経過すると、リンス液バルブ37が閉じられ、純水の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット38が、リンス液ノズル35を待機位置に移動させる。
【0133】
次に、有機溶剤の一例であるIPAを基板Wの上面に供給して、基板W上の純水をIPAに置換する第1有機溶剤供給工程(
図8のステップS7)を行う。
【0134】
具体的には、少なくとも1つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット42が有機溶剤ノズル39を待機位置から処理位置に移動させる。その後、有機溶剤バルブ41が開かれ、有機溶剤ノズル39がIPAの吐出を開始する。IPAの吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも1つのガード24を鉛直に移動させてもよい。
【0135】
有機溶剤ノズル39から吐出されたIPAは、第1有機溶剤供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上の純水は、有機溶剤ノズル39から吐出されたIPAに置換される。これにより、基板Wの上面の全域を覆うIPAの液膜が形成される。有機溶剤バルブ41が開かれてから所定時間が経過すると、有機溶剤バルブ41が閉じられ、IPAの吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット42が、有機溶剤ノズル39を待機位置に移動させる。
【0136】
次に、撥水剤含有液を基板Wの上面に供給して、基板W上の有機溶剤を撥水剤含有液に置換する撥水剤供給工程(
図8のステップS8)を行う。
【0137】
具体的には、少なくとも1つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット46が撥水剤含有液ノズル43を待機位置から処理位置に移動させる。その後、撥水剤含有液バルブ45が開かれ、撥水剤含有液ノズル43が撥水剤含有液の吐出を開始する。撥水剤含有液の吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも1つのガード24を鉛直に移動させてもよい。
【0138】
撥水剤含有液ノズル43から吐出された撥水剤含有液は、撥水剤含有液供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上のIPAは、撥水剤含有液ノズル43から吐出された撥水剤含有液に置換される。これにより、基板Wの上面の全域を覆う撥水剤含有液の液膜が形成される。撥水剤含有液バルブ45が開かれてから所定時間が経過すると、撥水剤含有液バルブ45が閉じられ、撥水剤含有液の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット46が、撥水剤含有液ノズル43を待機位置に移動させる。
【0139】
DHFを基板Wに供給する前は、酸化シリコン膜などのケイ素を含む自然酸化膜がパターンPAの表層に形成されている。このようなパターンPAにDHFを供給すると、自然酸化膜が除去され、ケイ素またはケイ素を含む材料がパターンPAの表面で露出する。このようなパターンPAにSC1やオゾン水などの酸化力を有する液体を供給すると、酸化シリコン膜などのケイ素を含む酸化膜がパターンPAの表層に形成され、パターンPAの表面で露出するヒドロキシル基が増加する。このようなパターンPAに撥水剤含有液を供給すると、パターンPAの表面で露出するヒドロキシル基が撥水剤含有液の疎水基に置換される。これにより、基板Wの表面の撥水性をさらに高めることができる。
【0140】
撥水剤含有液を基板Wの上面に供給した後は、有機溶剤の一例であるIPAを基板Wの上面に供給して、基板W上の撥水剤含有液をIPAに置換する第2有機溶剤供給工程(
図8のステップS9)を行う。第2有機溶剤供給工程は、置換工程の一例であり、IPAは、置換液の一例である。
【0141】
具体的には、少なくとも1つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット42が有機溶剤ノズル39を待機位置から処理位置に移動させる。その後、有機溶剤バルブ41が開かれ、有機溶剤ノズル39がIPAの吐出を開始する。IPAの吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも1つのガード24を鉛直に移動させてもよい。
