(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078319
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】除塵装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20240603BHJP
B03C 3/74 20060101ALI20240603BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240603BHJP
F24F 8/192 20210101ALI20240603BHJP
【FI】
F24F7/06 C
B03C3/74 E
F24F7/007 B
F24F8/192
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190800
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】久保田 貴之
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
4D054
【Fターム(参考)】
3L056BD07
3L056BF04
3L058BF04
3L058BF09
4D054AA11
4D054BA01
4D054CA20
4D054CB10
4D054DA11
4D054DA15
4D054EA11
(57)【要約】
【課題】粉塵の四散を抑制できる除塵装置を提供する。
【解決手段】対象者Pに空気を吹き付けて除塵を行う除塵装置であって、帯電可能に構成され、帯電状態において静電気を用いて、浮遊している粉塵を吸着可能な集塵バー91(吸着部)と、前記集塵バー91(吸着部)の帯電状態を解除可能なアース接続スイッチ93(解除部)と、前記集塵バー91(吸着部)に吸着された粉塵を回収するための回収部(筐体10及び送風機70)と、前記回収部による回収が行われる場合に、前記アース接続スイッチ93(解除部)を制御し、前記集塵バー91(吸着部)の帯電状態を解除させる制御部100と、を具備する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に空気を吹き付けて除塵を行う除塵装置であって、
帯電可能に構成され、帯電状態において静電気を用いて、浮遊している粉塵を吸着可能な吸着部と、
前記吸着部の帯電状態を解除可能な解除部と、
前記吸着部に吸着された粉塵を回収するための回収部と、
前記回収部による回収が行われる場合に、前記解除部を制御し、前記吸着部の帯電状態を解除させる制御部と、
を具備する、
除塵装置。
【請求項2】
前記回収部は、
中空状に形成された中空部材と、
前記吸着部に吸着された粉塵を、前記中空部材に引き込む第1の処理のために送風可能な送風機と、
を含む、
請求項1に記載の除塵装置。
【請求項3】
前記送風機は、
前記第1の処理に加えて、前記除塵を行う第2の処理のために送風可能に構成される、
請求項2に記載の除塵装置。
【請求項4】
前記対象者の前記除塵装置への出入りを検知可能な検知部を具備し、
前記制御部は、
前記検知部の検知結果に応じて、前記第1の処理と前記第2の処理とを切り替えて実行する、
請求項3に記載の除塵装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1の処理及び前記第2の処理のうち、実行する処理に応じて、空気の流路を切り替える、
請求項4に記載の除塵装置。
【請求項6】
前記吸着部を内側に収容すると共に、外側と内側とを空気が流通可能に構成される収容部を具備する、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除塵装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吐出した空気によって除塵を行う除塵装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の除塵装置(エアシャワー装置)は、出入り口用ドアや側壁等により周囲を囲まれた密閉形状のエアシャワー室と、エアシャワー室の側壁面に設けられ、エアシャワー室内に向けて空気を吹き出すエア吹出し部と、を具備している。エアシャワー室に入室した利用者に対して、エア吹出し部からの空気を吹き付けることで、利用者に付着した粉塵を除去(除塵)することができる。
【0004】
ここで、特許文献1に記載の除塵装置は、各種の工場(半導体製造工場、食品工場等)での利用が想定されているが、例えばホテルなどの宿泊施設やショッピングモールなどの商業施設で利用することも考えられる。このような場合、ホテル等では、工場とは異なり絶えず多くの人の出入りがあるため、人の往来を阻害しないように出入り口用ドアを設けず、エアシャワー室を常に外部空間へ開放することが考えられる。
