(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007834
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】受変電設備
(51)【国際特許分類】
H02B 3/00 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
H02B3/00 M
H02B3/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109185
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】近藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】楠 和也
(57)【要約】
【課題】高圧室の停電を行うことなく、監視カメラのメンテナンスを行う。
【解決手段】スイッチギヤ(1)は、高電圧で動作する電気機器を収容する高圧室(14)と、高電圧よりも低い低電圧で動作する電気機器を収容する前部低圧室(15)であって、高圧室(14)の前方に仕切板(17)を介して設けられる前部低圧室(15)と、高圧室(14)内を監視する監視カメラ(55)を収容する監視用ボックス(53)であって、高圧室(14)の一部に設けられ、かつ、前部低圧室(15)と連通可能となっている監視用ボックスとを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧で動作する電気機器を収容する高圧室と、
前記高電圧よりも低い低電圧で動作する電気機器を収容する低圧室であって、前記高圧室の前方および後方の少なくとも一方に仕切板を介して設けられる低圧室と、
前記高圧室内を監視する監視機器を収容する監視小室であって、前記高圧室の一部に仕切板を介して設けられ、かつ、前記低圧室と連通可能となっている監視小室とを備える受変電設備。
【請求項2】
前記監視機器はカメラであり、
前記監視小室は、樹脂製の窓部を、前記カメラと対向する領域に含む、請求項1に記載の受変電設備。
【請求項3】
前記カメラは赤外線カメラであり、
前記窓部は、赤外線を透過する樹脂製の窓部である、請求項2に記載の受変電設備。
【請求項4】
前記監視小室は、金属製の筐体であり、連通可能な前記低圧室から挿入可能である、請求項1から3の何れか1項に記載の受変電設備。
【請求項5】
前記監視機器は、外部の装置と通信を行う通信部を備える、請求項1から3の何れか1項に記載の受変電設備。
【請求項6】
前記監視小室を複数個備える、請求項1から3の何れか1項に記載の受変電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は受変電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、受変電設備は、金属製の略箱型の筐体を備えており、該筐体内には主母線および種々の電気機器が設けられている。上記主母線には、高電圧(例えば6.6kV)が印加される。上記主母線に接続される高圧用電気機器は、上記電気設備の用途等によって異なるが、例えば、遮断器、断路器、変流器、計器用変成器等である。上記主母線および上記高圧用電気機器が設けられる空間は、感電防止のため、筐体および仕切板で区切られている。以下では、上記空間を形成する部屋を「高圧室」と称する。
【0003】
一方、上記筐体内であって、上記高圧室の外部には、上記高圧用電気機器を制御する制御機器等が設けられている。上記高圧室の外部に設けられる制御機器等の電気機器は、低電圧(例えば、100V、200Vなど)が印加される。以下では、上記筐体内であって、上記高圧室の外部の空間を形成する部屋を「低圧室」と称する。
【0004】
従来、上記高圧用電気機器を点検する場合、上記主母線を流れる電気を一時的に停止(停電)した後、上記母線および上記高圧用電気機器の外観を目視で確認したり、抵抗を測定したりしていた。これに対し、特許文献1に記載の閉鎖型電気設備では、筐体内にカメラが設けられ、該カメラは、上記筐体内に設けられた主母線を周囲から絶縁された状態で支持する絶縁支持体における微小放電による発光を撮影するものである。これにより、上記停電を行わなくても、上記絶縁支持体を監視することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、上記カメラは、上記主母線を含む高圧室に設けられている。このため、上記カメラの保守、点検、交換などのメンテナンスを行う場合には、上記停電を行う必要がある。
【0007】