【0142】
有機溶剤ノズル39から吐出されたIPAは、第2有機溶剤供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上の撥水剤含有液は、有機溶剤ノズル39から吐出されたIPAに置換される。これにより、基板Wの上面の全域を覆うIPAの液膜が形成される。有機溶剤バルブ41が開かれてから所定時間が経過すると、有機溶剤バルブ41が閉じられ、IPAの吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット42が、有機溶剤ノズル39を待機位置に移動させる。
【0143】
次に、リンス液の一例である純水を基板Wの上面に供給して、基板W上のIPAを純水に置換する最終リンス液供給工程(
図8のステップS10)を行う。
【0144】
具体的には、少なくとも1つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット38がリンス液ノズル35を待機位置から処理位置に移動させる。その後、リンス液バルブ37が開かれ、リンス液ノズル35が純水の吐出を開始する。純水の吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも1つのガード24を鉛直に移動させてもよい。
【0145】
リンス液ノズル35から吐出された純水は、最終リンス液供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上のIPAは、リンス液ノズル35から吐出された純水に置換される。これにより、基板Wの上面の全域を覆う純水の液膜が形成される。リンス液バルブ37が開かれてから所定時間が経過すると、リンス液バルブ37が閉じられ、純水の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット38が、リンス液ノズル35を待機位置に移動させる。
【0146】
次に、基板Wおよび純水を加熱して、純水を非浮上状態から浮上状態に変化させる加熱工程(
図8のステップS11)を行う。
【0147】
具体的には、加熱流体バルブ73が開かれ、高温の窒素ガスなどの加熱ガスの吐出が下面ノズル71によって開始される。下面ノズル71から吐出された加熱ガスは、基板Wの下面に衝突した後、基板Wの下面に沿って放射状に流れる。これにより、基板Wの下面とスピンベース12の上面12uとの間の空間が加熱ガスで満たされ、基板Wおよび純水が加熱される。特に、基板Wを回転させながら基板Wの下面に加熱ガスを接触させるので、基板Wおよび純水の加熱の均一性が高まる。加熱された純水の温度は、100℃であってもよいし、100℃未満であってもよい。このようにして基板Wおよび純水が加熱され、純水が非浮上状態から浮上状態に変化する。
【0148】
次に、浮上状態の純水を基板Wの上面から除去して、基板Wを乾燥させる乾燥工程(
図8のステップS12)を行う。
【0149】
具体的には、スピンモーター14が基板Wを回転方向に加速させ、第1薬液供給工程から加熱工程までの基板Wの回転速度よりも大きい高回転速度(例えば数千rpm)で基板Wを回転させる。スピンモーター14が基板Wの高速回転を開始したとき、下面ノズル71は加熱ガスの吐出を停止していてもよいし、継続していてもよい。スピンモーター14が基板Wの高速回転を開始すると、浮上状態の純水が基板Wから外方に飛散し、基板Wの上面から除去される。これにより、基板Wが乾燥する。基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、スピンモーター14が回転を停止する。これにより、基板Wの回転が停止される(
図8のステップS13)。
【0150】
次に、基板Wをチャンバー4から搬出する搬出工程(
図8のステップS14)を行う。
【0151】
