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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078270
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】設計ユーザ端末とプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/12 20200101AFI20240603BHJP
   G06F 30/13 20200101ALI20240603BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240603BHJP
【FI】
G06F30/12
G06F30/13
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190707
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】工藤 文康
(72)【発明者】
【氏名】山村 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 咲季
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DG02
5B146DL08
5B146EA15
5B146EC01
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】部材同士の納まりが標準化されているシステム建築に関するBIM意匠モデルの設計を効率的に行うことのできる、設計ユーザ端末とプログラムを提供すること。
【解決手段】システム建築に含まれる建物のBIM意匠モデルを設計する、設計ユーザ端末10であり、建物の構造躯体と用途を含む、複数種の構造・用途に関する構造・用途データと、各構造・用途に固有の単数もしくは複数の外装材に関する外装材データとを少なくとも記憶する、記憶部29と、1つの構造・用途と、1つの外装材の選択を要求し、1つの該構造・用途と該外装材が選択された際に、建物の平面寸法と高さ寸法を含む、建物情報に関する建物情報データの入力をさらに要求する要求画面を起動させる、選択要求部23と、入力された建物情報データに基づいて、BIM意匠モデルを描画する、描画部25とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム建築に含まれる建物のBIM意匠モデルを設計する、設計ユーザ端末であって、
前記建物の構造躯体と用途を含む、複数種の構造・用途に関する構造・用途データと、各構造・用途に固有の単数もしくは複数の外装材に関する外装材データとを少なくとも記憶する、記憶部と、
1つの前記構造・用途と、1つの前記外装材の選択を要求し、1つの該構造・用途と該外装材が選択された際に、前記建物の平面寸法と高さ寸法を含む、建物情報に関する建物情報データの入力をさらに要求する要求画面を起動させる、選択要求部と、
入力された前記建物情報データに基づいて、前記BIM意匠モデルを描画する、描画部とを有することを特徴とする、設計ユーザ端末。
【請求項2】
前記建物の屋根は折板屋根であり、
前記選択要求部は、前記折板屋根の中で、はぜ締め式と、重ねボルト締め式のいずれかの選択をさらに要求することを特徴とする、請求項1に記載の設計ユーザ端末。
【請求項3】
システム建築に含まれる建物のBIM意匠モデルを設計するコンピュータに、以下の処理を実行させるプログラムであって、
前記建物の構造躯体と用途を含む、複数種の構造・用途に関する構造・用途データと、各構造・用途に固有の単数もしくは複数の外装材に関する外装材データとを少なくとも記憶し、
1つの前記構造・用途と、1つの前記外装材の選択を要求し、1つの該構造・用途と該外装材が選択された際に、前記建物の平面寸法と高さ寸法を含む、建物情報に関する建物情報データの入力をさらに要求する、要求画面を起動し、
入力された前記建物情報データに基づいて、前記BIM意匠モデルを描画することを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計ユーザ端末とプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築設計においては、敷地の条件や周辺環境を勘案しながら建物(建築物)の配置を決定し、内外観や間取り構成、装飾等を設計する意匠設計がまず行われる。この意匠設計では、一般に普及しているCAD(Computer-aided design)を用いることにより、二次元図面は勿論のこと、パースを含む三次元図面が作成される。この意匠設計により設計された建物に対して、積雪や地震等に対する安全性能を満たすような主架構を構成する柱や梁等を設定する構造設計が意匠設計に次いで行われる。さらに、この構造設計の後に、実際に適用され、工場にて生産される各部材がモデルに反映された、生産モデルを作成する、生産設計が行われる。。
【0003】
