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特開2024-78261計測治具、及びそれを備える三次元計測システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078261
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】計測治具、及びそれを備える三次元計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/06 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
G01C15/06 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190693
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】米本 臣吾
(72)【発明者】
【氏名】荒尾 秋諭
(72)【発明者】
【氏名】京谷 淳史
(57)【要約】
【課題】計測点の三次元位置の計測に関して精度を向上させることができる計測治具、及びそれを備える三次元計測システムを提供する。
【解決手段】計測治具は、三次元計測装置から照射されるレーザ光を反射する計測治具であって、計測点に配置される台座と、計測点を傾倒支点にして傾倒可能に台座に設けられる保持具と、保持具に保持され、照射されるレーザ光を反射するリフレクタと、を備え、保持具は、台座上を摺動する摺動部材を含み、摺動部材は、傾倒支点を中心に台座上を摺動する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元計測装置から照射されるレーザ光を反射する計測治具であって、
計測点に配置される台座と、
計測点を傾倒支点にして傾倒可能に前記台座に設けられる保持具と、
前記保持具に保持され、照射されるレーザ光を反射するリフレクタと、を備え、
前記保持具は、前記台座上を摺動する摺動部材を含み、
前記摺動部材は、前記傾倒支点を中心に前記台座上を摺動する、計測治具。
【請求項2】
前記台座は、前記傾倒支点を中心とする部分球面状に形成される座面を含み、
前記摺動部材は、前記座面と同じ曲率を有し、且つ前記座面に摺接する凹面を有する、請求項1に記載の計測治具。
【請求項3】
前記保持具は、前記リフレクタを該リフレクタの中心まわりに回動可能に保持している、請求項1に記載の計測治具。
【請求項4】
前記保持具は、所定方向に延在する支持部材と、前記リフレクタを保持する保持部材とを含み、
前記支持部材は、傾倒支点を中心にして傾倒可能に前記台座に設けられ、
前記保持部材は、前記リフレクタの中心まわりに回動可能に前記支持部材に設けられている、請求項1に記載の計測治具。
【請求項5】
前記支持部材は、所定方向に伸縮する、請求項4に記載の計測治具。
【請求項6】
前記台座は、傾倒支点を通るように前記台座を貫通し、且つ前記計測点に当てて前記計測点を指示する指示部材を挿通させる貫通孔を含んでいる、請求項1に記載の計測治具。
【請求項7】
前記台座は、前記計測点の周りの部分に着脱可能な吸着部を含む、請求項6に記載の計測治具。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1つに記載の計測治具と、
レーザ光を発射し、前記計測治具によって反射されたレーザ光に基づいて前記計測点の三次元位置を計測する前記三次元計測装置とを備える、三次元計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元計測装置から照射されるレーザ光を反射する計測治具、及びそれを備える三次元計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
計測対象にある計測点の三次元位置を計測する際、三次元計測システムが用いられる。三次元計測システムの一例として、例えば特許文献1のレーザトラッカシステムが知られている。特許文献1のレーザトラッカシステムでは、先端を計測点に当てたプローブのリフレクタにレーザトラッカからレーザ光が照射される。そして、レーザトラッカは、リフレクタで反射されたレーザ光を受けることによってリフレクタの中心位置を算出する。レーザトラッカシステムでは、計測点を支点にしてプローブを種々の方向に傾転させることによってリフレクタが動かされる。レーザトラッカは、複数箇所でリフレクタの中心位置を算出する。レーザトラッカは、算出された複数の中心位置に基づいて計測点の位置を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2015-510115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のレーザトラッカシステムでは、リフレクタの中心位置を算出できる計測範囲が広ければ広いほど、計測点の位置をより高い精度で計測することができる。従って、プローブをより大きな角度で傾倒させることが望ましい。しかし、特許文献1のレーザトラッカシステムでは、プローブの先端が先鋭状に形成されている。それ故、プローブを大きな角度で傾倒させると、プローブの先端が計測点からずれることがあるので、プローブをより大きな角度で傾倒させることができない。そうすると、リフレクタの中心位置を算出できる計測範囲が狭いので、計測点の三次元位置の計測に関して精度が低くなる。
