(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078415
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】自己復帰型高電圧パルスドライバ
(51)【国際特許分類】
H03K 3/02 20060101AFI20240603BHJP
H01J 49/02 20060101ALI20240603BHJP
H03K 17/10 20060101ALI20240603BHJP
H03K 17/567 20060101ALI20240603BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20240603BHJP
H01J 49/40 20060101ALN20240603BHJP
H01J 49/16 20060101ALN20240603BHJP
G01N 27/62 20210101ALN20240603BHJP
【FI】
H03K3/02 C
H01J49/02 200
H03K17/10
H03K17/567
H03K17/687
H01J49/40
H01J49/16 400
G01N27/62 E
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186801
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】202211503653.2
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522097588
【氏名又は名称】浙江迪譜診断技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG DIGENA DIAGNOSIS TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】2nd Floor, Building No. 9, 355 Xingzhong Road,Yuhang Economic And Technological Development Zone Hangzhou, Zhejiang 311100 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鄭明
(72)【発明者】
【氏名】王優
(72)【発明者】
【氏名】相双紅
【テーマコード(参考)】
2G041
5J055
5J300
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041GA06
2G041GA13
5J055AX02
5J055AX07
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5J300DD02
5J300DD03
5J300DD04
5J300DD12
5J300EE00
5J300NN02
5J300PP03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】応答が速く、安定性がよいだけではなく、出力電圧の振幅が高く、且つ抵抗及びコンデンサの時定数で設定され、応答速度が速く、システム全体の応答時間を向上させ、且つ出力電圧振幅が高く、システムの拡張を易くする自己復帰型高電圧パルスドライバを提供する。
【解決手段】自己復帰型高電圧パルスドライバは、高電圧スイッチQが設けられる高速パルス駆動手段と、高圧コンデンサC及び抵抗回路網を含む高電圧パルス生成手段と、を備え、高圧コンデンサCは、抵抗回路網を介して高電圧スイッチQ、第1高電圧HV1、第2高電圧HV2、第3高電圧パルスHV3に接続され、高速パルス駆動手段は、高電圧スイッチQ及び高圧コンデンサCにより第1高電圧HV1及び第2高電圧HV2を第3高電圧パルスHV3として生成する。高電圧パルスの出力後に、第3高電圧パルスHV3は、第2高電圧HV2に自発的に復帰する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己復帰型高電圧パルスドライバであって、
高電圧スイッチQが設けられる高速パルス駆動手段と、高圧コンデンサC及び抵抗回路網を含む高電圧パルス生成手段と、を備え、前記高圧コンデンサCは、抵抗回路網を介して高電圧スイッチQ、第1高電圧HV1、第2高電圧HV2、第3高電圧パルスHV3に接続され、前記高速パルス駆動手段は、高電圧スイッチQ及び高圧コンデンサCにより第1高電圧HV1及び第2高電圧HV2を第3高電圧パルスHV3として生成し、高電圧パルスの出力後に、第3高電圧パルスHV3は、第2高電圧HV2に自発的に復帰する
