(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078381
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】携帯用切断機
(51)【国際特許分類】
B27B 9/00 20060101AFI20240603BHJP
B27B 9/02 20060101ALI20240603BHJP
B27G 19/04 20060101ALI20240603BHJP
B23D 45/16 20060101ALI20240603BHJP
B23D 47/02 20060101ALI20240603BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20240603BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240603BHJP
B23D 45/14 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B27B9/00 A
B27B9/02
B27B9/00 E
B27G19/04 Z
B23D45/16
B23D47/02
B25F5/02
B25F5/00 H
B23D45/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096914
(22)【出願日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2022190261
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久米 翔
(72)【発明者】
【氏名】津田 孝一
(72)【発明者】
【氏名】千菊 仁志
(72)【発明者】
【氏名】村田 敦
【テーマコード(参考)】
3C040
3C064
【Fターム(参考)】
3C040AA01
3C040CC03
3C040GG42
3C040LL05
3C064AA06
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA01
3C064BA13
3C064BA18
3C064BA33
3C064BB04
3C064BB11
3C064BB52
3C064BB63
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA26
3C064CA55
3C064CA60
3C064CA61
3C064CA62
3C064CB17
3C064CB63
3C064CB69
3C064CB72
3C064CB84
3C064CB85
3C064CB91
(57)【要約】
【課題】傾斜切り加工のために切断機本体を左右に傾動させたり、切り込み深さを変更するために上下に揺動させたりすると移動操作のために把持するハンドルも一体で変位する。使用者は移動操作時に手を窮屈な姿勢にしてハンドルを把持する必要があり、携帯用切断機の移動操作性が損なわれる。本開示では切断機本体の姿勢とは独立してハンドルの移動操作性が良好に維持されるようにする。
【解決手段】切断機本体がベース10に対して左右に傾動および上下に揺動可能に支持される。ハンドル30とバッテリ取付部40は、切断機本体の傾動および揺動動作とは独立してベース10側に設けられる。これにより、移動操作時におけるハンドル30の把持性が切断機本体の姿勢とは独立して良好に維持される。ベース10と切断機本体との間に配索される電気配線2は、左右に弾性を有する横向きU字形の傾動介在部材53により覆われて防塵性が確保される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用切断機であって、
被切断材に当接されるベースと、
前記ベースに傾動可能に支持され、かつ電動モータを備える切断機本体と、
前記電動モータの電源であるバッテリを取り外し可能に取り付けられるバッテリ取付部と、
前記切断機本体の傾動動作と独立して前記ベースに設けられ、かつ使用者に把持されるハンドルを備えている携帯用切断機。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯用切断機であって、
前記切断機本体は、前記傾動動作と異なる方向に揺動動作可能に設けられ、
前記ハンドルが前記切断機本体の揺動動作と独立して前記ベースに設けられている携帯用切断機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の携帯用切断機であって、
前記ハンドルが前記ベースに相対移動不能に設けられている携帯用切断機。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1つに記載の携帯用切断機であって、
前記ハンドルには前記電動モータの起動用のスイッチレバーが設けられ、
前記ハンドルに隣接して前記バッテリ取付部が設けられる携帯用切断機。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯用切断機であって、
前記バッテリ取付部が前記ハンドルに対して相対移動不能に設けられている携帯用切断機。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1つに記載の携帯用切断機であって、
前記ベースと前記切断機本体との間に電気配線が配索されており、
前記ベースには、前記バッテリ取付部から延出して前記電気配線を覆う第1ワイヤホルダが設けられ、
前記切断機本体には、前記電動モータ付近から延出して前記電気配線を覆う第2ワイヤホルダが設けられ、
前記第1ワイヤホルダと前記第2ワイヤホルダが、弾性変形可能な介在部材により相互に傾動可能に連結され、前記介在部材に前記電気配線が挿通される携帯用切断機。
【請求項7】
請求項1~5の何れか1つに記載の携帯用切断機であって、
前記ベースと前記切断機本体との間に電気配線が配索されており、
前記ベースには、前記バッテリ取付部から延出して前記電気配線を覆う第1ワイヤホルダが設けられ、
前記切断機本体には、前記電動モータ付近から延出して前記電気配線を覆う第2ワイヤホルダが設けられ、
前記第1ワイヤホルダと前記第2ワイヤホルダが、1つの関節構造または多関節構造を有する介在部材により相互に傾動可能に連結され、前記介在部材に前記電気配線が挿通される携帯用切断機。
【請求項8】
請求項1~5の何れか1つに記載の携帯用切断機であって、
前記ベースと前記切断機本体との間に電気配線が配索されており、
前記ベースには、前記バッテリ取付部から延出して前記電気配線を覆う第1ワイヤホルダが設けられ、
前記切断機本体には、前記電動モータ付近から延出して前記電気配線を覆う第2ワイヤホルダが設けられ、
前記第1ワイヤホルダと前記第2ワイヤホルダの間に介在部材が設けられ、前記介在部材の第1端部が前記第1ワイヤホルダに左右方向に傾動可能に連結され、前記介在部材の第2端が前記第2ワイヤホルダに連結され、前記介在部材に前記電気配線が挿通される携帯用切断機。
【請求項9】
請求項6~8の何れか1つに記載の携帯用切断機であって、
前記切断機本体は、前記傾動動作と異なる方向に揺動動作可能に設けられ、
前記介在部材により前記第1ワイヤホルダと前記第2ワイヤホルダが相互に揺動可能に連結され、前記介在部材に対する前記第2ワイヤホルダの揺動中心が前記切断機本体の揺動中心に一致している携帯用切断機。
【請求項10】
請求項9に記載の携帯用切断機であって、
前記ベースには、前記切断機本体を傾動可能に支持するアンギュラープレートが設けられ、
前記切断機本体は、前記電動モータを覆うモータハウジングと、前記電動モータにより回転する刃具を覆う固定カバーを備え、
前記アンギュラープレートと前記モータハウジングと前記固定カバーと前記第2ワイヤホルダにより区画される領域内に前記介在部材が配置される携帯用切断機。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の携帯用切断機であって、
