(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078443
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】DCコンバーターのスイッチング回路のための適応無駄時間制御
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023200368
(22)【出願日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】63/385,332
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/380,774
(32)【優先日】2023-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517216431
【氏名又は名称】コルボ ユーエス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】ノガワ,マサシ
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730AS04
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB57
5H730DD04
5H730DD15
5H730FD01
5H730FG05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スイッチコンバーターを提供する。
【解決手段】スイッチコンバーター100において、一次スイッチ114及び二次スイッチ116を有するスイッチング回路101は、ハイパスフィルタ108A、108Bと、スイッチ制御回路112A、112Bと、トリガ回路110A、110Bと、を備えるドライバ回路102と、を含む。出力フィルタ104は、スイッチング回路に接続される。スイッチ制御回路は、出力フィルタがDC電圧及び有効化信号を発生させるように、一次スイッチ及び二次スイッチの動作を制御する。ハイパスフィルタは、フィードバック信号を受信し、一次スイッチ及び二次スイッチの両方が同時に開いている無駄時間中に発生させられるフィードバック信号により、スイッチング回路のスイッチング事象を検出する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチモードパワーコンバーターであって、
ハーフブリッジ構成で接続された一次スイッチおよび二次スイッチを含むスイッチング回路と、
前記一次スイッチと前記二次スイッチとの間のノードで前記スイッチング回路に接続された出力フィルタと、
前記一次スイッチの開閉を制御するように構成された一次スイッチ制御回路と、
前記二次スイッチの開閉を制御するように構成された二次スイッチ制御回路と、
前記出力フィルタが、直流(DC)電圧を前記スイッチング回路から発生させるように、有効化信号を前記一次スイッチ制御回路に出力するように構成された変換制御回路と、
フィードバック信号を発生させるために、前記スイッチング回路または前記出力フィルタに結合されたハイパスフィルタであって、スイッチ遷移事象は、前記一次スイッチの開状態に応答して、前記フィードバック信号内に提供される、ハイパスフィルタと、
前記フィードバック信号を前記ハイパスフィルタから受信するように構成され、前記スイッチ遷移事象に応答して、トリガ信号を第一の信号状態から第二の信号状態に切り替えるように構成されるトリガ回路であって、前記二次スイッチ制御回路は、前記トリガ信号が、前記第一の信号状態から前記第二の信号状態に切り替わることに応答して、前記二次スイッチを閉じるように構成される、トリガ回路と、
前記変換制御回路を前記一次スイッチ制御回路と前記二次スイッチ制御回路から絶縁するが、前記ハイパスフィルタを前記トリガ回路から絶縁しない、一つ以上のアイソレータと、を備える、スイッチモードパワーコンバーター。
【請求項2】
前記一次スイッチは、ハイサイドスイッチであり、前記二次スイッチは、ローサイドスイッチである、請求項1に記載のスイッチモードパワーコンバーター。
【請求項3】
前記一次スイッチは、ローサイドスイッチであり、前記二次スイッチは、ハイサイドスイッチである、請求項1に記載のスイッチモードパワーコンバーター。
【請求項4】
前記トリガ回路は、コンパレータを備える、請求項1に記載のスイッチモードパワーコンバーター。
【請求項5】
前記コンパレータの反転端子は、前記フィードバック信号を受信するように構成され、
前記コンパレータの非反転端子は、DC電圧レベルを有するDC基準電圧を受信し、
前記コンパレータは、第一の極性を有する前記フィードバック信号に応答して、コンパレータ出力を高電圧状態で発生させる、請求項4に記載のスイッチモードパワーコンバーター。
【請求項6】
前記トリガ回路は、SRラッチをさらに備え、
前記SRラッチの第一の入力端子は、前記コンパレータの前記コンパレータ出力を受信し、
前記SRラッチの第二の入力端子は、パルス幅変調(PWM)信号を示すイネーブル信号を受信する、請求項5に記載のスイッチモードパワーコンバーター。
【請求項7】
前記トリガ回路は、ANDゲートをさらに備え、
前記ANDゲートの第一の入力端子は、前記SRラッチの出力を受信し、
前記ANDゲートの第二の入力端子は、前記イネーブル信号を受信し、
前記ANDゲートは、前記トリガ信号を発生させるように構成される、請求項6に記載のスイッチモードパワーコンバーター。
【請求項8】
前記トリガ回路は、前記トリガ信号が起動状態であることに応答して前記二次スイッチを閉じるように構成される、前記トリガ信号を提供するように構成される、請求項1に記載のスイッチモードパワーコンバーター。
【請求項9】
前記一つ以上のアイソレータは、変圧器を備える、請求項1に記載のスイッチモードパワーコンバーター。
【請求項10】
前記スイッチモードパワーコンバーターは、ブースト構成である、請求項1に記載のスイッチモードパワーコンバーター。
【請求項11】
前記スイッチモードパワーコンバーターは、バック構成である、請求項1に記載のスイッチモードパワーコンバーター。
【請求項12】
スイッチングコンバーターであって、
第一の直流(DC)電圧を受けるように構成され、ハーフブリッジ構成で接続された一次スイッチおよび二次スイッチを含む、スイッチング回路と、
前記スイッチング回路に接続された第一の出力フィルタであって、前記スイッチング回路は、前記第一の出力フィルタが第二のDC電圧を前記第一のDC電圧から発生させるように、前記一次スイッチおよび前記二次スイッチを開閉するように構成される、第一の出力フィルタと、
