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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078428
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】現場重合型半固体電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20240603BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20240603BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20240603BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240603BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20240603BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240603BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20240603BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20240603BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240603BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20240603BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/0565
H01M10/0568
H01M10/052
H01M4/587
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/58
H01M4/36 E
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196839
(22)【出願日】2023-11-20
(31)【優先権主張番号】202211505924.8
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520145160
【氏名又は名称】瑞浦蘭鈞能源股分有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】520145171
【氏名又は名称】上▲海▼瑞浦青▲創▼新能源有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】曹 輝
(72)【発明者】
【氏名】崔 屹
(72)【発明者】
【氏名】侯 ▲敏▼
(72)【発明者】
【氏名】傅 李▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】劉 嬋
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ06
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL18
5H029AM03
5H029AM07
5H029AM16
5H029CJ02
5H029CJ13
5H029CJ28
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ14
5H050AA12
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA02
5H050DA03
5H050GA02
5H050GA13
5H050GA27
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】現場重合型半固体電池の製造方法を提供する。
【解決手段】正極プレート、セパレータ、負極プレートをケースに組立てドライバッテリーセルとする組立ステップと、リチウム電池の液状電解液を注入する一次液注入ステップと、エージング及びフォーメーションステップと、重合体モノマーと可塑剤と開始剤との混合物を注入し、前記重合体モノマーが炭酸ビニレンとリン酸トリプロパルギルとの組合せである二次液注入ステップと、58℃-65℃で現場重合によりゲル化して半固体電池を得るエージングステップと、を含む現場重合型半固体電池の製造方法。
【効果】二次液注入処方に立体構造モノマーが含まれるため、架橋した後、液状電解液を立体構造にロッキングし得る。鎖状重合体と比較すれば、少ない重合体でゲルの効果が得られ、形成されたゲル構造がより安定的であり、熱安定性が優れると共に、液体分が多く、低いインピーダンスの半固体電池が得られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極プレート、セパレータ、負極プレートをケースに組立てドライバッテリーセルとする組立ステップ(S1)と、