本発明の一態様は、主母線を含む上記高圧室の停電を行うことなく、カメラ等の監視機器のメンテナンスを行うことができる受変電設備を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る受変電設備は、高電圧で動作する電気機器を収容する高圧室と、前記高電圧よりも低い低電圧で動作する電気機器を収容する低圧室であって、前記高圧室の前方および後方の少なくとも一方に仕切板を介して設けられる低圧室と、前記高圧室内を監視する監視機器を収容する監視小室であって、前記高圧室の一部に仕切板を介して設けられ、かつ、前記低圧室と連通可能となっている監視小室とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、高圧室の停電を行うことなく、監視機器のメンテナンスを行うことができる受変電設備を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る金属閉鎖型スイッチギヤの外観を示す正面図、左側面図、背面図、および平面図である。
【
図2】上記スイッチギヤの右側面図であって、該スイッチギヤにおける筐体の左側面を切り欠いた図である。
【
図3】上記スイッチギヤの正面図であって、該スイッチギヤにおける前扉を開いた状態を示す図である。
【
図4】上記スイッチギヤにおける遮断器が設置される枠体の概要を示す斜視図である。
【
図5】上記枠体の一部を切り欠いて示す斜視図である。
【
図6】
図5の斜視図から、上記枠体における監視用ボックスの左側面をさらに切り欠いて示す斜視図である。
【
図7】上記枠体における監視用ボックスに設置された監視カメラが撮影した赤外線画像の一例を示す図である。
【
図8】上記スイッチギヤにおける前部低圧室のカメラ台に設置された監視カメラが撮影した赤外線画像の一例を示す図である。
【
図9】既存の金属閉鎖型スイッチギヤにおいて、遮断器が設置される枠体の概要を示す斜視図である。
【
図10】上記スイッチギヤの一変形例を示す正面図であって、前扉を開いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について、
図1~
図9を参照して説明する。
【0012】
<スイッチギヤの外観>
図1は、本実施形態に係る金属閉鎖型スイッチギヤの外観を示す六面図のうち、正面図、左側面図、背面図、および平面図である。なお、右側面図は左側面図と同様である。上記正面図にはスイッチギヤ1の前部が示され、上記背面図にはスイッチギヤ1の後部が示され、上記平面図にはスイッチギヤ1の上部が示され、上記左側面図にはスイッチギヤ1の右部が示されている。
【0013】
スイッチギヤ1は、高電圧で受電するための各種機器を金属製の筐体11に収容した受変電設備である。
図1に示すように、スイッチギヤ1では、筐体11の前部および後部に、金属製の前扉12および後扉13がそれぞれ取り付けられている。前扉12および後扉13を閉めることにより、筐体11内が閉鎖されることになる。
【0014】
<スイッチギヤの構成>
図2は、スイッチギヤ1の右側面図であって、筐体11の左部を切り欠いた図である。
図2に示すように、スイッチギヤ1は、高圧室14と、高圧室14の前方に設置される前部低圧室15(低圧室)と、高圧室14の後方に設置される後部低圧室16(低圧室)とを有する。高圧室14と、前部低圧室15とは、前部仕切板17と、後述する遮断器23の制御盤33とによって仕切られている。また、高圧室14と後部低圧室16とは、後部仕切板18によって仕切られている。これにより、スイッチギヤ1の内部には、高圧室14、前部低圧室15、および後部低圧室16がそれぞれ独立かつ分離して形成されている。
【0015】
前部仕切板17は金属製であり、後部仕切板は透明の樹脂製である。作業者は、前扉12を開くことにより、前部低圧室15にアクセス可能であり、また、後扉13を開くことにより、後部低圧室16にアクセス可能である。
【0016】
(高圧室)
高圧室14では、主母線21が、変流器22、遮断器23、および断路器24を介して、ケーブル25に電気的に接続されている。変流器22、遮断器23、および断路器24は、高電圧(例えば6.6kV)で動作する電気機器、すなわち、高電圧が印加された状態(充電状態)となり得る電気機器である。また、高圧室14には、計器用変圧器26が設置されている。主母線21からケーブル25までを電気的に接続するための導体について、導体どうし、或いは導体と上記電気機器とは、締結部材(ボルトおよびナット)によって締結されている。
【0017】
主母線21は、3相(R,S,T)の母線により構成されている。なお、相数は3相に限定されない。変流器22は、主母線21からの電流を変流するものである。
【0018】
遮断器23は、主母線21とケーブル25とを電気的に接続するか、或いは、その接続を断路して消弧するものである。遮断器23は、1次側の固定側端子31と、2次側の固定側端子32と、制御盤33とを含む。固定側端子31は変流器22と電気的に接続されている。固定側端子32は断路器24に電気的に接続されている。制御盤33は、前部低圧室15から作業者が遮断器23を制御するためのものである。