フィードバック信号を発生させるために、前記スイッチング回路または前記第一の出力フィルタに結合されたハイパスフィルタであって、スイッチ遷移事象は、前記一次スイッチの開状態に応答して、前記フィードバック信号内に提供される、ハイパスフィルタと、
前記フィードバック信号を前記ハイパスフィルタから受信するように構成され、スイッチ遷移事象に応答して、トリガ信号を第一の信号状態から第二の信号状態に切り替えるように構成されたトリガ回路であって、前記スイッチング回路は、前記トリガ信号が前記第一の信号状態から前記第二の信号状態に切り替わることに応答して、前記二次スイッチを閉じるように構成される、トリガ回路と、を備え、
前記トリガ回路と前記スイッチング回路との間にアイソレータが提供されない、スイッチングコンバーター。
【請求項13】
前記スイッチング回路が、
ハイサイドスイッチである前記一次スイッチと、
ローサイドスイッチである前記二次スイッチと、を備える、請求項12に記載のスイッチングコンバーター。
【請求項14】
前記スイッチング回路が、
ローサイドスイッチである前記一次スイッチと、
ハイサイドスイッチである前記二次スイッチと、を備える、請求項12に記載のスイッチングコンバーター。
【請求項15】
前記トリガ回路は、コンパレータを備える、請求項12に記載のスイッチングコンバーター。
【請求項16】
前記コンパレータの反転端子は、前記フィードバック信号を受信するように構成され、
前記コンパレータの非反転端子は、DC電圧レベルを有するDC基準電圧を受信し、
前記コンパレータは、第一の極性を有する前記フィードバック信号に応答して、コンパレータ出力を高電圧状態で発生させる、請求項15に記載のスイッチングコンバーター。
【請求項17】
前記トリガ回路は、SRラッチをさらに備え、
前記SRラッチの第一の入力端子は、前記コンパレータの前記コンパレータ出力を受信し、
前記SRラッチの第二の入力端子は、パルス幅変調(PWM)信号を示すイネーブル信号を受信する、請求項16に記載のスイッチングコンバーター。
【請求項18】
前記トリガ回路は、ANDゲートをさらに備え、
前記ANDゲートの第一の入力端子は、前記SRラッチの出力を受信し、
前記ANDゲートの第二の入力端子は、前記イネーブル信号を受信し、
前記ANDゲートは、前記トリガ信号を発生させるように構成される、請求項17に記載のスイッチングコンバーター。
【請求項19】
第一のモードでは、前記スイッチングコンバーターは、ブースト構成で動作し、第二のモードでは、前記スイッチングコンバーターは、バック構成で動作する、請求項12に記載のスイッチングコンバーター。
【請求項20】
スイッチコンバーターを操作する方法であって、
出力フィルタおよびスイッチング回路を使用して、直流(DC)電圧を発生させることであって、前記スイッチング回路が、一次スイッチおよび二次スイッチを備える、発生させること、
有効化信号が有効化状態であることに応答して、前記一次スイッチを開けること、
フィードバック信号を、前記スイッチング回路または前記出力フィルタから受信すること、
前記二次スイッチが開状態のままである間に、前記一次スイッチが開状態であることに応答して、前記フィードバック信号内のスイッチング遷移事象を検出すること、および
前記スイッチング遷移事象および前記有効化信号が前記有効化状態であることに応答して、前記二次スイッチを閉じること、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本出願は、2022年11月29日出願の仮特許出願第63/385,332号の利益を主張するものであり、その開示は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
スイッチコンバーターは、第一の電圧レベルのDC入力電圧を、第二の電圧レベルのDC出力電圧に効率的に変換するために使用される。スイッチコンバーターは、一次スイッチおよび二次スイッチを開閉し、スイッチコンバーターの出力を、出力フィルタ(通常はLCフィルタ)でフィルタリングすることによって、この変換作業を行う。スイッチコンバーターが短絡を引き起こすのを防止するために、一次スイッチおよび二次スイッチを同時に閉じてはならない。したがって、任意のスイッチサイクルの間、一次スイッチおよび二次スイッチを両方とも開状態にした後に、一次スイッチを閉じ、二次スイッチは開いて、または一次スイッチは開いて、二次スイッチを閉じる。しかしながら、一次スイッチおよび二次スイッチの両方が開状態の場合、二次スイッチは、(二次スイッチの本体ダイオードを使用して)ダイオードモードを操作する。高電力レベルでは、二次スイッチの本体ダイオードを通って流れる電流は、電力を消費し、したがって、非効率性を生み出す。
【発明の概要】
【0003】
スイッチコンバーターの実施形態を開示する。一部の実施形態では、スイッチコンバーターは、スイッチング回路と、出力フィルタと、ハイパスフィルタと、スイッチ制御回路と、トリガ回路と、を含む。スイッチング回路は、ハーフブリッジ構成で接続された一次スイッチおよび二次スイッチを含む。出力フィルタは、スイッチング回路に接続される。スイッチ制御回路は、出力フィルタが、一次スイッチが開状態であることに応答して、直流(DC)電圧を発生させ、有効化信号を有効化状態で発生させるように、一次スイッチおよび二次スイッチの開閉を制御するように構成される。ハイパスフィルタは、フィードバック信号を受信するように構成され、ハイパスフィルタは、二次スイッチが開状態のままである間に、一次スイッチが開状態であることに応答して、発生させられるフィードバック信号のスイッチング遷移エッジをフィルタリングして取り除くように構成される。トリガ回路は、遷移エッジおよび有効化状態である有効化信号に応答して、トリガ信号を起動状態で発生させるように構成される。スイッチング回路は、トリガ信号が起動状態であることに応答して、二次スイッチを閉じるように構成される。
【0004】
別の態様では、前述の態様のいずれかを、個別にまたは一緒に、および/または本明細書に記載される様々な別個の態様および特徴を、さらなる利点のために組み合わせてもよい。本明細書に開示する様々な特徴および要素のいずれも、本明細書にこれと反対の指示がない限り、一つ以上の他の開示された特徴および要素と組み合わせることができる。
【0005】
