(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078351
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】DKK1発現促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240603BHJP
A61K 36/534 20060101ALI20240603BHJP
A61K 36/286 20060101ALI20240603BHJP
A61K 36/80 20060101ALI20240603BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20240603BHJP
A61K 36/35 20060101ALI20240603BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240603BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20240603BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K36/534
A61K36/286
A61K36/80
A61K36/185
A61K36/35
A61P43/00 111
A61Q19/02
A61P43/00 121
A61P17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190860
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】517298378
【氏名又は名称】株式会社ナガセビューティケァ
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】位上 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】勝木 曉美
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC372
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC712
4C083AD092
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC23
4C083EE16
4C088AB12
4C088AB13
4C088AB26
4C088AB37
4C088AB38
4C088BA08
4C088CA06
4C088MA07
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】DKK1発現促進等に有用な剤を提供する。
【解決手段】剤に、ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物のエキスを含有させる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物のエキスを含む、DKK1発現促進剤。
【請求項2】
ミント属植物のエキスを少なくとも含む、請求項1記載の剤。
【請求項3】
ミント属植物がベルガモットミントを含み、ベニバナ属植物がベニバナを含み、コゴメグサ属植物がアイブライトを含み、フヨウ属植物がローゼルを含み、スイカズラ属植物がハニーサックルを含む、請求項1又は2記載の剤。
【請求項4】
ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスを少なくとも含む、請求項1又は2記載の剤。
【請求項5】
ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスを少なくとも含み、ミント属植物がベルガモットミントを含み、ベニバナ属植物がベニバナを含む、請求項1又は2記載の剤。
【請求項6】
ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスを少なくとも含み、ベニバナ属植物のエキスの割合が、ミント属植物のエキス1質量部に対して、0.05~200質量部である請求項1又は2記載の剤。
【請求項7】
ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスを少なくとも含み、ベニバナ属植物のエキスの割合が、ミント属植物のエキス1質量部に対して、0.5質量部以上である請求項1又は2記載の剤。
【請求項8】
ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスを少なくとも含み、ベニバナ属植物のエキスの割合が、ミント属植物のエキス1質量部に対して、0.5~100質量部である請求項1又は2記載の剤。
【請求項9】
ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスを少なくとも含み、ベニバナ属植物のエキスの割合が、ミント属植物のエキス1質量部に対して、0.5~1.5質量部又は7~30質量部である請求項1又は2記載の剤。
【請求項10】
ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物のエキスを含む、DKK1発現促進用組成物。
【請求項11】
化粧料である、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
DKK1が繊維芽細胞におけるDKK1を含む、請求項1又は10記載の剤又は組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DKK1の発現(産生)促進に有用な剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
DKK1は、皮膚色が変化しにくい手のひらや足の裏の皮膚に高発現し、真皮線維芽細胞から分泌されており、メラノサイトのWntシグナル活性化を阻害し、分化と増殖を抑制する(非特許文献1、2)。また、ケラチノサイトのメラニン受け渡しを抑制する(非特許文献3)ことが報告されている。
以上のことから、Wntシグナル活性化を阻害するDKK1の発現を促進させることで、表皮における色素沈着を抑制することができると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Mesenchymal-epithelial interactions in the skin: increased expression of dickkopf1 by palmoplantar fibroblasts inhibits melanocyte growth and differentiation.(J. Cell Biol. 2004, 165, 275-285.)
【非特許文献2】The Effects of Dickkopf 1 on Gene Expression and Wnt Signaling by Melanocytes: Mechanisms Underlying Its Suppression of Melanocyte Function and Proliferation(J. Invest. Dermatol. 2007, 127, 1217-1225.)