前記介在部材は、前記切断機本体の前記傾動動作を許容する傾動介在部材と、前記切断機本体の前記揺動動作を許容する揺動介在部材を有し、
前記揺動介在部材は、前記切断機本体の前記揺動中心に沿う第1方向に開口する第1揺動開口部と、前記第1方向と反対の第2方向に開口する第2揺動開口部を有し、
前記第1揺動開口部と前記第2揺動開口部を経て前記電気配線が前記揺動介在部材に挿通される携帯用切断機。
【請求項12】
請求項6~8の何れか1つに記載の携帯用切断機であって、
前記切断機本体は、前記傾動動作と異なる方向に揺動動作可能に設けられ、
前記第2ワイヤホルダは、円筒形状でかつ前記介在部材の揺動開口部に向けて開口する第2ホルダ開口部を有し、
前記介在部材の前記揺動開口部は、円筒形状で前記第2ワイヤホルダの前記第2ホルダ開口部に回転可能に連結される携帯用切断機。
【請求項13】
請求項9~12の何れか1つに記載の携帯用切断機であって、
前記第1ワイヤホルダは、前記介在部材に向けて開口する第1ホルダ開口部を有し、
前記第1ワイヤホルダの前記第1ホルダ開口部を経て前記電気配線が前記介在部材に挿通される携帯用切断機。
【請求項14】
請求項6に記載の携帯用切断機であって、
前記介在部材は、一端に第1傾動開口部を有し、他端に第2傾動開口部を有する横向きU字形を有し、前記第1傾動開口部と前記第2傾動開口部を経て前記電気配線が前記介在部材に挿通されている携帯用切断機。
【請求項15】
請求項8記載の携帯用切断機であって、
前記介在部材の前記第1端部は、円筒状で、前記第1ワイヤホルダに埋設されて前記介在部材の傾動中心を構成する携帯用切断機。
【請求項16】
請求項15記載の携帯用切断機であって、
前記第1端部に前記電気配線が挿通される開口部が設けられ、前記開口部は、前記切断機本体の全傾動範囲において前記第1ワイヤホルダに覆われる携帯用切断機。
【請求項17】
請求項8又は15又は16に記載の携帯用切断機であって、
前記介在部材の配線経路の途中に拡幅部が設けられた携帯用切断機。
【請求項18】
携帯用切断機であって、
被切断材に当接されるベースと、
前記ベースに傾動可能に支持され、かつ電動モータを備える切断機本体と、
前記切断機本体の傾動動作とは独立して前記ベースに設けられ、かつ使用者に把持されるハンドルと、
前記ハンドルに設けられ、かつ前記電動モータの起動用のスイッチレバーを有している携帯用切断機。
【請求項19】
請求項1~18の何れか1つに記載の携帯用切断機であって、
前記切断機本体は、傾動操作時に把持する把持部を有する携帯用切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば木材等の被切断材の切断加工に用いられる携帯用切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用切断機は、被切断材に当接されるベースと、ベースに支持した切断機本体を備える。切断機本体は、電動モータにより回転する円盤形の刃具と、切断加工時に使用者が把持するハンドルを備える。使用者がハンドルを把持して移動操作することで刃具が被切断材に切り込まれて切断加工がなされる。切断加工の進行方向に対して切断機本体を左方又は右方に傾動させた姿勢に保持することで、刃具が被切断材に対して斜めに切り込まれていわゆる傾斜切り加工(bevel cut)を行うことができる。また、切断機本体を上下に揺動させて刃具の被切断材に対する切り込み深さを変更することができる。
【0003】
切断機本体を左方又は右方に傾動させたり、上下に揺動させたりすることでハンドルの位置が変化するため使用者の把持姿勢も変化する。その結果、使用者は移動操作のための操作力を加えにくくなる等、切断加工時の操作性が悪くなる場合がある。特許文献1には、使用者が把持するハンドルをベースに設けた切断機が開示されている。この切断機によれば切断機本体の左右傾動位置や上下揺動位置に関わらずハンドルの把持姿勢は変化しないため、良好な操作性が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に開示された切断機は特殊な用途に用いる傾斜専用ベースに対して切断機本体が一定角度の傾斜位置に固定され、かつ上下揺動位置も固定されており、切断機本体の姿勢を変更することができない。また、特許文献1の切断機は交流電源仕様のACマルノコであるのでバッテリの取り扱いについて開示されていない。バッテリが搭載されると製品全体の質量が大きくなるので、ハンドルの姿勢が適切でない場合には製品を支持する手の負担が大きくなる。本開示では、切断機本体の姿勢を変更可能な携帯用切断機についてハンドルの移動操作性が良好に維持されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面によると、携帯用切断機は、例えば被切断材に当接されるベースと、ベースに傾動可能に支持され、かつ電動モータを備える切断機本体とを有する。携帯用切断機は、例えば電動モータの電源であるバッテリを取り外し可能に取り付けられるバッテリ取付部と、切断機本体の傾動動作と独立してベースに設けられ、かつ使用者に把持されるハンドルを備えている。
【0007】
本開示の他の局面によると、携帯用切断機は、例えば被切断材に当接されるベースと、ベースに傾動可能に支持され、かつ電動モータを備える切断機本体とを有する。携帯用切断機は、例えば切断機本体の傾動動作とは独立してベースに設けられ、かつ使用者に把持されるハンドルと、ハンドルに設けられ、かつ電動モータの起動用のスイッチレバーを有している。
【0008】
従って、切断機本体の姿勢とは独立してハンドルを位置させることができる。これによりハンドルの移動操作性が良好に維持される。本開示の1つの局面若しくは他の局面によれば、ベースに対する切断機本体の姿勢が変更されても、ハンドルが把持しやすい姿勢に保持されることで、携帯用切断機の移動操作性が良好に維持される。特にバッテリを搭載した製品については、ハンドルの良好な移動操作性がより顕著である。またスイッチレバーを設けたハンドルについては、良好な移動操作性がより顕著である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1実施例の携帯用切断機の右側面図である。
【
図4】
図3中IV-IV線断面矢視図である。本図は、切断機本体を直角切り位置に位置させた状態を示している。
【
図5】
図3中IV-IV線断面矢視図である。本図は、切断機本体を右方へ傾動させた状態を示している。
【
図6】第1実施例の携帯用切断機の斜視図である。本図は、切断機本体を右方へ傾動させた状態を示している。
【
図7】第1実施例の携帯用切断機の斜視図である。本図は、切断機本体を上方へ揺動させた状態を示している。
【
図8】第1実施例の携帯用切断機のベースの斜視図である。本図では切断機本体の図示が省略されている。
【
図9】第1実施例に係る傾動介在部材と揺動介在部材の斜視図である。本図は左斜め後方から見た状態を示している。
【
図10】第1実施例に係る傾動介在部材と揺動介在部材の斜視図である。本図は右斜め後方から見た状態を示している。
【
図11】第1実施例に係る配線カバーの分解斜視図である。
【
図12】第2実施例の携帯用切断機の斜視図である。本図は切断機本体を右方へ傾動させた状態を示している。
【
図13】第2実施例に係る配線カバーの分解斜視図である。
【
図14】第3実施例の携帯用切断機の斜視図である。本図ではアンギュラープレートと支持ブラケットの一部の図示が省略されている。
【
図15】第3実施例に係る配線カバーの分解斜視図である。
【
図16】
図14中XVI矢視図であり、配線カバー及びその周辺の前面図である。
【
図17】第3実施例に係る配線カバーの縦断面図である。本図は、切断機本体を直角切り位置に位置させた状態を示している。
【