リチウム電池の液状電解液を注入する一次液注入ステップ(S2)と、
エージング及びフォーメーションステップ(S3)と、
重合体モノマーと可塑剤と開始剤との混合物を注入し、前記重合体モノマーが炭酸ビニレンとリン酸トリプロパルギルとの組合せである二次液注入ステップ(S4)と、
現場重合によりゲル化して半固体電池を得るエージングステップ(S5)と、を含むことを特徴とする、現場重合型半固体電池の製造方法。
【請求項2】
二次液注入の総量が一次液注入の総量の5wt.%-30wt.%であることを特徴とする、請求項1に記載の現場重合型半固体電池の製造方法。
【請求項3】
重合体モノマーが二次液注入の総量の70wt.%-95wt.%を占め、可塑剤が二次液注入の総量の4.8wt.%-29.8wt.%を占め、開始剤が二次液注入の総量の0.01wt.%-0.4wt.%を占め、重合体モノマーにおける炭酸ビニレン:リン酸トリプロパルギルの質量比が10:1-100:1であることを特徴とする、請求項1に記載の現場重合型半固体電池の製造方法。
【請求項4】
前記可塑剤がケイ酸テトラエチル、エポキシグラフト化されたかご型エポキシ多面体オリゴマーシルセスキオキサン、ホウ酸、四塩化珪素から選ばれる1種又は複数種を含むことを特徴とする、請求項1に記載の現場重合型半固体電池の製造方法。
【請求項5】
前記開始剤が2,2-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、ジベンゾイルペルオキシドから選ばれる1種又は複数種を含むことを特徴とする、請求項1に記載の現場重合型半固体電池の製造方法。
【請求項6】
ステップS3において、エージング温度が20℃-50℃であり、エージング時間が22h-26hであり、フォーメーション温度が40±5℃であり、フォーメーション圧力が2000N-4000Nであることを特徴とする、請求項1に記載の現場重合型半固体電池の製造方法。
【請求項7】
ステップS5において、エージング温度が20℃-50℃であり、エージング時間が22h-26hであり、現場重合時間が1.25h-3hであることを特徴とする、請求項1に記載の現場重合型半固体電池の製造方法。
【請求項8】
ステップS2において、リチウム電池の液状電解液におけるリチウム塩がヘキサフルオロリン酸リチウム、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ビス(シュウ酸)ホウ酸リチウム、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウムから選ばれる1種又は複数種を含むことを特徴とする、請求項1に記載の現場重合型半固体電池の製造方法。
【請求項9】
前記負極プレートはケイ素添加黒鉛負極、リチウム金属負極、又は金属合金負極を採用し、前記ケイ素添加黒鉛負極におけるケイ素添加量が3wt.%-80wt.%であり、前記金属合金負極がGa-Sn、Ge-Se、又はSn-Al合金負極を含むことを特徴とする、請求項1に記載の現場重合型半固体電池の製造方法。
【請求項10】
前記正極プレートの材料はNCM811、Ni90、NCM111、NCM532、NCM622、NCM712、ニッケル-コバルト-アルミ材料、リン酸マンガン鉄リチウム、又はリン酸鉄(II)リチウムを採用し、前記Ni90の構造式がLiNiCoMnであり、そのうち、x≧0.8であることを特徴とする、請求項1に記載の現場重合型半固体電池の製造方法。
【請求項11】
前記Ni90の構造式LiNiCoMnにおいて、y≧0、z≧0、x+y+z=1であることを特徴とする、請求項10に記載の現場重合型半固体電池の製造方法。
【請求項12】
ステップS5において、58℃-65℃で現場重合によりゲル化することを特徴とする、請求項1に記載の現場重合型半固体電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半固体電池の技術分野に関し、具体的には、現場重合型半固体電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池のエネルギー密度の向上に対する需要が高まるにつれて、従来のリチウムイオン電池は、超高比エネルギーの需要を満たすことが困難である。現在、市販のリチウムイオン電池の負極材料は、主に変性された天然黒鉛及び人造黒鉛である。成熟した製造技術にも関わらず、黒鉛の比容量理論値は372mAh・g-1に過ぎず、高エネルギー密度リチウムイオン電池に対する市場ニーズを満たすことが困難である。そのため、高エネルギー密度電池の需要によって、超高比エネルギーの優位性を有する負極材料の検討がブームになっている。例えば、珪素負極、金属合金負極、金属リチウム負極である。珪素負極材料の場合、現在、主に一定量の珪素材料を配合することで、比容量の向上という目的を達成する。金属リチウム負極の場合、その比容量が3860mAh・g-1であり、電気化学ポテンシャルが-3.04V(対標準水素電極)である。これらの負極材料で製造された電池は、エネルギー密度が効果的に向上され、400Wh・kg-1以上にも達している。そのうち、高ニッケル三元リチウム電池は活性が高いため、高比容量負極材料と併用する場合、比エネルギー密度を向上させると共に、電池安全性の向上にとっても重要である。