【非特許文献3】Dickkopf 1 (DKK1) regulates skin pigmentation and thickness by affecting Wnt /β catenin signaling in keratinocytes.(FASEB J. 2008, 22, 1009-1020.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、DKK1発現の促進(DKK1の増大)に有用な新規な剤等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の植物(植物のエキス)が、DKK1発現(産生)の促進[さらには、これに関連して色素沈着の抑制(ひいては美白)]に有効(有用)であること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、下記の発明等に関する。
[1]
ミント属植物(シソ科ミント属植物)、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物のエキス(抽出物)を含む(特に有効成分として含む)、DKK1発現促進剤。
[2]
ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物のエキスを含む、色素沈着抑制及び/又は美白のための剤。
[3]
色素沈着抑制及び/又は美白のために用いる、[1]記載の剤。
[4]
ミント属植物のエキスを少なくとも含む、[1]~[3]のいずれかに記載の剤。
[5]
ミント属植物がベルガモットミントを含み(例えば、ベルガモットミントであり)、ベニバナ属植物がベニバナを含み(例えば、ベニバナであり)、コゴメグサ属植物がアイブライトを含み(例えば、アイブライトであり)、フヨウ属植物がハイビスカス(ローゼル)を含み(例えば、ハイビスカスであり)、スイカズラ属植物がハニーサックルを含む(例えば、ハニーサックルである)、[1]~[4]のいずれかに記載の剤。
[6]
ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスを少なくとも含む、[1]~[5]のいずれかに記載の剤。
[7]
ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスを少なくとも含み、ミント属植物がベルガモットミントを含み(例えば、ベルガモットミントであり)、ベニバナ属植物がベニバナを含む(例えば、ベニバナである)、[1]~[6]のいずれかに記載の剤。
[8]
ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスを少なくとも含み、ベニバナ属植物のエキスの割合が、ミント属植物のエキス1質量部に対して、0.05~200質量部(例えば、0.1~100質量部)である[1]~[7]のいずれかに記載の剤。
[9]
ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスを少なくとも含み、ベニバナ属植物のエキスの割合が、ミント属植物のエキス1質量部に対して、0.5質量部以上(例えば、1質量部以上)である[1]~[8]のいずれかに記載の剤。
[10]
ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスを少なくとも含み、ベニバナ属植物のエキスの割合が、ミント属植物のエキス1質量部に対して、0.5~100質量部(例えば、1~20質量部)である[1]~[9]のいずれかに記載の剤。
[11]
ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスを少なくとも含み、ベニバナ属植物のエキスの割合が、ミント属植物のエキス1質量部に対して、0.5~1.5質量部(例えば、0.8~1.2質量部)又は7~30質量部(例えば、10~20質量部)である[1]~[10]のいずれかに記載の剤。
[12]
ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物のエキスを含む、DKK1発現促進用組成物。
[13]
ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物のエキスを含む、色素沈着抑制及び/又は美白のための組成物。
[14]
化粧料である、[12]又は[13]記載の組成物。
[15]
DKK1が線維芽細胞におけるDKK1を含む(繊維芽細胞におけるDKK1発現を促進するための)、[1]~[14]のいずれかに記載の剤又は組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、DKK1発現の促進(DKK1の増大)に有用な新規な剤等を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[剤]
本発明では、ミント属(ハッカ属)植物(Mentha)、ベニバナ属植物(Carthamus)、コゴメグサ属植物(Euphrasia)、フヨウ属植物(Hibiscus)及びスイカズラ属植物(Lonicera)から選択された少なくとも1種の植物の抽出物(エキス)を含有(有効成分として含有)する剤を提供する。
【0009】
ミント属(シソ科ミント属)植物としては、例えば、ペパーミント系、スペアミント系等が挙げられる。
【0010】
具体的なミント属植物としては、例えば、ベルガモットミント(ベルガモットハッカ、オレンジミント)、ペパーミント(セイヨウハッカ)、ニホンハッカ、スペアミント、アップルミント、パイナップルミント、キャットミント、ペニーロイヤルミント、ヒメハッカ、ウォーターミント、コーンミント、アジアンミント、オーストラリアンミント、ハーツペニーロイヤルミント、タイワンハッカ、フォレストミント、ホースミント、コルシカミント、ジンジャーミント、ケンタッキーカーネルミント、グレープフルーツミント等が挙げられる。