図18】第3実施例に係る配線カバーの縦断面図である。本図は、切断機本体を右方へ傾動させた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば切断機本体は、傾動動作と異なる方向に揺動動作可能に設けられる。ハンドルが切断機本体の揺動動作と独立してベースに設けられている。従って、切断機本体の揺動姿勢が変更されてもハンドル部がこれとは独立して良好な姿勢に保持される。
【0011】
例えば傾斜切りの場合には切断機本体が切断進行方向に対して左方又は右方に傾動させる。また、例えば刃具の切り込み深さを変更する場合やプランジマルノコの場合には切断機本体の上下揺動位置が変更される。この場合にベースに対する切断機本体の姿勢が変更する。傾動動作は、切断機本体の姿勢を例えば切断進行方向に対して左方又は右方へ傾斜させることであり、揺動動作は切断機本体の姿勢を例えば上下方向に変更させることである。
【0012】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばハンドルがベースに相対移動不能に設けられている。従って、切断機本体の姿勢の変化とは独立してハンドルが常時良好な姿勢に維持される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばハンドルには電動モータの起動用のスイッチレバーが設けられ、ハンドルに隣接してバッテリ取付部が設けられる。従って、バッテリ取付部とスイッチレバーとの間の配線構造が簡略化される。
【0014】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばバッテリ取付部がハンドルに対して相対移動不能に設けられている。従って、バッテリ取付部とハンドルとの間の配線経路が固定されて、配線構造が簡略化される。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばベースと切断機本体との間に電気配線が配索されている。例えばベースには、バッテリ取付部から延出して電気配線を覆う第1ワイヤホルダが設けられる。例えば切断機本体には、電動モータ付近から延出して電気配線を覆う第2ワイヤホルダが設けられる。例えば第1ワイヤホルダと第2ワイヤホルダが、弾性変形可能な介在部材により相互に傾動可能に連結される。例えば介在部材に電気配線が挿通される。
【0016】
従って、ベースと切断機本体との間に配索される電気配線が、第1ワイヤホルダと第2ワイヤホルダと介在部材で覆われる。介在部材により第1ワイヤホルダと第2ワイヤホルダが相互に傾動することで、切断機本体のベースに対する傾動動作が許容される。介在部材が弾性変形することで、切断機本体の傾動動作によっても電気配線が覆われた状態に維持される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばベースと切断機本体との間に電気配線が配索されている。例えばベースには、バッテリ取付部から延出して電気配線を覆う第1ワイヤホルダが設けられる。例えば切断機本体には、電動モータ付近から延出して電気配線を覆う第2ワイヤホルダが設けられる。例えば第1ワイヤホルダと第2ワイヤホルダが、1つの関節構造または多関節構造を有する介在部材により相互に傾動可能に連結される。例えば介在部材に電気配線が挿通される。
【0018】
従って、ベースと切断機本体との間に配索される電気配線が、第1ワイヤホルダと第2ワイヤホルダと介在部材で覆われる。介在部材により第1ワイヤホルダと第2ワイヤホルダが相互に傾動することで、切断機本体のベースに対する傾動動作が許容される。介在部材が1つの関節構造または多関節構造により変形することで、切断機本体の傾動動作によっても電気配線が覆われた状態に維持される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばベースと切断機本体との間に電気配線が配索されている。例えばベースには、バッテリ取付部から延出して電気配線を覆う第1ワイヤホルダが設けられる。例えば切断機本体には、電動モータ付近から延出して電気配線を覆う第2ワイヤホルダが設けられる。例えば第1ワイヤホルダと第2ワイヤホルダの間に介在部材が設けられる。例えば介在部材の第1端部が第1ワイヤホルダに左右方向に傾動可能に連結される。例えば介在部材の第2端が第2ワイヤホルダに連結される。例えば介在部材に電気配線が挿通される。
【0020】
従って、ベースと切断機本体との間に配索される電気配線が、第1ワイヤホルダと第2ワイヤホルダと介在部材で覆われる。第1ワイヤホルダと第2ワイヤホルダが介在部材を介して相互に連結される。介在部材の第1端部が第1ワイヤホルダに左右方向に傾動することで、切断機本体のベースに対する傾動動作が許容される。切断機本体の傾動動作によっても電気配線が覆われた状態に維持される。
【0021】
1つ又がそれ以上の実施態様において、例えば切断機本体は、傾動動作と異なる方向に揺動動作可能に設けられる。例えば介在部材により第1ワイヤホルダと第2ワイヤホルダが相互に揺動可能に連結される。例えば介在部材に対する第2ワイヤホルダの揺動中心が切断機本体の揺動中心に一致している。従って、切断機本体の揺動動作による電気配線の移動を少なくすることができる。
【0022】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばベースには、切断機本体を傾動可能に支持するアンギュラープレートが設けられる。例えば切断機本体は、電動モータを覆うモータハウジングと、電動モータにより回転する刃具を覆う固定カバーを備える。例えばアンギュラープレートとモータハウジングと固定カバーと第2ワイヤホルダにより区画される領域内に介在部材が配置される。従って、介在部材が空きスペースを利用して配置される。これにより携帯用切断機の大形化が回避される。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば介在部材は、切断機本体の傾動動作を許容する傾動介在部材と、切断機本体の揺動動作を許容する揺動介在部材を有する。例えば揺動介在部材は、切断機本体の揺動中心に沿う第1方向に開口する第1揺動開口部と、第1方向と反対の第2方向に開口する第2揺動開口部を有する。第1揺動開口部と第2揺動開口部を経て電気配線が揺動介在部材に挿通される。従って、揺動介在部材における電気配線の経路が簡略化される。
【0024】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば切断機本体は、傾動動作と異なる方向に揺動可能に設けられる。例えば第2ワイヤホルダは、円筒形状でかつ介在部材の揺動開口部に向けて開口する第2ホルダ開口部を有する。例えば介在部材の揺動開口部は、円筒形状で第2ワイヤホルダの第2ホルダ開口部に回転可能に連結される。従って、電気配線の変位を抑制しつつ第2ワイヤホルダが介在部材の揺動開口部に回転可能に連結される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば第1ワイヤホルダは、介在部材に向けて開口する第1ホルダ開口部を有する。例えば第1ワイヤホルダの第1ホルダ開口部を経て電気配線が介在部材に挿通される。従って、切断機本体の傾動動作に伴う電気配線の変位が抑制されて、第1ワイヤホルダと介在部材との間の配線経路の簡略化が図られる。
【0026】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば介在部材は、一端に第1傾動開口部を有し、他端に第2傾動開口部を有する横向きU字形を有する。例えば第1傾動開口部と第2傾動開口部を経て電気配線が介在部材に挿通されている。従って、切断機本体の傾動動作による電気配線の捩じれが抑制される。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば介在部材の第1端部は、円筒状で、第1ワイヤホルダに埋設されて介在部材の傾動中心を構成する。従って、第1ワイヤホルダに埋設された円筒状の第1端部を中心にして介在部材が左右に傾動する。