【0003】
ところが、従来のリチウムイオン電池系によれば、現在、高エネルギー密度電池材料は、安全に関する潜在的リスクが多数存在しており、例えば、材料自身の大きな体積膨張、構造変化、及び液状電解液と併用する場合のサイクル寿命と安全に関する潜在的リスクなどである。液状電解液は、珪素負極の極めて大きい膨張、リチウム金属負極の構造変化、金属樹枝状結晶の成長を効果的に抑制できず、更に、樹枝状結晶によりセパレータが刺し抜かれ、電池内部の短絡が引き起こされ、より重大な安全課題となっている。
【0004】
現場重合型半固体電池は、電池の液状電解液使用量を効果的に低下させ、電池のエネルギー密度を向上させると共に、液状電解液による安全に関する潜在的リスクを同時に低下させる。また、半固体ゲル電解質は、負極の構造変化と金属樹枝状結晶の成長をある程度効果的に抑制でき、比エネルギーを向上させると共に、電池の安全性を大幅に向上させることができる。ところが、半固体電池の電解質処方と製造方法は、電池のインピーダンスに大きな影響を与え、特に通常の現場重合法により、重合体が負極SEI被膜の構成に関与してしまい、電池のインピーダンスが大幅に増加した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、現場重合型半固体電池の製造方法を提供することを目的とする。好適な電解質処方と使用量、特殊な製造工程により、半固体電池のインピーダンスが低下すると共に、電池のエネルギー密度が向上し、電池の安全性が大幅に改善された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は下記の技術手段によって実現される。
【0007】
本発明は、
正極プレート、セパレータ、負極プレートをケースに組立てドライバッテリーセルとする組立ステップ(S1)と、
リチウム電池の液状電解液を注入する一次液注入ステップ(S2)と、
エージング及びフォーメーションステップ(S3)と、
重合体モノマーと可塑剤と開始剤との混合物を注入し、前記重合体モノマーが炭酸ビニレンとリン酸トリプロパルギルとの組合せである二次液注入ステップ(S4)と、
現場重合によりゲル化して半固体電池を得るエージングステップ(S5)と、を含む、現場重合型半固体電池の製造方法に関する。
【0008】
一実施形態として、二次液注入の総量が一次液注入の総量の5wt.%-30wt.%であり、好ましくは10wt.%-20wt.%であり、例えば、11wt.%、12wt.%、13wt.%、14wt.%、15wt.%、16wt.%、17wt.%、18wt.%、19wt.%であり、更に好ましくは10wt.%-15wt.%である。本発明において、一次液注入の総量は一次液注入時にバッテリーセルに注入されたリチウム電池の液状電解液の質量であり、二次液注入の総量は二次液注入時にバッテリーセルに注入された重合体モノマーと可塑剤と開始剤との総質量である。
【0009】
一実施形態として、重合体モノマーが二次液注入の総量の70wt.%-95wt.%(例えば、70wt.%、72wt.%、74wt.%、74.9wt.%、76wt.%、78wt.%、80wt.%、82wt.%、84wt.%、86wt.%、88wt.%、90wt.%、92wt.%、94wt.%、95wt.%など)を占め、好ましくは80wt.%-90wt.%を占める。可塑剤が二次液注入の総量の4.8wt.%-29.8wt.%(例えば、4.8wt.%、5.9wt.%、7wt.%、10wt.%、13wt.%、15wt.%、17wt.%、20wt.%、22wt.%、25wt.%、27wt.%、29wt.%、29.8wt.%など)を占める。開始剤が二次液注入の総量の0.01wt.%-0.4wt.%(例えば、0.01wt.%、0.05wt.%、0.1wt.%、0.15wt.%、0.2wt.%、0.25wt.%、0.3wt.%、0.35wt.%、0.4wt.%など)を占め、好ましくは0.05wt.%-0.1wt.%を占める。
【0010】
一実施形態として、重合体モノマーにおける炭酸ビニレン(VC):リン酸トリプロパルギル(TPP)の質量比が10:1-100:1であり、好ましくは20:1-50:1であり、例えば、30:1、40:1である。VCは主の重合体モノマーであり、TPPは補助の重合体モノマーであり、TPPはリン酸構造を含むことで、半固体電解質のインピーダンスを低下させ得る。VC含有量が高すぎる場合、電池のインピーダンスが明らかに向上するが、VC含有量が低すぎる場合、電解質がゲル化しにくく、半固体電解質が効果的に形成できない。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記可塑剤がケイ酸テトラエチル、エポキシグラフト化されたかご型エポキシ多面体オリゴマーシルセスキオキサン、ホウ酸、四塩化珪素から選ばれる1種又は複数種を含む。
【0012】