当業者であれば、添付図面に関連して好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、本開示の範囲を理解し、その追加的な態様を認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付図面は、本開示のいくつかの態様を示し、明細書と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0007】
【
図1A】
図1Aは、一部の実施形態に係る、スイッチコンバーターのブロック図である。
【0008】
【
図1B】
図1Bおよび
図1Cは、一部の実施形態に係る、ブースト構成の
図1Aのドライバ回路、スイッチ、およびスイッチの簡略化されたブロック図である。
【0009】
【0010】
【0011】
【
図2】
図2は、一部の実施形態に係る、ハイパスフィルタおよびトリガ回路の動作を示す電圧波形を示す。
【0012】
【
図3】
図3は、一部の実施形態に係る、スイッチコンバーターを操作する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に記載される実施形態は、当業者が実施形態を実践することを可能にするために必要な情報を表し、実施形態を実践する最適なモードを例示する。添付図面を鑑みて以下の説明を読んだ後、当業者は、本開示の概念を理解し、本明細書に特に記載されていないこれらの概念の用途を認識するであろう。これらの概念および用途が、本開示の範囲および付随する特許請求の範囲に含まれることは、理解されるべきである。
【0014】
本明細書では、第一の~、第二の~等の用語を使用して様々な要素を説明し得るが、これらの要素が、これらの用語によって限定されるべきではないことは理解されよう。これらの用語は、一つの要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第一の要素を第二の要素と称し得、同様に、第二の要素を第一の要素と称し得る。本明細書で使用する用語「および/または」は、関連する列挙された項目のうちの一つ以上のあらゆるすべての組み合わせを含む。
【0015】
層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上に」ある、または「上へ」延在すると言及される場合、別の要素の直接上にある、または直接上へ延在する、または介在する要素も存在し得ることが理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」ある、または「直接上へ」延在すると言及される場合、介在要素は存在しない。同様に、層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上に」ある、または「上に」延在すると言及される場合、別の要素の直接上にある、または直接上に延在する、または介在要素も存在し得ることは理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」ある、または「直接上に」延在すると言及される場合、介在要素は存在しない。また、ある要素が別の要素に「接続」または「結合」していると称される場合、他の要素に直接接続もしくは結合する、または介在要素が存在することも理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続している」または「直接結合している」と称される場合、介在要素は存在しない。
【0016】
「~より下」もしくは「~より上」、または「上の」もしくは「下の」、または「水平の」もしくは「垂直の」などの相対的用語は、本明細書では、例示するように、一つの要素、層、または領域と、別の要素、層、または領域との関係を説明するために使用されることができる。これらの用語および上述した語句は、図に描写された配向に加えて、装置の異なる配向を包含することが意図されていることは理解される。
【0017】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を記述する目的のみに使用され、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって別途明確に示されない限り、複数形も含むことが意図される。用語「comprises(備える)」、「comprising(備える)」、「includes(含む)」、および/または「including(含む)」は、本明細書で使用する場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/またはそのグループの存在または追加を妨げないことは、さらに理解されるであろう。
【0018】
別途定義されない限り、本明細書で使用するすべての用語(技術用語および学術用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書で使用する用語が、本明細書および関連技術の文脈において、その意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書に明示的に定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されないことは、さらに理解されるであろう。
【0019】
本明細書では、本開示の実施形態の概略図を参照して、実施形態を説明する。このため、層および要素の実際の寸法は異なり得、例えば、製造技術および/または公差の結果として、図の形状とは異なることが予想される。例えば、正方形または長方形として例示または説明されている領域は、丸いまたは湾曲した特徴を有し得、直線として示されている領域には、多少の凹凸がある可能性がある。したがって、図示する領域は概略的なものであり、その形状はデバイスの領域の正確な形状を例示することを意図したものでもなく、本開示の範囲を限定することを意図したものでもない。さらに、構造または領域の大きさは、説明の目的で他の構造または領域と比較して誇張される場合があり、したがって、本主題の一般的な構造を説明するために提供され、縮尺通りに描かれる場合とそうでない場合がある。図面間の共通の要素は、本明細書では共通の要素番号で示され、後で再度説明することはない。
【0020】