【0028】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば第1端部に電気配線が挿通される開口部が設けられる。例えば開口部は、切断機本体の全傾動範囲において第1ワイヤホルダに覆われる。従って、切断機本体の全傾動範囲において第1ワイヤホルダから電気配線が露出されることがない。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば介在部材の配線経路の途中に拡幅部が設けられる。従って、電気配線の配索作業の便宜が図られる。
【0030】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば切断機本体は、傾動操作時に把持する把持部を有する。従って、切断機本体の傾動操作時の操作性が高められる。
【実施例0031】
図面には携帯用切断機1の一例として、刃具に丸鋸刃の一種であるチップソー(tipped saw blade)が使用される携帯マルノコが示されている。
図1~4に示すように第1実施例の携帯用切断機1は、矩形平板形のベース10と、ベース10の上面側に支持された切断機本体20を備えている。ベース10はアルミニウムダイキャスト合金などの軽金属が材質とされている。図中に示すように以下の説明では切断加工が進行する方向を前方とする。使用者は携帯用切断機1の後方に位置して携帯用切断機1を前方へ移動操作することで切断加工がなされる。従って前方が切断加工が進行する方向(切断進行方向)に相当する。上下方向及び左右方向については使用者を基準とする。
【0032】
ベース10の下面側に被切断材Wが当接される。ベース10の上面に使用者が把持するハンドル30とバッテリ取付部40が設けられている。ハンドル30とバッテリ取付部40は切断機本体20の左側に配置される。ベース10の上面にハンドル台座部11が設けられている。ハンドル台座部11の上部に山形に屈曲するハンドル30が設けられる。ハンドル30はハンドル台座部11の上面前部から上面後部に跨って配置されている。ハンドル30の下面にトリガ形式のスイッチレバー31が設けられる。スイッチレバー31の上方にスイッチ本体32が内装されている。ハンドル30を把持した手の指先でスイッチレバー31を上方へ引き操作するとスイッチ本体32がオンして切断機本体20側に電源が供給される。スイッチレバー31及びスイッチ本体32は切断機本体20の起動スイッチに相当する。
【0033】
ハンドル台座部11の左側部にバッテリ取付部40が設けられる。
図8に示すようにバッテリ取付部40には、正負の接続端子41,42と上下一対のガイドレール43,44が設けられている。上下のガイドレール43,44間に接続端子41,42が配置されている。バッテリ取付部40に対してバッテリパック45を前方へスライドさせることでバッテリパック45がバッテリ取付部40に取り付けられる。バッテリパック45は接続端子41,42により電気的にバッテリ取付部40に取り付けられる。バッテリパック45はガイドレール43,44により機械的にバッテリ取付部40に取り付けられる。バッテリパック45はアンロックボタン45aを押し下げることで後方へスライドさせてバッテリ取付部40から取り外すことができる。
【0034】
切断機本体20は、ベース10の上面に左右に傾動可能且つ上下に揺動可能に支持されている。切断機本体20は電動モータ21により回転する円盤形のチップソーと称される刃具22を備えている。電動モータ21は円筒形のモータハウジング21aに内装されている。ハンドル30のスイッチレバー31を引き操作すると電動モータ21が起動する。電動モータ21はバッテリ取付部40に取り付けたバッテリパック45の電力を電源として起動する。電動モータ21はDCブラシレスモータである。
【0035】
モータハウジング21aの上部に本体ハウジング27が設けられている。本体ハウジング27にコントローラ26が内装されている。コントローラ26には電動モータ21へ電力供給する電源回路及び動作制御をするための制御回路を含む制御基板が内装されている。コントローラ26の制御基板には、電動モータ21のセンサ基板で検知された回転子の位置情報に基づいて制御信号を送信するマイコンからなる制御回路が搭載されている。また、コントローラ26の制御基板には、この制御回路から受信した制御信号に基づいて電動モータ21の電流をスイッチングするFETからなる駆動回路が搭載されている。また、コントローラ26の制御基板には、バッテリパック45の状態の検出結果に応じて過放電又は過電流状態とならないように電動モータ21への電力供給を遮断するオートストップ回路等が搭載されている。
【0036】
刃具22の上部側は固定カバー23により覆われている。刃具22の下部側がベース10の下面側に突き出される。刃具22の突き出し部分が被切断材Wに切り込まれる。ベース10の下面側へ突き出された刃具22の周囲は可動カバー25により覆われる。
【0037】
ベース10の上面前部には、1つのアンギュラープレート12が上方へ起立する状態に設けられている。アンギュラープレート12の後面には1つの支持ブラケット13が支持されている。支持ブラケット13は、本体傾動支軸14を介して左右に傾動可能に支持されている。支持ブラケット13の右側部には二股形の揺動支持部13aが設けられている。
【0038】
固定カバー23の前部に揺動台座部24が一体に設けられている。揺動台座部24が支持ブラケット13の揺動支持部13aに本体揺動支軸15を介して連結されている。これにより切断機本体20が本体揺動支軸15の軸線(揺動軸線J2)を中心にして上下に揺動可能に支持されている。また、支持ブラケット13が本体傾動支軸14の軸線(傾動軸線J1)を中心にして左右に傾動されることで、切断機本体20が本体傾動支軸14を中心にして左右の傾動姿勢が変化する。
【0039】
支持ブラケット13の左右傾動位置は、固定レバー16を締め込み方向に回動操作することで固定される。固定レバー16を締め込み方向に回動操作することで固定ねじ16aが支持ブラケット13に対して締め込まれる。これにより支持ブラケット13の傾動位置が固定される。固定ねじ16aは傾動軸線J1を中心とする円弧形の溝孔12aに挿通されている。
【0040】
図3に示すように切断機本体20の後部は、デプスガイド17を介してベース10に支持されている。前部側の本体揺動支軸15を中心にして切断機本体20を上下に揺動させると、切断機本体20の後部側が高さ方向に変位する。固定カバー23の左側部に固定ねじ18aが締め込まれることで、デプスガイド17に対する固定カバー23の位置が固定される。これによりベース10に対する切断機本体20の後部側の高さ方向の位置が固定される。固定ねじ18aの締め込み、緩めは固定レバー18の上下回動操作によりなされる。
図2,3に示すようにデプスガイド17の下部は、ベース10の上面に対して本体傾動支軸14と同軸の支軸17aを介して左右に傾動可能に支持されている。このためデプスガイド17は切断機本体20と一体で左右に傾動可能となっている。
【0041】
切断機本体20が
図1~4に示す直角切り姿勢(被切断材Wに対して刃具22を直角に切り込ませる姿勢)から、例えば
図5,6に示すように右方へ約56°傾動されることで被切断材Wに対する刃具22の切り込み角度が変化していわゆる傾斜切り(bevel cut)を行うことができる。固定カバー23の上部後よりにカバーグリップ28が設けられている。カバーグリップ28は刃具22の径方向外側に突出している。カバーグリップ28の先端は略直角形状に形成されたT字形となっており、その先端部を把持する。切断機本体20を傾動させるときには、カバーグリップ28を把持し、カバーグリップ28を把持した手を動かすことにより行われる。カバーグリップ28は傾動動作の中心から遠い位置になるので、軽い荷重で切断機本体20の傾動動作を操作することが可能となる。これにより使用者の傾動操作時の負担が低減される。
【0042】