一実施形態として、前記可塑剤がケイ酸テトラエチル(TEOS)、エポキシグラフト化されたかご型エポキシ多面体オリゴマーシルセスキオキサン(EP-POSS)、ホウ酸(BA)、四塩化珪素(SiCl)から選ばれる1種又は複数種である。好ましくはエポキシグラフト化されたかご型エポキシ多面体オリゴマーシルセスキオキサン(EP-POSS)である。EP-POSSはかご状構造を有し、液状電解液をかご状構造内にロッキングし、液状電解液の流れを抑制して、安全性能を向上させ得る。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記開始剤が2,2-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、ジベンゾイルペルオキシドから選ばれる1種又は複数種を含む。
【0014】
一実施形態として、前記開始剤が2,2-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、ジベンゾイルペルオキシド(BPO)から選ばれる1種又は複数種である。幾つかの実施形態において、開始剤がAIBN、BPOである。
【0015】
一実施形態として、ステップS3において、エージング温度が20℃-50℃であり、エージング時間が22h-26hである。好ましくはエージング温度が45℃-48℃であり、エージング時間が24hである。
【0016】
一実施形態として、ステップS3において、フォーメーション温度が40±5℃であり、フォーメーション圧力が2000N-4000Nであり、例えば、2500N、3000N、3500Nである。
【0017】
一実施形態として、ステップS5において、エージング温度が20℃-50℃であり、エージング時間が22h-26hである。好ましくはエージング温度が45℃-48℃であり、エージング時間が24hである。幾つかの実施形態において、ステップS5において、エージング温度が25±5℃であり、エージング時間が24±2hである。
【0018】
幾つかの実施形態において、ステップS5において、58℃-65℃で現場重合によりゲル化する。
【0019】
幾つかの実施形態において、ステップS5において、現場重合温度が60±2℃である。
【0020】
一実施形態として、ステップS5において、現場重合時間が1.25h-3hであり、例えば、1.5h、2h、2.5hである。
【0021】
幾つかの実施形態において、ステップS2において、リチウム電池の液状電解液がリチウム塩、溶剤、添加剤を含む。
【0022】
幾つかの実施形態において、リチウム電池の液状電解液におけるリチウム塩がヘキサフルオロリン酸リチウム、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ビス(シュウ酸)ホウ酸リチウム、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウムから選ばれる1種又は複数種を含む。
【0023】
一実施形態として、ステップS2において、リチウム電池の液状電解液のリチウム塩がヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、ビス(シュウ酸)ホウ酸リチウム(LiBOB)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiODFB)、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム(LiDFBP)から選ばれる1種又は複数種である。幾つかの実施形態において、リチウム塩がヘキサフルオロリン酸リチウム、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを含む。リチウム電池の液状電解液に占めるリチウム塩の質量パーセンテージが5wt.%-30wt.%であってもよく、例えば、10wt.%、15wt.%、20wt.%、23wt.%、25wt.%、27wt.%である。
【0024】
幾つかの実施形態において、ステップS2において、溶剤が炭酸エチレン(EC)、炭酸エチルメチル(EMC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、γ-ブチロラクトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチルから選ばれる1種又は複数種である。幾つかの実施形態において、溶剤がEC、EMC、DECを含む。リチウム電池の液状電解液に占める溶剤の質量パーセンテージが60wt.%-90wt.%であってもよく、例えば、65wt.%、70wt.%、75wt.%、80wt.%、85wt.%である。
【0025】
幾つかの実施形態において、ステップS2において、添加剤がジフルオロリン酸リチウム(LiPO)、炭酸フルオロエチレン(FEC)、硫酸エチレン(DTD)、炭酸ビニレン、炭酸ビニルエチレン、1,3-プロパンサルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(シュウ酸)ホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ジフルオロ(オキサラト)リン酸リチウムから選ばれる1種又は複数種である。幾つかの実施形態において、添加剤がLiPO、FEC、DTDを含む。リチウム電池の液状電解液に占める添加剤の質量パーセンテージが2wt.%-10wt.%であってもよく、例えば、3wt.%、4wt.%、5wt.%、6wt.%、7wt.%、8wt.%、9wt.%である。