昨今、上記する建物の設計において、BIM(Building Information Modeling)モデルを用いて、デザイナーや設計者等の間で建物に関する情報を共有化することが行われている。ここで、BIMモデルとは、建物を構成する構成要素(オブジェクトとも言い、梁や柱、壁等を含む)に関する、仮想の三次元空間における形状に関する情報や、材質、寸法、配設位置等に関する情報(これらをまとめて、「仕様情報」とする)を有する三次元モデルである。このBIMモデルを用いて、三次元モデルを様々な角度から見た三次元図面が作成できる他、三次元図面を様々に切断したり、様々な角度から見た平面図(伏図を含む)や立面図(軸組図を含む)といった二次元図面を作成できる。すなわち、三次元モデルを構成する各構成要素は、種々の仕様情報を内包しており、この仕様情報は、変更や修正、追加が可能となり、変更や追加等の履歴も残すことができる。
【0004】
ところで、設計対象の建物のうち、骨組みや屋根、外壁等の納まりが標準化されることにより、構成部材の生産プロセスがシステム化されている建物は、一般に「システム建築」と称されている。例えば、工場や物流倉庫、ドラッグストアやコンビニエンスストア等の物販店舗等がシステム建築の一例として挙げられる。
【0005】
ここで、特許文献1には、上記するBIMを用いた情報管理システムが提案されている。具体的には、ユーザが利用する情報処理端末と、情報処理端末とネットワークを介して通信可能に接続されるサーバ装置とを有する情報管理システムである。このサーバ装置は、オブジェクトの形状情報と仕様情報をオブジェクトに関連付けて記憶し、オブジェクトとこれに関する作業項目とを関連付けた作業情報と、作業項目とこれに関する資源項目とを関連付けた資源情報とを記憶する記憶部と、形状情報、仕様情報、作業情報、資源情報に基づいて情報処理端末を利用するユーザの要求する情報を取得する制御部と、取得したユーザの要求する情報を要求元の情報処理端末に送信する通信部とを備えている。また、情報処理端末は、ネットワークを介してサーバ装置から受信した、情報処理端末を利用するユーザの要求する情報に基づいて、情報処理端末を利用するユーザに対して所定画面を表示する表示部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-164681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の情報管理システムによれば、建物に関する情報を適切に管理し、ユーザに必要な情報を簡単に取得させることができる。ところで、上記するシステム建築では、各部材の納まりが標準化されている一方で、従来のシステム建築に関するBIM意匠モデルの作成においては、意匠設計担当者が各部材(オブジェクト)に関する情報を設計ユーザ端末に対して手入力により入力しながら、BIM意匠モデルを描画している。そのため、システム建築に関するBIM意匠モデルの作成において、手間と時間を要するといった課題がある。
【0008】
本発明は上記する課題に鑑みてなされたものであり、部材同士の納まりが標準化されているシステム建築に関するBIM意匠モデルの設計を効率的に行うことのできる、設計ユーザ端末とプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、本発明による設計ユーザ端末の一態様は、
システム建築に含まれる建物のBIM意匠モデルを設計する、設計ユーザ端末であって、
前記建物の構造躯体と用途を含む、複数種の構造・用途に関する構造・用途データと、各構造・用途に固有の単数もしくは複数の外装材に関する外装材データとを少なくとも記憶する、記憶部と、
1つの前記構造・用途と、1つの前記外装材の選択を要求し、1つの該構造・用途と該外装材が選択された際に、前記建物の平面寸法と高さ寸法を含む、建物情報に関する建物情報データの入力をさらに要求する要求画面を起動させる、選択要求部と、
入力された前記建物情報データに基づいて、前記BIM意匠モデルを描画する、描画部とを有することを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、記憶部において、構造・用途データと、各構造・用途に固有の外装材データとが少なくとも記憶され、選択要求部により、構造・用途と外装材の選択を要求し、建物の平面寸法等の建物情報データの入力をさらに要求し、描画部において、入力された建物情報データに基づいてBIM意匠モデルを描画する(もしくは自動配置する)ことにより、オブジェクトに関する情報の手入力が解消され、効率的なBIM意匠モデルの設計(作成)を実現できる。特に、本態様の設計ユーザ端末が設計対象とする建物は、部材同士の納まりの一部もしくは全部が標準化されているシステム建築に含まれる建物であることから、標準化されているシステム建築に特有の納まりの代表例である、構造・用途と、当該構造・用途に固有の外装材に関する情報が予め記憶部に記憶され、選択されるのみでモデル化されることから、本態様はシステム建築のBIM意匠モデルに好適な端末となる。
【0011】
ここで、「構造・用途」のうち、「構造」としては、例えば鉄骨造の構造躯体種として、平屋建てや2階建て、単材梁使用構造や、トラス梁使用構造等が挙げられ、「用途」としては、物流倉庫、ドラッグストアやコンビニエンスストアといった物販店舗等が挙げられる。構造・用途に応じて、標準仕様となる外装材のメーカーや品番が異なることから、構造・用途ごとに、固有の単数もしくは複数の外装材データが設定され、記憶部に記憶される。従って、表示部にて表示された要求に応じて1つの構造・用途が選択された際に、選択された構造・用途に固有の外装材が列挙され、列挙された複数の外装材の中から1つの外装材の選択がさらに要求される。尚、構造・用途によっては外装材が1種類の場合もあり得るが、この場合は提示された外装材を選択することになる。