【0005】
そこで本開示は、計測点の三次元位置の計測に関して精度を向上させることができる計測治具、及びそれを備える三次元計測システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の計測治具は、三次元計測装置から照射されるレーザ光を反射する計測治具であって、計測点に配置される台座と、計測点を傾倒支点にして傾倒可能に前記台座に設けられる保持具と、前記保持具に保持され、照射されるレーザ光を反射するリフレクタと、を備え、前記保持具は、前記台座上を摺動する摺動部材を含み、前記摺動部材は、前記傾倒支点を中心に前記台座上を摺動するものである。
【0007】
本開示に従えば、保持具が傾倒支点を中心に台座上を摺動する摺動部材を含む。それ故、保持具を傾倒させる際、保持具の傾倒支点が計測点からずれることが抑制されると共に、より大きい角度で保持具を傾倒させることができる。これにより、計測点の三次元位置の計測に関して精度を向上させることができる。
【0008】
本開示の三次元計測システムは、前述する計測治具と、レーザ光を発射し、前記計測治具によって反射されたレーザ光に基づいて前記計測点の三次元位置を計測する前記三次元計測装置とを備えるものである。
【0009】
本開示に従えば、支持部材が所定方向に伸縮する。それ故、リフレクタを台座に近づけたり台座から離したりすることができる。そうすると、レーザ光が計測対象又はその他の障害物等によって遮られるような場合、支持部材を伸縮させることによってリフレクタをレーザ光が届くところまで動かすことができる。これにより、計測中に三次元計測装置3を移動させることが抑制される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、計測点の三次元位置の計測に関して精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第1実施形態の三次元計測システムを示す斜視図である。
図2図1の三次元計測システムに備わる計測治具を示す斜視図である。
図3図2の計測治具に備わる台座を示す斜視図である。
図4図2の計測治具に備わる保持具の支持部材を示す斜視図である。
図5図2の計測治具に備わるリフレクタ及び保持具の保持部材を示す斜視図である。
図6図2の計測治具の支持部材を伸長させた状態を示す側面図である。
図7図2の計測治具を傾倒させた状態を示す側面図である。
図8図2の計測治具で計測可能なリフレクタの計測範囲を示す図である。
図9】本開示の第2実施形態の三次元計測システムに備わる計測治具を示す斜視図である。
図10図9の計測治具に備わるリフレクタ及び保持具の保持部材を示す斜視図である。
図11】本開示のその他の実施形態の三次元計測システムに備わる計測治具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る第1及び第2実施形態の三次元計測システム1,1A、及びそれに備わる計測治具2,2Aについて前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する三次元計測システム1,1A、及び計測治具2,2Aは、本開示の一実施形態に過ぎない。従って、本開示は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0013】
[第1実施形態]
図1に示す第1実施形態の三次元計測システム1は、レーザ光Lを用いて、計測対象4における計測点Mの三次元位置(以下、単に「位置」という)を計測する。三次元計測システム1は、三次元計測装置3と、計測治具2とを備えている。
【0014】
<三次元計測装置>
三次元計測装置3は、レーザ光Lを発射し、その反射光を受光することによって計測点Mの位置を計測する。更に詳細に説明すると、三次元計測装置3は、レーザ光Lを照射し且つ受光する測定部3aを有している。三次元計測装置3は、測定部3aを左右及び上下方向に回転させる。三次元計測装置3は、例えばFRRO Vantage(商標)である。但し、三次元計測装置3は、FRRO Vantage(商標)に限定されず、前述する機能を有する計測装置(例えばLeica社のAT960、ATS600並びにAPI社のRadianPro)であってもよい。三次元計測装置3は、計測治具2と協働して計測点Mの位置を計測する。より詳細に説明すると、三次元計測装置3は、計測治具2にレーザ光Lを照射する。そして、三次元計測装置3は、後で詳述するが、計測治具2から反射光を受光することによって計測点Mの位置を算出する。
【0015】
<計測治具>
図2に示すように計測治具2は、計測点Mに配置される。計測治具2は、三次元計測装置3から発射されるレーザ光Lを反射する。そして、計測治具2は、反射したレーザ光、即ち反射光を三次元計測装置3に戻す。計測治具2は、台座11と、保持具12と、リフレクタ13とを備えている。