切断機本体20が本体揺動支軸15を中心にして上下に揺動させることで刃具22のベース10の下面からの突き出し量が変化する。刃具22のベース10の下面からの突き出し量が被切断材Wに対する刃具22の切り込み深さに相当する。例えば
図1,2,4に示すように切断機本体20が最も下方に位置されることで刃具22の切り込み深さが最大に設定される。
図7に示すように切断機本体20が上方に保持されることで刃具22の切り込み深さが浅く設定される。
【0043】
図1~3に示すようにベース10の上面前部付近で左側部には、サブグリップ19が設けられている。サブグリップ19は、電動モータ21の前方に位置される。使用者は、一方の手でハンドル30を把持し、他方の手でサブグリップ19を把持することができる。使用者は両手で携帯用切断機1の移動操作をすることができる。
図6~8ではベース10の上面からサブグリップ19が取り外された状態で示されている。
【0044】
ハンドル30とバッテリ取付部40とサブグリップ19は、ベース10に固定して設けられている。このため切断機本体20の左右傾動姿勢や上下の揺動姿勢とは独立して、ハンドル30とバッテリ取付部40とサブグリップ19の位置及び姿勢が保持される。これにより、切断機本体20の左右傾動姿勢や上下の揺動姿勢に関わらず使用者の移動操作のための姿勢(移動操作性)が安定化される。
【0045】
ベース10と切断機本体20との間には電気配線2が配索される。電気配線2を経て、ベース10側のバッテリ取付部40やスイッチ本体32と、切断機本体20のコントローラ26が電気的に接続されている。このため切断機本体20の左右傾動姿勢や上下の揺動姿勢の変化により、電気配線2の配索経路(取り回し経路)が変位する。ベース10と切断機本体20のコントローラ26との間において電気配線2の配索経路には配線カバー50が設けられている。電気配線2は配線カバー50で覆われることでその粉塵対策がなされている。
【0046】
図6~8に示すように配線カバー50は、第1ワイヤホルダ51と第2ワイヤホルダ52と介在部材56を有する。介在部材56は傾動介在部材53と揺動介在部材54を有する。第1ワイヤホルダ51と第2ワイヤホルダ52と傾動介在部材53と揺動介在部材54は、材質として合成樹脂が用いられている。これにより、電気配線2の絶縁が保たれている。電気配線2は、ハンドル台座部11の下部付近から引き出されてベース10の上面に沿って配索される。ハンドル台座部11は、ベース10の上面に長方形形状に形成された枠部10bの上端に当接して設けられている。電気配線2は、ハンドル台座部11の下部付近から枠部10b内に引き出される。ベース10の上面には、ハンドル台座部11の下部付近からアンギュラープレート12の下部付近に至る経路で第1ワイヤホルダ51が取り付けられている。第1ワイヤホルダ51は上ホルダ部51cと下ホルダ部51dを上下に突き合わせた筒形構造を有する。第1ワイヤホルダ51はベース10の上面に前後方向に細長い1対のリブに挟まれた溝部10a内に遊挿される。
【0047】
第1ワイヤホルダ51は前部に矩形の第1ホルダ開口部51aを有する。第1ワイヤホルダ51の後部には矩形の接続口51bが設けられている。接続口51bがハンドル台座部11の内部に接続される。接続口51bを経て電気配線2がハンドル台座部11から第1ワイヤホルダ51内に配索される。第1ワイヤホルダ51によりベース10の上面側の配索経路において電気配線2が覆われている。
【0048】
切断機本体20側において、コントローラ26に接続された電気配線2は本体ハウジング27(電動モータ21付近)から引き出されてアンギュラープレート12付近に至る経路で配索される。
図1,3に示すように本体ハウジング27の前部からモータハウジング21aの前方に至る経路で第2ワイヤホルダ52が延在されている。第2ワイヤホルダ52は、上ホルダ部52bと下ホルダ部52cを上下に突き合わせた筒形構造を有する。第2ワイヤホルダ52は前部に円筒形の第2ホルダ開口部52aを有する。第2ワイヤホルダ52により切断機本体20側の配索経路において電気配線2が覆われている。
【0049】
第1ワイヤホルダ51はベース10の上面に固定されている。第2ワイヤホルダ52は切断機本体20に固定されている。このためベース10に対して切断機本体20が左右に傾動され、若しくは上下に揺動されると、第1ワイヤホルダ51と第2ワイヤホルダ52の相対位置が変化する。第1ワイヤホルダ51と第2ワイヤホルダ52の相対位置の変化が傾動介在部材53と揺動介在部材54により吸収される。
【0050】
図9~11に示すように傾動介在部材53は、ゴムなどの弾性樹脂を材質とする弾性変形可能な角形筒体で、下部に第1傾動開口部53aを有し、上部に第2傾動開口部53bを有する横向きU字形を有する。第1傾動開口部53aと第2傾動開口部53bはそれぞれ矩形に開口されている。第1傾動開口部53aと第2傾動開口部53bを経て電気配線2が傾動介在部材53に覆われている。
【0051】
傾動介在部材53の下側の第1傾動開口部53aに第1ワイヤホルダ51の第1ホルダ開口部51aが接続されている。第1ホルダ開口部51aと第1傾動開口部53aを経て電気配線2が第1ワイヤホルダ51と傾動介在部材53とに跨って配索されている。
【0052】
傾動介在部材53は上側の第2傾動開口部53b側を上下に変位させる方向(上下伸縮方向)に弾性変形可能に設けられている。傾動介在部材53は、切断機本体20の左右傾動動作に伴って上下に弾性変形する。傾動介在部材53の上側の第2傾動開口部53bに揺動介在部材54が接続されている。第2傾動開口部53bは、揺動介在部材54の下側の第1揺動開口部54aに接続されている。第2傾動開口部53bと第1揺動開口部54aを経て電気配線2が傾動介在部材53と揺動介在部材54とに跨って配索されている。
【0053】
揺動介在部材54は、切断機本体20の揺動軸線J2に沿う第1方向(右方)に開口する第1揺動開口部54aと、第1方向と反対の第2方向(左方)に開口する第2揺動開口部54bを有する。第2揺動開口部54bは第1揺動開口部54aの上方に位置する。従って、揺動介在部材54の内部は概ねクランク形に屈曲している。下側の第1揺動開口部54aは刃具22側に開口し、上側の第2揺動開口部54bは反刃具22側に開口している。第1揺動開口部54aと第2揺動開口部54bを経て電気配線2が揺動介在部材54に挿通される。これにより、揺動介在部材54における電気配線2の配索経路が簡略化される。
【0054】
揺動介在部材54は、1つの固定ねじ55により支持ブラケット13の取付部13bに結合されている。このため、揺動介在部材54は、切断機本体20の左右傾動動作に伴って支持ブラケット13と一体で変位する。
【0055】
図3に示すように揺動介在部材54は、平面的に見てアンギュラープレート12とモータハウジング21aと固定カバー23と第2ワイヤホルダ52により区画されるコンパクトな領域内に配置される。揺動介在部材54は通常発生する空きスペースを利用して配置される。これにより携帯用切断機1の大形化を招くことなく電気配線2のコンパクトな配索経路が実現される。
【0056】
揺動介在部材54の下側の第1揺動開口部54aは矩形に開口されている。揺動介在部材54の上側の第2揺動開口部54bは円筒形に開口されている。第2揺動開口部54bの中心軸線は、切断機本体20の揺動軸線J2に一致している。第2揺動開口部54bに、第2ワイヤホルダ52の第2ホルダ開口部52aが同軸に連結されている。このため第2ワイヤホルダ52は、第2揺動開口部54bに対して揺動軸線J2回りに相対回転可能に連結されている。切断機本体20の上下揺動動作に伴って第2ワイヤホルダ52が揺動介在部材54に対して揺動軸線J2回りに回転する。
【0057】
第2揺動開口部54bと第2ホルダ開口部52aを経て電気配線2が揺動介在部材54と第2ワイヤホルダ52とに跨って配索されている。このようにベース10と切断機本体20との間に配索される電気配線2が、第1ワイヤホルダ51と傾動介在部材53と揺動介在部材54と第2ワイヤホルダ52により覆われている。傾動介在部材53は上下に弾性変形可能であることで、切断機本体20の左右傾動動作に伴って変位する電気配線2が配線カバー50で覆われた状態に保持される。また、揺動介在部材54に対して第2ワイヤホルダ52が揺動軸線J2回りに回転可能に連結されていることで、切断機本体20の上下揺動動作に伴って変位する電気配線2が配線カバー50で覆われた状態に保持される。
