IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産サンキョー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-光学ユニット 図1
  • 特開-光学ユニット 図2
  • 特開-光学ユニット 図3
  • 特開-光学ユニット 図4
  • 特開-光学ユニット 図5
  • 特開-光学ユニット 図6
  • 特開-光学ユニット 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078254
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240603BHJP
【FI】
G03B5/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190683
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】笠原 章吾
【テーマコード(参考)】
2K005
【Fターム(参考)】
2K005CA03
2K005CA04
2K005CA23
2K005CA34
2K005CA44
2K005CA45
2K005CA53
(57)【要約】
【課題】ジンバル機構を有する光学ユニットにおいて、衝突時などにおいてジンバル機構が固定体などに衝突することを抑制する。
【解決手段】光学モジュール22を有する可動体20と、可動体20の反被写体側にカバー部10Bを有する固定体10と、光学モジュール22の光軸AXに沿う光軸方向と交差する少なくとも1方向を回転軸として可動体20を固定体10に対して回転可能に支持するジンバル機構30と、可動体20の反被写体側に配置される補強部70と、を備え、ジンバル機構30は、固定体側脚部30Aと可動体側脚部30Bと平板部30Cとを有するとともに平板部30Cが補強部70の一部よりも反被写体側に配置され、補強部70は、可動体20が固定体10に対して移動した際に、ジンバル機構30がカバー部10Bに当接するよりも先にカバー部10Bに当接する凸部70Dを有する光学ユニット1。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを有する可動体と、
前記可動体の前記光学モジュールの被写体側とは反対の反被写体側にカバー部を有する固定体と、
前記光学モジュールの光軸に沿う光軸方向と交差する少なくとも1方向を回転軸として前記可動体を前記固定体に対して回転可能に支持するジンバル機構と、
前記可動体の前記反被写体側に配置される補強部と、
を備え、
前記ジンバル機構は、前記固定体と接続する固定体側脚部と、前記可動体と接続する可動体側脚部と、前記固定体側脚部及び前記可動体側脚部が設けられる平板部と、を有するとともに、前記平板部が前記補強部の一部よりも前記反被写体側に配置され、
前記補強部は、前記可動体が前記固定体に対して移動した際に、前記ジンバル機構が前記カバー部に当接するよりも先に前記カバー部に当接する凸部を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記凸部は、球面の一部形状を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の光学ユニットにおいて、
前記球面の中心位置は、前記可動体の前記固定体に対する回転中心と一致することを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記平板部には孔部が設けられ、
前記凸部は、前記孔部から突出していることを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の光学ユニットにおいて、
前記凸部の先端は前記平板部と前記カバー部との間に位置することを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記補強部は、前記可動体に面接触していることを特徴とする光学ユニット。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記固定体に対する前記可動体の回転駆動機構として、前記固定体にコイルが設けられるとともに前記可動体の前記コイルと対向する位置に磁石が設けられ、