【0019】
遮断器23は、前部低圧室15へ引出可能となっている。作業者が遮断器23を開放(断路)した後に、前部低圧室15に引き出すことにより、本体側端子23aと固定側端子31との電気的な接続を物理的に断路でき、かつ、本体側端子23bと固定側端子32との電気的な接続を物理的に断路できる。
【0020】
断路器24は、主母線21とケーブル25とを電気的に接続するか、或いは、その接続を断路するものである。ケーブル25は、外部機器(負荷)に電気的に接続される。計器用変圧器26は、受電電圧を計測するものである。
【0021】
(前部低圧室)
図3は、スイッチギヤ1の正面図であって、前扉12を開いた状態を示す図である。前部低圧室15には、主に、各種電気機器を制御するための制御機器と、高圧室14を監視するための監視機器とが設けられている。制御機器および監視機器は、上記高電圧よりも低い低電圧(例えば、100V、200Vなど)で動作する電気機器である。
【0022】
具体的には、
図2および
図3に示すように、前部低圧室15には、上述の制御盤33、操作器34、および監視カメラ35・36が設けられている。なお、
図3では、監視カメラ36を省略している。なお、
図2の二点鎖線は、監視カメラ35・36の撮影方向を示している。
【0023】
操作器34は、断路器24による主母線21とケーブル25との電気的な接続または断路を作業者が切り替えるためのものである。操作器34は、接続線34aを介して断路器24と接続されている。作業者は、操作器34に設けられたレバーを移動させることにより、断路器24による上記接続または断路が切り替えられる。
【0024】
制御盤33の上方にはカメラ台37が設けられ、該カメラ台37に取付板38が傾斜可能に取り付けられ、該取付板38に監視カメラ35が設置されている。監視カメラ35は、遮断器23の上部を監視するものである。具体的には、監視カメラ35は、赤外線カメラであり、遮断器23と固定側端子31との接続部分の温度分布を計測する。なお、監視カメラ35は、可視光カメラでもある。監視カメラ35と対向する前部仕切板17aの領域には、赤外線を透過する樹脂製の窓部39が設けられている。
【0025】
監視カメラ36は、遮断器23の動作カウンタを撮影する。すなわち、監視カメラ36は、遮断器23の動作回数を監視する。なお、監視カメラ36の被写体は、前部低圧室15から作業員が目視でも確認することができる。
【0026】
(後部低圧室)
後部低圧室16には、監視カメラ41~46が設けられている。なお、
図2の二点鎖線は、監視カメラ41~46の撮影方向を示している。主母線21からケーブル25までに設けられた上記締結部材は、高電圧が印加されると熱が発生する。そこで、上記締結部材は、監視カメラ41~46によって監視される。さらに、監視カメラ41~46は、主母線21からケーブル25までの導体を周囲から絶縁された状態で支持する絶縁支持体の汚損状態、微小放電による発光、導体の温度、等を監視する。なお、監視カメラ41~46の被写体は、後部低圧室16から作業員が目視でも確認することができる。
【0027】
(監視用ボックス)
図4は、遮断器23が設置される枠体の概要を示す斜視図である。なお、
図2では、図面の簡略化のため、枠体51を省略している。
図4に示すように、枠体51には、遮断器23の他に、上述の監視カメラ35、カメラ台37、および前部仕切板17aと、監視用ボックス52・53(監視小室)とが設置されている。
【0028】
監視用ボックス52・53は、高圧室14の機器を監視する監視カメラ54・55を収容する金属製の箱体であり、遮断器23の両側にそれぞれ設置されている。監視用ボックス52・53は、前部に開口部52a・53aが形成されており、該開口部52a・53aには透明の樹脂カバー56・57がそれぞれ取り付けられている。
【0029】
図5は、枠体51の一部を切り欠いて示す斜視図である。
図6は、
図5の斜視図から、監視用ボックス52の左部をさらに切り欠いて示す斜視図である。
【0030】
図6に示すように、監視用ボックス52内の右部には、位置調整具61が前後方向に摺動可能に取り付けられている。位置調整具61には、回転具62が回転可能に取り付けられている。回転具62には取付板63が取り付けられ、該取付板63に監視カメラ54が取り付けられている。位置調整具61により、監視カメラ54の前後方向の位置を調整することができ、回転具62により、監視カメラ54の撮影方向を調整することができる。
【0031】
また、
図5に示すように、監視用ボックス52の左部において、監視カメラ54と対向する領域には、赤外線を透過する樹脂製の窓部64が設けられている。これにより、監視カメラ54が窓部64を介して高圧室14内を監視することができる。
【0032】