スイッチコンバーターの実施形態を開示する。スイッチコンバーターは、スイッチング回路に結合された出力フィルタと、スイッチング回路内の一次スイッチおよび二次スイッチを開閉するためのスイッチ制御回路と、を含む。短絡を防止するために、一次スイッチおよび二次スイッチは、スイッチングサイクル中に常に両方とも開かれる。スイッチ制御回路は、一次スイッチが一旦開かれると、イネーブル信号を有効化状態で発生させ、これは、二次スイッチがその時点で閉じられる準備ができていることを示す。ハイパスフィルタは、一次スイッチが、二次スイッチが開状態のままである間に、開状態になることに応答して、発生させられるフィードバック信号のスイッチング遷移をフィルタリングする。トリガ回路は、スイッチング遷移および有効化状態である有効化信号に応答して、トリガ信号を起動状態で発生させるように構成される。スイッチング回路は、トリガ信号が起動状態であることに応答して、二次スイッチを閉じるように構成される。高電圧および高電力システムでは、一次スイッチ、二次スイッチ、およびスイッチング制御回路にわたり、信号への大きな伝搬遅延がある。本発明は、二次スイッチが、他のブロック(一次スイッチおよびスイッチ制御回路)と通信することなく、その電源オンタイミングを検出することを提案する。これにより、スイッチ制御回路がスイッチを閉じるのを待機する必要がなく、二次スイッチを閉じることができる。結果として、二次スイッチは、より早く閉じられ、したがって、二次スイッチの本体ダイオードを通る電流によって浪費される電力が低減される。
【0021】
図1Aは、一部の実施形態に係る、スイッチコンバーター100のブロック図である。
【0022】
スイッチコンバーター100は、DC電圧DCINを受信し、DC電圧DCOUTを発生させるように構成される。DC電圧DCINのDC電圧レベルは、一部の実施形態に係る、DC電圧DCOUTのDC電圧レベルとは異なる。DC電圧DCOUTのDC電圧レベルは、スイッチコンバーター100を動作させる構成および方法に依存する。
【0023】
スイッチコンバーター100は、スイッチ回路101と、出力フィルタ104と、変換制御回路106と、を含む。スイッチング回路101は、ドライバ回路102と、スイッチ114と、スイッチ116と、を含む。ドライバ回路102は、スイッチ114およびスイッチ116が、開状態(非導電状態)および閉状態(導電状態)になるように、スイッチ114およびスイッチ116を動作させるように構成される。変換制御回路106は、出力フィルタ104がDC電圧DCOUTを発生させるように、スイッチ114、116の開閉を制御するように構成される。ドライバ回路102は、スイッチ114を開閉する制御電圧を発生させるように構成されるハイサイドドライバ回路102Aを含む。ドライバ回路102はまた、スイッチ116を開閉する制御電圧を発生させるように構成されるローサイドドライバ回路102Bを含む。スイッチ114は、ハイサイドスイッチと称される。スイッチ116は、ローサイドスイッチと称される。一部の実施形態では、スイッチ116は、接地される。
【0024】
図1Aでは、スイッチング回路102は、バック構成で動作するように構成される。このため、DC入力電圧DCINは、スイッチ114の電源入力(例えば、スイッチ114がN型FETである場合のドレイン)に接続されるノードDC1で受信されるように構成される。さらに、DC出力電圧DCOUTは、出力フィルタ104に接続された(例えば、パワーインダクタに接続された)ノードDC2で出力されるように構成される。他の実施形態では、スイッチング回路102は、ブースト構成である。ブースト構成では、DC入力電圧DCINは、DC2で受信され(出力フィルタ104のパワーインダクタに接続され)、ノードDC1から出力される(ブースト構成では、ノードDC1は、出力フィルタ104の分路コンデンサに接続される)。
【0025】
ドライバ回路102は、ハイサイドスイッチ114の開閉を操作するように構成されるハイサイドゲートドライバ回路102Aを含む。ハイサイドゲートドライバ回路102Aは、ハイパスフィルタ108Aと、トリガ回路110Aと、ハイサイドスイッチ制御回路112Aと、を含む。変換制御回路106は、パルス幅変調(PWM)信号PWMをハイサイドゲートドライバ回路102Aに提供するように構成される。アイソレータISO1は、変換制御回路106とハイサイドゲートドライバ回路102Aを絶縁するために提供される。一部の実施形態では、アイソレータISO1は、変圧器である。PWM信号PWMがアイソレータISO1を一旦通過すると、PWM信号PWMは、イネーブル信号ENAになる。イネーブル信号ENAは、PWM信号PWMに対して遅延し、アイソレータISO1によって、異なる電圧および電流レベルを有する。
【0026】
ドライバ回路102は、ローサイドスイッチ116の開閉を操作するように構成されるローサイドゲートドライバ回路102Bを含む。ローサイドゲートドライバ回路102Bは、ハイパスフィルタ108Bと、トリガ回路110Bと、ハイサイドスイッチ制御回路112Bと、を含む。変換制御回路106は、PWM信号PWMをローサイドゲートドライバ回路102Bに提供するように構成される。アイソレータISO2は、変換制御回路106とローサイドゲートドライバ回路102Bを絶縁するために提供される。一部の実施形態では、アイソレータISO2は、変圧器である。PWM信号PWMがアイソレータISO2を一旦通過すると、PWM信号PWMは、イネーブル信号ENBになる。イネーブル信号ENBは、PWM信号PWMに対して遅延し、アイソレータISO2によって、異なる電圧および電流レベルを有する。
【0027】
一部の実施形態では、変換制御回路106は、マイクロコントローラユニット(MCU)によって提供される。一部の実施形態では、スイッチ114は、電界効果トランジスタ(FET)である。一部の実施形態では、スイッチ114は、Nチャネル型FET(NFET)である。一部の実施形態では、スイッチは、炭化ケイ素(SiC)型の基板またはヒ化ガリウム(GaN)基板を有するNFETである。一部の実施形態では、スイッチ114は、接合ゲートFET(JFET)である。SiCおよびGaNは、DC電圧DCINおよびDC電圧DCOUTが100ボルト以上のDC電圧レベルを有する用途などの高電圧用途で利用される。
【0028】
一部の実施形態では、スイッチ116は、FETである。一部の実施形態では、スイッチ116は、NFETである。一部の実施形態では、スイッチは、SiC型の基板またはGaN基板を有するNFETである。一部の実施形態では、スイッチ116は、JFETである。SiCおよびGaNは、DC電圧DCINおよびDC電圧DCOUTが100ボルト以上のDC電圧レベルを有する用途などの高電圧用途で利用される。
【0029】