【0026】
一実施形態として、前記負極プレートはケイ素添加黒鉛負極、リチウム金属負極、又は金属合金負極を採用し、前記ケイ素添加黒鉛負極におけるケイ素添加量が3wt.%-80wt.%であり、例えば、4wt.%、5wt.%、10wt.%、20wt.%、30wt.%、40wt.%、50wt.%、60wt.%であり、好ましくは5wt.%-60wt.%であり、より好ましくは8wt.%-30wt.%である。前記金属合金負極がGa-Sn、Ge-Se、又はSn-Al合金負極を含む。ケイ素添加黒鉛負極における負極材料が黒鉛、ケイ素含有材料を含む。幾つかの実施形態において、ケイ素添加黒鉛負極における負極材料が黒鉛とケイ素含有材料からなる。ケイ素添加黒鉛負極におけるケイ素添加量は、ケイ素添加黒鉛負極における負極材料に占めるケイ素含有材料の質量部である。ケイ素含有材料がケイ素-酸素材料、ケイ素-炭素材料から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。
【0027】
一実施形態として、前記正極プレートの材料(正極材料)は高ニッケル材料(NCM811、Ni90)、NCM111、NCM532、NCM622、NCM712、ニッケル-コバルト-アルミ材料(NCA)、リン酸マンガン鉄リチウム(LMFP)、又はリン酸鉄(II)リチウム(LiFePO)を採用する。前記Ni90の構造式がLiNiCoMnであり、そのうち、x≧0.8である。幾つかの実施形態において、Ni90の構造式LiNiCoMnにおいて、x≧0.8、y≧0、z≧0、x+y+z=1である。幾つかの実施形態において、Ni90の構造式LiNiCoMnにおいて、x≧0.9、y≧0、z≧0、x+y+z=1である。NCM811、NCM111、NCM532、NCM622、NCM712のそれぞれは、Ni原子とCo原子とMn原子とのモル比が8:1:1、1:1:1、5:3:2、6:2:2、7:1:2であるニッケル-コバルト-マンガン三元正極材料を示す。
【0028】
一実施形態として、正/負極プレートには導電剤が含まれており、具体的には、導電剤がカーボンブラック(super P)、アセチレンブラック、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)から選ばれる1種又は複数種である。
【0029】
一実施形態として、正/負極プレートには接着剤が含まれており、具体的には、接着剤がPEO(ポリエチレンオキシド)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、PU(ポリウレタン)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、PVA(ポリビニルアルコール)、PAA(ポリアクリル酸)、PAN(ポリアクリロニトリル)から選ばれる1種又は複数種である。
【発明の効果】
【0030】
従来技術と比較すれば、本発明は下記の優位性を有する。
【0031】
1)本発明は、現場重合法により半固体電池を製作/生産する技術を採用し、最初に一般液状電解液を注入し、フォーメーションしてから、重合体モノマーを注入して、現場重合する。このような製作プロセスにより、低いインピーダンスの半固体電池を得る。
【0032】
2)二次液注入処方に立体構造モノマーであるリン酸トリプロパルギル(TPP)が含まれるため、架橋した後、液状電解液を立体構造にロッキングし得る。鎖状重合体と比較すれば、少ない重合体でゲルの効果が得られ、形成されたゲル構造がより安定的であり、熱安定性が優れると共に、液体分が多く、インピーダンスが小さくなる。
【0033】
3)本発明の方法は簡単であり、既存の一般液体電池の製造工程で対応できる。当該方法により得られた半固体電池は、インピーダンスが液体電池と同様であり、既存半固体電池の大きいインピーダンスという短所が大幅に改善された。
【0034】
下記の図面を参照しながら非制限的な実施例について詳しく説明した結果、本発明のその他の特徴、目的、優位性がより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】現場重合型半固体電池の製造フローである。
図2】実施例1にかかる半固体電池の25℃ 50%SOC 3C DCIRグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の現場重合型半固体電池の製造プロセスは下記の通りである。
【0037】
本発明の実施例及び比較例におけるドライバッテリーセルの製造プロセスは下記の通りである。
【0038】
まず、ペーストを混合させる。そのうち、正極ペーストの配合比は、9系三元材料(NCM-Ni90、その化学式がLiNi0.9Co0.05Mn0.05である):導電性カーボンブラック(Super P):カーボンナノチューブ(CNT800):接着剤(PVDF_1100)=97:1.1:0.8:1.1であり、全て質量パーセンテージ(wt.%)である。
【0039】