【0012】
描画部にて描画されるBIM意匠モデルは、外周に位置する外柱と、隣接する外柱同士を繋ぐ外梁(軒梁、胴差し)とを備えている外周モデル、外周モデルの上部に設置される屋根モデルにてBIM意匠モデルが作成される。
【0013】
本態様の設計ユーザ端末には、意匠設計担当者の有するパーソナルコンピュータやタブレット等が含まれる。
【0014】
また、本発明による設計ユーザ端末の他の態様において、
前記建物の屋根は折板屋根であり、
前記選択要求部は、前記折板屋根の中で、はぜ締め式と、重ねボルト締め式のいずれかの選択をさらに要求することを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、システム建築の屋根として一般的な折板屋根に関して、梁に対する折板屋根の固定形式の代表例である、はぜ締め式と、重ねボルト締め式のいずれかの選択がさらに要求されることにより、構造躯体と外装材に加えて、折板屋根とその梁への固定形式が規定され、BIM意匠モデルを構成する全てのオブジェクトの配置が完了する。ここで、はぜ締め式とは、折板同士を折り込んで固定する形式のことであり、重ねボルト締め式とは、文字通り、折板の端部同士をボルトとナットで固定する形式である。
【0016】
また、本発明によるプログラムの一態様は、
システム建築に含まれる建物のBIM意匠モデルを設計するコンピュータに、以下の処理を実行させるプログラムであって、
前記建物の構造躯体と用途を含む、複数種の構造・用途に関する構造・用途データと、各構造・用途に固有の単数もしくは複数の外装材に関する外装材データとを少なくとも記憶し、
1つの前記構造・用途と、1つの前記外装材の選択を要求し、1つの該構造・用途と該外装材が選択された際に、前記建物の平面寸法と高さ寸法を含む、建物情報に関する建物情報データの入力をさらに要求する、要求画面を起動し、
入力された前記建物情報データに基づいて、前記BIM意匠モデルを描画することを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、パーソナルコンピュータ等にインストールもしくはダウンロードされたプログラムにより、構造・用途データと、各構造・用途に固有の外装材データとを少なくとも記憶し、構造・用途と外装材の選択を要求し、建物の平面寸法等の建物情報データの入力をさらに要求した上で、入力された建物情報データに基づいてBIM意匠モデルを描画することにより、オブジェクトに関する情報の手入力を解消して、効率的にBIM意匠モデルの設計を実現できる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明から理解できるように、本発明による設計ユーザ端末とプログラムによれば、部材同士の納まりが標準化されているシステム建築に関するBIM意匠モデルの設計を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る設計ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る設計ユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
図3】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
図4】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
図5】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
図6】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
図7】設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態に係る設計ユーザ端末の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0021】
[実施形態に係る設計ユーザ端末]
図1乃至図7を参照して、実施形態に係る設計ユーザ端末の一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係る設計ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図であり、図2は、設計ユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。また、図3乃至図7は、設計ユーザ端末の表示画面における表示例を示す図である。
【0022】
設計ユーザ端末10は、意匠設計担当者が利用するユーザ端末であり、意匠設計担当者が、特にシステム建築に含まれる建物のBIM意匠モデルを設計し、作成するためのユーザ端末である。
【0023】
