(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078328
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】防犯用放水設備
(51)【国際特許分類】
G08B 15/02 20060101AFI20240603BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
G08B15/02
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190818
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 ひろみ
【テーマコード(参考)】
5C084
5C087
【Fターム(参考)】
5C084AA02
5C084AA08
5C084AA13
5C084HH20
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB74
5C087DD05
5C087DD30
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
(57)【要約】
【課題】より大容量且つ高圧の水を供給可能な防犯放水設備を提供する。
【解決手段】消火設備2が設けられた施設に設置される防犯用放水設備1において、放水手段10と、通信手段11と、を備えるものとし、放水手段11を、送水手段21を介して、水源20と接続し、送水手段21及び水源20は、消火設備2と共有とし、通信手段11を、少なくとも受信機能を有し、直接的又は間接的に遠隔操作機器3と通信可能に設け、放水手段10を、通信手段11が、遠隔操作機器3からの放水信号を受信した際に、放水を開始するものとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火設備が設けられた施設に設置される防犯用放水設備であって、
放水手段と、
通信手段と、を備え、
該放水手段は、送水手段を介して、水源と接続され、ここで、該送水手段及び該水源は、該消火設備と共有となっており、
該通信手段は、少なくとも受信機能を有し、直接的又は間接的に放水信号発信機器と通信可能に設けられ、
該放水手段は、該通信手段が、該放水信号発信機器からの放水信号を受信した際に、放水を開始することを特徴とする防犯用放水設備。
【請求項2】
人工知能を搭載した侵入者識別手段を、更に備え、
前記放水手段は、可動式となっており、
該放水手段は、前記通信手段が、前記放水信号発信機器からの前記放水信号を受信した際に、該侵入者識別手段によって、侵入者と識別された対象に向けて、放水を開始することを特徴とする請求項1に記載の防犯用放水設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯用放水設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設等に侵入しようとする潜入者に対して、放水をして威嚇し、該施設等への侵入を阻止する防犯用放水設備がある(例えば、特許文献1乃至3を参照)。特許文献1に記載の設備は、住宅の防犯システムが記載されており、住宅の窓等の開口部周辺にセンサを取付け、該センサが潜入者を感知した際に、該潜入者に音で警告をし、警告に従わない該潜入者に対して放水をするものとなっている。
【0003】
特許文献2に記載の設備は、スプリンクラから潜入者に対して放水し、侵入や盗難を防止するものとなっている。特許文献3に記載の設備は、浴室の天井に設置されたスプリンクラより、該浴室の窓枠等の開口部に向けて、放水し、該開口部より潜入者が侵入するのを防止するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-93543号公報
【特許文献2】特開2004-272407号公報
【特許文献3】特開2006-59255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、幼稚園、保育園及び児童福祉施設といった乳児や幼児のいる施設並びに介護施設、高齢者施設及び身体障碍者施設といった身体の不自由な者が集まる施設等の弱者が集まる施設において、該施設に侵入した不審者が事件を起こす場合がある。この様な事件が起こった場合、限られた人数の大人や健常者が、該弱者を該施設外へと逃がしつつ、該不審者と対峙するのは非常に困難である。
【0006】