負極ペーストの配合比は、黒鉛(BF):ケイ素-酸素材料(Si-O、蘭渓致徳新能源材料有限公司(ZhideBattery)より購入、品番S0210):導電性カーボンブラック(Super P):カーボンナノチューブ(CNT800):接着剤(カルボキシメチルセルロースナトリウムCMC_500):接着剤(スチレンブタジエンゴムSBR)=88.1:6.5:1.8:0.2:1.2:2.2であり、全て質量パーセンテージ(wt.%)である。
【0040】
その後、塗布する。正極ペーストをアルミ箔に、負極ペーストを銅箔に塗布し、乾燥させて巻き付ける。その後、ロールプレス加工を行ってから、切断する。その後、電極芯に巻き付ける。製造された正/負極プレート及びセパレータを使用し、セパレータはPEセパレータ(3μm PVDFゲル層+9μm基材+3μm Alセラミックス層+3μm PVDFゲル層)を採用する。巻き付けられた電極芯に対してホットプレス加工を行い、トップカバーを溶接してから、ケースに組立てドライバッテリーセルとする。
【0041】
ドライバッテリーセルをベーキングしてから液注入する。図1に示されるように、電池を組立ててから、一次液注入により一般リチウム電池の液状電解液を一定量で注入する。電解液は一般リチウム電池の液状電解液であり、リチウム塩(ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、ビス(シュウ酸)ホウ酸リチウム(LiBOB)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiODFB)、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム(LiDFBP)から選ばれる1種又は複数種であってもよい)を含む。液注入後にエージング工程を実施し、エージング温度が20℃-50℃であり、好ましくは45℃-48℃であり、エージング時間が24hである。エージング後に通常のフォーメーション工程を実施し、フォーメーション温度が40±5℃であり、圧力が2000Nである。フォーメーション後に二次液注入(二次液注入の総量が一次液注入量の5wt.%-30wt.%であり、好ましくは10wt.%-20wt.%である)を行い、重合体モノマーと可塑剤と開始剤との混合物を注入する。重合体モノマーは二次液注入量の70wt.%-95wt.%を占め、好ましくは80wt.%-90wt.%を占め、成分として炭酸ビニレン(VC)とリン酸トリプロパルギル(TPP)との組合せであり、VC:TPPの質量比が10:1-100:1であり、好ましくは20:1-50:1である。可塑剤は二次液注入量の4.8wt.%-29.8wt.%を占め、ケイ酸テトラエチル(TEOS)、エポキシグラフト化されたかご型エポキシ多面体オリゴマーシルセスキオキサン(EP-POSS)、ホウ酸(BA)、四塩化珪素(SiCl)から選ばれる1種又は複数種を採用し、好ましくはエポキシグラフト化されたかご型エポキシ多面体オリゴマーシルセスキオキサン(EP-POSS)である。開始剤は二次液注入量の0.01wt.%-0.4wt.%を占め、好ましくは0.05wt.%-0.1wt.%を占め、2,2-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ABVN)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(AIBME)、ジベンゾイルペルオキシド(BPO)から選ばれる1種又は複数種を採用する。液注入後にエージングを実施し、エージング温度が20℃-50℃であり、好ましくは25±5℃であり、エージング時間が24±2hである。エージング後に現場重合温度が58℃-65℃であり、現場重合時間が1.25h-3hである。電解液における特定の添加剤は長時間で持続する高温で不安定であり、容易にプレート材料と望まない分解副反応を行う。そのため、温度が高すぎず、時間が長すぎないように管理する。その後、通常の容量等級付け工程を行い、完成品のバッテリーセルを製造する。
【0042】
以下、実施例に合わせて、本発明を詳しく説明する。下記実施例は、当業者が本発明を深く理解するためのものであるが、任意の形態で本発明を限定するものではない。当業者にとって、本発明のアイデアを逸脱することなく、幾つかの調整や改善を行ってもよい。これらは本発明の保護範囲にある。
【0043】
実施例1
ドライバッテリーセルをベーキングしてから一次液注入を行い、一般リチウム電池の液状電解液450gを注入する。一般電解液として、炭酸エチレン(EC):炭酸エチルメチル(EMC):炭酸ジエチル(DEC):ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF):リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI):ジフルオロリン酸リチウム(LiPO):炭酸フルオロエチレン(FEC):硫酸エチレン(DTD)=22:28.2:20:12:12:0.5:4.5:0.8を採用し、全て質量パーセンテージ(wt.%)である。一次液注入後にエージングを行い、エージング温度が45℃であり、エージング時間が24hである。その後、高温高圧条件(温度が40±5℃であり、圧力が治具で2000Nとなるように制御)で電池に対してフォーメーションを行う。フォーメーション後に二次液注入を行い、二次液注入量が50gであり、構成として炭酸ビニレン(VC):リン酸トリプロパルギル(TPP):エポキシグラフト化されたかご型エポキシ多面体オリゴマーシルセスキオキサン(EP-POSS):2,2-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN):ジベンゾイルペルオキシドBPO=87.1:2.9:9.9:0.08:0.02であり、全て質量パーセンテージ(wt.%)である。25℃でエージングを24h行ってから、電池を60℃高温雰囲気に置き、ゲル反応を2h行い、電解液のゲル重合により半固体ゲル電解質が形成された。最後に室温条件で容量等級付けを行い、完成品のバッテリーセルを得る。
