(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078342
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】接着具
(51)【国際特許分類】
C09J 7/10 20180101AFI20240603BHJP
C09J 133/04 20060101ALI20240603BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
C09J7/10
C09J133/04
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190842
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】501359412
【氏名又は名称】株式会社リンテック21
(74)【代理人】
【識別番号】100144277
【弁理士】
【氏名又は名称】乙部 孝
(72)【発明者】
【氏名】富田 真次
(72)【発明者】
【氏名】田上 貴也
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 秀雄
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AK25A
4F100AK25B
4F100AR00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CB05B
4F100DC11A
4F100DD05A
4F100GB81
4F100JL13B
4F100JL14C
4J004AA10
4J004DB02
4J004FA08
4J040DF021
4J040NA12
(57)【要約】
【課題】
接着後に簡便に剥離できる接着具を提供する。
【解決手段】
本体の一面及び他面に接着部材を備える接着具であって、前記本体が外部から駆動容易な形態に構成され前記本体が、平面視で平面充填の形状である。特に平面視で六角形、四角形、三角形の何れかの形状である。前記接着部材の最外面に接着面を保護する剥離紙が付着され、その剥離紙が分割可能に加工されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の一面及び他面に接着部材を備える接着具であって、
前記本体が外部から駆動容易な形態に構成されることを特徴とする接着具。
【請求項2】
前記本体が、平面視で平面充填の形状であることを特徴とする請求項1に記載に記載の接着具。
【請求項3】
前記本体が、平面視で六角形、四角形、三角形の何れかの形状であることを特徴とする請求項1に記載に記載の接着具。
【請求項4】
前記本体に外部から駆動可能な溝又は孔が設けられることを特徴とする請求項3に記載に記載の接着具。
【請求項5】
前記本体の形状が、平面視で突起を有する円形であることを特徴とする請求項1に記載に記載の接着具。
【請求項6】
前記接着部材の最外面に接着面を保護する剥離紙が付着され、その剥離紙が分割可能に加工されていることを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載の接着具。
【請求項7】
前記接着具の製造が、前記本体となる本体部材の一面及び他面に接着部材を付けた状態で、前記本体部材を切り分けて行われることを特徴とする請求項6に記載の接着具。
【請求項8】
前記本体がアクリル樹脂で前記接着部材がアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の接着具。
【請求項9】
前記接着部材がゲルであることを特徴とする請求項8に記載の接着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品と物品又は物品を床や壁に固定する接着具に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤を使用するにあたって媒体の両面に接着剤を付して多層として接着剤の使用を容易にすることが行われている。
【0003】
たとえば、特許文献1に開示される接着具は両面粘着シートであって、接被着体への貼付時には被着体に対する追従性に優れ、延伸剥離する際には破断しにくく、延伸して容易に剥離することができ、且つ剥離後の被着体に糊残りが生じにくい両面粘着シートである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される接着具は、接着や剥離が容易な接着剤を用いた両面テープであって接着力の強い接着剤の場合の接着後の剥離作業を容易にするものではない。
【0006】