一方、従来の防犯用放水設備は、公設水道に接続され、該公設水道から水の供給を受けて放水を行うものとなっている。公設水道より供給される水は、比較的低圧で小流量であるため、従来の防犯用放水設備は、上記施設の様な比較的広い施設においては、放水の水圧や流量が不足する可能性があるものでもあった。
【0007】
そこで、本発明では、より大容量且つ高圧の水を供給可能な防犯放水設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、消火設備が設けられた施設に設置される防犯用放水設備であって、放水手段と、通信手段と、を備え、該放水手段は、送水手段を介して、水源と接続され、ここで、該送水手段及び該水源は、該消火設備と共有となっており、該通信手段は、少なくとも受信機能を有し、直接的又は間接的に放水信号発信機器と通信可能に設けられ、該放水手段は、該通信手段が、該放水信号発信機器からの放水信号を受信した際に、放水を開始することを特徴とする防犯用放水設備である。
【0009】
尚、本発明は、人工知能を搭載した侵入者識別手段を、更に備えるものとし、前記放水手段を、可動式とし、該放水手段を、前記通信手段が、前記放水信号発信機器からの前記放水信号を受信した際に、該侵入者識別手段によって、侵入者と識別された対象に向けて、放水を開始するものとすることが可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、防犯用放水設備が、該防犯用放水設備に接続される水源及び送水手段が、消火設備と共有となっているため、より大容量且つ高圧の水を供給可能な防犯放水設備を提供可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態における防犯放水設備及び消火設備の簡略化した系統図である。
【
図2】本発明の第2実施形態における防犯放水設備及び消火設備の簡略化した系統図である。
【
図3】本発明の第2実施形態の変形例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態における遠隔操作機器を示す図であり、(a)が一例の正面図であり、(b)が別例の斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態と共に使用される避難誘導装置の一例を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1実施形態を
図1及び
図4に基づき説明する。先ず、本実施形態の防犯用放水設備1(以下、放水設備1と略記する)の構成について説明する。放水設備1は、例えば、幼稚園、保育園、児童福祉施設、介護施設、高齢者施設や障害者施設その他施設(以下、施設という)に設置される(尚、左記は、放水設備1が設置される施設の例示であり、設置される施設は、特に限定されるものではない)。
【0013】
放水設備1は、消火設備2が設けられた前記施設に設置され、放水信号発信機器の一例である遠隔操作機器3によって起動可能に設けられており、放水手段10と、通信手段11(以下、後述する機器側通信手段21との区別を明確にするために設備側通信手段11という)とを備えている、本実施形態においては、放水設備1は、侵入者識別手段12及び制御盤13を更に備えている。
【0014】
本実施形態において、消火設備2は、閉鎖型スプリンクラ設備2Aであり、水源20及びポンプ等の送水手段21を備えており、その末端に、スプリンクラヘッド22として、閉鎖型スプリンクラヘッド22Aが設けられたスプリンクラ配管23を備えている。送水手段21の二次側には、縦配管25が接続され、縦配管25はスプリンクラ配管23に接続され、配管内は所定の圧力(送水手段21の締め切り圧力等)が維持されている。又、縦配管25から分岐した配管14に二方弁24(常時閉)を備えており、二方弁24の二次側には放水設備1が接続される。つまり、放水設備1と消火設備2とは、水源20及び送水手段21を共有していることとなっている。尚、放水手段10と閉鎖型スプリンクラヘッド22Aとを、必ずしも同一区画内に設ける必要はない。
【0015】
又、本実施形態において、消火設備2は、閉鎖型スプリンクラヘッド22Aが作動した際に、その作動を検知して送水手段21が作動し、閉鎖型スプリンクラヘッド22Aより放水を開始するものとなっている。このとき、スプリンクラ設備が作動したことを検知して後述する制御盤13(火災受信機を兼用)に流水検知信号を送信するための流水検知装置26が縦配管25の配管14との分岐の二次側に設けられている。流水検知装置26から流水検知信号を受信した制御盤13はベル(図示せず)等を鳴動させ、周囲に火災警報を報知する様になっている。