前記補強部は、前記磁石が配置されるヨークを有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記光学モジュールは、前記固定体よりも前記被写体側において突出する部分において、前記光軸と交差する幅方向における前記光軸から端部の辺までの距離が前記幅方向のうちの第1方向と第2方向とで異なることを特徴とする光学ユニット。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記ジンバル機構及び前記補強部の少なくとも一方は、金属で構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な光学ユニットが使用されている。このうち、ジンバル機構を有し、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して揺動可能に支持する光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、ジンバル機構を有し、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して揺動可能に支持する光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2019-221038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光学モジュールを備える可動体を固定体に対して揺動可能に支持する光学ユニットにおいては、ジンバル機構が被写体側に設けられることが一般的であった。ジンバル機構が被写体側に設けられる構成においては、光学ユニットが被写体側に設けられるので、光学ユニットを避けてジンバル機構を配置しなければならない。このような構成では、可動体の固定体に対する揺動範囲が狭くならないようにすると、構造的に頑丈とは言えないジンバル機構が可動体及び固定体と衝突することを避けるため、光学ユニットの光軸方向における厚みを大きくしなければならなかった。このため、ジンバル機構を被写体側とは反対側の反被写体側に設けることが考えられるが、単純にジンバル機構を被写体側とは反対側の反被写体側に設けるだけでは、衝突時などにおいてジンバル機構が固定体などに衝突する虞があった。そこで、本発明は、ジンバル機構を有する光学ユニットにおいて、衝突時などにおいてジンバル機構が固定体などに衝突することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールを有する可動体と、前記可動体の前記光学モジュールの被写体側とは反対の反被写体側にカバー部を有する固定体と、前記光学モジュールの光軸に沿う光軸方向と交差する少なくとも1方向を回転軸として前記可動体を前記固定体に対して回転可能に支持するジンバル機構と、前記可動体の前記反被写体側に配置される補強部と、を備え、前記ジンバル機構は、前記固定体と接続する固定体側脚部と、前記可動体と接続する可動体側脚部と、前記固定体側脚部及び前記可動体側脚部が設けられる平板部と、を有するとともに、前記平板部が前記補強部の一部よりも前記反被写体側に配置され、前記補強部は、前記可動体が前記固定体に対して移動した際に、前記ジンバル機構が前記カバー部に当接するよりも先に前記カバー部に当接する凸部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ジンバル機構を有する光学ユニットにおいて、衝突時などにおいてジンバル機構が固定体などに衝突することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例に係る光学ユニットの斜視図である。
図2図1の光学ユニットの分解斜視図である。
図3図1の光学ユニットの分解斜視図であって、図2とは異なる方向から見た図である。
図4図1の光学ユニットの斜視図であって、カバー部を取り外した状態を表す図である。
図5図1の光学ユニットの断面図であって、光学モジュールを取り外した状態を表す図である。
図6図1の光学ユニットの光学モジュールの斜視図である。
図7図1の光学ユニットの補強部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施例に係る光学ユニット1について図1から図7を用いて説明する。各図において、Z軸方向は光軸方向であり、X軸方向は光軸AXと交差する方向、言い換えるとヨーイングの軸方向であり、Y軸方向は光軸AXと交差する方向、言い換えるとピッチングの軸方向である。また、Z軸方向のうち、矢印が向く方向である+Z方向は被写体側の方向であり、矢印が向く方向とは反対方向である-Z方向は被写体側とは反対側の反被写体側の方向である。また、本明細書ではZ軸方向と交差する方向を幅方向とし、X軸方向及びY軸方向は、ともに、幅方向のうちの一方向に相当する。
【0009】