変換制御回路106は、ドライバ回路102に、スイッチ114およびスイッチ116を開閉させるように構成されるPWM信号PWMを発生させるように構成される。スイッチ114およびスイッチ116を開閉することによって、スイッチングノード電圧信号118は、DC電圧DCINから発生させられ、これは、出力フィルタ104に入力される。出力フィルタ104は、スイッチングノード118をフィルタリングして、DC電圧DCOUTを発生させる。スイッチングノード118の負荷サイクルは、DC電圧DCOUTのDC電圧レベルを決定する。本実施形態では、PWM信号PWMの負のエッジは、ハイサイドゲートドライバ回路102Aにスイッチ114を閉じさせ、ローサイドゲートドライバ回路102Bにスイッチ116を開けさせる。代替的な実施形態では、PWM信号PWMの正のエッジは、ハイサイドゲートドライバ回路102Aにスイッチ114を開けさせ、ローサイドゲートドライバ回路102Bにスイッチ116を閉じさせる。本実施形態では、PWM信号PWMの正のエッジは、ハイサイドゲートドライバ回路102Aにスイッチ114を開けさせ、ローサイドゲートドライバ回路102Bにスイッチ116を閉じさせる。代替的な実施形態では、PWM信号PWMの負のエッジは、ハイサイドゲートドライバ回路102Aにスイッチ114を閉じさせ、ローサイドゲートドライバ回路102Bにスイッチ116を開けさせる。
【0030】
変換制御回路106は、DC電圧ノードDC1およびDC2を変換するために、様々なスイッチング状態を通してスイッチング回路101を循環させる。ブースト構成では、DC2は入力(DCINと称する)であり、DC1は出力(DCOUTと称する)である。バック構成では、DC1は入力(DCIN)であり、DC2は出力(DCOUT)である。特に、第一のスイッチング状態では、一次スイッチは閉じられ、二次スイッチは開かれる。第二のスイッチング状態では、一次スイッチは開かれ、二次スイッチは閉じられる。スイッチング回路101が完全に同期されるとすれば、その後、第一のスイッチング状態および第二のスイッチング状態はすべて、DC電圧DCINをDC電圧DCOUTに変換するために、必要なものとなり得る。しかしながら、完全な同期が通常、達成可能ではないため、第三のスイッチング状態は、常に、第一のスイッチング状態から第二のスイッチング状態への切り替えの間、または第二のスイッチング状態と第一のスイッチング状態との間に追加される。より具体的には、一次スイッチおよび二次スイッチが同時に導電し短絡を引き起こすのを回避するために、一次スイッチおよび二次スイッチの両方を同時に開状態にすることは、回避されるべきである。第三のスイッチング状態では、一次スイッチおよび二次スイッチの両方は、開かれる。これにより、第三のスイッチング状態が常に、第一のスイッチング状態と第二のスイッチング状態との間に提供されるため、一次スイッチおよび二次スイッチの両方が、第一のスイッチング状態と第二のスイッチング状態との間で切り替わる場合、決して閉状態にならないことが確実になる。
【0031】
一部の実施形態では、スイッチ114、スイッチ116、および出力フィルタ104は、ブーストコンバーター(すなわち、ステップアップDCからDCコンバーター)として構成される。ブーストコンバーター構成では、一次スイッチがスイッチ116である一方、スイッチ114は、二次スイッチである。ブースト構成では、スイッチ116は、出力フィルタ104内のパワーインダクタに対して分路接続される。スイッチ116およびスイッチ114の両方が第三のスイッチング状態の間に開状態である場合、スイッチ114は、スイッチ114内の本体ダイオードにより電流が流れ続けることが可能になる点で、ダイオードとして動作する。しかしながら、スイッチ114にわたる大きな電圧降下に起因して、スイッチ114が高電圧動作においてダイオードとして長い間動作することは望ましくない。したがって、電力の無駄な消費を回避するために、スイッチ114を可能な限り早くオンにすることが望ましい。
【0032】
一部の実施形態では、スイッチ114、スイッチ116、および出力フィルタ104は、バックコンバーター(すなわち、ステップダウンDCからDCコンバーター)として構成される。バックコンバーター構成では、一次スイッチが、スイッチ114である一方、スイッチ116は、二次スイッチである。バック構成では、スイッチ114は、入力電圧DC1(すなわち、DCIN)に対して直列に接続される。スイッチ116およびスイッチ114の両方が開状態である場合、スイッチ116は、スイッチ116内の本体ダイオードにより、電流が出力フィルタ104内のパワーインダクタから流れ続けることが可能になる点で、ダイオードとして動作する。しかしながら、スイッチ116にわたる大きな電圧降下に起因して、スイッチ116が高電圧動作においてダイオードとして長い間動作することは望ましくない。したがって、電力の無駄な消費を回避するために、スイッチ116をできるだけ早くオンにして、第三のスイッチング状態を終了することが望ましい。一部の実施形態では、スイッチング回路101が、ブースト構成とバック構成との間で動作するように切り替え可能であることに留意されたい。
【0033】
ブースト構成では、スイッチ116が一次スイッチである一方、スイッチ114は、二次スイッチである。モード信号MODEは、ブースト構成を示す第一の信号状態、バック構成を示す第二の信号状態を有する。ブースト構成では、モード信号MODEは、トリガ回路110Aをオンにし、トリガ回路110Bをオフにする。有効化信号ENAは、PWM信号PWMとして提供され、アイソレータISO1によって決定される位相によって遅延される。
【0034】
ブースト構成の電力の無駄な消費を回避するために、ハイパスフィルタ108Aおよびトリガ回路110Aは、変換制御回路106がPWM信号PWMでスイッチ114をオンにするであろうよりも早くスイッチ114(すなわち、ブースト構成の二次スイッチ)をオンにするように動作する。これは、変換制御回路106および出力フィルタ104が、典型的には、任意のフィードバック信号を変換制御回路106に減速させる、アイソレータISO1(例えば、変圧器)によって接続されるためである。
【0035】
フィードバック信号FBAは、出力フィルタ104に結合されたノードから、ドライバ回路102から、またはスイッチ114、116に接続されたノードから受信される。フィードバック信号FBAは、出力フィルタ104内のパワーインダクタの出力として受信される。このため、フィードバック信号FBAは、両方のスイッチ114、116が開状態であることに応答して、信号(負または正の遷移エッジのいずれか)を有する。フィードバック信号FBAは、スイッチングノード信号118またはスイッチングノード信号118の導関数を示す。したがって、フィードバック信号FBAは、どのスイッチ114、116がドライバ回路102によって開かれるか、およびどのスイッチ114、116がドライバ回路102によって閉じられるかを示す。より具体的には、スイッチ114が開状態であることに応答して、フィードバック信号FBAは、スイッチング遷移事象を有する。ハイパスフィルタ108Aは、スイッチング遷移事象がトリガ回路110Aによって検出されるように、フィードバック信号FBAを発生させるように構成される。アイソレータISO1は、変換制御回路106をハイサイドスイッチ制御回路112Aとローサイドスイッチ制御回路112Bから絶縁するが、ハイパスフィルタ108Aをトリガ回路110Aから絶縁しない。
