(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078468
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】排水具
(51)【国際特許分類】
E04D 13/04 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
E04D13/04 J
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189013
(22)【出願日】2022-11-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社サンゲツが、令和4年9月21日に株式会社長谷工コーポレーション、令和4年9月16日に宝交通株式会社、令和4年11月10日に野村不動産株式会社、令和4年11月14日に株式会社米屋、令和4年11月10日に株式会社オープンハウス・ディベロップメント、令和4年11月15日に矢作建設工業株式会社、令和4年11月9日に株式会社大京 名古屋支店、令和4年11月7日に株式会社ちの、令和4年11月9日に株式会社ベルテック、令和4年11月14日に株式会社IAO竹田設計、令和4年11月18日に株式会社タクトプラン建築事務所大阪、令和4年11月21日にエスケー化研株式会社に、「排水具」を配布した。
(71)【出願人】
【識別番号】000130824
【氏名又は名称】株式会社サンゲツ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康高
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正庸
(57)【要約】
【課題】全高を抑えることのできる排水具を提供する。
【解決手段】排水具本体20と前記排水具本体20との間で排水流路11を形成するカバー30とを備えた排水具であって、前記排水具本体20は、一対の係合凸部24を有し、前記カバー30は、前記一対の係合凸部24に係合可能な一対の係合凹部35を有し、前記排水具本体20は、前記排水具本体20の幅方向外方の外端22bから前記係合凸部24の基部に接する部分である内端22cに至る上面22aを有しており、前記上面22aの高さは前記排水具本体20の幅方向外方の外端22bより前記係合凸部24の基部に接する部分である内端22cが低い排水具。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水具本体と前記排水具本体との間で排水流路を形成するカバーとを備えた排水具であって、
前記排水具本体は、一対の第一係合部を有し、
前記カバーは、前記一対の第一係合部に係合可能な一対の第二係合部を有し、
前記排水具本体は、前記排水具本体の幅方向外方の端部から前記第一係合部の基部に接する部分に至る上面を有しており、
前記上面の高さは前記排水具本体の幅方向外方の端部より前記第一係合部の基部に接する部分が低い排水具。
【請求項2】
前記一対の第一係合部は前記一対の第二係合部に幅方向内方から係合するものであり、
前記第一係合部は、前記排水具本体から上方に延びる基部と基部から幅方向外方に向かって延びる爪部からなる係合凸部であり、
前記第二係合部は、幅方向外方に凹み、前記爪部を係合可能な係合凹部である請求項1に記載の排水具。
【請求項3】
前記排水具本体の前記一対の第一係合部より幅方向外方の上面には前記カバーを載置する載置面が形成されており、
前記カバーには前記載置面に着座する着座面が形成されており、
前記載置面及び前記着座面は、幅方向外方から幅方向内方に向かうにつれて高さが低くなる傾斜面となっている請求項1に記載に排水具。
【請求項4】
前記排水具本体は前記一対の第一係合部の間に前記排水流路を構成する溝部を備え、前記排水流路を構成する前記カバーの下面には前記溝部に向けて垂下する支持部を有する請求項1に記載の排水具。
【請求項5】
前記支持部は、前記カバーに上方からの負荷が生じない状態では前記溝部に接触していない請求項4に記載の排水具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅等のベランダや廊下などに設置されて、エアコン等から排出される排水をベランダや廊下の排水溝等に導くための排水具に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅に設置されたエアコンや給湯器等(以下、「エアコン等」という)から排出される排水はエアコン等に接続されたホースを介して室外に排水される。そして、排水は、集合住宅のベランダや廊下を介して住宅の外に排出されることとなるが、排水をベランダや廊下の床面等に直接排出するとベランダや廊下が排水で濡れてしまい、ベランダ等の劣化等が生じる。また、排水がベランダ等に広がって隣接する住居のベランダ等に流れ込む可能性がある。このため、エアコン等からの排水を排水溝まで案内する排水具がある。