ことを特徴とする自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項2】
前記高速パルス駆動手段に駆動入力がない場合に、前記第3高電圧パルスHV3の出力電圧は、第2高電圧HV2の電圧と等しく、前記高速パルス駆動手段に駆動パルスが入力される場合に、前記第3高電圧パルスHV3の出力電圧は、第2高電圧HV2の電圧から第1高電圧HV1の電圧を引いたものと等しく、駆動パルスの消滅後に、第2高電圧HV2の電圧に復帰する
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項3】
前記抵抗回路網は、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4を含み、前記高圧コンデンサCの一端が抵抗R1を介して前記高電圧スイッチQに接続され、抵抗R2を介して前記第1高電圧HV1に接続され、前記高圧コンデンサCの他端が抵抗R3を介して第2高電圧HV2に接続され、抵抗R4を介して第3高電圧パルスHV3に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項4】
前記抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4は、パワー抵抗であり、前記抵抗R3の抵抗値は、抵抗R2の抵抗値よりも大きく、前記抵抗R2の抵抗値は抵抗R4及び/又は抵抗R1の抵抗値よりも大きい
ことを特徴とする請求項3に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項5】
前記高速パルス駆動手段は高速レベル駆動回路Uをさらに備え、前記高速レベル駆動回路Uは、入力端が入力低電圧制御信号に接続され、出力端が高電圧スイッチQゲートレベルに接続され、入力低電圧制御信号が高速レベル駆動回路Uを介した後、高電圧スイッチQゲートレベルにアクセスする
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項6】
前記高速レベル駆動回路Uは、トランスカップリング、絶縁電源カップリング、光電アイソレーションカップリングの絶縁ドライブポイント回路を含み、前記トランスカップリング、絶縁電源カップリング、光電アイソレーションカップリングの絶縁ドライブポイント回路と、高電圧スイッチQゲートレベルとが一対一で対応する
ことを特徴とする請求項5に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項7】
前記入力低電圧制御信号は、TTL又はCMOS信号である
ことを特徴とする請求項5に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項8】
前記高電圧スイッチQとしては、高電圧電界効果トランジスタ、高電圧トランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタのうちの1つが用いられ、前記高電圧スイッチQの耐電圧値は第1高電圧HV1以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項9】
前記高電圧スイッチQは、単一または複数のカスケードモードであり、単一または複数のカスケード後の耐電圧は、第1高電圧HV1以上である
ことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項10】
前記高圧コンデンサCの耐電圧値は、第2高電圧HV2以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項11】
前記第1高電圧HV1及び前記第2高電圧HV2は、同相接地の高圧電源である
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御における高電圧パルス駆動の技術分野に関し、特に自己復帰型高電圧パルスドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
飛行時間型質量分析法(TOF-MS)は、イオンの飛行時間を測定パラメータとする質量分析のタイプであり、イオンが電界加速後にフィールドレスドリフト管に入り、一定の速度で検出器へ向かって飛び、イオンの飛びプロセスが実現され、イオンの加速プロセスが高圧で電界の両側にロードして電位差が生成し、イオンが加速することによって実現されるものであり、高電圧パルスを如何に発生するかということは、飛行時間型質量分析法技術を実現するキーテクノロジーの一つである。
【0003】