【0005】
しかしながら、エアシャワー室が常に開放されると、利用者から除去された粉塵が外部空間へ四散してしまうため望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、粉塵の四散を抑制できる除塵装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、対象者に空気を吹き付けて除塵を行う除塵装置であって、帯電可能に構成され、帯電状態において静電気を用いて、浮遊している粉塵を吸着可能な吸着部と、前記吸着部の帯電状態を解除可能な解除部と、前記吸着部に吸着された粉塵を回収するための回収部と、前記回収部による回収が行われる場合に、前記解除部を制御し、前記吸着部の帯電状態を解除させる制御部と、を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、前記回収部は、中空状に形成された中空部材と、前記吸着部に吸着された粉塵を、前記中空部材に引き込む第1の処理のために送風可能な送風機と、を含むものである。
【0011】
請求項3においては、前記送風機は、前記第1の処理に加えて、前記除塵を行う第2の処理のために送風可能に構成されるものである。
【0012】
請求項4においては、前記対象者の前記除塵装置への出入りを検知可能な検知部を具備し、前記制御部は、前記検知部の検知結果に応じて、前記第1の処理と前記第2の処理とを切り替えて実行するものである。
【0013】
請求項5においては、前記制御部は、前記第1の処理及び前記第2の処理のうち、実行する処理に応じて、空気の流路を切り替えるものである。
【0014】
請求項6においては、前記吸着部を内側に収容すると共に、外側と内側とを空気が流通可能に構成される収容部を具備するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、粉塵の四散を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第一実施形態に係る除塵装置の全体的な構成を示した斜視図。
【
図4】(a)除塵ラインであるダクトの連通ラインを示した図。(b)回収ラインであるダクトの連通ラインを示した図。
【
図5】除塵装置の制御に関する構成を示したブロック図。
【
図6】除塵制御の除塵モードの内容を示したフローチャート。
【
図7】
図6の続きであり、除塵制御の回収モードの内容を示したフローチャート。
【
図8】(a)除塵モードが実行される様子を示した模式図。(b)回収モードが実行される様子を示した模式図。(c)除塵制御が実行された後の様子を示した模式図。
【
図9】(a)第1の別例に係る第1収容部及び集塵バーを示す平面図。(b)同じく、斜視図。(d)第2の別例に係る第2収容部及び集塵バーを示す斜視図。
【
図10】(a)第3の別例に係る第3収容部を備えた筐体を示した正面図。(b)同じく、平面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の第一実施形態に係る除塵装置1について説明する。
【0018】
図1に示す除塵装置1は、対象となる人や物(便宜上、以下では「対象者P」と称する)に付着した粉塵を除去するものである。ここで、粉塵とは、花粉等の空気中に浮遊する粒子を指す。粉塵には、花粉の他に砂塵や微小なホコリ、PM2.5(粒径2.5μm以下の粒子状物質)等の粒子が含まれる。
【0019】
除塵装置1は、一対の側面ユニット2と、一対の側面ユニット2の上端に亘って設けられた天面部3と、を具備する。除塵装置1は、その内側(一対の側面ユニット2と天面部3とにより区画された空間)を、対象者Pが通過可能な門型に形成されている。側面ユニット2は、内側に向かって空気を吐出することができる。
【0020】
本実施形態に係る除塵装置1は、一例として、ホテルなどの宿泊施設やショッピングモールなどの商業施設のエントランスに配置することを想定している。すなわち、除塵装置1は、絶えず多くの人の出入りが多い施設に設けられることを想定している。除塵装置1は、当該除塵装置1を通過するホテル等の利用客(対象者P)に対して空気を吹き付けることで、当該利用客に付着した粉塵を除去することができる。これによって、ホテル等の建物内に粉塵が侵入するのを防止することができる。
【0021】
以下では、
図2から