【0003】
この排水具は内部に中空の排水流路を有している。エアコン等のホースから排出された排水は排水具の排水流路を通ってベランダや廊下の排水溝に排出されるため、ベランダや廊下の床面が排水により濡れることがない。
【0004】
また、排水具には分割タイプがあり、床面に設置する排水具本体とカバーとから構成され、排水具本体とカバーとの間で排水流路を形成している。このような分割タイプの排水具においては排水具本体とカバーとの双方に係合部を設け、それらを係合して組み付けている(特許文献1の
図4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、排水具を分割タイプとすると、排水具本体とカバーとの係合部を設ける必要があるため排水具の全体の高さが高くなってしまうという問題がある。
そこで、本発明は上記問題に鑑み、全高を抑えることのできる排水具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための発明は、排水具本体と前記排水具本体との間で排水流路を形成するカバーとを備えた排水具であって、前記排水具本体は、一対の第一係合部を有し、前記カバーは、前記一対の第一係合部に係合可能な一対の第二係合部を有し、前記排水具本体は、前記排水具本体の幅方向外方の端部から前記第一係合部の基部に接する上面を有しており、前記上面の高さは前記排水具本体の幅方向外方の端部より前記第一係合部の基部に接する部分が低い。これにより、排水具本体にカバーを係合させる排水具の全高が抑えられる。
【0008】
また、前記一対の第一係合部は前記一対の第二係合部に幅方向内方から係合するものであり、前記第一係合部は、前記排水具本体から上方に延びる基部と基部から幅方向外方に向かって延びる爪部からなる係合凸部であり、前記第二係合部は、幅方向外方に凹み、前記爪部を係合可能な係合凹部である。これにより排水具本体の係合凸部がカバー30の係合凹部に係合される。
【0009】
前記排水具本体の前記一対の第一係合部より幅方向外方の上面には前記カバーを載置する載置面が形成されており、前記カバーには前記載置面に着座する着座面が形成されており、前記載置面及び前記着座面は、幅方向外方から幅方向内方に向かうにつれて高さが低くなる傾斜面となっている。これにより、傾斜面である載置面と着座面同士が面接触される。
【0010】
前記排水具本体は前記一対の第一係合部の間に排水流路を構成する溝部を備え、前記排水流路を構成する前記カバーの下面には前記溝部に向けて垂下する支持部を有する。これにより、カバーに下方向への負荷が作用した場合でも支持部によりカバーの変形が防止される。
【0011】
前記支持部は、前記カバーに上方からの負荷が生じない状態では前記溝部に接触していない。これによりカバーに上方からの負荷が生じない状態では溝部の底面に沿った領域が広く確保される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の排水具によれば、排水具の全高を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る排水具を設置したベランダの模式図。
【
図3】本実施形態に係る排水具本体とカバーとを分離した状態の幅方向断面図。
【
図4】
図4(a)は本実施形態に係るホース受具の平面図、
図4(b)は同正面図、
図4(c)は同断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した排水具10の一実施形態を
図1~
図4にしたがって説明する。
図1にマンションのベランダB周辺の模式図を示す。マンションはベランダBと室内とを区画する壁Wを有し、その壁Wの室内側にエアコンの室内ユニット(図示せず)が、ベランダBにはエアコンの室外機Eが設置されている。エアコンの室内ユニットと室外機Eにはそれぞれ排水ホースHが接続されている。また、ベランダBの室外側の床面FにはベランダBの長手方向に沿って排水溝Dが形成されている。なお、ベランダBは室内側から室外側に向けてわずかに低くなるように傾斜しており、ベランダBに排出された排水やベランダBに降った雨水等はこの傾斜によりベランダBの室内側から室外側に流れ、排水溝Dに落ちる。
【0015】