高電圧パルスは、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計の重要入力の一つとして、ライフサイエンスや微生物同定などのハイテク分野に適用する。高電圧パルスの振幅、周波数等は、イオンのイオン化飛行時間に影響し、まず、振幅が十分に大きく、サンプルイオン化の条件に達し、次、周波数の大きさがマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計の検出速度に影響する。
【0004】
パルスについて、関連研究があり、例えばCN114660046A(特許出願番号CN202210285342.7)の中国発明特許には、直流パルス高電圧発生手段により、方形パルス電圧及び同期する一つのTTLレベル信号を出力する直流パルス大気圧グロー放電発光分析装置及び検出方法が開示される。パルス高電圧負荷手段及び進行波パルスとタイミング制御システムは、パルス高電圧を提供するためのものであり、現在溶液陰極グロー放電技術が放電電流によって50~70mAに限られて重金属の励起効率が十分でない問題を解決する。CN114597112A(特許出願番号CN202210180291.1)の中国発明特許には、パルス高電圧負荷手段及び進行波パルスとタイミング制御システムによりパルス電圧を提供するとともに、前記パルス電圧のタイミングを、外部制御トリガ信号のタイミングに合わせるように調整し、干渉光が検出器に到達した時刻で、検出器バイアスを意図的に低減させ、イオン信号が検出器に到達すると、検出器高電圧を作動状態に高めて調整し、ドアの開閉動作によってイオン信号対雑音比を向上させ、背景の干渉を効率的に除去するパルススイッチ式イオン検出器装置及びその製造方法が開示される。強いパルス放射条件でのこのような検出器の適応性を拡張し、パルス高電圧ゲートとタイミング制御により、フロントエンドでのパルスノイズ干渉を大幅に除去し、イオン到達期間のみでの検出器へのドアを開いて、高い信号対雑音比でのイオン信号の取得を実現することができる。
【0005】
従来技術においてパルス回路の関連研究があるが、高電圧パルスを発生する振幅が多く1KV以内であり、振幅が小さく、イオン飛行時間測定に用いる場合にマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計の検出速度を影響し、検出精度が低下することを招いてしまう。また、統合電源を採用する解決策では、電源の電圧差により直接的に駆動し、技術解決策のコストが高く、且つ応答速度が遅い。トランスブーストを採用する解決策では、ブーストコイルにより起動遅延が大きくなり、応答速度が遅くなる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、従来技術における問題を解決し、応答が速く安定性がよいだけでなく、出力電圧振幅も高い自己復帰型高電圧パルスドライバを提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を実現するために、本発明は、高電圧スイッチQが設けられる高速パルス駆動手段と、高圧コンデンサC及び抵抗回路網を含む高電圧パルス生成手段と、を備え、前記高圧コンデンサCは、抵抗回路網を介して高電圧スイッチQ、第1高電圧HV1、第2高電圧HV2、第3高電圧パルスHV3に接続され、前記高速パルス駆動手段は、高電圧スイッチQ及び高圧コンデンサCにより第1高電圧HV1及び第2高電圧HV2を第3高電圧パルスHV3として生成し、高電圧パルスの出力後に、第3高電圧パルスHV3は、第2高電圧HV2に自発的に復帰する自己復帰型高電圧パルスドライバを提供する。
【0008】
好ましくは、前記高速パルス駆動手段に駆動入力がない場合に、前記第3高電圧パルスHV3の出力電圧は、第2高電圧HV2の電圧と等しく、前記高速パルス駆動手段に駆動パルスが入力される場合に、前記第3高電圧パルスHV3の出力電圧は、第2高電圧HV2の電圧から第1高電圧HV1の電圧を引いたものと等しく、駆動パルスの消滅後に、第2高電圧HV2の電圧に復帰する。
【0009】
好ましくは、前記抵抗回路網は、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4を含み、前記高圧コンデンサCの一端が抵抗R1を介して前記高電圧スイッチQに接続され、抵抗R2を介して前記第1高電圧HV1に接続され、高電圧パルス出力の低下速度が抵抗R1、R3及び高圧コンデンサCの時定数によって決められ、高電圧パルスの出力後に、パルス遅延復帰時間が抵抗R2、R3及び高圧コンデンサCの時定数によって決められ、前記高圧コンデンサCの他端が抵抗R3を介して第2高電圧HV2に接続され、抵抗R4を介して第3高電圧パルスHV3に接続され、前記第3高電圧パルスHV3の出力電圧パワーが高圧コンデンサCの容量及び抵抗R4の抵抗値によって決められる。
【0010】