本実施例の光学ユニット1は、光学モジュール22を備える可動体20と、光学モジュール22の光軸方向(Z軸方向)と交差する周囲方向において可動体20を囲む固定体10と、を備えている。また、本実施例の光学ユニット1は、可動体20を固定体10に対して光軸方向と交差する方向(X軸方向及びY軸方向)を揺動軸として揺動可能に支持する揺動支持機構としてのジンバル機構30を備えている。さらに、本実施例の光学ユニット1Aは、固定体10に配置されるコイル61と、可動体20におけるコイル61(コイル61A及びコイル61B)と対向する位置に配置される磁石21(磁石21A及び21B)と、を有する回転駆動機構を備えている。なお、コイル61は、固定体10に取り付けられるフレキシブルフラットケーブル(FFC)60の内側に設けられている。
【0010】
<光学ユニットの全体構成>
最初に、本実施例の光学ユニット1の全体構成について説明する。本実施例の光学ユニット1は、カメラやスマートフォンなどにおいて好ましく使用可能である。本実施例の光学ユニット1は、コンパクトに構成でき、カメラやスマートフォンをコンパクト構成できるためである。ただし、本実施例の光学ユニット1は、カメラやスマートフォンに限定されず、特に用途を限定することなく様々な装置に使用可能である。
【0011】
図1から図4で表されるように、本実施例の光学ユニット1は、レンズ23等が設けられる光学モジュール22を備える可動体20を備えている。また、光学モジュール22の光軸方向(Z軸方向)と交差する周囲方向において可動体20を囲むケース部10Aと、可動体20がケース部10Aに収容された状態で-Z方向からケース部10Aを覆うことが可能なカバー部10Bと、可動体20がケース部10Aに収容された状態で+Z方向から光学モジュール22を一部露出させた状態でケース部10Aを覆うことが可能なカバー部10Cと、を備える固定体10を備えている。また、可動体20と固定体10との間において、固定体10と接続する固定体側脚部30Aと、可動体20と接続する可動体側脚部30Bと、固定体側脚部30A及び可動体側脚部30Bが設けられる平板部30Cと、を有するジンバル機構30を備えている。ジンバル機構30は、バネ性を有し、可動体20を固定体10に対してX軸方向及びY軸方向を揺動軸として揺動可能に支持する。
【0012】
<可動体>
図4などで表されるように、可動体20は、略直方体をしている。光学モジュール22は可動体20の内部に保持されており、可動体20の+Z方向の面からレンズ23の形成部分が突出した状態となるように配置されている。また、+X方向における可動体20の側面には、固定体10に対して可動体20を可動させる駆動部としての回転駆動機構を構成する磁石21Aが設けられている。また、+Y方向における可動体20の側面には、回転駆動機構を構成する磁石21Bが設けられている。ここで、磁石21A及び磁石21Bは、いずれも、同様の構成である。なお、磁石21A及び磁石21Bや光学モジュール22も可動体20の一部をなしているとみなすことができる。
【0013】
<固定体>
図1から図4で表されるように、固定体10は、略直方体をしている。固定体10は、可動体20をZ軸方向からカバー部10Bとカバー部10Cとで囲み、可動体20をZ軸方向と交差する方向からケース部10Aで囲む。ここで、固定体10の+Z方向側のカバー部10Cには、光学モジュール22のレンズ23の形成部分を通す孔部11が設けられている。
【0014】
また、固定体10の+X方向側の側面と+Y方向側の側面には、回転駆動機構を構成するコイル61が設けられている。これらのコイル61は磁石21A及び磁石21Bと対向する位置に配置されている。ここで、磁石21Aと対向する位置のコイル61Aと磁石21Bと対向する位置のコイル61Bとは、同様の構成である。
【0015】
<補強部>
図2から図5で表されるように、可動体20の-Z方向側には、可動体20を補強するとともに可動体20を保護する補強部70が設けられている。補強部70は、図7で表されるように、平面部70Aと、いずれも平面部70Aに接続される3つの第1位置決め部70B及び1つの第2位置決め部70Cと、平面部70Aに設けられた凸部70Dと、を有している。なお、凸部70Dについての詳細は、後述する。
【0016】
ここで、図4及び図5で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、補強部70は、平面部70Aにおいて可動体20に面接触している。このような構成とすることで、光学ユニット1に強い衝撃がかかるなどして補強部70の凸部70Dがカバー部10Bに接触した際、その衝撃を補強部70から可動体20に対して広い面積で伝えることができる。このような衝撃が補強部70の可動体20に対する狭い接触部分を介して強く伝わると、可動体20が破損する虞があるが、このような構成とすることで、そのような虞を抑制することができる。
【0017】