【0044】
図2は本実施例により得られた半固体電池の25℃ 50%SOC 3C DCIRグラフである。具体的には、方法として、電池を50%SOCに調整してから、25℃オーブンに置き、3Cの電流で電池に対して放電し、放電時間が30sであり、放電時間を横軸とし、電圧を縦軸とし、グラフを作成する。計算により、該電池のインピーダンスは53.3mΩであり、液体電池のインピーダンスに相当する。
【0045】
実施例2-実施例5
実施例2-実施例5は現場重合型低インピーダンス半固体電池の製造方法を提供し、基本的に実施例1と同様であり、具体的には、液注入量と電解液構成が表1に示される。
【0046】
実施例6-実施例7
実施例6-実施例7は現場重合型低インピーダンス半固体電池の製造方法を提供し、可塑剤種類の違い以外は、その他の仕様が実施例1と同様であり、具体的には、液注入量と電解液構成が表2に示される。
【0047】
比較例1
ドライバッテリーセルをベーキングしてから、電解液500g(本比較例の電解液は一般電解液と重合体モノマーと可塑剤と開始剤との混合物である)を注入し、一次液注入の電解液の構成としてEC:EMC:DEC:LiPF:LiFSI:LiPO:FEC:DTD:VC:TPP:EP-POSS:AIBN:BPO=19.8:25.38:18:10.8:10.8:0.45:4.05:0.72:8.71:0.29:0.99:0.008:0.002であり、全て質量パーセンテージ(wt.%)である。液注入後にエージングを行い、エージング温度が45℃であり、エージング時間が24hである。その後、電池を60℃高温雰囲気に置き、ゲル反応を2h行い、電解液のゲル重合により半固体ゲル電解質が形成された。その後、高温高圧条件(温度が40±5℃であり、圧力が治具で2000Nとなるように制御)で電池に対してフォーメーションを行い、25℃条件でエージングを24h行い、室温条件で容量等級付けを行い、完成品のバッテリーセルを得る。
【0048】
比較例2
ドライバッテリーセルをベーキングしてから、一般リチウム電池の液状電解液450gを注入する。一般電解液として、EC:EMC:DEC:LiPF:LiFSI:LiPO:FEC:DTD=22:28.2:20:12:12:0.5:4.5:0.8を採用し、全て質量パーセンテージ(wt.%)である。一次液注入後にエージングを行い、エージング温度が45℃であり、エージング時間が24hである。その後、高温高圧条件(温度が40±5℃であり、圧力が治具で2000Nとなるように制御)で電池に対してフォーメーションを行う。フォーメーション後に二次液注入を行い、二次液注入量が50gであり、構成としてVC:トリメチレンカーボネート(TMC):EP-POSS:AIBN:BPO=87.1:2.9:9.9:0.08:0.02であり、全て質量パーセンテージ(wt.%)である。25℃でエージングを24h行ってから、電池を60℃高温雰囲気に置き、ゲル反応を2h行い、電解液のゲル重合により半固体ゲル電解質が形成された。最後に室温条件で容量等級付けを行い、完成品のバッテリーセルを得る。
【0049】
比較例3
ドライバッテリーセルをベーキングしてから、一般リチウム電池の液状電解液450gを注入する。一般電解液として、EC:EMC:DEC:LiPF:LiFSI:LiPO:FEC:DTD=22:28.2:20:12:12:0.5:4.5:0.8を採用し、全て質量パーセンテージ(wt.%)である。一次液注入後にエージングを行い、エージング温度が45℃であり、エージング時間が24hである。その後、高温高圧条件(温度が40±5℃であり、圧力が治具で2000Nとなるように制御)で電池に対してフォーメーションを行う。フォーメーション後に二次液注入を行い、二次液注入量が50gであり、構成として、VC:TPP:ブタンジニトリル(SN):AIBN:BPO=87.1:2.9:9.9:0.08:0.02であり、全て質量パーセンテージ(wt.%)である。25℃でエージングを24h行ってから、電池を60℃高温雰囲気に置き、ゲル反応を2h行い、電解液のゲル重合により半固体ゲル電解質が形成された。最後に室温条件で容量等級付けを行い、完成品のバッテリーセルを得る。
【0050】
比較例4