好ましくは、前記抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4は、パワー抵抗であり、前記抵抗R3の抵抗値は、抵抗R2の抵抗値よりも大きく、前記抵抗R2の抵抗値は抵抗R4及び/又は抵抗R1抵抗値よりも大きい。
【0011】
好ましくは、前記高速パルス駆動手段は高速レベル駆動回路Uをさらに備え、前記高速レベル駆動回路Uは、入力端が入力低電圧制御信号に接続され、出力端が高電圧スイッチQゲートレベルに接続され、入力低電圧制御信号が高速レベル駆動回路Uを介した後、高電圧スイッチQゲートレベルにアクセスする。
【0012】
好ましくは、前記高速レベル駆動回路Uは、トランスカップリング、絶縁電源カップリング、光電アイソレーションカップリングの絶縁ドライブポイント回路を含むことが最も好ましいが、これに限定されず、回路直接駆動が好ましく、前記トランスカップリング、絶縁電源カップリング、光電アイソレーションカップリングの絶縁ドライブポイント回路と、高電圧スイッチQゲートレベルとが一対一で対応する。
【0013】
好ましくは、前記入力低電圧制御信号は、TTL又はCMOS信号である。
【0014】
好ましくは、前記高電圧スイッチQとしては、高電圧電界効果トランジスタ、高電圧トランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタのうちの1つが用いられ、前記高電圧スイッチQの耐電圧値は第1高電圧HV1以上である。
【0015】
好ましくは、前記高電圧スイッチQは、単一または複数のカスケードモードであり、単一または複数のカスケード後の耐電圧は、第1高電圧HV1以上である。
【0016】
好ましくは、前記高圧コンデンサCの耐電圧値は、第2高電圧HV2以上である。
【0017】
好ましくは、前記第1高電圧HV1及び前記第2高電圧HV2は、同相接地の高圧電源である。
【0018】
好ましくは、前記高電圧スイッチQの入力端は、定電圧ダイオードDに接続され、高電圧スイッチQに過電圧が入力されることが防止される。
【0019】
本発明の有益な効果:本発明の自己復帰型高電圧パルスドライバは、2つの高圧電源の入力及び1つの高電圧出力を含み、2つの入力電圧以外、高速パルス駆動手段で第1高電圧及び第2高電圧を第3高電圧パルスとして生成し、高電圧パルスの出力後に第1高電圧に自発的に復帰する。高電圧パルスドライバ内の素子を変えることによって、高電圧パルスの復帰時間及び低下時間を配置することができ、且つ周期が短く、周波数が高く、高電圧パルスドライバ内の素子を変えることによって、高電圧パルス出力の振幅を配置することができ、配置可能な高圧出力振幅の上限値が、従来技術の達する高電圧振幅上限値よりも大幅に大きい。
【0020】
本発明の復帰時間は抵抗及びコンデンサの時定数で設定され、応答速度が速く、システム全体の応答時間を向上させ、質量分析技術の徹底的な開発を促進し、且つ出力電圧振幅が高く、システムの拡張を易くする。また、高電圧パルスドライバは、完全なハードウェアの形式で、抵抗R2、R3と高圧コンデンサCの時定数によってパルス遅延復帰時間が決められ、抵抗R1、R3と高圧コンデンサCの時定数によって高電圧パルス出力の低下時間が決められ、高電圧パルサーの応答速度を速くする。C容量/耐圧及びR4抵抗値/耐圧を変更して高電圧出力を調整することにより、高電圧が安定且つ柔軟に出力され、高電圧、超高電圧の出力電圧に達し、高電圧パルス出力が実現される。
【0021】
本発明の特徴及び利点については実施例及び図面の組み合わせにより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の自己復帰型高電圧パルスドライバの模式図である。
【
図2】駆動信号及びHV3電圧出力波形の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照すると、本発明の自己復帰型高電圧パルスドライバであって、第1高電圧HV1、第2高電圧HV2、第3高電圧パルスHV3、抵抗回路網、コンデンサCを備え、前記第1高電圧HV1及び第2高電圧HV2は高圧入力であり、前記第3高電圧パルスHV3は高圧出力である。本実施例において、自己復帰型高電圧パルスドライバは、高電圧スイッチQが設けられる高速パルス駆動手段と、高圧コンデンサC及び抵抗回路網を含む高電圧パルス生成手段と、を備え、前記高圧コンデンサCは、抵抗回路網を介して高電圧スイッチQ、第1高電圧HV1、第2高電圧HV2、第3高電圧パルスHV3に接続され、前記高速パルス駆動手段は、高電圧スイッチQ及び高圧コンデンサCにより第1高電圧HV1及び第2高電圧HV2を第3高電圧パルスHV3として生成し、高電圧パルスの出力後に、第3高電圧パルスHV3は、第2高電圧HV2に自発的に復帰する。具体的には、前記高速パルス駆動手段に駆動入力がない場合に、前記第3高電圧パルスHV3の出力電圧は第2高電圧HV2の電圧と等しく、前記高速パルス駆動手段に駆動パルスが入力される場合に、前記第3高電圧パルスHV3の出力電圧は、第2高電圧HV2の電圧から第1高電圧HV1を引いた電圧と瞬時に等しく、遅延後に第1高電圧HV1に復帰する電圧である出力端HV3の電圧は(HV2,HV2-HV1)であり、これによって、自己復帰型高電圧パルス出力の機能が実現される。