図1に示すように、ベランダBの床面Fには、ベランダBの室内側から室外側とを結ぶ奥行き方向に排水具10が配置されている。この排水具10内には排水流路11が形成されている。排水具10の室内側の端部には、ホース受具40が装着されており、このホース受具40に両排水ホースHの下端が接続されている。また、排水具10の室外側の端部はベランダBの排水溝Dに開口している。このため、排水は排水ホースH及びホース受具40を介して排水具10に導入され、排水具10内の排水流路11を通ってベランダBの排水溝Dに排出される。
【0016】
(排水具10について)
図2、
図3に断面図を示すように排水具10は内部に排水流路11が形成された中空構造をなしている。なお、排水具10は
図2、
図3に示す断面形状がこの断面形状に直交する方向である奥行き方向に連続して形成されている。このため、以下の説明における排水具10の構造等は特に説明しない限り
図2、
図3に示す断面形状であり、また、この断面形状は排水具10の奥行き方向(
図2、
図3の断面に直交する方向)に連続して形成されている。
【0017】
図2、
図3に示すように、排水具10は、ベランダBの床面Fに設置される排水具本体20と、この排水具本体20の上に組み合わせられるカバー30とからなる。排水具本体20とカバー30との組み合わせにより排水具10内部に中空の排水流路11が形成される。排水具本体20とカバー30とはいずれもグレーやブラウン等に着色したポリ塩化ビニル製であり、可撓性を有し弾性変形可能となっている。なお、ポリ塩化ビニル以外にもポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル等の熱可塑性エラストマーを使用することができる。
【0018】
図2に示すように、排水具本体20及びカバー30は、排水具10を幅方向(
図2の左右方向)の中心を上下方向に通る仮想線Lを対称線として線対称形状となっている。
(排水具本体20について)
図2、
図3に示すように、排水具本体20は、排水具10のうち下側に位置する部材であり、ベランダBの床面Fに設置される部材である。このため、排水具本体20の接地面21は平坦面となっている。また、
図1に示すように排水具本体20は奥行き方向に長尺な形状をなし中実に形成されている。
【0019】
図3に示すように、排水具本体20の幅方向両外方には、載置部22が形成されている。各載置部22の外方端部には接地面21から垂直に上方に立ち上がる端面23が形成されている。各載置部22の上面は排水具本体20に上からカバー30が着座し、カバー30が載置される載置面22aとなる。各載置面22aは、幅方向において端面23に接する外端22bから後述する係合凸部24の基部24aに接する部分までの範囲で形成されており、係合凸部24の基部24aに接する部分を内端22cという。そして、各載置面22aは外端22bと内端22cとで高さが異なっている。具体的には、各端面23の高さは排水具10に接してベランダBに設置される床材Mの高さ(例えば2.5mm)と同じ高さになっており、各載置面22aの外端22bも同じ高さである。そして、各載置面22aは外端22bから幅方向内方である内端22cに向かうほどその高さが順次低くなる傾斜面となっており、内端22cが最も低い高さ(例えば2.0mm)となっている。言い換えれば、各載置部22における鉛直方向の厚み(接地面21から載置面22aまでの高さ)は外端22bが最も厚く、幅方向内方に向かうに連れて順次薄くなり内端22cが最も薄い。
【0020】
排水具本体20の各載置部22の幅方向内方には一対の係合凸部24が形成されている。この一対の係合凸部24は一対の第一係合部を構成する。具体的には、各係合凸部24は各載置面22aの内端22cに接して上方に立ち上がる基部24aと、この基部24aの上端に形成されて基部24aから幅方向外方に向けて突出する爪部24bとからなる。各爪部24bは幅方向外方に向かうほど厚みが薄くなるように形成されている。
【0021】
両係合凸部24の幅方向内方には排水流路11を構成する溝部25が形成されている。溝部25は、載置部22の載置面22aにおける内端22cよりも低く、すなわち厚みが薄く形成された略平坦な底面を有する底部25aと、この底部25aの幅方向両外方に形成された一対の側壁部25bとからなる。各側壁部25bは各係合凸部24の基部24aにおける内方の壁面でもある。
【0022】
また、溝部25の幅方向中央(排水具本体20の幅方向中央でもある)には両側方に斜面が形成されて底部25aよりも更に低い、すなわち厚みが薄い凹部26が形成されている。この凹部26は後述する支持部37が溝部25に着座した場合の位置決めとなる。
【0023】
(カバー30について)
図3に示すように、カバー30は全体として上向き凸のアーチ状をなす中実の部材である。また、