【0016】
<台座>
図3に示すように台座11は、計測点Mに配置される。台座11は、後で詳述する保持具12を摺動可能に支持する。台座11は、設置面11aと、座面11bとを有している。設置面11aは、平坦に形成され、台座11の下面を成している。台座11は、設置面11aを計測対象4に向けた状態で計測対象4に設置される。座面11bは、部分球面状に形成され、台座11の上面を成している。そして、座面11bは、台座11を計測点Mに配置する際、座面11bの中心(傾倒支点)を計測点Mに一致させることができる。より詳細に説明すると、座面11bは、その中心が設置面11aを含む仮想平面上に位置するように形成されている。本実施形態において、座面11bは、半球面状に形成されている。即ち、台座11は、半球体状に形成されている。そして、台座11は、その半球の中心、即ち台座11の中心が設置面11aを含む仮想平面上に位置するように形成されている。
【0017】
また、台座11は、貫通孔11c及び吸着部11dを有している。貫通孔11cは、台座11において傾倒支点を通るように台座11を貫通している。より詳細に説明すると、貫通孔11cは、その軸線が傾倒支点を通り、且つ設置面11aに直交する方向延在するように形成されている。また、貫通孔11cは、指示部材14を挿通させることができる。ここで、指示部材14は、計測点Mにあてて計測点Mを指示する部材である。本実施形態において、指示部材14は、貫通孔11cに挿通可能な棒状の部材であって、その先端が先鋭状になっている。そして、貫通孔11cは、指示部材14の先端を計測点Mに当てた状態で台座11を計測対象4に設置すると、台座11の中心(即ち、傾倒支点)を計測点Mと一致させることができる。
【0018】
吸着部11dは、計測点Mの周りの部分に着脱することができる。本実施形態において、吸着部11dは、永久磁石である。但し、吸着部11dは、電磁石及び吸盤等であってもよく、計測対象4に着脱可能に構成されていればよい。吸着部11dは、例えば台座11の設置面11aに取り付けられている。吸着部11dは、金属製の計測対象4の計測点Mの周りの部分に吸着される。これにより、台座11が計測対象4の計測点Mの周りの部分に取り付けられる。
【0019】
<保持具>
図2に示すように保持具12は、台座11上に設けられている。より詳細に説明すると、保持具12は、台座11の座面11bに載せられ、台座11によって摺動可能に支持されている。保持具12は、所定方向に延在している。そして、保持具12は、所定方向に伸縮する。このような機能を有する保持具12は、保持具12は、摺動部材21と、支持部材22と、保持部材23とを含んでいる。
【0020】
図4に示すように摺動部材21は、台座11上を摺動する。摺動部材21は、例えば所定方向に延在する円柱状に形成されている。なお、摺動部材21の形状は、多角形の柱状や立方体状であってもよく、円柱状に限定されない。摺動部材21は、所定方向一端に凹面21aを有している。凹面21aは、所定方向他方に凹んでいる。より詳細に説明すると、凹面21aは、所定方向他方に凹む部分球面状に形成されている。凹面21aの曲率は、座面11bと同じ曲率を有している。そして、凹面21aは、座面11bに摺接している。それ故、摺動部材21は、傾倒支点を中心に台座11上(又は座面11b上)を摺動する。なお、摺動部材21は、座面21aに3点で接するように形成されてもよい。
【0021】
支持部材22は、所定方向に延在する部材である。支持部材22は、摺動部材21に設けられている。より詳細に説明すると、支持部材22の所定方向一端部分に摺動部材21が設けられている。支持部材22は、摺動部材21を介して台座11に設けられている。これにより、支持部材22は、傾倒支点を中心にして傾倒される。また、支持部材22は、所定方向に伸縮することができる。支持部材22は、所定方向他端において、後で詳述する保持部材23を摺動可能に支持している。このように構成されている支持部材22は、収縮部24と、支持部25とを有している。
【0022】
収縮部24は、所定方向に延在している。そして、収縮部24の所定方向一端部には、摺動部材21が設けられている。収縮部24は、所定方向に収縮可能に構成されている。より詳細に説明すると、収縮部24は、筒状の大径部分24a及び小径部分24bを有している。大径部分24aには、小径部分24bが進退可能に挿入されている。収縮部24は、大径部分24aに対して小径部分24bを進退させることによって収縮する。そして、収縮部24では、図示しない固定部で大径部分24aに小径部分24bを固定することによって、伸縮した状態が維持される。なお、前述する収縮部24の構成は、一例に過ぎず、伸縮可能であれば、他の構成であってもよい。
【0023】
支持部25は、収縮部24の所定方向他端部に設けられている。支持部25は、後で詳述する保持部材23を摺動可能に支持する。支持部25は、例えば所定方向に延在する円柱状に形成されている。支持部25の所定方向一端部は、収縮部24に固定されている。そして、支持部25は、所定方向他端部に受座25aを有している。受座25aは、所定方向一方に凹んでいる。より詳細に説明すると、受座25aは、所定方向一方に凹む部分球面状に形成されている。本実施形態において、受座25aは、球帯状に形成されている。但し、受座25aは、球帽状に形成されてもよい。