ここで、上記のように、本実施例の光学ユニット1においては、固定体10に対する可動体20の回転駆動機構として、固定体10にコイル61が設けられるとともに可動体20のコイル61と対向する位置に磁石21が設けられている。そして、図7で表されるように、補強部70は、3つの第1位置決め部70Bを有しているが、このうちの、+X方向側に配置される第1位置決め部70B及び+Y方向側に配置される第1位置決め部70Bは、図4などで表されるように、磁石が配置されるヨークの役割を兼ねている。このため、本実施例の光学ユニット1は、ヨークを別途用意する必要性をなくすことができており、部品点数を削減することができている。ただし、このような構成に限定されず、ヨークを別途用意する構成としてもよい。
【0018】
<ジンバル機構>
ジンバル機構30は、凸部70Dを通す円形の孔部31を有し外形が矩形の平板部30Cと、固定体10及び可動体20との接続部である固定体側脚部30A及び可動体側脚部30Bと、を有している。固定体側脚部30A及び可動体側脚部30Bは矩形の平板部30Cの4角に形成されており、このうち対角線上の2つの接続部である固定体側脚部30Aは固定体10に対して揺動可能に接続されており、別の対角線上の2つの接続部である可動体側脚部30Bは可動体20に対して揺動可能に接続されている。なお、ジンバル機構30としては、従来から光学ユニットに使用される一般的なジンバル機構を特に限定なく使用することができる。なお、本実施例の光学ユニット1は、ジンバル機構30により、固定体10に対して可動体20をヨーイング軸方向及びピッチング軸方向に揺動可能な構成であるが、さらに、ジンバル機構30とは別の機構を設けるなどして、固定体10に対して可動体20をローリング方向に揺動可能な構成としてもよい。
【0019】
<回転駆動機構>
次に、回転駆動機構について説明するが、上記のように磁石21Aと磁石21Bとは同様の構成であるとともに磁石21A及び磁石21Bと対向する位置に配置される2つのコイル61A及びコイル61Bは同様の構成である。図1から図4で表されるように、本実施例の光学ユニット1は、回転駆動機構として、磁石21Aとコイル61Aとからなるピッチング軸揺動機構と、磁石21Bとコイル61Bとからなるヨーイング軸揺動機構と、を有している。ただし、このような構成に限定されず、ピッチング軸揺動機構とヨーイング軸揺動機構とのうちのいずれか1方のみを備える構成としてもよい。さらに、固定体10に対して可動体20をローリング方向に揺動可能なローリング軸揺動機構を設けていてもよい。
【0020】
<接続部>
図2図3及び図5で表されるように、本実施例の光学ユニット1は、ジンバル機構30を固定体10及び可動体20に対して揺動可能に接続する接続部80を有している。具体的には、接続部80として、光軸方向から見て内側に突出するように球体81Aが取り付けられた固定体接続部80Aと、光軸方向から見て内側に突出するように球体81Bが取り付けられた可動体接続部80Bと、を有している。固定体接続部80Aは、ジンバル機構30の固定体側脚部30Aに取り付けられ、固定体10の矩形枠状のケース部10Aの4隅のうちの対向する2か所に配置される。そして、可動体接続部80Bは、ジンバル機構30の可動体側脚部30Bに取り付けられ、矩形枠状の可動体20の4隅のうちの対向する2か所に配置される。
【0021】
ここで、固定体側脚部30Aには球体81Aを収容する凹部32Aが設けられ、可動体側脚部30Bには球体81Bを収容する凹部32Bが設けられている。また、ケース部10Aと可動体20とは4隅の位置が揃うように配置され、2つの固定体接続部80A及び2つの可動体接続部80Bは該4隅に1つずつ配置される。接続部80は、このような構成で固定体10及び可動体20に対してジンバル機構30を支持している。
【0022】
ここで一旦まとめると、本実施例の光学ユニット1は、光学モジュール22を有する可動体20と、可動体20の光学モジュール22の被写体側である+Z方向側とは反対の反被写体側である-Z方向側にカバー部10Bを有する固定体10を備えている。また、光学モジュール22の光軸AXに沿う光軸方向であるZ軸方向と交差する少なくとも1方向であるX軸方向及びY軸方向を回転軸として可動体20を固定体10に対して回転可能に支持するジンバル機構30を備えている。さらに、可動体20の反被写体側に配置される補強部70を備えている。ここで、上記のように、ジンバル機構30は、固定体10と接続する固定体側脚部30Aと、可動体20と接続する可動体側脚部30Bと、固定体側脚部30A及び可動体側脚部30Bが設けられる平板部30Cと、を有するとともに、図2から図5で表されるように、平板部30Cが補強部70の一部よりも反被写体側に配置されている。
【0023】