図1に示すようにカバー30は奥行き方向に長尺な形状をなしている。カバー30の上面31は上向き凸の緩やかな円弧状をなしており、幅方向に略等間隔で上方に突出した断面矩形状の凸条32が5本形成されている。また、カバー30の上面31にはこの凸条32を含んで例えば厚さ約0.2mmのコーティング層33が形成されている。このコーティング層33は透明な塩化ビニル樹脂の中に細かい粒子状の濃いグレー等の色付塩化ビニル樹脂を混ぜた層となっている。
【0024】
カバー30の幅方向両外方にはそれぞれ下方向に突出した着座部34が形成されている。各着座部34には下向きの面である着座面34aが形成されており、この着座面34aは排水具本体20の各載置部22の載置面22aに着座する部分である。各着座面34aは各載置面22aと同様に傾斜した面となっている。具体的には、両着座面34aは平行な面ではなく、それぞれ
図2、
図3で幅方向中央に向かって下向きとなる傾斜面となっている。各着座面34aは各載置面22aとその傾斜角度を合わせて形成されており、
図2のようにカバー30を排水具本体20に組み合わせた状態では、カバー30の各着座面34aと排水具本体20の各載置面22aとが面接触する。また、各着座面34aにはカバー30の軽量化のため半円形状の肉抜き部34bが形成されている。
【0025】
カバー30のうち、各着座部34の幅方向内方かつ上方にはそれぞれ係合凹部35が形成されている。この一対の係合凹部35は一対の第二係合部を構成する。各係合凹部35は各着座部34の内端上方にて幅方向外方に凹んだ有底状をなしており、底部35aに向かうほどその上下間隔が短くなっている。この両係合凹部35には排水具本体20の両爪部24bが幅方向内方から係合可能となっている。つまり、排水具本体20に形成された一対の係合凸部24は、幅方向内方からカバー30に形成された一対の係合凹部35に係合し、これにより排水具本体20にカバー30が組み付けられる。同時に、係合凹部35に排水具本体20の爪部24bが挿入された状態では、
図2に示すようにカバー30の両着座部34の幅方向内方に位置する部分が、排水具本体20の両載置面22aと係合凸部24の爪部24bとの間に入り込んで係合される。
【0026】
一対の係合凹部35から幅方向内方に続くカバー30の下面36はカバー30の上面31とほぼ平行な一定の肉厚に形成されている。カバー30の下面36は排水具本体20の溝部25との間で中空の排水流路11を形成し、カバー30の下面36は排水流路11の天井面を構成する。カバー30の幅方向中央には下面36から下方に突出する断面矩形状の支持部37が形成されている。この支持部37はカバー30に上方から負荷が作用し、カバー30が下向きに変形したときに排水具本体20の凹部26に当接することによりカバー30の変形を防止し、排水流路11の閉塞を防止するものである。
図2に示す通常の組付け状態では、支持部37の下端は排水具本体20の凹部26に着座しておらず、中に浮いた状態となっている。なお、支持部37の幅は凹部26の幅よりも短く形成されている。
【0027】
(ホース受具40について)
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)に示すホース受具40は排水ホースHと排水具10との接続に使用される。ホース受具40は、受具本体41とこの受具本体41から突出する挿入部42とからなる。
【0028】
具体的には、受具本体41は、
図2に示す排水具10の断面外周形状と略同形状に形成されており、上面が緩やかな上向き凸の円弧状をなし、下面が平坦であり、幅方向両外方には一定高さの壁面を有している。また、受具本体41には上に開口したホース接続パイプ43が2つ奥行き方向に並んで配置されている。ホース接続パイプ43は排水ホースHを内嵌又は外嵌して接続可能となっており、それぞれ高さが異なっている。
【0029】
挿入部42は、
図2に示す排水具10の排水流路11に挿入可能な中空の舌片状となっている。受具本体41と挿入部42の内部には両者を貫通する接続流路44が形成されており、この接続流路44の一方は挿入部42の先端に開口されており、他方は各ホース接続パイプ43に連通している。なお、挿入部42の上面には挿入部42を排水流路11に挿入した際にカバー30の下面36から垂下する支持部37との干渉を防止する切り欠き45が形成されている。
【0030】
排水具10にホース受具40を装着し、ホース受具40に排水ホースHを嵌合すると、排水は排水ホースHからホース受具40に入り、さらに排水具10の排水流路11へと至ることができる。
【0031】
(排水具10の製造について)