【0024】
抵抗コンデンサ(RC)充放電回路は、RC充放電回路がマイクロコントローラーのリセットピンをレベル制御することで、予期のリセット時間に達する。RC充放電回路の原理としては、スイッチが閉じると、電源が抵抗を介してコンデンサを充電し、初めて充電し始めたときにコンデンサの両端に電荷がなく、初期の電圧が0であり、コンデンサが継続的に充電されるにつれて、コンデンサ両端の電圧が速く上昇し、抵抗両端の電圧が継続的に小さくなり、コンデンサ両端の充電電圧が電源電圧に継続的に減少して、充電が終了する充電プロセスと、コンデンサが抵抗を介して放電し、初めて放電し始めたときにコンデンサ両端の電圧が電源電圧であり、コンデンサ放電が速く、コンデンサが継続的に放電するにつれて、コンデンサ両端の電圧が速く0まで低下し、放電が終了する放電プロセスとに分けられ、レベルの高低変化が実現される。高圧回路においてRC充放電原理によりパルス高電圧を実現するは、一定の実現可能性がある。
【0025】
RC充放電原理と合わせて、高電圧パルス駆動回路の実現は、HV1、HV2及びHV3の3つの高電圧、抵抗R1、R2、R3、R4、高圧コンデンサCを含み、HV1及びHV2が高電圧入力端、HV3が高電圧出力であり、駆動パルスの入力がない場合に、HV3の出力電圧が、HV2電圧に抵抗R3、R4、Cが直列接続された電圧であり、HV2電圧と等しく、駆動パルスの入力がある場合に、HV3高電圧が、HV2からHV1を引いたものと瞬間等しく、遅延後にHV1電圧に復帰し、出力端HV3の電圧が(HV2,HV2-HV1)であり、これによって自己復帰型の高電圧パルス出力機能が実現される。
【0026】
前記抵抗回路網は、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4を含み、前記高圧コンデンサCの一端が抵抗R1を介して前記高電圧スイッチQに接続され、抵抗R2を介して前記第1高電圧HV1に接続され、高電圧パルス出力の低下速度が抵抗R1、R3及び高圧コンデンサCの時定数によって決められ、高電圧パルスの出力後に、パルス遅延復帰時間tが抵抗R2、R3及び高圧コンデンサCの時定数によって決められ、前記高圧コンデンサCの他端が抵抗R3を介して第2高電圧HV2に接続され、抵抗R4を介して第3高電圧パルスHV3に接続され、前記第3高電圧パルスHV3の出力電圧パワーが高圧コンデンサCの容量及び抵抗R4の抵抗値によって決められる。具体的には、前記抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4は、パワー抵抗であり、前記抵抗R3の抵抗値は、抵抗R2の抵抗値よりも大幅に大きく、前記抵抗R2の抵抗値は抵抗R4及び/又は抵抗R1の抵抗値よりも大幅に大きい。
【0027】
高速パルス駆動手段は、高速レベル駆動回路U(ゲートドライバMCP1416T-E/OT)をさらに備え、前記高速レベル駆動回路は、トランスネットワーク、絶縁された電力ネットワーク又はゲートドライバを含むが、これらに限定されなく、前記高速レベル駆動回路Uは、入力端が入力低電圧に接続され、出力端が高電圧スイッチQに接続され、入力低電圧がレベル変換回路Uを介した後、高電圧スイッチQにアクセスする。具体的には、前記入力低電圧はTTL又はCMOS信号である。前記高電圧スイッチQの入力端は、少なくとも定電圧ダイオードD(これに限定されない)に接続され、高電圧スイッチQに過電圧が入力されることが防止される。
【0028】
高圧コンデンサCの耐電圧値は、高圧コンデンサCが絶縁破壊されて無効になることを防止するように、第2高電圧HV2以上である。高電圧スイッチQとしては、高電圧電界効果トランジスタ、高電圧トランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタのうちの1つが用いられ、前記高電圧スイッチQの耐電圧値は、高電圧スイッチQが絶縁破壊されて無効になることを防止するように、第1高電圧HV1以上である。
【0029】