図5を用いて、除塵装置1のうち、主たる部材を具備する側面ユニット2の構成について具体的に説明する。なお、除塵装置1に設けられた一対の側面ユニット2の構成は概ね対称であるため、以下では一方の側面ユニット2について説明する。また以下では、図中の矢印に基づいて、前後方向、左右方向及び上下方向を定義して説明を行う。本実施形態においては、側面ユニット2のうち、後述する送風口30が設けられている面が向く方向を前方としている。
【0022】
側面ユニット2は、主として筐体10、給気口20、送風口30、回収口40、排気口50、ダクト60、送風機70、センサ80、集塵部90及び制御部100を具備する。
【0023】
筐体10は、側面ユニット2の主たる外郭を成す部材である。筐体10は、側面ユニット2を構成する他の部材を収容可能な中空の箱状に形成される。筐体10は、略直方体状に形成される。
【0024】
給気口20は、筐体10の外部から内部へと空気を導入(給気)するための開口部である。給気口20は、筐体10の前側面の左右の上端部に形成される。給気口20は、略矩形状に形成される。
【0025】
送風口30は、筐体10の内部から外部へと空気を吐出(送風)するための開口部である。送風口30は、筐体10の前側面において、給気口20よりも下方に形成される。送風口30は、略円形状に形成される。送風口30は、正面視において互いに適宜の間隔を空けて複数(本実施形態では、6つ)形成される。送風口30は、筐体10の内部において、後述するダクト60を介して給気口20と連通可能に構成される。送風口30から送風された空気は、対象者Pへと吹き付けられる。
【0026】
回収口40は、筐体10の外部から内部へと空気を導入するための開口部である。回収口40は、筐体10の左右の側面に形成される。回収口40は、上下方向に延びた細長いスリット状に形成される。回収口40は、空気を導入することにより、後述する集塵バー91に吸着された粉塵を回収する。また回収口40は、スリット状に形成されるため、空気を導入する際の吸引力が高くなるように形成される。
【0027】
排気口50は、筐体10の内部から外部へと空気を排出するための開口部である。排気口50は、筐体10の左右の側面において、回収口40よりも上方に形成される。排気口50は、略矩形状に形成される。排気口50は、筐体10の内部において、後述するダクト60を介して回収口40と連通可能に構成される。
【0028】
ダクト60は、空気の流路を構成するものである。
図4に示すように、ダクト60は、筐体10の内部に形成される。ダクト60は、空気の流路方向において、上流側部が2股に分岐すると共に、下流側部も2股に分岐するように構成される。ダクト60の分岐した上流側部は、給気口20及び回収口40にそれぞれ接続される。またダクト60の分岐した下流側部は、送風口30及び排気口50にそれぞれ接続される。またダクト60の上流側及び下流側の分岐した部分には、分岐ダンパー61が設けられる。
【0029】
分岐ダンパー61は、ダクト60における空気の流れを切り替えるものである。分岐ダンパー61は、上流側に接続される給気口20及び回収口40のうち一方を、ダクト60の下流側と連通するように切り替え動作可能に構成される。また分岐ダンパー61は、下流側に接続される送風口30及び排気口50のうち一方を、ダクト60の上流側と連通するように切り替え動作可能に構成される。なお分岐ダンパー61の切り替え動作は、後述する制御部100により制御される。
【0030】
本実施形態においては、
図4(a)に示すように、分岐ダンパー61は、上流側に接続される給気口20と、下流側に接続される送風口30と、を連通するように切り替え動作を行うことができる。以下では、給気口20と送風口30とが連通されたダクト60の連通ライン(空気の流路)を「除塵ライン」と称する場合がある。また
図4(b)に示すように、分岐ダンパー61は、上流側に接続される回収口40と、下流側に接続される排気口50と、を連通するように切り替え動作を行うことができる。以下では、回収口40と排気口50とが連通されたダクト60の連通ラインを「回収ライン」と称する場合がある。
【0031】
なお、除塵ライン及び回収ラインの上流側部において分岐した部分(すなわち、互いに共通しない部分)には、それぞれ適宜のフィルタ(不図示)が設けられる。具体的には、除塵ラインにおいては、空気の円滑な流通を優先するように例えばプレフィルタが設けられる。また回収ラインにおいては、粉塵の回収を優先するように、プレフィルタよりも集塵機能の高い例えばHEPAフィルタが設けられる。
【0032】
図4及び
図5に示す送風機70は、ファンを用いて空気に圧力を与えて送り出す装置である。送風機70は、筐体10の内部に設けられる。また送風機70のファンは、ダクト60の内部に設けられる。こうして、送風機70は、ダクト60の内部において上流側から下流側へと空気を送り出すことができる。