具体的には、下面ノズル71が加熱ガスの吐出を継続している場合は、加熱流体バルブ73が閉じられ、下面ノズル71が加熱ガスの吐出を停止する。ガード昇降ユニット27は、全てのガード24を下位置まで下降させる。その後、搬送システムが、ハンドをチャンバー4内に進入させる。搬送システムは、複数のチャックピン11が基板Wの把持を解除した後、スピンチャック10上の基板Wをハンドで支持する。その後、搬送システムは、基板Wをハンドで水平に支持しながら、ハンドをチャンバー4の内部から退避させる。これにより、処理済みの基板Wがチャンバー4から搬出される。
【0152】
次に、
図5および
図6に示す処理ユニット2によって行われる基板Wの処理の一例について説明する。
【0153】
図5および
図6に示す処理ユニット2によって基板Wを処理するとき、加熱工程(
図8のステップS11)までの工程は、
図4に示す処理ユニット2によって基板Wを処理するときと同様に行われる。
図5および
図6に示す処理ユニット2によって行われる加熱工程(
図8のステップS11)は、以下の通りである。
【0154】
具体的には、スピンチャック10が基板Wを回転させており、ホットプレート92が基板Wの下面から離れた状態で、ホットプレート92が発熱を開始する。加熱された純水の温度は、100℃であってもよいし、100℃未満であってもよい。このようにして基板Wおよび純水が加熱され、純水が非浮上状態から浮上状態に変化する。この後は、加熱流体バルブ73を閉じる代わりにホットプレート92に発熱を停止させる点を除き、前記と同様に、乾燥工程(
図8のステップS12)以降の工程が行われる。
【0155】
加熱工程(
図8のステップS11)においてホットプレート92が基板Wの下面から離れた状態で基板Wおよび純水を加熱するのではなく、ホットプレート92が基板Wの下面に接した状態で基板Wおよび純水を加熱してもよい。
【0156】
具体的には、基板Wの上面の全域がリンス液の液膜で覆われている状態で、複数のチャックピン11に基板Wの把持を解除させ、その後、ホットプレート92を下位置から上位置に移動させてもよい。このようにすれば、基板Wは、ホットプレート92によって持ち上げられ、複数のチャックピン11から上方に離れる。このとき、ホットプレート92は、基板Wに接する前に発熱を開始してもよいし、基板Wに接した後に発熱を開始してもよい。
【0157】
ホットプレート92が基板Wを支持しているとき、ホットプレート92の熱は、基板Wに直接伝達される。このとき、加熱された純水の温度は、100℃であってもよいし、100℃未満であってもよい。このようにして基板Wおよび純水が加熱され、純水が非浮上状態から浮上状態に変化する。その後、ホットプレート92を下位置まで下降させ、ホットプレート92上の基板Wを複数のチャックピン11の上に置くと共に、ホットプレート92を基板Wから離す。ホットプレート92は、基板Wから離れた後に発熱を停止してもよいし、基板Wから離れた後も発熱を継続してもよい。
【0158】
ホットプレート92から複数のチャックピン11に基板Wが渡されると、複数のチャックピン11が基板Wを把持し、スピンモーター14が基板Wを回転させる。この後は、加熱流体バルブ73を閉じる代わりにホットプレート92に発熱を停止させる点を除き、前記と同様に、乾燥工程(
図8のステップS12)以降の工程が行われる。
【0159】
次に、本実施形態に係る効果について説明する。
【0160】
本実施形態では、パターンPAが形成された基板Wの表面に撥水剤含有液を供給する。撥水剤含有液は、パターンPAの表面だけでなく、パターンPAによって基板Wの表面に形成された凹部Qの内面にも接触し、これらに対する水の接触角を増加させる。これにより、基板Wの表面の撥水性が高まる。撥水剤含有液を基板Wの表面に供給した後は、置換液を基板Wの表面に供給し、撥水剤含有液を置換液に置換する。その後、リンス液を基板Wの表面に供給し、置換液をリンス液に置換する。
【0161】
置換液は、撥水剤含有液と溶け合う液体である。リンス液は、置換液と溶け合う液体である。置換液は、基板Wの表面に形成された凹部Q内の撥水剤含有液に溶け込みながら、凹部Q内に進入する。したがって、凹部Qの外の撥水剤含有液だけでなく、凹部Qの中の撥水剤含有液も置換液で置換される。置換液と同様に、リンス液は、基板Wの表面に形成された凹部Q内の置換液に溶け込みながら、凹部Q内に進入する。したがって、凹部Qの外の置換液だけでなく、凹部Qの中の置換液もリンス液で置換される。撥水剤含有液が置換液に溶け込んでいる場合、撥水剤含有液が溶け込んだ置換液をリンス液で置換することができ、基板Wに残留する不要な撥水剤含有液を減らすことができる。