【0024】
図5に示すように保持部材23は、後で詳述するリフレクタ13を保持する。また、保持部材23は、所定の回動中心まわりに回動可能に支持部材22に設けられている。ここで、回動中心とは、保持部材23にて保持されるリフレクタ13の中心である。保持部材23は、摺接部26と、保持部27と、把持部28とを有している。
【0025】
摺接部26は、支持部材22の支持部25に摺動可能に支持されている。摺接部26は、摺接面26aと、取付面26bとを有している。摺接面26aは、摺接部26の所定方向一方側の面であって、部分球面状(例えば、球帽状)に形成されている。摺接面26aは、回動中心を中心とする部分球面状に形成されている。そして、摺接面26aは、受座25aの曲率と同じ曲率を有している。それ故、摺接部26は、受座25a上を摺動しながら回動中心を中心にして回動する。取付面26bは、所定方向他方側の面であって、平坦に形成されている。
【0026】
保持部27は、後述するリフレクタ13を保持する。保持部27は、取付面26bに設置されている。保持部27は、側面視で(即ち、所定方向に直交する方向から見て)C字状に形成されている。従って、保持部27は、側面視で第1方向一方に開口している。なお、第1方向は、摺接部26の厚み方向であって保持部27の高さ方向に対応する方向に直交する方向である。保持部27は、その中にリフレクタ13を嵌め込むことができる。
【0027】
より詳細に説明すると、保持部27の内周面は、リフレクタ13の形状に合わせて凹んでいる。本実施形態において、リフレクタ13は、後述するように球体状に形成されている。それ故、保持部27の内周面は、高さ方向一方側(即ち、取付面26b側)において平面視円形状に切り欠かれており、球体状のリフレクタ13を載置できるようになっている。更に、保持部27の内周面の他の部分は、球体状のリフレクタ13の外表面の形状に合わせて、部分的に部分球面状に凹んでいる。これにより、保持部27は、その中(より詳しくは内周面に囲まれた空間内)にリフレクタ13を嵌め込むことができる。そして、保持部27は、嵌め込むことによって三方から支持される。これにより、保持部27によってリフレクタ13が保持される。また、保持部27は、リフレクタ13が嵌め込まれることによって、リフレクタ13を所定位置に位置決めした状態で保持する。ここで所定位置とは、リフレクタ13の中心が回動中心と一致する位置である。それ故、保持部材23を支持部材22(より詳しくは、支持部25)上で摺動させた場合において、リフレクタ13をその中心周りに回動させることができる。
【0028】
把持部28は、保持部27に設けられている。より詳細に説明すると、把持部28は、保持部27から遠ざかるように高さ方向に延在している。把持部28は、本実施形態において棒状に形成されている。なお、把持部28は、必ずしも棒状に限定されず、逆U字状等であってもよい。把持部28は、把持可能に形成されている。把持部28は、例えば治具操作者によって把持される。そして、治具操作者は、把持部28で保持部材23を支持部材22の受座25aに押え付けながら受座25a上を摺動させることができる。
【0029】
<リフレクタ>
図2及び図5に示すようにリフレクタ13は、前述の通り保持具12に保持される。より詳細に説明すると、リフレクタ13は、保持部材23に嵌め込まれることによって保持具12に保持される。また、リフレクタ13は、照射されるレーザ光Lを反射する。より詳細に説明すると、リフレクタ13は、再帰反射性を有している。即ち、リフレクタ13は、三次元計測装置3からレーザ光Lがリフレクタ13に入射されると、入射方向に平行且つ入射方向と反対方向にレーザ光Lを反射させる。これにより、リフレクタ13は、照射されるレーザ光Lを三次元計測装置3に戻すことができる。
【0030】
更に詳細に説明すると、リフレクタ13は、球体状になっている。リフレクタ13は、その内部にレンズ13aを有している。レンズ13aは、リフレクタ13の外表面に形成される開口13bから外側に表出している。リフレクタ13は、レンズ13aに入射するレーザ光Lを再帰反射する。リフレクタ13は、例えば開口13bを第1方向一方に向けて保持具12に保持されている。リフレクタ13は、保持具12に保持されている状態で、保持具12に対してリフレクタ13の中心まわりに回動することができる。これにより、リフレクタ13は、保持具12内において開口13bの向きを変えることができる。
【0031】
<計測治具の設置>