また、以下に、凸部70Dについて詳細に説明する。本実施例の光学ユニット1においては、補強部70は、本実施例の光学ユニット1に衝撃が加わるなどして可動体20が固定体10に対して移動した際に、ジンバル機構30がカバー部10Bに当接するよりも先にカバー部10Bに当接するように、凸部70Dを構成している。別の表現をすると、本実施例の光学ユニット1は、例えば光学ユニット1が外部の構成物などに衝突することなどによって可動体20が固定体10に対して移動した際に、ジンバル機構30がカバー部10Bに当接するよりも先にカバー部10Bに当接する凸部70Dを有する補強部70を備えている。このため、本実施例の光学ユニット1は、このような衝突時などにおいてジンバル機構30が固定体10に衝突することを抑制することができる。
【0024】
また、本実施例の光学ユニット1は、ジンバル機構30が固定体側脚部30Aと可動体側脚部30Bと平板部30Cとを有するとともに、平板部30Cが補強部70の一部よりも反被写体側に配置される構成であることにより、図5で表されるように、可動体20と固定体10との光軸方向の隙間Gを小さくしてもその隙間Gにジンバル機構30を配置できている。したがって、本実施例の光学ユニット1は、可動体20の固定体10に対する揺動範囲を狭くすることなく光軸方向の厚みを薄くすることができている。
【0025】
また、図5などで表されるように、本実施例の光学ユニットにおいては、凸部70Dは、半球状、別の表現をすると、球面の一部形状を有する構成である。このような構成とすることで、凸部70Dを薄く頑丈な構成とすることができ、装置の大型化を招くことなく好適にジンバル機構30が固定体10に衝突することを抑制することができる。
【0026】
さらに詳細には、図5で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、凸部70Dの球面の中心位置C1は可動体20の固定体10に対する回転中心C2と一致している。このような構成とすることで、光軸方向の厚みを薄くしつつ可動体20の固定体10に対する回転可能範囲(揺動範囲)を広くとることができる。なお、「球面の中心位置」とは、凸部70Dの球面を延長して球体としたときの該球体の中心位置を意味する。
【0027】
ここで、図5で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、平板部30Cには孔部31が設けられ、凸部70Dは先端71が孔部31から突出している。このような構成とすることで、可動体20の光軸方向から見て中心付近に近い位置に凸部70Dを設けることができ、光学ユニット1の衝突時などにおいてジンバル機構30が固定体10に衝突することを特に好適に抑制することができる。
【0028】
さらには、図5で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、光軸方向、すなわち、Z軸方向において、凸部70Dの先端71は平板部30Cとカバー部10Bとの間に位置する。別の表現をすると、凸部70Dの先端71は、平板部30Cから突出しているとともにカバー部10Bとは接触していない。このような構成とすることで、可動体20の固定体10に対する揺動が阻害されることを抑制することができる。
【0029】
ここで、図1及び図6で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、光学モジュール22は、固定体10よりも被写体側において突出する部分22Aにおいて、光軸AXと交差する幅方向における光軸AXから端部の辺までの距離Lが幅方向のうちの第1方向(X軸方向)の距離L1と第2方向(Y軸方向)の距離L2とで異なる。このような異形の構成の可動体20を使用する場合、特に揺動範囲を広くとろうとすると光軸方向の厚みが厚くなりやすいが、上記で説明した補強部70及びジンバル機構30の構成とすることで光軸方向の厚みが厚くなることを抑制することができる。なお、本実施例では、第1方向をX軸方向として第2方向をY軸方向としたが、第1方向をY軸方向として第2方向をX軸方向としてもよい。
【0030】
ここで、光軸AXから端部の辺までの距離Lとは、突出する部分22Aを光軸と直交する方向から見て概ね辺を構成すると判断できる部分までの最短距離を意味し、突出する部分22Aを光軸と直交する方向から見て概ね角部を構成する部分までの距離は除外される意味である。また、第1方向の距離L1と第2方向の距離L2とが異なるとは、第1方向の距離L1と第2方向の距離L2とが明らかに異なることを意味し、第1方向の距離L1と第2方向の距離L2とが概ね同等の場合は除外される意味である。このため、突出する部分22Aの構成が光軸と直交する方向から見て概ね正多角形や真円形の場合において、その中心近傍に光軸AXが位置する場合は除外される。なお、本実施例においては、異形の構成の可動体20として、突出する部分22Aの構成が光軸と直交する方向から見て略長方形としたが、このような構成に限定されない。
【0031】