【0058】
以上説明した第1実施例の携帯用切断機1によれば、ハンドル30が切断機本体20から分離されてベース10側に設けられている。このため、切断機本体20の姿勢とは独立してハンドル30を位置させることができる。これにより切断機本体20の左右方向の傾動姿勢を変更した場合や刃具22の切り込み深さを変更するために切断機本体20の上下揺動位置を変更した場合にも、ハンドル30に対する使用者の把持姿勢は良好に維持されてハンドル30の移動操作性が良好に維持される。
【0059】
第1実施例によれば、ハンドル30がベース10に相対移動不能に設けられている。従って、切断機本体20の姿勢の変化とは独立してハンドル30が常時良好な姿勢に維持される。
【0060】
第1実施例によれば、ハンドル30には電動モータ21の起動用のスイッチレバー31が設けられ、ハンドル30に隣接してバッテリ取付部40が設けられる。従って、バッテリ取付部40とスイッチレバー31との間の配線構造が簡略化される。
【0061】
第1実施例によれば、バッテリ取付部40がハンドル30に対して相対移動不能に設けられている。従って、バッテリ取付部40とハンドル30との間の配線経路が固定されて、配線構造が簡略化される。
【0062】
第1実施例によれば、ベース10と切断機本体20との間に電気配線2が配索されている。ベース10には、バッテリ取付部40から延出して電気配線2を覆う第1ワイヤホルダ51が設けられる。切断機本体20には、電動モータ21付近から延出して電気配線2を覆う第2ワイヤホルダ52が設けられる。第1ワイヤホルダ51と第2ワイヤホルダ52が、弾性変形可能な傾動介在部材53により相互に傾動可能に連結されている。
【0063】
従って、ベース10と切断機本体20との間に配索される電気配線2が、第1ワイヤホルダ51と第2ワイヤホルダ52と傾動介在部材53で覆われる。傾動介在部材53により第1ワイヤホルダ51と第2ワイヤホルダ52が相互に傾動することで、切断機本体20のベース10に対する傾動動作が許容される。傾動介在部材53が弾性変形することで、切断機本体20の傾動動作によっても電気配線2が覆われた状態に維持される。
図5,6には、横向きU字形の傾動介在部材53の第2傾動開口部53bが揺動介在部材54と一体で上方へ変位して傾動介在部材53が開き方向に弾性変形した状態が示されている。
【0064】
第1実施例によれば、携帯用切断機1は、第1ワイヤホルダ51と第2ワイヤホルダ52を相互に揺動可能に連結する揺動介在部材54を有する。揺動介在部材54に対する第2ワイヤホルダ52の揺動中心が切断機本体20の揺動中心(揺動軸線J2)に一致している。従って、切断機本体20の揺動動作による電気配線の移動を少なくすることができる。
【0065】
第1実施例によれば、ベース10には、切断機本体20を傾動可能に支持するアンギュラープレート12が設けられる。切断機本体20は、電動モータ21を覆うモータハウジング21aと、電動モータ21により回転する刃具22を覆う固定カバー23を備える。アンギュラープレート12とモータハウジング21aと固定カバー23と第2ワイヤホルダ52により区画される領域内に揺動介在部材54が配置される。従って、揺動介在部材54が空きスペースを利用して配置される。これにより携帯用切断機1の大形化が回避される。
【0066】
第1実施例によれば、揺動介在部材54は、切断機本体20の揺動軸線J2に沿う第1方向(右方)に開口する第1揺動開口部54aと、第1方向と反対の第2方向(左方)に開口する第2揺動開口部54bを有する。第1揺動開口部54aと第2揺動開口部54bを経て電気配線2が揺動介在部材54に挿通される。従って、揺動介在部材54における電気配線2の経路が簡略化される。
【0067】
第1実施例によれば、第2ワイヤホルダ52は、円筒形状でかつ揺動介在部材54の第2揺動開口部54bに向けて開口する第2ホルダ開口部52aを有する。揺動介在部材54の第2揺動開口部54bは、円筒形状で第2ワイヤホルダ52の第2ホルダ開口部52aに回転可能に連結される。これにより、電気配線2の変位を抑制しつつ第2ワイヤホルダ52が揺動介在部材54の第2揺動開口部54bに回転可能に連結される。
【0068】
第1実施例によれば、第1ワイヤホルダ51は、揺動介在部材54の第1揺動開口部54aに向けて開口する第1ホルダ開口部51aを有する。第1ワイヤホルダ51の第1ホルダ開口部51aから傾動介在部材53を介して揺動介在部材54の第1揺動開口部54aを経て電気配線2が揺動介在部材54に挿通される。これにより、切断機本体20の傾動動作に伴う電気配線2の変位が抑制されて、第1ワイヤホルダ51と揺動介在部材54との間の配線経路の簡略化が図られる。
【0069】
第1実施例によれば、傾動介在部材53は、一端に第1傾動開口部53aを有し、他端に第2傾動開口部53bを有する横向きU字形を有する。傾動介在部材53の第1傾動開口部53aと第2傾動開口部53bを経て電気配線2が傾動介在部材53に挿通されている。これにより、切断機本体20の傾動動作による電気配線2の捩じれが抑制される。
【0070】
以上説明した実施例には種々変更を加えることができる。
図12,13に第2実施例の携帯用切断機60が示されている。第2実施例の携帯用切断機60は第1実施例の配線カバー50とは異なる配線カバー70を備える。第1実施例と同じ部材及び構成については同位の符合を用いてその説明を省略する。
【0071】
また、第2実施例は、第1実施例のサブグリップ19とは異なるサブグリップ61を備える。
図12に示すように第2実施例のサブグリップ61は切断機本体20側に設けられている。このため、ハンドル30に対するサブグリップ61の相対位置は変化する。ベース10に対するサブグリップ61の位置は、切断機本体20の左右方向の傾動姿勢や上下方向の揺動姿勢の変化によって変化する。第2実施例でも、一方の手でハンドル30を把持し、他方の手のサブグリップ61を把持して携帯用切断機60の移動操作を行うことができる。
図13ではサブグリップ61の図示が省略されている。
【0072】
第2実施例の携帯用切断機でも、ベース10にハンドル30とバッテリ取付部40が設けられ、切断機本体20に電動モータ21とコントローラ26が設けられる。ベース10と切断機本体20との間の電気配線2が配線カバー70により覆われる。
【0073】
第2実施例の配線カバー70は、第1ワイヤホルダ71と第2ワイヤホルダ72と介在部材75を有する。介在部材75は、傾動介在部材73と揺動介在部材74を有する。傾動介在部材73は、第1部材73aと第2部材73bと第3部材73cを含む多関節構造を有する。
【0074】
第1ワイヤホルダ71はベース10の上面に沿って固定される。第1ワイヤホルダ71の後部はハンドル台座部11に結合されている。スイッチ本体32やバッテリ取付部40に結線された電気配線2がハンドル台座部11から第1ワイヤホルダ71の内部に配索される。
【0075】
第2ワイヤホルダ72は切断機本体20の例えば揺動台座部24の上面に沿って固定される。第2ワイヤホルダ72の後部は本体ハウジング27(電動モータ21付近)に結合されている。コントローラ26及び電動モータ21に結線された電気配線2が本体ハウジング27から第2ワイヤホルダ72の内部に配索される。
【0076】
第1ワイヤホルダ71の前部に傾動介在部材73の第1部材73aが連結される。第1ワイヤホルダ71の前部に円筒形の開口71aが設けられる。第1部材73aの一端側に円筒形の開口73dが設けられる。第1ワイヤホルダ71の開口71aに第1部材73aの開口73dが回転可能に連結される。これにより第1部材73aは第1ワイヤホルダ71の前部に上下に揺動可能に連結される。第1部材73aは第1ワイヤホルダ71の前部から主として右方に延在される。開口71aと開口73dを経て電気配線2が第1ワイヤホルダ71の内部から第1部材73aの内部に配索される。