三次元計測システム1では、計測対象4にある計測点Mに以下のような方法で計測治具2が設置される。即ち、台座11が計測点Mに配置される。より詳細に説明すると、図3に示すように台座11の貫通孔11cに指示部材14が挿通される。指示部材14は、設置面11aから突き出た指示部材14の先端を計測点Mに合わせるように計測対象4に突き刺される。その後、指示部材14に沿って台座11を計測対象4に近づけていくと、やがて台座11の設置面11aが計測対象4に当接する。そうすると、台座11は、その中心、即ち傾倒支点が計測点Mと一致するように計測対象4に配置される。その際、吸着部11dが計測点Mの周りの部分に吸着される。これにより、台座11が計測点Mを傾倒支点に一致させるようにして計測点Mの周りの部分に固定される。
【0032】
他方、保持具12では、図2に示すようにリフレクタ13が取り付けられる。より詳細に説明すると、保持具12では、保持部材23の保持部27にリフレクタ13が嵌め込まれる。そうすることで、保持部材23にリフレクタ13が保持される。この際、リフレクタ13は、例えば開口13bを第1方向一方に向くように配置される。但し、リフレクタ13の開口13bの向きは、第1方向一方に限定されず、その他の方向(例えば、第1方向一方から高さ方向一方及び他方に傾けた方向等)であってもよい。
【0033】
また、計測治具2では、図2に示すように保持具12が台座11に載せられる。より詳細に説明すると、保持具12の摺動部材21が凹面21aを座面11bに向けた状態で台座11の座面11b上に載せられる。そうすると、支持部材22が摺動部材21を介して台座11上で摺動可能に支持される。これにより、支持部材22が計測点Mを傾転中心として傾倒できるようになる。また、支持部材22には、保持部材23が載せられる。より詳細に説明すると、保持部材23は、摺接部26を支持部25の受座25aに載せられる。そうすると、保持部材23は、リフレクタ13の中心まわりに回動可能に支持部材22に支持される。このようにして計測治具2が組み上げられることによって、計測治具2が計測点Mに設置される。
【0034】
また、計測治具2では、図6の実線に示すように、計測対象4の一部やその他の障害物等によって、リフレクタ13に向けて三次元計測装置3から発射されるレーザ光Lが遮られる場合がある。この場合、計測治具2では、支持部材22の収縮部24が伸長される(図6の二点鎖線参照)。そうすると、リフレクタ13の位置を高くすることができる。これにより、レーザ光Lが遮られることなくリフレクタ13に届かせることができる。なお、計測治具2では、図示しないが、支持部材22の収縮部24を収縮させることによっても、レーザ光Lに対して計測対象4の一部やその他の障害物等を避けるようにリフレクタ13を配置することができる。
【0035】
<三次元計測システムの計測方法>
図1に示すように、三次元計測システム1では、まず前述する方法で計測治具2が計測点Mに設置される。三次元計測装置3は、計測治具2から離れた位置、例えば床等に設置されている。三次元計測装置3は、測定部3aを上下及び左右に回転させながらレーザ光Lを発射する。レーザ光Lが計測治具2のリフレクタ13に照射されてレンズ13aに入射すると、反射光が三次元計測装置3に戻される。そうすると、三次元計測装置3は、反射光に基づいてリフレクタ13の中心の位置(以下、「中心位置」という)を算出する。
【0036】
三次元計測システム1では、図7に示すように計測点Mを傾倒支点にして計測治具2の保持具12を治具操作者が傾倒させる(図7の二点鎖線参照)。これにより、三次元計測装置3は、複数箇所でリフレクタ13の中心位置が算出される。より詳細に説明すると、治具操作者は、三次元計測装置3からレーザ光Lを発射している間、即ち計測中において保持具12を台座11上(即ち、座面11b)に沿って様々な方向に摺動させる。これにより、保持具12が平面視で360度、種々の方向に傾倒される。そうすると、リフレクタ13は、例えば図8において半球面上の一点鎖線で示される計測範囲R内で動かされる。三次元計測装置3は、治具操作者が計測中に一点鎖線の計測範囲R内で動かすことによって、計測範囲R内の複数箇所においてリフレクタ13の中心位置を取得する。複数箇所のリフレクタ13の中心位置は、計測点M(即ち傾倒支点)を中心とする半球面上にある位置である。従って、三次元計測装置3は、複数箇所のリフレクタ13の中心位置に基づいて計測点Mの位置を算出することができる。このようにして、三次元計測システム1は、三次元計測装置3と計測治具2とを協働させて、計測点Mの位置を算出する。
【0037】
なお、計測治具2では、保持具12を傾倒させた際にリフレクタ13の向き、即ちレンズ13aの向きが傾倒角度に応じて変化する。それ故、保持具12では、傾倒角度に応じて保持部材23を支持部材22上で摺動させてリフレクタ13の中心まわりに回動させることによって、リフレクタ13の向きが変えられる。これにより、保持具12を傾倒させた際にもレーザ光Lがリフレクタ13のレンズ13aに照射されるようにすることができる。
【0038】