【0011】
ミント属植物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0012】
これらの中でも、特に、ベルガモットミントが好ましい。そのため、ミント属植物は、少なくともベルガモットミントを含んでいてもよい。
【0013】
ベニバナ属(キク科ベニバナ属)植物としては、例えば、ベニバナ、アレチベニバナ等が挙げられる。
【0014】
ベニバナ属植物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0015】
これらの中でも、特に、ベニバナが好ましい。そのため、ベニバナ属植物は、少なくともベニバナを含んでいてもよい。
【0016】
コゴメグサ属(ハマウツボ(ゴマノハグサ)科コゴメグサ属)植物としては、例えば、アイブライト(セイヨウコゴメグサ)等のコゴメグサが挙げられる。
【0017】
コゴメグサ属植物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0018】
これらの中でも、特に、コゴメグサ(特に、アイブライト)が好ましい。そのため、コゴメグサ属植物は、少なくともコゴメグサ(特に、アイブライト)を含んでいてもよい。
【0019】
フヨウ属(アオイ科フヨウ属)植物としては、例えば、ハイビスカス(ローゼル)、ブッソウゲ、フヨウ、ムクゲ、モミジアオイ、ハマボウ、ユウナ、ケナフ等が挙げられる。
【0020】
コゴメグサ属植物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0021】
これらの中でも、特に、ハイビスカスが好ましい。そのため、フヨウ属植物は、少なくともハイビスカスを含んでいてもよい。
【0022】
スイカズラ属(スイカズラ科スイカズラ属)植物としては、例えば、ハニーサックル(ニオイニンドウ)等が挙げられる。
【0023】
これらの中でも、特に、ハニーサックルが好ましい。そのため、スイカズラ属植物は、少なくともハニーサックルを含んでいてもよい。
【0024】
エキス(抽出物)において、植物の部位は、特に限定されず、植物ごとに汎用の部位を使用してもよい。具体的な部位として、例えば、花、葉、種(種子、種皮)、茎、根などの部分を使用してもよく、これらを組み合わせて使用してもよく、全草を使用してもよい。
代表的には、花、葉を少なくとも使用してもよい。なお、植物の部位は植物の種類によって選択してもよく、例えば、ハイビスカス(ローゼル)等では花を少なくとも使用してもよく、ハイビスカス等でないその他の植物等では、葉を少なくとも使用してもよい。
【0025】
植物の中でも、DKK1発現促進等の点で、ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物が好ましい。
【0026】
中でも、ミント属植物、ベニバナ属植物がさらに好ましく、ミント属植物が特に好ましい。
【0027】
そのため、植物(植物のエキス)は、少なくともこのような植物(植物のエキス)を含んでいてもよい。
【0028】
例えば、剤は、好ましくは、ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物及びフヨウ属植物から選択された1種(さらに好ましくは、ミント属植物及びベニバナ属植物から選択された1種、特にミント属植物)の植物のエキスを少なくとも含んでいてもよい。
【0029】
植物(植物のエキス)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0030】
このように組み合わせて使用する場合、特に、ミント属植物のエキスを少なくとも組み合わせる[ミント属植物のエキスを他の植物のエキスと他のエキス(ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物のエキス)とを組み合わせる]のが好ましく、特に、ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスとを組み合わせるのが好ましい。
【0031】
このように組み合わせることで、DKK1発現促進を効率よく(例えば、相乗的に)得ることも可能である。
【0032】
植物のエキスが、ミント属植物のエキスと他の植物のエキスとを組み合わせて含む場合、植物のエキス全体に対するミント属植物のエキスの割合(固形分換算での割合)は、例えば、0.01質量%以上(例えば、0.1質量%以上)、好ましくは0.5質量%以上(例えば、1質量%以上)、さらに好ましくは2質量%以上(例えば、3質量%以上)等であってもよく、5質量%以上(例えば、8質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上)等とすることもできる。
【0033】
なお、ミント属植物のエキスと他の植物のエキスとを組み合わせて含む場合、植物のエキス全体に対するミント属植物のエキスの割合(固形分換算での割合)は、例えば、99.99質量%以下(例えば、99.9質量%以下)、99.5質量%以下(例えば、99質量%以下)、98質量%以下(例えば、97質量%以下)、95質量%以下(例えば、92質量%以下)、90質量%以下(例えば、85質量%以下)、80質量%以下(例えば、75質量%以下)、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下等であってもよい。
【0034】
また、植物のエキスが、ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスとを含む(少なくとも含む)場合、ベニバナ属植物のエキスの割合(固形分換算での割合)は、ミント属植物のエキス1質量部に対して、例えば、0.001質量部以上(例えば、0.005質量部以上)程度の範囲から選択してもよく、0.01質量部以上(例えば、0.03質量部以上)、好ましくは0.05質量部以上(例えば、0.1質量部以上)、さらに好ましくは0.2質量部以上(例えば、0.3質量部以上)、特に0.5質量部以上(例えば、0.8質量部以上)等であってもよく、1質量部以上(例えば、1質量部超、1.2質量部以上、1.5質量部以上、2質量部以上、3質量部以上、5質量部以上、6質量部以上、7質量部以上、8質量部以上、9質量部以上、10質量部以上)等とすることもできる。