【0077】
第1部材73aの他端側に円筒形の開口73eが設けられる。第2部材73bの一端側に円筒形の開口73fが設けられる。第1部材の開口73eに第2部材73bの開口73fが回転可能に連結される。これにより第2部材73bは第1部材73aの他端側に上下に揺動可能に連結される。第2部材73bは第1部材73aの他端側から主として上方に延在される。開口73eと開口73fを経て電気配線2が第1部材73aの内部から第2部材73bの内部に配索される。
【0078】
第2部材73bの他端側に円筒形の開口73gが設けられる。第3部材73cの一端側に円筒形の開口73hが設けられる。第2部材73bの開口73gに第3部材73cの開口73hが回転可能に連結される。これにより第3部材73cは第2部材73bの他端側に上下に揺動可能に連結される。第3部材73cは第2部材73bの他端側から主として右方に延在される。開口73gと開口73hを経て電気配線2が第2部材73bの内部から第3部材73cの内部に配索される。
【0079】
第3部材73cの他端側の前面に揺動介在部材74が一体に設けられている。揺動介在部材74の内部は第3部材73cの内部に連通されている。第3部材73cの内部から揺動介在部材74の内部に至って電気配線2が配索される。
【0080】
揺動介在部材74の上部左側部に円筒形の開口74aが設けられる。第2ワイヤホルダ72の前部右側部に円筒形の開口72aが設けられる。揺動介在部材74の開口74aに第2ワイヤホルダ72の開口72aが回転可能に連結される。これにより揺動介在部材74の上部に第2ワイヤホルダ72の前部が上下に揺動可能に連結される。開口74aと開口72aを経て電気配線2が揺動介在部材74の内部から第2ワイヤホルダ72の内部に配索される。
【0081】
揺動介在部材74の開口74aの中心軸線と第2ワイヤホルダ72の開口72aの中心軸線は、切断機本体20の揺動軸線J2に一致している。このため第1実施例と同じく第2ワイヤホルダ72の揺動介在部材74に対する揺動軸線は、切断機本体20のベース10に対する揺動軸線J2に一致している。これにより電気配線2の配索経路の簡略化が図られる。
【0082】
第2実施例によれば、ベース10に対する切断機本体20の姿勢(左右の傾動位置若しくは上下の揺動位置)が変更されても、切断機本体20の姿勢とは独立してハンドル30を位置させることができる。これによりハンドル30の移動操作性が良好に維持されて、使用者は楽な姿勢で携帯用切断機60の移動操作を行うことができる。
【0083】
第2実施例によれば、ベース10と切断機本体20との間に電気配線2が配索されている。ベース10には、バッテリ取付部40から延出して電気配線2を覆う第1ワイヤホルダ71が設けられる。切断機本体20には、電動モータ21付近から延出して電気配線2を覆う第2ワイヤホルダ72が設けられる。第1ワイヤホルダ71と第2ワイヤホルダ72が、多関節構造を有する傾動介在部材73により相互に傾動可能に連結される。傾動介在部材に電気配線2が挿通される。
【0084】
従って、ベース10と切断機本体20との間に配索される電気配線2が、第1ワイヤホルダ71と第2ワイヤホルダ72と傾動介在部材73で覆われる。多関節構造の傾動介在部材73により第1ワイヤホルダ71と第2ワイヤホルダ72が相互に傾動することで、切断機本体20のベース10に対する傾動動作が許容される。傾動介在部材73が多関節構造により変形することで、切断機本体20の傾動動作によっても電気配線2が覆われた状態に維持される。
【0085】
図14~18に第3実施例の携帯用切断機80が示されている。第3実施例の携帯用切断機80は第1、第2実施例の配線カバー50,70とは異なる配線カバー90を備える。第1、第2実施例と同じ部材及び構成については同位の符合を用いてその説明を省略する。
【0086】
第3実施例の携帯用切断機80は、ベース10上にハンドル台座部11とサブグリップ19を備える。ハンドル台座部11の上部にハンドル30を有する。ハンドル台座部11の左側部にバッテリ取付部40が設けられている(
図8参照)。切断機本体20に電動モータ21とコントローラ26が設けられる。ベース10と切断機本体20との間の電気配線2が配線カバー90により覆われる。
図14では省略されているが、切断機本体20の固定カバー23には主として切断機本体20の傾動操作時に把持するカバーグリップ28が設けられている(
図1~7参照)。
【0087】
図14~16に示すように第2実施例の配線カバー90は、第1ワイヤホルダ91と第2ワイヤホルダ92と介在部材93を有する。第1ワイヤホルダ91はベース10の上面に沿って固定される。第1ワイヤホルダ91の後部はハンドル台座部11に結合されている。スイッチ本体32やバッテリ取付部40に結線された電気配線2がハンドル台座部11から第1ワイヤホルダ91の内部に配索される。
【0088】
第2ワイヤホルダ92は切断機本体20の例えば揺動台座部24の上面に沿って固定される。第2ワイヤホルダ92の後部は本体ハウジング27(電動モータ21付近)に結合されている。コントローラ26及び電動モータ21に結線された電気配線2が本体ハウジング27から第2ワイヤホルダ92の内部に配索される。
【0089】
第1ワイヤホルダ91と第2ワイヤホルダ92の間に介在部材93が介在されている。介在部材93は中空の筒形状を有する。介在部材93は樹脂製で、第3実施例では例えば前後半割り構造を有する。前後の半割り部が2か所で相互にねじ結合されて一体の介在部材93が構成されている。図では2か所のねじ結合部が符号95で示されている。
【0090】
介在部材93の内部に電気配線2が配索される。介在部材93によっても電気配線2が覆われる。介在部材93は、第1ワイヤホルダ91側の端部に第1端部93aを有し、第2ワイヤホルダ92側の端部に第2端部93bを有する。第1端部93aが第1ワイヤホルダ91に対する傾動連結部として機能し、第2端部93bが第2ワイヤホルダ92に対する揺動連結部として機能する。
【0091】
図15,17に示すように介在部材93の第1端部93aは円筒形状を有している。第1端部93aは、第1ワイヤホルダ91の右端部上面に設けた第1ホルダ開口部91aに埋設されている。
図15に示すように第1端部93aの前後面にはそれぞれ軸部93fが相互に同軸に突き出されている。前後の軸部93fが第1ホルダ開口部91aの前後縁部に乗せかけられた状態で第1端部93aが第1ホルダ開口部91a内に埋設されている。
【0092】
第1端部93aは軸部93fの軸線を前後方向(
図16の紙面に直交する方向)に沿わせた向きで第1ホルダ開口部91aに連結されている。これにより介在部材93が第1ワイヤホルダ91に対して左右に(第1端部93aの軸部93fの軸線周りに)回動可能に連結されている。介在部材93の回動中心(軸部93fの軸線)は、切断機本体20の傾動軸線J1(本体傾動支軸14)に一致している。
【0093】
第1端部93aの側部に電気配線2が挿通される開口部93cが設けられている。開口部93cを経て電気配線2が第1ワイヤホルダ91の内部から介在部材93の内部に配索される。開口部93cは第1端部93aの全回動範囲(切断機本体20の全傾動範囲)において第1ホルダ開口部91aから外部に露出されない。このため電気配線2は第1ワイヤホルダ91に対する介在部材93の傾動連結部において常時配線カバー90に覆われた状態となる。
【0094】
介在部材93の配線経路の途中に拡幅部93dが設けられている。第3実施形態では、第1端部93aにほぼ隣接して拡幅部93dが設けられている。拡幅部93dにより内部スペースが拡幅されることで電気配線2の配索作業の作業性が高められる。
【0095】