【0033】
センサ80は、対象者Pの存在を検知可能なものである。センサ80としては、例えば赤外線や超音波を用いて人を検知する方式のセンサを採用可能である。センサ80は、筐体10の前側面において、送風口30よりも下方に配置される。センサ80は、筐体10の前側面の左下端部及び右下端部に1つずつ設けられる。なお以下では便宜上、左側のセンサ80を「第1センサ81」、右側のセンサ80を「第2センサ82」と称する場合がある。
【0034】
集塵部90は、対象者Pから除去された粉塵を集塵するものである。集塵部90は、集塵バー91、静電気発生装置92及びアース接続スイッチ93を具備する。
【0035】
集塵バー91は、導電性の素材を用いて形成され、帯電可能に構成される。集塵バー91は、筐体10の左右の側方にそれぞれ配置され、床面から上方へ延出した棒状に形成される。このように、集塵バー91は、除塵装置1を通過する対象者Pの動線を妨げず、かつ、当該除塵装置1の出入り口近傍に設けられる。なお左右の集塵バー91の構成は概ね同一であるため、以下では一方の集塵バー91について説明する。
【0036】
集塵バー91は、左右方向において回収口40と対向するように形成される。集塵バー91の上端部の高さ位置は、回収口40の上端部の高さ位置と同一になるように形成される。集塵バー91は、筐体10(ひいては、回収口40)の近傍(本実施形態においては、左右方向において20cm以内)に形成される。
図3に示すように、集塵バー91は、地面と連通するためのアース線91aを有する。
【0037】
図5に示す静電気発生装置92は、静電気を発生させる装置である。静電気発生装置92は、集塵バー91の近傍の任意の場所に配置される。静電気発生装置92は、発生させた静電気により、集塵バー91を帯電状態とすることができる。なお静電気発生装置92が静電気を発生させる方式としては、任意の方法を採用することができる。
【0038】
図3及び
図5に示すアース接続スイッチ93は、アース線91aに設けられ、アース線91aの断接を切り替え可能に構成される。アース接続スイッチ93は、オフとされた場合に、アース線91aを切断状態(アース接続をオフ)とすることができる。アース接続をオフ状態にすると、静電気発生装置92で発生された静電気が集塵バー91に帯電可能となる。一方、アース接続スイッチ93は、オンとされた場合に、アース線91aを接続状態(アース接続をオン)とすることができる。アース接続をオン状態にすると、集塵バー91に帯電された静電気が解除される(集塵バー91の帯電状態が解除される)。
【0039】
こうして、上述の如く構成された集塵部90においては、アース接続がオフ状態の場合に、静電気発生装置92で発生された静電気により集塵バー91を帯電させ、浮遊している粉塵を当該集塵バー91に吸着させることができる。また粉塵が吸着された状態において、アース接続がオン状態になると、集塵バー91に帯電された静電気が解除され、吸着されていた粉塵を離脱容易な状態とすることができる。なお後述するように、離脱容易な状態となった粉塵は、回収口40への空気の導入に伴って、当該回収口40に引き込まれて回収される。
【0040】
図5に示す制御部100は、RAM、ROM、HDD等の記憶部や、CPU等の演算処理部等を具備する。制御部100の記憶部には、各種の情報やプログラム等が記憶されている。なお前記各種の情報やプログラム等には、後述する除塵制御に関する情報やプログラム等が含まれる。なお制御部100は、側面ユニット2が具備するものに限定されず、任意の場所に設けることができる。
【0041】
制御部100は、分岐ダンパー61と接続され、分岐ダンパー61を制御できる。こうして、制御部100は、ダクト60の連通ラインを、除塵ラインと回収ラインとに任意に切り替えることができる。また制御部100は、集塵部90と接続され、集塵部90を制御できる。より詳細には、制御部100は、静電気発生装置92及びアース接続スイッチ93を制御できる。こうして、制御部100は、集塵バー91の帯電状態を任意に切り替えることができる。また制御部100は、送風機70と接続され、送風機70を制御できる。また制御部100は、センサ80と接続され、センサ80の検知結果を取得できる。
【0042】
また制御部100は、対象者Pの除塵装置1の内側への出入りに応じて、対象者Pに付着した粉塵を除去するための制御(以下では「除塵制御」と称する)を実行する。本実施形態において、除塵制御には、それぞれ目的の異なる2つの制御(モード)が含まれる。具体的には、除塵制御には、対象者Pの除塵処理(付着した粉塵を除去する処理)を行うと共に、周囲を浮遊している粉塵を収集するための除塵モードと、収集された粉塵を回収するための回収モードと、が含まれる。