【0016】
又、流水検知装置26は、送水手段21から閉鎖型スプリンクラヘッド22Aの方向に流水する場合にのみ開放する逆止弁構造となっているため、放水設備1から放水するために二方弁24を開放した場合でも流水検知装置26の二次側圧力は閉鎖型スプリンクラ設備2Aの監視圧力を維持している。尚、閉鎖型スプリンクラ消火設備2Aとしては、乾式、湿式、予作動式等の形式は問われるものではないが、放水設備1と消火設備2との配管接続方法、動作制御は消火設備2の形式に応じて行われる。
【0017】
送水手段21は、本実施形態において、縦配管25内の圧力を監視する圧力検知装置(図示せず)を備え、縦配管25内の圧力が所定値を下回ると起動し、水源20の水を送水する様になっている。
【0018】
放水手段10は、例えば、開放型の放水銃であり、侵入者へと放水し、該侵入者を撃退するために設けられている。放水手段10は、送水手段21を介して、水源20と接続されており、水源20より水が供給されて放水をする様になっている。本実施形態において、放水手段10は、後述する通り、侵入者識別手段12が、侵入者と判断した人物へ向けての放水を可能とするために、可動式となっており、その角度や方向を自在に変えられる様になっており、前記施設の天井、床や壁等の適宜な位置に取り付けられている。
【0019】
又、本実施形態において、放水手段10は、初期消火に用いることが可能となっており、後述の様に、遠隔操作機器3から火災信号が発信された際に、後述する火元検知手段が小火等の火炎を検知した方向に放水可能となっている。
【0020】
二方弁24は、制御盤13と接続されており、制御盤13より遠隔操作機器3からの後記放水信号に基づく開放信号を受信すると、一次側と配管14とを連通させる様になっている。本実施形態においては、制御盤13が、遠隔操作機器3からの後記火災信号に基づく開放信号を受信した際にも、該一次側と、配管14とを連通させる様になっている。
【0021】
設備側通信手段11は、少なくとも受信機能を有しており、直接的又は間接的に前記放水信号発信機器と通信可能に設けられている。本実施形態においては、設備側通信手段11は、前記施設の各所に設置されており、遠隔操作機器3と無線通信を介して、直接的に通信可能に設けられている。又、設備側通信手段11は、制御盤13と接続されており、設備側通信手段11を介して制御盤13が、遠隔操作機器3からの後記放水信号及び/又は後記火災信号を受信できる様になっている。
【0022】
制御盤13は、放水設備1を制御するために設けられており、通信手段11を介して、遠隔操作機器3からの後記放水信号を受信した際に、送水手段21に起動信号を送信すると共に二方弁24に前記放水信号に基づく開放信号を送信する様になっている。本実施形態において、制御盤13は、遠隔操作機器3より後記火災信号を受信した際に、送水手段21に起動信号を送信すると共に二方弁24に該火災信号に基づく開放信号を送信する様になっている。
【0023】
又、本実施形態において、制御盤13は、火災報知設備の火災受信機を兼ねており、消火設備2を含むスプリンクラ設備や火災報知設備(図示せず)、非常放送設備4に接続されており、火災信号や流水検知信号、該放水信号を受信した際に、非常用放送設備4に、発報信号を送り、前記施設の内部及び/又は外部に火災や事件が発生したことを報知する様になっている。
【0024】
侵入者識別手段12は、人工知能を搭載しており、該人工知能を用いて、前記施設に侵入した侵入者を識別するために設けられている。本実施形態において、侵入者識別手段12は、顔認証装置として設けられており、該施設の各所に設置された監視カメラ15に映し出された人物を、予め登録されている該施設の職員や入所者、正規のゲスト等の顔と比較して、一致しない人物を侵入者として判断するものとなっている。尚、監視カメラ15は、該施設に既存にあるものを活用することも可能である。
【0025】
尚、侵入者識別手段12は、顔認証装置に限定されるものではなく、適宜選択可能であり、刃物等の凶器を識別し、該凶器を持っている者を該侵入者として認識する様にしたり、該施設の職員や入所者、正規のゲスト等に識別子を送信する機器を装着させておき、該機器を装着していない者を該侵入者として識別したりしてもよい。又、前記施設内にいる各人の行動を前記人工知能で解析し、該人工知能が不審な行動と判定した者を該侵入者として識別する様にしてもよい。