第1高電圧HV1及び前記第2高電圧HV2は、同相接地の高圧電源である。前記第1高電圧HV1及び第2高電圧HV2は高圧入力であり、前記第3高電圧パルスHV3は高圧出力であり、第1高電圧HV1の電圧レベルは、1kV、2kV、3kV、4kV、6kV、8kV、9kV、10kVを含むが、これらに限定されなく、第2高電圧HV2の電圧レベルは、5kV、10kV、15kV、20kV、25kV、30kV、50kVを含むが、これらに限定されない。
【0030】
図1を参照すると、高電圧スイッチQは高電圧トランジスタ又は電界効果トランジスタであり、I/P1は高速パルス入力信号であり、VCCは、高電圧スイッチQと共通する電源であり、高速レベル駆動回路Uは、トランスカップリング、絶縁電源カップリング、光電アイソレーションカップリングの絶縁ドライブポイント回路を含み、高圧コンデンサCの耐圧はHV2以上であり、抵抗回路網は抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4を含み、パルス遅延復帰時間は抵抗R2、R3と高圧コンデンサCの時定数によって決められ、高電圧パルス出力の低下速度は抵抗R1、R3と高圧コンデンサCの時定数によって決められ、第3高電圧パルスHV3の出力電圧パワーは高圧コンデンサC容量及び抵抗R4の抵抗値によって決められ、DCは電圧源である。
【0031】
図2を参照すると、電源を入れて作動を始めると、I/P1が低いレベル、高電圧スイッチQがオンしない場合に、この際第3高電圧パルスHV3の電圧が安定的に保持し、I/P1が低いレベルから高いレベルに変化すると、高電圧スイッチQがオンし、放電回路が開き、第3高電圧パルスHV3側の電圧が低下し、I/P1が高いレベルから低いレベルに変化すると、高電圧スイッチQがオフし、放電回路が閉じ、充電回路が開き、第3高電圧パルスHV3側の電圧が上昇する。
【0032】
Rは充電回路の直列抵抗で、R2+R3と等しく、R'は放電回路の直列抵抗で、R3+R1と等しく、C0は高圧コンデンサCであり、V1はフル電圧であり、V0はコンデンサの初期電圧であり、VTはt時刻でのコンデンサの電圧値である。
【0033】
ここで、第3高電圧パルスHV3の振幅はHV3=HV2-HV1である。
【0034】
I/P1周波数は、第3高電圧パルスHV3の周波数を決め、立ち上がり及び立ち下がりはそれぞれR2、R3、CとR3、C、R1によって決められる。
【0035】
実施例1
HV1=10Kv、HV2=50Kv、R1=100K、R2=100K、R3=20M、C=2000pfであると、HV3=HV2-HV1=40Kvとなる。
【0036】
V0=15Kv、 VT=39.6Kv、 V1=40Kvであり、
立ち上がり時間:
【0037】
【0038】
実施例2
HV1=5Kv、HV2=40Kv、R1=1K、R2=1K、R3=200K、C=2000pfであると、HV3=HV2-HV1=35Kvとなる。
【0039】
V0=20Kv、VT=34.6Kv、V1=35Kvであり、
立ち上がり時間:
【0040】
【0041】
実施例3
HV1=5Kv、HV2=40Kv、R1=10K、R2=10K、R3=200K、C=1000pfであると、HV3=HV2-HV1=35Kvとなる。
【0042】
V0=20Kv、VT=34.6Kv、V1=35Kvであり、
立ち上がり時間:
【0043】
【0044】
図3を参照すると、本発明の自己復帰型高電圧パルスドライバは、高速レベル駆動回路を含み、U1がゲートドライバ、L1、L2が絶縁トランス、U2がフォトカプラ、VCCが高電圧スイッチQと共通する電源、VCC2が絶縁電源であり、高電圧スイッチQと共通せず、VCC1として高電圧スイッチQと共通しても、共通しなくてもよい電源が選択されてもよく、I/P1が高速パルス入力信号である。入力低電圧がTTL又はCMOS信号、高速レベル駆動回路の出力が高いレベルである場合に、高電圧スイッチQをオンする。
【0045】
実施例4
図3を参照すると、I/P1は高速パルス入力信号であり、ゲートドライバU1はMC33151DR2Gを含み、絶縁トランスL1、L2はEE16トランスの単一または多回路コイルを含み、フォトカプラはHCPL2530を含み、絶縁電源VCC1、VCC2は絶縁電源モジュールであり、F0503S-2Wを含むが、これらに限定されない。高電圧スイッチQの接続方式は、単一又は直列接続を含むが、これに限定されない。
【0046】
実施例5
ゲートドライバU1はTF2190M-TAHを含み、絶縁トランスL1、L2はEE25トランスの単一または多回路コイルを含み、フォトカプラはAPV1122を含み、絶縁電源VCC1、VCC2は絶縁電源モジュール RS1-03S05Hを含むが、これらに限定されない。高電圧スイッチQの接続方式は、単一又は直列接続を含むが、これに限定されない。
【0047】