【0043】
以下では、
図4、
図6及び
図7のフローチャート、
図8等を用いて、制御部100により実行される除塵制御の内容について説明する。除塵制御が実行される場合、後述するようにまず除塵モードが実行され、その後に回収モードが実行される。
【0044】
なお以下の説明では、
図1に示すように、対象者Pは、除塵装置1を左側から右側へ通過するものとする。また除塵装置1は、除塵制御の実行前において、ダクト60の連通ラインが除塵ラインであり(
図4(a)参照)、集塵部90のアース接続がオフ状態であるものとする。
【0045】
ステップS100において、制御部100は、第1センサ81(左側のセンサ80)による検知があった場合(すなわち、第1センサ81が対象者Pの通過を検知した場合)、除塵装置1の内側に対象者Pが入ったことを取得する。
【0046】
次にステップS101において、制御部100は、除塵モードの実行を開始する。すなわち、制御部100は、除塵装置1の内側に対象者Pが入ると、当該対象者Pの除塵処理を開始すると共に周囲を浮遊している粉塵の収集を開始する。
【0047】
次にステップS102において、制御部100は、送風機70を始動させる。こうして、
図4(a)及び
図8(a)に示すように、除塵モードが実行されると、送風機70の動作に応じて給気口20から空気が導入され、ダクト60(除塵ライン)を通過した後、送風口30から対象者Pに吹き付けられる。これにより、対象者Pに付着した粉塵の除去が行われる。
【0048】
また送風機70の始動と共に、ステップS103において、制御部100は、静電気発生装置92を始動させる。これにより、静電気発生装置92で発生された静電気により、集塵バー91が帯電状態となる。集塵バー91が帯電状態になると、
図8(a)に示すように、周囲を浮遊している粉塵が、集塵バー91に吸着される。すなわち、対象者Pから除去された粉塵を、集塵バー91に収集できる。
【0049】
次にステップS104において、制御部100は、一定時間が経過するまで現在の状況を維持する。すなわち、制御部100は、一定時間が経過するまで、送風機70及び静電気発生装置92の動作を継続させる。なお前記一定時間は、制御部100に予め記憶される。前記一定時間は、例えば対象者Pに付着した粉塵の除去にかかる時間を考慮して決定される。
【0050】
次にステップS105において、制御部100は、送風機70の始動から一定時間が経過すると、当該送風機70を停止させる。こうして、送風口30から対象者Pへの空気の吹き付けが終了する。
【0051】
次にステップS106において、制御部100は、除塵モードの実行を終了する。こうして、対象者Pの除塵処理が終了する。なお除塵モードの実行が終了された場合でも、静電気発生装置92の動作は継続され、周囲を浮遊している粉塵の収集が継続して実行される。
【0052】
次にステップS200において、制御部100は、第2センサ82(右側のセンサ80)による検知があった場合(すなわち、第2センサ82が対象者Pの通過を検知した場合)、除塵装置1の内側から対象者Pが出たことを取得する。
【0053】
次にステップS201において、制御部100は、回収モードの実行を開始する。すなわち、制御部100は、除塵装置1の内側から対象者Pが出ると、集塵バー91に収集された粉塵の回収を開始する。
【0054】
次にステップS202において、制御部100は、分岐ダンパー61を制御し、連通ラインを除塵ラインから回収ラインに切り替える(
図4参照)。
【0055】
次にステップS203において、制御部100は、送風機70を始動させる。こうして、
図4(b)に示すように、回収モードが実行されると、送風機70の動作に応じて回収口40から空気が導入され、ダクト60(除塵ライン)を通過した後、排気口50から排出される。
【0056】
また送風機70の始動と共に、ステップS204において、制御部100は、静電気発生装置92を停止させる。
【0057】
また静電気発生装置92の停止と共に、ステップS205において、制御部100は、アース接続スイッチ93を制御し、アース状態をオン状態にする。こうして、集塵バー91に帯電された静電気が解除され、当該集塵バー91の帯電状態が解除される。
【0058】
こうして、ステップS203、S204及びS205の処理が実行されると、集塵バー91の帯電状態が解除されるため、当該集塵バー91に吸着されていた粉塵が離脱容易な状態となる。そして、
図8(b)に示すように、集塵バー91において離脱容易な状態となった粉塵は、送風機70の動作による回収口40への空気の導入に伴って、当該回収口40に引き込まれて筐体10の内部(より詳細には、回収ラインに設けられたフィルタ)に回収される。
【0059】