監視カメラ54は、赤外線カメラである。これにより、高圧室14における遮断器23と固定側端子31および固定側端子32との接続部分の温度分布を計測することができる。また、監視カメラ54は、外部の装置と通信を行う通信部(図示せず)を含む。これにより、監視カメラ54は、撮影画像のデータを上記外部の装置に送信することができる。その結果、上記外部の装置は、監視カメラ54を介して高圧室14内を監視することができる。なお、上記通信部は、有線で通信を行ってもよいし、無線で通信を行ってもよい。なお、監視用ボックス53も同様の構成であるので、その説明を省略する。
【0033】
従って、本実施形態のスイッチギヤ1では、監視用ボックス52・53に収容された監視カメラ54・55のメンテナンスを行う場合、樹脂カバー56・57を取り外す。これにより、監視用ボックス52・53と前部低圧室15とが連通可能となるので、上記メンテナンスを前部低圧室15から行うことができる。従って、上記メンテナンスのために高圧室14にて印加される高電圧を一時的に停止(停電)することが不要となる。
【0034】
図7は、監視用ボックス53に設置された監視カメラ55が撮影した可視光画像の一例を示す図である。また、
図8は、前部低圧室15におけるカメラ台37に設置された監視カメラ35が撮影した可視光画像の一例を示す図である。このように、本実施形態では、監視カメラ54・55および監視カメラ35は、可視光カメラでもある。
【0035】
上述のように、遮断器23は、引き出し可能な構造であるため、本体側端子23a・23bと固定側端子31および固定側端子32との接続は、接圧による接続となる。このため、ボルト締めによる接続の場合に比べて、抵抗変化により過熱するリスクがある。従って、本体側端子23a・23bと固定側端子31および固定側端子32との接続部分を監視することが望ましい。しかしながら、前部低圧室15および後部低圧室16から作業員が上記接続部分を目視で確認することはできない。
【0036】
これに対し、本実施形態では、前部低圧室15の制御盤33の上方に設置された監視カメラ35および窓部39により、
図8に示すように、本体側端子23aと固定側端子31との接続部分を監視することができる。しかしながら、本体側端子23bと固定側端子32との接続部分は、遮断器23の本体に遮られて監視することはできない。
【0037】
一方、監視用ボックス53に設置された監視カメラ55では、
図7に示すように、本体側端子23a・23bと固定側端子31および固定側端子32との接続部分を監視することができる。このように、監視カメラ55は、前部低圧室15および後部低圧室16に設けられた監視カメラ35・36・41~46では監視できないような高圧室14の領域を監視することができる。なお、監視用ボックス52に設置された監視カメラ54も同様である。従って、複数の監視用ボックス52・53を設置することにより、監視カメラ54・55は、前部低圧室15および後部低圧室16に設けられた監視カメラ35・36・41~46では監視できないような高圧室14の領域を詳細に監視することができる。
【0038】
(監視用ボックスの設置方法)
次に、既存の金属閉鎖型スイッチギヤに対し監視用ボックス52・53を設置する方法を説明する。
【0039】
図9は、既存の金属閉鎖型スイッチギヤにおいて、遮断器23が設置される枠体の概要を示す斜視図である。
図9に示す既存の枠体101は、
図4に示す枠体51に比べて、監視用ボックス52・53を省略すると共に、制御盤33の両側に仕切板102・103がそれぞれ設置されている点が異なり、その他は同様である。
【0040】
まず、
図9に示す既存の枠体101において、仕切板102を取り外す。これにより、制御盤33の両側は開口部104となる。次に、監視用ボックス52に、位置調整具61、回転具62、取付板63、および監視カメラ54を設置した後、監視用ボックス52を開口部104から挿入する。すなわち、監視用ボックス52は、枠体101に挿入可能となっている。次に、位置調整具61および回転具62を用いて、監視カメラ54の位置および撮影方向を調整する。その後、監視用ボックス52の開口部に樹脂カバー56を取り付ける。以下、監視用ボックス53についても同様に行うことにより、
図4に示す枠体51が完成する。
【0041】
<変形例>
図10は、
図1~
図9に示すスイッチギヤ1の一変形例を示す正面図であって、前扉12を開いた状態を示す図である。
図10に示すスイッチギヤ1は、
図3に示すスイッチギヤ1に比べて、カメラ台37、取付板38、監視カメラ35、および窓部39に代えて、カメラ台71、取付板72、監視カメラ73、および窓部74が設けられている点が異なり、その他の構成は同様である。なお、カメラ台71、取付板72、監視カメラ73、および窓部74は、カメラ台37、取付板38、監視カメラ35、および窓部39と同様であるので、その説明を省略する。
【0042】