【0035】
植物のエキスが、ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスとを含む(少なくとも含む)場合、ベニバナ属植物のエキスの割合(固形分換算での割合)は、ミント属植物のエキス1質量部に対して、例えば、10000質量部以下(例えば、5000質量部以下)程度の範囲から選択してもよく、3000質量部以下(例えば、2000質量部以下)、好ましくは1000質量部以下(例えば、500質量部以下)、さらに好ましくは300質量部以下(例えば、200質量部以下)、特に150質量部以下(例えば、120質量部以下)等であってもよく、100質量部以下(例えば、80質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、35質量部以下、30質量部以下、25質量部以下、22質量部以下、20質量部以下、18質量部以下、15質量部以下、12質量部以下)等とすることもできる。
【0036】
なお、植物のエキスが、ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスとを含む(少なくとも含む)場合、上記のような割合においてDKK1発現を促進しやすいのであるが、当該割合の中でも、特定の割合において格別に優れたDKK1発現作用を示す割合が存在するようである。
【0037】
そのため、ミント属植物のエキスとベニバナ属植物のエキスの割合(固形分換算での割合)は、より限定された特定の割合、例えば、ミント属植物のエキス1質量部に対する、ベニバナ属植物のエキスの割合(固形分換算での割合)を、0.05~200質量部(例えば、0.1~100質量部)、0.5質量部以上(例えば、1質量部以上)、0.5~100質量部(例えば、1~20質量部)、0.5~1.5質量部(例えば、0.8~1.2質量部)、7~30質量部(例えば、10~20質量部)等としてもよい。
【0038】
エキスは、市販品を利用してもよく、植物(植物の部位)を抽出処理することで得ることもできる。
【0039】
抽出において、溶媒(抽出溶媒)としては、使用する植物の種類や部位・部分等に応じて選択できるが、例えば、水、アルコール類[例えば、アルカノール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノールなどのC1-4アルカノール)、ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリンなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテルなど)、エステル類(例えば、酢酸エチルなど)などが挙げられる。
抽出溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0040】
代表的な抽出溶媒は、水、アルコール類(エタノールなど)、これらの混合液などが挙げられる。
【0041】
特に、溶媒としては、少なくとも極性溶媒(例えば、アルコール類)を含む溶媒、特に、エタノールを含む溶媒[例えば、エタノールを30容量(体積)%以上、好ましくは50容量%以上、さらに好ましくは70容量%以上(例えば、90容量%以上等)含む溶媒]を好適に使用してもよい。
【0042】
抽出温度や抽出時間は、特に限定されず、抽出溶媒や抽出方法などに応じて適宜選択できる。
【0043】
なお、抽出に際しては、植物を、必要に応じて、適当な処理(粉砕処理、加熱処理、乾燥処理など)に供してもよい。また、抽出物は、さらに、濃縮や乾燥(常温乾燥、凍結乾燥など)に供してもよい。
【0044】
剤(さらには後述の組成物)におけるエキスの形態は、特に限定されず、例えば、液状(例えば、抽出溶媒を含む抽出液等)、粉状(又は粉粒状)等であってもよい。
【0045】
(剤の用途)
本発明の剤は、特定の用途に使用できる。
【0046】
まず、本発明の剤は、DKK1(Dickkopf-1)発現促進剤[DKK1の発現(産生)を促進(改善、向上、活性化)するための剤]として使用できる。
なお、DKK1は、特に、ヒトDKK1であってもよい。
【0047】
そのため、本発明の剤は、DKK1の発現促進に関連する(又は関連することが報告されている)用途[例えば、色素沈着(例えば、表皮における色素沈着)抑制剤として、美白剤として]にも使用できる。
【0048】
DKK1の部位(発現を促進するDKK1の存在部位)は、特に限定されず、摂取・投与対象(剤の適用対象)のいずれの部位であってもよいが、例えば、繊維芽細胞(真皮繊維芽細胞)、角化細胞(表皮角化細胞、ケラチノサイト)、間葉系幹細胞(脂肪組織由来の幹細胞等)等が挙げられる。
【0049】
特に、DKK1の部位は、少なくとも皮膚(表皮、真皮、皮下組織、脂肪組織等)であってもよい。
【0050】
これらの部位は、単独で又は2種以上組み合わせて、DKK1の発現を促進してもよい。
【0051】
特に、本発明の剤は、皮膚(表皮、真皮、皮下組織、脂肪組織等)におけるDKK1の発現を促進するための剤(さらには、皮膚におけるDKK1の発現促進に伴う色素沈着抑制のための剤、皮膚におけるDKK1の発現促進に伴う美白のための剤)であってもよい。
【0052】
また、本発明の剤は、特定の適用対象のための剤、例えば、医薬用、飲食品用、化粧料用等として使用してもよい。
【0053】
[組成物]
本発明には、前記剤[又はミント属(ハッカ属)植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物の抽出物(エキス)]を含む組成物も含まれる。