次にステップS206において、制御部100は、一定時間が経過するまで現在の状況を維持する。すなわち、制御部100は、一定時間が経過するまで、送風機70の動作を継続させる。なお前記一定時間は、制御部100に予め記憶される。前記一定時間は、例えば粉塵の回収にかかる時間を考慮して決定される。
【0060】
次にステップS207において、制御部100は、送風機70の始動から一定時間が経過すると、当該送風機70を停止させる。こうして、回収口40への粉塵の回収が終了する。
【0061】
また送風機70の停止と共に、ステップS208において、制御部100は、アース接続スイッチ93を制御し、アース状態をオフ状態にする。こうして、集塵バー91は、帯電可能な状態に切り替えられる。
【0062】
次にステップS209において、制御部100は、回収モードの実行を終了する。このように回収モードの実行が終了すると、
図8(c)に示すように、集塵バー91は粉塵が吸着されていない状態(少なくとも、回収モードの実行が開始される前よりも、付着している粉塵の量が少ない状態)となる。これにより、次の対象者Pの除塵処理が実行される場合に、当該対象者Pから除去した粉塵を集塵バー91に吸着し易くできる。
【0063】
次にステップS210において、制御部100は、分岐ダンパー61を制御し、連通ラインを回収ラインから除塵ラインに切り替える(
図4参照)。こうして、除塵装置1は、次の対象者Pの除塵処理に備えることができる。
【0064】
このような構成により、例えば人の往来を阻害しないように密閉形状としていない(例えば、出入り用のドアを設けていない)除塵装置1においても、利用者から除去された粉塵を回収できるため、当該粉塵が外部空間へ四散してしまうのを抑制できる。
【0065】
なお集塵バー91は、棒状の部材ではなく、種々の形状を採用することができる。また集塵バー91は、筐体10の左右の側方に配置されるものとしたが、任意の場所に配置することができる。また集塵バー91は、全部が露出した状態ではなく、例えば所定の部材の内側に収容した状態で設けることもできる。以下に詳細に説明する。
【0066】
図9(a)及び(b)は、第1の別例として、集塵バー91が、第1収容部110に収容された状態を示している。第1収容部110は、複数(
図9においては、8本)の棒状の部材(以下では「保護バー111」と称する)により形成される。8本の保護バー111は、集塵バー91の周囲を略円状に沿って取り囲むように、互いに均等間隔に配置される。8本の保護バー111は、それぞれ導電性の素材により形成され、常時アース接続される。これにより、第1収容部110は、帯電状態とならない。
【0067】
このように、第1収容部110は、帯電状態とはならず、また内側に集塵バー91を収容すると共に、外側と内側とを空気が流通可能に構成される。これによれば、粉塵の通過(すなわち、集塵バー91への粉塵の吸着)を阻害することなく、例えば対象者Pが帯電状態である集塵バー91に触れるのを回避できる。
【0068】
図9(c)は、第2の別例として、集塵バー91が、第2収容部120に収容された状態を示している。第2収容部120は、上下に延びた略円筒状であって、周側壁が編目状に形成される。また第2収容部120は、導電性の素材により形成され、常時アース接続される。これにより、第2収容部120は、帯電状態とならない。
【0069】
このように、第2収容部120は、第1収容部110と同様に、帯電状態とはならず、また内側に集塵バー91を収容すると共に、外側と内側とを空気が流通可能に構成されるため、当該第1収容部110と同様の効果が得られる。
【0070】
図10は、第3の別例として、集塵バー91が、筐体10の内側に収容された状態を示している。すなわち、筐体10の前側面には、後方に凹んだ第3収容部130が形成される。集塵バー91は、第3収容部130の内側に設けられる。第3収容部130の前側の開口部は、編目状の部材により覆われる。このような構成においても、第3収容部130は、第1収容部110と同様に、帯電状態とはならず、また内側に集塵バー91を収容すると共に、外側と内側とを空気が流通可能に構成されるため、当該第1収容部110と同様の効果が得られる。
【0071】
また第3の別例においては、第3収容部130の壁部に形成された開口部131が、第一実施形態に係る除塵装置1の給気口20及び回収口40の機能を兼用することができる。すなわち、開口部131から導入された空気は、実行されるモード(除塵モード及び回収モード)に応じて切り替えられた適宜のラインにより、送風口30又は排気口50へと案内される。
【0072】