本変形例では、カメラ台71、取付板72、監視カメラ73、および窓部74は、監視用ボックス53の上方、すなわち、仕切板17aの左側に設けられている。このように、制御盤33の情報の仕切板17aに設けられるカメラ台、取付板、監視カメラ、および窓部のセットは、監視を所望する高圧室14の領域に応じて、仕切板17aの任意の位置に設けることができる。
【0043】
<付記事項>
本実施形態では、遮断器23の両側に監視用ボックス52・53が設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、遮断器23の一方の側に監視用ボックス52を設置し、他方の側に従来の仕切板103を設置してもよい。
【0044】
また、
図4を参照すれば、遮断器23の上方にも空間が存在することが理解できる。従って、制御盤33の上方の仕切板17aを取り外して、開口部を露出させ、該開口部に監視用ボックス52を倒した状態で挿入してもよい。また、断路器24を監視するために、後部低圧室16から断路器24の両側に監視用ボックス52・53を挿入してもよい。このように、監視用ボックスの設置数は、1個であってもよいし、2個であってもよいし、3個以上であってもよい。
【0045】
また、監視用ボックス52のうち、高圧室14との仕切板として機能する、上部、左部、および後部の金属板があればよく、下部、および右部の金属板は省略することができる。同様に、監視用ボックス53のうち、高圧室14との仕切板として機能する、上部、右部、および後部の金属板があればよく、下部、および左部の金属板は省略することができる。すなわち、監視用ボックス52・53は、筐体でなくてもよく、高圧室14から仕切られた小部屋(監視小室)であればよい。
【0046】
また、監視カメラ35・54・55は、可視光線を撮影するカメラであってもよい。この場合、遮断器23の火花、汚れ等を監視することができる。また、監視カメラ35・54・55は、可視光線および赤外線を撮影するカメラであってもよい。
【0047】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る受変電設備は、高電圧で動作する電気機器を収容する高圧室と、前記高電圧よりも低い低電圧で動作する電気機器を収容する低圧室であって、前記高圧室の前方および後方の少なくとも一方に仕切板を介して設けられる低圧室と、前記高圧室内を監視する監視機器を収容する監視小室であって、前記高圧室の一部に仕切板を介して設けられ、かつ、前記低圧室と連通可能となっている監視小室とを備える。
【0048】
上記の構成によると、監視小室に収容された監視機器のメンテナンスは、前記監視小室と連通可能な低圧室から行うことができる。従って、前記メンテナンスのために前記高圧室にて印加される高電圧を一時的に停止(停電)することが不要となる。
【0049】
本発明の態様2に係る受変電設備は、上記態様1において、前記監視機器はカメラであり、前記監視小室は、樹脂製の窓部を、前記カメラと対向する領域に含んでもよい。この場合、前記カメラが前記窓部を介して高圧室内を監視することができる。
【0050】
本発明の態様3に係る受変電設備は、上記態様2において、前記カメラは赤外線カメラであり、前記窓部は、赤外線を透過する樹脂製の窓部であってもよい。この場合、前記高圧室内の温度分布を計測することができる。
【0051】
本発明の態様4に係る受変電設備は、上記態様1から3において、前記監視小室は、金属製の筐体であり、連通可能な前記低圧室から挿入可能であってもよい。この場合、既存の受変電設備において、低圧室から高圧室へ前記金属製の筐体を挿入することにより、前記監視小室を設けることができ、上述の作用効果を奏することができる。
【0052】
本発明の態様5に係る受変電設備は、上記態様1から4において、前記監視機器は、外部の装置と通信を行う通信部を備えてもよい。この場合、前記高圧室内を、前記監視機器を介して外部の装置が監視することができる。
【0053】
本発明の態様6に係る受変電設備は、上記態様1から5において、前記監視小室を複数個備えてもよい。この場合、前記高圧室内をさらに詳細に監視することができる。
【0054】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 スイッチギヤ
11 筐体
12 前扉
13 後扉
14 高圧室
15 前部低圧室(低圧室)
16 後部低圧室(低圧室)
17、17a 前部仕切板(仕切板)
18 後部仕切板(仕切板)
21 主母線
22 変流器
23 遮断器
23a、23b 本体側端子
24 断路器
25 ケーブル
26 計器用変圧器
31、32 固定側端子
33 制御盤
34 操作器
34a 接続線
35、36、41~46、54、55、73 監視カメラ
37、71 カメラ台
38、63、72 取付板
39、64、74 窓部
51 枠体
52、53 監視用ボックス(監視小室)
52a、53a 開口部
56、57 樹脂カバー
61 位置調整具
62 回転具