【0162】
置換液をリンス液で置換した後は、凹部Qの外だけでなく、凹部Qの中にもリンス液がある。基板Wおよびリンス液を加熱すると、リンス液の蒸発やリンス液からの溶存ガスの放出によって凹部Qの底面s3とリンス液との間に気体が発生し、リンス液が凹部Qの底面s3から離れる。これにより、リンス液が、凹部Qがリンス液で満たされた状態でリンス液が基板Wの表面を覆う非浮上状態から、凹部Qの少なくとも一部が気体で満たされた状態でリンス液が基板Wの表面を覆う浮上状態に変化する。
【0163】
リンス液は、水を主成分とする液体であり、置換液よりも表面張力が高い。基板Wの表面は、撥水剤含有液との接触によって撥水性が高まっている。半導体装置やFPD等の製造工程で基板Wの表面に形成されるパターンPAは微細であり、このようなパターンPAによって形成された凹部Qも微細である。リンス液の表面張力が高い上に、凹部Qの幅が狭く、凹部Qの内面の撥水性が高いので、リンス液が凹部Qに入り難い。したがって、リンス液が浮上状態に変化すると、この状態、つまり、リンス液が基板Wの表面を覆っており、凹部Qの少なくとも一部が気体で満たされた状態が維持される。
【0164】
基板Wが浮上状態に変化した後は、浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去する。基板Wを高速回転させて非浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去する従来のスピンドライでは、凹部Qの底側の空間がリンス液で満たされた状態で気体とリンス液との界面がパターンPAの先端付近に形成され、パターンPAを倒壊させる倒壊力が気体とリンス液とパターンPAとの境界からパターンPAの表面に加わる。これに対して、浮上状態では、凹部Qが気体で満たされており、気体とリンス液との界面がパターンPAの先端付近に位置している。したがって、従来のスピンドライに比べてパターンPAの倒壊率を低下させることができる。
【0165】
さらに、水を主成分とするリンス液を蒸発させるので、有機溶剤などの他の液体を蒸発させる場合に比べて、リンス液の濃縮によりリンス液から固体が析出し難い。加えて、水を主成分とするリンス液は、有機溶剤などの他の液体に比べて不純物の含有量が少ないので、パーティクルなどの汚染物質がリンス液に溶け込んだとしても、汚染物質がリンス液から析出し難い。以上の理由により、リンス液の代わりに有機溶剤などの他の液体を用いる場合に比べて、乾燥後の基板Wの清浄度を高めることができる。
【0166】
本実施形態では、リンス液に相当する水を、非浮上状態から浮上状態に変化させ、基板Wの表面から除去する。水の表面張力が高いので、スピンドライなどの従来の乾燥方法では、水を除去して基板Wを乾燥させるときに、気液界面(気体と水との界面)からパターンPAの側面s2に大きな倒壊力が加わる。水を非浮上状態から浮上状態に変化させ、基板Wの表面から除去する乾燥方法では、このような水の欠点を利点に変えることができ、従来の乾燥方法に比べてパターンPAの倒壊率を低下させることができる。
【0167】
本実施形態では、基板Wおよびリンス液の加熱によりリンス液が非浮上状態から浮上状態に変化した後、基板Wおよびリンス液への意図的な熱の供給を停止する。この状態で、浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去する。リンス液が浮上状態に変わると、熱などのエネルギーを供給し続けなくても、リンス液は浮上状態に維持される。したがって、基板Wおよびリンス液を加熱しながら、浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去する場合に比べて、基板Wの処理に要するエネルギーの消費量を削減することができる。
【0168】
本実施形態では、撥水剤含有液を基板Wの表面に接触させ、基板Wの表面に撥水膜Rを形成する。その後、置換液およびリンス液を基板Wの表面に順次供給し、基板Wおよびリンス液を加熱する。その後、浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去する。浮上状態のリンス液を基板Wの表面から除去しているとき、撥水膜Rは、基板Wの表面に残っている。したがって、リンス液を基板Wから除去しているときも、リンス液を確実に浮上状態に維持することができる。