本実施形態の計測治具2では、保持具12が傾倒支点を中心に台座11上を摺動する摺動部材21を含む。それ故、保持具12を傾倒させる際、保持具12の傾倒支点が計測点Mからずれることが抑制されると共に、より大きい角度で保持具12を傾倒させることができる。これにより、計測点Mの位置の計測に関して精度を向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態の計測治具2では、台座11が傾倒支点を中心とする部分球面状に形成される座面11bを含む。また、摺動部材21が座面11bと同じ曲率を有し、且つ座面11bに摺接する凹面21aを有する。それ故、摺動部材21が座面11b上を摺動する際、座面11bと凹面21aとが摺接する面積を確保することができる。それ故、傾倒支点が計測点Mからずれることを更に抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態の計測治具2では、保持部材23がリフレクタ13をその中心まわりに回動可能に保持している。それ故、傾倒支点からリフレクタ13の中心Oまでの距離(即ち、計測点Mから中心Oまでの距離)L1を変えることなく、リフレクタ13の向きを変えることができる(図7参照)。これにより、計測時においてより大きい角度で保持具12を傾倒させることができる。即ち、従来の計測治具の計測範囲R1に比べて計測治具2における計測範囲Rを広げることができる(図8の一点鎖線の計測範囲Rと二点鎖線の計測範囲R1参照)ので、計測点Mの位置の計測に関して精度を更に向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態の計測治具2では、保持部材23がリフレクタ13の中心周りに回動可能に支持部材22に設けられている。それ故、傾倒支点からリフレクタ13の中心Oまでの距離(即ち、計測点Mから中心Oまでの距離)L1を変えることなく、リフレクタ13の向きを変えることができる。これにより、計測時においてより大きい角度で保持具12を傾倒させることができる。即ち、従来の計測治具の計測範囲R1に比べて計測治具2における計測範囲Rを広げることができる(図8の一点鎖線の計測範囲R及び二点鎖線の計測範囲R1参照)ので、計測点Mの位置の計測に関して精度を更に向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態の計測治具2では、支持部材22が所定方向に伸縮する。それ故、リフレクタ13を台座11に近づけたり台座11から離したりすることができる。そうすると、レーザ光Lが計測対象4又はその他の障害物等によって遮られるような場合、支持部材22を伸縮させることによってリフレクタ13をレーザ光Lが届くところまで動かすことができる。これにより、リフレクタ13にレーザ光Lを照射すべく計測中に三次元計測装置3を移動させることが抑制される。
【0043】
また、本実施形態の計測治具2では、傾倒支点を通り、且つ計測点Mに当てて計測点Mを指示する指示部材14を挿通させる貫通孔11cを台座11が含んでいる。それ故、傾倒支点を精度よく計測点Mに合わせることができる。これにより、計測点Mの位置の計測に関して精度を更に向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態の計測治具2では、台座11が計測点Mの周りの部分に着脱可能な吸着部11dを含む。それ故、計測点Mに指示部材14を当てた後、計測対象4に容易に固定することができる。これにより、計測対象4を台座11に取り付ける際に台座11が計測点Mからずれることを抑制することができる。従って、計測点Mの位置の計測に関して精度を更に向上させることができる。
【0045】
本実施形態の三次元計測システム1では、計測点Mの位置の計測に関して精度を更に向上させることができる。
【0046】
[第2実施形態]
第2実施形態の三次元計測システム1Aは、第1実施形態の三次元計測システム1と構成が類似している。従って、第2実施形態の三次元計測システム1Aの構成については、主に第1実施形態の三次元計測システム1と異なる点が説明され、同一の構成については同一の符号を付して説明が省略される。
【0047】
第2実施形態の三次元計測システム1Aは、三次元計測装置3と、図9に示す計測治具2Aとを備えている。また、計測治具2Aもまた、計測点Mに配置される。計測治具2は、台座11と、保持具12Aと、リフレクタ13とを備えている。保持具12Aは、摺動部材21と、支持部材22と、保持部材23Aとを含んでいる。
【0048】
図10に示すように保持部材23Aは、リフレクタ13を保持する。また、保持部材23Aは、回動中心(即ち、リフレクタ13の中心)まわりに回動可能に支持部材22に設けられている。保持部材23Aは、摺接部26Aと、保持部27Aと、把持部28Aとを有している。
【0049】
摺接部26Aは、支持部材22の支持部25に摺動可能に支持されている。摺接部26Aは、摺接面26aと、取付面26bとを有している。更に、摺接部26Aでは、その一部分が切り欠かれている。即ち、摺接部26Aは、切欠き26cを有している。より詳細に説明すると、より詳細に説明すると、摺接部26Aは、第1方向一方側において第1方向に直交する仮想平面で切断するように切り欠かれている。即ち、切欠き26cは、摺接部26Aの第1方向一方側を平面視弓形に切り欠くように摺接部26Aに形成されている。
【0050】