この発明の目的は、上述した事情に鑑みなされたもので、物品の転倒防止など強い接着力を求める接着具において接着後に簡便に剥離できる接着具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の接着具は、本体の一面及び他面に接着部材を備える接着具であって、前記本体が外部から駆動容易な形態に構成されることを特徴とする接着具である。
である。
【0008】
本体の一面及び他面に接着部材を備える接着具であって、前記本体が外部から駆動容易な形態に構成されるので、接着具の本体を外部から駆動することで接着具の剥離作業の簡易化が図れる。
【0009】
請求項2に記載された発明は、前記本体が、平面視で平面充填の形状であることを特徴とする請求項1に記載に記載の接着具である。
【0010】
本体が、平面視で平面充填の形状であるので接着具を作成する際の端材の減少により製造コストの削減を図れる。
【0011】
請求項3に記載された発明は、前記本体が、平面視で六角形、四角形、三角形の何れかの形状であることを特徴とする請求項1に記載に記載の接着具。
【0012】
前記本体が、平面視で六角形、四角形、三角形の何れかの形状であるので前記形状の平面充填の性質により同一形状の接着具を無駄なく製造することに繋がる。
【0013】
請求項4に記載された発明は前記本体に外部から駆動可能な溝又は孔が設けられることを特徴とする請求項3に記載に記載の接着具である。
【0014】
本体に外部から駆動可能な溝又は孔が設けられるので外部からの駆動用の治具による剥離作業の容易化が図れる。
【0015】
請求項5に記載された発明は前記本体の形状が、平面視で突起を有する円形であることを特徴とする請求項1に記載に記載の接着具である。
【0016】
本体の形状が、平面視で突起を有する円形であるので画鋲代わり用いた場合などに手で突起を回すことで剥離作業の容易化が図れる。
【0017】
請求項6に記載された発明は、前記接着部材の最外面に接着面を保護する剥離紙が付着され、その剥離紙が分割可能に加工されていることを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載の接着具。
【0018】
接着部材の最外面に接着面を保護する剥離紙が付着され、その剥離紙が分割可能に加工されているので剥離紙を部分的に剥がすことで接着力の調整の容易化が図れる。
【0019】
請求項7に記載された発明は、前記接着具の製造が、前記本体となる本体部材の両面に接着部材を付けた状態で、前記本体部材を切り分けて行われることを特徴とする請求項6に記載の接着具である。
【0020】
接着具の製造が、本体となる本体部材の両面に接着部材を付けた状態で、前記本体部材を切り分けて行われるので接着具の製造工程の簡易化を図れる。
【0021】
請求項8に記載された発明は、前記本体がアクリル樹脂で前記接着部材がアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の接着具である。
【0022】
前記本体がアクリル樹脂で前記接着部材がアクリル系樹脂であるので本体と接着部材との接着力が高まり接着具の一体性が高まると同時に本体部材の切り分け作業の条件だし作業の容易化が図れる。
【0023】
請求項9に記載された発明は、前記接着部材がゲルであることを特徴とする請求項8に記載の接着具である。
【0024】
前記接着部材がゲルであるので、接着剤に粘弾性を求められる要求に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】(A)本発明に係る接着具の構成の説明図、(B)部分的に剥がした状態の剥離紙の状の説明図である。
【
図2】平面充填する(A)六角形,(B)三角形,(C)四角形の説明図である。
【
図4】試作した接着具の写真による(A)平面図、(B)側面図である。
【
図5】駆動用の孔を有する(A)駆動棒と孔を有する接着具、(B)、(C)駆動棒が孔に通された接着具。
【
図6】什器11への接着具12の適用例で(A)底面に接着具を付着された什器11、 (B)設置された什器の説明図である。
【
図7】接着具12を剥離する際に(A)什器11の底面の接着具を駆動する六角レンチ13を用意する、(B)接着具の本体へ六角レンチを嵌めた様子の説明図である。
【
図8】装置を縦積みする場面で(A)筐体底面の脚に接着具12を取り付け、(B)、 (C)装置を縦積みした状態の説明図である。
【
図9】(A)壁面に接着具12により物品を取り付けた状態、(B)TVの脚の先端に接着具を取り付けた状態の説明図である。
【
図10】装置のレベルアジャスター31に接着具を適用する場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1(A)に示す本発明に係る接着具10は、本体3の下に一面1となる下面及び他面2となる上面に接着部材が付着されて構成される。また、
図1(B)には接着部材の最外面の接着面を保護して接着具の取り扱いを容易にする剥離紙4が付着されている様子を示す。この剥離紙4に部分的に切り離しが容易になる切れ目を入れることで、使用状態において剥離紙を部分的にとりさることで接着力を調節することができる。