排水具10は、排水具本体20とカバー30とを個別に押出し成型し、その後に両者を組み付ければよい。また、カバー30に形成されているコーティング層33はカバー30の押出成型時に同時にカバー30に押出成形により積層加工することができる。排水具本体20とカバー30とはいずれも押出成形により連続して形成されるため、奥行き方向の長さは特に限定がない。押出成形の過程において運搬や保管等に適した長さ、例えば排水具本体20とカバー30とをそれぞれ10メートルごとに切断する。そして、排水具本体20とカバー30とをそれぞれ個別に螺旋状に巻き付けて別個に梱包、保管、運搬することができる。
【0032】
(排水具10のベランダBへの設置方法について)
本実施形態の排水具10をマンションのベランダBに設置する方法について説明する。
排水具本体20とカバー30とはそれぞれ単体(
図3の状態)で一定長さに螺旋状に巻かれて梱包等されている。これを施工現場でほどいて排水具本体20とカバー30とをそれぞれベランダBの長さ等に合わせてカットする。なお、ホース受具40を使用する場合にはベランダBの長さから受具本体41の長さを差し引いた長さとする。
【0033】
設置順として、まず排水具本体20をベランダBの床面Fに接着剤を使用して固定する。次にホース受具40を設置する。具体的には挿入部42を排水具本体20の溝部25上に重ねてホース受具40を壁W側のベランダBの床面Fに接着剤で固定する。そして、排水具本体20の上からカバー30を組み付ける。続けて、
図1、
図2に示すように排水具本体20の端面23に沿って床材Mをカットし、ベランダBの床面Fに敷けばよい。
【0034】
なお、排水具本体20とカバー30との組み付けとして、係合凸部24、係合凹部35のいずれか又は双方を弾性変形させて排水具本体20とカバー30とを組み付けることができる。また、排水具本体20とカバー30とを長さ方向にずらせて配置し、排水具本体20の係合凸部24にカバー30の係合凹部35を係合させた状態で長さ方向にスライドさせて組み付けることもできる。
【0035】
上記実施形態の排水具10によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、排水具10を排水具本体20とカバー30から構成し、排水具本体20とカバー30の間で排水流路11を形成する。排水具本体20は、一対の係合凸部24を有し、カバー30は、一対の係合凸部24に係合可能な一対の係合凹部35を有する。また、排水具本体20は、その幅方向外方の外端22bから内端22cに接する載置面22aを有しており、載置面22aの高さは外端22bより内端22cが低くなっている。このため、排水具本体20の係合凸部24にカバー30の係合凹部35を係合させても外端22bと内端22cとの高さの差の分、カバー30を低い位置に組み付けることができ、排水具10の全高を抑えることができる。
【0036】
(2)また、排水具本体20の各端面23の高さを床材Mの高さと合わせる等、排水具本体20の外端22bを一定の高さに形成する必要があっても排水具10の全高を抑えることができる。
【0037】
(3)係合凸部24は係合凹部35に幅方向内方から係合するものであり、係合凸部24は排水具本体20から上方に延びる基部24aと基部24aから幅方向外方に向かって延びる爪部24bからなる。また、係合凹部35はカバー30において幅方向外方に凹み、爪部24bを係合可能である。上から被せるカバー30を排水具本体20に対して外嵌めとしているため、排水具本体20に対するカバー30の係合着脱作業が容易である。また、排水具本体20にカバー30を被せた状態で係合凸部24と係合凹部35が外部に露出しないため、足等が係合凸部24と係合凹部35に直接当たることはなく、係合が外れにくい。
【0038】
(4)排水具本体20の一対の係合凸部24より幅方向外方の上面はカバー30を載置する載置面22aとなっており、カバー30には載置面22aに着座する着座面34aが形成されている。載置面22a及び着座面34aは幅方向外方から幅方向内方に向かうにつれて高さが低くなる傾斜面となっている。このため、載置面22aと着座面34aとは面接触し接触が安定するとともに、載置面22aと着座面34aとが幅方向に少しずれても載置ないし着座可能である。
【0039】
(5)排水具本体20は一対の係合凸部24の間に排水流路11を構成する溝部25を備え、排水流路11を構成するカバー30の下面36には溝部25に向けて垂下する支持部37を有する。カバー30に上から負荷がかかって下方に変形した場合でも、支持部37が溝部25、より具体的には凹部26に当接してそれ以上のカバー30の下方への変形を防止する。このため、カバー30の変形に伴う排水流路11の閉塞が防止される。
【0040】
(6)支持部37は、カバー30に上方からの負荷が生じない状態では溝部25に接触していない。このため、排水流路11を構成する溝部25の底面に沿った領域を広く確保することができ、排水の流れを良好とすることができる。
【0041】