保持部27Aは、平面視でC字状に形成されている。即ち、保持部27Aは、平面視で第1方向一方に開口している。また、保持部27Aは、側面視で逆F字状に形成されている。即ち、保持部27Aは、摺接面26a側の部分がかさ高に形成されている。保持部27Aは、摺接面26a側、第1方向他方側、第2方向両側の四方から囲むように、保持部27Aの中にリフレクタ13を嵌め込むことができる。なお、第2方向は、高さ方向及び第1方向に直交する方向である。また、摺接面26a側の部分がかさ高に形成されているので、保持部27Aは、リフレクタ13を摺接面26aから離して配置することができる。更に、保持部27Aでは、摺接面26a側、第1方向他方側、第2方向両側において内周面がリフレクタ13の形状に合わせて凹んでいる。即ち、保持部27Aでは、前述する四方の内周面の各々は、部分的に部分球面状に凹んでいる。これにより、保持部27Aは、その中(より詳しくは内周面に囲まれた空間内)にリフレクタ13を嵌め込むことができる。そして、保持部27Aは、リフレクタ13を嵌め込んだ状態でリフレクタ13を所定位置(本実施形態において、回動中心とリフレクタ13の中心が一致する位置)に位置決めした状態で保持する。これにより、保持部材23Aを支持部材22(より詳しくは、支持部25)上で摺動させた場合において、リフレクタ13をその中心周りに回動させることができる。
【0051】
把持部28Aは、把持可能に保持部27Aに設けられている。より詳細に説明すると、把持部28Aは、保持部27Aの第1方向他方側部分から高さ方向に延在している。治具操作者は、把持部28Aで保持部材23を支持部材22の受座25aに押え付けながら受座25a上を摺動させることができる。
【0052】
このように構成されている三次元計測システム1Aでは、第1実施形態の三次元計測システム1と同様の方法で、計測治具2Aが計測点Mに設置される。また、三次元計測システム1Aでは、三次元計測装置3と計測治具2Aとを協働させることによって、第1実施形態の三次元計測システム1と同様の方法で計測点Mの位置が計測される。
【0053】
また、計測治具2Aでは、摺接部26Aが切欠き26cを有している。それ故、リフレクタ13を保持部27内で摺接部26A側に回動させた際に、リフレクタ13のレンズ13aが摺接部26Aに被り難くすることができる。例えば、保持具12を第1方向他方側に傾倒させる場合、レーザ光Lをレンズ13aに照射させるべく、リフレクタ13を摺接部26A側に回動させる必要がある。計測治具2Aでは、摺接部26A側に回動させた際に、リフレクタ13のレンズ13aが摺接部26Aに被り難くいので、より大きく保持具12を第1方向他方側に傾倒させることができる。
【0054】
また、計測治具2Aでは、保持部27の取付面26b側の部分がかさ高に形成されている。それ故、リフレクタ13を保持部27内で摺接部26A側に回動させた際に、リフレクタ13のレンズ13aが摺接部26Aに被り難くすることができる。従って、計測治具2Aでは、より大きく保持具12を第1方向他方側に傾倒させることができる。
【0055】
その他、第2実施形態の三次元計測システム1A及び計測治具2Aは、第1実施形態の三次元計測システム1及び計測治具2と同様の作用効果を奏する。
【0056】
[その他の形態]
第1及び第2実施形態の計測治具2,2Aでは、台座11上を保持具12,12が摺動することによって保持具12,12Aが傾動するが、保持具12が台座11に自在継手等によって傾動可能に設けられてもよい。また、摺動部材21は、必ずしも凹面21aを有している必要はない。例えば、摺動部材21は、所定方向一端に3つの突起を有してもよい。そして、摺動部材21を3つの突起によって座面11bに3点支持させることによって摺動部材21を座面11bに沿って摺動させることができる。それ故、3つの突起であっても計測点Mを傾倒支点にして保持具12を傾倒させることができる。
【0057】
第1及び第2実施形態の計測治具2,2Aでは、保持部材23,23Aが支持部材22上(より詳細に説明すると、支持部25上)に設けられている。しかし、図11に示す計測治具2Bのように、保持具12Bにおいて保持部材23Bが支持部材22の側面(より詳細に説明すると、支持部25の側面)に設けられてもよい。より詳細に説明すると、保持部材23Bは、永久磁石を有する円環状の部材である。保持部材23Bは、前述の通り、支持部25の側面に設けられる。リフレクタ13は、保持部材23Bの中央の孔23aにリフレクタ13の球帽部分を入れた状態で保持部材23Bに吸着させる。このように構成される計測治具2Bでは、計測点Mを傾倒支点にして保持具12Bを傾倒させると、計測治具2,2Aと同様にリフレクタ13を広い範囲で動かすことができる。
【0058】
更に、第1及び第2実施形態の計測治具2,2Aでは、支持部材22が所定方向に伸縮するが、必ずしも支持部材22が伸縮しなくてもよい。また、台座11に貫通孔11cが形成されているが、貫通孔11cは形成されていなくてもよい。また、台座11は、吸着部11dを有しなくてもよい。
【0059】
<例示的な実施形態>
第1の局面における計測治具は、三次元計測装置から照射されるレーザ光を反射する計測治具であって、計測点に配置される台座と、計測点を傾倒支点にして傾倒可能に前記台座に設けられる保持具と、前記保持具に保持され、照射されるレーザ光を反射するリフレクタと、を備え、前記保持具は、前記台座上を摺動する摺動部材を含み、前記摺動部材は、前記傾倒支点を中心に前記台座上を摺動するものである。