【0054】
なお、この組成物において、前記剤[又はミント属(ハッカ属)植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物の抽出物(エキス)]の態様(具体的態様、好ましい態様等)は前記と同様である。
【0055】
そして、このような組成物もまた、前記剤と同様の機能・用途に使用しうる。例えば、DKK1(Dickkopf-1)発現促進用、色素沈着抑制用、美白用等に使用しうる。
【0056】
なお、このような機能・用途は、前記剤同様、ミント属(ハッカ属)植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物の抽出物(エキス)を有効成分とするものであってもよい。
【0057】
また、組成物は、医薬用、飲食品用、化粧料用等として使用してもよい。
【0058】
特に、本発明の組成物は、DKK1発現促進作用、さらには(DKK1発現促進作用に関連して)色素沈着抑制作用や美白作用を有するという観点から、化粧料用(化粧料用組成物)として好適に使用してもよい。なお、化粧料用組成物としては、特に限定されず、薬用化粧品等の薬事法における定義では医薬部外品に分類されるものであってもよい。
【0059】
本発明の組成物は、前記剤(ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物の抽出物)を含んでいればよく、その用途や形態等に応じて他の成分を含んでいてもよい。
【0060】
このような他の成分(ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物の抽出物でない成分)としては、基剤又は担体、添加剤、その他の有効成分等が挙げられる。なお、このような他の成分やその割合は、組成物の形態、性状等に応じて適宜選択できる。
【0061】
基剤又は担体としては、特に限定されないが、例えば、パラフィン、流動パラフィン、スクワラン、白ロウ、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、オゾケライト、セレシン、ワセリン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィン等の炭化水素;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸;トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリオクタノイン)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のトリ脂肪酸グリセリド;セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アクリル酸アルキル共重合体メチルポリシロキサンエステル、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、デカメチルシクロペンタシロキサン、エチルトリシロキサン、メチルトリメチコン、メチルシロキサン網状重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油;エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート、ヘキシレングリコールジアセタート、及び2-メチル-2-プロペン-1,1-ジオールジアセタート等のグリコールアセタート;トリエチレングリコールジバレラート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチラート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチラート等のグリコールエステル;エチレングリコールジアクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、プロピレングリコールモノアクリラート、2,2-ジメチル-トリメチレングリコールジアクリラート、及び1,3-ブチレングリコールジアクリラート等のグリコールアクリラート;エチレングリコールジニトラート、ジエチレングリコールジニトラート、トリエチレングリコールジニトラート、及びプロピレングリコールジニトラート等のグリコールジニトラート;2,2’-[1,4-フェニレンジオキシ]ジエタノール;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カラギーナン;ポリビニルブチラート;ポリエチレングリコール;ジオキサン;ブチレングリコールアジピン酸ポリエステル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスエリット等のエステル類;デキストリン、マルトデキストリン等の多糖類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル;水等の水系基剤等が挙げられる。これらの基剤又は担体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0062】
添加剤としては、特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、着色剤、及び香料等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0063】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸リン酸エステル等)、トコフェロール、トコフェロール誘導体、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩等が挙げられる。
【0064】