ドライバッテリーセルをベーキングしてから、一般リチウム電池の液状電解液450gを注入する。一般電解液として、EC:EMC:DEC:LiPF:LiFSI:LiPO:FEC:DTD=22:28.2:20:12:12:0.5:4.5:0.8を採用し、全て質量パーセンテージ(wt.%)である。一次液注入後にエージングを行い、エージング温度が45℃であり、エージング時間が24hである。その後、高温高圧条件(温度が40±5℃であり、圧力が治具で2000Nとなるように制御)で電池に対してフォーメーションを行う。フォーメーション後に二次液注入を行い、二次液注入量が50gであり、構成としてVC:EP-POSS:AIBN:BPO=90:9.9:0.08:0.02であり、全て質量パーセンテージ(wt.%)である。25℃でエージングを24h行ってから、電池を60℃高温雰囲気に置き、ゲル反応を2h行い、電解液のゲル重合により半固体ゲル電解質が形成された。最後に室温条件で容量等級付けを行い、完成品のバッテリーセルを得る。
【0051】
比較例5
ドライバッテリーセルをベーキングしてから、一般リチウム電池の液状電解液450gを注入する。一般電解液として、EC:EMC:DEC:LiPF6:LiFSI:LiPO:FEC:DTD=22:28.2:20:12:12:0.5:4.5:0.8を採用し、全て質量パーセンテージ(wt.%)である。一次液注入後にエージングを行い、エージング温度が45℃であり、エージング時間が24hである。その後、高温高圧条件(温度が40±5℃であり、圧力が治具で2000Nとなるように制御)で電池に対してフォーメーションを行う。フォーメーション後に二次液注入を行い、二次液注入量が50gであり、構成として、VC:Tert-ブチルペルオキシド=99.5:0.5(質量パーセンテージ(wt.%))であり、全て質量パーセンテージ(wt.%)である。25℃でエージングを24h行ってから、電池を60℃高温雰囲気に置き、ゲル反応を2h行い、電解液のゲル重合により半固体ゲル電解質が形成された。最後に室温条件で容量等級付けを行い、完成品のバッテリーセルを得る。tert-ブチルペルオキシドの構造式は
【0052】
【化1】
【0053】
である。
【0054】
性能テスト:各実施例及び比較例により得られた電池を50%SOCに調整してから、25℃オーブンに置き、3Cの電流で電池に対して放電し、放電時間が30sであり、放電時間を横軸とし、電圧を縦軸とし、グラフを作成する。各実施例及び比較例にかかる電池のインピーダンスを算出し、具体的には、インピーダンス値が表1及び表2に示される通りである。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
実施例1-実施例7にかかる電池のインピーダンスが液体電池のインピーダンスに近いことから、本発明の製造方法により半固体電池のインピーダンスを効果的に低下させ得る。
【0058】
実施例1と実施例4と実施例6と実施例7との区別は可塑剤の違いである。実験結果によれば、実施例1は可塑剤としてEP-POSSを利用することで、インピーダンスの低下に繋がる。
【0059】
実施例1と実施例2と実施例3との区別は二次液注入量に占める重合体モノマーの質量パーセンテージの違いである。実験結果によれば、実施例1は二次液注入量に占める重合体モノマーの質量パーセンテージを80wt.%-90wt.%に管理することで、インピーダンスの低下に繋がる。
【0060】
実施例1と実施例5との区別は二次液注入量と一次液注入量との違いである。実験結果によれば、実施例1は二次液注入量を一次液注入量の10wt.%-15wt.%に管理することで、インピーダンスの低下に繋がる。
【0061】
実施例1と比較例1との区別は比較例1では2回に分けて液注入を行っていないことである。結果によれば、実施例1にかかる電池のインピーダンスが比較例1にかかる電池のインピーダンスより明らかに低いことから、本発明の製造方法により半固体電池のインピーダンスを効果的に低下させ得る。
【0062】
実施例1と比較例2、4との区別は、比較例2では補助の重合体モノマーとしてTPPを利用せずTMCを利用するが、比較例4では補助の重合体モノマーを利用していないことである。結果によれば、実施例1にかかる電池のインピーダンスが比較例2、4にかかる電池のインピーダンスより低いことから、補助の重合体モノマーとしてTPPを利用することで、半固体電池のインピーダンスを効果的に低下させ得る。
【0063】
実施例1、4、6、7と比較例3との区別は比較例3では可塑剤としてSNを利用することである。結果によれば、実施例1、4、6、7にかかる電池のインピーダンスが比較例3にかかる電池のインピーダンスより低いことから、可塑剤としてTEOS、EP-POSS、BA又はSiClを利用することで、半固体電池のインピーダンスを効果的に低下させ得る。
【0064】
実施例1と比較例5との区別は、比較例5では補助の重合体モノマーを利用していないが、開始剤としてtert-ブチルペルオキシドを利用することである。結果によれば、実施例1にかかる電池のインピーダンスが比較例5にかかる電池のインピーダンスより低いことから、補助の重合体モノマーを開始剤AIBN及びBPOと併用することで、半固体電池のインピーダンスを効果的に低下させ得る。
【0065】
以上、本発明の具体的な実施例について説明した。本発明は、上記実施形態に限定されず、当業者が本発明の実質的な内容に影響を与えない前提で、請求範囲内で様々な変形又は修正を行っても良い。
図1
図2