図示を省略するが、設計ユーザ端末にはその他、構造設計担当者が利用する設計ユーザ端末や、工場にて生産される各部材がモデルに反映された、BIM生産モデルを作成する生産設計担当者が利用する設計ユーザ端末が存在する。さらに、積算ユーザ端末、施工計画ユーザ端末、実施工ユーザ端末(いずれも図示せず)等、様々なユーザ端末がある。
【0024】
このような各種の設計ユーザ端末(ユーザ端末)は、ネットワークを介して共有サーバに接続され、各設計ユーザ端末にて作成されたBIMモデル(BIM意匠モデル、BIM構造モデル、BIM生産モデル等)は都度共有サーバに送信及び格納され、アクセス権限が付与されているユーザ端末が共有サーバにアクセス可能な設計支援システムが構築されてよい。この設計支援システムには、一つのハウスメーカー等の会社内部のみで情報共有がなされるクローズドネットワークを有する形態の他、外部機関(生産設計、設備設計、施工計画等の段階で協同して作業を行う資機材供給メーカー等の有する資機材供給メーカー等)との間においても情報共有が可能な、オープンネットワークを有する形態が含まれる。また、共有サーバには、データ保管の他にも、各種のアプリケーションソフトウェアを複数のユーザが共有できるクラウドサーバが適用され得る。
【0025】
実施形態に係る設計ユーザ端末10は、システム建築に含まれる建物の企画段階等において、意匠設計担当者が意匠設計ユーザ端末として使用し、BIM意匠モデルを設計及び作成するユーザ端末である。企画段階では、三次元モデリングされた建物の画像データ(BIM意匠モデル)を見ることにより、当該建物の外観やレイアウトデザイン等について直接イメージすることができる。
【0026】
ここで、システム建築に含まれる建物には、物流倉庫、ドラッグストアやコンビニエンスストア等の物販店舗等が含まれる。
【0027】
図1に示すように、設計ユーザ端末10は、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やワークステーション(WS:Work Station)、タブレット等の情報処理装置からなり、いずれもコンピュータにより構成される。
【0028】
設計ユーザ端末10を構成するコンピュータは、接続バス16により相互に接続されているCPU(Central Processing Unit)11、主記憶装置12、補助記憶装置13、通信IF(interface)14、及び入出力IF15を備えている。主記憶装置12と補助記憶装置13は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。尚、上記の構成要素はそれぞれ個別に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
【0029】
CPU11は、MPU(Microprocessor)やプロセッサとも呼ばれ、CPU11は、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサであってもよい。CPU11は、コンピュータからなる設計ユーザ端末10等の全体の制御を行う中央演算処理装置である。CPU11は、例えば、補助記憶装置13に記憶されたプログラムを主記憶装置12の作業領域にて実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことにより、所定の目的に合致した機能を提供する。
【0030】
主記憶装置12は、CPU11が実行するコンピュータプログラムや、CPU11が処理するデータ等を記憶する。主記憶装置12は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置13は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納し、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶装置13には、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、例えば、通信IF14を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、ネットワークに接続するパーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション(WS)、サーバ、携帯端末等の情報処理装置や外部記憶装置等が含まれる。
【0031】
補助記憶装置13は、例えば、主記憶装置12を補助する記憶領域として使用され、CPU11が実行するコンピュータプログラムや、CPU11が処理するデータ等を記憶する。補助記憶装置13は、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)装置、ソリッドステートドライブ装置等である。また、補助記憶装置13として、CDドライブ装置、DVDドライブ装置、BDドライブ装置といった着脱可能な記録媒体の駆動装置が例示される。着脱可能な記録媒体として、CD、DVD、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等が例示される。
【0032】