上記実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明を説明するものであり、本発明に対して簡単に変換したいかなる解決策はいずれも本発明の保護範囲に入る。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己復帰型高電圧パルスドライバであって、
高電圧スイッチQが設けられる高速パルス駆動手段と、高圧コンデンサC及び抵抗回路網を含む高電圧パルス生成手段と、を備え、前記高圧コンデンサCは、抵抗回路網を介して高電圧スイッチQ、第1高電圧HV1、第2高電圧HV2、第3高電圧パルスHV3に接続され、前記高速パルス駆動手段は、高電圧スイッチQ及び高圧コンデンサCにより第1高電圧HV1及び第2高電圧HV2を第3高電圧パルスHV3として生成し、高電圧パルスの出力後に、第3高電圧パルスHV3は、第2高電圧HV2に自発的に復帰する
ことを特徴とする自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項2】
前記高速パルス駆動手段に駆動入力がない場合に、前記第3高電圧パルスHV3の出力電圧は、第2高電圧HV2の電圧と等しく、前記高速パルス駆動手段に駆動パルスが入力される場合に、前記第3高電圧パルスHV3の出力電圧は、第2高電圧HV2の電圧から第1高電圧HV1の電圧を引いたものと等しく、駆動パルスの消滅後に、第2高電圧HV2の電圧に復帰する
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項3】
前記抵抗回路網は、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4を含み、前記高圧コンデンサCの一端が抵抗R1を介して前記高電圧スイッチQに接続され、抵抗R2を介して前記第1高電圧HV1に接続され、前記高圧コンデンサCの他端が抵抗R3を介して第2高電圧HV2に接続され、抵抗R4を介して第3高電圧パルスHV3に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項4】
前記抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4は、パワー抵抗であり、前記抵抗R3の抵抗値は、抵抗R2の抵抗値よりも大きく、前記抵抗R2の抵抗値は抵抗R4又は抵抗R1の抵抗値よりも大きく、抵抗R4と抵抗R1の抵抗値の合計よりも大きい
ことを特徴とする請求項3に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項5】
前記高速パルス駆動手段は高速レベル駆動回路Uをさらに備え、前記高速レベル駆動回路Uは、入力端が入力低電圧制御信号に接続され、出力端が高電圧スイッチQゲートレベルに接続され、入力低電圧制御信号が高速レベル駆動回路Uを介した後、高電圧スイッチQゲートレベルに接続する
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項6】
前記高速レベル駆動回路Uは、トランスカップリング、絶縁電源カップリング、光電アイソレーションカップリングの絶縁ドライブポイント回路を含み、前記トランスカップリング、絶縁電源カップリング、光電アイソレーションカップリングの絶縁ドライブポイント回路と、高電圧スイッチQゲートレベルとが一対一で対応する
ことを特徴とする請求項5に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項7】
前記入力低電圧制御信号は、TTL又はCMOS信号である
ことを特徴とする請求項5に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項8】
前記高電圧スイッチQとしては、高電圧電界効果トランジスタ、高電圧トランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタのうちの1つが用いられ、前記高電圧スイッチQの耐電圧値は第1高電圧HV1以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項9】
前記高電圧スイッチQは、単一または複数であり、前記高電圧スイッチQの耐電圧は、第1高電圧HV1以上である
ことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項10】
前記高圧コンデンサCの耐電圧値は、第2高電圧HV2以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。
【請求項11】
前記第1高電圧HV1及び前記第2高電圧HV2は、同相接地の高圧電源である
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰型高電圧パルスドライバ。