界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ステアリルアミン、オレイルアミン等のアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0065】
増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、ベントナイト、アルギン酸、マクロゴール、並びにセルロース系増粘剤(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びカルボキシエチルセルロース等)及びこれらの塩等が挙げられる。
【0066】
保存剤、防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸及びその塩、グルコン酸クロルヘキシジン、アルカンジオール、及びグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0067】
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸等)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム等)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)等が挙げられる。
【0068】
安定化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸塩等が挙げられる。
【0069】
その他の有効成分としては、特に限定されないが、例えば、保湿成分、抗炎症成分、抗菌又は殺菌成分、ビタミン類、ペプチド又はその誘導体(エステル、アミド等)、細胞賦活化成分、老化防止成分、血行促進成分、角質軟化成分、美白成分、収斂成分等が挙げられる。これらの有効成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0070】
保湿成分としては、例えば、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサン等の高分子化合物;乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の天然保湿因子;セラミド、コレステロール、リン脂質等の脂質;カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、シソエキス等の植物抽出エキス等が挙げられる。
【0071】
抗炎症成分としては、例えば、植物(例えば、コンフリー)に由来する成分、アラントイン、グリチルリチン酸又はその誘導体、酸化亜鉛、塩酸ピリドキシン、酢酸トコフェロール、サリチル酸又はその誘導体、ε-アミノカプロン酸等が挙げられる。
【0072】
抗菌又は殺菌成分としては、例えば、エタノール、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、イオウ、レゾルシン、塩化ベンゼトニウム、アダパレン、過酸化ベンゾイル、クリンダマイシン、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシン、グルコン酸クロルヘキシジン、パラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。
【0073】
ビタミン類としては、例えば、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のレチノール誘導体、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、d-δ-トコフェリルレチノエート、α-トコフェリルレチノエート、β-トコフェリルレチノエート等のビタミンA類;dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム等のビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類;ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、ニコチン酸1-(4-メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類;アスコルビゲン-A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビル等のビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類;フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ-オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩;チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類;シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類;ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D-パンテサイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類;ビオチン、ビオチシン等のビオチン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類;カルニチン、フェルラ酸、α-リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子等が挙げられる。
【0074】
ペプチド又はその誘導体としては、例えば、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)等が挙げられる。