介在部材93の第2端部93bは円筒形の揺動開口部93eを有する。揺動開口部93eが第2ワイヤホルダ92の第2ホルダ開口部92aに相対回転可能に連結されている。第2ホルダ開口部92aに対する揺動開口部93eの回転軸線は切断機本体20の揺動軸線J2に一致している。介在部材93は、固定ねじ94により支持ブラケット13の取付部13bに結合されている。これにより介在部材93は支持ブラケット13と一体(切断機本体20と一体)で左右に傾動する。
【0096】
第3実施例によれば、ベース10に対する切断機本体20の姿勢が変更されても、ハンドル30が把持しやすい姿勢に保持されることで、携帯用切断機80の移動操作性が良好に維持される。
【0097】
第3実施例によれば、ベース10と切断機本体20との間に配索される電気配線2が、第1ワイヤホルダ91と第2ワイヤホルダ92と介在部材93を有する配線カバー90で覆われる。第1ワイヤホルダ91と第2ワイヤホルダ92が介在部材93を介して相互に連結される。介在部材93の第1端部93aが第1ワイヤホルダ91に左右方向に傾動することで、切断機本体20のベース10に対する傾動動作が許容される。切断機本体20の傾動動作によっても電気配線2が配線カバー90で覆われた状態に維持される。
【0098】
第3実施例によれば、介在部材93により第1ワイヤホルダ91と第2ワイヤホルダ92が相互に揺動可能に連結される。介在部材93に対する第2ワイヤホルダ92の揺動中心が切断機本体20の揺動軸線J2に一致している。従って、切断機本体20の揺動動作による電気配線2の移動を少なくすることができる。
【0099】
第3実施例によれば、アンギュラープレート12とモータハウジング21aと固定カバー23と第2ワイヤホルダ92により区画される領域内に介在部材93が配置される。従って、介在部材93が空きスペースを利用して配置される。これにより携帯用切断機80の大形化が回避される。
【0100】
第3実施例によれば、切断機本体20は、傾動動作と異なる方向に揺動可能に設けられる。第2ワイヤホルダ92は、円筒形状でかつ介在部材93の揺動開口部93eに向けて開口する第2ホルダ開口部92aを有する。介在部材93の揺動開口部93eは、円筒形状で第2ワイヤホルダ92の第2ホルダ開口部92aに回転可能に連結される。従って、電気配線2の変位を抑制しつつ第2ワイヤホルダ92が介在部材93の揺動開口部93eに回転可能に連結される。
【0101】
第3実施例によれば、第1ワイヤホルダ91は、介在部材93に向けて開口する第1ホルダ開口部91aを有する。第1ワイヤホルダ91の第1ホルダ開口部91aを経て電気配線2が介在部材93に挿通される。従って、切断機本体20の傾動動作に伴う電気配線2の変位が抑制されて、第1ワイヤホルダ91と介在部材93との間の配線経路の簡略化が図られる。
【0102】
第3実施例によれば、介在部材93は、一端に第1端部93aを有し、他端に第2端部93bを有する一体形状を有する。第1端部93aに開口部93cが設けられ、第2端部93bに揺動開口部93eが設けられている。第1端部93aの開口部93cと第2端部93bの揺動開口部93eを経て電気配線2が介在部材93に挿通されている。従って、切断機本体20の傾動動作又は揺動動作による電気配線2の捩じれが抑制される。
【0103】
第3実施例によれば、介在部材93の第1端部93aは、円筒状で、第1ワイヤホルダ91に埋設されて第1ワイヤホルダ91の傾動中心(傾動連結部)を構成する。従って、第1ワイヤホルダ91に埋設された円筒状の第1端部93aを中心にして介在部材93が左右に傾動する。
【0104】
第3実施例によれば、第1端部93aに電気配線2が挿通される開口部93cが設けられる。開口部93cは、切断機本体20の全傾動範囲において第1ワイヤホルダ91に覆われる。従って、切断機本体20の全傾動範囲において第1ワイヤホルダ91から電気配線2が露出されることがない。
【0105】
第3実施例によれば、介在部材93の配線経路の途中に拡幅部93dが設けられる。これにより電気配線2の配索作業の便宜が図られる。
【0106】
以上説明した第1、第2、第3実施例にはさらに変更を加えることができる。例えば切断機本体20の上下揺動位置(刃具22の切り込み深さ)を固定した状態で移動操作して切断加工を行う形態の切断機を例示したが、切断機本体を下方へ揺動させて刃具を切り込ませるいわゆるプランジ形の切断機(Plunge-cut saw)について例示したハンドル分離構造及び配線カバーを適用することができる。
【0107】
第1、第2、第3実施例では、バッテリパック45を電源として取り付け可能な充電式の携帯用切断機1,60を例示したが、交流電源式の携帯用切断機についても例示したハンドル分離構造及び配線カバーを適用することができる。
【0108】
切断機本体20を左右へ傾動可能かつ上下に揺動可能に支持した携帯用切断機1,60,80を例示したが、切断機本体を例えば左右方向へのみ傾動可能な携帯用切断機について例示したハンドル分離構造及び各形態の配線カバー構造を適用できる。揺動方向は例えば左右方向への傾動動作とは異なる方向への変位動作である場合も同様に適用できる。
【0109】
揺動介在部材54,74と第2ワイヤホルダ52,72の回転中心(第1、第2実施例)、及び第2端部93bと第2ワイヤホルダ92の回転中心(第3実施例)を揺動軸線J2に一致させる構成を例示したが、若干の芯ずれは許容される。この場合、例えば揺動介在部材あるいは第2端部を弾性変形させることで芯ずれを吸収することができる。
【0110】
第1、第2実施例において切断機本体20の揺動軸線J2と同軸の回転軸線で揺動介在部材54,74と第2ワイヤホルダ52,72が連結される構成を例示したが、傾動介在部材53と同じく横向きU字形をなし弾性変形可能な揺動介在部材に変更してもよい。
【0111】
第1、第2実施例において傾動介在部材53,73と揺動介在部材54,74は、ジャバラ形式のカバー体や可撓性を有する袋状のカバー体に変更してもよい。
【0112】
第1、第2実施例において傾動介在部材53,73と揺動介在部材54,74の双方を有する構成を例示したが、傾動介在部材53,73のみ、または揺動介在部材54,74のみとしてもよい。
【0113】
第2実施例では、第1~第3部材73a,73b,73cを含む3つの関節構造を例示したが、例えば第2、第3部材73b,73cを省略し、若しくは弾性カバー体に変更する等して少なくとも1つの関節構造に置き換えることができる。より関節数の多い多関節構造に置き換えることもできる。
【0114】
第1実施例の携帯用切断機1、第2実施例の携帯用切断機60、第3実施例の携帯用切断機80が本開示の1つの局面における携帯用切断機の一例である。第1、第2、第3実施例の被切断材Wが本開示の1つの局面における被切断材の一例である。第1、第2、第3実施例のベース10が本開示の1つの局面におけるベースの一例である。第1、第2、第3実施例の電動モータ21が本開示の1つの局面における電動モータの一例である。
【0115】
第1、第2、第3実施例の切断機本体20が本開示の1つの局面における切断機本体の一例である。第1、第2、第3実施例のバッテリパック45が本開示の1つの局面におけるバッテリの一例である。第1、第2、第3実施例のバッテリ取付部40が本開示の1つの局面におけるバッテリ取付部の一例である。第1、第2、第3実施例のハンドル30が本開示の1つの局面におけるハンドルの一例である。
【0116】
第1実施例の携帯用切断機1、第2実施例の携帯用切断機60、第3実施例の携帯用切断機80が本開示の他の局面における携帯用切断機の一例である。第1、第2、第3実施例の被切断材Wが本開示の他の局面における被切断材の一例である。第1、第2、第3実施例のベース10が本開示の他の局面におけるベースの一例である。第1、第2、第3実施例の電動モータ21が本開示の他の局面における電動モータの一例である。
【0117】
第1、第2、第3実施例の切断機本体20が本開示の他の局面における切断機本体の一例である。第1、第2、第3実施例のハンドル30が本開示の他の局面におけるハンドルの一例である。第1、第2、第3実施例のスイッチレバー31が本開示の他の局面におけるスイッチレバーの一例である。