【0036】
トリガ回路110Aは、フィードバック信号FBAにおいて遷移性のスイッチング事象に応答して、トリガ信号ASAを起動状態で発生させるように構成される。スイッチング遷移は、スイッチングノード信号118のエッジによって引き起こされる。本実施形態では、トリガ回路110Aは、ブースト構成(モード信号MODEによって示されるように)の正のエッジを検出するように構成される。ブースト構成では、トリガ信号ASAは、フィードバック信号FBA内の正の遷移エッジに応答して、検出状態であり、負の遷移エッジがフィードバック信号FBA内に存在しない場合、非検出状態である。
【0037】
遷移性のスイッチング事象に応答して、トリガ信号ASAは、停止状態から起動状態に切り替えられる。ハイサイドスイッチ制御回路112Aは、停止状態から起動状態に切り替わるトリガ信号ASAの遷移(すなわち、信号エッジ)に応答して、スイッチ114を閉じるように構成される。アイソレータISO1がフィードバックループ内にないため、スイッチ114は、より速く閉じられ、したがって、消費電力は少なくなる。
【0038】
バック構成では、スイッチ114が一次スイッチである一方、スイッチ116は、二次スイッチである。モード信号MODEは、ブースト構成を示す第一の信号状態、バック構成を示す第二の信号状態を有する。バック構成では、モード信号MODEは、トリガ回路110Bをオンにし、トリガ回路110Aをオフにする。有効化信号ENBは、PWM信号PWMとして提供され、180度の位相シフトに加えて、アイソレータISO2によって決定される位相によって遅延される。
【0039】
バック構成の電力の無駄な消費を回避するために、ハイパスフィルタ108Bおよびトリガ回路110Bは、変換制御回路106がPWM信号PWMでスイッチ114をオンにするであろうよりも早くスイッチ114(すなわち、バック構成の二次スイッチ)をオンにするように動作する。これは、変換制御回路106および出力フィルタ104が、典型的には、任意のフィードバック信号を変換制御回路106に減速させる、アイソレータISO2(例えば、変圧器)によって接続されるためである。
【0040】
フィードバック信号FBBは、出力フィルタ104に結合されたノードから、ドライバ回路102から、またはスイッチ114、116に接続されたノードから受信される。フィードバック信号FBBは、出力フィルタ104内のパワーインダクタの出力として受信される。このため、フィードバック信号FBBは、両方のスイッチ114、116が開状態であることに応答して、信号(負または正の遷移エッジのいずれか)を有する。フィードバック信号FBBは、スイッチングノード信号118またはスイッチングノード信号118の導関数を示す。したがって、フィードバック信号FBBは、どのスイッチ114、116がドライバ回路102によって開かれるか、およびどのスイッチ114、116がドライバ回路102によって閉じられるかを示す。より具体的には、スイッチ114が開状態であることに応答して、フィードバック信号FBBは、スイッチング遷移事象を有する。ハイパスフィルタ108Bは、スイッチング遷移事象がトリガ回路110Bによって検出されるように、フィードバック信号FBBを発生させるように構成される。アイソレータISO2は、変換制御回路106をハイサイドスイッチ制御回路112Aとローサイドスイッチ制御回路112Bから絶縁するが、ハイパスフィルタ108Bをトリガ回路110Bから絶縁しない。
【0041】
トリガ回路110Bは、フィードバック信号FBBにおいて遷移性のスイッチング事象に応答して、トリガ信号ASBを起動状態で発生させるように構成される。スイッチング遷移は、スイッチングノード信号118のエッジによって引き起こされる。本実施形態では、トリガ回路110Bは、バック構成(モード信号MODEによって示されるように)の負のエッジを検出するように構成される。バック構成では、トリガ信号ASBは、フィードバック信号FBB内の負の遷移エッジに応答して、検出状態であり、負の遷移エッジがフィードバック信号FBB内に存在しない場合、非検出状態である。
【0042】
遷移性のスイッチング事象に応答して、トリガ信号ASBは、停止状態から起動状態に切り替れられる。ローサイドスイッチ制御回路112Bは、停止状態から起動状態に切り替わるトリガ信号ASBの遷移(すなわち、信号エッジ)に応答して、スイッチ116を閉じるように構成される。アイソレータISO2がフィードバックループ内にないため、スイッチ116は、より速く閉じられ、したがって、消費電力は少なくなる。
【0043】
図1Bおよび
図1Cは、一部の実施形態に係る、ブースト構成の
図1Aのドライバ回路102、スイッチ114、およびスイッチ116の簡略化されたブロック図である。
【0044】
ブースト構成では、
図1Bに示すように、論理回路110Aは、スイッチ114が二次スイッチであるため、トリガ信号ASAをハイサイドドライバ回路112Aにルーティングする。論理回路110Aはまた、PWM信号PWMをハイサイドドライバ回路112Aおよびローサイドゲートドライバ回路112Bにルーティングする。一部の実施形態では、論理回路110Aは、PWM信号PWMの反転バージョンをハイサイドゲートドライバ回路112Aに送信し、PWM信号PWMの非反転バージョンをローサイドゲートドライバ回路112Bに送信する。
【0045】
トリガ信号ASAは、メインスイッチ(すなわち、ブースト構成のスイッチ116)が開状態であることに応答して、起動状態である。したがって、スイッチ114は開状態の準備が整い、トリガ信号ASAは起動状態で発生させられる。トリガ信号ASAの起動状態に応答して、スイッチ114は、開状態から閉状態に切り替わる。
【0046】
バック構成では、
図1Cに示すように、論理回路110Bは、スイッチ116が二次スイッチであるため、トリガ信号ASBをローサイドドライバ回路112Bにルーティングする。論理回路110Bはまた、PWM信号PWMをハイサイドドライバ回路112Aおよびローサイドゲートドライバ回路112Bにルーティングする。一部の実施形態では、論理回路110Bは、PWM信号PWMの非反転バージョンをハイサイドゲートドライバ回路112Aに送信し、PWM信号PWMの反転バージョンをローサイドゲートドライバ回路112Bに送信する。