(7)カバー30の上面にはコーティング層33が形成されている。コーティング層33は透明な塩化ビニル樹脂の中に細かい粒子状の濃いグレー等の色付塩化ビニル樹脂を混ぜた層となっている。このため、排水具10の上面に意匠性を付加することができ、床材MあるいはベランダBの床面Fとの意匠を揃えること等ができる。
【0042】
(8)カバー30の上面31には幅方向に略等間隔で上方に突出した断面矩形状の凸条32が形成されている。このため、排水具10に足を載せた場合でも凸条32が滑り止めとして機能する。
【0043】
(9)カバー30に上方からの負荷が生じた場合に、カバー30が下方に弾性変形し支持部37が溝部25の凹部26に着座する。このため、支持部37が溝部25に着座する場合に凹部26に位置決めされて着座することとなり、支持部37が着座時に斜め向きに着座すること等を防止しやすくなる。
【0044】
(10)カバー30の上面31は上向き凸の緩やかな円弧状となっている。このため、人の足等がカバー30に突っかかりにくい。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0045】
○ カバー30の上面31に形成した凸条32の数や形状を変更してもよい。例えば断面三角形状、半円形状等でもよい。
○ 支持部37はカバー30に上方からの負荷が生じない状態では溝部25に接触していないが、同状態で溝部25に接触、すなわち凹部26に着座する構成としてもよい。凹部26は支持部37が溝部25に着座した場合の位置決めとして形成しているが凹部26を省略しても良い。
【0046】
○ 支持部37をカバー30に上方からの負荷が生じない状態では溝部25に接触していない状態とする場合、溝部25の凹部26を設けず、凹部26として凹ませていた分、支持部37を短くしてもよい。
【0047】
○ 各載置面22a及び各着座面34aを傾斜面としているが、傾斜面に限らず、例えば平面と垂直面を組み合わせた階段状や、断面円弧状等各種形状や複数の形状の組み合わせを用いることができる。この場合、載置面22aと着座面34aが面接触する形状とすることが好ましい。
【0048】
○ 排水具本体20に一対の係合凸部24を設け、カバー30に一対の係合凹部35を設けたがこれに限られない。例えば、上記実施形態では、カバー30の一対の着座部34の幅方向内方に位置する部分が、排水具本体20の一対の載置面22aと係合凸部24の爪部24bとの間に入り込んで係合されている。この構成ではカバー30に一対の係合凸部(着座部34の幅方向内方に位置する部分)が、排水具本体20に一対の係合凹部(載置面22aと爪部24bとの間)を有するともいえる。
【0049】
○ 排水具本体20とカバー30に使用する材料は必要に応じて任意に選択することができる。排水具本体20とカバー30とを同じ材料を用いて成形してもよいし、それぞれ異なる材料を用いて形成してもよい。
【0050】
○ カバー30の上面に形成したコーティング層33は省略してもよいし、またコーティング層33を採用する場合でも含有させる粒子の形状や色等を変更してもよい。さらに、コーティング層33を形成する場合には粒子を含まない透明樹脂、不透明樹脂等をコーティングして透明層、不透明層としてもよい。
【0051】
○ 排水具10は、ベランダB以外に廊下や屋上等に使用してもよい。また、エアコンに限らず給湯器等の排水具10として使用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
10・・・排水具
11・・・排水流路
20・・・排水具本体
21・・・接地面
22・・・載置部
22a・・・載置面(上面)
22b・・・外端(端部)
22c・・・内端(基部に接する部分)
23・・・端面
24・・・係合凸部(第一係合部)
24a・・・基部
24b・・・爪部
25・・・溝部
30・・・カバー
31・・・上面
34・・・着座部
34a・・・着座面
35・・・係合凹部(第二係合部)
36・・・下面(カバーの下面)
37・・・支持部
B・・・ベランダ
D・・・排水溝
F・・・床面
H・・・排水ホース
M・・・床材
【手続補正書】
【提出日】2024-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
排水具本体と前記排水具本体との間で排水流路を形成するカバーとを備えた排水具であって、
前記排水具本体は、一対の第一係合部を有し、
前記カバーは、前記一対の第一係合部に対して外嵌めにより係合可能な一対の第二係合部を有し、
前記排水具本体は、前記排水具本体の幅方向外方の端部から前記第一係合部の基部に接する部分に至る上面を有しており、
前記上面の高さは前記排水具本体の幅方向外方の端部より前記第一係合部の基部に接する部分が低い排水具。