通信IF14は、設計ユーザ端末10等が接続するネットワークとのインターフェイスである。通信IF14は、ネットワークを介して、共有サーバに接続され、意匠設計の際に利用する様々なアプリケーションソフトウェアをダウンロードしたり、他の意匠設計担当者が作成し、共有サーバに格納されているBIM意匠モデルを参照として受信する。
【0033】
入出力IF15は、設計ユーザ端末10に接続する機器との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。入出力IF15には、例えば、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力デバイス等が接続する。設計ユーザ端末10は、入出力IF15を介し、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等を受け付ける。
【0034】
また、入出力IF15には、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(EL:Electroluminescence)等の表示デバイス、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスが接続する。設計ユーザ端末10は、入出力IF15を介し、CPU11により処理されるデータや情報、主記憶装置12、補助記憶装置13に記憶されるデータや情報を出力する。
【0035】
図2に示すように、設計ユーザ端末10は、CPU11によるプログラムの実行により、少なくとも、取得部21、選択要求部23、描画部25、表示部27,及び記憶部29の各種機能を提供する。尚、上記処理機能の少なくとも一部が、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等によって提供されてもよく、同様に、上記処理機能の少なくとも一部が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、数値演算プロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用LSI(large scale integration)やその他のデジタル回路等であってもよい。
【0036】
取得部21は、意匠設計担当者による入力データを取得し、記憶部29に記憶(格納)するとともに、共有サーバに格納されているアプリケーションソフトウェアや参照となる他の意匠設計担当者の作成したBIM意匠モデルを受信する。さらに、取得部21は、意匠設計担当者が作成したBIM意匠モデルを共有サーバに送信する。
【0037】
記憶部29には、BIMソフトウェアとして、Autodesk Revit(登録商標)(Autodesk社製)が、インストールもしくはダウンロードされており、意匠設計の際に起動されるようになっている。
【0038】
また、記憶部29には、建物の構造躯体と用途を含む、複数種の構造・用途に関する構造・用途データと、各構造・用途に固有の単数もしくは複数の外装材に関する外装材データと、折板屋根を形成する例えば一種の折板に関する折板データが記憶される。
【0039】
表示部27は、液晶ディスプレイ等の表示画面に対して、図3に示すように、BIM意匠モデルの作成に供される複数のアドインツールを表示する。システム建築に含まれる建物の意匠設計においては、アドインツールにおける「システムウィザード31」を押下する。このシステムウィザード31は、システム建築建物の外観モデル(BIM意匠モデル)を自動作成するツールである。
【0040】
「システムウィザード31」の押下により、選択要求部23が作動し、図4に示すような第1選択要求画面が表示画面26に表示される。第1選択要求画面には、「商品32」、「外装材33」、「腰壁34」の各選択ボックスがあり、さらに、「設計条件35」に関する入力ボックスがある。
【0041】
商品32とは、構造・用途ごとに設定されている商品種のことであり、例えば鉄骨造の構造躯体種として、平屋建てや2階建て、単材梁使用構造や、トラス梁使用構造等が構造に含まれる。また、物流倉庫や物販店舗等が用途に含まれる。
【0042】
図4における、商品32における選択メニューに記載される、「フレスト」、「コンフォルト」、「リード」、「リードフリー」とは、大和ハウス工業株式会社により開発され、商品化されている商品名の一例である。
【0043】
意匠設計担当者は、商品32の選択メニューの中から、設計対象のシステム建築建物の構造・用途に好適な商品を選択する。
【0044】
商品32に含まれる各商品には、商品固有の外装材(標準仕様の外装材のメーカー、品番等)の種類が設定されている。例えば、図4において、商品:リードフリー単材梁 口150を設定すると、「外装材33」の選択メニューには、当該商品に固有の3種類の外装材である、窯業系サイディング、金属サイディング、及び角波鉄板が選択メニューとして提示される。
【0045】
外装材33に含まれる各外装材においては、「腰壁34」の有無の選択がさらに要求される。意匠設計担当者は、外装材33の選択メニューの中から、例えば窯業系サイディングを選択した後、腰壁34の選択メニューの中で腰壁有を選択する。
【0046】
商品32,外装材33,及び腰壁34の有無を選択した後、設計条件35に含まれる各種条件を設定する。この設計条件には、積雪(一般地域、多雪地域)と積雪高さ、風荷重(基準風速)、地震力としての地域係数、建物の用途や地表粗度区分、太陽光パネルの設置の有無等が含まれる。