【0047】
トリガ信号ASBは、メインスイッチ(すなわち、バック構成のスイッチ114)が開状態であることに応答して、起動状態である。したがって、スイッチ116は開状態の準備が整い、トリガ信号ASBは起動状態で発生させられる。トリガ信号ASBの起動状態に応答して、スイッチ116は、開状態から閉状態に切り替わる。
【0048】
図1Bおよび
図1Cは、一部の実施形態に係る、ブースト構成およびバック構成のトリガ回路110A、110Bの簡略化されたブロック図である。
図1Dは、一部の実施形態に係る、
図1Aのトリガ回路110Aのための信号図である。
図1Eは、一部の実施形態に係る、
図1Bのトリガ回路110Bのための信号図である。
【0049】
図1Bは、一部の実施形態に係る、ハイサイドドライバ回路102Aの実施形態を示す。
【0050】
ハイサイドドライバ回路102Aは、トリガ回路110Aの実施形態を示す。トリガ回路110Aは、コンパレータ150Aと、NANDゲート154Aと、NANDゲート156Aと、ANDゲート168Aと、を含む。出力フィルタ104は、パワーインダクタ120およびコンデンサ122を有するものとして示される。本実施形態では、フィードバック信号FBAは、上述のように、スイッチ114、116から発生させられたPWM信号118のフィードバックである。ハイパスフィルタ108Aは、直列接続コンデンサおよび抵抗器であり、フィードバック信号FBAは、コンデンサと抵抗器との間の中間ノードで発生させられる。本実施形態では、フィードバック信号FBAは、フィードバック電圧である。ハイパスフィルタ108Aによって一旦フィルタリングされると、フィードバック信号FBAは、
図1Dに示すように、PWM信号118の電圧の導関数に従って設定されるフィードバック信号レベルを有する。
【0051】
ブースト構成のコンパレータ150Aに関して、コンパレータ150Aの反転端子は、フィードバック信号FBAを受信するように構成される。ブースト構成では、非反転端子は、PWM信号118に対して-1ボルトのDC電圧レベルを有するDC基準電圧を受信する。このため、コンパレータ150Aは、1ボルトより大きい大きさの負の極性を有するフィードバック信号FBAに応答して、コンパレータ出力COAを高電圧状態で発生させる。そうでなければ、コンパレータ150Aのコンパレータ出力COAは、高電圧状態である。したがって、コンパレータ150Aは、PWM信号118の正のエッジに対応するフィードバック信号FBA内の負電圧スパイクを検出する。
【0052】
NANDゲート154Aの一方の入力端子は、コンパレータ150Aの出力を受信する。NANDゲート154Aの他方の入力端子は、NANDゲート156Aの出力を受信する。NANDゲート156Aの一方の入力端子は、PWM信号PWMの反転を受信するように構成され、該反転は、信号PWMIと称される。NANDゲート156Aの他方の入力端子は、NANDゲート154Aの出力を受信するように接続される。したがって、NANDゲート154AおよびNANDゲート156Aは、SRラッチを形成する。SRラッチの非反転出力(NANDゲート154Aの出力)は、ANDゲート168Aの一方の入力端子で受信され、ANDゲート168Aの他方の入力端子は、反転PWM信号PWMIを受信する。反転PWM信号PWMIは、アイソレータISO1を通過して、イネーブル信号ENAになる。
【0053】
負スパイクNEがなければ、コンパレータ150Aの出力は、高電圧状態に維持される。PWM信号118が高電圧状態(スイッチ116が閉状態)である間に、PWMI信号は、低電圧状態に保持され、ANDゲート154AからのSRラッチからの出力を、強制的に低電圧状態にする。また、低電圧状態のPWMI信号は、ANDゲート168Aに、出力を低電圧状態に維持させる。この状態の間、信号ASAは低電圧状態に保持され、スイッチ114は、強制的に開状態にされる。PWM信号118が低電圧状態に一旦切り替わると、PWMI信号は、高電圧状態に切り替わる。PWMI信号が高電圧状態である場合、SRラッチは、「保持」モードであり、以前の低電圧出力状態を維持する。SRラッチは、コンパレータ150Aからの低電圧状態出力を待機する。PWM信号118の正の遷移事象時に、低電圧状態で発生させられたコンパレータ150Aの出力COAおよびAND154A出力からのSRラッチの出力は、高電圧状態に切り替わる。PWMIが高電圧状態である際に、AND168Aは、低電圧出力遷移をSRラッチから受信する。このようにして、トリガ回路110Aは、トリガ信号を起動状態で発生させて、スイッチ114を閉じる。したがって、スイッチ114は、信号がアイソレータISO1、ISO2を通過する必要がなく、または他の任意の時間を要するアイソレータを通過する必要がなく、閉じられる。
【0054】
図1Cは、一部の実施形態に係る、ローサイドドライバ回路102Bの実施形態を示す。
【0055】
ローサイドドライバ回路102Aは、トリガ回路110Aの実施形態を示す。トリガ回路110Aは、コンパレータ150Bと、NANDゲート154Bと、NANDゲート156Bと、ANDゲート168Bと、を含む。本実施形態では、フィードバック信号FBBは、上述のように、スイッチ114、116から発生させられたPWM信号118のフィードバックである。ハイパスフィルタ108Bは、直列接続コンデンサおよび抵抗器であり、フィードバック信号FBAは、コンデンサと抵抗器との間の中間ノードで発生させられる。本実施形態では、フィードバック信号FBBは、フィードバック電圧である。ハイパスフィルタ108Bによって一旦フィルタリングされると、フィードバック信号FBBは、
図1Eに示すように、PWM信号118の電圧の導関数に従って設定されるフィードバック信号レベルを有する。
【0056】
バック構成のコンパレータ150Bに関して、コンパレータ150Bの反転端子は、フィードバック信号FBBを受信するように構成される。バック構成では、非反転端子は、-1ボルトのDC電圧レベルを有するDC基準電圧を受信する。このため、コンパレータ150Bは、-1ボルトより大きい大きさの負の極性を有するフィードバック信号FBBに応答して、コンパレータ出力COBを高電圧状態で発生させる。そうでなければ、コンパレータ150Bのコンパレータ出力COBは、高電圧状態である。したがって、コンパレータ150Bは、PWM信号118の負のエッジに対応するフィードバック信号FBB内の負電圧スパイクを検出する。