【0060】
上記局面に従えば、保持具が傾倒支点を中心に台座上を摺動する摺動部材を含む。それ故、保持具を傾倒させる際、保持具の傾倒支点が計測点からずれることが抑制されると共に、より大きい角度で保持具を傾倒させることができる。これにより、計測点の三次元位置の計測に関して精度を向上させることができる。
【0061】
第2の局面における計測治具では、第1の局面の計測治具において、前記台座は、前記傾倒支点を中心とする部分で球面状に形成される座面を含み、前記摺動部材は、前記座面と同じ曲率を有し、且つ前記座面に摺接する凹面を有する。
【0062】
上記局面に従えば、台座が傾倒支点を中心とする部分球面状に形成される座面を含む。また、摺動部材が座面と同じ曲率を有し、且つ座面に摺接する凹面を有する。それ故、摺動部材が座面上を摺動する際、座面と凹面とが摺接する面積を確保することができる。それ故、傾倒支点が計測点からずれることを更に抑制することができる。
【0063】
第3の局面における計測治具では、第2の局面の計測治具において、前記保持具は、前記リフレクタを該リフレクタの中心まわりに回動可能に保持している。
【0064】
上記局面に従えば、保持部材がリフレクタをその中心まわりに回動可能に保持している。それ故、傾倒支点からリフレクタの中心までの距離(即ち、計測点からリフレクタの中心までの距離)を変えることなく、リフレクタの向きを変えることができる。これにより、計測時においてより大きい角度で保持具を傾倒させることができる。従って、計測点の三次元位置の計測に関して精度を更に向上させることができる。
【0065】
第4の局面における計測治具では、第1乃至3の何れか1つの局面の計測治具において、前記保持具は、所定方向に延在する支持部材と、前記リフレクタを保持する保持部材とを含み、前記支持部材は、傾倒支点を中心にして傾倒可能に前記台座に設けられ、前記保持部材は、前記リフレクタの中心まわりに回動可能に前記支持部材に設けられている。
【0066】
上記局面に従えば、保持部材がリフレクタの中心まわりに回動可能に支持部材に設けられている。それ故、傾倒支点からリフレクタの中心までの距離(即ち、計測点からリフレクタの中心までの距離)を変えることなく、リフレクタの向きを変えることができる。これにより、計測時においてより大きい角度で保持具を傾倒させることができる。従って、計測点の三次元位置の計測に関して精度を更に向上させることができる。
【0067】
第5の局面における計測治具では、第4の局面の計測治具において、前記支持部材は、所定方向に伸縮する。
【0068】
上記局面に従えば、支持部材が所定方向に伸縮する。それ故、リフレクタを台座に近づけたり台座から離したりすることができる。そうすると、レーザ光が計測対象又はその他の障害物等によって遮られるような場合、支持部材を伸縮させることによってリフレクタをレーザ光が届くところまで動かすことができる。これにより、計測中に三次元計測装置3を移動させることが抑制される。
【0069】
第6の局面における計測治具では、第1乃至5の何れかに1つの局面の計測治具において、前記台座は、傾倒支点を通るように前記台座を貫通し、且つ前記計測点に当てて前記計測点を指示する指示部材を挿通させる貫通孔を含んでいる。
【0070】
上記局面に従えば、傾倒支点を通り、且つ計測点に当てて計測点を指示する指示部材を挿通させる貫通孔を台座が含んでいる。それ故、傾倒支点を精度よく計測点に合わせることができる。これにより、計測点の三次元位置の計測に関して精度を更に向上させることができる。
【0071】
第7の局面における計測治具では、第6の局面の計測治具において、前記台座は、前記計測点の周りの部分に着脱可能な吸着部を含む。
【0072】
上記局面に従えば、台座が計測点の周りの部分に着脱可能な吸着部を含む。それ故、計測点に指示部材を押し当てた後、計測対象に容易に固定することができる。これにより、計測点が傾倒支点からずれた状態で台座が計測対象に配置されることを抑制することができる。従って、計測点の三次元位置の計測に関して精度を更に向上させることができる。
【0073】
第8の局面における三次元計測システムは、第1乃至第7の何れか1つの計測治具と、レーザ光を発射し、前記計測治具によって反射されたレーザ光に基づいて前記計測点の三次元位置を計測する前記三次元計測装置とを備えるものである。
【0074】
上記局面に従えば、計測点の三次元位置の計測に関して精度を更に向上させることができる。
【符号の説明】
【0075】
1,1A 三次元計測システム
2,2A,2B 計測治具
3 三次元計測装置
4 計測対象
11 台座
11b 座面
11c 貫通孔
11d 吸着部
12,12A,12B 保持具
13 リフレクタ
14 指示部材
21 摺動部材
21a 凹面
22 支持部材
23,23A,23B 保持部材
27,27A 保持部
L レーザ光
M 計測点
O 中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11