【0047】
図4において要求される項目ごとに選択もしくは入力を行い、「次へ」を押下することにより、図5図6に示す第2選択要求画面が表示画面26に表示される。
【0048】
第2選択要求画面は、建物の平面寸法と高さ寸法を含む、建物情報に関する建物情報データの入力を要求する要求画面である。
【0049】
その中で、図5に示す画面は、建物の高さ方向の数値を入力する画面であり、図6に示す画面は、建物の平面寸法に関する数値を入力する画面である。
【0050】
図5に示すように、要求される高さ方向の情報としては、以下の項目がある。すなわち、設計GL~1Fのフロアレベルまでの高さ(図における「100」)、1階水下側天井高(図における「3600」)、1階水下側天井面~水下梁天端までの高さ(図における「750」)、設計GL~水下梁天端までの高(図における「4450」)、屋根勾配(図における「3/100」)、水上~水下距離(図における「24000」)、設計GL~水上梁天端までの高さ(図における「5170」)、水上梁天端~パラペット天端までの高さ(図における「960」)、最高高さ(図における「6130」)等である。尚、各数値の単位はmmである。
【0051】
各項目に対して設計値を入力する。尚、他の複数の入力情報に基づき、自動的にデータ入力される項目もある。
【0052】
選択された商品の平面視形状は矩形である。図6に示す表示画面26では、屋根情報を選択する屋根情報選択ボックス41と、平面寸法を設定する平面寸法ボックス42が含まれる。
【0053】
屋根情報選択ボックス41において、折板屋根の勾配方向を選択し、はちまき庇の有無やその位置を選択することにより、平面寸法ボックス42では、屋根の勾配方向が含まれる平面視矩形の建物概要図が表示される。
【0054】
平面寸法ボックス42では、図5における、水上~水下距離(図における「24000」)が自動的に読み込まれて平面視矩形の一辺の長さ(勾配方向の長さ)が設定され、これに直交する方向の長さ(図における「30000」)を入力することにより、平面寸法が設定される。
【0055】
鉄骨造の外壁フレームに対して外装材が取り付けられることにより、外壁パネルフレームが形成され、間隔を置いて立設される複数の外柱に対して複数の外壁パネルフレームが取り付けられることにより、外壁が形成される。
【0056】
外壁パネル幅(図における「2000」)を入力することにより、平面視矩形の各辺における外壁パネル数がスパン数(図における「12」、「15」)として自動表示される。尚、例えば図示例のように2000mmの外壁パネル幅は、外柱のスパン長さに相当しており、従って外壁パネル数はそのままスパン数となる。
【0057】
屋根情報選択ボックス41では、折板屋根の中で、はぜ締め式と、重ねボルト締め式のいずれかの固定形式の選択が要求される。図示例では、はぜ締め式の中の「ハゼ166」(株式会社淀川製鋼所社製の商品名:ヨドルーフ 166 ハゼを使用したはぜ締め)が選択されている。
【0058】
図6に示す要求項目に対して選択及び入力を行い、「作成」を押下することにより、描画部25(図2参照)が作動し、選択及び入力情報に基づいてBIM意匠モデルが描画される。
【0059】
図7には、描画部25により描画され、表示画面26に表示されている、物販店舗に関するBIM意匠モデル50を正面入り口側から見た斜視図を示している。
【0060】
BIM意匠モデル50は、設定されている数の外壁パネル51と腰壁53を有し、設定されている勾配及び勾配方向を備えた折板屋根55を有している。
【0061】
表示画面26において、様々な方向から見た3次元のBIM意匠モデル50を表示することができ、様々な位置で切断された縦断面図や横断面図(2次元のBIM意匠モデル50)を表示することができる。
【0062】
図示する設計ユーザ端末10によれば、構造・用途データと、各構造・用途に固有の外装材データとが記憶部29にて記憶され、選択要求部23において、構造・用途と外装材の選択を要求し、建物の平面寸法等の建物情報データの入力をさらに要求し、描画部25において、入力された建物情報データに基づいてBIM意匠モデル50を描画することにより、オブジェクトに関する情報の手入力が解消され、効率的なBIM意匠モデルの設計を実現できる。
【0063】
特に、設計対象である建物が、部材同士の納まりの一部もしくは全部が標準化されているシステム建築建物であることから、標準化されているシステム建築に特有の納まりの代表例である、構造・用途と、当該構造・用途に固有の外装材に関する情報が予め記憶部29に記憶され、選択されるのみでモデル化されることから、システム建築建物に関するBIM意匠モデルの作成に好適な端末となる。
【0064】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0065】
10:設計ユーザ端末
21:取得部
23:選択要求部
25:描画部
27:表示部(表示画面)
29:記憶部
50:物販店舗(BIM意匠モデル)
51:外装材(外壁パネル)
53:腰壁
55:折板屋根
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7