【0057】
NANDゲート154Bの一方の入力端子は、コンパレータ150Bの出力COBを受信する。NANDゲート154Bの他方の入力端子は、NANDゲート156Bの出力を受信する。NANDゲート156Bの一方の入力端子は、イネーブル信号ENBを受信するように構成される。NANDゲート156Aの他方の入力端子は、NANDゲート154Aの出力を受信するように接続される。したがって、NANDゲート154AおよびNANDゲート156Aは、SRラッチを形成する。SRラッチの非反転出力(NANDゲート154Bの出力)は、ANDゲート168Aの一方の入力端子で受信され、ANDゲート168Aの他方の入力端子は、イネーブル信号ENBを受信する。PWM信号PWMは、アイソレータISO2を通過して、イネーブル信号ENBになる。
【0058】
正スパイクがなければ、コンパレータ150Aの出力COBは、高電圧状態に維持される。PWM信号118が低電圧状態(スイッチ114が閉状態)である間に、イネーブル信号ENBは、低電圧状態に保持され、ANDゲート154AからのSRラッチからの出力を、強制的に低電圧状態にする。また、低電圧状態のイネーブル信号ENBは、ANDゲート168Aに、強制的に出力を低電圧状態に維持させる。この状態の間、信号ASBは低電圧状態に保持され、スイッチ116は、強制的に開状態にされる。PWM信号118が高電圧状態に一旦切り替わると、イネーブル信号ENBは、高電圧状態に切り替わる。イネーブル信号ENBが高電圧状態である場合、SRラッチは、「保持」モードであり、以前の低電圧出力状態を維持する。SRラッチは、コンパレータ150Aからの低電圧状態出力を待機する。PWM信号118の遷移事象時に、低電圧状態で発生させられたコンパレータ150Aの出力COBおよびAND154A出力からのSRラッチの出力は、高電圧状態に切り替わる。イネーブル信号ENBが高電圧状態である際に、AND168Aは、低電圧出力遷移をSRラッチから受信する。このようにして、トリガ回路110Bは、トリガ信号ASBを起動状態で発生させて、スイッチ116を閉じる。したがって、スイッチ116は、信号がアイソレータISO1、ISO2を通過する必要がなく、または他の任意の時間を要するアイソレータを通過する必要がなく、閉じられる。
【0059】
図2は、ハイパスフィルタおよびトリガ回路の動作を示す電圧波形を示す。
【0060】
一部の実施形態では、ハイパスフィルタは、
図1BのRCフィルタ108Aであり、トリガ回路は、
図1Bのトリガ回路110Aである。一部の実施形態では、ハイパスフィルタは、
図1CのRCフィルタ108Bであり、トリガ回路は、
図1Cのトリガ回路110Bである。電圧
図200Aは、PWM信号の電圧レベルを示す電圧波形である。電圧波形200Bは、トリガ回路のコンパレータ150A(例えば、
図1Bのトリガ回路110Aのコンパレータ150A)の出力COAの電圧レベル対時間である。電圧波形200Cは、トリガ信号ASAの電圧レベル対時間の電圧図である。電圧波形200Dは、スイッチングノード118の電圧レベルを示す。
【0061】
電圧
図200Aに示すように、9ピコ秒で、イネーブル信号ENAは、無効化状態から有効化状態に切り替わる。9.12ピコ秒で、スイッチング遷移は、コンパレータ出力COAによるフィードバック信号で検出される。結果として、9.13ピコ秒で、トリガ信号ASAは、停止状態から起動状態に切り替わる。914psで、二次スイッチのゲート電圧は、DC出力電圧VOUTに引き出される。電圧
図200A~200Dはまた、トリガ回路110Aおよびハイパスフィルタ108Aが提供されなければ、二次スイッチのゲート電圧が、およそ9.55psまでオンになり得ないことを示す。
【0062】
図3は、一部の実施形態に係る、スイッチコンバーターを操作する方法を示す流れ
図300である。
【0063】
一部の実施形態では、流れ
図300は、
図1Aのスイッチコンバーター100によって実施される。流れ図は、ブロック302~310を含む。流れは、ブロック302で始まる。
【0064】
ブロック302では、DC電圧は、出力フィルタおよび一次スイッチおよび二次スイッチを有するスイッチング回路を使用して、発生させられる。一部の実施形態では、DC電圧は、
図1AのDC電圧DCOUTである。一部の実施形態では、出力フィルタは、
図1Aの出力フィルタ104である。スイッチング回路の一例は、
図1Aのスイッチング回路101である。一部の実施形態では、一次スイッチは、
図1Aのスイッチ114(すなわち、バック構成)またはスイッチ116(すなわち、ブースト構成)である。流れは、その後、ブロック304に進む。
【0065】
ブロック304では、一次スイッチは、有効化信号が有効化状態であることに応答して、開かれる。一部の実施形態では、
図1Aのスイッチ制御回路は、有効化信号を発生させる。有効化信号の例は、
図1Aの有効化信号ENAおよび有効化信号ENBである。流れは、その後、ブロック306に進む。
【0066】
ブロック306では、フィードバック信号は、スイッチング回路または出力フィルタから受信される。フィードバック信号の例は、
図1Aのフィードバック信号FBAおよびフィードバック信号FBBである。流れは、その後、ブロック308に進む。
【0067】
ブロック308では、二次スイッチが開状態のままである間に、一次スイッチが開状態であることに応答して、遷移性のスイッチング事象を検出する。一部の実施形態では、信号スパイクは、
図1A、1B、1Cのハイパスフィルタ108Aおよびハイパスフィルタ108Bによってフィルタリングされる。流れは、その後、ブロック310に進む。
【0068】
ブロック310では、二次スイッチは、スイッチング遷移および有効化状態である有効化信号に応答して、閉じられる。一部の実施形態では、二次スイッチは、
図1Aのスイッチ114(すなわち、ブースト構成)またはスイッチ116(すなわち、バック構成)である。
【0069】
前述の態様のいずれか、および/または本明細書に記載される様々な別個の態様および特徴を、さらなる利点を得るために組み合わせてもよいことが考えられる。本明細書に開示する様々な実施形態のいずれも、本明細書に特に記載のない限り、一つ以上の他の開示された実施形態と組み合わせることができる。
【0070】
当業者であれば、本開示の好ましい実施形態に対する改善および修正を認識するであろう。このようなすべての改善および修正は、本明細書に開示される概念および以下の特許請求の範囲内であると見なされる。
【外国語明細書】