【0027】
接着部材はシート状のものや塗布するものでよい。またその材料は接着性を有するウレタン系、スチレン系、オレフィン系、ブチルゴム、アクリルゴム系などが候補となる。用途に応じて粘弾性を示すゲルも好適である。
【0028】
本体の材料は用いる接着部材と高い接着力を有する材料が好ましい。木製、金属、合成樹脂などが候補となるが接着部材との接着力と加工性及び費用を勘案して決められる。接着部材の材料としてアクリル系樹脂を選択する場合は接着力及び加工性の点で相性の良いアクリル樹脂が好ましい。
【0029】
本体の形状は、外部から駆動容易な形態で本体部材から無駄なく切り分けるために平面充填のものから選ばれる。平面充填の形状は一種類の形状の場合は、
図2に示す平面視で六角形、三角形、四角形から選ばれる。また、
図3に示すように円形の場合は3つの円が接触する配置で円40が3つ密接すると隙間41ができるので切り分ける際にこの隙間の部材を残して突起付きの接着具42を作る。
【0030】
外部から本体を駆動するにはスパナやレンチを用いることが好適である。本体が六角形の場合は六角レンチを駆動に用いる。また四角形や三角形の場合に本体に
図5に示すように駆動可能にするために駆動用の孔91を設けても良い。孔は図にしめす様に本体を貫通しても、途中までの穴でも良く、外力が加えやすい溝などでもよい。孔91に駆動棒9を通した様子を
図5(B)、(C)に示す。
【0031】
図6に什器11の底面の脚に固定具12を付着する様子を示す。固定具12により什器11は床に固定され地震などの外力による転倒防止が図られる。固定具12は筐体11の底面に付着されているので直接目に見えないので外見上の負担が少ないことが分かる。
【0032】
図7に接着具を外す際の様子を示す。接着具の外形が六角の場合
図7(A)、(B)に示すように六角レンチで接着具を取り外すこと容易にできる。
【0033】
図8(A)は装置の底面の脚に接着具12を取り付けた様子を示している。
図8(B),(C)に装置を積層し地震などの外力によりずり落ちないように互いの結合力の向上を図れる。
【0034】
図9(A)は物品21を壁20へ接着具12により取り付けた様子を示す。接着具12は、画鋲の代わりに文具として用いることができる。
【0035】
図9(B)はTVスタンドの脚の先に接着具を付着した様子を示す。今回開発した接着具12は接着力が強いのでTVスタンドの脚先に取り付けることで地震対策を講じることが可能になる。TVの大きさに合わせて用いる接着具の大きさや個数を選ぶことが好適である。
【0036】
TVスタンドに本発明に係る接着具を適用して耐震実験を行った結果を以下に示す。表1に示すのは丸型スタンドに支えられている65型の重量35Kgの液晶TVでの耐震試験の結果である。円形のスタンドの底面に6個の本発明に係る接着具(以降でゲルモジュールと呼ぶ)を貼付して耐震試験を行った。今回使用したゲルモジュールは六角レンチ21mmが適合する大きさである。
【表1】
震度6弱までは転倒しないが、震度6強では転倒するのに対して、震度6強でも転倒を防止することができた。
【0037】
TVスタンドには様々な形状がある。次に試験を行ったのは長方形スタンドに支えられた重量は16Kgの55型液晶TVである。耐震対策なしとゲルモジュール6個を用いた場合の試験結果を表2に示す。
【表2】
対策なしの場合は、震度6弱で転倒するが、ゲルモジュール6個により固定した場合は震度6強まで転倒を免れた。
【0038】
TVスタンドには
図9Bに示すY型スタンドに支えられたものがある。試験対象は重量10Kgの40型液晶TVである。重量が少なめなのでゲルモジュール4個を2本のY型スタンドの夫々の足先へ付着して実験を行った結果を表3に示す。
【表3】
【0039】
対策なしの場合は震度6弱で不安定になり震度6強で転倒したが、ゲルモジュールで固定した場合は震度6強の振動に耐えた。
【0040】
以上の実験結果からゲルモジュールはTVの外見を損ねることなく大型TVの転倒防止に役立つことが実証された。
耐震具
【0041】
ゲルモジュールは家庭だけでなく事務所や工場などの事業所でも幅広く適用が可能である。
図10は機械装置のレベルアジャスターに適用したばあいを示す。レベルアジャスターの底面に接着具12を付着することでレベルアジャスターを床へ固定し装置装置の耐震性の向上を図ることができる。
【0042】
本願発明の接着具を用いることで外観を損なうことなく什器や装置の床への固定が可能となり、また壁に穴を開けることなく物品を壁に固定することができる。
【符号の説明】
【0043】
1、2 接着部材
3 本体
4、5剥離紙
6、7 接着具
8 六角レンチ
9 駆動棒
10 接着具
11 什器
12 接着具
13 六角レンチ
14 装置
20 壁
21 物品
30 床
31 レベルアジャスター
32 筐体
40 円形
41 隙間
42 突起付き円形接着具