【0075】
細胞賦活化成分としては、例えば、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類等のビタミン類;グリコール酸、乳酸等のα-ヒドロキシ酸類;タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号等が挙げられる。
【0076】
老化防止成分としては、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N-メチル-L-セリン、メバロノラクトン等が挙げられる。
【0077】
血行促進成分としては、例えば、植物(例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、ウイキョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシ)に由来する成分;グルコシルヘスペリジン等が挙げられる。
【0078】
角質軟化成分としては、例えば、サリチル酸、グリコール酸、フルーツ酸、フィチン酸、イオウ等が挙げられる。
【0079】
美白成分としては、例えば、アスコルビン酸とその誘導体(リン酸エステル等)、アルブチン、トコフェロール等が挙げられる。
【0080】
収斂成分としては、例えば、パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、メントール、エタノール等が挙げられる。
【0081】
本発明の組成物の形状は、特に限定されず、用途等に応じて適宜選択でき、例えば、液体状、流動状、半固形状等が挙げられる。
また、本発明の組成物(化粧料用組成物等)の形態は、特に限定されず、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、不織布に薬液を含浸させたシート剤等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤等が挙げられる。
【0082】
本発明の組成物の具体的な用途は、特に限定されないが、例えば、化粧水、化粧用乳液、化粧用オイル、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、マスク、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリーム等の基礎化粧品;洗顔料、メイク落とし、ボディーシャンプー、シャンプー、リンス、トリートメント等の洗浄用化粧品;化粧下地、ファウンデーション、フェイスパウダー、水おしろい、おしろい、ドーラン、アイシャドーベース、アイシャドー、ノーズシャドー、リップペンシル、口紅、リップグロス、頬紅、各種カラー等のメイクアップ化粧料;シャンプー、ドライシャンプー、コンディショナー、リンス、リンスインシャンプー、トリートメント、ヘアトニック、整髪料、髪油、ポマード、ヘアカラーリング剤などのヘアケア用品;歯磨剤、リップクリーム、石鹸、ボディソープ等が挙げられる。
これらの中でも、好ましくは、化粧水、化粧用乳液、化粧用オイル、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料等であり、より好ましくは、化粧水、化粧用乳液、クリーム、美容液等である。
【0083】
本発明の組成物が医薬部外品である場合の具体的な用途は、特に限定されないが、例えば、薬用化粧品、薬用石鹸、薬用歯磨剤、制汗剤、薬用クリーム、育毛剤、染毛剤、うがい薬、ドリンク剤、口中清涼剤、コンタクトレンズ装着薬、殺菌消毒薬、しもやけ用薬、消化薬、生薬含有保健薬、ビタミン含有保健薬、入浴剤等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、薬用化粧品、薬用クリーム、育毛剤等である。
【0084】
本発明の組成物の製造方法は、本発明の剤(ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物の抽出物)を使用する方法であれば特に限定されず、組成物の用途や性状等に応じて、従来公知の方法を使用することができる。例えば、本発明の剤を、常法により、組成物の製造時にそのまま、あるいは乳化、可溶化、分散化して配合することにより製造することができる。
【0085】
本発明の組成物において、本発明の剤(ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物の抽出物)の割合は、組成物の種類や配合成分等により適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物の抽出物の割合(固形分換算の割合)として、例えば、0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、さらに好ましくは0.001質量%以上等であってもよい。
なお、ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物の抽出物の割合(固形分換算の割合)の上限は、特に限定されないが、例えば、0.0001質量%、0.0003質量%、0.001質量%、0.003質量%、0.01質量%、0.03質量%、0.05質量%、0.1質量%、0.3質量%、0.5質量%、1質量%等であってもよい。
【0086】
[使用態様等]
本発明には、前記剤又は組成物を用いた各種方法を含む。
このような方法は、例えば、前記剤又は組成物を、使用(適用)対象に使用する方法であってもよい。
【0087】
そして、このような方法は、前記の機能・作用(例えば、DKK1発現促進、色素沈着抑制、美白)を伴うものであってもよい。
【0088】