【0026】
又、本実施形態において、侵入者識別手段12は、火元検出手段を兼ねる様に構成されており、具体的には、少なくとも遠隔操作機器3から後記火災信号が発信された際に、監視カメラ15に映し出された映像を前記人工知能で解析することで、閉鎖型スプリンクラヘッド22Aが作動しない程度の火炎を検知できる火炎検知手段を兼ねている。尚、侵入者識別手段12とは別に、火元検出手段を設けることも可能である。
【0027】
前記放水信号発信機器は、設備側通信手段11に放水信号を送信するために設けられており、本実施形態においては、遠隔操作機器3がその役割を担っている。遠隔操作機器3は、携帯可能に設けられており、携帯可能な本体部30と、本体部30に設けられた発信手段及び通信手段31(以下、設備側通信手段11との区別を明確とするために機器側通信手段31という)と、を備えている。
【0028】
又、本実施形態においては、遠隔操作機器3は、該発信手段として、火災用発信手段32と、防犯用発信手段33と、を備えている。又、遠隔操作機器3は、更に、ガス検出手段(図示せず)を備えている。
【0029】
本体部30は、遠隔操作機器3の外装を兼ねており、本実施形態においては、その一端又はその一面の一画に非常灯等に使用可能な発光手段が設けられており、該発光手段は、例えば、LEDライト34として設けられる。尚、LEDライト34の光の形状を、星形等の幼児の興味が引く形状にすることで、火災等の事件が起こった際に、幼児の避難誘導をより容易にすることが可能となる。
【0030】
又、本体部30には、遠隔操作機器3の携帯を容易とするためのカラビナや鎖、紐等を通せる孔35が設けられている。本体部30の形状は、適宜選択可能であるが、例えば、手に持ちやすいスマートフォン型(30A)やスティック型(30B)等を選択可能である。
【0031】
機器側通信手段31は、少なくとも送信機能を有しており、放水設備1の設備側通信手段11と無線通信によって、直接的又は間接的に通信可能に設けられている。無線通信の規格は、安定して通信可能であれば、適宜選択可能であり、無線LAN、Blutooth(登録商標)、各種移動通信システム、光無線通信その他を採用可能である。
【0032】
火災用発信手段32は、火災用発信手段32が操作された際に、機器側通信手段31を介して、放水設備1を消火用途として使用可能に設けられている。このとき、放水設備1の放水手段10は、侵入者識別装置12が兼ねる火元検出手段が検出した火元に対し放水を行う。本実施形態において、火災用発信手段32は、本体部30に設けられた遠隔消火ボタンとして設けられている。
【0033】
防犯用発信手段33は、防犯用発信手段33が操作された際に、機器側通信手段31を介して、放水設備1に放水信号を送信可能に設けられている。本実施形態において、防犯用発信手段33は、本体部30に設けられた防犯ブザーとして設けられている。
【0034】
又、防犯用発信手段33に、ロック手段36を持たせることも可能である。例えば、幼児がいる施設においては、幼児と直接触れ合う機会の多い教諭や保育士が、遠隔操作機器3を身に着けることが想定されるが、ロック手段36があることによって、チャイルドロックとして働き、幼児が遠隔操作機器3に悪戯に操作して誤作動をすることを防止することが可能となる。
【0035】
尚、前記発信手段の形状等は、適宜選択可能であり、例えば、ボタン式、スライド式、引き紐式、等から選択可能である。尚、本実施形態においては、火災用発信手段32は、ボタン式、防犯用発信手段33は、ボタン式(33A)又はスライド式(33B)を採用している。
【0036】
前記ガス検出手段は、例えば、一酸化炭素や二酸化炭素等の火災によって発生するガスを検知するセンサであり、好ましくは、指向性を有している。本実施形態においては、前記発光手段は、該ガス検出手段と連動する様になっており、該ガス検出手段が、該ガスを検知した際、又は、遠隔操作機器3を、該ガスを検知した方向に向けた際に、該発光手段の光の色や光り方が変わる等して、進行先の該ガスの濃度が高くなっていることを報知する様になっている。尚、該ガスに濃度に応じて、該発光手段の光の色や光り方に差を設けることも可能である。
【0037】
次に、本実施形態の放水設備1の作動工程について説明する。
(1)ロック手段36を解除し、遠隔操作機器3の防犯用発信手段33を操作すると、機器側通信手段31を介して、設備側通信手段11へと前記放水信号が送信される。
【0038】