【0169】
本実施形態では、リンス液を非浮上状態から浮上状態に変化させると、リンス液の液膜がパターンPAに接した状態で、基板Wの表面の凹部Qの少なくとも一部が気体で満たされる。言い換えると、凹部Qの入口に相当する凹部Qの開口が、リンス液の液膜によって塞がれ、気体が凹部Q内に閉じ込められる。そのため、リンス液が凹部Qに入り難い。さらに、リンス液の表面張力が高く、凹部Qの内面の撥水性が高いので、凹部Qに入ろうとするリンス液を凹部Qから遠ざける力が凹部Qの内面からリンス液に働く。したがって、より確実にリンス液を浮上状態に維持することができる。
【0170】
本実施形態では、置換液をリンス液で置換すると共に、基板Wの表面の全域を覆うリンス液の液膜を形成する。その後、基板Wおよびリンス液を加熱し、基板Wの表面の全域を覆う浮上状態のリンス液の液膜を基板Wの表面から除去する。浮上状態のリンス液が基板Wの表面の一部だけを覆っている場合、リンス液の液膜の外縁にパーティクルが発生し易い。浮上状態のリンス液で基板Wの表面の全域を覆えば、基板Wの表面に発生するパーティクルを減らすことができる。
【0171】
次に、他の実施形態について説明する。
【0172】
撥水剤含有液を基板Wの表面に供給する前に第1薬液などの撥水剤含有液以外の処理液を基板Wの表面に供給するのではなく、最初に撥水剤含有液を基板Wの表面に供給してもよい。もしくは、IPAなどの有機溶剤を最初に基板Wの表面に供給し、次に撥水剤含有液を基板Wの表面に供給してもよい。
【0173】
基板処理装置1は、円板状の基板Wを処理する装置に限らず、多角形の基板Wを処理する装置であってもよい。基板処理装置1は、複数枚の基板Wを一括して処理するバッチ式の装置であってもよい。
【0174】
前述の全ての構成の2つ以上を組み合わせてもよい。前述の全ての工程の2つ以上を組み合わせてもよい。
【0175】
撥水剤含有液ノズル43は、撥水剤供給手段の一例である。有機溶剤ノズル39は、置換液供給手段の一例である。リンス液ノズル35は、リンス液供給手段の一例である。下面ノズル71およびホットプレート92は、加熱手段の一例である。スピンモーター14は、乾燥手段の一例である。チャックピン11は、基板保持手段および基板ホルダーの一例である。
【0176】
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の精神および範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0177】
1:基板処理装置、2:処理ユニット、3:制御装置、3a:コンピュータ本体、3b:CPU、3c:主記憶装置、3d:周辺装置、3e:補助記憶装置、3f:読取装置、3g:通信装置、4:チャンバー、5:隔壁、5a:送風口、5b:搬入搬出口、6:FFU、7:シャッター、8:排気ダクト、9:排気バルブ、10:スピンチャック、11:チャックピン、12:スピンベース、12u:上面、13:スピン軸、14:スピンモーター、21:処理カップ、22:外壁部材、23:カップ、24:ガード、24u:上端、25:円筒部、26:天井部、27:ガード昇降ユニット、31a:第1薬液ノズル、31b:第2薬液ノズル、32a:第1薬液配管、32b:第2薬液配管、33a:第1薬液バルブ、33b:第2薬液バルブ、34a:ノズル移動ユニット、34b:ノズル移動ユニット、35:リンス液ノズル、36:リンス液配管、37:リンス液バルブ、38:ノズル移動ユニット、39:有機溶剤ノズル、40:有機溶剤配管、41:有機溶剤バルブ、42:ノズル移動ユニット、43:撥水剤含有液ノズル、44:撥水剤含有液配管、45:撥水剤含有液バルブ、46:ノズル移動ユニット、71:下面ノズル、72:加熱流体配管、73:加熱流体バルブ、74:流量調整バルブ、75:ヒーター、92:ホットプレート、93:発熱体、94:アウターケース、95:ベース部、96:突出部、97:支軸、98:プレート昇降ユニット、A1:回転軸線、P:プログラム、P1:パターンエレメント、PA:パターン、Q:凹部、R:撥水膜、RM:リムーバブルメディア、S:ベース層、S1~S14:ステップ、W:基板、s1:先端面、s2:側面、s3:底面