本発明の剤又は組成物の使用(適用)方法は、特に限定されず、使用(適用)対象等に応じて適宜選択できる。例えば、化粧料用などとして使用する場合においては、皮膚の状態、年齢、性別等によって適宜選択することができ、例えば、1日数回(例えば、1日1~5回、好ましくは1日1~3回)、適量(例えば、約0.005~0.5g)を皮膚に適用(塗布、噴霧、貼付等)してもよい。また、顔、首、手、足、指、胴、頭皮等のどのような皮膚にでも適用することもできる。
【0089】
本発明の剤又は組成物の使用(適用)量もまた、特に限定されず、組成物の種類や成分等により適宜変更され得るが、例えば、ミント属植物、ベニバナ属植物、コゴメグサ属植物、フヨウ属植物及びスイカズラ属植物から選択された少なくとも1種の植物の抽出物の割合(固形分換算の割合)として、成人1日当たり、0.0001~100mg/cm2(皮膚面積)、好ましくは0.001~10mg/cm2(皮膚面積)等であってもよい。
【実施例0090】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0091】
[エキスの製造]
ベルガモットミント乾燥葉40gをミキサーで粉末状にしたのちに、20倍量の90容量%エタノール(エタノール水溶液)を加え、一晩攪拌して抽出した。得られた抽出物の溶媒をエバポレーターで留去し、水に再懸濁したものを凍結乾燥させ、ベルガモットミント抽出物粉末を得た。
【0092】
同様の方法で、各植物抽出物(エキス)を調製した。なお、ハイビスカス(ローゼル)では乾燥花を使用し、それ以外の植物は乾燥葉を使用した。
【0093】
[試験]
ヒト新生児正常皮膚線維芽細胞(東洋紡社製)を10容量%FBS含有DMEM培地を用いて培養後、トリプシン処理により細胞を回収した。
7.5×105cells/wellの細胞密度になるように6wellプレートに播種し、37℃、5体積%CO2にて一晩培養した。培養後に培地を除去し、被験試料抽出物(エキス)が表に示す濃度となるように、添加した培地に交換し24時間培養した。
なお、コントロールにおいては、被験試料抽出物(エキス)の希釈溶媒として用いたDMSOのみ添加培地を用いて同様に培養した。
培養後、培地を除去し、TRIzol(Thermo Fisher社製)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、100ng/μLになるように総RNAを調製した。
【0094】
この総RNAを鋳型とし、逆転写酵素によりcDNAを合成した後、これをテンプレートとしてDKK1および内部標準であるβ-actinについて、mRNAの発現量を測定した。
検出はリアルタイムPCR装置(Bio-Rad社製)を用いて、TaKaRa SYBR PrimeScript RT-PCR kit(Perfect Real Time)(タカラバイオ社製)によるRT-PCR反応により行った。
DKK1mRNAの発現量は、「被験試料抽出物添加」および「被験試料抽出物無添加」にてそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、β-actinの値で補正値を求めた。
【0095】
得られた値から、下記式によりDKK1mRNA発現促進率(%)を算出した。
【0096】
DKK1mRNA発現促進率(%)=
(被験試料抽出物DKK1mRNA発現量/コントロールDKK1mRNA発現量)×100
【0097】
【0098】
以下、本発明の剤を含む組成物の具体的処方を例示する。
【0099】
処方例1:化粧水
下記組成の化粧水を、以下の調製法に従って製造する。
合計が100重量%となるように以下の成分を処方する。全ての成分を室温にて混合及び撹拌して均一な溶液とし、pHを5.5に調整して、化粧水を得る。
成分 重量%
濃グリセリン 4.0
ソルビット 4.0
クエン酸ナトリウム 0.3
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
ベルガモットミントエキス 0.01
エタノール 15.0
香料 0.005
クエン酸 適量
精製水 残部
【0100】
処方例2:洗顔クリーム
下記組成の洗顔クリームを、以下の調製法に従って製造する。
成分A、成分B及び成分Cの合計が100重量%となるように、各成分A~Cを以下の割合で処方する。まず、成分Aの混合物を加熱溶解して80℃に保持する。次いで、別途80℃で加熱溶解した成分Bの混合物を成分Aの混合物に添加して充分撹拌する。その後、撹拌しながら冷却を行い、50℃にて成分Cの混合物を加え、洗顔クリームを得る。
「成分A」
成分 重量%
ミリスチン酸 14.0
ステアリン酸 12.0
ラウリン酸 3.5
オレイルアルコール 1.5
ヤシ油脂脂肪酸アミドプロピルベタイン 10.5
「成分B」
成分 重量%
濃グリセリン 18.0
水酸化カリウム 7.0
パラオキシ安息香酸エステル 適量
精製水 残部
「成分C」
成分 重量%
ベルガモットミントエキス 0.01
香料 適量
【0101】
処方例3:乳液
下記組成の乳液を、以下の調製法に従って製造する。
成分D、成分E及び成分Fの合計が100重量%となるように、各成分D~Fを以下の割合で処方する。まず、成分Dの混合物を加熱溶解して80℃に保持する。次いで、別途80℃で加熱溶解した成分Eの混合物を成分Dの混合物に添加して充分撹拌する。その後、撹拌しながら冷却を行い、50℃にて成分Fの混合物を加え、乳液を得る。
「成分D」
成分 重量%
ショ糖脂肪酸エステル 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.06
水酸化カリウム 0.028
パラオキシ安息香酸エステル 適量
精製水 残部
「成分E」
成分 重量%
オリーブ油 4.0
ホホバ油 4.0
乳酸ミリスチル 2.0
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.5
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.5
「成分F」
成分 重量%
ベルガモットミントエキス 0.01
香料 0.2