(2)そうすると、前記放水信号は、設備側通信手段11から制御盤13へと送信される。そして、制御盤13は、侵入者識別手段12が特定した侵入者の位置に応じた二方弁24に開放信号を送信する。
【0039】
(3)それによって、水源20から放水手段10までが連通するとともに、縦配管25内の圧力が低下する。縦配管25内の圧力が送水手段21の圧力検知装置の設定値を下回ると放水手段21が起動する。それと並行して、侵入者識別手段12は、放水手段10を特定した侵入者へと向け、放水を開始する。
【0040】
従って、本実施形態の放水設備1においては、水源20及び送水手段21が、消火設備2と共有となっているため、消火設備2が持つ大容量且つ高圧の水を放水設備1に供給が可能となっている。
【0041】
又、本実施形態の副次的な効果として、以下のことが挙げられる。
(i)侵入者識別手段12が設けられているため、侵入者を放水手段10で狙い撃ちすることが可能であり、放水設備1による、該侵入者の撃退効果を高めることが可能である。
【0042】
(ii)従来の防犯用放水設備は、不在時や夜間の寝静まった時間帯に使用することを想定しており、センサによって、不審者を感知した際に放水するものとなっており、日中等の該施設が活動している間の防犯には不得手であったが、本実施形態の放水設備1においては、遠隔操作機器3によって、放水設備1を起動可能であるので、この様な時間帯において、防犯に活用することが可能となっている。
【0043】
(iii)例えば、ガソリン等が撒かれた際に、侵入者に対して放水することで、ライタ等の火元を濡らすことができ、放火を未然に防ぐことも可能となる。尚、本実施形態の様に、閉鎖型スプリンクラヘッド22A側と放水手段10側を分岐することによって、閉鎖型スプリンクラヘッド22Aと放水手段10から同時に放水が可能であるので、万が一、火災が発生したとしても迅速に対処可能である。
【0044】
本発明の第2実施形態を
図2及び
図4に基づき説明する。本実施形態と第1実施形態との相違は、消火設備2を開放型スプリンクラ設備2Bとした点である。第1実施形態と同符号で示した構成については、同実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0045】
本実施形態においては、消火設備2は、開放型スプリンクラ設備2Bとして設けられており、開放型スプリンクラ設備2Bは、遠隔操作機器3によって、制御可能に設けられている。
【0046】
スプリンクラ配管23には、閉鎖型スプリンクラヘッド22Aの替わりに、スプリンクラヘッド22として、開放型スプリンクラヘッド22Bが設けられている。又、縦配管25と配管14の分岐箇所には、三方弁27が配されており、平常時は、送水手段21から消火設備2側への流路を連通し、放水手段10から放水する際に送水手段21から配管14への流路を連通するように切り替える様に構成されている。
【0047】
本実施形態において、制御盤13は、送水手段21に起動信号を送信可能に設けられており、送水手段21は、該起動信号の受信をもってして起動する様になっている。
【0048】
本実施形態の放水設備1の作動工程は、以下の通りである。
(1)ロック手段36を解除し、遠隔操作機器3の防犯用発信手段33を操作すると、機器側通信手段31を介して、放水信号が送信される。
【0049】
(2)前記放水信号を、設備側通信手段11が受信すると、制御盤13は、三方弁27を配管14側へ切り替えると共に、送水手段21に起動信号を送信し、送信手段21は水源20の水を送信する。
【0050】
(3)放水手段10は、侵入者識別手段12に従い、侵入者に対し放水を行う。
【0051】
又、本実施形態の開放型スプリンクラ設備2Bの作動工程は、以下の通りである。
(1)遠隔操作機器3の火災用発信手段32を操作すると、機器側通信手段31を介して、火災信号が送信される。
【0052】
(2)前記火災信号を、設備側通信手段11が受信すると、制御盤13は、三方弁27を消火設備側(平常時の操作であれば切り替えなし)とし、送水手段21に起動信号を送信し、送信手段21は水源20の水を送信、開放型スプリンクラ設備2Bの開放型スプリンクラヘッド22Bから放水される。
【0053】
従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。又、例えば、遠隔操作機器3の火災信号と同区画の火災感知器の火災感知信号とのアンドで消火設備から放水開始するように設定することで、誤って遠隔操作機器3の火災用発信手段を操作してしまっても、火災感知器が作動していなければ非火災時の放水を防ぐことができる。