特に、異形の構成の可動体20において、第1方向における距離L1が第2方向における距離L2の1.3倍以上である場合、上記で説明した補強部70及びジンバル機構30の構成とすることが特に好ましい。第1方向における距離L1が第2方向における距離L2の1.3倍以上である場合、ジンバル機構30の平板部30Cが可動体20に対して光軸方向における光学モジュール22の被写体側に配置される構成とすると特に光学ユニット1が光軸方向において大型化するためである。
【0032】
ここで、本実施例の光学ユニット1においては、ジンバル機構30及び補強部70は金属で構成されている。金属は放熱性が高いので、本実施例の光学ユニット1のように、ジンバル機構30及び補強部70の少なくとも一方が金属で構成されていることで、光学ユニット1を連続使用した場合などにおいて光学モジュール22を有する可動体20が昇温しても、可動体20の熱を外部に逃がすことが可能になっている。
【0033】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0034】
最後に、本発明について包括的に以下に記載する。
(1)
光学モジュールを有する可動体と、前記可動体の前記光学モジュールの被写体側とは反対の反被写体側にカバー部を有する固定体と、前記光学モジュールの光軸に沿う光軸方向と交差する少なくとも1方向を回転軸として前記可動体を前記固定体に対して回転可能に支持するジンバル機構と、前記可動体の前記反被写体側に配置される補強部と、を備え、前記ジンバル機構は、前記固定体と接続する固定体側脚部と、前記可動体と接続する可動体側脚部と、前記固定体側脚部及び前記可動体側脚部が設けられる平板部と、を有するとともに、前記平板部が前記補強部の一部よりも前記反被写体側に配置され、前記補強部は、前記可動体が前記固定体に対して移動した際に、前記ジンバル機構が前記カバー部に当接するよりも先に前記カバー部に当接する凸部を有することを特徴とする光学ユニット。
【0035】
(2)
上記(1)に記載の光学ユニットにおいて、前記凸部は、球面の一部形状を有することを特徴とする光学ユニット。
【0036】
(3)
上記(2)に記載の光学ユニットにおいて、前記球面の中心位置は、前記可動体の前記固定体に対する回転中心と一致することを特徴とする光学ユニット。
【0037】
(4)
上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の光学ユニットにおいて、前記平板部には孔部が設けられ、前記凸部は、前記孔部から突出していることを特徴とする光学ユニット。
【0038】
(5)
上記(4)に記載の光学ユニットにおいて、前記凸部の先端は前記平板部と前記カバー部との間に位置することを特徴とする光学ユニット。
【0039】
(6)
上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の光学ユニットにおいて、前記補強部は、前記可動体に面接触していることを特徴とする光学ユニット。
【0040】
(7)
上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の光学ユニットにおいて、前記固定体に対する前記可動体の回転駆動機構として、前記固定体にコイルが設けられるとともに前記可動体の前記コイルと対向する位置に磁石が設けられ、前記補強部は、前記磁石が配置されるヨークを有することを特徴とする光学ユニット。
【0041】
(8)
上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の光学ユニットにおいて、前記光学モジュールは、前記固定体よりも前記被写体側において突出する部分において、前記回転軸と交差する幅方向における前記光軸から端部の辺までの距離が前記幅方向のうちの第1方向と第2方向とで異なることを特徴とする光学ユニット。
【0042】
(9)
上記(1)から(8)のいずれか1つに記載の光学ユニットにおいて、前記ジンバル機構及び前記補強部の少なくとも一方は、金属で構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【符号の説明】
【0043】
1…光学ユニット、10…固定体、10A…ケース部、10B…カバー部、10C…カバー部、11…孔部、20…可動体、21…磁石、21A…磁石、21B…磁石、22…光学モジュール、22A…突出する部分、23…レンズ、30…ジンバル機構、30A…固定体側脚部、30B…可動体側脚部、30C…平板部、31…孔部、32A…凹部、32B…凹部、60…FFC、61…コイル、61A…コイル、61B…コイル、70…補強部、70A…平面部、70B…第1位置決め部、70C…第2位置決め部、70D…凸部、71…先端、80A…固定体接続部、80B…可動体接続部、81A…球体、81B…球体、AX…光軸、C1…中心位置、C2…中心位置、G…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7