なお、送風口30及び排気口50は別々に設けることが望ましい。第3の別例においては、筐体10の後部に排気口50が形成される。こうして、排気口50が後方を臨むように形成されるため、回収モードを実行する場合、前方の空気の流れを乱すことなく、効率的に集塵バー91から粉塵を回収できる。
【0073】
以上のように、本発明に係る除塵装置1においては、
対象者Pに空気を吹き付けて除塵を行う除塵装置であって、
帯電可能に構成され、帯電状態において静電気を用いて、浮遊している粉塵を吸着可能な集塵バー91(吸着部)と、
前記集塵バー91(吸着部)の帯電状態を解除可能なアース接続スイッチ93(解除部)と、
前記集塵バー91(吸着部)に吸着された粉塵を回収するための回収部(筐体10及び送風機70)と、
前記回収部による回収が行われる場合に、前記アース接続スイッチ93(解除部)を制御し、前記集塵バー91(吸着部)の帯電状態を解除させる制御部100と、
を具備するものである。
【0074】
このような構成により、粉塵の四散を抑制できる。
【0075】
また、除塵装置1において、
前記回収部は、
中空状に形成された筐体(中空部材)と、
前記集塵バー91(吸着部)に吸着された粉塵を、前記筐体(中空部材)に引き込む第1の処理(回収モード)のために送風可能な送風機70と、
を含むものである。
【0076】
このような構成により、簡易な構成により(送風機70による空気の流れにより)、粉塵を回収することができる。
【0077】
また、除塵装置1において、
前記送風機70は、
前記第1の処理(回収モード)に加えて、前記除塵を行う第2の処理(除塵モード)のために送風可能に構成されるものである。
【0078】
このような構成により、回収モード及び除塵モードのための送風機70を兼用させることができ、構成の簡素化を図ることができる。
【0079】
また、除塵装置1において、
前記対象者Pの前記除塵装置1への出入りを検知可能なセンサ80(検知部)を具備し、
前記制御部100は、
前記センサ80(検知部)の検知結果に応じて、前記第1の処理(回収モード)と前記第2の処理(除塵モード)とを切り替えて実行するものである。
【0080】
このような構成により、対象者Pの出入りに応じて、回収モード及び除塵モードを実行できる。
【0081】
また、除塵装置1において、
前記制御部100は、
前記第1の処理(回収モード)及び前記第2の処理(除塵モード)のうち、実行する処理に応じて、空気の流路(回収ライン又は除塵ライン)を切り替えるものである。
【0082】
このような構成により、回収モード及び除塵モードのための送風機70を兼用させながらも、それぞれのラインにモードの実行に応じた設備(例えばフィルタ等)を設けることができる。
【0083】
また、除塵装置1においては、
前記集塵バー91(吸着部)を内側に収容すると共に、外側と内側とを空気が流通可能に構成される収容部(第1収容部110、第2収容部120、第3収容部130)を具備するものである。
【0084】
このような構成により、粉塵の通過(すなわち、集塵バー91への粉塵の吸着)を阻害することなく、例えば対象者Pが帯電状態である集塵バー91に触れるのを回避できる。
【0085】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0086】
例えば、第一実施形態に係る除塵装置1において、給気口20及び回収口40を統一してもよい。
【0087】
また、集塵バー91に吸着された粉塵を回収する構成は、本実施形態に係る構成に限定するものではない。すなわち、空気の導入により粉塵を回収するのではなく、集塵バー91の表面を拭き取り可能な拭き取り部を有する構成や、水等を用いて集塵バー91を洗浄する洗浄部を有する構成としてもよい。
【0088】
また本実施形態において、回収モードは、対象者Pが1人通過するごとに行うものとしたが、これに限定されない。すなわち、回収モードは、対象者Pが複数人(所定の人数)以上通過するごとに行うものであってもよい。また回収モードは、対象者Pの通過人数を基準とするのではなく、所定期間経過するごとに行うものであってもよい。また回収モードは、集塵バー91に吸着された粉塵の量を検出する検出手段により、吸着された粉塵の量が所定の閾値を越えた場合に行うものであってもよい。
【0089】
また本実施形態において、対象者Pは、除塵装置1を左側から右側へ通過するものとしたが、これに限定されない。すなわち、対象者Pは、除塵装置1を左側又は右側の任意の方向から通過できる。この場合、制御部100は、第1センサ81(左側のセンサ80)及び第2センサ82(右側のセンサ80)の検知された順番に、対象者Pが除塵装置1に入った方向及び出た方向を特定できる。
【符号の説明】
【0090】
1 集塵装置
10 筐体
70 送風機
91 集塵バー
93 アース接続スイッチ
100 制御部