【0054】
本発明を、上記実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更可能である。
【0055】
(A)上記実施形態においては、火災報知設備(図示せず)の受信機を放水設備1に制御盤13と兼用したが、制御盤13を独立して設けることも可能である。
【0056】
(B)遠隔操作機器3を、携帯可能ではなく、固定設備として設けることも可能であり、その場合、無線ではなく有線で設備側通信手段11と通信可能としてもよく、又、固定設備とする場合は、区画や部屋毎に単数又は複数設置することも可能である。
【0057】
(C)上記実施形態において、放水手段10は、放水銃として設けたが、放水手段10は、放水銃に限定されるものではなく、適宜選択可能であり、例えば、固定式ノズルを部屋ごとに複数設けてもよいし、天井面に設けた開放型スプリンクラであってもよい。
【0058】
(D)二方弁24を部屋や廊下といった区画ごとに設けられた放水手段10ごとに設けることで、前記侵入者が、移動した場合に、開放する二方弁24を切り替えることで、最適な放水手段10より放水することが可能となる。
【0059】
(E)遠隔操作機器3の前記発信手段を、前記施設に備え付けられた放送機器(図示せず)や通信機器(図示せず)と連動するものとすることも可能であり、該発信手段が操作された際に、該放送機器や該通信機器を動作させ、該施設の周囲に該施設に異常が起きたことを報知したり、警察や消防といった機関に自動的に通報する様にしたりすることも可能である。
【0060】
(F)遠隔操作機器3に前記発信手段の解除手段(図示せず)を設けることもできる。この場合において、該解除手段を、非常放送設備4や前記施設の放送設備や通信機器と連動させ、誤報であった旨や事件が解決した旨の報知をする様にしてもよい。
【0061】
(G)上記第2実施形態において、三方弁27を設ける替わりに、第1実施形態と同様の二方弁24と、縦配管25の配管14との分岐後に縦配管25側に設けられた二方弁28を設けてもよい(
図3を参照)。この場合は、放水する設備に連通する二方弁24,28を選択して開放する制御となる。
【0062】
この様にすることで、遠隔操作機器3の火災信号と同区画の火災感知器の火災感知信号とのアンドで消火設備から放水開始するように設定し、なおかつ、侵入者に対し二方弁24を開放した状態で遠隔操作機器3の火災用発信手段が操作された場合に、火災感知器が作動していなくても消火設備からも放水することが可能となり、放水設備で侵入者を狙い撃ちしつつ、部屋全体からも放水を行い、より侵入者をひるませることが可能となる。
【0063】
(H)上記実施形態においては、放水手段10によって初期消火を可能なものとしたが、放水手段10を侵入者への放水専用とすることも可能である。
【0064】
(I)上記実施形態においては、放水設備1を手動で起動するものとしたが、自動で起動するものとすることも可能である。この場合において、前記放水信号発信機器を、例えば、侵入者識別手段12と連動させ、前記人工知能が侵入者を識別した際に、放水手段10によって自動的に放水するものとすることも可能である。
【0065】
(J)遠隔操作機器3の前記発信手段を、避難誘導装置5(
図5を参照)と連動するものとし、該発信手段が操作された際に、避難誘導装置5を起動する様にすることも可能である。尚、遠隔操作機器3と避難誘導装置5間の通信は、上記の遠隔操作機器3と防犯用放水設備1間の通信と同様なものとすることが可能である。
【0066】
避難誘導装置5は、避難場所Rに設置され、音響手段50及び/又は映像表示手段51を有しており、音響手段50より、娯楽音、例えば、幼児等の興味を引き付けることが可能な音楽や音声、を流して、該幼児等を避難場所Rへと誘導し、映像表示手段51に、幼児等の興味を引き付ける映像を流し、幼児等を避難場所に留まらせるための装置である。
【符号の説明】
【0067】
1 防犯用放水設備 10 放水手段 11 設備側通信手段
12 侵入者識別手段 13 制御盤 14 配管
15 監視カメラ 2 消火設備 20 水源
21 送水手段 22 スプリンクラヘッド 23 スプリンクラ配管
24 二方弁 25 縦配管 26 流水検知装置
27 三方弁 28 二方弁 3 遠隔操作機器
30 本体部 31 機器側通信手段 32 火災用発信手段
33 防犯用発信手段 34 LEDライト 35 孔
36 ロック手段 4 非常放送設備 5 避難誘導装置
50 音響手段 51 映像表示手段 R 避難場所